説明

情報処理装置、情報処理方法およびプログラム

【課題】ユーザーによる自装置の操作状態を容易かつ正確に判定可能な、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】表示パネル101aと、表示パネル上で移動される指Pを検出するタッチパネル101bと、所定の移動方向Ddを指定し、指定した移動方向Ddと、指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向Daの差異Δに基づいて、自装置の操作状態を判定する制御部103と、を備える。これにより、自装置を片手で操作している場合には、指定した移動方向と指の移動方向には、手の構造に起因して、操作に用いる指に応じた差異が生じ易くなる。一方、自装置を両手で操作している場合には、指定した移動方向と指の移動方向には、操作に用いる指に応じた差異が生じ難くなる。このため、移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルディスプレイを搭載した携帯型の情報処理装置が普及しつつある。ユーザーは、タッチパネルディスプレイに表示されるグラフィカル・ユーザー・インターフェイス(GUI)を通じて、所定の操作入力を行う。
【0003】
ユーザーは、一般的に、利き手に装置を把持して利き手により、または利き手と異なる手に装置を把持して利き手により、タッチパネルに対して操作入力を行う。ここで、GUIの構成に応じては、例えば、一方の手により操作し易いが他方の手により操作し難い、または両手により操作し易いが片手により操作し難い等、操作状態に応じてタッチパネルの操作性が異なる場合がある。このため、情報処理装置の操作性が低下してしまう場合があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、従来の情報処理装置では、操作状態を予め設定しておき、設定に応じてGUIの構成を変更する場合がある。しかし、操作状態は、ユーザー毎に異なるし、片手操作と両手操作を併用する場合には、同一ユーザーでも異なってしまう。よって、操作状態を変更するたびに設定を変更せざるを得ず、ユーザーに煩雑な設定操作を課すことになってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザーによる自装置の操作状態を容易かつ正確に判定可能な、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の実施形態によれば、表示パネルと、表示パネル上で移動される指を検出する検出部と、所定の移動方向を指定し、指定した移動方向と、指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を判定する判定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
かかる構成によれば、指定した移動方向と、指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態が判定される。自装置を片手で操作している場合には、指定した移動方向と指の移動方向には、手の構造に起因して、操作に用いる指に応じた差異が生じ易くなる。一方、自装置を両手で操作している場合には、指定した移動方向と指の移動方向には、操作に用いる指に応じた差異が生じ難くなる。このため、移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を容易かつ正確に判定することができる。
【0008】
上記判定部は、互いに異なる複数の移動方向を指定し、指定した各移動方向と、指定に従って表示パネル上で移動される指の各移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を判定してもよい。ここで、判定部は、互いに直交する複数の移動方向を指定してもよい。
【0009】
また、上記情報処理装置は、操作状態の判定結果に応じて、表示パネルの表示を制御する表示制御部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、上記判定部は、自装置を一方の手に把持して一方の手により操作している操作状態と、自装置を一方の手に把持して他方の手により操作している操作状態を判別してもよい。ここで、上記判定部は、自装置を左手に把持して左手により操作している操作状態と、自装置を右手に把持して右手により操作している操作状態を判別してもよい。
【0011】
また、上記判定部は、指定に従って表示パネル上で移動される指の移動始点と移動終点の座標差に基づいて、指の移動方向を求めてもよい。
【0012】
上記所定の移動方向は、表示パネルに対する上方向、下方向、左方向、右方向のいずれかの方向として指定されてもよい。
【0013】
ここで、上記判定部は、表示パネルに対する移動方向を指定し、指定に従って表示パネル上で連続的に検出される指の移動軌跡から指の移動方向を求めてもよい。また、上記判定部は、表示パネルに対する移動方向を特定可能な2以上の点を指定し、指定に従って表示パネル上で一方の点と他方の点の間で離散的に検出される指の移動座標から指の移動方向を求めてもよい。
【0014】
また、上記情報処理装置は、携帯情報端末(PDA)、携帯電話等、携帯型の情報処理装置であり、特に、電子機器を操作するリモートコントローラでもよい。
