説明

情報処理端末及び辞書データ同期方法

【課題】ユーザの文字入力履歴が反映された予測変換辞書データにデータを更新すること。
【解決手段】この携帯電話端末1は、予測変換辞書データを格納する辞書データ格納部30と、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、実行の回数に関する自端末回数を保持する変換回数保持部24と、無線通信可能なエリアの端末装置1A,1Bからそれらの端末装置での文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を受信する回数情報送受信部27と、自端末回数と他端末回数とを比較する比較部28と、自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、予測変換辞書データを端末装置1A,1Bに送信し、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、端末装置1A,1Bのうちの他端末回数の多い端末装置から予測変換辞書データを受信して辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データに反映する辞書データ通信部29とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予測変換に用いる予測変換辞書データを同期させる情報処理端末及び辞書データ同期方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の情報処理機器間でデータを同期させる方法が検討されている。例えば、無線通信が可能な範囲に同一のユーザ識別番号を有する携帯情報機器が存在する場合に、他の携帯情報機器から受信したデータで、スケジュールデータ、アラームデータ、アドレス帳データ、メモ帳データ等の保存データを更新するデータ同期方法が開示されている(下記特許文献1参照)。このデータ同期方法においては、記憶部に記憶された更新情報が他の携帯情報機器の更新情報より古い場合に、他の携帯情報機器から受信したデータでデータ更新を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−65813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、データ同期の対象としてユーザからの文字入力履歴に基づいて生成される予測変換辞書データを対象とする場合には、上述した従来のデータ同期方法では、必ずしもユーザにとって利便性の高いデータが得られない傾向にある。すなわち、上記データ同期方法では、データが更新情報の新しいものに更新されるため、必ずしもユーザの文字入力履歴が良く反映されている予測変換辞書データに更新されない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みて為されたものであり、ユーザの文字入力履歴が反映された予測変換辞書データにデータを更新することでユーザの利便性を高めることが可能な情報処理端末及び辞書データ同期方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理端末は、ユーザから入力された文字列に対して出力する予測変換辞書データを格納する辞書データ格納手段と、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、実行の回数に関する自端末回数を保持する回数情報保持手段と、無線通信可能なエリアの端末装置から端末装置での文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を受信する回数情報受信手段と、自端末回数と他端末回数とを比較する比較手段と、自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、予測変換辞書データを端末装置に送信し、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、端末装置から予測変換辞書データを受信して辞書データ格納手段に格納されている予測変換辞書データに反映する辞書データ通信手段と、を備える。
【0007】
或いは、本発明の辞書データ同期方法は、辞書データ格納手段が、ユーザから入力された文字列に対して出力する予測変換辞書データを格納する辞書データ格納ステップと、回数情報保持手段が、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、実行の回数に関する自端末回数を保持する回数情報保持ステップと、回数情報受信手段が、無線通信可能なエリアの端末装置から端末装置での文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を受信する回数情報受信ステップと、比較手段が、自端末回数と他端末回数とを比較する比較ステップと、辞書データ通信手段が、自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、予測変換辞書データを端末装置に送信し、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、端末装置から予測変換辞書データを受信して辞書データ格納手段に格納されている予測変換辞書データに反映する辞書データ通信ステップと、を備える。
