説明

情報処理システム

【課題】 模擬試験の受験生にとってより多様且つ精度の高い合否判定情報を得ることの出来る情報処理システムの提供。
【解決手段】
出題項目に対応させた問題の複数からなる問題セットを用意し受験者それぞれによる問題セットに対する解答の正誤を得て記憶させる素結果記憶部と、問題のそれぞれに対応させた配点のセットである配点テーブルを記憶する配点テーブル記憶部と、配点テーブルに基づいて受験者のそれぞれの得点を計算し得点記憶部に記憶させる得点計算部と、得点の度数分布を集計する集計部と、を含む。配点テーブル記憶部は配点テーブルを少なくとも複数含み、得点計算部は配点テーブルのそれぞれに対して得点の計算を行うとともに、集計部は配点テーブル毎に対応する度数分布の集計を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種学校の入学試験の受験予定者に向けた一般的に公開テストと称される模擬試験の情報処理システムに関し、特に、大学入試における模擬試験の情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
小中学校、高校、大学及びその他各種学校毎にその入学希望者に向けて入学を許可するかどうかを判断するための入学試験が行われている。かかる入学試験は、基本的に各学校毎に1年に1回若しくは数回の非常に少ない回数だけ、且つ、ほとんどの学校において特定の時期に集中して一斉に実施されている。そこで、一般的に公開テストと称される模擬試験が学校以外の事業者によって数多く実施され、少ない受験機会となる入学試験の練習を希望する受験生や、入学許可を得られる可能性を判定し受験する学校を選択しようとする受験生がこれを利用している。
【0003】
ところで、模擬試験では、多くの受験生を集めて同じ問題についての解答を作成させ、その正誤などについて点数化し、総受験者に対する個々の受験生の相対的な順位や、全受験生の度数分布に対する個々の受験生の相対的位置、例えば、偏差値などの情報を提供している。かかる情報の提供にはコンピュータによる統計処理などを行う情報処理システムが利用され得る。
【0004】
例えば、特許文献1では、通信ネットワークを介して試験問題を送信し自宅などでこれに解答するオンライン型の模擬試験システムにおいて、相対的な学力評価情報を受験生に瞬時に提供できるシステムを開示している。詳細には、点数に対する偏差値及び総受験者中の順位等の相対評価情報が確定している試験問題を受験生の利用するパーソナルコンピュータ等の入出力端末に出力させ、これについて解答の正誤を得て点数化し、既に確定している相対評価に基づいた判定結果を受験者に提供する。ここで、受験対象となる各学校の合格率を偏差値に関連付けて記憶する合格率データファイルを予め用意しておくことで、受験生に志望校の入力を要求し、合格率データファイルにある該志望校に合格するのに必要とされる偏差値と該受験生の偏差値とを比較することで合否判定を行うことについて述べている。
【0005】
また、特許文献2及び3でも、受験生の入出力端末において実施した模擬試験の結果情報から合否判定情報などを入出力端末に返信するオンライン型の模擬試験システムが開示されている。特許文献2では、模擬試験は、受験生の選択した問題若しくはシステムによりランダムに選択された問題によって行われ、合否判定情報は、受験者毎に異なる問題による模擬試験であることを考慮した情報処理によって推定情報により提供される。すなわち、選択等された問題の平均難易度を算出しこれに対応する絶対得点を求めた上で受験生の疑似順位を推定している。更に、別途推定される学校毎の偏差値から合格ラインの絶対基準点を計算し、受験者の志望校における絶対基準点と絶対得点との差から合否判定を行っている。また、特許文献3では、過去に実施された複数の模擬試験の結果の集計に基づく合否判定を行う模擬試験システムを開示している。かかるシステムによれば、総合的な合否判定情報を提供できると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−91292号公報
【特許文献2】特開2002−72857号公報
【特許文献3】特開2004−126853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1乃至3におけるオンライン型の模擬試験システムに限定されず、模擬試験の情報処理システムでは、あらかじめ作成された問題と採点基準とに従って受験生毎の点数を集計し、これに基づいて統計処理を行って合否判定情報を提供している。受験生にとってこの合否判定情報は、より多様且つ精度の高いことが望まれるが、一般的に、総受験者に対する個々の受験生の相対的な順位や偏差値、これに基づいた志望校の過去の統計との比較による合否判定情報を提供されるにすぎない。また、以下に述べるような特定の学校の入学試験問題を模した模擬試験においても同様である。
