情報処理機器室の空調システム
【課題】室内に設置した冷気の吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、また冷気の風速が速くても情報処理機器を収容した各ラックへ冷気を過不足なく行き渡らせることができる空調システムを提供することを課題とする。
【解決手段】情報処理機器を収容したラック102が整列する情報処理機器室103の空調システム100であって、前記情報処理機器室103内に設置される、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラック102へ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材111U,111Sと、を備える。
【解決手段】情報処理機器を収容したラック102が整列する情報処理機器室103の空調システム100であって、前記情報処理機器室103内に設置される、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラック102へ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材111U,111Sと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器室の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展に伴い、情報処理機器の発熱量は増大の一途を辿っている。これに伴い、情報処理機器を冷却する情報処理機器室の空調システムの処理量も増大しており、情報処理機器を効率的に冷却できる空調技術の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、遮蔽板や整流材で空気の流れを調整する情報処理機器室の空調システムが開示されている。また、特許文献3,4には、サーバ室のラック間にある通路を冷気が流れるゾーンと暖気が流れるゾーンとに分けた情報処理機器室の空調システムが開示されている。また、特許文献5には、床に設けた各吹出口にフィルタを設けることで吹出風量のばらつきを抑える情報処理機器室の空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−109045号公報
【特許文献2】特開2010−54095号公報
【特許文献3】特開2010−43817号公報
【特許文献4】特開2008−185271号公報
【特許文献5】特許第3365526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データセンタ等の大規模な情報処理設備においては、情報処理機器を収容したラックが室内に多数並べられている。各情報処理機器へ冷気を過不足なく行き渡らせるためには、ラック列に沿って流れる冷気の流速が適切に調整される必要がある。流速が遅い場合には冷却に必要な量の冷気が確保できない虞があり、流速が速い場合には静圧の低い部位が部分的に生じたり渦や乱流が生じたりし、場合によっては暖排気が部分的に冷気供給側に流出する虞があるためである。また、ラック列に沿って流れる冷気の流速は、冷気が吹出る吹出口とラック列との位置関係によっても左右されるため、建物の構造等の様々な制約によって十分な空調風量を確保できない場合がある。
【0006】
そこで、本願は、室内に設置した冷気の吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、また冷気の風速が速くても情報処理機器を収容した各ラックへ冷気を過不足なく行き渡らせることができる情報処理機器室の空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室内に設置される吹出口から吹出る冷気を受けて、吹出口からラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材を備える。
【0008】
詳細には、情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室の空調システムであって、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方または上方から該ラックへ向けて開口した、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材と、を備える。
【0009】
上記整流部材は、冷気が吹出す吹出口からラックへの冷気の流通経路の間に通気抵抗を与えて冷気の流速を調整するものであり、各ラックの吸気面に冷気が概ね均等に吸い込まれるように、ラック列の吸気面側を流れる冷気の流れを整える。この整流部材は、例えば、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路の吹出口側に設置されることにより、吹出口からラックへの冷気の流通経路の間に通気抵抗を与える。吹出口からラックの吸気面への流通経路の間に、このような整流部材を設けることにより、吹出口から整流部材までの経路が仮想的なプレナムチャンバーとして機能し、整流部材の下流側の冷気の流れが整う。これにより、吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、流速の影響を緩和し、各ラックへ冷気が過不足なく行き渡ることになる。
【0010】
また、前記整流部材は、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する、前記吹出口から該通路へ向けて吹出る冷気を受けるものであってもよい。ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する冷気は、通路の上流側のラックの吸気面で静圧の低い領域が生じやすい。しかしながら、吹出口から通路へ向けて吹出る冷気を整流部材が受けていれば、下流側への冷気の過剰な供給が抑制され、このような通路の上流側のラックの吸気面における静圧の不足が防止される。
【0011】
また、前記情報処理機器室に整列するラック列は、ラックが間隔を空けて整列している場合、前記吹出口は、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方から該ラックへ向けて開口しており、前記整流部材のうち少なくとも一部は、間隔を空けて配置されたラック間を覆ってもあってもよい。間隔を空けて配置されたラック間を覆うように整流部材を設ければ、間隔を詰めてラックを配置した場合に比べて、整流部材によって流速が調整される冷気の風道の面積が大きい。これにより、整流部材に到達する直前の流速のバラつきを抑えることができる。よって、気流の高速化を防止して、各ラックに必要な冷気を低速で供給することができる。冷気が低速になると、渦流や低圧域の発生が防止されるので、ホットアイルの高温空気がラック内を逆流して情報処理機器が冷却されなくなる虞がない。
【0012】
また、前記整流部材は、通気抵抗が、前記吹出口の動圧に対する静圧の割合で5〜30であれば、吹出口から吹出る冷気の速度が実用的範囲内に調整され、各ラックへ冷気が過不足なく行き渡る。
【0013】
また、前記情報処理機器室の空調システムは、前記吹出口から吹出た前記ラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路と、該ラックから排出された排気が流れる経路とを仕切る仕切部材を更に備えるものであってもよい。吹出口から吹出たラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路が、ラックから排出された排気が流れる経路と仕切られていれば、排気が流れる経路に吹出口から吹出る冷気が流れ込まないので、ラックに吸込まれずにそのままホットアイルに流出するバイパス流れがなくなって送風動力の無駄がなくなり、整流部材によって整流された冷気がラック内へ吸い込まれやすくなる。
【0014】
また、前記冷気が流れる経路は、前記情報処理機器室内に形成され、前記排気が流れる経路は、排気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路と、前記情報処理機器室の天井裏に形成される空間内とに形成されるものであってもよい。このような情報処理機器室の空調システムであれば、情報処理機器室内の空間の多くを、吹出口から吹出た冷気の流速の調整経路として割り当てることができるため、吹出口から吹出る冷気の風量が増大しても、ラック列の吸気面側を流れる冷気の流れを十分に整えることができる。
