説明

情報入力装置、その入力無効化方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】タッチパネルを備えた情報入力装置において、ユーザの意図しない誤入力を防止することが可能な情報入力装置、その入力無効化方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置において、前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出手段と、前記検出手段が前記第2の検出領域での座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置、その入力無効化方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置上にタッチパネルを装備し、タッチパネル上を指やペンなどにより操作することでデータ入力するタッチパネル装置が、ノート型PC、携帯端末、PDA、ATM、およびカーナビゲーション装置等の情報処理装置で採用されている。
【0003】
かかるタッチ式入力装置を備えた情報処理装置では、装置の小型、軽量化が強く要求さる一方、画像を表示する表示画面の大型化に対する要求も強く、薄型で軽量な液晶パネルを使った表示画面を備えたり、筐体の枠ぎりぎりまで広がった表示画面を備えているものもある。
【0004】
しかしながら、かかるタッチパネル装置を備えた情報処理装置では、装置の操作中にタッチパネル上に装置を保持している側の指が当たったり、また、電源が入ったまま装置を手で保持して移動する場合に、保持している側の指が当たったり、ユーザの意図しない誤入力(誤操作)を起こしやすい。特に、タッチパネルと筐体の額縁との境界付近は装置を保持する指が当たりやすく、意図しない誤入力を起こしやすい部分となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−39964号公報
【特許文献2】特開2009−87076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、タッチパネルを備えた情報入力装置において、ユーザの意図しない誤入力を防止することが可能な情報入力装置、その入力無効化方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置において、前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出手段と、前記検出手段が前記第2の検出領域での座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入力無効領域設定手段は、前記検出手段が前記第2の検出領域で座標入力を検出し、さらに、前記第1の検出領域において、前記検出した前記第2の検出領域の入力座標と近接する位置の座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域を、前記入力無効領域に設定することが望ましい。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記入力無効領域設定手段は、前記検出した前記第1の検出領域または前記第2の検出領域の入力座標の周辺の前記第1の検出領域の一部を、前記入力無効領域に設定することが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1および第2の検出領域は、水平方向および垂直方向に交差するマトリクスタイプのセンサで構成されることが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1の検出領域は、水平方向および垂直方向に交差するマトリクスタイプのセンサで構成され、前記第2の検出領域は、水平方向または垂直方向に延在するタイプのセンサで構成されることが望ましい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置の無効化方法において、前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出工程と、前記検出工程で前記第2の検出領域で座標入力を検出した場合には、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置に搭載されるプログラムにおいて、前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、コンピュータに、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出工程と、前記検出工程で前記第2の検出領域で座標入力を検出した場合には、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定工程と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置において、前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出手段と、前記検出手段が前記第2の検出領域での座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定手段と、を備えているので、タッチパネルを備えた情報入力装置において、ユーザの意図しない誤入力を防止することが可能な情報入力装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施の形態に係る情報入力装置の概念図である。
【図2】図2は、本実施の形態に係る情報入力装置の入力無効領域設定の手順の概略を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施の形態に係る情報入力装置を適用したスレートPCの概略の外観図である。