【0008】
例えば、特定の学校を受験する予定の受験生を集め、該学校の入学試験問題を模した模擬試験なども広く行われている。かかる模擬試験では、受験生の母集団が実際の入学試験の母集団に近くなることが予測され、より精度の高い合否判定情報が得られることを期待される。一方、受験生を限定し母集団が小さくなるため、受験生によっては1回の模擬試験での合否判定情報における判定誤差が大きくなってしまうこともある。複数回に亘って同様の模擬試験を受験できればよいが、必ずしも可能とは限らない。更に、そもそもこのような模擬試験の実施が行われていない「特定の学校」を志望校としたい場合にあってはこのような模擬試験による合否判定情報も得られない。
【0009】
本発明は、上記したような状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、模擬試験の受験生にとってより多様且つ精度の高い合否判定情報を得ることの出来る情報処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による情報処理システムは、入学試験の受験予定者に向けた模擬試験の情報処理システムであって、出題項目に対応させた問題の複数からなる問題セットを用意し前記模擬試験の受験者それぞれによる前記問題セットに対する解答の正誤を得て記憶させる素結果記憶部と、前記問題のそれぞれに対応させた配点のセットである配点テーブルを記憶する配点テーブル記憶部と、前記配点テーブルに基づいて前記受験者のそれぞれの得点を計算し得点記憶部に記憶させる得点計算部と、前記得点の度数分布を集計する集計部と、を含み、前記配点テーブル記憶部は前記配点テーブルを少なくとも複数含み、前記得点計算部は前記配点テーブルのそれぞれに対して得点の計算を行うとともに、前記集計部は前記配点テーブル毎に対応する前記度数分布の集計を行うことを特徴とする。
【0011】
かかる発明によれば、各受験者毎に複数の配点テーブルに対応した多様な合否判定情報を得られるとともに、特定の学校の入学試験問題を模した模擬試験よりも数多く実施される一般的な模擬試験によって特定の配点テーブルに対応させた合否判定情報を複数回得られてより精度の高い合否判定情報を与えることとなる。
【0012】
上記した発明において、前記集計部は、前記配点テーブル毎に対応する前記度数分布に対して前記受験者毎の偏差値を計算することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、配点テーブルに対する絶対的な合否判定情報だけでなく、受験生の相対的な合否判定情報も得られるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的な模擬試験の採点フロー図である。
【図2】配点テーブルと得点の関係を説明する図である。
【図3】本発明による情報処理システムの構成を示す図である。
【図4】本発明による情報処理システムの処理フロー図である。
【図5】本発明による情報処理システムの要部の図である。
【図6】出題項目を説明する図である。
【図7】出題項目と基礎配点の関係を説明する図である。
【図8】各問題と出題項目の関係を説明する図である。
【図9】模擬試験結果の出力様式例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず、一般的な模擬試験の情報処理における採点フローについて、図1に沿って図2を参照しつつ説明する。
【0015】
模擬試験では、会場に受験生を集めて問題を記載した問題用紙と解答用紙とを配布し、各受験者に解答を作成させた後に解答用紙を回収する。つまり、各受験者に複数の問題からなる問題セットに対する解答を作成させる。その上で、図1に示すように、受験者の作成した解答を模範解答21と照合するなどして正誤判定を行う(S101)。このとき、正答であると判定される場合は、図2(a)に示すように、問題番号Q01に対応する「正誤」欄に「1」として、Q01が正答であったことを記録する。また、同様に、誤答であると判定される場合は、「0」として、誤答であったことを記録する。更に、解答に一部誤りを含む場合や、一部の情報が欠落する場合など、「部分点」と称される得点を与えようとする場合もある。例えば、正答の1/2の得点を付与しようとする場合は、「0.5」などのように、正答に対する得点の割合を考慮して、0〜1の間の数値を選択して正誤を記録する。
【0016】