【発明の効果】
【0015】
室内に設置した冷気の吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、また冷気の風速が速くても情報処理機器を収容した各ラックへ冷気を過不足なく行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図2】還気が流れる経路を示した図である。
【図3】整流材の据え付け状態の拡大図である。
【図4】冷気が流れる経路を示した図である。
【図5】冷気の速度と静圧との関係をプロットしたグラフである。
【図6】動圧に対する静圧の割合と最小速度比との関係をプロットしたグラフである。
【図7】第一実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図8】冷気が流れる経路を示した図である。
【図9】第二実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図10】還気が流れる経路を示した図である。
【図11】冷気が流れる経路を示した図である。
【図12】第三実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図13】還気が流れる経路を示した図である。
【図14】冷気が流れる経路を示した図である。
【図15】第三実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図16】冷気が流れる経路を示した図である。
【図17】第一実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図18】ラックを間引いた部分の拡大図である。
【図19】各ラックを互いに間隔を空けて整列させた場合の例を示す図である。
【図20】ラックを間引いた部分の変形例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、第一実施形態に係る情報処理機器室の空調システム100を配置したデータセンタ101の構成図である。データセンタ101には、図1に示すように、各種の演算処理やデータベースの管理を行なうサーバや通信機等の情報処理機器が収容されたラック102がサーバールーム103に多数並んでいる。また、サーバールーム103には、各ラック102へ供給する冷気を生成する空調ユニット104が多数設けられている。各空調ユニット104は、サーバールーム103の片隅に配置されており、図1では左側に配置されている。なお、各空調ユニット104の位置は、サーバールーム103の片隅に限定されるものではないが、ラック102の吸気面へ流れる冷気の流速が各ラック102で互いにばらつくような位置であれば、本願発明の機能がより効果的に発揮される。
【0018】
各ラック102には、情報処理機器を冷却する冷却ファンが設けられており、ラックの正面あるいは背面の何れかが吸気面となり、他方が排気面となるように構成されている。各ラック102の中の情報処理機器の冷却ファンは、ラック内に収容されている情報処理機器の負荷状態や吸込み温度に応じて時々刻々と変化するように回転数が制御されるものであってもよいし、一定の回転数で動くものであってもよい。なお、情報処理機器が据え付けられていない等の理由により、ラック102内や隣接するラック102間に隙間があるような場合は、暖気の回り込みを防ぐようなパネル等で隙間を防ぐことが好ましい。
【0019】
空調ユニット104は、クーリングコイルと電動ファンとを内蔵し、サーバールーム103の空気を冷やす。ここで、本実施形態に係るデータセンタ101では、各ラック102がコンクリートスラブ105Bによって形成される床面106に据え付けられている。よって、床面106の下にはいわゆる床下空間が無い。一方、コンクリートスラブ105Uとサーバールーム103との間には、天井ボード107が設けられており、二重天井構
造になっている。そこで、空調ユニット104は、図2に示すように、上面に設けられた開口より、天井ボード107とコンクリートスラブ105Uとの間に形成される天井裏の空間108Uから各ラック102の排気を吸引して冷却する。そして、各ラック102が整列したラック列109の端部側壁から見て正面(例えば、サーバールーム103の内壁近傍)に設けられた吹出口より、冷却した空気をサーバールーム103内へ送る。なお、空調ユニット104は、コイルとファンがそれぞれ別のケーシングに納まり、両者がダクトで接続されたものであってもよい。また、空調ユニット104は、天井吊り下げ式あるいは天井埋め込み式であってもよいし、別室に据え付けて吹出口だけダクトでサーバールーム103まで延長してもよい。この場合、空調ユニット104の吹出口は、天井ボード107に設けられ、天井から吹出すようになっていてもよい。
【0020】
データセンタ101は、各ラック102へ冷気が効率的に供給されるよう、一つのラック列109を構成する各ラック102の吸気面と排気面の向きが揃えられている。そして、対峙する2つのラック列109が、共に吸気面あるいは排気面で向き合うように配置される。各ラック102がこのように設置されていることにより、各ラック列109の間には、冷気が流れる通路と暖気が流れる通路とが交互に形成されることになる。以下、吸気面が向かい合う一対のラック列109に囲まれた、冷気が流れる通路をコールドアイルCといい、排気面が向かい合う一対のラック列109によって囲まれた、暖気が流れる通路をホットアイルHという。
【0021】
一つのホットアイルHを挟む2つのラック列109の両端間や、ラック列109と天井ボード107との間には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板110が設けられている。この仕切板110は、空気の流れを遮蔽する。なお、各ラック102の高さが天井ボード107と同じ高さである場合、ラック列109と天井ボード107との間に配置される仕切板110は不要である。天井ボード107のうちホットアイルHの上側の部分は開口しているため、仕切板110によって囲まれたホットアイルH内の暖気は、コールドアイルC側へ回り込むことなく天井裏の空間108Uへ流れることになる。
【0022】
また、一つのコールドアイルCを挟む2つのラック列109の両端のうち、空調ユニット104が配置されている側の端部には、空調ユニット104の吹出口から吹出る冷気を受けて、吹出口から各ラック102へ流れる冷気の流速を調整する整流材111Sが設けられており、2つのラック列109の上端部には整流材111Uが設けられている。整流材111U,111Sの据え付け状態の拡大図を図3に示す。ここでは、2つのラック列109の間のコールドアイルCは、床面は床材で閉塞され、上側と左端側は対向するラック列109の揃えられた側端面と天面を跨ぐ形で整流体としてのメッシュが配設されている。空調ユニット104の吹出口から遠く離れているために冷気の流速が遅く、静圧の不足等が問題にならないコールドアイルCの右端側は、整流材111Sが省かれている。このため、空調ユニット104の吹出口から出た冷気は、その多くが吹出口側の整流材111Sを経てラック列109間のコールドアイルC内へ流入するが、整流材111Sを通過しなかった冷気がラック列109や整流板Uの上側と天井ボード107の下側との間にある空間を通り抜けるため、整流材111Sが設けられている側と反対側のコールドアイルCの他端側(図1でいう右側)では2方向の冷気の混合が生じる。整流材111U,111Sは、空調ユニット104から吹出る空気の流速が速い事により、ラック102の吸気面側で静圧が低下したり乱流が形成されたりしてラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐ目的で設置されるものであり、図4に示すように、コールドアイルCへ略均一の流量の冷気が流れるようにするものである。整流材111U,111Sは、空調ユニット104からコールドアイルCへ流れる冷気の通路に通気抵抗を生じさせ得るものであればよく、例えば、ルームエアコンなどで用いられているフィレドンフィルタやサランネットといった網状の整流材や、各種フィルタやパンチング板、金網、布、或いはこれらの積層体、並びに空調の吹出し口等に用いられるレジスタ等の整流板類を適用できる。ル
ームエアコンなどで用いられているフィレドンフィルタやサランネットといった網状の整流材であれば、軟質なので施工性にも優れる。整流部材として如何なる材質のものを適用するかは、要求される強度や空調ユニットの風量、冷気の流速などに応じて適宜決定する。
【0023】
