説明

情報処理装置、サーバ装置、電力取引決済システム、電力取引の決済方法、及び情報処理方法

【課題】手軽かつリアルタイムに売電の対価を取得できるようにすること。
【解決手段】電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を介して、売電契約の締結直後に、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、電力取引の決済方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、サーバ装置、電力取引決済システム、電力取引の決済方法、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境の保護に対する意識の高まりや化石燃料の枯渇に対する危機感から再生可能エネルギーに対する人々の関心が高まってきている。再生可能エネルギーのエネルギー源は、例えば、水力、地熱、太陽光、太陽熱、潮汐、風力、バイオマスなどである。そのため、再生可能エネルギーは、ほとんど温室効果ガスを発生させずに生成することができる。こうした再生可能エネルギーに対する人々の関心の高まりを受け、再生可能エネルギーに対して付加的な価値を認めようとする動きが出てきている。例えば、再生可能エネルギーを利用して生成された電力(以下、グリーン電力)の環境価値を証明するグリーン電力証書というものが存在する。また、下記の特許文献1には、個人又は小口電力需要者が参加できるグリーン電力市場を構築するための仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−108655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、家庭や一般企業で発電したグリーン電力を気軽に売電する仕組みは実現されていない。例えば、家庭にある太陽光発電パネルを用いて発電した電力を売電するには、一定の売電期間を定めた上で電力会社と売電契約を結ぶ必要がある。また、売電価格も、電力会社が一方的に定めた金額に決められてしまう。さらに、売電対価の支払いが売電時に行われることはない。つまり、現状において、個人又は小口電力需要者は、気軽にグリーン電力を売電して対価を得ることができる状況にない。結果として、グリーン電力市場の規模が一向に拡大せず、また、家庭や一般企業における再生可能エネルギーの積極的な利用や、再生可能エネルギーを利用した発電設備の導入が一向に進まない。
【0005】
そこで、本技術は、上記のような事情を受けて考案されたものであり、手軽かつリアルタイムに売電の対価を取得できるようにすることが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、サーバ装置、電力取引決済システム、電力取引の決済方法、及び情報処理方法を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術のある観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
また、本技術の別の観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行する契約処理部を備え、前記契約処理部は、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する、サーバ装置が提供される。
【0008】
また、本技術の別の観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する、情報処理装置と;前記情報処理装置との間で前記売電契約に関する処理を実行し、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する契約処理部を有する、サーバ装置と;を含む、電力取引決済システムが提供される。
【0009】
また、本技術の別の観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を介して、売電契約の締結直後に、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、電力取引の決済方法が提供される。
【0010】
また、本技術の別の観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を有する情報処理装置が、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込むステップを含む、情報処理方法が提供される。
【0011】
また、本技術の別の観点によれば、電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行するサーバ装置が、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可するステップを含む、情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本技術によれば、手軽かつリアルタイムに売電の対価を取得できるようにすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本技術の第1実施形態に係るシステム構成例について説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る電力管理装置の機能構成について説明するための説明図である。
【図3】同実施形態に係る電力管理装置が売電契約の締結時に保持する情報の一例を示した説明図である。
【図4】同実施形態に係る売電決済システムの機能構成について説明するための説明図である。
【図5】同実施形態に係る売電決済システムが売電契約の締結時に保持する情報の一例を示した説明図である。
【図6】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係るシステムにおける逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図9】同実施形態に係る逆潮流期間及び売電契約の変形例について説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る逆潮流期間及び売電契約の変形例について説明するための説明図である。
【図11】同実施形態に係る逆潮流期間及び売電契約の変形例について説明するための説明図である。
【図12】同実施形態に係る逆潮流期間及び売電契約の変形例について説明するための説明図である。
【図13】同実施形態に係る売電契約の変形例及び当該変形例の適用時におけるシステムの処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図14】本技術の第2実施形態に係るシステム構成例について説明するための説明図である。
【図15】同実施形態に係る蓄電装置の機能構成について説明するための説明図である。
【図16】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図17】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図18】同実施形態に係るシステムにおける逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図19】本技術の第3実施形態に係るシステム構成例について説明するための説明図である。
【図20】同実施形態に係る電動移動体の機能構成について説明するための説明図である。
【図21】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図22】同実施形態に係るシステムにおける売電時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図23】同実施形態に係るシステムにおける逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【図24】本技術の第1〜第3実施形態に係る各構成要素の制御機能や演算処理機能を実現することが可能なハードウェア構成例について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本技術に係る好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
[説明の流れについて]
ここで、以下に記載する説明の流れについて簡単に述べる。
【0016】
まず、図1〜図13を参照しながら、本技術の第1実施形態に係るシステムの構成及び動作について説明する。次いで、図14〜図18を参照しながら、本技術の第2実施形態に係るシステムの構成及び動作について説明する。次いで、図15〜図23を参照しながら、本技術の第3実施形態に係るシステムの構成及び動作について説明する。次いで、図24を参照しながら、本技術の第1〜第3実施形態に係る各構成要素の制御機能や演算処理機能を実現することが可能なハードウェア構成例について説明する。最後に、同実施形態の技術的思想について纏め、当該技術的思想から得られる作用効果について簡単に説明する。
【0017】
(説明項目)
1:はじめに
2:第1実施形態(決済処理の主体=電力管理装置)
2−1:システム構成
2−2:装置構成
2−2−1:電力管理装置
2−2−2:売電決済システム
2−3:決済処理のシーケンス
2−4:逆潮流処理のシーケンス
2−5:逆潮流期間について
3:第2実施形態(決済処理の主体=蓄電装置)
3−1:システム構成
3−2:装置構成(蓄電装置)
3−3:決済処理のシーケンス
3−4:逆潮流処理のシーケンス
4:第3実施形態(決済処理の主体=電動移動体)
4−1:システム構成
4−2:装置構成(電動移動体)
4−3:決済処理のシーケンス
4−4:逆潮流処理のシーケンス
5:(補遺)ICカードの構成例
5−1:記憶領域の構造
5−2:回路構成
6:ハードウェア構成例
7:まとめ
【0018】
<1:はじめに>
はじめに、本技術の実施形態に係るシステムについて、その概要を簡単に述べる。本システムは、非接触通信が可能なIC(Integrated Circuit)カード又はICカード機能を搭載した電子機器を電力取引の決済に利用する仕組みを実現するものである。なお、本システムで利用を想定しているICカードは、クレジットカードやキャッシュカードのような信用情報(カードに紐付けられた個人と金融機関との信用関係)に基づく決済用のカードではなく、電子マネー情報をセキュアメモリに格納し、電子マネー情報が示す金額の増減により決済を行うカードである。
【0019】
もちろん、クレジットカードやキャッシュカードの機能と、電子マネーによる決済機能とが一体となったICカードも利用可能であるが、利用する機能は電子マネーによる決済機能である。電子マネーによる決済機能は、その機能を利用する個人と金融機関との間に信用関係がなくても利用できる。そのため、より手軽に売電の対価を得ることができるようになる。また、本システムは、リアルタイムに売電の対価を得られるようにする仕組みを有する。以下では、これらの仕組みを実現可能にするシステム構成例を紹介する。
【0020】
<2:第1実施形態(決済処理の主体=電力管理装置)>
本技術の第1実施形態について説明する。
【0021】
[2−1:システム構成(図1)]
まず、図1を参照しながら、本実施形態に係るシステムの一構成例について説明する。図1は、本実施形態に係るシステムの一構成例を示した説明図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、主に、家庭/企業10に構築された電力管理システム、電力取引管理会社が運用する売電決済システム20、及び電力会社30のシステムにより構成される。また、家庭/企業10に構築された電力管理システムは、発電装置101、蓄電装置102、DC/AC変換器103、分電盤104、電力管理装置105、電力消費装置106などにより構成される。なお、電力管理装置105は、ネットワークを介して売電決済システム20に接続される。また、売電決済システム20は、ネットワークを介して電力会社30のシステムに接続される。
【0023】
発電装置101としては、例えば、太陽光発電設備(太陽光パネル)、風力発電設備、地熱発電設備、太陽熱発電設備、潮汐発電設備、バイオマス発電設備などがある。また、蓄電装置102としては、例えば、蓄電池、コンデンサ、蓄電システムなどがある。さらに、蓄電池としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、NAS(ナトリウム硫黄)電池などがある。また、コンデンサとしては、例えば、電界コンデンサ、セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなどがある。
【0024】
発電装置101が発電した電力は、蓄電装置102に供給され、蓄電装置102に蓄えられる。蓄電装置102に蓄えられた電力は、DC/AC変換器103を介して電力消費装置106に供給される。電力消費装置106は、例えば、家電製品、空調設備、OA機器、コンピュータなどの電化製品である。また、電気自動車や電動自転車などのバッテリチャージャーなども電力消費装置106の一種である。これらの電力消費装置106は、多くの場合、AC電源に接続して利用できるように設計されている。そのため、蓄電装置102から出力されるDC電流を利用する場合、DC/AC変換器103を利用してDC電流をAC電流に変換する必要がある。
【0025】
また、電力会社30と家庭/企業10とを結ぶ系統電力線もAC電流が流れるように設計されている。そのため、蓄電装置102に蓄えられた電力を電力会社30に逆潮流する場合も、蓄電装置102から出力されるDC電流をAC電流に変換する必要がある。なお、逆潮流とは、電力会社30などの電力供給源に向けて電力を供給することを意味する。具体的には、蓄電装置102から出力されたDC電流がDC/AC変換器103によりAC電流に変換され、分電盤104を介して電力会社30へと供給される。また、逆潮流する電力量や逆潮流のタイミングなどは、電力管理装置105により管理される。
