説明

情報処理システム

【課題】駅務機器の情報処理に優れた情報処理システムを提供すること。
【解決手段】券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記駅務機器で発生する処理情報を前記駅務機器からリアルタイムに収集する収集手段と、前記リアルタイムに収集した処理情報を一定時間毎にまとめて上位装置へ送信する送信手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、券売機、改札機、及び精算機などの駅務機器と、これら駅務機器に接続された情報処理装置とを備えた情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道などの交通機関には、券売機、改札機、及び精算機などの駅務機器が設置されており、これら駅務機器には集計処理装置が接続されている。これら駅務機器の上位装置にあたる集計処理装置は、これら駅務機器の売上や通過人数等のデータを受信し、集計処理を行なう(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−31727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した駅務機器においては、随時、運転データや判定プログラムの更新が発生し、この作業の負荷が大きく問題となっている。また、異常発生時の対策についても問題となっている。
【0005】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、駅務機器の情報処理に優れた情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の情報処理システムは、券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、前記情報処理装置は、前記駅務機器で発生する処理情報を前記駅務機器からリアルタイムに収集する収集手段と、前記リアルタイムに収集した処理情報を一定時間毎にまとめて上位装置へ送信する送信手段とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、駅務機器の情報処理に優れた情報処理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、運賃データ・判定プログラムDLLの課題を説明するための図である。
【図2】図2は、保守サーバを説明するための図である。
【図3】図3は、保守サーバの機能1(運賃データ・プログラムDLL)を説明するための図である。
【図4】図4は、保守サーバの機能1(運賃データ・プログラムDLL)を説明するための図である。
【図5】図5は、保守サーバの機能2(ログ収集)を説明するための図である。
【図6】図6は、保守サーバの機能2(ログ収集)を説明するための図である。
【図7】図7は、保守サーバの特徴1を説明するための図である。
【図8】図8は、保守サーバの特徴2を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、運賃データ・判定プログラムDLLの課題を説明するための図である。
【0011】
図1に示すように、ID系(標準化)については、センタ1、社局サーバ2、駅サーバ3、ID中継ユニット4、判定ICモジュール5により構成されている。一方、従来計(都度)については、運用系サーバ6、データ集計機7、監視盤8、自動改札機9を含む駅務機器により構成されている。駅務機器としては、例えば、自動改札機9だけでなく、自動券売機、窓口精算機、自動精算機などがある。
【0012】
IC相互利用に関する取り組みとして、ID系については高信頼性の機器を新規設置する。これは各事業者の都度要素の多い従来系に、極力影響しない仕組みを目指すためのである。
【0013】
ID系にて運賃データ・判定プログラムのDLL実現が困難となった現状を踏まえ、従来系に極力影響を与えない仕組みとする。
【0014】
課題としては、以下が挙げられる。
【0015】
1、運賃データ・判定プログラムのDLLをどのような仕組みで実現するか?
2、納期短縮
3、コスト低減
図2は、保守サーバを接続した情報処理システムの概要を説明するための図である。
【0016】
図2に示すように、ID系(標準化)については、センタ1、社局サーバ2、駅サーバ3、ID中継ユニット4、判定ICモジュール5、保守サーバ10により構成されている。一方、従来計(都度)については、運用系サーバ6、データ集計機7、監視盤8、自動改札機9を含む駅務機器により構成されている。
【0017】
ID中継ユニット4は、各駅務機器と通信する通信手段及び駅サーバ3などの上位装置と通信する通信手段を備える。このID中継ユニット4は、各駅務機器で発生する処理情報(収入データなどの1件明細データ)を各駅務機器からリアルタイムに収集し、このリアルタイムに収集した処理情報を一定時間毎にまとめて駅サーバ3などの上位装置へ送信する。
【0018】
保守サーバ10は、例えば、社局サーバ2及びID中継ユニット4に対して接続される。保守サーバ10は、駅務機器(ID中継ユニット4、窓口精算機、自動精算機、自動券売機等)に運賃データ・判定プログラムをDLLする。保守サーバ10は仕様標準化をはかり、共通機器として提供される。
【0019】
保守サーバの機能としては、以下が挙げられる。
【0020】
1、DLL
2、ログ収集
3、異常通知
4、メンテデータ収集
図3は、保守サーバの機能1(運賃データ・プログラムDLL)を説明するための図である。
【0021】
保守サーバ10は、光ディスク等の情報記憶媒体を読み取る読取手段、及びID中継ユニット4と通信する通信手段を備えている。ID中継ユニットは、保守サーバ10から送信される情報を受信し各駅務機器へ送信する中継手段を備えている。
【0022】
保守サーバ10は、媒体にて投入された運賃データ・プログラム(各駅務機器で必要なプログラム)を、各駅(A駅、B駅、…)に設置されたID中継ユニット4を経由して各駅務機器(判定ICモジュール5A、5B、自動精算機12、自動券売機13等)にDLLする。あわせて、保守サーバ10は、DLLの進捗を管理する。各駅務機器は、ID中継ユニット4を介して、保守サーバ10から送信されるプログラムに基づき動作する。
【0023】
図4は、保守サーバの機能1(運賃データ・プログラムDLL)を説明するための図である。
【0024】
保守サーバ10とID中継ユニット4の間および、ID中継ユニット4と各駅務機器間のI/Fは、KS拡張I/Fとし、共通仕様とする。
【0025】
図5は、保守サーバの機能2(ログ収集)を説明するための図である。
【0026】
保守サーバ10は、ID中継ユニット4が収集した駅務機器のログを収集する。ID中継ユニット4は、各駅務機器から定期的にログを収集し、一定容量を保持する。
【0027】
図6は、保守サーバの機能2(ログ収集)を説明するための図である。
【0028】
保守サーバ10とID中継ユニット4の間および、ID中継ユニット4と各駅務機器間のI/Fは、KS拡張I/Fとし、共通仕様とする。
【0029】
図7は、保守サーバの特徴1を説明するための図である。
【0030】
運賃データ・判定プログラムのDLLが可能となることで、改造作業の負荷が軽減可能である。また、異常検出時にログ収集・分析してから現地対応することが可能となる。
