説明

情報保護機能を持ったプリント用紙

【課題】 あらかじめプリント用紙に貼り合わせた情報保護紙の上から機密保護を要する情報をプリントするようにしたプリント用紙の薄い情報保護紙を容易に分離が行えるようにする。
【解決手段】本発明は、プリント用紙の上層の全面に隠蔽性を持った情報保護紙を貼り合わせるとともに、用紙の側面の先頭部付近において、プリント用紙に貼り合わされた情報保護紙に先端部に達しない弧線の切り込みを設け、弧線の切り込みを使用してプリント用紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能な構成を持ったプリント用紙を実現することにより問題を解決したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリント用紙に関するものである。
本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙は、あらかじめプリント用紙に貼り合わせた情報保護紙の上から直接機密保護を要する情報をプリント出来るようにし、情報保護紙を剥がし易くしたものである。
【背景技術】
【0002】
ガス、水道、電力等の使用量等の各種の個人情報を現場でプリントして帳票としてユーザーへ配布するサービスが近年普及してきている。このサービスは各ユーザーへの帳票発行ができるという点で事務手続の面でコストが削減されるメリットあるが、帳票のぞき見や作業者による不正使用の心配などの個人情報の漏洩の問題がある。
このような情報の漏洩の問題に対処するための方法として、情報保護機能を持たせたはがきが実用化されている。
情報保護機能を持たせたはがきは、あらかじめ個人情報の記入されたはがきの領域に、この領域をカバーする情報保護紙を貼り付けることにより個人情報を隠蔽するようにした方法である。
この場合、情報保護紙を剥がすために、情報保護紙の角部の近傍に、一部を切り取って段差つけたり粘着剤糊抜きとした組み合わせを行い『ここから開封してください』といった注意文言を明記し、確実にこの部分から情報保護紙を剥がさせる方法を採用している。
はがきのように厚みをもった用紙であれば、2枚の重なり合った用紙の一部に段差つけたり、粘着剤により貼り合せた用紙(シールラベル)に、カス上げ(抜型により用紙の内の1枚のみに加工して不要な部分を巻取り等により排除)、糊殺し加工(粘着剤の塗布された面に印刷を行い、粘着力を無くす事)して剥離の切掛けを作る方法を実施することが容易であるが、プリント用紙にはがきのような情報保護紙を使用して情報保護機能を持たせる方法では、プリント作業と情報保護ラベルの貼り付けの作業が必要で情報保護に手間がかかるという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特願2006−239941 号公報
【特許文献2】特願2007−065089 号公報
【特許文献3】特願平11−347014
【特許文献4】特願平11−371036
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
情報保護紙の貼り付けの手間を省くために、あらかじめプリント用紙に貼り合わせた情報保護紙の上から直接機密保護を要する情報をプリントする方法が試みられているが、このためには情報保護紙をと薄くすることが必要で、上記のはがきのような加工が難しいため剥離の切掛けを設ける事が困難であり、剥離の切掛けの無い用紙は剥離が困難であった。
本発明の目的は、あらかじめプリント用紙に貼り合わせた情報保護紙の上から機密保護を要する情報をプリントするようにした情報保護機能を持ったプリント用紙の薄い情報保護紙を容易に情報保護紙とプリント用紙との分離を行えるようにして、プリント用紙の使用者にとっては剥離シートを剥がす作業が行いやすい情報保護機能を持ったプリント用紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、プリント用紙の上層の全面に厚み20〜50μの隠蔽性を持った情報保護紙をプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ強度で貼り合わせるとともに、用紙の側面の先頭部付近において、プリント用紙に貼り合わされた情報保護紙に先端部に達しない弧線の切り込みを設け、弧線の切り込みを使用してプリント用紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能な構成を持った情報保護機能を持ったプリント用紙を実現することにより問題を解決したものである。
本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙は情報保護紙に加工を行い、剥離の切掛けを作ることにより、用紙を湾曲させる事で紙端と切り込みから成る上砥の鋭角部分の頂点が剥離の切掛けとなり容易に情報保護紙とプリント用紙との分離を容易に行えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙は、情報保護紙に設けた弧線の切り込みの頂点が紙端に接するように配置されているので、用紙を湾曲させる事で紙端と切り込みから成る上砥の鋭角部分の頂点が剥離の切掛けとなり容易に情報保護紙とプリント用紙との分離を弱いカで行うことが出来る。
又、情報保護紙に設けた弧線の切り込みは印字方向に逆らわない方向に頂点が配置され印字走行に支障ないような構造となっているので、プリンタ内部で情報保護紙とプリント用紙の剥がれが発生しにくく、発生してもジャムらない設計となっている。