【0026】
上記のように、蓄電装置102に蓄えられた電力は、電力消費装置106により家庭/企業10の内部で消費されたり、或いは、電力会社30に逆潮流されたりする。こうした電力の消費状況や蓄電装置102の充放電管理などは、電力管理装置105により行われる。例えば、電力管理装置105は、発電装置101による発電状況を監視する。また、電力管理装置105は、蓄電装置102の蓄電状況を監視する。さらに、電力管理装置105は、発電状況や蓄電状況などの情報を画面に表示したり、音声で出力したりする。
【0027】
また、電力管理装置105は、蓄電装置102の充放電を制御する。例えば、電力管理装置105は、売電決済システム20との間で締結した売電契約に従い、売電決済システム20による逆潮流の要求に応じて蓄電装置102の放電を実行したり、蓄電装置102の蓄電量が売電予定の電力量を下回らないように放電量を抑制したりする。こうした充放電制御の具体的な方法については後段において詳述する。なお、電力管理装置105は、昼夜などの時間帯情報、天気予報などの環境情報、或いは、売電レートなどの市場情報に基づいて好適な蓄電量となるように蓄電装置102の充放電を制御する機能が設けられていてもよい。
【0028】
以上、本実施形態に係るシステムの構成例について説明した。
【0029】
[2−2:装置構成]
次に、本実施形態に係るシステムを構成する電力管理装置105及び売電決済システム20の機能構成について詳細に説明する。
【0030】
(2−2−1:電力管理装置(図2、図3))
まず、図2を参照しながら、電力管理装置105の機能構成について、より詳細に説明する。図2は、電力管理装置105の機能構成例を示した説明図である。
【0031】
図2に示すように、電力管理装置105は、主に、音声出力部111と、表示部112と、情報出力部113と、入力部114と、通信部115と、契約処理部116と、決済処理部117と、リーダ/ライタ118と、蓄電管理部119とにより構成される。また、契約処理部116は、レート取得部131及び金額算出部132を含む。
【0032】
音声出力部111は、音声を出力するオーディオデバイスである。表示部112は、情報を表示する表示デバイスである。表示部112としては、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electro−Luminescence Display)などの表示デバイスを利用することができる。情報出力部113は、音声出力部111を用いて情報を音声で出力したり、表示部112を用いて情報を画像やテキストで出力したりする。情報出力部113が出力する情報としては、例えば、発電装置101の発電量、蓄電装置102の蓄電量、天気予報、売電レート、売電契約に関する情報、操作用の情報(GUI)、日付・時刻、電力消費量などの情報がある。
【0033】
ユーザは、情報出力部113が出力した情報に基づいて売電契約に関する意志決定を行ったり、蓄電装置102の充放電制御に関する設定を行ったりする。このとき、ユーザは、入力部114を利用して電力管理装置105に情報を入力する。入力部114としては、例えば、タッチパネル、タッチパッド、ボタン、レバー、キーボード、マウス、トラックボールなどの入力デバイスを利用することができる。但し、入力部114としてタッチパネルを利用する場合、表示部112と入力部114とが一体に形成される。なお、入力部114を介して情報が入力されると、入力された情報は、情報出力部113や契約処理部116などに入力される。
【0034】
また、通信部115は、ネットワークを介して、少なくとも売電決済システム20と通信することが可能な通信デバイスである。通信部115としては、例えば、無線LAN、有線LAN、固定電話回線、携帯電話回線、光ファイバー、ADSL、電力線通信などの通信手段を利用して通信可能な通信デバイスである。例えば、情報出力部113は、通信部115を介して天気予報や売電レートを取得して表示部112に表示する。また、後述する契約処理部116は、通信部115を介して売電レートを取得したり、売電決済システム20と情報をやり取りしたりする。さらに、後述する決済処理部117や蓄電管理部119も、通信部115を介して売電決済システム20と情報をやり取りする。
【0035】
契約処理部116は、売電決済システム20との間で売電契約を締結するための処理を実行する。ユーザが入力部114を介して売電開始の操作を行うと、まず、契約処理部116は、レート取得部131の機能により、通信部115を介して電力取引市場又は電力会社30から現時点における売電レートを取得する。また、契約処理部116は、売電可能な電力量及び売電量の入力を促す情報を表示部112に表示させる。売電可能な電力量は、例えば、蓄電装置102の蓄電量から既に売電契約が確定している売電量を差し引いた電力量である。
【0036】
ユーザが入力部114を介して売電量を入力すると、契約処理部116は、金額算出部132の機能により、売電レート及び売電量に基づく売電金額を算出する。なお、契約処理部116は、金額算出部132の機能により、売電時に売電決済システム20や電力会社30に支払う手数料を差し引いた売電金額を算出するように構成されていてもよい。売電金額を算出すると、契約処理部116は、算出した売電金額を表示部112に表示させる。このとき、契約処理部116は、売電金額と共に手数料の金額を表示部112に表示させるように構成されていてもよい。また、契約処理部116は、表示部112に表示させた売電金額にて売電契約を締結するか否かの入力をユーザに求める。
【0037】
ユーザが入力部114を介して売電契約を締結する意志を示した場合、契約処理部116は、通信部115を介して、売電量、売電レート、契約日時などの情報を含む契約情報(図3を参照)を売電決済システム20に送信する。送信した契約情報の内容で売電契約を締結する旨の応答を売電決済システム20から受けた場合、契約処理部116は、売電契約の締結が成功したことを示す情報を表示部112に表示させ、売電決済システム20に送信した契約情報を記録装置(非図示)に格納する。さらに、契約処理部116は、売電金額の情報を決済処理部117に入力する。そして、契約処理部116は、リーダ/ライタ118にICカード40を翳すように促す情報を表示部112に表示させる。
【0038】
また、契約処理部116は、売電量の情報を蓄電管理部119に入力する。売電量の情報が入力されると、蓄電管理部119は、蓄電装置102の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する。例えば、逆潮流を許可する期間(以下、逆潮流期間)が決まっている場合、蓄電管理部119は、逆潮流期間の間、蓄電装置102の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。また、逆潮流期間が決まっていない場合、蓄電管理部119は、逆潮流が実行されるまで、蓄電装置102の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。なお、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部119は、全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電装置102の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。
【0039】
また、リーダ/ライタ118にICカード40が翳された場合、決済処理部117は、リーダ/ライタ118を介して、売電金額分の電子マネー情報をICカード40に書き込む。なお、ICカード40が翳されたか否かの判定は、例えば、ICカード40とリーダ/ライタ118との間の相互認証が完了した際にリーダ/ライタ118から認証完了の通知が決済処理部117へと入力されるようにする仕組みを用いて実現可能である。また、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗した場合、決済処理部117は、書き込みの失敗を契約処理部116及び蓄電管理部119に通知する。
【0040】
書き込み失敗の通知を受けた蓄電管理部119は、蓄電装置102の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する制御を中止する。但し、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部119は、書き込みが失敗した今回の売電契約を除く全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電装置102の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。一方、書き込み失敗の通知を受けた契約処理部116は、記録装置(非図示)に格納した契約情報を消去し、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知する。
【0041】
なお、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に、すぐに売電契約を取り消すのではなく、再びICカード40をリーダ/ライタ118に翳すようにユーザを促し、ICカード40への書き込み処理を再実行するように構成されていてもよい。この場合、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗しても、書き込み処理を再実行している間、契約処理部116は、契約情報の消去を行わず、売電決済システム20に対する売電契約の取り消しも行わない。さらに、蓄電管理部119は、書き込み処理を再実行している間、蓄電装置102に対する放電制御を維持する。
【0042】
ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに成功すると、決済処理部117は、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する。また、売電決済システム20から逆潮流の要求を受けた場合、蓄電管理部119は、要求を受けた量の電力を蓄電装置102から電力会社30へ向けて放電する。逆潮流を完了すると、契約処理部116は、売電契約時に定めた売電量と逆潮流した電力量との差分を示す情報を契約情報に対応付けて保持する。また、売電契約時に定めた売電量と等しい量の電力を全て逆潮流した場合、契約処理部116は、契約情報を消去する。なお、逆潮流期間が設定されている場合、蓄電管理部119は、逆潮流の要求を受けた日時が逆潮流期間内か否かを判定し、逆潮流期間内である場合に蓄電装置102の放電を実行する。
【0043】
以上、電力管理装置105の機能構成について説明した。
【0044】
(2−2−2:売電決済システム(図4、図5))
次に、図4を参照しながら、売電決済システム20の機能構成について、より詳細に説明する。図4は、売電決済システム20の機能構成例を示した説明図である。
【0045】
図4に示すように、売電決済システム20は、主に、通信部201と、契約処理部202と、記憶部203と、逆潮流管理部204とにより構成される。
【0046】
通信部201は、ネットワークを介して、少なくとも電力管理装置105と通信することが可能な通信デバイスである。通信部201としては、例えば、無線LAN、有線LAN、固定電話回線、携帯電話回線、光ファイバー、ADSL、電力線通信などの通信手段を利用して通信可能な通信デバイスである。例えば、後述する契約処理部202は、通信部201を介して売電レートを取得したり、電力管理装置105との間で情報をやり取りしたりする。さらに、後述する逆潮流管理部204は、通信部201を介して電力管理装置105に電力の逆潮流を要求する。
【0047】
契約処理部202は、通信部201を介して電力管理装置105から契約情報(図3を参照)を受け取る。契約情報を受け取ると、契約処理部202は、契約情報に含まれる売電量と売電レートとに基づいて売電金額を算出する。なお、契約処理部202は、電力取引市場や電力会社30が提示する契約日時の売電レートを取得し、取得した売電レートに基づいて売電金額を算出するように構成されていてもよい。売電金額を算出すると、契約処理部202は、電力管理装置105の装置ID又は逆潮流時に電力を放電する蓄電装置102の装置ID、売電量、売電レート又は売電金額、及び契約日時を対応付けた契約情報を記憶部203に記録する(図5を参照)。なお、逆潮流期間が設定されている場合、契約処理部202は、契約情報に逆潮流期間を対応付けて保持する。
【0048】
契約情報を記憶部203に記録すると、契約処理部202は、通信部201を介して、電力管理装置105に対して売電契約の締結を通知する。このとき、契約処理部202は、売電金額を含む契約内容を示した情報を電力管理装置105に送信するように構成されていてもよい。売電契約の締結後、電力管理装置105から売電契約の取り消しが要求された場合、契約処理部202は、売電契約の取り消し処理を実行する。このとき、契約処理部202は、売電契約の取り消しを要求してきた電力管理装置105の装置ID又は蓄電装置102の装置IDを特定し、特定した装置IDに対応する契約情報などを記憶部203から消去する。そして、契約処理部202は、売電契約の取り消しが完了したことを電力管理装置105に通知する。
【0049】