【0008】
このような情報処理端末或いは辞書データ同期方法によれば、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の回数が自端末回数として検出され、無線通信可能なエリアの端末装置からその端末装置での文字変換処理の回数が他端末回数として受信され、その自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、予測変換辞書データが端末装置に送信され、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、端末装置から受信された予測変換辞書データが予測変換辞書データに反映される。これにより、予測変換辞書データを用いた文字変換処理が頻繁に利用されている端末に保持されている予測変換辞書データが、その端末と無線通信可能な範囲に近づいた他の端末の予測変換辞書データに反映されるので、複数の端末内でユーザの文字入力履歴が最も良く反映された予測変換辞書データを保持させることができる。その結果、文字変換入力を行う端末のユーザの利便性を高めることができる。
【0009】
無線通信可能な端末装置を検出する端末検出手段をさらに備え、回数情報受信手段は、端末検出手段によって検出された端末装置に向けて他端末回数の送信を要求する、ことが好ましい。こうすれば、無線通信可能な範囲に近づいた端末との間で効率よく予測変換辞書データの同期を実行することができる。
【0010】
また、位置の変化を検出する位置変化検出手段をさらに備え、端末検出手段は、位置変化検出手段によって位置の変化が少なくなったタイミングで端末装置を検出する、ことも好ましい。かかる構成を採れば、持ち運ばれた可能性の高い端末から他の端末装置の検出が開始されるので、ユーザによって利用された可能の高い端末によってデータの同期処理が開始され、複数の端末での無駄な電力消費を抑えることができる。
【0011】
さらに、予測変換辞書データを共有する端末装置群を特定する端末装置群情報を保持する端末装置群情報保持手段をさらに備え、端末検出手段は、端末装置群情報を参照して、端末装置群に含まれる端末装置を検出する、ことも好ましい。この場合、予め互いにデータ同期を行う複数の端末を登録しておきそれらの複数の端末間でデータ同期を実行することで、ユーザの利便性をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの文字入力履歴が反映された予測変換辞書データにデータを更新することでユーザの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の好適な一実施形態にかかる携帯電話端末の概略構成図である。
【図2】図1の文字変換履歴情報格納部に格納される文字変換履歴情報のデータ構成を示す図である。
【図3】図1の端末装置群情報格納部に格納される端末装置群情報のデータ構成を示す図である。
【図4】図1の携帯電話端末の移動状態を示す図である。
【図5】図1の携帯電話端末による文字変換処理時の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の携帯電話端末による予測変換辞書データの同期処理時の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の携帯電話端末による予測変換辞書データの同期処理時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面とともに本発明による情報処理端末及び辞書データ同期方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の好適な一実施形態にかかる携帯電話端末1の概略構成図である。図1に示す携帯電話端末1は、IMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)等の移動体通信方式を採用した移動体通信ネットワークに接続可能な情報処理端末である。なお、本実施形態にかかる情報処理端末としては、PDA(Personal Digital Assistants)、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の様々な端末装置が採用可能である。
【0016】