【図4】図4は、図3の概略のB−B断面図である。
【図5】図5は、タッチパネルの模式的な平面図である。
【図6】図6は、スレートPCのハードウェアの構成を示す概略図である。
【図7】図7は、スレートPCがタッチパネルの入力無効領域を設定する手順の概略を説明するためのフローチャートである。
【図8】図8は、ユーザがスレートPCを使用している際に、ユーザがタッチパネルを指でタッチしてしまう場合を説明するための図である。
【図9】図9は、スレートPCの電源を入れたまま持ち運ぶ場合に、ユーザがタッチパネル2を指でタッチしてしまう場合を説明するための図である。
【図10】図10は、タッチパネルの構造の変形例を示す図である。
【図11】図11は、タッチパネルの構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施の形態にかかる情報入力装置およびその方法を適用したコンピュータシステムの実施の形態について説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、およびプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システムおよび方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、または他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0017】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る情報入力装置の概念図である。図2は、本実施の形態に係る情報入力装置の入力無効領域設定手順の概略を示すフローチャートである。
【0018】
本実施の形態に係る情報入力装置1は、図1に示すように、タッチパネル2と、表示部3と、座標検出部4と、入力無効領域判定・設定部5と、表示制御部6とを備えている。情報入力装置1は、ハードウェアやソフトウェアのモジュール、または、その組み合わせで構成することができる。
【0019】
表示部3は、例えば、LCDや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイであり、表示制御部6の制御に従って、文字や画像等の各種情報を表示する。
【0020】
タッチパネル2は、抵抗膜方式や静電結合方式のタッチパネルであり、表示部3上に設けられ、操作者が指をタッチして、表示部3に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、およびキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、スクロールやスワイプ等の画面操作を行うためのものである。
【0021】
また、タッチパネル2は、表示部3の有効表示領域に対応する第1の検出領域(通常検出領域)DA1と、当該第1の検出領域DA1の周囲を囲う第2の検出領域(拡張検出領域)DA2とを備えている。第1の検出領域DA1は、操作入力を行うための領域である。第2の検出領域DA2は、意図しない指のタッチ(お手つき)を検出するための領域であり、操作入力の対象とはならない。なお、同図に示す例では、表示部3の全面を有効表示領域としている。
【0022】
座標検出部4は、タッチパネル2上で指によってタッチされた座標位置を検出して、入力無効領域判定・設定部5に出力する。
【0023】
入力無効領域判定・設定部5は、座標検出部4から入力される座標位置のうち、タッチパネル2の第1の検出領域DA1で検出された座標位置を表示制御部6に出力する。また、入力無効領域判定・設定部5は、タッチパネル2に対する操作者の意図しないタッチを判定して、タッチパネル2の第1の検出領域DA1の一部または全部を入力無効領域IAに設定する。具体的には、入力無効領域判定・設定部5は、座標検出部4から入力される座標位置が、第2の検出領域DA2内であるか否かを判断し、座標位置が第2の検出領域A2内である場合には、第1の検出領域DA1の一部または全部を入力無効領域IAに設定する。入力無効領域判定・設定部5は、入力無効領域IAを設定した場合は、入力無効領域IAの座標入力を無効とし、入力無効領域IA内で検出され座標位置を表示制御部6に出力しない。なお、入力無効領域判定・設定部5は、入力無効領域IAを設定した後に、第2の検出領域DA2の座標入力がない場合には、指が離れたと判断して、入力無効領域IAを解除してもよい。
【0024】
また、入力無効領域判定・設定部5は、第2の検出領域DA2で座標入力を検出し、さらに、第1の検出領域DA1において、当該検出した第2の検出領域DA2の入力座標と近接する位置の座標入力を検出した場合に、第1の検出領域DA1の一部または全部を、入力無効領域IAに設定することにしてもよい。また、入力無効領域判定・設定部5は、第1の検出領域DA1の一部を入力無効領域IAに設定する場合は、検出した第2の検出領域DA2または第1の検出領域DA1の座標位置の周辺を入力無効領域IAに設定することにしてもよい。
【0025】
表示制御部6は、表示部3の表示を制御するためのものであり、文字、画像、アイコン、タスクバー、ウインドウ等を表示させたり、入力無効領域判定・設定部5から入力される位置座標に基づいて、各種処理を行う。
【0026】
図2を参照して、記情報入力装置1がタッチパネル2の入力無効領域を設定する手順の概略を説明する。図2に示すフローチャートは所定周期で繰り返し実行される。図2において、座標検出部4は、タッチパネル2の座標入力を検出すると、その位置座標を入力無効領域判定・設定部5に出力する。入力無効領域判定・設定部5は、第2の検出領域DA2で座標入力があるか否かを判断する(ステップS1)。第2の検出領域DA2で座標入力がある場合には(ステップS1の「Yes」)、入力無効領域判定・設定部5は、第1の検出領域DA1の一部または全部を入力無効領域IAに設定する(ステップS2)。
【0027】