【0015】
また、本発明の第2の実施形態によれば、情報処理装置によって、所定の移動方向を指定し、指定した移動方向と、指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向に基づいて、自装置の操作状態を判定する、情報処理方法が提供される。
【0016】
また、本発明の第3の実施形態によれば、上記情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。ここで、プログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体を用いて提供されてもよく、通信手段を介して提供されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザーによる自装置の操作状態を容易かつ正確に判定可能な、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るリモートコントローラを含むリモートコントローラシステムを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るリモートコントローラの主要な機能構成を示すブロック図である。
【図3】リモートコントローラの動作を示すフロー図である。
【図4】リモートコントローラの動作を説明するための図である。
【図5】操作状態に応じたGUIの構成の変更例を示す図である。
【図6】操作状態に応じた指の移動状態を示す図である。
【図7A】右手操作時に検出される指の移動方向を示す図である。
【図7B】左手操作時に検出される指の移動方向を示す図である。
【図7C】両手操作時に検出される指の移動方向を示す図である。
【図8】操作状態の判定処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
以下では、本発明の一実施形態に係るリモートコントローラ100について説明する。ただし、本発明は、リモートコントローラ100に限らず、タッチパネルディスプレイ101を搭載した携帯情報端末(PDA)、携帯電話等、携帯型の情報処理装置にも同様に適用することができる。
【0021】
[1.リモートコントローラシステムの構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るリモートコントローラ100を含むリモートコントローラシステムを示す図である。図1に示すように、リモートコントローラシステムは、タッチパネルディスプレイ101を搭載したリモートコントローラ100、およびリモートコントローラ100を通じて操作されるテレビ10を含む。なお、テレビ10は、リモートコントローラ100を通じて操作される電子機器の一例である。
【0022】
リモートコントローラシステムでは、少なくともリモートコントローラ100からテレビ10の方向に有線通信または無線通信が行われる。リモートコントローラ100−テレビ10間の通信は、直接的に行われてもよく、不図示のネットワーク等を介して間接的に行われてもよい。
【0023】
リモートコントローラ100は、テレビ10を操作するための操作用アイコン等をタッチパネルディスプレイ101に表示する。アイコン選択等の操作入力が行われると、リモートコントローラ100は、操作入力に応じて所定の操作コマンドCをテレビ10に送信する。テレビ10は、操作コマンドCを受信し、操作コマンドCに応じて所定の動作Aを行う。
【0024】
ユーザーは、通常、利き手によりリモートコントローラ100を把持して利き手によりタッチパネルディスプレイ101を操作し、または利き手と異なる手によりリモートコントローラ100を把持して利き手によりタッチパネルディスプレイ101を操作する。そして、リモートコントローラ100は、所定の時点でリモートコントローラ100の操作状態を判定し、操作用アイコン等、GUIの表示を変更する。
【0025】
操作状態の判定に際して、リモートコントローラ100は、所定の移動方向Ddを指定し、指定に従ってタッチパネルディスプレイ101上で移動される指Pの移動方向Daを検出する。そして、リモートコントローラ100は、指定した移動方向Ddと、検出した移動方向Daの差異Δに基づいて、自装置の操作状態を判定する。
【0026】
ここで、右手によりリモートコントローラ100を把持して右手の親指Pによりタッチパネルディスプレイ101を操作する場合について説明する。この場合、タッチパネルディスプレイ101上で(パネル面に平行して)親指Pを真直ぐ上方向Ddに移動させようとしても、右手の構造に起因して、親指の移動方向Daが右上方向に傾斜してしまう。よって、指定に従って移動される指Pの移動方向Daを検出し、指定した移動方向Ddと検出した移動方向Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を判定することができる。
【0027】
[2.リモートコントローラ100の構成]
図2は、本発明の実施形態に係るリモートコントローラ100の主要な機能構成を示すブロック図である。図2に示すように、リモートコントローラ100は、タッチパネルディスプレイ101、制御部103、メモリ105、通信部107を含む。
【0028】