この携帯電話端末1は、文章データ作成時、電子メール作成時やWEBサイトへの検索キーワード入力時等に文章の作成を行おうとするユーザが使用する情報通信端末であり、機能的な構成要素として、ディスプレイ等のデータや画像等を表示するための表示部21と、入力ボタン、タッチパネル等のユーザから文字列の入力を受け付ける入力部22と、文字変換制御部23と、変換回数保持部(回数情報保持手段)24と、位置変化検出部(位置変化検出手段)25と、端末検出部(端末検出手段)26と、回数情報送受信部(回数情報受信部)27と、比較部(比較手段)28と、辞書データ通信部(辞書データ通信手段)29と、辞書データ格納部(辞書データ格納手段)30と、文字変換履歴情報格納部31と、端末装置群情報格納部(端末装置群情報保持手段)32とを備えている。以下、携帯電話端末1の各構成要素の機能について詳細に説明する。
【0017】
携帯電話端末1の入力部22は、ユーザから入力キー、タッチパネル等のデータ入力装置(図示せず)を利用した文字列データの入力を受け付け、その文字列データを文字変換制御部23に引き渡す機能を有する。また、入力部22は、ユーザによる文章作成時に、表示部21に表示された複数の予測変換候補の中から入力文字を確定させるための確定入力を、ユーザから受け付ける機能を有する。
【0018】
文字変換制御部23は、ユーザによる文章作成時に、ユーザから入力された文字列データに応じて、辞書データ格納部30を参照することにより、その文字列データに対する複数の予測変換候補を表示するように制御する。すなわち、辞書データ格納部30には、入力文字列データに対応する予測変換候補が予測変換辞書データとして予め格納されており、文字変換制御部23は、その予測変換辞書データの中から入力文字列データに対応する予測変換候補を抽出して表示させる。
【0019】
また、文字変換制御部23は、表示させた予測変換候補に対するユーザからの選択入力を入力部22を介して受け付け、受け付けた選択入力に応じて予測変換候補を入力文字として確定させるように制御する。確定された予測変換候補は文章データとして電子メール用プログラム、文章作成用プログラムやブラウザ等の各種アプリケーションプログラムに引き渡される。また、文字変換制御部23は、文章作成時に入力文字が確定される度に、その入力文字やその前後に入力された文字等を基に辞書データ格納部30に格納された予測変換辞書データを更新すると共に、確定した入力文字に関する文字変換履歴情報を生成し、文字変換履歴情報格納部31に格納する。
【0020】
図2には、文字変換制御部23によって生成された文字変換履歴情報の一例を示している。同図に示すように、ユーザから受け付けられた入力文字“お”と、それに対する予測変換候補の中から入力文字として確定された確定文字列“おはよう”と、その入力文字として確定された日時“2011/2/9 10:01:20”とが互いに関連付けて格納される。この文字変換履歴情報は、ユーザによって入力文字が確定される度に蓄積して格納される。
【0021】
変換回数保持部24は、所定のタイミングで、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、その実行回数に関する自端末回数を保持する。具体的には、変換回数保持部24は、文字変換履歴情報格納部31を参照し、所定期間内の日時に関する文字変換履歴情報のレコード数をカウントし、そのカウント数を自端末回数として保持する。例えば、変換回数保持部24は、直近の48時間以内に日時が含まれる文字変換履歴情報をカウントする。ここで、自端末回数を検出するタイミングとしては、一定の周期ごとのタイミングや、ユーザによって入力文字が確定されたタイミング、下記の位置変化検出部25によって位置の変化が少なくなったことが検出されたタイミング等が挙げられる。
【0022】
位置変化検出部25は、携帯電話端末1の位置の変化を検出する。すなわち、位置変化検出部25は、加速度センサを内蔵し携帯電話端末1の加速度を検出し、検出した加速度を端末検出部26に通知する。なお、位置変化検出部25は、GPS測位機能や移動体通信を利用して現在位置する基地局エリアを特定する測位機能等によって位置変化を検出してもよい。
【0023】
端末検出部26は、位置変化検出部25から通知された加速度を基に、携帯電話端末1の位置の変化が生じた後に、その位置の変化が少なくなったタイミング、すなわち、加速度がいったん大きくなってから減少したタイミングで、無線通信可能な端末装置を検出する。例えば、端末検出部26は、無線LAN通信や、ブルートゥース通信、赤外線通信等の無線通信を利用して、予測変換辞書データの同期処理を要求する要求信号を周辺に向けて送信し、その要求信号を受信した端末装置を特定する端末IDを含む応答信号を、周辺の端末装置から受信することにより、無線通信可能な端末装置を検出する。ここで、端末検出部26は、端末装置群情報格納部32に格納された端末装置群情報を参照することにより、その端末装置群情報によって特定される端末群に含まれる端末装置のみを検出する。この端末装置群情報格納部32には、図3に示すように、入力部22を介して予めユーザによって登録された端末装置群情報が格納されており、この端末装置群情報には、予測変換辞書データの同期処理の対象である端末装置のグループを特定する複数の端末IDの組み合わせが格納されている。そして、端末検出部26は、端末装置群情報に含まれる端末IDを含む応答信号を受信した場合に、その端末IDによって特定される端末装置を、無線通信可能な端末装置として検出する。なお、端末検出部26は、予め複数の端末装置との間でパスワード認証等によるペアリング設定を実施しておき、ペアリング設定された端末装置のみを検出するようにしてもよい。