他方、第2の検出領域DA2で座標入力がない場合には(ステップS1の「No」)、入力無効領域判定・設定部5は、入力無効領域IAが設定されているか否かを判断する(ステップS3)。入力無効領域IAが設定されている場合には(ステップS3の「Yes」)、入力無効領域判定・設定部5は、入力無効領域IAの設定を解除する(ステップS4)。
【0028】
以上説明したように、上記構成によれば、座標検出部4は、タッチパネル2の座標入力を検出すると、その位置座標を無効領域判定・設定部5に出力し、無効領域判定・設定部5は、座標検出部4から入力される座標位置が、第2の検出領域DA2内である場合には、第1の検出領域DA1の一部または全部入力無効領域に設定することとしたので、ユーザの意図しない誤入力を防止することが可能となる。付言すると、例えば、ユーザが情報入力装置1を操作している場合や、電源が入ったまま手で保持して移動する場合に、指がタッチパネル2に当たっても、ユーザの意図しない誤入力(誤操作)を防止することができる。
【0029】
また、入力無効領域判定・設定部5は、第2の検出領域DA2で座標入力を検出し、さらに、第1の検出領域DA1において、検出した第2の検出領域DA2の入力座標と近接する位置の座標入力を検出した場合に、第1の検出領域DA1の一部または全部を、入力無効領域IAに設定することとしたので、指が第2の検出領域DA2のみに触れ、第1の検出領域DA1に触れていない場合に、入力無効化領域IAが設定されるのを防止できる。
【0030】
また、入力無効領域判定・設定部5は、検出した第1の検出領域DA1または第2の検出領域DA2の入力座標の周辺に存在する第1の検出領域DA1の一部を、入力無効領域IAに設定することとしたので、意図しないで指がタッチパネル2に触れ、その指が周辺で動いた場合でも誤入力を防止することができる。
【0031】
(実施例)
図3は、実施の形態に係る情報入力装置を適用したスレートPCの概略の外観図である。図4は、図3の概略のB−B断面図である。図5は、タッチパネルの模式的な平面図である。
【0032】
図3および図4に示すように、スレートPC10は、略長方体である筐体11に、回路基板12、表示部であるLCD13、およびタッチパネル2が収納されている。タッチパネル2は、筐体11の額縁11aと略同一平面上に配置されている。また、タッチパネル2は、図5に示すように、ガラス基板2gに、X方向およびY方向に配列されたライン状の透明導電体2a、2bと、保護フィルムやコーティング層等の保護膜(不図示)が積層された構造となっている。
【0033】
タッチパネル2は、LCD13の有効表示領域よりも大きな検出領域を備えており、有効表示領域に対応した第1の検出領域DA1と、第1の検出領域DA1(LCD13の有効表示領域)の周囲を囲う第2の検出領域DA2とを備えている。この第2の検出領域DA2は、操作画面ではないことを使用者に示すため、黒く印刷されていることが望ましい。使用者は、指でタッチパネル1の第1の検出領域DA1を操作することで、キーボードやマウスによる操作と同じようにスレートPC1を操作することが可能となっている。
【0034】
図6は、図3のスレートPC1のハードウェアの構成を示す概略図である。PC1は、同図に示すように、CPU101、ROM102、メモリ103、HDD(ハードディスク)104、LCD13と、グラフィクスアダプタ105と、座標入力装置20と、ディスクドライブ106と、電源回路108とを備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0035】
CPU101は、バスを介して接続されたHDD104に格納されたOS111によりPC1全体の制御を行うとともに、HDD104に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM102は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)102aやデータ等を格納している。
【0036】
メモリ103は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU101の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0037】
HDD(ハードディスク)104は、例えば、Windows(登録商標)XP,VISTA、7等のスレートPC1全体の制御を行うためのOS111、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ(例えば、表示ドライバ、タッチパネルドライバ等)112、座標検出装置20の入力指示に従って、LCD13の表示画面の表示処理や他の処理を実行するためのアプリケーションプログラム113等を記憶する機能を有する。
【0038】
グラフィクスアダプタ105は、CPU101の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号をLCD13に出力する。LCD13は、CPU101の制御に従って、各種情報を表示する機能を有している。
【0039】
ディスクドライブ106は、CD−ROMやDVD等のディスク107が挿入され、ディスク107のデータをリード/ライトする。
【0040】
電源回路108は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、およびDC/DCコンバータ等を備えており、CPU101の制御に従って、各デバイスに電力を供給する。
【0041】
座標入力装置20は、ユーザが入力操作を行うためのユーザインターフェースであり、ユーザが、LCD13の画面に表示される各種メニュー、アイコン、ボタン、およびキーボード等の画面オブジェクトを選択して入力操作を行ったり、スクロールやスワイプ等の画面操作を行うためのものである。
【0042】