なお、整流材111U,111Sは、通気抵抗が、動圧(空調ユニットの吹出口)に対する静圧の割合で5〜30程度になるようなものを選定することが好ましい。その理由は次の通りである。
【0024】
整流材を通過する冷気の速度分布の形状は、実用的範囲の場合、静圧と動圧の比が一定であれば流速に関わらず概ね相似であり、換言すると、整流材を通過する冷気の速度分布の形状は、静圧と動圧との比により定まる。ここで、空調ユニット104の吹出口から整流材111U,111Sまでの空間を管路の連続分岐管と考え(以下、この空間を仮想プレナムチャンバーという)、この空間内の摩擦等の損失を無視すると次式が成り立つ。
【数1】
【0025】
上記数式(1),(2)から逐次計算することにより、任意の位置における吹出速度と静圧の分布を求めることができる。これに整流材の抵抗係数を加味し、寸法を任意に設定した仮想のプレナムチャンバーについて冷気の速度と静圧との関係を、動圧に対する静圧の割合(Pr)毎に算出し、計算結果をプロットしたグラフを図5に示す。ここで、図5のグラフにおいて、縦軸として示す速度比とは冷気の平均速度に対する特定位置における速度の割合(速度比=位置の速度/平均速度)であり、横軸として示す距離比とは全長に対する特定位置の割合(距離比=位置/全長)である。従って、距離比0〜1の範囲の何れにおいても速度比が1に近ければ速度のばらつきが小さいということになる。図5に示されるように、動圧に対する静圧の割合が小さい場合(すなわち、Prの値が小さい場合)は冷気の吹出し速度のばらつきが大きく、動圧に対する静圧の割合が大きい場合(すなわち、Prの値が大きい場合)は冷気の吹出し速度のばらつきが小さくなることが判る。このことから、動圧に対する静圧の割合を高めれば高めるほど、整流材を通過する冷気の速度分布が均一に近づき、コールドアイルCの冷気の流れが整うことが判る。
【0026】
ここで、本実施形態に係る空調システム100において実用上妥当な、整流材に必要な通気抵抗を決定するため、横軸を動圧に対する静圧の割合(Pr)とし、縦軸に最小速度比をプロットしたグラフを図6に示す。ここで、最小速度比とは、距離比0〜1の範囲において最も小さい速度比の値である。図6に示されるように、最小速度比は、動圧に対する静圧の割合(Pr)が10未満においては割合が増えるにつれて急上昇し、10から30の間で徐々に緩やかになり、30よりも大きくなると緩やかに上昇していくことが判る。この結果から、動圧に対する静圧の割合(Pr)が10未満においては通気抵抗が小さすぎ、30より大きい場合には通気抵抗が大きすぎることが判る。よって、整流材は、通気抵抗が動圧(空調ユニットの吹出口)の5〜30倍程度、より好ましくは10〜30倍程度になるようなものを選定することが好ましいことが判る。なお、通気抵抗による差圧で整流材等に異常が生じないよう、空調ユニットのファンの回転数等を差圧に応じて制御してもよい。もっとも、最小速度比は、0.9以上あれば十分であるため、動圧に対する静圧の割合(Pr)が5以上もあれば実用上差し支えない。
【0027】
本実施形態に係る空調システム100であれば、空調ユニット104から吹出た冷気の流れが整流材111U,111Sによる通気抵抗によって調整され、各ラック102内に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット104の吹出し口を任意の位置に配置できる。また、吹出し口の面積を拡大させることも可能であり、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。
【0028】
図7は、第一実施形態に係る空調システム100の変形例である。上述した実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材111Uによって全面的に覆われていた。しかし、整流材111U,111Sは、空調ユニット104から吹出る空気の流速を抑えて各ラック102の吸気面側で静圧が低下したり乱流が形成されたりしてラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐ目的で設置されるものであるため、図7に示すように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット104に近い部分のみを整流材111Uで覆うようにしてもよい。整流材111UがコールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット104に近い部分のみを覆う構成であっても、図8に示すように、空調ユニット104の吹出口から各ラック102の吸気面へ流れる冷気の流速が抑えられて、ラック102の吸気面側における静圧の低下や乱流の発生が防止され、ラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐことができる。
【0029】
図9は、第二実施形態に係る空調システム200を配置したデータセンタ201の構成図である。データセンタ201には、第一実施形態に係るデータセンタ101と同様、ラック202がサーバールーム203に多数並んでおり、サーバールーム203には空調ユニット204が設けられている。また、省略される整流材111Sは、空調ユニット204の吹出口と反対側のラック列209間の部分であり、コールドアイルCの通路を冷気が反対側の壁面に向けて吹き抜ける(すなわち、図9における左方向)態様である。
【0030】
空調ユニット204は、第一実施形態に係る空調ユニット104とほぼ同様であるが、吸込み側が一部異なる。本実施形態に係るデータセンタ201は、天井ボード207によって二重天井構造になっている他、ラック102が据え付けられている床面206とコンクリートスラブ205Bとの間に空間208Bが形成され、二重床構造になっている。そこで、本実施形態では、図10に示すように、空調ユニット204の上面に設けられた開口より天井裏の空間208Uから各ラック202の排気を吸引して冷却し、第一実施形態に係る空調システム100に加えて、床面206を構成する網目状のグレーチングより床下の空間208BからコールドアイルCへ冷気が流れる構成を採っている。床面206のうち、コールドアイルCの床面部分には、整流材211Bが取り付けられている。従って、床下の空間208BからコールドアイルCへ流入する冷気についても整流される。
【0031】
本実施形態に係る空調システム200は、天井裏の空間208Uのみならず床下の空間208Bも利用している点以外、第一実施形態に係る空調システム100と同様である。この空調システム200であれば、空調ユニット204から吹出た冷気の流れが整流材211U,211S,211Bで調整され、図11に示すように各ラック202に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット204の吹出し口を任意の位置に配置できる。よって、吹出し口の面積を拡大させまたは多方向に複数個設けることも可能であり、または空調ユニット204に限らず空調システム200全体の給気能力を増強し、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。
【0032】
なお、上述した第二実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材211Uによって全面的に覆われていたが、第一実施形態の変形例として図7でも示したように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット204に近い部分のみを整流材211Uで覆うようにしてもよい。
【0033】
図12は、第三実施形態に係る空調システム300を配置したデータセンタ301の構成図である。データセンタ301には、第一実施形態に係るデータセンタ101や第二実施形態に係るデータセンタ201と同様、ラック302がサーバールーム303に多数並んでおり、サーバールーム303には空調ユニット304が設けられている。
【0034】
空調ユニット304は、第一実施形態に係る空調ユニット104とほぼ同様であるが、吸込み側が一部異なる。本実施形態に係るデータセンタ301は、ラック302が据え付けられている床面306とコンクリートスラブ305Bとの間に空間308Bが形成されて二重床構造になっているが、天井ボードが設けられていないため二重天井構造にはなっていない。そこで、本実施形態では、図13に示すように空調ユニット304が下面に設けられた開口より床下の空間308から各ラック302の排気を吸引して冷却する構成を採っている。
【0035】