売電契約の締結が完了し、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが成功した場合、逆潮流管理部204は、電力会社30からの求めに応じて電力管理装置105に電力の逆潮流を要求することが可能になる。なお、逆潮流期間が設定されている場合には、逆潮流期間において電力管理装置105に対する逆潮流の要求が可能となる。電力会社30から電力の逆潮流が要求された場合、逆潮流管理部204は、記憶部203に記録された契約情報などを参照し、逆潮流が要求された電力量を確保できるか否かを判断する。売電契約済みの総売電量が、要求された電力量に満たない場合、逆潮流管理部204は、電力会社30に対して逆潮流ができない旨を通知する。
【0050】
一方、売電契約済みの総電力量が、電力会社30から要求された電力量を上回っている場合、逆潮流管理部204は、売電契約を締結した電力管理装置105に対して、蓄電装置102に蓄えられた電力を放電するように要求する。また、逆潮流を要求した後、逆潮流管理部204は、逆潮流を要求した電力量を売電量から減算して、記憶部203に格納された契約情報を更新する。また、逆潮流管理部204は、売電量分の電力を全て逆潮流した電力管理装置105に対応する契約情報を消去する。例えば、図5に示した契約情報が記憶部203に格納されている場合において装置ID=0001の電力管理装置105が500Whの電力を逆潮流し終えた場合、逆潮流管理部204は、装置ID=0001に対応する契約情報を消去する。
【0051】
以上、売電決済システム20の機能構成について説明した。
【0052】
以上、本実施形態に係るシステムを構成する電力管理装置105及び売電決済システム20の機能構成について説明した。
【0053】
[2−3:決済処理のシーケンス(図6、図7)]
次に、図6及び図7を参照しながら、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明する。図6及び図7は、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスを示した説明図である。
【0054】
まず、図6を参照する。図6に示すように、まず、ユーザにより売電の開始操作が行われると、電力管理装置105は、ICカード40をリーダ/ライタ118に翳すように促す(S101)。ユーザがICカード40をリーダ/ライタ118に翳すと(S102)、電力管理装置105は、売電可能な電力量を取得し、売電可能な電力量及び売電量の候補を表示する(S103)。売電可能な電力量は、例えば、現時点における蓄電装置102の蓄電量から算出される。売電量の候補は、例えば、売電可能な電力量の100%、50%、20%などと表示されたり、100Wh、500Wh、1000Whなどと表示されたりする。また、ここでは売電量の候補を表示してユーザに選択される仕組みを例示するが、例えば、売電量の数値をユーザが直接入力する仕組みにしてもよい。
【0055】
売電可能な電力量及び売電量の候補が表示されると、ユーザは、表示された売電量の候補から売電を希望する売電量を選択する(S104)。売電量が選択されると、電力管理装置105は、現時点における売電レートを取得する(S105)。このとき、電力管理装置105は、必要に応じて売電に要する手数料を取得する。売電レートを取得すると、電力管理装置105は、取得した売電レートと売電量とを掛けて売電金額を算出し、算出した売電金額及び実行確認の情報を表示する(S106)。そして、電力管理装置105は、ユーザに対して売電を実行するか否かを確認する(S107)。売電を実行する場合、電力管理装置105は、処理をステップAに進める。一方、売電を実行しない場合、電力管理装置105は、処理をステップBに進め、一連の処理を終了する。
【0056】
図7に示すように、ステップS107において処理をステップAに進めた場合、電力管理装置105は、売電量などの情報(契約情報)を保持し、売電レートや売電量などの情報を売電決済システム20に送信する(S108)。売電レートや売電量などの情報を受信すると、売電決済システム20は、受信した売電レートや売電量などの情報から売電金額を算出し、売電金額、売電レートや売電量などの情報を記憶部203に格納する(S109)。次いで、売電決済システム20は、売電金額を確定し、電力管理装置105に対して売電金額の確定(売電契約の締結;電子マネー情報の書き込み許可)を通知する(S110)。
【0057】
売電決済システム20から通知を受けると、電力管理装置105は、リーダ/ライタ118を介して、確定した売電金額に相当する電子マネー情報をICカード40に書き込む(S111)。次いで、電力管理装置105は、ICカード40に電子マネー情報が正しく書き込まれたか否かを判定する(S112)。電子マネー情報の書き込みに成功した場合、電力管理装置105は、処理をステップS113に進める。一方、電子マネー情報の書き込みに失敗した場合、電力管理装置105は、処理をステップS114に進める。
【0058】
処理をステップS113に進めた場合、電力管理装置105は、売電量分の電力が蓄電装置102に維持されるようにロックし、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する(S113)。売電金額の支払い請求が完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS114に進めた場合、電力管理装置105は、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を消去する(S114)。また、売電契約の取り消し通知を受けた売電決済システム20は、売電契約の取り消しを確認し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を記憶部203から消去する(S114)。売電契約の取り消しが完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。
【0059】
以上、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明した。なお、売電決済システム20は、複数の電力管理装置105との間で同様の処理シーケンスを実行して売電契約を締結する。その結果、売電決済システム20の記憶部203には、図5に示すような情報が蓄積される。
【0060】
[2−4:逆潮流処理のシーケンス(図8)]
次に、図8を参照しながら、逆潮流時の処理シーケンスについて説明する。図8は、逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【0061】
図8に示すように、電力会社30により逆潮流の開始手続きが実行される(S121)。まず、電力会社30は、売電決済システム20に対して逆潮流を求める電力量を通知する(S122)。電力会社30から通知を受けると、売電決済システム20は、記憶部203に格納された情報を参照し、売電契約済みの電力量を合計し、その合計(以下、総蓄電量)が電力会社30の求める電力量(以下、逆潮流電力量)を上回るか否かを確認する(S123、S124)。総蓄電量が逆潮流電力量を上回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS125に進める。一方、総蓄電量が逆潮流電力量を下回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS126に進める。
【0062】
処理をステップS125に進めた場合、売電決済システム20は、逆潮流を実行可能な電力管理装置105を選択し、選択した電力管理装置105に対して逆潮流の実行命令を送信する(S125)。この実行命令を受けた電力管理装置105は、売電決済システム20により指定された電力量の電力を蓄電装置102から放電させ、逆潮流を実行する。逆潮流が完了すると、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS126に進めた場合、売電決済システム20は、電力会社30に対し、電力会社30が求める電力量を確保できない旨を通知する(S126)。この通知が行われた後、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。
【0063】
以上、逆潮流時の処理シーケンスについて説明した。なお、実際に逆潮流を実行する電力管理装置105を選択する方法としては、例えば、契約日時の古い順に選択する方法が考えられる。また、逆潮流電力量の確保に必要な電力管理装置105の数が最小になるように電力管理装置105を選択する方法も考えられる。さらに、安い売電レートで契約した電力管理装置105から順に選択する方法も考えられる。もちろん、状況に応じて、これら以外の好適な選択方法を適用することができる。
【0064】
[2−5:逆潮流期間について(図9〜図13)]
これまでは逆潮流期間の設定方法などについて詳細に述べてこなかったが、ここで逆潮流期間の設定意義や設定方法などについて説明を補足する。
【0065】
本実施形態に係るシステムでは、売電決済システム20(電力取引管理会社)と電力管理装置105(家庭/企業10)との間で電力の売買契約が結ばれ、契約締結時にリアルタイムで決済(ICカード40に対する電子マネー情報の書き込み)が完了する。一方で、現物である電力の授受は、電力管理装置105(実際には蓄電装置102)と電力会社30との間で実行される。また、電力の授受は、電力会社30による逆潮流の要求に応じて実行される。そのため、決済時期と現物の引き渡し時期とが乖離してしまう。また、本実施形態に係るシステムの場合、売電契約の締結後、蓄電装置102に蓄えられた電力量のうち、売電量分の電力はロックされる。そのため、売電契約の締結後、電力の授受が行われるまで、蓄電装置102に売電量分の電力を維持しておくことが必要になる。
【0066】
逆潮流期間について特段の定めがない場合、契約締結の時点から逆潮流が行われる時点までが逆潮流期間になる。図9に示すように、逆潮流期間の間、電力管理装置105は、蓄電装置102に売電量分Pの電力を維持する。そのため、蓄電装置102の蓄電量をPとすると、逆潮流期間の間、家庭/企業10において利用可能な電力量は、P−Pとなってしまう。例えば、P=Pとなった場合、電力管理装置105は、蓄電装置102の電力が放電されないように制御する。この状況では、家庭/企業10で消費される電力を電力会社30から売電した電力で賄う必要があり、余計なコストがかかってしまう。そのため、余計なコストがかかるリスクを考慮して売電価格を決めるか、リスクが許容可能な範囲になるように好適な逆潮流期間を設定するのが好ましい。
【0067】
また、決済時期と現物の引き渡し時期とが乖離する状況では、売電レートの変動に起因するリスクも考慮する必要がある。例えば、図10の例では、逆潮流期間をdtに設定した場合と、逆潮流期間をdt(dt>dt)に設定した場合とで売電レートに大幅な乖離が生じている。図10の例において、電力管理装置105は、契約締結時点tにおける売電レートrで決済している。そのため、逆潮流期間をdtに設定した場合における電力管理装置105側の損失drは、dr=(r−r)×売電量となる。一方、逆潮流期間をdtに設定した場合における電力管理装置105側の損失drは、dr=(r−r)×売電量(dr≫dr)となる。
【0068】
図10の例では、売電レートが急騰しているため、逆潮流期間が長くなることで電力管理装置105側の損失が大幅に膨らんでしまっている。逆に、売電レートが大幅に下落した場合、逆潮流期間が長くなることで電力会社30側に大きな損失が発生してしまう。このように、決済時期と現物の引き渡し時期とが乖離するシステムの場合、売電レートの変動リスクを考慮した売電価格を設定するか、或いは、売電レートの変動リスクが無視できるように好適な逆潮流期間を設定することが必要になる。また、リスクに応じた売電価格の算出には逆潮流期間を契約締結時に定めておく必要がある。そのため、逆潮流期間を設定する場合には、図11に示すように、契約情報に逆潮流期間を含める。
【0069】
なお、ここでは逆潮流期間の開始時点を契約締結時としたが、任意の時点に設定することも可能である。例えば、図12に示すように、逆潮流期間の開始時点を将来の日時に設定することも可能である。この場合、契約日時と逆潮流期間の開始時点とが離れているほど売電レートの変動リスクが増大するため、売電価格は高くなる。また、逆潮流期間が長いほど、売電量分の電力を蓄電装置102に維持しておく期間が長くなるため、売電価格は高くなる。本実施形態に係るシステムにおいては、売電量分の電力を蓄電装置102に維持するために契約締結後に放電をロックする構成としたが、逆潮流期間を将来に設定した場合には、逆潮流期間の開始時点から所定期間前の時点でロックするように構成されていてもよい。
【0070】
また、逆潮流期間において蓄電装置102に売電量分の電力が維持されていない状況又はその恐れが生じた場合、電力管理装置105が電力会社30又は他の電力管理装置105から電力の融通を受けられるように構成されていてもよい。つまり、電力管理装置105は、電力の逆取り引きを自動的に行う機能を有していてもよい。本実施形態に係るシステムのように、現物の引き渡しとは独立して、売電契約時にリアルタイムに対価の授受が行われるシステムの場合、リスクの考慮、現物の引き渡し期間の設定、自動逆取り引きの仕組みなどを備えておくことが好ましい。このような仕組みを設けることにより、安心して手軽に電力の売買を行うことができるようになる。
【0071】
ここで、図13を参照しながら、逆潮流期間を設定した場合における売電契約決定から逆潮流実行までの処理シーケンスについて述べる。図13は、逆潮流期間を設定した場合における売電契約決定から逆潮流実行までの処理シーケンスを示した説明図である。
【0072】
図13に示すように、まず、売電量、契約日時、逆潮流期間が決定される(S131)。この決定は、電力管理装置105側で自由に行えるようにしてもよいし、電力会社30や売電決済システム20から提示される候補に基づいて電力管理装置105側で行えるようにしてもよい。次いで、現在及び過去の売電レート(売電レートのカーブ)から契約日時における契約条件に見合った売電価格が算出される(S132)。売電価格の算出は、電力管理装置105で行ってもよいし、売電決済システム20で行ってもよい。また、契約条件を提示して外部機関に売電価格の算出を委託するように構成されていてもよい。