座標入力装置20は、タッチパネル2とドライブ回路21を備えている。ドライブ回路21は、タッチパネル2でタッチされた座標位置(X,Y)を検出して、CPU101に出力する。ドライブ回路21は、上記図1の座標検出部4として機能する。ドライブ回路21の機能を、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することにしてもよい。
【0043】
上記CPU101は、HDD104に格納されたプログラムを実行することにより、上記図1の入力無効領域判定・設定部5および表示制御部6として機能する。CPU101は、座標入力装置30から入力される座標位置に対応する画面オブジェクト(アイコン、タスクバー、ボタン等)に基づく各種処理を行う。CPU101は、タッチパネル2の第2の検出領域DA2で第1の座標入力があり、さらに、第1の検出領域DA1において、当該検出した第2の検出領域DA2の座標位置と近接する位置で第2の座標入力がある場合に、当該第2の座標入力の周辺に存在する第1の検出領域DA1を、入力無効領域IAに設定する。
【0044】
図7は、上記スレートPC10がタッチパネル2の入力無効領域を設定する手順の概略を説明するためのフローチャートである。図7において、まず、CPU101は、第2の検出領域DA2で座標入力があるか否かを判断する(ステップS11)。第2の検出領域DA2で座標入力がない場合には(ステップS11の「No」)、ステップS14に移行する。他方、第2の検出領域DA2で座標入力がある場合には(ステップS11の「Yes」)、CPU101は、第1の検出領域DA1において、第2の検出領域DA2で検出された座標入力と近接した位置の座標入力があるか否かを判断する(ステップS12)。例えば、第1の検出領域DA1で検出された座標をX1,Y1とし、第2の検出領域DA2で検出された座標をX2、Y2とした場合、|X1−X2|≦第1の閾値TH1、かつ、|Y1−Y2|≦第2の閾値TH2である場合に、座標が近接すると判断することができる。
【0045】
第1の検出領域DA1において、第2の検出領域DA2で検出された座標入力と近接した位置で座標入力がない場合には(ステップS12の「No」)、ステップS14に移行する。他方、第1の検出領域DA1において、第2の検出領域DA2で検出された座標入力と近接した位置の座標入力がある場合には(ステップS12の「Yes」)、意図しないタッチと判断して、CPU101は、第1の検出領域A1のうち、上記S12で検出した座標の周辺を入力無効領域IAに設定する(ステップS13)。
【0046】
ステップS14では、CPU101は、入力無効領域IAが設定されているか否かを判断する。入力無効領域IAが設定されている場合には(ステップS14の「Yes」)、
指がタッチパネル2から離れたと判断して、CPU101は、入力無効領域IAを解除する(ステップS15)。
【0047】
なお、指がタッチパネル2の第1の検出領域DA1に触れた後に、第2の検出領域DA2に触れる場合もあるので、ステップS11とS12の順番を入れ替えて実行することにしてもよい。また、第2の検出領域DA2の座標入力と第1の検出領域DA1の座標入力とが所定時間内に行われた場合に、入力無効領域IAを設定することにしてもよい。
【0048】
図8および図9を参照して、タッチパネル2に対するユーザが意図しないタッチを行った場合の検出方法の具体例を説明する。図8は、ユーザがスレートPCを使用している際に、タッチパネル2を意図せずにタッチする場合を説明するための図である。
【0049】
図8において、ユーザは、スレートPC1を使用している場合に、スレートPC1を保持するために、指F1でタッチパネル2の隅を触ってしまう場合がある。例えば、指F1の後端側が第2の検出領域DA2にタッチされ(上記図7のステップS11)、次に、指F1の先端側が第1の検出領域DA1にタッチされた場合(上記図7のステップS12)、両者の検出座標は近接しているので、第1の検出領域DA1のうち、検出座標の周辺の領域が検出無効領域IAに設定される(上記図7のステップS13)。例えば、第1の検出領域DA1で検出された座標を、(X1,Y1)とした場合、(X0、Y1−P2/2)、(X0+P1,Y1−P2/2)、(X0、Y1+P2/2)、(X0+P1,Y1+P2/2)の4点で規定される矩形の領域を入力無効領域IAとすることができる。これにより、意図しないタッチパネル2のタッチによる誤入力を防止することができる。入力無効領域IAの形状は矩形に限られるものではなく、他の形状としてもよい。
【0050】
図9は、スレートPC1の電源を入れたまま持ち運ぶ場合に、ユーザがタッチパネル2を指でタッチしてしまう場合を説明するための図である。図9において、ユーザがスレートPC1を持ち運ぶ際には、スレートPC1を手で把持するため、複数本の指でタッチパネル2をタッチしてしまう場合がある。例えば、指F1の後端側が第2の検出領域DA2にタッチされ(上記図7のステップS11)、次に指F1の先端側が第1の検出領域DA2にタッチされた場合(上記図7のステップS12)、両者の検出座標は近接しているので、第1の検出領域DA1のうち、検出座標の周辺の領域が入力無効領域IAに設定される(上記図7のステップS13)。この入力無効領域IAには、他の指F2〜F4が接触するエリアを含む広い領域が設定されるため、指F1〜F4による意図しない誤操作を防止することができる。
【0051】
以上説明したように、上記実施例によれば、CPU101は、第2の検出領域DA2で座標入力を検出し、さらに、第1の検出領域DA1において、検出した第2の検出領域DA2の入力座標と近接する位置の座標入力を検出した場合に、検出した第2の検出領域DA2の入力座標の周辺に存在する第1の検出領域DA1の一部を、入力無効領域IAに設定することとしたので、ユーザが操作している場合や手で把持して移動する場合に、ユーザの指がタッチパネル2に意図せずに触れた場合でも、その誤入力を防止することが可能となる。また、タッチパネル2は、操作入力で使用する検出領域を拡張して意図しないタッチ(お手つき)を検出する構成であるので、別途、意図しないタッチ検出用のセンサを設ける必要がなく、低コストな構成とすることができる。また、操作入力用のタッチと意図しないタッチのデータをCPU101(ドライバ112)で一元管理することができるため、ソフトウェア構成が簡単となる。