ホットアイルHの床面306には、人等の通行を可能にしつつホットアイルHの空気が床下の空間308Bへ流れるように網目状のグレーチング312が各ラック302の排気面が対向する空間の床に設置されている。また、一つのホットアイルHを挟む2つのラック列309の両端間や上端間には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板310が設けられている。この仕切板310は、ホットアイルHの暖気がコールドアイルCへ流れないよう、空気の流れを遮蔽する。ホットアイルHの床はグレーチング312によって床下の空間308Bと連通しているため、仕切板310によって囲まれたホットアイルH内の暖気は、コールドアイルC側へ回り込むことなく床下の空間308Bへ流れることになる。
【0036】
本実施形態に係る空調システム300は、天井裏の空間の代わりに床下の空間308Bを利用している点以外、第一実施形態に係る空調システム100と同様である。この空調システム300であれば、空調ユニット304から吹出た冷気の流れが整流材311U,311Sで調整され、図14に示すように各ラック302に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット304の吹出し口を任意の位置に配置できる。よって、吹出し口の面積を拡大させることも可能であり、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。なお、空調ユニット304を床下に設け、床面306に設けた吹出口から冷気が吹出るようにしてもよい。
【0037】
なお、上述した第三実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材311Uによって全面的に覆われていたが、図15に示すように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット304に近い部分のみを整流材311Uで覆うようにしてもよい。整流材311UがコールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット304に近い部分のみを覆う構成で
あっても、図16に示すように、空調ユニット304の吹出口から各ラック302の吸気面へ流れる冷気の流速が抑えられて、ラック302の吸気面側における静圧の低下や乱流の発生が防止され、ラック302内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐことができる。
【0038】
なお、各実施形態について、整流材はラック列の上端や側端に揃えずに、通路の長手方向や高さ方向に張り出していてもよい。その場合、張り出し部分は通気性の無い板材で構成することもできる。また、上記各実施形態では、コールドアイルCに出入りするための通用口を設けることについて触れていないが、整流材に通用扉を設けてもよい。この場合、扉についても整流材で構成することが望ましく、扉はラック列の端部に沿って枠を作れば冷気の流れが乱れにくい。また、板を支える支柱や枠材、ドアノブ等についても冷気の流れの均一性を妨げないように配慮して設計することが望ましい。なお、整流材として布あるいはこれに類するものを用いるような場合は、ファスナーによって開閉部分を形成し、これを通用口としてもよい。もっとも、上記各実施形態では、コールドアイルCを覆う整流材の一部が省かれており、例えば、図1であればコールドアイルCの右端側が開放されているため、ここを通用口としても差し支えない。
【0039】
また、上記各実施形態では、ラックを隙間無く並べたラック列がサーバールームに整列していたが、各実施形態は一部のラックが間引かれていてもよい。第一実施形態のラック102を一部間引いた変形例を図17に示す。ラック102を間引くにあたっては、将来の増設を見込んで転倒防止金具や搬入据付のためのレール、位置決めの目印などを、例えば列に沿って形成していてもよい。
【0040】
本変形例では、サーバールーム103に配置されたラック列109の一部のラック102(ここでは、図17の右側から見て長手方向に延びたラック列109の3つ目のラック102)が間引かれており、間引かれた部分に空間Sが形成されている。空間Sの後ろ側(ホットアイルH側)には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板110と同様の目的で、空間SからホットアイルHへの空気の流れを遮蔽する仕切板110xが設けられている。また、空間Sの上側には、整流材111Uと同様、空調ユニット104から吹出る冷気の流れを調整する整流材111xが設けられている。
【0041】
ラック102を間引いた部分の拡大図を図18に示す。本変形例では、ラック102を間引いた空間Sの上側に整流材111xを設けているため、図18に示すように、ラック102を間引かない場合に比べて冷気の流通路が大きい。よって、気流の高速化を防止して、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。冷気が低速になると、渦流や低圧域の発生が防止されるので、ホットアイルHの高温空気がラック102内を逆流して情報処理機器が冷却されなくなる虞が無い。このような態様は、二重床構造にした第二実施形態や、二重床構造とし且つ一重天井構造とした第三実施形態についても同様に適用できる。
【0042】
なお、ラック列109は、例えば図19に示すように、ラック102が互いに間隔を空けて整列することにより、空間Sが多数設けられていてもよい。空間Sがこのように多数設けられていれば、空間Sが不規則に設けられた上記変形例に比べて冷気の流通路が更に大きくなり、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。
【0043】
なお、ラック102を間引いた部分については、図18に示したように、ラック102を間引いた空間Sの上側に整流材111xを設けてもよいが、例えば、図20に示すように、空間SのコールドアイルC側に整流材111xを設けてもよい。この場合でも、整流材111xを空間Sの上側に設けた場合と同様、気流の高速化を防止して、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。このような態様は、二重床構造にした第
二実施形態や、二重床構造とし且つ一重天井構造とした第三実施形態についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
100、200、300・・・空調システム
102、202、302・・・ラック
103、203、303・・・サーバールーム
104、204、304・・・空調ユニット
110、210、310・・・仕切板
111、211、311・・・整流材
C・・コールドアイル
H・・ホットアイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理機器室の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理技術の発展に伴い、情報処理機器の発熱量は増大の一途を辿っている。これに伴い、情報処理機器を冷却する情報処理機器室の空調システムの処理量も増大しており、情報処理機器を効率的に冷却できる空調技術の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1,2には、遮蔽板や整流材で空気の流れを調整する情報処理機器室の空調システムが開示されている。また、特許文献3,4には、サーバ室のラック間にある通路を冷気が流れるゾーンと暖気が流れるゾーンとに分けた情報処理機器室の空調システムが開示されている。また、特許文献5には、床に設けた各吹出口にフィルタを設けることで吹出風量のばらつきを抑える情報処理機器室の空調システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−109045号公報
【特許文献2】特開2010−54095号公報
【特許文献3】特開2010−43817号公報
【特許文献4】特開2008−185271号公報
【特許文献5】特許第3365526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