【0073】
次いで、電力管理装置105及び売電決済システム20は、手数料などを含む売電価格を確認し、確認した売電価格で売電契約を締結する(S133)。次いで、電力管理装置105は、締結した契約で定めた売電価格に相当する電子マネー情報をICカード40に書き込み(S134)、売電価格の支払い請求を発行する。その後、電力会社30から逆潮流を要求された場合、売電決済システム20は、逆潮流期間を考慮して逆潮流が可能な電力管理装置105を選択し、選択した電力管理装置105に逆潮流の実行命令を送信する(S135)。その後、実際に逆潮流が実行され、逆潮流期間を設定した場合における売電契約決定から逆潮流実行までの処理シーケンスが終了する。
【0074】
以上、逆潮流期間について説明した。なお、逆潮流期間を設定するか否かは任意である。また、売電契約日時から所定期間内に逆潮流を実行する旨を契約で予め設定しておいてもよい。所定期間が十分に短ければ、上記のようなリスクが大きな問題となる恐れも小さくて済み、システムを簡単化することが可能になる。また、システムの簡単化は、システムの構築コスト削減や電力管理装置105の低価格化に寄与する。
【0075】
以上、本技術の第1実施形態について説明した。本実施形態に係る仕組みを適用すると、リアルタイムに変動する売電レートに対応した売電が電子マネーを用いて可能になる。また、電力会社が自身の需要に応じて家庭や企業で蓄えた電力を、個々の家庭や企業を意識せずに電力取引管理会社を介して利用できるようになる。その結果、再生可能エネルギーによる発電設備の普及促進や、再生可能エネルギーの有効活用に寄与する。
【0076】
<3:第2実施形態(決済処理の主体=蓄電装置)>
次に、本技術の第2実施形態について説明する。本実施形態は、上記の第1実施形態に係る電力管理装置105の売電機能を蓄電装置102に内蔵させる仕組みに関する。売電機能を蓄電装置102に内蔵することで、電力管理装置105を別途用意する必要がなくなり、導入コストを低減することが可能になる。
【0077】
[3−1:システム構成(図14)]
まず、図14を参照しながら、本実施形態に係るシステムの一構成例について説明する。図14は、本実施形態に係るシステムの一構成例を示した説明図である。
【0078】
図14に示すように、本実施形態に係るシステムは、主に、家庭/企業10に構築された電力管理システム、電力取引管理会社が運用する売電決済システム20、及び電力会社30のシステムにより構成される。また、家庭/企業10に構築された電力管理システムは、発電装置101、蓄電装置102、DC/AC変換器103、分電盤104、電力消費装置106などにより構成される。なお、蓄電装置102は、ネットワークを介して売電決済システム20に接続される。また、売電決済システム20は、ネットワークを介して電力会社30のシステムに接続される。
【0079】
発電装置101としては、例えば、太陽光発電設備(太陽光パネル)、風力発電設備、地熱発電設備、太陽熱発電設備、潮汐発電設備、バイオマス発電設備などがある。また、蓄電装置102としては、例えば、蓄電池、コンデンサ、蓄電システムなどがある。さらに、蓄電池としては、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、NAS(ナトリウム硫黄)電池などがある。また、コンデンサとしては、例えば、電界コンデンサ、セラミックコンデンサ、電気二重層コンデンサなどがある。
【0080】
発電装置101が発電した電力は、蓄電装置102に供給され、蓄電装置102に蓄えられる。蓄電装置102に蓄えられた電力は、DC/AC変換器103を介して電力消費装置106に供給される。電力消費装置106は、例えば、家電製品、空調設備、OA機器、コンピュータなどの電化製品である。また、電気自動車や電動自転車などのバッテリチャージャーなども電力消費装置106の一種である。また、電力会社30と家庭/企業10とを結ぶ系統電力線もAC電流が流れるように設計されている。そのため、蓄電装置102に蓄えられた電力を電力会社30に逆潮流する場合、蓄電装置102から出力されるDC電流はDC/AC変換器103によりAC電流に変換される。
【0081】
また、逆潮流する電力量や逆潮流のタイミングなどは、蓄電装置102により管理される。例えば、蓄電装置102は、売電決済システム20との間で締結した売電契約に従い、売電決済システム20による逆潮流の要求に応じて放電を実行したり、蓄電量が売電予定の電力量を下回らないように放電量を抑制したりする。こうした充放電制御の具体的な方法については後段において詳述する。なお、蓄電装置102は、昼夜などの時間帯情報、天気予報などの環境情報、或いは、売電レートなどの市場情報に基づいて好適な蓄電量となるように充放電を制御する機能が設けられていてもよい。
【0082】
以上、本実施形態に係るシステムの構成例について説明した。
【0083】
[3−2:装置構成(蓄電装置)(図15)]
次に、図15を参照しながら、蓄電装置102の機能構成について、より詳細に説明する。図15は、蓄電装置102の機能構成例を示した説明図である。
【0084】
図15に示すように、蓄電装置102は、主に、音声出力部151と、表示部152と、情報出力部153と、入力部154と、通信部155と、契約処理部156と、決済処理部157と、リーダ/ライタ158と、蓄電管理部159と、蓄電部150とにより構成される。また、契約処理部156は、レート取得部171及び金額算出部172を含む。なお、蓄電部150は、実際に電力が蓄えられる蓄電デバイスである。また、売電に関する機能と蓄電デバイスとを別体で形成し、相互に接続した構成にしてもよい。
【0085】
音声出力部151は、音声を出力するオーディオデバイスである。表示部152は、情報を表示する表示デバイスである。表示部152としては、例えば、LCDやELDなどの表示デバイスを利用することができる。情報出力部153は、音声出力部151を用いて情報を音声で出力したり、表示部152を用いて情報を画像やテキストで出力したりする。情報出力部153が出力する情報としては、例えば、発電装置101の発電量、蓄電部150の蓄電量、天気予報、売電レート、売電契約に関する情報、操作用の情報(GUI)、日付・時刻、電力消費量などの情報がある。
【0086】
ユーザは、情報出力部153が出力した情報に基づいて売電契約に関する意志決定を行ったり、蓄電部150の充放電制御に関する設定を行ったりする。このとき、ユーザは、入力部154を利用して蓄電装置102に情報を入力する。入力部154としては、例えば、タッチパネル、タッチパッド、ボタン、レバー、キーボード、マウス、トラックボールなどの入力デバイスを利用することができる。但し、入力部154としてタッチパネルを利用する場合、表示部152と入力部154とが一体に形成される。なお、入力部154を介して情報が入力されると、入力された情報は、情報出力部153や契約処理部156などに入力される。
【0087】
また、通信部155は、ネットワークを介して、少なくとも売電決済システム20と通信することが可能な通信デバイスである。通信部155としては、例えば、無線LAN、有線LAN、固定電話回線、携帯電話回線、光ファイバー、ADSL、電力線通信などの通信手段を利用して通信可能な通信デバイスである。例えば、情報出力部153は、通信部155を介して天気予報や売電レートを取得して表示部152に表示する。また、後述する契約処理部156は、通信部155を介して売電レートを取得したり、売電決済システム20と情報をやり取りしたりする。さらに、後述する決済処理部157や蓄電管理部159も、通信部155を介して売電決済システム20と情報をやり取りする。
【0088】
契約処理部156は、売電決済システム20との間で売電契約を締結するための処理を実行する。ユーザが入力部154を介して売電開始の操作を行うと、まず、契約処理部156は、レート取得部171の機能により、通信部155を介して電力取引市場又は電力会社30から現時点における売電レートを取得する。また、契約処理部156は、売電可能な電力量及び売電量の入力を促す情報を表示部152に表示させる。売電可能な電力量は、例えば、蓄電部150の蓄電量から既に売電契約が確定している売電量を差し引いた電力量である。
【0089】
ユーザが入力部154を介して売電量を入力すると、契約処理部156は、金額算出部172の機能により、売電レート及び売電量に基づく売電金額を算出する。なお、契約処理部156は、金額算出部172の機能により、売電時に売電決済システム20や電力会社30に支払う手数料を差し引いた売電金額を算出するように構成されていてもよい。売電金額を算出すると、契約処理部156は、算出した売電金額を表示部152に表示させる。このとき、契約処理部156は、売電金額と共に手数料の金額を表示部152に表示させるように構成されていてもよい。また、契約処理部156は、表示部152に表示させた売電金額にて売電契約を締結するか否かの入力をユーザに求める。
【0090】
ユーザが入力部154を介して売電契約を締結する意志を示した場合、契約処理部156は、通信部155を介して、売電量、売電レート、契約日時などの情報を含む契約情報(図3を参照)を売電決済システム20に送信する。送信した契約情報の内容で売電契約を締結する旨の応答を売電決済システム20から受けた場合、契約処理部156は、売電契約の締結が成功したことを示す情報を表示部152に表示させ、売電決済システム20に送信した契約情報を記録装置(非図示)に格納する。さらに、契約処理部156は、売電金額の情報を決済処理部157に入力する。そして、契約処理部156は、リーダ/ライタ158にICカード40を翳すように促す情報を表示部152に表示させる。
【0091】
また、契約処理部156は、売電量の情報を蓄電管理部159に入力する。売電量の情報が入力されると、蓄電管理部159は、蓄電部150の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する。例えば、逆潮流期間が決まっている場合、蓄電管理部159は、逆潮流期間の間、蓄電部150の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。また、逆潮流期間が決まっていない場合、蓄電管理部159は、逆潮流が実行されるまで、蓄電部150の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。なお、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部159は、全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電部150の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。
【0092】
また、リーダ/ライタ158にICカード40が翳された場合、決済処理部157は、リーダ/ライタ158を介して、売電金額分の電子マネー情報をICカード40に書き込む。なお、ICカード40が翳されたか否かの判定は、例えば、ICカード40とリーダ/ライタ158との間の相互認証が完了した際にリーダ/ライタ158から認証完了の通知が決済処理部157へと入力されるようにする仕組みを用いて実現可能である。また、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗した場合、決済処理部157は、書き込みの失敗を契約処理部156及び蓄電管理部159に通知する。
【0093】
書き込み失敗の通知を受けた蓄電管理部159は、蓄電部150の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する制御を中止する。但し、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部159は、書き込みが失敗した今回の売電契約を除く全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電部150の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。一方、書き込み失敗の通知を受けた契約処理部156は、記録装置(非図示)に格納した契約情報を消去し、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知する。
【0094】
なお、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に、すぐに売電契約を取り消すのではなく、再びICカード40をリーダ/ライタ158に翳すようにユーザを促し、ICカード40への書き込み処理を再実行するように構成されていてもよい。この場合、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗しても、書き込み処理を再実行している間、契約処理部156は、契約情報の消去を行わず、売電決済システム20に対する売電契約の取り消しも行わない。さらに、蓄電管理部159は、書き込み処理を再実行している間、蓄電部150に対する放電制御を維持する。
【0095】
ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに成功すると、決済処理部157は、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する。また、売電決済システム20から逆潮流の要求を受けた場合、蓄電管理部159は、要求を受けた量の電力を蓄電部150から電力会社30へ向けて放電する。逆潮流を完了すると、契約処理部156は、売電契約時に定めた売電量と逆潮流した電力量との差分を示す情報を契約情報に対応付けて保持する。また、売電契約時に定めた売電量と等しい量の電力を全て逆潮流した場合、契約処理部156は、契約情報を消去する。なお、逆潮流期間が設定されている場合、蓄電管理部159は、逆潮流の要求を受けた日時が逆潮流期間内か否かを判定し、逆潮流期間内である場合に蓄電部150の放電を実行する。