【0052】
(変形例)
図10は、タッチパネル2の構造の変形例を示す図である。上記実施例では、タッチパネル2の第1の検出領域DA1と第2の検出領域DA2を、透明導電体2a、2bでマトリクス状に構成することとしたが、図10に示すように、第2の検出領域DA2をストレート状の透明導電体2cのみで構成することにしてもよい。この場合、第2の検出領域DA2で検出される座標は、X座標またはY座標となるが、第2の検出領域DA2で検出されたX座標またはY座標と、第1の検出領域DA1で検出されたX座標またはY座標とを比較することで、検出座標が近接しているかを判断することができる。
【0053】
図11は、タッチパネル2の構成の変形例を示す図である。上記実施例では、第2の検出領域DA2を筐体11の額縁11aとの境界まで形成しているが、図11に示すように、第2の検出領域DA2を額縁11aとの境界まで形成しないで、額縁11aとの境界付近を、非検出領域NAとしてもよい。
【0054】
上記実施例では、スレートPCについて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、タッチパネルを備えた他の情報処理装置、例えば、ノート型PC、携帯端末、PDA、およびナビゲーション装置等にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明にかかる情報入力装置、その入力無効化方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、タッチパネルを備えた各種装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 情報入力装置
2 タッチパネル
3 表示部
4 座標検出部
5 入力無効領域判定・設定部
6 表示制御部
11 筐体
11a 額縁
12 回路基板
13 LCD
20 座標入力装置
21 ドライブ回路
101 CPU
102 ROM
103 メモリ
104 HDD(ハードディスク)
105 グラフィクスアダプタ
106 ディスクドライブ
108 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置において、
前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、
前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記第2の検出領域での座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定手段と、
を備えたことを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記入力無効領域設定手段は、前記検出手段が前記第2の検出領域で座標入力を検出し、さらに、前記第1の検出領域において、前記検出した前記第2の検出領域の入力座標と近接する位置の座標入力を検出した場合に、前記第1の検出領域を、前記入力無効領域に設定することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記入力無効領域設定手段は、前記検出した前記第1の検出領域または前記第2の検出領域の入力座標の周辺の前記第1の検出領域の一部を、前記入力無効領域に設定することを特徴とする請求項2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記第1および第2の検出領域は、水平方向および垂直方向に交差するマトリクスタイプのセンサで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記第1の検出領域は、水平方向および垂直方向に交差するマトリクスタイプのセンサで構成され、前記第2の検出領域は、水平方向または垂直方向に延在するタイプのセンサで構成されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報入力装置。
【請求項6】
表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置の入力無効化方法において、
前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、
前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出工程と、
前記検出工程で前記第2の検出領域で座標入力を検出した場合には、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定工程と、
を含むことを特徴とする情報入力装置の入力無効化方法。
【請求項7】
表示部上に設けられたタッチパネルに指をタッチすることによって座標入力可能な情報入力装置に搭載されるプログラムにおいて、
前記タッチパネルは、前記表示部の有効表示領域に対応する第1の検出領域と、当該第1の検出領域の周囲を囲う第2の検出領域とを有し、
コンピュータに、
前記第1の検出領域および前記第2の検出領域の座標入力を検出する検出工程と、
前記検出工程で前記第2の検出領域で座標入力を検出した場合には、前記第1の検出領域の一部または全部を、座標入力を無効とする入力無効領域に設定する入力無効領域設定工程と、
を実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−8923(P2012−8923A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146171(P2010−146171)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】