タッチパネルディスプレイ101は、表示パネル101aにタッチパネル101b(検出部)が積層された構成を有する。表示パネル101aとしては、液晶ディスプレイ(LCD)等が利用される。タッチパネル101bとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、赤外線方式等のパネルが利用される。
【0029】
タッチパネル101bは、パネル面に対する指Pの接触状態を検出する。なお、他の実施形態では、接触状態に代えてまたは接触状態に加えて、指Pの近接状態を検出してもよい。タッチパネル101bは、タッチパネル101bに指Pが接触した時点で接触信号を制御部103に供給し、タッチパネル101bから指Pが離れた時点で解除信号を制御部103に供給する。
【0030】
また、タッチパネル101bは、タッチパネル101bに指Pが接触している間、接触位置に対応した座標信号を制御部103に供給する。ここで、座標信号は、タッチパネル101bに対する接触位置のX−Y座標を表している。なお、以下の説明では、タッチパネル101bの左右方向をX方向(左方向を−、右方向を+)、上下方向をY方向(上方向を+、下方向を−)として定義する。
【0031】
制御部103は、CPU、RAM、ROM等を含み、CPUは、RAMを作業メモリとして用いて、ROMに格納されているプログラムを実行し、リモートコントローラ100の各部を制御する。プログラムは、リモートコントローラ100の操作状態を判定する判定部、および表示パネル101aの表示を制御する表示制御部として機能する。
【0032】
メモリ105は、EEPROM等の不揮発性メモリであり、アイコンデータ、コマンド情報等を格納している。通信部107は、ユーザーによる操作入力に応じて、所定の操作コマンドCをテレビ10に送信する。
【0033】
制御部103は、タッチパネル101bから供給された座標信号をデコードして座標データを生成し、座標データおよび接触/解除信号に基づいて、リモートコントローラ100の各部を制御する。制御部103は、ユーザーによる操作入力に応じて、操作入力に応じたコマンド情報をメモリ105から読み出し、通信部107に供給する。通信部107は、コマンド情報に基づいて、所定の操作コマンドCをテレビ10に送信する。
【0034】
制御部103は、メモリ105に記憶されているアイコンデータを読出してGUI画面の表示データを生成し、表示データを表示パネル101aに供給する。表示パネル101aは、表示データに基づいてGUI画面を表示する。制御部103は、後述するように、リモートコントローラ100の操作状態に応じてアイコンの形状・配置等が変更されるように、GUI画面の表示データを生成する。
【0035】
制御部103は、後述するように、所定の時点で所定の移動方向Ddを指定するメッセージMsgを生成し、ユーザーに通知する。なお、メッセージMsgは、表示パネル101aを用いて視覚的に通知されてもよく、不図示のスピーカを用いて聴覚的に通知されてもよい。
【0036】
移動方向Ddは、例えば、タッチパネル101bに対して上方向、下方向、左方向、右方向のいずれかとして指定される。移動方向Ddは、タッチパネル101bに対する移動方向として指定される。この場合、例えば「表示画面に沿って指を真直ぐ上方向に移動して下さい。」というメッセージMsgが通知される。
【0037】
また、移動方向Ddは、タッチパネル101bに対する移動方向を特定可能な2以上の点として指定されてもよい。この場合、例えば「表示画面の下端で任意の点を指で指示した後に、表示画面の上端でその点の真直ぐ上に位置する点を指で指示して下さい。」というメッセージMsgが通知される。
【0038】
制御部103は、指定した移動方向Ddと、指定に従ってタッチパネル101b上で移動される指Pの移動方向Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を判定する。そして、制御部103は、指定した移動方向Ddと検出した移動方向Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を判定する。
【0039】
移動方向を指定する場合、指Pの移動方向Daは、ドラッグ操作またはフリック動作に応じて、タッチパネル101b上で連続的に検出される指Pの移動軌跡から求められる。なお、ドラッグ動作とは、タッチパネル101bに指Pを接触させた状態で指Pを移動させる動作であり、フリック動作とは、タッチパネル101bを指Pで任意の方向に弾くような動作である。この場合、指Pの移動方向Daは、接触信号の検出時点の座標データ(移動始点)と、解除信号の検出直前の座標データ(移動終点)の座標差から求められる。
【0040】
一方、移動方向を特定可能な点を指定する場合、指Pの移動方向Daは、ポインティング動作に応じて、タッチパネル101b上で一方の点と他方の点の間で離散的に検出される指Pの移動座標から求められる。ポインティング動作とは、タッチパネル101bの任意の点を指Pにより指示する動作である。この場合、指Pの移動方向Daは、一方の点に対するポインティングの検出時点の座標データ(移動始点)と、他方の点に対するポインティングの検出時点の座標データ(移動終点)の座標差から求められる。
【0041】
[3.リモートコントローラ100の動作]
以下では、図3〜図5を参照しながら、リモートコントローラ100の動作について説明する。図3は、リモートコントローラ100の動作を示すフロー図である。図4は、リモートコントローラ100の動作を説明するための図である。図5は、操作状態に応じたGUIの構成の変更を示す図である。