人間の手により引き剥がされた情報保護紙はその剥がし時の情報保護紙の粘着剤による張力反発で筒状に丸まりコンパクト化されるので各家庭のごみ箱へ廃棄することが出来、又、小巻ロールの場合にはより剥がし易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙の構成の一例を示す説明図である。図1において、(a)は情報保護紙が貼り合わせられた状態の本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙の構成の一例を示す説明図で(b)は本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙の断面の構成を示す説明図である。
図1の(a)(b)において、10は隠蔽性を持った情報保護紙、40はサーマルプリント用紙である。
情報保護紙10は、情報保護紙10の上からサーマルプリント用紙40に確実にプリントするためにその厚みが20〜50μに設定されている。
30はサーマルプリント用紙40と情報保護紙10とを貼り合わせる粘着層、20は情報保護紙10に設けられた切込みである。
サーマルプリント用紙40と情報保護紙10とは、図1の(a)に示すように、サーマルプリント用紙10の印字面の上に粘着層30により情報保護紙10が貼り合わせられている。
【0008】
情報保護紙10には剥離を容易にするための切り込み20が設けられている。
切り込み20は、プリント用紙40に貼り合わされた情報保護紙10の先端部付近において、切り込みの頂点を用紙の側面にした先端部付近に達しない弧線の切り込み20を設けることにより若干の用紙曲げ又は弱いカではがすことができる。
弧線の切り込み20は印字方向に逆らわない方向に頂点が配置され印字走行に支障ないような構成となっている。
サーマルプリント用紙40と情報保護紙10とは印字による走行に支障がないような貼り合せ層強度で貼り合わされており、印字した後、図1の(b)に示すように、サーマルプリント用紙40と情報保護紙10の貼り合せ層30の間で剥すことが可能である構成で貼り合せられている。
隠蔽性を持った情報保護紙10はサーマルプリント用紙40への熱の伝わりが十分得られるように厚み20〜50μの薄いものに限定される。
【0009】
サーマルプリント用紙40は情報保護紙10の上からプリンタヘットの加熱が行われても、情報保護紙10に厚み20〜50μのものを使用すれば高感度のものを使用することにより、通常の目視で文字判読できる印字品質のプリントを行うことが可能であることが確認されている。
又、情報保護紙10に厚み20〜50μのものを使用することにより、プリント用紙10には感圧プリント用紙を使用を使用した場合でも、インパクトプリンタの印字圧力を損なうことなくプリント用紙10に伝達することが出来るので、プリント用紙40には感圧プリント用紙を使用することも可能である。
隠蔽性を持った情報保護紙10は、色紙のように紙に染料を混ぜたものや紙に印刷インキで印刷を施したものを利用することにより隠蔽性を持たせることが出来る。染料を混ぜる方式やインキを印刷する方式については限定されるものではなく、隠蔽性をもたすことができるものであれば良い。一般的に隠蔽するための色相は黒色が望ましい。感熱紙や感圧紙の発色濃度より高い濃度が得られる染料又は印刷インキであることが望ましい。
【0010】
図2は本発明をロール記録紙や折り畳み記録紙などの連続帳票に適用した実施例を示したものである。図2において、図1と同一の部分には同一の符号を付けてその背差名を省略する。
図2において、50はプリントパターンの一枚ごとの境目入れられたミシン目である。
ミシン目50は、プリント済みの帳票を切り離し易くするために情報保護紙10とプリント用紙40のプリントパターンの一枚ごとの境目に入れられている。
プリント用紙40と情報保護紙10とは、図1の実施例と同様に印字による走行に支障がないような貼り合せ層強度で貼り合わされており、印字した後、図1の(b)に示すように、プリント用紙40と情報保護紙10の貼り合せ層30間で剥すことが可能である構成で貼り合せられている。
プリント用紙40とその上に貼り合わされた情報保護紙10には、従来のサーマルプリント用紙等と同様に、プリント済みの帳票を切り離し易くするためのプリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目50入れられているので、プリント後に境目のミシン目50より切り離すことにより図1に示すような単票のプリント用紙が得られる。
【0011】
図3は本発明のプリント用紙の情報保護紙を剥がす動作を説明した図である。
プリントの行われたプリント用紙40の情報保護紙10を剥す場合には、最初に、図3の(a)に示すようにプリント用紙40(図2に示した連続用紙の場合には、ミシン目から切り離した単票)を湾曲させる。
これによりプリント用紙40から情報保護紙10の切り込み20の頂点が剥離し立ち上がる。
この状態で、剥離し立ち上がった切り込み20の頂点を掴み、図3の(b)に示すようにプリント用紙40の上端に向けて引き離すことにより、情報保護紙10の切り込み20に近い端部をプリント用紙40から剥離させる。
この後に、プリント用紙40から剥離した情報保護紙10の端部を掴み、図3の(c)に示すように情報保護紙10を剥離した端部からその端部に向けて剥離させることにより、情報保護紙10をプリント用紙40から剥離させると、情報保護紙10に付着している粘着剤による張力反発で筒状に丸まりコンパクト化されるので破棄が容易にが出来る。
【0012】
図4は、図1および図2に示した構成の本発明のプリント用紙の情報保護紙10の切り込み20の形状を決定するために行った、各種の試験の結果を示したものである。
情報保護紙10の切り込み20の形状を決定するために、つぎの4種類の切り込み20の形状の用紙について各種のテストと確認を行った。
ケース1: 切り込み20の頂点を紙端流れ方向に配置した用紙(本発明の形状)
ケース2: 切り込み20の頂点を紙瑞逆方向に配置した用紙
ケース3: 用紙の中心ラインに切り込み20のを入れた用紙