【0096】
以上、蓄電装置102の機能構成について説明した。なお、売電決済システム20の機能構成は、上記の第1実施形態と同様である。
【0097】
[3−3:決済処理のシーケンス(図16、図17)]
次に、図16及び図17を参照しながら、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明する。図16及び図17は、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスを示した説明図である。
【0098】
まず、図16を参照する。図16に示すように、まず、ユーザにより売電の開始操作が行われると、蓄電装置102は、ICカード40をリーダ/ライタ158に翳すように促す(S201)。ユーザがICカード40をリーダ/ライタ158に翳すと(S202)、蓄電装置102は、売電可能な電力量を取得し、売電可能な電力量及び売電量の候補を表示する(S203)。売電可能な電力量は、例えば、現時点における蓄電部150の蓄電量から算出される。売電量の候補は、例えば、売電可能な電力量の100%、50%、20%などと表示されたり、100Wh、500Wh、1000Whなどと表示されたりする。また、ここでは売電量の候補を表示してユーザに選択される仕組みを例示するが、例えば、売電量の数値をユーザが直接入力する仕組みにしてもよい。
【0099】
売電可能な電力量及び売電量の候補が表示されると、ユーザは、表示された売電量の候補から売電を希望する売電量を選択する(S204)。売電量が選択されると、蓄電装置102は、現時点における売電レートを取得する(S205)。このとき、蓄電装置102は、必要に応じて売電に要する手数料を取得する。売電レートを取得すると、蓄電装置102は、取得した売電レートと売電量とを掛けて売電金額を算出し、算出した売電金額及び実行確認の情報を表示する(S206)。そして、蓄電装置102は、ユーザに対して売電を実行するか否かを確認する(S207)。売電を実行する場合、蓄電装置102は、処理をステップAに進める。一方、売電を実行しない場合、蓄電装置102は、処理をステップBに進め、一連の処理を終了する。
【0100】
図17に示すように、ステップS207において処理をステップAに進めた場合、蓄電装置102は、売電量などの情報(契約情報)を保持し、売電レートや売電量などの情報を売電決済システム20に送信する(S208)。売電レートや売電量などの情報を受信すると、売電決済システム20は、受信した売電レートや売電量などの情報から売電金額を算出し、売電金額、売電レートや売電量などの情報を記憶部203に格納する(S209)。次いで、売電決済システム20は、売電金額を確定し、蓄電装置102に対して売電金額の確定(売電契約の締結;電子マネー情報の書き込み許可)を通知する(S210)。
【0101】
売電決済システム20から通知を受けると、蓄電装置102は、リーダ/ライタ158を介して、確定した売電金額に相当する電子マネー情報をICカード40に書き込む(S211)。次いで、蓄電装置102は、ICカード40に電子マネー情報が正しく書き込まれたか否かを判定する(S212)。電子マネー情報の書き込みに成功した場合、蓄電装置102は、処理をステップS213に進める。一方、電子マネー情報の書き込みに失敗した場合、蓄電装置102は、処理をステップS214に進める。
【0102】
処理をステップS213に進めた場合、蓄電装置102は、売電量分の電力が蓄電部150に維持されるようにロックし、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する(S213)。売電金額の支払い請求が完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS214に進めた場合、蓄電装置102は、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を消去する(S214)。また、売電契約の取り消し通知を受けた売電決済システム20は、売電契約の取り消しを確認し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を記憶部203から消去する(S214)。売電契約の取り消しが完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。
【0103】
以上、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明した。なお、売電決済システム20は、複数の蓄電装置102との間で同様の処理シーケンスを実行して売電契約を締結する。なお、上記の第1実施形態に係る電力管理装置105がシステムに含まれる場合、売電決済システム20は、蓄電装置102の他、電力管理装置105との間でも同様の処理シーケンスを実行する。その結果、売電決済システム20の記憶部203には、図5に示すような情報が蓄積される。
【0104】
[3−4:逆潮流処理のシーケンス(図18)]
次に、図18を参照しながら、逆潮流時の処理シーケンスについて説明する。図18は、逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【0105】
図18に示すように、電力会社30により逆潮流の開始手続きが実行される(S221)。まず、電力会社30は、売電決済システム20に対して逆潮流を求める電力量を通知する(S222)。電力会社30から通知を受けると、売電決済システム20は、記憶部203に格納された情報を参照し、売電契約済みの電力量を合計し、その合計(総蓄電量)が電力会社30の求める電力量(逆潮流電力量)を上回るか否かを確認する(S223、S224)。総蓄電量が逆潮流電力量を上回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS225に進める。一方、総蓄電量が逆潮流電力量を下回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS226に進める。
【0106】
処理をステップS225に進めた場合、売電決済システム20は、逆潮流を実行可能な蓄電装置102を選択し、選択した蓄電装置102に対して逆潮流の実行命令を送信する(S225)。この実行命令を受けた蓄電装置102は、売電決済システム20により指定された電力量の電力を蓄電部150から放電し、逆潮流を実行する。逆潮流が完了すると、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS226に進めた場合、売電決済システム20は、電力会社30に対し、電力会社30が求める電力量を確保できない旨を通知する(S226)。この通知が行われた後、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。
【0107】
以上、逆潮流時の処理シーケンスについて説明した。なお、実際に逆潮流を実行する蓄電装置102を選択する方法としては、例えば、契約日時の古い順に選択する方法が考えられる。また、逆潮流電力量の確保に必要な蓄電装置102の数が最小になるように蓄電装置102を選択する方法も考えられる。さらに、安い売電レートで契約した蓄電装置102から順に選択する方法も考えられる。もちろん、状況に応じて、これら以外の好適な選択方法を適用することができる。なお、上記の第1実施形態に係る電力管理装置105がシステムに含まれる場合、売電決済システム20は、蓄電装置102の他、電力管理装置105も考慮して逆潮流に係る処理シーケンスを実行する。
【0108】
以上、本技術の第2実施形態について説明した。本実施形態に係る仕組みを適用すると、リアルタイムに変動する売電レートに対応した売電が電子マネーを用いて可能になる。また、電力会社が自身の需要に応じて家庭や企業で蓄えた電力を、個々の家庭や企業を意識せずに電力取引管理会社を介して利用できるようになる。その結果、再生可能エネルギーによる発電設備の普及促進や、再生可能エネルギーの有効活用に寄与する。さらに、売電機能を蓄電装置102に内蔵することで、電力管理装置105を別途用意する必要がなくなり、導入コストを低減することが可能になる。
【0109】
<4:第3実施形態(決済処理の主体=電動移動体)>
次に、本技術の第3実施形態について説明する。本実施形態は、上記の第2実施形態に係る蓄電装置102の機能を電動移動体50に内蔵させる仕組みに関する。電動移動体50を蓄電デバイスとして利用できるようにすることで、上記の第1実施形態に係る高機能な電力管理装置105や、現状では高価な蓄電装置102を用意しなくても、環境状況や市場状況などを考慮した効率的な電力管理や売電などが可能になる。その結果、各種設備の設置コストが低減され、導入障壁が低くなる。
【0110】
[4−1:システム構成(図19)]
まず、図19を参照しながら、本実施形態に係るシステムの一構成例について説明する。図19は、本実施形態に係るシステムの一構成例を示した説明図である。
【0111】
図19に示すように、本実施形態に係るシステムは、主に、家庭/企業10に構築された電力管理システム、電力取引管理会社が運用する売電決済システム20、電力会社30のシステム、及び電動移動体50により構成される。なお、電動移動体50は、ネットワークを介して売電決済システム20に接続される。また、売電決済システム20は、ネットワークを介して電力会社30のシステムに接続される。また、家庭/企業10に構築された電力管理システムは、上記の第1及び第2実施形態において説明した、発電装置101、DC/AC変換器103、分電盤104、電力消費装置106を含む。もちろん、この電力管理システムに蓄電装置102や電力管理装置105が含まれていてもよい。
【0112】
本実施形態に係るシステムの場合、売電に関する情報のやり取りやユーザによる操作は、電動移動体50において行われる。また、電動移動体50は、家庭/企業10の電力線を介して電力会社30の系統電力線と接続される。そのため、電力の逆潮流を実行する場合、電動移動体50と家庭/企業10の電力線とが接続されている必要がある。例えば、逆潮流期間を設定しておき、逆潮流期間の間、電動移動体50と家庭/企業10の電力線とを接続する接続端子がロックされるように構成されていてもよい。或いは、逆潮流期間が近づいた場合に、家庭/企業10の電力線に電動移動体50を接続するように促す表示や音声が電動移動体50から出力されるように構成されていてもよい。
【0113】
このように、電動移動体50を利用する場合には様々な工夫が必要になるが、家庭/企業10に上記の第2実施形態に係る蓄電装置102を設置する場合と同様に、電動移動体50を利用することができる。
【0114】
以上、本実施形態に係るシステムの構成例について説明した。
【0115】
[4−2:装置構成(電動移動体)(図20)]
次に、図20を参照しながら、電動移動体50の機能構成について、より詳細に説明する。図20は、電動移動体50の機能構成例を示した説明図である。
【0116】
図20に示すように、電動移動体50は、主に、制御装置CUと、蓄電部510と、駆動部511とにより構成される。蓄電部510は、実際に電力が蓄えられる蓄電デバイスである。また、駆動部511は、蓄電部510に蓄えられた電力を利用して電動移動体50を駆動する駆動デバイスである。また、制御装置CUは、音声出力部501と、表示部502と、情報出力部503と、入力部504と、通信部505と、契約処理部506と、決済処理部507と、リーダ/ライタ508と、蓄電管理部509とにより構成される。また、契約処理部506は、レート取得部531及び金額算出部532を含む。
【0117】
音声出力部501は、音声を出力するオーディオデバイスである。表示部502は、情報を表示する表示デバイスである。表示部502としては、例えば、LCDやELDなどの表示デバイスを利用することができる。情報出力部503は、音声出力部501を用いて情報を音声で出力したり、表示部502を用いて情報を画像やテキストで出力したりする。情報出力部503が出力する情報としては、例えば、蓄電部510の蓄電量、天気予報、売電レート、売電契約に関する情報、操作用の情報(GUI)、日付・時刻、電力消費量などの情報がある。
【0118】
ユーザは、情報出力部503が出力した情報に基づいて売電契約に関する意志決定を行ったり、蓄電部510の充放電制御に関する設定を行ったりする。このとき、ユーザは、入力部504を利用して情報を入力する。入力部504としては、例えば、タッチパネル、タッチパッド、ボタン、レバー、キーボード、マウス、トラックボールなどの入力デバイスを利用することができる。但し、入力部504としてタッチパネルを利用する場合、表示部502と入力部504とが一体に形成される。なお、入力部504を介して情報が入力されると、入力された情報は、情報出力部503や契約処理部506などに入力される。
【0119】
また、通信部505は、ネットワークを介して、少なくとも売電決済システム20と通信することが可能な通信デバイスである。通信部505としては、例えば、無線LAN、有線LAN、固定電話回線、携帯電話回線、光ファイバー、ADSL、電力線通信などの通信手段を利用して通信可能な通信デバイスである。例えば、情報出力部503は、通信部505を介して天気予報や売電レートを取得して表示部502に表示する。また、後述する契約処理部506は、通信部505を介して売電レートを取得したり、売電決済システム20と情報をやり取りしたりする。さらに、後述する決済処理部507や蓄電管理部509も、通信部505を介して売電決済システム20と情報をやり取りする。
【0120】