データセンタ等の大規模な情報処理設備においては、情報処理機器を収容したラックが室内に多数並べられている。各情報処理機器へ冷気を過不足なく行き渡らせるためには、ラック列に沿って流れる冷気の流速が適切に調整される必要がある。流速が遅い場合には冷却に必要な量の冷気が確保できない虞があり、流速が速い場合には静圧の低い部位が部分的に生じたり渦や乱流が生じたりし、場合によっては暖排気が部分的に冷気供給側に流出する虞があるためである。また、ラック列に沿って流れる冷気の流速は、冷気が吹出る吹出口とラック列との位置関係によっても左右されるため、建物の構造等の様々な制約によって十分な空調風量を確保できない場合がある。
【0006】
そこで、本願は、室内に設置した冷気の吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、また冷気の風速が速くても情報処理機器を収容した各ラックへ冷気を過不足なく行き渡らせることができる情報処理機器室の空調システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室内に設置される吹出口から吹出る冷気を受けて、吹出口からラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材を備える。
【0008】
詳細には、情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室の空調システムであって、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方または上方から該ラックへ向けて開口した、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材と、を備える。
【0009】
上記整流部材は、冷気が吹出す吹出口からラックへの冷気の流通経路の間に通気抵抗を与えて冷気の流速を調整するものであり、各ラックの吸気面に冷気が概ね均等に吸い込まれるように、ラック列の吸気面側を流れる冷気の流れを整える。この整流部材は、例えば、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路の吹出口側に設置されることにより、吹出口からラックへの冷気の流通経路の間に通気抵抗を与える。吹出口からラックの吸気面への流通経路の間に、このような整流部材を設けることにより、吹出口から整流部材までの経路が仮想的なプレナムチャンバーとして機能し、整流部材の下流側の冷気の流れが整う。これにより、吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、流速の影響を緩和し、各ラックへ冷気が過不足なく行き渡ることになる。
【0010】
また、前記整流部材は、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する、前記吹出口から該通路へ向けて吹出る冷気を受けるものであってもよい。ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する冷気は、通路の上流側のラックの吸気面で静圧の低い領域が生じやすい。しかしながら、吹出口から通路へ向けて吹出る冷気を整流部材が受けていれば、下流側への冷気の過剰な供給が抑制され、このような通路の上流側のラックの吸気面における静圧の不足が防止される。
【0011】
また、前記情報処理機器室に整列するラック列は、ラックが間隔を空けて整列している場合、前記吹出口は、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方から該ラックへ向けて開口しており、前記整流部材のうち少なくとも一部は、間隔を空けて配置されたラック間を覆ってもあってもよい。間隔を空けて配置されたラック間を覆うように整流部材を設ければ、間隔を詰めてラックを配置した場合に比べて、整流部材によって流速が調整される冷気の風道の面積が大きい。これにより、整流部材に到達する直前の流速のバラつきを抑えることができる。よって、気流の高速化を防止して、各ラックに必要な冷気を低速で供給することができる。冷気が低速になると、渦流や低圧域の発生が防止されるので、ホットアイルの高温空気がラック内を逆流して情報処理機器が冷却されなくなる虞がない。
【0012】
また、前記整流部材は、通気抵抗が、前記吹出口の動圧に対する静圧の割合で5〜30であれば、吹出口から吹出る冷気の速度が実用的範囲内に調整され、各ラックへ冷気が過不足なく行き渡る。
【0013】
また、前記情報処理機器室の空調システムは、前記吹出口から吹出た前記ラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路と、該ラックから排出された排気が流れる経路とを仕切る仕切部材を更に備えるものであってもよい。吹出口から吹出たラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路が、ラックから排出された排気が流れる経路と仕切られていれば、排気が流れる経路に吹出口から吹出る冷気が流れ込まないので、ラックに吸込まれずにそのままホットアイルに流出するバイパス流れがなくなって送風動力の無駄がなくなり、整流部材によって整流された冷気がラック内へ吸い込まれやすくなる。
【0014】
また、前記冷気が流れる経路は、前記情報処理機器室内に形成され、前記排気が流れる経路は、排気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路と、前記情報処理機器室の天井裏に形成される空間内とに形成されるものであってもよい。このような情報処理機器室の空調システムであれば、情報処理機器室内の空間の多くを、吹出口から吹出た冷気の流速の調整経路として割り当てることができるため、吹出口から吹出る冷気の風量が増大しても、ラック列の吸気面側を流れる冷気の流れを十分に整えることができる。
【発明の効果】
【0015】
室内に設置した冷気の吹出口の位置や吹出風量の如何に関わらず、また冷気の風速が速くても情報処理機器を収容した各ラックへ冷気を過不足なく行き渡らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図2】還気が流れる経路を示した図である。
【図3】整流材の据え付け状態の拡大図である。
【図4】冷気が流れる経路を示した図である。
【図5】冷気の速度と静圧との関係をプロットしたグラフである。
【図6】動圧に対する静圧の割合と最小速度比との関係をプロットしたグラフである。
【図7】第一実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図8】冷気が流れる経路を示した図である。
【図9】第二実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図10】還気が流れる経路を示した図である。
【図11】冷気が流れる経路を示した図である。
【図12】第三実施形態に係るデータセンタの構成図である。
【図13】還気が流れる経路を示した図である。
【図14】冷気が流れる経路を示した図である。
【図15】第三実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図16】冷気が流れる経路を示した図である。
【図17】第一実施形態の変形例に係るデータセンタの構成図である。
【図18】ラックを間引いた部分の拡大図である。
【図19】各ラックを互いに間隔を空けて整列させた場合の例を示す図である。
【図20】ラックを間引いた部分の変形例の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、第一実施形態に係る情報処理機器室の空調システム100を配置したデータセンタ101の構成図である。データセンタ101には、図1に示すように、各種の演算処理やデータベースの管理を行なうサーバや通信機等の情報処理機器が収容されたラック102がサーバールーム103に多数並んでいる。また、サーバールーム103には、各ラック102へ供給する冷気を生成する空調ユニット104が多数設けられている。各空調ユニット104は、サーバールーム103の片隅に配置されており、図1では左側に配置されている。なお、各空調ユニット104の位置は、サーバールーム103の片隅に限定されるものではないが、ラック102の吸気面へ流れる冷気の流速が各ラック102で互いにばらつくような位置であれば、本願発明の機能がより効果的に発揮される。
【0018】
各ラック102には、情報処理機器を冷却する冷却ファンが設けられており、ラックの正面あるいは背面の何れかが吸気面となり、他方が排気面となるように構成されている。各ラック102の中の情報処理機器の冷却ファンは、ラック内に収容されている情報処理機器の負荷状態や吸込み温度に応じて時々刻々と変化するように回転数が制御されるものであってもよいし、一定の回転数で動くものであってもよい。なお、情報処理機器が据え付けられていない等の理由により、ラック102内や隣接するラック102間に隙間があるような場合は、暖気の回り込みを防ぐようなパネル等で隙間を防ぐことが好ましい。