【0031】
図8は、保守サーバの特徴2を説明するための図である。
【0032】
新規に標準化された保守系の仕組みを構築することにより、従来系、ID系の仕組みに影響を与えない。また、ID中継ユニット4と駅務機器間のI/Fについては、ID中継ユニット−判定ICモジュール間I/Fにて既に定義された共通仕様を採用することで、仕様検討期間の削減が可能となる。さらに、ID中継ユニット4への開発インパクトをミニマムにできる。以上のことから、納期短縮を図ることができる。
【0033】
次に、回線負荷について検討する。
【0034】
保守サーバ10は、駅間のネットワークを介して駅に設置されているID中継ユニット4と通信する。ここで、判定ICモジュール5A、5Bにおける通信情報量をベースに、駅間のネットワーク負荷について検討する。
【0035】
前提条件は以下の通りである。
【0036】
1、システム構成
保守サーバ(センタ等):1台
ID中継ユニット接続台数(≒駅数):100台
DLLプログラム数:6種/駅
2、判定ICモジュール通信情報量(推測)
DLLデータ(運賃データ&プログラム):約15Mbyte(圧縮)
上記を前提とすると、
保守サーバ10からID中継ユニット4にDLLする合計サイズ(6種×15MB)≒100Mbyte
通信速度別の所要時間(理論値) 1Gbps:約1秒
100Mbps:約10秒
10Mbps:約100秒
回線の占有率を20%以下に抑えることを考慮して、上記所要時間を補正すると
通信速度別の所要時間(補正値) 1Gbps:約5秒
100Mbps:約50秒≒1分
10Mbps:約500秒≒10分
100台のID中継ユニットにDLL完了するための所要時間
1Gbps:約500秒≒10分
100Mbps:約100分≒1時間40分
10Mbps:約1000分≒16時間40分
以上より、駅間回線の通信速度:100Mbps以上を推奨とする。
【0037】
次に、保守サーバとの接続形態について検討する。
【0038】
つまり、常時接続とするか、都度接続とするかである。異常通知(拡張機能)まで実現するとなると、常時接続が必要となる。
【0039】
次に、保守サーバ拡張機能(将来対応)について検討する。保守サーバの機能3(異常通知)として、保守サーバ10は、ID中継ユニットが収集した駅務機器の異常を収集可能とする。
【0040】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0041】
以下、本願の原出願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0042】
(1)
券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記駅務機器で発生する処理情報を前記駅務機器からリアルタイムに収集する収集手段と、
前記リアルタイムに収集した処理情報を一定時間毎にまとめて上位装置へ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【0043】
(2)
券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された第1の情報処理装置と、この第1の情報処理装置に接続された第2の情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
前記第2の情報処理装置は、所定の駅務機器で必要なプログラムを取得し、所定の駅務機器で必要なプログラムを前記第1の情報処理装置へ送信する送信手段を備え、
前記第1の情報処理装置は、前記第2の情報処理装置から送信された所定の駅務機器で必要なプログラムを受信し、所定の駅務機器へ送信する中継手段を備え、
前記駅務機器は、前記第1の情報処理装置を介して、前記第2の情報処理装置から送信されるプログラムに基づき動作する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【0044】
(3)
前記第2の情報処理装置は、前記駅務機器におけるプログラム更新の進捗を管理することを特徴とする(2)に記載の情報処理システム。
【0045】
(4)
券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された第1の情報処理装置と、この第1の情報処理装置に接続された第2の情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
前記第1の情報処理装置は、前記駅務機器からログデータを定期的に収集し、一定容量のログデータを前記第2の情報処理装置へ送信する送信手段を備え、
前記第2の情報処理装置は、前記第1の情報処理装置からのログデータを収集する収集手段を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【符号の説明】
【0046】
1…センタ、2…社局サーバ、3…駅サーバ、4…ID中継ユニット、5…判定ICモジュール、6…運用系サーバ、7…データ集計機、8…監視盤、9…自動改札機、10…保守サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された第1の情報処理装置と、この第1の情報処理装置に接続された第2の情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
前記第2の情報処理装置は、所定の駅務機器で必要なプログラムを取得し、所定の駅務機器で必要なプログラムを前記第1の情報処理装置へ送信する送信手段を備え、
前記第1の情報処理装置は、前記第2の情報処理装置から送信された所定の駅務機器で必要なプログラムを受信し、所定の駅務機器へ送信する中継手段を備え、
前記駅務機器は、前記第1の情報処理装置を介して、前記第2の情報処理装置から送信されるプログラムに基づき動作する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記第2の情報処理装置は、前記駅務機器におけるプログラム更新の進捗を管理することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
券売機、改札機、及び精算機のうちの少なくとも一つの駅務機器と、この駅務機器に接続された第1の情報処理装置と、この第1の情報処理装置に接続された第2の情報処理装置とを備えた情報処理システムであって、
前記第1の情報処理装置は、前記駅務機器からログデータを定期的に収集し、一定容量のログデータを前記第2の情報処理装置へ送信する送信手段を備え、
前記第2の情報処理装置は、前記第1の情報処理装置からのログデータを収集する収集手段を備えたことを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−160217(P2012−160217A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−126369(P2012−126369)
【出願日】平成24年6月1日(2012.6.1)
【分割の表示】特願2007−95003(P2007−95003)の分割
【原出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】