契約処理部506は、売電決済システム20との間で売電契約を締結するための処理を実行する。ユーザが入力部504を介して売電開始の操作を行うと、まず、契約処理部506は、レート取得部531の機能により、通信部505を介して電力取引市場又は電力会社30から現時点における売電レートを取得する。また、契約処理部506は、売電可能な電力量及び売電量の入力を促す情報を表示部502に表示させる。売電可能な電力量は、例えば、蓄電部510の蓄電量から既に売電契約が確定している売電量を差し引いた電力量である。
【0121】
ユーザが入力部504を介して売電量を入力すると、契約処理部506は、金額算出部532の機能により、売電レート及び売電量に基づく売電金額を算出する。なお、契約処理部506は、金額算出部532の機能により、売電時に売電決済システム20や電力会社30に支払う手数料を差し引いた売電金額を算出するように構成されていてもよい。売電金額を算出すると、契約処理部506は、算出した売電金額を表示部502に表示させる。このとき、契約処理部506は、売電金額と共に手数料の金額を表示部502に表示させるように構成されていてもよい。また、契約処理部506は、表示部502に表示させた売電金額にて売電契約を締結するか否かの入力をユーザに求める。
【0122】
ユーザが入力部504を介して売電契約を締結する意志を示した場合、契約処理部506は、通信部505を介して、売電量、売電レート、契約日時などの情報を含む契約情報(図3を参照)を売電決済システム20に送信する。送信した契約情報の内容で売電契約を締結する旨の応答を売電決済システム20から受けた場合、契約処理部506は、売電契約の締結が成功したことを示す情報を表示部502に表示させ、売電決済システム20に送信した契約情報を記録装置(非図示)に格納する。さらに、契約処理部506は、売電金額の情報を決済処理部507に入力する。そして、契約処理部506は、リーダ/ライタ508にICカード40を翳すように促す情報を表示部502に表示させる。
【0123】
また、契約処理部506は、売電量の情報を蓄電管理部509に入力する。売電量の情報が入力されると、蓄電管理部509は、蓄電部510の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する。例えば、逆潮流期間が決まっている場合、蓄電管理部509は、逆潮流期間の間、蓄電部510の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。また、逆潮流期間が決まっていない場合、蓄電管理部509は、逆潮流が実行されるまで、蓄電部510の蓄電量が売電量を下回らないように制御する。なお、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部509は、全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電部510の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。
【0124】
また、リーダ/ライタ508にICカード40が翳された場合、決済処理部507は、リーダ/ライタ508を介して、売電金額分の電子マネー情報をICカード40に書き込む。なお、ICカード40が翳されたか否かの判定は、例えば、ICカード40とリーダ/ライタ508との間の相互認証が完了した際にリーダ/ライタ508から認証完了の通知が決済処理部507へと入力されるようにする仕組みを用いて実現可能である。また、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗した場合、決済処理部507は、書き込みの失敗を契約処理部506及び蓄電管理部509に通知する。
【0125】
書き込み失敗の通知を受けた蓄電管理部509は、蓄電部510の蓄電量が売電量を下回らないように放電量を制限する制御を中止する。但し、売電契約が複数存在する場合、蓄電管理部509は、書き込みが失敗した今回の売電契約を除く全ての売電契約について売電量の合計を算出し、蓄電部510の蓄電量が合計の売電量を下回らないように制御する。一方、書き込み失敗の通知を受けた契約処理部506は、記録装置(非図示)に格納した契約情報を消去し、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知する。
【0126】
なお、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に、すぐに売電契約を取り消すのではなく、再びICカード40をリーダ/ライタ508に翳すようにユーザを促し、ICカード40への書き込み処理を再実行するように構成されていてもよい。この場合、ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みが失敗しても、書き込み処理を再実行している間、契約処理部506は、契約情報の消去を行わず、売電決済システム20に対する売電契約の取り消しも行わない。さらに、蓄電管理部509は、書き込み処理を再実行している間、蓄電部510に対する放電制御を維持する。
【0127】
ICカード40に対する電子マネー情報の書き込みに成功すると、決済処理部507は、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する。また、売電決済システム20から逆潮流の要求を受けた場合、蓄電管理部509は、要求を受けた量の電力を蓄電部510から電力会社30へ向けて放電する。逆潮流を完了すると、契約処理部506は、売電契約時に定めた売電量と逆潮流した電力量との差分を示す情報を契約情報に対応付けて保持する。また、売電契約時に定めた売電量と等しい量の電力を全て逆潮流した場合、契約処理部506は、契約情報を消去する。なお、逆潮流期間が設定されている場合、蓄電管理部509は、逆潮流の要求を受けた日時が逆潮流期間内か否かを判定し、逆潮流期間内である場合に蓄電部510の放電を実行する。
【0128】
以上、電動移動体50の機能構成について説明した。なお、売電決済システム20の機能構成は、上記の第1実施形態と同様である。また、上記説明では、電動移動体50として電気自動車や電動二輪車などを想定していたが、ハイブリッド自動車などに同様の仕組みを設けることも可能である。
【0129】
[4−3:決済処理のシーケンス(図21、図22)]
次に、図21及び図22を参照しながら、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明する。図21及び図22は、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスを示した説明図である。
【0130】
まず、図21を参照する。図21に示すように、まず、ユーザにより売電の開始操作が行われると、電動移動体50は、ICカード40をリーダ/ライタ508に翳すように促す(S301)。ユーザがICカード40をリーダ/ライタ508に翳すと(S302)、電動移動体50は、売電可能な電力量を取得し、売電可能な電力量及び売電量の候補を表示する(S303)。売電可能な電力量は、例えば、現時点における蓄電部510の蓄電量から算出される。売電量の候補は、例えば、売電可能な電力量の100%、50%、20%などと表示されたり、100Wh、500Wh、1000Whなどと表示されたりする。また、ここでは売電量の候補を表示してユーザに選択される仕組みを例示するが、例えば、売電量の数値をユーザが直接入力する仕組みにしてもよい。
【0131】
売電可能な電力量及び売電量の候補が表示されると、ユーザは、表示された売電量の候補から売電を希望する売電量を選択する(S304)。売電量が選択されると、電動移動体50は、現時点における売電レートを取得する(S305)。このとき、電動移動体50は、必要に応じて売電に要する手数料を取得する。売電レートを取得すると、電動移動体50は、取得した売電レートと売電量とを掛けて売電金額を算出し、算出した売電金額及び実行確認の情報を表示する(S306)。そして、電動移動体50は、ユーザに対して売電を実行するか否かを確認する(S307)。売電を実行する場合、電動移動体50は、処理をステップAに進める。一方、売電を実行しない場合、電動移動体50は、処理をステップBに進め、一連の処理を終了する。
【0132】
図22に示すように、ステップS307において処理をステップAに進めた場合、電動移動体50は、売電量などの情報(契約情報)を保持し、売電レートや売電量などの情報を売電決済システム20に送信する(S308)。売電レートや売電量などの情報を受信すると、売電決済システム20は、受信した売電レートや売電量などの情報から売電金額を算出し、売電金額、売電レートや売電量などの情報を記憶部203に格納する(S309)。次いで、売電決済システム20は、売電金額を確定し、電動移動体50に対して売電金額の確定(売電契約の締結;電子マネー情報の書き込み許可)を通知する(S310)。
【0133】
売電決済システム20から通知を受けると、電動移動体50は、リーダ/ライタ508を介して、確定した売電金額に相当する電子マネー情報をICカード40に書き込む(S311)。次いで、電動移動体50は、ICカード40に電子マネー情報が正しく書き込まれたか否かを判定する(S312)。電子マネー情報の書き込みに成功した場合、電動移動体50は、処理をステップS313に進める。一方、電子マネー情報の書き込みに失敗した場合、電動移動体50は、処理をステップS314に進める。
【0134】
処理をステップS313に進めた場合、電動移動体50は、売電量分の電力が蓄電部510に維持されるようにロックし、売電決済システム20に対して売電金額の支払いを請求する(S313)。売電金額の支払い請求が完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS314に進めた場合、電動移動体50は、売電契約の取り消しを売電決済システム20に通知し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を消去する(S314)。また、売電契約の取り消し通知を受けた売電決済システム20は、売電契約の取り消しを確認し、取り消す契約に関する契約情報などの情報を記憶部203から消去する(S314)。売電契約の取り消しが完了すると、一連の処理シーケンスが終了する。
【0135】
以上、売電契約の締結から売電金額の決済に至る処理シーケンスについて説明した。なお、売電決済システム20は、複数の電動移動体50との間で同様の処理シーケンスを実行して売電契約を締結する。なお、上記の第1実施形態に係る電力管理装置105、上記の第2実施形態に係る蓄電装置102がシステムに含まれる場合、売電決済システム20は、電動移動体50の他、蓄電装置102や電力管理装置105との間でも同様の処理シーケンスを実行する。その結果、売電決済システム20の記憶部203には、図5に示すような情報が蓄積される。
【0136】
[4−4:逆潮流処理のシーケンス(図23)]
次に、図23を参照しながら、逆潮流時の処理シーケンスについて説明する。図23は、逆潮流時の処理シーケンスについて説明するための説明図である。
【0137】
図23に示すように、電力会社30により逆潮流の開始手続きが実行される(S321)。まず、電力会社30は、売電決済システム20に対して逆潮流を求める電力量を通知する(S322)。電力会社30から通知を受けると、売電決済システム20は、記憶部203に格納された情報を参照し、売電契約済みの電力量を合計し、その合計(総蓄電量)が電力会社30の求める電力量(逆潮流電力量)を上回るか否かを確認する(S323、S324)。総蓄電量が逆潮流電力量を上回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS325に進める。一方、総蓄電量が逆潮流電力量を下回る場合、売電決済システム20は、処理をステップS326に進める。
【0138】
処理をステップS325に進めた場合、売電決済システム20は、逆潮流を実行可能な電動移動体50を選択し、選択した電動移動体50に対して逆潮流の実行命令を送信する(S325)。この実行命令を受けた電動移動体50は、売電決済システム20により指定された電力量の電力を蓄電部510から放電し、逆潮流を実行する。逆潮流が完了すると、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。一方、処理をステップS326に進めた場合、売電決済システム20は、電力会社30に対し、電力会社30が求める電力量を確保できない旨を通知する(S326)。この通知が行われた後、逆潮流に関する一連の処理シーケンスが終了する。
【0139】
以上、逆潮流時の処理シーケンスについて説明した。なお、実際に逆潮流を実行する電動移動体50を選択する方法としては、例えば、GPSなどを利用して現在地が家庭/企業10の所在地である電動移動体50を選択する方法などが考えられる。なお、上記の第1実施形態に係る電力管理装置105や上記の第2実施形態に係る蓄電装置102がシステムに含まれる場合、売電決済システム20は、電動移動体50の他、蓄電装置102や電力管理装置105も考慮して逆潮流に係る処理シーケンスを実行する。
【0140】
以上、本技術の第3実施形態について説明した。本実施形態に係る仕組みを適用すると、リアルタイムに変動する売電レートに対応した売電が電子マネーを用いて可能になる。また、上記の第1及び第2実施形態に係る蓄電装置102などの設備を新たに導入せずとも、電動移動体50を利用して電力管理や売電が可能になり、導入コストが抑えられ、市場拡大に寄与する。その結果、再生可能エネルギーによる発電設備の普及促進や、再生可能エネルギーの有効活用に寄与する。
【0141】
<5:(補遺)ICカードの構成例>
ここで、ICカードの構成例について説明を補足する。
【0142】