【0019】
空調ユニット104は、クーリングコイルと電動ファンとを内蔵し、サーバールーム103の空気を冷やす。ここで、本実施形態に係るデータセンタ101では、各ラック102がコンクリートスラブ105Bによって形成される床面106に据え付けられている。よって、床面106の下にはいわゆる床下空間が無い。一方、コンクリートスラブ105Uとサーバールーム103との間には、天井ボード107が設けられており、二重天井構
造になっている。そこで、空調ユニット104は、図2に示すように、上面に設けられた開口より、天井ボード107とコンクリートスラブ105Uとの間に形成される天井裏の空間108Uから各ラック102の排気を吸引して冷却する。そして、各ラック102が整列したラック列109の端部側壁から見て正面(例えば、サーバールーム103の内壁近傍)に設けられた吹出口より、冷却した空気をサーバールーム103内へ送る。なお、空調ユニット104は、コイルとファンがそれぞれ別のケーシングに納まり、両者がダクトで接続されたものであってもよい。また、空調ユニット104は、天井吊り下げ式あるいは天井埋め込み式であってもよいし、別室に据え付けて吹出口だけダクトでサーバールーム103まで延長してもよい。この場合、空調ユニット104の吹出口は、天井ボード107に設けられ、天井から吹出すようになっていてもよい。
【0020】
データセンタ101は、各ラック102へ冷気が効率的に供給されるよう、一つのラック列109を構成する各ラック102の吸気面と排気面の向きが揃えられている。そして、対峙する2つのラック列109が、共に吸気面あるいは排気面で向き合うように配置される。各ラック102がこのように設置されていることにより、各ラック列109の間には、冷気が流れる通路と暖気が流れる通路とが交互に形成されることになる。以下、吸気面が向かい合う一対のラック列109に囲まれた、冷気が流れる通路をコールドアイルCといい、排気面が向かい合う一対のラック列109によって囲まれた、暖気が流れる通路をホットアイルHという。
【0021】
一つのホットアイルHを挟む2つのラック列109の両端間や、ラック列109と天井ボード107との間には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板110が設けられている。この仕切板110は、空気の流れを遮蔽する。なお、各ラック102の高さが天井ボード107と同じ高さである場合、ラック列109と天井ボード107との間に配置される仕切板110は不要である。天井ボード107のうちホットアイルHの上側の部分は開口しているため、仕切板110によって囲まれたホットアイルH内の暖気は、コールドアイルC側へ回り込むことなく天井裏の空間108Uへ流れることになる。
【0022】
また、一つのコールドアイルCを挟む2つのラック列109の両端のうち、空調ユニット104が配置されている側の端部には、空調ユニット104の吹出口から吹出る冷気を受けて、吹出口から各ラック102へ流れる冷気の流速を調整する整流材111Sが設けられており、2つのラック列109の上端部には整流材111Uが設けられている。整流材111U,111Sの据え付け状態の拡大図を図3に示す。ここでは、2つのラック列109の間のコールドアイルCは、床面は床材で閉塞され、上側と左端側は対向するラック列109の揃えられた側端面と天面を跨ぐ形で整流体としてのメッシュが配設されている。空調ユニット104の吹出口から遠く離れているために冷気の流速が遅く、静圧の不足等が問題にならないコールドアイルCの右端側は、整流材111Sが省かれている。このため、空調ユニット104の吹出口から出た冷気は、その多くが吹出口側の整流材111Sを経てラック列109間のコールドアイルC内へ流入するが、整流材111Sを通過しなかった冷気がラック列109や整流板Uの上側と天井ボード107の下側との間にある空間を通り抜けるため、整流材111Sが設けられている側と反対側のコールドアイルCの他端側(図1でいう右側)では2方向の冷気の混合が生じる。整流材111U,111Sは、空調ユニット104から吹出る空気の流速が速い事により、ラック102の吸気面側で静圧が低下したり乱流が形成されたりしてラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐ目的で設置されるものであり、図4に示すように、コールドアイルCへ略均一の流量の冷気が流れるようにするものである。整流材111U,111Sは、空調ユニット104からコールドアイルCへ流れる冷気の通路に通気抵抗を生じさせ得るものであればよく、例えば、ルームエアコンなどで用いられているフィレドンフィルタやサランネットといった網状の整流材や、各種フィルタやパンチング板、金網、布、或いはこれらの積層体、並びに空調の吹出し口等に用いられるレジスタ等の整流板類を適用できる。ル
ームエアコンなどで用いられているフィレドンフィルタやサランネットといった網状の整流材であれば、軟質なので施工性にも優れる。整流部材として如何なる材質のものを適用するかは、要求される強度や空調ユニットの風量、冷気の流速などに応じて適宜決定する。
【0023】
なお、整流材111U,111Sは、通気抵抗が、動圧(空調ユニットの吹出口)に対する静圧の割合で5〜30程度になるようなものを選定することが好ましい。その理由は次の通りである。
【0024】
整流材を通過する冷気の速度分布の形状は、実用的範囲の場合、静圧と動圧の比が一定であれば流速に関わらず概ね相似であり、換言すると、整流材を通過する冷気の速度分布の形状は、静圧と動圧との比により定まる。ここで、空調ユニット104の吹出口から整流材111U,111Sまでの空間を管路の連続分岐管と考え(以下、この空間を仮想プレナムチャンバーという)、この空間内の摩擦等の損失を無視すると次式が成り立つ。
【数1】
【0025】
上記数式(1),(2)から逐次計算することにより、任意の位置における吹出速度と静圧の分布を求めることができる。これに整流材の抵抗係数を加味し、寸法を任意に設定した仮想のプレナムチャンバーについて冷気の速度と静圧との関係を、動圧に対する静圧の割合(Pr)毎に算出し、計算結果をプロットしたグラフを図5に示す。ここで、図5のグラフにおいて、縦軸として示す速度比とは冷気の平均速度に対する特定位置における速度の割合(速度比=位置の速度/平均速度)であり、横軸として示す距離比とは全長に対する特定位置の割合(距離比=位置/全長)である。従って、距離比0〜1の範囲の何れにおいても速度比が1に近ければ速度のばらつきが小さいということになる。図5に示されるように、動圧に対する静圧の割合が小さい場合(すなわち、Prの値が小さい場合)は冷気の吹出し速度のばらつきが大きく、動圧に対する静圧の割合が大きい場合(すなわち、Prの値が大きい場合)は冷気の吹出し速度のばらつきが小さくなることが判る。このことから、動圧に対する静圧の割合を高めれば高めるほど、整流材を通過する冷気の速度分布が均一に近づき、コールドアイルCの冷気の流れが整うことが判る。
【0026】
ここで、本実施形態に係る空調システム100において実用上妥当な、整流材に必要な通気抵抗を決定するため、横軸を動圧に対する静圧の割合(Pr)とし、縦軸に最小速度比をプロットしたグラフを図6に示す。ここで、最小速度比とは、距離比0〜1の範囲において最も小さい速度比の値である。図6に示されるように、最小速度比は、動圧に対する静圧の割合(Pr)が10未満においては割合が増えるにつれて急上昇し、10から30の間で徐々に緩やかになり、30よりも大きくなると緩やかに上昇していくことが判る。この結果から、動圧に対する静圧の割合(Pr)が10未満においては通気抵抗が小さすぎ、30より大きい場合には通気抵抗が大きすぎることが判る。よって、整流材は、通気抵抗が動圧(空調ユニットの吹出口)の5〜30倍程度、より好ましくは10〜30倍程度になるようなものを選定することが好ましいことが判る。なお、通気抵抗による差圧で整流材等に異常が生じないよう、空調ユニットのファンの回転数等を差圧に応じて制御してもよい。もっとも、最小速度比は、0.9以上あれば十分であるため、動圧に対する静圧の割合(Pr)が5以上もあれば実用上差し支えない。
【0027】