【0024】
回数情報送受信部27は、端末検出部26によって無線通信可能なエリア内の端末装置が検出された際に検出された端末装置が2台以上である場合には、その端末装置から予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を、無線通信を利用して受信する。すなわち、回数情報送受信部27は、端末検出部26から検出した端末装置に関する端末IDを受け取り、その端末IDによって特定される端末装置に向けて、他端末回数の送信を要求する要求信号を送信し、それに対して端末装置から送信された他端末回数を受信する。また、端末検出部26によって検出された無線通信可能なエリア内の端末装置が1台である場合には、その端末装置に対して、変換回数保持部24によって保持されている自端末回数を、無線通信を利用して送信する。
【0025】
比較部28は、変換回数保持部24によって保持されている自端末回数と、端末検出部26によって検出された端末装置から受信された他端末回数とを比較する。その結果、比較部28は、自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、自端末を予測変換辞書データの反映元となる“マスタ端末”、他端末回数を受信した複数の端末装置を予測変換辞書データの反映先となる“スレーブ端末”として設定し、その設定内容を辞書データ通信部29に引き渡す。一方、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、自端末を“スレーブ端末”、他端末回数を受信した複数の端末装置のうちで一番他端末回数が多い端末装置を“マスタ端末”として設定し、その設定内容を辞書データ通信部29に引き渡す。
【0026】
辞書データ通信部29は、自端末がマスタ端末に設定された場合には、辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データを、無線通信によって全てのスレーブ端末に送信し、その予測変換辞書データを反映させる。また、自端末がスレーブ端末に設定された場合には、マスタ端末に対して予測変換辞書データを要求し、それに応じてマスタ端末から送信される予測変換辞書データを受信して、受信した予測変換辞書データを辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データに反映する。詳細には、受信した予測変換辞書データを、辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データに上書きする。
【0027】
以下、図4〜7を参照して、携帯電話端末1の動作について説明するとともに、併せて携帯電話端末1における辞書データ同期方法について詳述する。図4に示すように、携帯電話端末1が移動することによって携帯電話端末1の無線通信可能なエリアに端末装置1A,1Bの両方又は一方が位置したことを想定して、その際の携帯電話端末1の動作について説明する。ここで、端末装置1A,1Bは、携帯電話端末1と同一の機能構成を有しているものとする。図5は、携帯電話端末1による文字変換処理時の動作を示すフローチャート、図6及び図7は携帯電話端末1による予測変換辞書の同期処理時の動作を示すフローチャートである。
【0028】
まず、図5を参照して、携帯電話端末1の文字変換処理時の動作を説明する。最初に、携帯電話端末1のユーザから、電子メール用プログラム等のアプリケーションプログラムを利用した文字変換処理の起動指示が受け付けられる(ステップS101)。そうすると、文字変換制御部23によって、表示部21に文章データの入力画面が表示された後に、ユーザによって入力された入力文字列に対する予測変換候補が辞書データ格納部30から抽出されて表示されるとともに、ユーザから入力文字の確定操作が受け付けられる(ステップS102)。これに応じて、文字変換制御部23により、入力文字列と確定文字列との組み合わせが文字変換履歴情報として、文字変換履歴情報格納部31に格納される(ステップS103)。さらに、変換回数保持部24により、所定のタイミングで文字変換履歴情報格納部31が参照され、直近の所定期間内の日時に関する文字変換履歴情報のレコード数がカウントされ、そのカウント数が自端末回数として保持される(ステップS104)。
【0029】
次に、図6を参照して、携帯電話端末1の予測変換辞書データの同期処理時の動作を説明する。まず、位置変化検出部25により、携帯電話端末1の移動が検出される(ステップS201)。その検出結果を受けて、端末検出部26により、携帯電話端末1の移動が生じた後にその移動停止が検出されたか否かが判定される(ステップS202)。