【0042】
図3に示すように、制御部103は、所定の時点が到来すると、操作状態の判定処理を開始する(ステップS101)。所定の時点は、所定の操作入力の時点でもよく、リモートコントローラ100の起動時等、所定の処理時点でもよい。
【0043】
判定処理を開始すると、制御部103は、所定の移動方向Ddを指定するメッセージMsgをユーザーに通知する(S103)。例えば図4では、「表示画面に沿って指を真直ぐ上方向に移動して下さい。」というメッセージMsgが表示されている(状態ST4a)。
【0044】
メッセージMsgが表示され、メッセージMsgに応じた操作入力が行われると、リモートコントローラ100は、操作入力を検出する(S105)。例えば図4では、ユーザーは、タッチパネル101b(タッチパネルディスプレイ101)上で右手の親指Pを真直ぐ上方向に移動しようとするが、右手の構造に起因して、指Pが僅かに右上方向に傾斜して移動されている(状態ST4b)。
【0045】
操作入力が検出されると、制御部103は、指Pの移動始点M0と移動終点M1の座標差に基づいて、指Pの移動方向Daを求める(S107)。移動方向Daを求めると、制御部103は、指定した移動方向Ddと検出した移動方向Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を判定する(S109)。操作状態としては、片手により操作している状態と、両手により操作している状態が判別され、さらに、左手により操作している状態と右手により操作している状態が判別される。ここで、操作状態を判定できた場合に、制御部103は、判定結果に応じてGUIの構成を変更する(S111)。
【0046】
図5には、操作状態に応じたGUIの構成の変更例が示されている。状態ST5aが右手操作時の変更例であり、状態ST5bが両手操作時の変更例である。
【0047】
右手操作時には、右手の親指Pによる操作性を向上させるために、少なくとも一部のアイコンがタッチパネル101bの右下側に移動される(状態ST5a)。図5では、チャンネル切替ボタンおよび音量調節ボタンが移動されている。ここで、移動されるアイコンは、操作頻度の高いアイコンでもよい。また、片手操作時の操作性を向上させるために、両手操作時に比して、少なくとも一部のアイコンのサイズが拡大されてもよい。
【0048】
一方、両手操作時には、両手操作時の操作性を向上させるために、片手操作時に比して、多くのアイコンがタッチパネル101bに表示される(状態ST5b)。図5では、状態ST5aの場合に比して、多くのアイコンが表示されている。また、片手操作時に比して、少なくとも一部のアイコンのサイズが縮小されてもよい。
【0049】
[4.操作状態の判定処理]
以下では、図6〜図8を参照しながら、操作状態の判定処理について説明する。図6は、操作状態に応じた指Pの移動状態を示す図である。図7A〜7Cは、右手操作時、左手操作時、両手操作時に検出される指Pの移動方向Daを示す図である。図8は、操作状態の判定処理の一例を示すフロー図である。
【0050】
図6の状態ST6aに示すように、右手操作時には、リモートコントローラ100が右手に把持され、右手の親指Pの付け根部がリモートコントローラ100の右下に位置する。タッチパネル101b上で親指Pを移動させると、親指Pが付け根部を軸として動作することになる。よって、ユーザーが直線方向を意図して親指Pを移動させても、親指Pが付け根部を軸として円弧を描くように移動し易くなる。なお、左手操作時の移動状態も右手操作時の移動状態と同様に説明することができる。
【0051】
一方、図6の状態ST6bに示すように、両手操作時には、リモートコントローラ100が一方の手(例えば左手)により把持され、他方の手(例えば右手)の人差し指P等がタッチパネル101b(タッチパネルディスプレイ101)上で移動される。ここで、他方の手の指Pは、リモートコントローラ100を把持している左手に関係せずに、タッチパネル101b上で自由に移動される。よって、ユーザーが直線方向を意図して人指し指Pを移動させると、人指し指Pが直線を描くように移動し易くなる。なお、図6では、移動操作の始点M0と終点M1でX方向の座標差ΔXが示されていないが、通常、僅かな座標差ΔXが生じうる。
【0052】
図7Aには、右手操作時に検出される指Pの移動方向Daが示されている。この場合、上方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが右方向に傾き(状態ST7Aa)、下方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが左方向に傾き易くなる(状態ST7Ab)。また、左方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが下方向に傾き(状態ST7Ac)、右方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが上方向に傾き易くなる(状態ST7Ad)。
【0053】