ケース4: 切り込み20の無い用紙
各種のテストと確認の内容は次の通りである。
・剥がし易さのテスト
情報保護紙10を切り込みから剥がすための容易性を確認
・プリンタ印字試験
プリンタ出力印字を行い、支障が無いことを確認
・剥がし廃棄作業確認
剥がした情報保護紙10の廃棄の容易性を確認
【0013】
図4に示された各種の各種のテストと確認の内容より明らかなように、
ケース1の切り込み20の頂点を紙端流れ方向に配直した用紙が、プリンタ印字、剥がし廃棄、剥がし易さの全てにおいて良好であることが確認された。
ケース2の 切り込み20の頂点を紙瑞逆方向に配置した用紙は、剥がし廃棄、剥がし易さにおいて良好であるが、プリンタ印字時に紙破れが発生する問題があった。
ケース3の 用紙の中心ラインに切り込み20のを入れた用紙は、剥がし廃棄、剥がし易さにおいて良好であるが、剥がし廃棄に手間がかかり、プリンタ印字時に印字カケが発生する問題があった。
ケース4の 切り込み20の無い用紙は、プリンタ印字において良好であるが、剥がし廃棄に手間がかかる問題があった。
上記の結果により、本発明のプリント用紙の形状として決定された。
【0014】
以上の説明より明らかなように、本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙は、情報保護紙に設けた弧線の切り込みの頂点が紙端に接するように配置されているので、用紙を湾曲させる事で紙端と切り込みから成る上砥の鋭角部分の頂点が剥離の切掛けとなり容易に情報保護紙とプリント用紙との分離を弱いカで行うことが出来る。
又、情報保護紙に設けた弧線の切り込みは印字方向に逆らわない方向に頂点が配置され印字走行に支障ないような構造となっているので、プリンタ内部で情報保護紙とプリント用紙の剥がれが発生しにくく、発生してもジャムらない設計となっている。
人間の手により引き剥がされた情報保護紙はその剥がし時の情報保護紙の粘着剤による張力反発で筒状に丸まりコンパクト化されるので各家庭のごみ箱へ廃棄することが出来、又、小巻ロールの場合にはより剥がし易くなる。

【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、電力、ガス、水道、などの各種の検針作業の結果をお知らせ票または振込み票として携帯プリンタで現場でプリントを行っている業務で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の情報保護機能を持ったプリント用紙の構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明をロール記録紙や折り畳み記録紙などの連続帳票に適用した実施例を示したものである。
【図3】本発明のプリント用紙の情報保護紙を剥がす動作を説明した図である。
【図4】図1および図2に示した構成の本発明のプリント用紙の情報保護紙10の切り込み20の形状を決定するために行った、各種の試験の結果を示したものである。
【符号の説明】
【0017】
10・・・情報保護紙
20・・・情報保護紙10に設けられた切込み
30・・・サーマルプリント用紙40と情報保護紙10とを貼り合わせる粘着層
40・・・サーマルプリント用紙40

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント用紙の上層の全面に厚み20〜50μの隠蔽性を持った情報保護紙をプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ強度で貼り合わせるとともに、
用紙の側面の先頭部付近において、プリント用紙に貼り合わされた情報保護紙に先端部に達しない弧線の切り込みを設け、弧線の切り込みを使用してプリント用紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能な構成を持ったことを特徴とする機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリント用紙。
【請求項2】
プリント用紙の上層の全面に厚み20〜50μの隠蔽性を持った情報保護紙をプリンタ印字による走行に支障がない貼り合せ強度で貼り合わせ、情報保護紙とプリント用紙にプリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目を設けるとともに、
用紙の側面の先頭部付近において、プリント用紙に貼り合わされた情報保護紙に先端部に達しない弧線の切り込みを設け、弧線の切り込みを使用してプリント用紙と情報保護紙の貼り合せ層の間で剥すことが可能で、プリントパターンの一枚ごとの境目にミシン目が入れられた構成を持ったことを特徴とする機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリント用紙。
【請求項3】
請求項1乃至2において、プリント用紙はサーマルプリント用紙を使用することを特徴とする機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリント用紙。
【請求項4】
請求項1乃至2において、プリント用紙は感圧プリント用紙を使用することを特徴とする機密保護を要する情報のプリントを行うための情報保護機能を持ったプリント用紙。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−34953(P2009−34953A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202980(P2007−202980)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(391013863)国際チャート株式会社 (20)