次に、定められた配点テーブル11に従って得点計算を行う(S102)。詳細には、図2(a)に示すように、各問題番号に対応して定められた配点Aを配点テーブル11として採用し、これに従って問題毎に記録された正誤と配点とを乗算して各問題番号に対応する得点を算出する。これを全て加算して合計得点(Σ)を得る。図では、配点Aに従うと、合計得点は68点であった。このようにして、全ての解答についての合計得点を算出した後、合計得点の度数分布を集計し(S103)、これに基づいて各受験者の偏差値を算出する(S104)。一般に、模擬試験の情報処理においては、このように1つの定められた配点テーブルに従って合計得点を算出し、これに基づいて志望する大学や学部などの志望校についての合格可能性などの合否判定情報を作成している。例えば、全受験者における特定の受験者の順位や、特定の大学を志望する受験者の中における順位から、志望する大学の過去の合格実績、合格、不合格統計などを考慮して合格可能性等の情報を作成するのである。
【0017】
ところで、例えば、図2(b)に示すように、得点計算(S102)において配点Aとは異なる配点Bに従って得点を計算した場合、当然ながら、同一の解答であっても合計得点は異なり得る。例えば、より配点の高い問題に誤答が多いと合計得点は低く、逆に、正答が多いと合計得点は高くなるのである。つまり、図2に示すように、配点Aでの合計得点が68点であっても、配点Bに従うと合計得点は46点となるのである。これらの合計得点を集計した度数分布や偏差値も、配点テーブル11として配点Aを用いた場合と配点Bを用いた場合とで異なる結果となるのである。
【0018】
特定の学校や学部などの過去の入学試験の出題傾向に基づいて、多数の入学試験対策用の参考書等が多数出版されているように、入学試験では、学校や学部毎に独自の出題傾向を有することは周知の如く出る。つまり、自ずと配点も出題傾向に関連して独自の傾向を有している。つまり、仮に、複数の学校の入学試験で同一の問題セットが出題され、これに対して同じ解答をしたとしても、学校毎に合計得点は異なることになるのである。
【0019】
本願発明者は、上記したような観点において、模擬試験の情報システムについての変更を鋭意考慮した上で以下のような着想を得た。
【0020】
次に、本発明による情報処理システムについて、図3を用いて詳細を説明する。
【0021】
図3に示すように、情報処理システム1は、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置を情報処理システム1として動作させるための処理プログラムを実行する制御部10を有する。情報処理システム1は、更に、制御部10に接続される記憶装置30を有し、キーボード52や図示しないマウスなどの各種入力手段と、モニタ51及びプリンタ53などの各種出力手段と、これらを制御部10に接続するための入出力インターフェース50とを備える。
【0022】
記憶装置30は、例えばハードディスクであり、素結果記憶部31と、配点テーブル記憶部32と、大学別入試情報記憶部33と、得点記憶部34とを、それぞれのデータを記憶するデータベース領域として備えている。
【0023】
素結果記憶部31は、模擬試験の解答に対して正誤判定を行った結果である素点を各問題に対応させて解答の識別符号毎に記憶する記憶装置30上の領域である。素点としては、正誤判定の結果に応じた0〜1の範囲の値が記憶される。
【0024】
配点テーブル記憶部32は、後述する配点テーブル32−1、32−2、32−3…(図5参照)を模擬試験の実施に先立って予め記憶する記憶装置30上の領域である。配点テーブル32−1…は、模擬試験において出題される各問題に対応して定めた配点について、問題番号毎に記録したテーブルである。かかる配点テーブル32−1、32−2、32−3…は、後述するように学校や学部の入学試験の出題傾向に応じて作成されている。
【0025】
大学別入試情報記憶部33は、配点テーブルを作成するために用いられる入試情報を記憶した記憶装置30上の領域である。入試情報は、過去の入学試験において出題された問題に基づくなどして学校や学部毎に予め作成されている。
【0026】
得点記憶部34は、素点と配点テーブルに基づいて算出された得点を解答毎に合計して得られた合計得点を、解答の識別符号と得点の算出に使用された配点テーブルとに関連付けて記憶する記憶装置30上の領域である。
【0027】
次に、情報処理システム1の使用方法について、図4に沿って、図5を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
情報処理システム1の使用に先立って、まず模擬試験を実施し、複数の問題からなる問題セットに対して各受験者から解答を得る。かかる解答は、各受験者を識別するための識別符号を付されて、解答用紙などの紙媒体や電子媒体に記録されている。更に、受験者からは志望する大学や学部などに関する志望校情報を得ておき、解答と共に記録しておく。情報処理システム1の使用にあたっては、採点者によって処理プログラムが起動され、これに従って制御部10が動作する。