図7Bには、左手操作時に検出される指Pの移動方向Daが示されている。この場合、上方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが左方向に傾き(状態ST7Ba)、下方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが右方向に傾き易くなる(状態ST7Bb)。また、左方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが上方向に傾き(状態ST7Bc)、右方向の移動操作を指定した場合には、移動方向Daが下方向に傾き易くなる(状態ST7Bd)。
【0054】
図7Cには、両手操作時に検出される指Pの移動方向Daが示されている。この場合、上下左右いずれの方向の移動操作Ddを指定した場合でも、通常、指が指定した方向に移動されるので、移動方向Daが特定の方向に傾き難くなる(状態ST7Ca〜ST7Cd)。
【0055】
図8には、操作状態の判定処理の一例が示されている。図8に示す判定処理では、制御部103は、まず、タッチパネル101bに対して上方向の移動操作をユーザーに促す(ステップS201)。
【0056】
制御部103は、上方向の移動操作の始点M0と終点M1のX方向の座標差ΔX(終点座標−始点座標)の絶対値|ΔX|が第1の閾値未満Δth1であるかを判定する(S203)。そして、判定条件に該当すれば、制御部103は、両手操作であると判断する(S205)。
【0057】
ステップS203の判定条件に該当しなければ、制御部103は、絶対値|ΔX|が第2の閾値Δth2(≧第1の閾値Δth1)以上であるかを判定する(S207)。ここで、閾値Δth2を用いて絶対値|ΔX|を判定することで、操作状態の誤判定が防止される。
【0058】
そして、判定条件に該当すれば、制御部103は、座標差ΔXが正値であるかを判定する(S209)。そして、制御部103は、座標差ΔXが正値である場合に右手操作であると判断し(S211)、座標値ΔXが負値である場合に左手操作であると判断する(S213)。
【0059】
一方、ステップS207の処理で、絶対値|ΔX|が閾値Δth2未満であると判定された場合に、制御部103は、タッチパネル101bに対して右方向の移動操作をユーザーに促す(S215)。
【0060】
制御部103は、右方向の移動操作の始点座標M0と終点座標M1のY方向の座標差ΔY(終点座標−始点座標)の絶対値|ΔY|が第2の閾値Δth2以上であるかを判定する(S217)。ここでも、閾値Δth2を用いて絶対値|ΔY|を判定することで、操作状態の誤判定が防止される。
【0061】
そして、判定条件に該当すれば、制御部103は、座標差ΔYが正値であるかを判定する(S219)。そして、制御部103は、座標差ΔYが正値である場合に右手操作であると判断し(S221)、座標値ΔYが負値である場合に左手操作であると判断する(S223)。
【0062】
一方、ステップS217の処理で、絶対値|ΔY|が閾値Δth2未満であると判定された場合に、制御部103は、上方向および右方向の移動操作時の判定結果を組合せて操作状態を判定する。これにより、絶対値|ΔX|、|ΔY|が小さい場合でも、互いに異なる方向の移動操作時の判定結果を用いて操作状態を判定することができる。
【0063】
制御部103は、X方向およびY方向の座標差ΔX、ΔYの両方が正値であるかを判定する(S225)。そして、制御部103は、判定条件に該当する場合に右手操作であると判断する(S227)。
【0064】
一方、判定条件に該当しない場合、制御部103は、X方向およびY方向の座標差ΔX、ΔYの両方が負値であるかを判定する(S229)。そして、制御部103は、判定条件に該当する場合に左手操作であると判断し(S231)、判定条件に該当しない場合に判定不能であると判断する(S233)。
【0065】
なお、上記例では、ステップS203の処理で第1の閾値Δth1を用いて両手操作を判定している。しかし、ステップS229の判定条件に該当しない場合に、判定不能であると判断する代わりに、両手操作であると判断してもよい。また、ステップS215の後に右方向の移動操作時のY方向の座標差ΔYの絶対値|ΔY|が閾値Δth1未満であるかを判定し、判定条件に該当する場合に、両手操作であると判断してもよい。
【0066】
また、上記例では、上方向および右方向の移動操作時の判定結果を用いて操作状態を判定している。しかし、互いに異なる方向の移動操作であれば、例えば、上方向と下方向、上方向と左方向、左方向と右方向等、いずれの方向の移動操作の判定結果を用いてもよい。ただし、互いに直交する方向の移動操作の判定結果を用いた場合には、タッチパネル101bのアスペクト比に起因して、移動方向Dd、Daの差異Δが生じ易いので、操作状態を高い精度で判定することができる。
【0067】
また、上記例では、ステップS225以降の処理で、上方向および右方向の移動操作時の判定結果を組合せて操作状態を判定しているが、ステップS217の処理で判定条件に該当しない場合に判定不能と判断してもよい。
【0068】
また、上記例では、上方向の移動操作時の閾値と右方向の移動操作時の閾値として、同一の閾値Δth2を用いているが、例えばΔth2とΔth2´等、異なる閾値を用いてもよい。
【0069】
[5.まとめ]