本実施形態に係る空調システム100であれば、空調ユニット104から吹出た冷気の流れが整流材111U,111Sによる通気抵抗によって調整され、各ラック102内に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット104の吹出し口を任意の位置に配置できる。また、吹出し口の面積を拡大させることも可能であり、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。
【0028】
図7は、第一実施形態に係る空調システム100の変形例である。上述した実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材111Uによって全面的に覆われていた。しかし、整流材111U,111Sは、空調ユニット104から吹出る空気の流速を抑えて各ラック102の吸気面側で静圧が低下したり乱流が形成されたりしてラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐ目的で設置されるものであるため、図7に示すように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット104に近い部分のみを整流材111Uで覆うようにしてもよい。整流材111UがコールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット104に近い部分のみを覆う構成であっても、図8に示すように、空調ユニット104の吹出口から各ラック102の吸気面へ流れる冷気の流速が抑えられて、ラック102の吸気面側における静圧の低下や乱流の発生が防止され、ラック102内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐことができる。
【0029】
図9は、第二実施形態に係る空調システム200を配置したデータセンタ201の構成図である。データセンタ201には、第一実施形態に係るデータセンタ101と同様、ラック202がサーバールーム203に多数並んでおり、サーバールーム203には空調ユニット204が設けられている。また、省略される整流材111Sは、空調ユニット204の吹出口と反対側のラック列209間の部分であり、コールドアイルCの通路を冷気が反対側の壁面に向けて吹き抜ける(すなわち、図9における左方向)態様である。
【0030】
空調ユニット204は、第一実施形態に係る空調ユニット104とほぼ同様であるが、吸込み側が一部異なる。本実施形態に係るデータセンタ201は、天井ボード207によって二重天井構造になっている他、ラック102が据え付けられている床面206とコンクリートスラブ205Bとの間に空間208Bが形成され、二重床構造になっている。そこで、本実施形態では、図10に示すように、空調ユニット204の上面に設けられた開口より天井裏の空間208Uから各ラック202の排気を吸引して冷却し、第一実施形態に係る空調システム100に加えて、床面206を構成する網目状のグレーチングより床下の空間208BからコールドアイルCへ冷気が流れる構成を採っている。床面206のうち、コールドアイルCの床面部分には、整流材211Bが取り付けられている。従って、床下の空間208BからコールドアイルCへ流入する冷気についても整流される。
【0031】
本実施形態に係る空調システム200は、天井裏の空間208Uのみならず床下の空間208Bも利用している点以外、第一実施形態に係る空調システム100と同様である。この空調システム200であれば、空調ユニット204から吹出た冷気の流れが整流材211U,211S,211Bで調整され、図11に示すように各ラック202に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット204の吹出し口を任意の位置に配置できる。よって、吹出し口の面積を拡大させまたは多方向に複数個設けることも可能であり、または空調ユニット204に限らず空調システム200全体の給気能力を増強し、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。
【0032】
なお、上述した第二実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材211Uによって全面的に覆われていたが、第一実施形態の変形例として図7でも示したように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット204に近い部分のみを整流材211Uで覆うようにしてもよい。
【0033】
図12は、第三実施形態に係る空調システム300を配置したデータセンタ301の構成図である。データセンタ301には、第一実施形態に係るデータセンタ101や第二実施形態に係るデータセンタ201と同様、ラック302がサーバールーム303に多数並んでおり、サーバールーム303には空調ユニット304が設けられている。
【0034】
空調ユニット304は、第一実施形態に係る空調ユニット104とほぼ同様であるが、吸込み側が一部異なる。本実施形態に係るデータセンタ301は、ラック302が据え付けられている床面306とコンクリートスラブ305Bとの間に空間308Bが形成されて二重床構造になっているが、天井ボードが設けられていないため二重天井構造にはなっていない。そこで、本実施形態では、図13に示すように空調ユニット304が下面に設けられた開口より床下の空間308から各ラック302の排気を吸引して冷却する構成を採っている。
【0035】
ホットアイルHの床面306には、人等の通行を可能にしつつホットアイルHの空気が床下の空間308Bへ流れるように網目状のグレーチング312が各ラック302の排気面が対向する空間の床に設置されている。また、一つのホットアイルHを挟む2つのラック列309の両端間や上端間には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板310が設けられている。この仕切板310は、ホットアイルHの暖気がコールドアイルCへ流れないよう、空気の流れを遮蔽する。ホットアイルHの床はグレーチング312によって床下の空間308Bと連通しているため、仕切板310によって囲まれたホットアイルH内の暖気は、コールドアイルC側へ回り込むことなく床下の空間308Bへ流れることになる。
【0036】
本実施形態に係る空調システム300は、天井裏の空間の代わりに床下の空間308Bを利用している点以外、第一実施形態に係る空調システム100と同様である。この空調システム300であれば、空調ユニット304から吹出た冷気の流れが整流材311U,311Sで調整され、図14に示すように各ラック302に冷気が略均一に流れる。このため、空調ユニット304の吹出し口を任意の位置に配置できる。よって、吹出し口の面積を拡大させることも可能であり、給気速度を均一且つ低速に維持したまま、冷気の吹出風量を増加させることができる。なお、空調ユニット304を床下に設け、床面306に設けた吹出口から冷気が吹出るようにしてもよい。
【0037】
なお、上述した第三実施形態では、コールドアイルCの上側が整流材311Uによって全面的に覆われていたが、図15に示すように、コールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット304に近い部分のみを整流材311Uで覆うようにしてもよい。整流材311UがコールドアイルCの上側のうち特に空調ユニット304に近い部分のみを覆う構成で
あっても、図16に示すように、空調ユニット304の吹出口から各ラック302の吸気面へ流れる冷気の流速が抑えられて、ラック302の吸気面側における静圧の低下や乱流の発生が防止され、ラック302内への冷気の吸込み不良が生じるのを防ぐことができる。
【0038】
なお、各実施形態について、整流材はラック列の上端や側端に揃えずに、通路の長手方向や高さ方向に張り出していてもよい。その場合、張り出し部分は通気性の無い板材で構成することもできる。また、上記各実施形態では、コールドアイルCに出入りするための通用口を設けることについて触れていないが、整流材に通用扉を設けてもよい。この場合、扉についても整流材で構成することが望ましく、扉はラック列の端部に沿って枠を作れば冷気の流れが乱れにくい。また、板を支える支柱や枠材、ドアノブ等についても冷気の流れの均一性を妨げないように配慮して設計することが望ましい。なお、整流材として布あるいはこれに類するものを用いるような場合は、ファスナーによって開閉部分を形成し、これを通用口としてもよい。もっとも、上記各実施形態では、コールドアイルCを覆う整流材の一部が省かれており、例えば、図1であればコールドアイルCの右端側が開放されているため、ここを通用口としても差し支えない。