【0029】
図4に示すように、まず、制御部10は、採点者による各受験者の解答についての正誤入力を外部より受け付けさせる(S1)。採点者は模範解答を含む採点基準に従い各解答について問題毎の正誤を判定する。採点基準は模擬試験の問題セットの作成とともに問題毎について作成され、正答と判定する基準及び部分点を与える場合の基準について定められていることが好ましい。採点者により正答と判定された場合には「1」が、誤答と判定された場合には「0」がそれぞれ素点としてキーボード52などにより入力される。部分点を与えると判定された場合には、採点基準に従って0〜1の間の数値が採点者により選択され入力される。入力された素点は、識別符号と各問題に対応する問題番号とに関連付けて、素結果記憶部31に記憶される。
【0030】
次に、制御部10は、配点入力を受け付けさせる(S2)。図5を併せて参照すると、配点入力では、予め配点テーブル記憶部32に記憶されている複数の配点テーブル32−1、32−2、32−3…の中から、所定に選択され、若しくは、受験者の志望校情報から選択される。ここでは、志望校への合格可能性などの合否判定情報を得るために適した配点テーブルが選択されるよう、予め志望校と配点テーブルとの対照表を採点者に与えて採点者がそれぞれ選択してもよい。また、志望校情報を予め記憶装置30に記憶しておき、これに基づき制御部10が配点テーブルを選択してもよい。配点テーブルの作成方法については後述する。
【0031】
続いて、制御部10は得点計算を行わせる(S3)。ここでは、素結果記憶部31に記憶されている素点と、選択された配点テーブルの配点とを問題毎に積算し、各問題に対応する得点を算出する。更に、識別符号毎に、すなわち解答毎に全ての問題の得点を加算して、問題セットに対する合計得点を得る。合計得点は、選択された配点テーブル及び識別符号に関連付けて得点記憶部34に記憶される。なお、1人の受験者が複数の志望校を有する場合などにも対応し得るよう、1つの解答に対して複数の配点テーブルを選択し、それぞれに対応した合計得点を算出してもよい。
【0032】
全ての解答に対する得点計算が終わったら、制御部10は度数分布集計を行う(S4)。ここでは、選択された配点テーブルの同一である合計得点を集計し、配点テーブル毎に度数分布を作成する。
【0033】
更に、制御部10は、度数分布に基づいて配点テーブル毎に各解答の偏差値を算出し、識別符号及び配点テーブルに関連付けて得点記憶部34に記憶させて、情報処理を終了する。偏差値を算出することで、受験者同士の相対的な評価をすることができる。
【0034】
このようにして得られた偏差値や合計得点の度数分布の中での順位などに基づいて、受験者の志望する学校や学部などへの合格可能性等の精度の高い合否判定情報を得ることができる。また、1回の模擬試験で得られる素点に基づいて複数の配点テーブルに基づく多様な合否判定情報を得ることもできる。つまり、受験者は1回の模擬試験を受けるだけで、複数の志望校の合否判定情報を得ることができる。そして、特定の学校を受験する予定の受験者を集めて実施されるような模擬試験の行われていない学校を志望する場合にも、精度の高い合否判定情報を得ることができる。
【0035】
ここで、配点テーブル32−1…の作成方法について図6乃至図8を用いて説明する。配点テーブル32−1…は模擬試験の実施に先立って予め、若しくは、事後的に作成され得る。
【0036】
図6に示すように、複数の出題項目を列挙した出題項目一覧表41を作成する。この出題項目一覧表41は、学習指導要領や過去の入学試験の出題などに基づいて作成され得て、入学試験において出題される可能性のある問題の内容を細分化した出題項目の内容を項目番号と対応させて作成されている。出題項目は、例えば、数学の因数分解に関して、素因数分解、多項式の因数分解などの内容に細分化することができる。また、出題項目一覧表41は記憶装置30の大学別入試情報記憶部33に記憶される。
【0037】
更に、図7に示すように、出題項目の項目番号と基礎配点との対応を示す一覧表である入試情報42−1、42−2、42−3…を作成する。入試情報42−1…は、各大学の学部など、志望校毎に作成される。例えば、各志望校において過去の入学試験に出題された問題に含まれる出題項目を出題項目一覧表41に従って抽出し、抽出された頻度や入学試験での配点などに基づいて出題項目毎に基礎配点を定めるのである。出題頻度の高い出題項目については基礎配点を高く設定するとよい。基礎配点は出題傾向の近年の変化や出題形式の変更などに基づいて適宜修正し得る。つまり、入試情報42−1…は、志望校の入学試験における各出題項目の重要性に応じて基礎配点を付与されるのである。入試情報42−1…は大学別入試情報記憶部33に記憶される。
【0038】