以上説明したように、本発明の一実施形態に係るリモートコントローラ100によれば、指定した移動方向Ddと、指定に従って表示パネル101a上で移動される指Pの移動方向Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態が判定される。リモートコントローラ100を片手で操作している場合には、指定した移動方向Ddと指Pの移動方向Daには、手の構造に起因して、操作に用いられる指Pに応じた差異Δが生じ易くなる。一方、リモートコントローラ100を両手で操作している場合には、指定した移動方向Ddと指Pの移動方向Daには、操作に用いられる指Pに応じた差異Δが生じ難くなる。このため、移動方向Dd、Daの差異Δに基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を容易かつ正確に判定することができる。
【0070】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、上記実施形態では、タッチパネル101bに対して上下左右の移動方向Ddが指定される場合について説明した。しかし、例えば、タッチパネル101bの対角線に沿って斜めの移動方向Ddが指定されてもよい。この場合、指定した対角線沿いの移動方向Ddと、検出した移動方向Daの差異Δ(角度差)に基づいて、リモートコントローラ100の操作状態を判定することができる。
【0072】
また、上記実施形態では、タッチパネル101bに接触する指Pの移動方向Daを検出する場合について説明した。しかし、タッチパネル101に近接する指の移動方向Daを検出してもよい。
【符号の説明】
【0073】
100 リモートコントローラ
101 タッチパネルディスプレイ
101a 表示パネル
101b タッチパネル
103 制御部
105 メモリ
107 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネル上で移動される指を検出する検出部と、
所定の移動方向を指定し、前記指定した移動方向と、前記指定に従って前記表示パネル上で移動される指の移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を判定する判定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、互いに異なる複数の移動方向を指定し、前記指定した各移動方向と、前記指定に従って前記表示パネル上で移動される指の各移動方向の差異に基づいて、自装置の操作状態を判定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、互いに直交する複数の移動方向を指定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
操作状態の判定結果に応じて、前記表示パネルの表示を制御する表示制御部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、自装置を一方の手に把持して一方の手により操作している操作状態と、自装置を一方の手に把持して他方の手により操作している操作状態を判別する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、自装置を左手に把持して左手により操作している操作状態と、自装置を右手に把持して右手により操作している操作状態を判別する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記指定に従って前記表示パネル上で移動される指の移動始点と移動終点の座標差に基づいて、前記指の移動方向を求める、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記所定の移動方向は、前記表示パネルに対する上方向、下方向、左方向、右方向のいずれかの方向として指定される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記表示パネルに対する移動方向を指定し、前記指定に従って前記表示パネル上で連続的に検出される指の移動軌跡から前記指の移動方向を求める、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記表示パネルに対する移動方向を特定可能な2以上の点を指定し、前記指定に従って前記表示パネル上で一方の点と他方の点の間で離散的に検出される指の移動座標から前記指の移動方向を求める、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
片手により操作可能な装置である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
電子機器を操作するリモートコントローラである、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置によって、
所定の移動方向を指定し、
前記指定した移動方向と、前記指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向に基づいて、自装置の操作状態を判定する、情報処理方法。
【請求項14】
情報処理装置によって、
所定の移動方向を指定し、
前記指定した移動方向と、前記指定に従って表示パネル上で移動される指の移動方向に基づいて、自装置の操作状態を判定する、情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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