【0039】
また、上記各実施形態では、ラックを隙間無く並べたラック列がサーバールームに整列していたが、各実施形態は一部のラックが間引かれていてもよい。第一実施形態のラック102を一部間引いた変形例を図17に示す。ラック102を間引くにあたっては、将来の増設を見込んで転倒防止金具や搬入据付のためのレール、位置決めの目印などを、例えば列に沿って形成していてもよい。
【0040】
本変形例では、サーバールーム103に配置されたラック列109の一部のラック102(ここでは、図17の右側から見て長手方向に延びたラック列109の3つ目のラック102)が間引かれており、間引かれた部分に空間Sが形成されている。空間Sの後ろ側(ホットアイルH側)には、ホットアイルHとコールドアイルCとを隔離する仕切板110と同様の目的で、空間SからホットアイルHへの空気の流れを遮蔽する仕切板110xが設けられている。また、空間Sの上側には、整流材111Uと同様、空調ユニット104から吹出る冷気の流れを調整する整流材111xが設けられている。
【0041】
ラック102を間引いた部分の拡大図を図18に示す。本変形例では、ラック102を間引いた空間Sの上側に整流材111xを設けているため、図18に示すように、ラック102を間引かない場合に比べて冷気の流通路が大きい。よって、気流の高速化を防止して、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。冷気が低速になると、渦流や低圧域の発生が防止されるので、ホットアイルHの高温空気がラック102内を逆流して情報処理機器が冷却されなくなる虞が無い。このような態様は、二重床構造にした第二実施形態や、二重床構造とし且つ一重天井構造とした第三実施形態についても同様に適用できる。
【0042】
なお、ラック列109は、例えば図19に示すように、ラック102が互いに間隔を空けて整列することにより、空間Sが多数設けられていてもよい。空間Sがこのように多数設けられていれば、空間Sが不規則に設けられた上記変形例に比べて冷気の流通路が更に大きくなり、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。
【0043】
なお、ラック102を間引いた部分については、図18に示したように、ラック102を間引いた空間Sの上側に整流材111xを設けてもよいが、例えば、図20に示すように、空間SのコールドアイルC側に整流材111xを設けてもよい。この場合でも、整流材111xを空間Sの上側に設けた場合と同様、気流の高速化を防止して、各ラック102に必要な冷気を低速で供給することができる。このような態様は、二重床構造にした第
二実施形態や、二重床構造とし且つ一重天井構造とした第三実施形態についても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0044】
100、200、300・・・空調システム
102、202、302・・・ラック
103、203、303・・・サーバールーム
104、204、304・・・空調ユニット
110、210、310・・・仕切板
111、211、311・・・整流材
C・・コールドアイル
H・・ホットアイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室の空調システムであって、
前記情報処理機器室内において前記ラックの側方または上方から該ラックへ向けて開口した、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、
前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材と、を備える、
情報処理機器室の空調システム。
【請求項2】
前記整流部材は、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する、前記吹出口から該通路へ向けて吹出る冷気を受ける、
請求項1に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項3】
前記吹出口は、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方から該ラックへ向けて開口しており、
前記情報処理機器室に整列するラック列は、ラックが間隔を空けて整列しており、
前記整流部材のうち少なくとも一部は、間隔を空けて配置されたラック間の前記吹出口側および該ラック間の上側を覆う、
請求項1または2に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項4】
前記整流部材は、通気抵抗が、前記吹出口の動圧に対する静圧の割合で5〜30である、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項5】
前記吹出口から吹出た前記ラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路と、該ラックから排出された排気が流れる経路とを仕切る仕切部材を更に備える、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項6】
前記冷気が流れる経路は、前記情報処理機器室内に形成され、
前記排気が流れる経路は、排気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路と、前記情報処理機器室の天井裏に形成される空間内とに形成される、
請求項5に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項1】
情報処理機器を収容したラックが整列する情報処理機器室の空調システムであって、
前記情報処理機器室内において前記ラックの側方または上方から該ラックへ向けて開口した、前記情報処理機器を冷却するための冷気を該情報処理機器室内に吹出す吹出口と、
前記吹出口から吹出る冷気を受けて、該吹出口から前記ラックへ流れる冷気の流速を調整する通気性の整流部材と、を備える、
情報処理機器室の空調システム。
【請求項2】
前記整流部材は、前記ラックの吸気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路に流入する、前記吹出口から該通路へ向けて吹出る冷気を受ける、
請求項1に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項3】
前記吹出口は、前記情報処理機器室内において前記ラックの側方から該ラックへ向けて開口しており、
前記情報処理機器室に整列するラック列は、ラックが間隔を空けて整列しており、
前記整流部材のうち少なくとも一部は、間隔を空けて配置されたラック間の前記吹出口側および該ラック間の上側を覆う、
請求項1または2に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項4】
前記整流部材は、通気抵抗が、前記吹出口の動圧に対する静圧の割合で5〜30である、
請求項1から3の何れか一項に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項5】
前記吹出口から吹出た前記ラックの吸気面に吸い込まれる冷気が流れる経路と、該ラックから排出された排気が流れる経路とを仕切る仕切部材を更に備える、
請求項1から4の何れか一項に記載の情報処理機器室の空調システム。
【請求項6】
前記冷気が流れる経路は、前記情報処理機器室内に形成され、
前記排気が流れる経路は、排気面が向かい合う一対のラック列の間に形成される通路と、前記情報処理機器室の天井裏に形成される空間内とに形成される、
請求項5に記載の情報処理機器室の空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−137244(P2012−137244A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290015(P2010−290015)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【出願人】(509086464)株式会社関電エネルギーソリューション (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【出願人】(509086464)株式会社関電エネルギーソリューション (9)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]