ICカードは、電子機器に搭載された特定のアプリケーション又はアクセス認証が成功したリーダ/ライタによりアクセス可能なセキュアメモリ(以下、記憶領域)を有している。この記憶領域は、複数のエリアで構成され、例えば、決済事業者エリアや提携先エリアなどのエリアに分けられている。また、この記憶領域は、階層的なエリア構造を有しており、サービス毎、或いは、ユーザ情報毎に階層が設けられている。さらに、エリア毎に認証鍵が設定されており、リーダ/ライダは、あるエリアにアクセスする際、そのエリアに設定された認証鍵を用いてアクセス認証を行う必要がある。そのため、各エリアに格納された情報は、独立してセキュアな状態に保たれる。
【0143】
[5−1:記憶領域の構造]
ここで、ICカードが有する記憶領域の構造について説明する。
【0144】
上記の通り、ICカードの記憶領域は、階層構造を有する。例えば、上位の階層から順に、システム定義ブロックSys、エリア定義ブロックA、サービス定義ブロックSvcなどのブロックが階層として設けられている。なお、サービス定義ブロックSvcには、ユーザ情報Uが格納される。
【0145】
(システム定義ブロックSys)
システム定義ブロックSysには、例えば、システムコード、システム鍵情報、システム鍵バージョン情報が格納される。システムコードは、システム定義ブロックSysに対応付けられたシステムの管理者を表す2バイト長のコードである。システム鍵情報は、システム定義ブロックSysにアクセスする際に、リーダ/ライタとICカードとの間で行う相互認証に用いる鍵情報である。システム鍵バージョン情報は、システム鍵情報の世代管理に利用するバージョン情報である。システム定義ブロックSysは、これらの情報に基づいてシステムの種別(例えば、リーダ/ライタの種別)と対応付けられる。
【0146】
(エリア定義ブロックA)
エリア定義ブロックAは、システム定義ブロックSysの下位に位置する階層である。エリア定義ブロックAには、例えば、エリアコード、エリア鍵情報、エリア鍵バージョン情報が格納される。エリアコードは、エリアを識別するためのコードである。エリアは、種別毎に纏めて管理されるサービスの一群を表す単位である。エリアの種別としては、例えば、改札に関係するサービス群の管理に用いる改札エリア、所定の決済に関係するサービス群の管理に用いる決済エリアなどがある。
【0147】
また、エリア鍵情報は、エリア定義ブロックAにアクセスする際に、リーダ/ライタとICカードとの間で行う相互認証に用いる鍵情報である。エリア鍵バージョン情報は、エリア鍵情報の世代管理に利用する情報である。エリア定義ブロックAは、これらの情報に基づいてエリアの種別(例えば、改札や決済など)と対応付けられる。
【0148】
(サービス定義ブロックSvc)
サービス定義ブロックSvcは、エリア定義ブロックAの下位に位置する階層である。サービス定義ブロックSvcには、例えば、サービスコード、サービス鍵情報、サービス鍵バージョン情報が格納される。サービスコードは、サービスの種別識別するためのコードである。サービスとは、ユーザ情報Uの種別を表す単位である。サービスには、例えば、ユーザが利用した乗車区間の管理に利用する乗車区間サービス、ユーザが利用した決済情報(例えば、残高など)の管理に利用する決済サービスなどがある。
【0149】
また、サービス鍵情報は、サービス定義ブロックSvcにアクセスする際に、リーダ/ライタとICカードとの間で行う相互認証に用いる鍵情報である。サービス鍵バージョン情報は、サービス鍵情報の世代管理に利用する情報である。サービス定義ブロックSvcは、これらの情報に基づいてサービスの種別(例えば、乗車区間や残高など)と対応付けられている。
【0150】
(ユーザ情報U)
ユーザ情報Uは、サービス定義ブロックSvcに格納される具体的な情報である。例えば、乗車区間サービスに対応するユーザ情報Uには、“乗車駅:新宿、降車駅:大崎”などの具体的な乗車区間を表す情報が含まれる。また、決済サービスに対応するユーザ情報Uには、“残高100円”、“残100ポイント”、“100”などの具体的な残高を表す情報が含まれる。これらのユーザ情報Uは、リーダ/ライタを介して実際に読み書きされる情報である。
【0151】
上記のように、記憶領域を階層構造にした上で、階層毎に相互認証用の鍵情報を格納しておき、各階層にアクセスする際に相互認証を要求することで、システム単位、エリア単位、サービス単位での安全な情報管理が可能になる。また、システム単位、エリア単位、サービス単位での認証制御が可能になり、システム管理者、エリア管理者、サービス提供者の選別や管理が容易になる。
【0152】
以上、記憶領域の構造について説明した。
【0153】
[5−2:回路構成]
ここで、ICカードの回路構成について簡単に説明する。
【0154】
ICカードは、例えば、アンテナ、フロントエンド回路、変調器、コマンド再生器、クロック再生器、制御回路、暗号化回路、及びメモリにより構成される。
【0155】
アンテナは、ループ・アンテナにより構成され、リーダ/ライタが有するループ・アンテナと磁気的に結合してコマンドや電力を受け取ることができる。フロントエンド回路は、リーダ/ライタから送出された搬送波を整流して直流電源を再生する。また、フロントエンド回路は、取得した13.56MHzの搬送波を分周してコマンド再生器及びクロック再生器に入力する。コマンド再生器は、入力された搬送波からコマンドを再生して制御回路に入力する。クロック再生器は、入力された搬送波からロジック回路を駆動するためのクロックを再生して制御回路に入力する。また、フロントエンド回路は、再生した電源を制御回路に供給する。
【0156】
全ての回路に電源が供給されると、制御回路は、再生されたコマンドに応じて各回路を駆動する。なお、制御回路から出力されたデータは、暗号化回路により暗号化されてメモリに格納される。一方、メモリ内に格納された暗号化データを送信する場合、フロントエンド回路は、変調器により変調された暗号化データに基づいてアンテナの給電点にある負荷インピーダンスを変化させ、その変化によりアンテナによって誘起される磁界を変化させる。この磁界変化により、磁気的に結合したリーダ/ライタのアンテナを流れる電流変化が誘起されて暗号化データが伝送される。
【0157】
以上、回路構成について説明した。
【0158】
以上、ICカードの構成例について説明した。
【0159】
<6:ハードウェア構成例(図24)>
本技術の第1〜第3実施形態に係る各構成要素の制御機能や演算処理機能は、例えば、図24に示す情報処理装置のハードウェア構成を用いて実現することが可能である。つまり、当該各構成要素の機能は、コンピュータプログラムを用いて図24に示すハードウェアを制御することにより実現される。なお、このハードウェアの形態は任意であり、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PHS、PDA等の携帯情報端末、ゲーム機、又は種々の情報家電がこれに含まれる。但し、上記のPHSは、Personal Handy−phone Systemの略である。また、上記のPDAは、Personal Digital Assistantの略である。
【0160】
図24に示すように、このハードウェアは、主に、CPU902と、ROM904と、RAM906と、ホストバス908と、ブリッジ910と、を有する。さらに、このハードウェアは、外部バス912と、インターフェース914と、入力部916と、出力部918と、記憶部920と、ドライブ922と、接続ポート924と、通信部926と、を有する。但し、上記のCPUは、Central Processing Unitの略である。また、上記のROMは、Read Only Memoryの略である。そして、上記のRAMは、Random Access Memoryの略である。
【0161】
CPU902は、例えば、演算処理装置又は制御装置として機能し、ROM904、RAM906、記憶部920、又はリムーバブル記録媒体928に記録された各種プログラムに基づいて各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。ROM904は、CPU902に読み込まれるプログラムや演算に用いるデータ等を格納する手段である。RAM906には、例えば、CPU902に読み込まれるプログラムや、そのプログラムを実行する際に適宜変化する各種パラメータ等が一時的又は永続的に格納される。
【0162】
これらの構成要素は、例えば、高速なデータ伝送が可能なホストバス908を介して相互に接続される。一方、ホストバス908は、例えば、ブリッジ910を介して比較的データ伝送速度が低速な外部バス912に接続される。また、入力部916としては、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及びレバー等が用いられる。さらに、入力部916としては、赤外線やその他の電波を利用して制御信号を送信することが可能なリモートコントローラ(以下、リモコン)が用いられることもある。
【0163】
出力部918としては、例えば、CRT、LCD、PDP、又はELD等のディスプレイ装置、スピーカ、ヘッドホン等のオーディオ出力装置、プリンタ、携帯電話、又はファクシミリ等、取得した情報を利用者に対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置である。但し、上記のCRTは、Cathode Ray Tubeの略である。また、上記のLCDは、Liquid Crystal Displayの略である。そして、上記のPDPは、Plasma DisplayPanelの略である。さらに、上記のELDは、Electro−Luminescence Displayの略である。
【0164】
記憶部920は、各種のデータを格納するための装置である。記憶部920としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は光磁気記憶デバイス等が用いられる。但し、上記のHDDは、Hard Disk Driveの略である。
【0165】
ドライブ922は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体928に記録された情報を読み出し、又はリムーバブル記録媒体928に情報を書き込む装置である。リムーバブル記録媒体928は、例えば、DVDメディア、Blu−rayメディア、HD DVDメディア、各種の半導体記憶メディア等である。もちろん、リムーバブル記録媒体928は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード、又は電子機器等であってもよい。但し、上記のICは、Integrated Circuitの略である。
【0166】
接続ポート924は、例えば、USBポート、IEEE1394ポート、SCSI、RS−232Cポート、又は光オーディオ端子等のような外部接続機器930を接続するためのポートである。外部接続機器930は、例えば、プリンタ、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、又はICレコーダ等である。但し、上記のUSBは、Universal Serial Busの略である。また、上記のSCSIは、Small Computer System Interfaceの略である。
【0167】
通信部926は、ネットワーク932に接続するための通信デバイスであり、例えば、有線又は無線LAN、Bluetooth(登録商標)、又はWUSB用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL用のルータ、又は各種通信用のモデム等である。また、通信部926に接続されるネットワーク932は、有線又は無線により接続されたネットワークにより構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、可視光通信、放送、又は衛星通信等である。但し、上記のLANは、Local Area Networkの略である。また、上記のWUSBは、Wireless USBの略である。そして、上記のADSLは、Asymmetric Digital Subscriber Lineの略である。
【0168】
<7:まとめ>
最後に、本実施形態の技術的思想について簡単に纏める。以下に記載する技術的思想は、例えば、PC、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯情報端末、情報家電、カーナビゲーションシステム等、種々の情報処理装置に対して適用することができる。
【0169】
上記の情報処理装置の機能構成は次のように表現することができる。例えば、下記(1)に記載の情報処理装置は、ICカード又はICカード機能を搭載した電子機器に対し、売電契約の締結直後に売電対価に相当する電子マネー情報を書き込む機能を有する。つまり、この情報処理装置を用いると、売電を実行した後、リアルタイムに売電の対価を電子マネーの形で受け取ることが可能になる。
【0170】
このように、売電行為の直後に対価の支払いが行われるようになると、ユーザは、売却行為の実感を覚えるようになる。また、売電行為を行う度に、実際に利用可能な金銭的価値を有する電子マネーを受け取ることになり、ユーザは、売電行為の度に対価を手にする喜びを得ることが可能になる。その結果、売電行為を行うことがユーザの喜びに繋がり、積極的に売電行為が行われるようになる。また、グリーン電力の場合、発電の際にユーザが支払うコストはゼロであるため、ユーザは、ゼロコストで金銭的価値を得ているような錯覚にとらわれ、積極的にグリーン電力を売電するようになると期待される。その結果、積極的なグリーン電力の利用が実現される。また、リアルタイムの売電レートで売電が可能になり、かつ、売電行為が手軽に行えるようになると、売電レートを睨んだ売電行為が行われるようになり、市場原理に基づいて売電レートが決まるようになると期待される。その結果、電力価格が適正化されるようになる。
【0171】
(1)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、
を備える、
情報処理装置。
【0172】
(2)