次に、図8に示すように、模擬試験において出題される問題のそれぞれに含まれる出題項目を抽出し、これに対応する項目番号を問題番号毎に記録した出題項目番号一覧表43を作成する。出題項目番号一覧表43は、配点テーブル記憶部32に記憶される。更に、入試情報42−1に基づいて、出題項目番号一覧表43に挙げられた項目番号に対応する基礎配点を問題番号毎に合計し、この合計に基づいた配点比率になるよう問題番号毎に配点を定めて配点テーブル32−1を作成する。同様に入試情報42−2の基礎配点に基づき配点テーブル32−2を作成し、以下同様の手順で配点テーブル32−3…を作成する。
【0039】
このようにして配点テーブル32−1…を作成することで、情報処理システム1により得られた度数分布や偏差値は、各大学や学部などの志望校の過去の出題傾向に沿った配点に基づいて得ることになる。よって、この度数分布や偏差値に基づいて、より精度の高い合否判定情報を得ることができるのである。
【0040】
配点テーブル32−1の作成については、更に多数の方法を採用し得る。また、配点テーブル32−1…は、受験者の志望校情報に対応できるように配点テーブル記憶部32に記憶されていればよく、必ずしも上記したような過去の出題傾向に基づいたものでなくともよい。また、志望校毎に配点テーブルを作成するのではなく、過去の出題傾向に基づくなどして志望校を複数のグループに分け、グループ毎に配点テーブルを作成すると、比較的簡単に合否判定情報の精度を向上させることができる。この場合、度数分布の集計は配点テーブル毎ではなく志望校毎に行うとよい。
【0041】
なお、図9に示すように、各配点テーブルによる合計得点やこれに基づく合否判定情報などを表示した模擬試験結果55を識別符号毎にプリンタ53などから出力させることもできる。模擬試験結果55は、識別符号に対応する受験者の志望する志望校毎に修正された合計得点(修正得点)、すなわち志望校に基づいて選択された配点テーブルに基づいた合計得点、志望者の数と順位、偏差値、これに基づいた合否判定情報(適正評価)などを表示している。また、配点入力(S2)により選択された配点テーブルとは別に、標準とする配点テーブルを作成しておき、これに基づいて算出した合計得点を元に順位や偏差値を表示するようにしてもよい。この標準とする配点テーブルは、例えば理系と文系とで分けることなどもできる。
【0042】
なお、合計得点を集計した後に志望校を追加し、追加の合否判定情報を得ることもできる。この場合、既に得られている素点に基づき、追加した志望校に合わせて配点テーブルを選択して上記と同様に合計得点を算出し、既に作成されている度数分布の中での順位や偏差値を得るのである。模擬試験の受験者の多数が志望校を追加したり変更したりする場合などには、既に得られている素点に基づき、配点入力(S2)から度数分布集計も含めて情報処理をやり直してもよい。
【0043】
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【符号の説明】
【0044】
1 情報処理システム
10 制御部
30 記憶装置
31 素結果記憶部
32 配点テーブル記憶部
33 大学別入試情報記憶部
34 得点記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入学試験の受験予定者に向けた模擬試験の情報処理システムであって、
出題項目に対応させた問題の複数からなる問題セットを用意し前記模擬試験の受験者それぞれによる前記問題セットに対する解答の正誤を得て記憶させる素結果記憶部と、
前記問題のそれぞれに対応させた配点のセットである配点テーブルを記憶する配点テーブル記憶部と、
前記配点テーブルに基づいて前記受験者のそれぞれの得点を計算し得点記憶部に記憶させる得点計算部と、
前記得点の度数分布を集計する集計部と、を含み、
前記配点テーブル記憶部は前記配点テーブルを少なくとも複数含み、前記得点計算部は前記配点テーブルのそれぞれに対して得点の計算を行うとともに、前記集計部は前記配点テーブル毎に対応する前記度数分布の集計を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記集計部は、前記配点テーブル毎に対応する前記度数分布に対して前記受験者毎の偏差値を計算することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−89193(P2013−89193A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232131(P2011−232131)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(502194735)株式会社教育測定研究所 (10)