【0030】
上記判定の結果、移動停止が検出されなかった場合は(ステップS202;NO)、上記判定が繰り返される。一方、上記判定の結果、移動停止が検出された場合は(ステップS202;YES)、端末検出部26によって、無線通信を利用して同期処理要求が周辺に送信されることにより、無線通信可能な端末装置1A,1Bが検出される(ステップS203)。
【0031】
そして、端末検出部26によって、無線通信可能な端末装置1A,1Bから受信される応答信号が有るか否かが判定される(ステップS204)。その結果、応答信号が無いと判定された場合には(ステップS204;NO)、データ同期処理が終了される。一方、応答信号が有ると判定された場合には(ステップS204;YES)、さらに、回数情報送受信部27により、応答信号を受信した端末装置が2台以上であるか否かが判定される(ステップS205)。
【0032】
上記判定の結果、応答信号を受信した端末装置が2台以上であると判定された場合、例えば、端末装置1A,1Bの両方であった場合には(ステップS205;YES)、回数情報送受信部27により、それらの端末装置1A,1Bに他端末回数の送信を要求する要求信号が送信され、それに対して端末装置1A,1Bから送信された他端末回数が受信される(ステップS206)。その後、比較部28により、変換回数保持部24によって保持された自端末回数と、端末検出部26によって検出された端末装置1A,1Bから受信された他端末回数とが比較される(ステップS207)。
【0033】
その結果、自端末回数が他端末回数より多い場合には(ステップS207;YES)、辞書データ通信部29により、辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データが、端末検出部26によって検出された端末装置1A,1Bに送信される(ステップS208)。一方、自端末回数が他端末回数より少ない場合には(ステップS207;NO)、辞書データ通信部29により、端末装置1A,1Bのうちで他端末回数が最も多い端末装置から予測変換辞書データが受信され、受信された予測変換辞書データが辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データに上書きされる(ステップS209)。
【0034】
図7に移って、ステップS205における判定の結果、応答信号を受信した端末装置が2台未満であると判定された場合、例えば、端末装置1Aの1台のみであった場合には(ステップS205;NO)、回数情報送受信部27により、その端末装置1Aに向けて、変換回数保持部24によって保持された自端末回数が、端末装置1Aにとっての他端末回数として、送信される(ステップS210)。その後、端末装置1Aにより、端末装置1Aに保持された自端末回数と、回数情報送受信部27により送信された他端末回数とが比較される(ステップS211)。
【0035】
その結果、端末装置1Aにおいて自端末回数が他端末回数より多いと判断された場合には(ステップS211;YES)、携帯電話端末1において、端末装置1Aから予測変換辞書データが受信された後に、辞書データ格納部30に格納されている予測変換辞書データに上書きされる(ステップS212)。一方、端末装置1Aにおいて自端末回数が他端末回数より少ない場合には(ステップS211;NO)、端末装置1Aにおいて、携帯電話端末1から予測変換辞書データが受信された後に、受信された予測変換辞書データが端末装置1Aに格納されている予測変換辞書データに上書きされる(ステップS213)。
【0036】
以上説明した携帯電話端末1によれば、予測変換辞書データを利用した文字変換処理の回数が自端末回数として検出され、無線通信可能なエリアの端末装置1A,1Bからその端末装置1A,1Bでの文字変換処理の回数が他端末回数として受信され、その自端末回数が他端末回数よりも多い場合には、予測変換辞書データが端末装置1A,1Bに送信され、自端末回数が他端末回数よりも少ない場合には、端末装置1A,1Bのうちの他端末回数が多い端末装置から受信された予測変換辞書データが予測変換辞書データに反映される。これにより、予測変換辞書データを用いた文字変換処理が頻繁に利用されている端末に保持されている予測変換辞書データが、その端末と無線通信可能な範囲に近づいた他の端末の予測変換辞書データに反映されるので、複数の端末装置1,1A,1B内でユーザの文字入力履歴が最も良く反映された予測変換辞書データを保持させることができる。その結果、複数の端末でユーザにとって最適化された予測変換候補を表示させることができ、スムーズな文字入力を実現し、文字変換入力を行う端末のユーザの利便性を高めることができる。
【0037】
携帯電話端末1は、端末検出部26によって検出された端末装置1A,1Bに向けて他端末回数の送信を要求するので、無線通信可能な範囲に近づいた端末との間で効率よく予測変換辞書データの同期を実行することができる。
【0038】