所定の蓄電装置に蓄えられている電力の売電契約に関する処理を実行する契約処理部をさらに備える、
上記(1)に記載の情報処理装置。
【0173】
(3)
前記売電契約の締結後、当該売電契約の履行が完了するまで、少なくとも売電量分の電力が前記所定の蓄電装置に蓄えられた状態で維持されるように前記所定の蓄電装置から出力される電力の量を制限する蓄電管理部をさらに備える、
上記(2)に記載の情報処理装置。
【0174】
(4)
前記契約処理部は、
売電契約の締結時における売電レートを取得するレート取得部と、
前記売電レートに基づいて前記売電量に応じた金額を算出する金額算出部と、
を含む、
上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0175】
(5)
前記レート取得部は、前記売電契約の締結時において電力取引市場で掲示されている売電レート、売電契約の相手方が提示している売電レート、或いは、電力会社が提示している売電レートを取得する、
上記(4)に記載の情報処理装置。
【0176】
(6)
前記所定の蓄電装置と一体に形成されている、
上記(2)又は(3)に記載の情報処理装置。
【0177】
(7)
前記所定の蓄電装置は、再生可能エネルギーに由来する電力を蓄え、
前記レート取得部は、グリーン電力の売電レートを取得する、
上記(4)に記載の情報処理装置。
【0178】
(8)
前記契約処理部は、前記売電契約に関する処理を実行する際に、前記読み書き部に前記ICカード又は前記電子機器を翳すようにユーザに促す、
上記(2)、(3)、(6)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0179】
(9)
前記決済処理部は、前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に前記売電契約の取り消しを要求する、
上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0180】
(10)
前記売電契約の締結後、当該売電契約の際に設定された逆潮流期間の間、少なくとも売電量分の電力が前記所定の蓄電装置に蓄えられた状態で維持されるように前記所定の蓄電装置から出力される電力の量を制限する蓄電管理部をさらに備え、
前記逆潮流期間は、前記所定の蓄電装置に蓄えられた電力を前記売電契約の相手方が最大で前記売電量分だけ利用できる期間である、
上記(2)に記載の情報処理装置。
【0181】
(11)
前記決済処理部は、前記売電契約の締結時に、前記売電契約の相手方である売電管理装置から前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可された場合に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、
上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0182】
(12)
前記所定の蓄電装置は、電動移動体を駆動するための電力を蓄えるバッテリであり、
前記情報処理装置は、前記電動移動体に搭載される、
上記(2)に記載の情報処理装置。
【0183】
(13)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行する契約処理部を備え、
前記契約処理部は、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する、
サーバ装置。
【0184】
(14)
前記契約処理部は、前記決済処理部が前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に前記売電契約を取り消す、
上記(13)に記載のサーバ装置。
【0185】
(15)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、
を有する、情報処理装置と;
前記情報処理装置との間で前記売電契約に関する処理を実行し、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する契約処理部を有する、サーバ装置と;
を含む、
電力取引決済システム。
【0186】
(16)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を介して、売電契約の締結直後に、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、
電力取引の決済方法。
【0187】
(17)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を有する情報処理装置が、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込むステップを含む、
情報処理方法。
【0188】
(18)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行するサーバ装置が、
前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可するステップを含む、
情報処理方法。
【0189】
(19)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き機能と、
売電契約の締結直後に、前記読み書き機能を用いて、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理機能と、
をコンピュータに実現させるためのプログラム、及び当該プログラムが記録された、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
【0190】
(20)
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行する契約処理機能をコンピュータに実現させるためのプログラム又は当該プログラムが記録された、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体であり、
前記契約処理機能は、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する、
プログラム又は記録媒体。
【0191】
(備考)
上記の電力管理装置105、蓄電装置102、制御装置CUは、情報処理装置の一例である。上記の売電決済システム20は、サーバ装置の一例である。上記のリーダ/ライタ118、158、508は、読み書き部の一例である。
【0192】
以上、添付図面を参照しながら本技術に係る好適な実施形態について説明したが、本技術はここで開示した構成例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本技術の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0193】
10 家庭/企業
101 発電装置
102 蓄電装置
103 DC/AC変換器
104 分電盤
105 電力管理装置
106 電力消費装置
111、151、501 音声出力部
112、152、502 表示部
113、153、503 情報出力部
114、154、504 入力部
115、155、505 通信部
116、156、506 契約処理部
117、157、507 決済処理部
118、158、508 リーダ/ライタ
119、159、509 蓄電管理部
131、171、531 レート取得部
132、172、532 金額算出部
150、510 蓄電部
511 駆動部
20 売電決済システム
201 通信部
202 契約処理部
203 記憶部
204 逆潮流管理部
30 電力会社
40 ICカード
50 電動移動体
CU 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、
を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
所定の蓄電装置に蓄えられている電力の売電契約に関する処理を実行する契約処理部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記売電契約の締結後、当該売電契約の履行が完了するまで、少なくとも売電量分の電力が前記所定の蓄電装置に蓄えられた状態で維持されるように前記所定の蓄電装置から出力される電力の量を制限する蓄電管理部をさらに備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記契約処理部は、
売電契約の締結時における売電レートを取得するレート取得部と、
前記売電レートに基づいて前記売電量に応じた金額を算出する金額算出部と、
を含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記レート取得部は、前記売電契約の締結時において電力取引市場で掲示されている売電レート、売電契約の相手方が提示している売電レート、或いは、電力会社が提示している売電レートを取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記所定の蓄電装置と一体に形成されている、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定の蓄電装置は、再生可能エネルギーに由来する電力を蓄え、
前記レート取得部は、グリーン電力の売電レートを取得する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記契約処理部は、前記売電契約に関する処理を実行する際に、前記読み書き部に前記ICカード又は前記電子機器を翳すようにユーザに促す、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記決済処理部は、前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に前記売電契約の取り消しを要求する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記売電契約の締結後、当該売電契約の際に設定された逆潮流期間の間、少なくとも売電量分の電力が前記所定の蓄電装置に蓄えられた状態で維持されるように前記所定の蓄電装置から出力される電力の量を制限する蓄電管理部をさらに備え、
前記逆潮流期間は、前記所定の蓄電装置に蓄えられた電力を前記売電契約の相手方が最大で前記売電量分だけ利用できる期間である、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記決済処理部は、前記売電契約の締結時に、前記売電契約の相手方である売電管理装置から前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可された場合に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記所定の蓄電装置は、電動移動体を駆動するための電力を蓄えるバッテリであり、
前記情報処理装置は、前記電動移動体に搭載される、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行する契約処理部を備え、
前記契約処理部は、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する、
サーバ装置。
【請求項14】
前記契約処理部は、前記決済処理部が前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みに失敗した場合に前記売電契約を取り消す、
請求項13に記載のサーバ装置。
【請求項15】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、
を有する、情報処理装置と;
前記情報処理装置との間で前記売電契約に関する処理を実行し、前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可する契約処理部を有する、サーバ装置と;
を含む、
電力取引決済システム。
【請求項16】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を介して、売電契約の締結直後に、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む、
電力取引の決済方法。
【請求項17】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部を有する情報処理装置が、
売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込むステップを含む、
情報処理方法。
【請求項18】
電子マネー情報を格納することが可能なICカード又は当該ICカードの機能を搭載した電子機器から非接触通信により前記電子マネー情報を読み出したり、前記ICカード又は前記電子機器に前記電子マネー情報を書き込んだりすることが可能な読み書き部と、売電契約の締結直後に、前記読み書き部を介して、売電量に応じた金額の電子マネー情報を前記ICカード又は前記電子機器に書き込む決済処理部と、を有する情報処理装置との間で、前記売電契約に関する処理を実行するサーバ装置が、
前記売電契約を締結した場合に、前記情報処理装置に対して前記ICカード又は前記電子機器に対する電子マネー情報の書き込みを許可するステップを含む、
情報処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−97495(P2013−97495A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238410(P2011−238410)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】