また、端末検出部26が位置変化検出部25によって移動が停止したタイミングで端末装置1A,1Bを検出することで、持ち運ばれた可能性の高い端末から他の端末装置の検出が開始されるので、ユーザによって利用された可能の高い端末によってデータの同期処理が開始される。これにより、動きが少なくユーザにより利用された可能性が少ない端末しか存在せず、データ同期の必要性がない場合までデータ同期処理を実行することを防げるので、複数の端末での無駄な電力消費を抑えることができる。また、移動された後に周辺の端末装置を検出することで効率的に端末装置を検出することもできる。
【0039】
さらに、端末検出部26は、端末装置群情報を参照して端末装置群に含まれる端末装置のみを検出するので、予め互いにデータ同期を行う複数の端末を登録しておきそれらの複数の端末間でデータ同期を実行することで、データ同期処理を効率的に実行させて、ユーザの利便性をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0040】
1…携帯電話端末(情報処理端末)、1A,1B…端末装置(情報処理端末)、24…変換回数保持部(回数情報保持手段)、25…位置変化検出部(位置変化検出手段)、26…端末検出部(端末検出手段)、27…辞書データ格納部(辞書データ格納手段)、27…回数情報送受信部(回数情報受信手段)、28…比較部(比較手段)、29…辞書データ通信部(辞書データ通信手段)、30…辞書データ格納部(辞書データ格納手段)、32…端末装置群情報格納部(端末装置群情報保持手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから入力された文字列に対して出力する予測変換辞書データを格納する辞書データ格納手段と、
前記予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、前記実行の回数に関する自端末回数を保持する回数情報保持手段と、
前記無線通信可能なエリアの端末装置から前記端末装置での文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を受信する回数情報受信手段と、
前記自端末回数と前記他端末回数とを比較する比較手段と、
前記自端末回数が前記他端末回数よりも多い場合には、前記予測変換辞書データを前記端末装置に送信し、前記自端末回数が前記他端末回数よりも少ない場合には、前記端末装置から予測変換辞書データを受信して前記辞書データ格納手段に格納されている前記予測変換辞書データに反映する辞書データ通信手段と、
を備えることを特徴とする情報処理端末。
【請求項2】
無線通信可能な端末装置を検出する端末検出手段をさらに備え、
回数情報受信手段は、前記端末検出手段によって検出された端末装置に向けて前記他端末回数の送信を要求する、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理端末。
【請求項3】
位置の変化を検出する位置変化検出手段をさらに備え、
前記端末検出手段は、前記位置変化検出手段によって位置の変化が少なくなったタイミングで前記端末装置を検出する、
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理端末。
【請求項4】
前記予測変換辞書データを共有する端末装置群を特定する端末装置群情報を保持する端末装置群情報保持手段をさらに備え、
前記端末検出手段は、端末装置群情報を参照して、前記端末装置群に含まれる端末装置を検出する、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理端末。
【請求項5】
辞書データ格納手段が、ユーザから入力された文字列に対して出力する予測変換辞書データを格納する辞書データ格納ステップと、
回数情報保持手段が、前記予測変換辞書データを利用した文字変換処理の実行を検出し、前記実行の回数に関する自端末回数を保持する回数情報保持ステップと、
回数情報受信手段が、前記無線通信可能なエリアの端末装置から前記端末装置での文字変換処理の実行回数に関する他端末回数を受信する回数情報受信ステップと、
比較手段が、前記自端末回数と前記他端末回数とを比較する比較ステップと、
辞書データ通信手段が、前記自端末回数が前記他端末回数よりも多い場合には、前記予測変換辞書データを前記端末装置に送信し、前記自端末回数が前記他端末回数よりも少ない場合には、前記端末装置から予測変換辞書データを受信して前記辞書データ格納手段に格納されている前記予測変換辞書データに反映する辞書データ通信ステップと、
を備えることを特徴とする辞書データ同期方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−208611(P2012−208611A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72418(P2011−72418)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】