説明

情報処理装置およびプログラム

【課題】店舗の損失を抑制または防止することが可能な返品処理を行う。
【解決手段】本実施形態の情報処理装置は、特典付与手段と、返品受付手段と、返品手段とを有する。特典付与手段は、所定の複数の商品を組み合わせた売り上げの際に、前記複数の商品を単品でそれぞれ売り上げた場合には付与されない特典を付与する。返品受付手段は、前記特典の付与に係る組み合わせを構成する前記複数の商品のうちの一部の商品の返品を受け付ける。返品手段は、前記複数の商品のうちの一部の商品の返品の際に、返品商品に対応する返金額を算出し、前記特典の回収または特典回収を補助する処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、客がレシートを持参して購入した商品の返品を希望した場合に、オペレータの操作に基づいて返品処理を行うPOS(Point Of Sales:販売時点データ管理)端末などの情報処理装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−44940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の返品処理時には、返品対象の商品の購入時の一取引が客に対して特典(値引きや景品)が付与される一取引であった場合でも、返品対象の商品の売価を返金額として客に返金する処理を行っていたため、特典が店舗側に回収されず店舗側が損失するなどの課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の情報処理装置は、予め定められた複数の商品を組み合わせた売り上げの際に、前記複数の商品を単品でそれぞれ売り上げた場合には付与されない特典を付与する特典付与手段と、前記特典の付与に係る組み合わせを構成する前記複数の商品のうちの一部の商品の返品を受け付ける返品受付手段と、前記複数の商品のうちの一部の商品の返品の際に、返品商品に対応する返金額を算出し、前記特典の回収または特典回収を補助する処理を実行する返品手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係るPOSシステムの概略構成を示す図。
【図2】ストアサーバの制御系のハードウェア構成を示すブロック図。
【図3】POS端末の外観構成を示す斜視図。
【図4】POS端末で印字発行されるレシートの一構成例を示す模式図。
【図5】POS端末の制御系のハードウェア構成を示すブロック図。
【図6】POS端末の機能的構成を示すブロック図。
【図7】POS端末が返品処理モードに遷移した場合に表示する各種操作画面の一構成例を示す模式図。
【図8】POS端末の返品処理動作の流れを示すフローチャート。
【図9】再販売レシートの一構成例を示す模式図。
【図10】第2の実施形態におけるストアサーバの制御系のハードウェア構成を示すブロック図。
【図11】第2の実施形態におけるPOS端末の機能的構成を示すブロック図。
【図12】第2の実施形態におけるPOS端末の返品処理動作の流れを示すフローチャート。
【図13】第3の実施形態に係るPOS端末の機能的構成を示すブロック図。
【図14】第3の実施形態におけるPOS端末の返品処理動作の流れを示すフローチャート。
【図15】店員用ディスプレイに表示される景品返却促し画面の一構成例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るPOSシステム1の概略構成を示す図である。
【0009】
図1に示すように、このPOSシステム1では、1台のストアサーバ2と、複数台(図1の例では、2台)のPOS端末3とが、LAN(Local Area Network)などのネットワーク4を介して接続されて構成されている。
【0010】
ここで、ストアサーバ2は、店舗のバックヤードなどに設置され、POS端末3を管理制御する上位装置としてのサーバ装置である。
【0011】
また、POS端末3は、店舗の会計場所などに設置され、ネットワーク4を介してストアサーバ2との間で各種データ(商品コードや、商品情報(商品の名称や単価)など)の送受信を行ったり、ストアサーバ2から各種データを予め取得しておくことにより、客が購入する商品の登録および会計処理を行う情報処理装置である。
【0012】
図2は、ストアサーバ2の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0013】
図2に示すように、このストアサーバ2は、パーソナルコンピュータなどの一般的なコンピュータを利用したハードウェア構成となっており、例えば、制御部21と、通信I/F22と、I/O機器制御部23とがバスB1によって接続されて構成されている。
【0014】
なお、制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有して構成されている。
【0015】
また、制御部21には、バスB1およびI/O機器制御部23を介して、キーボード24、表示器25、プリンタ26、記憶装置(ハードディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)など)27などが接続されている。
【0016】
即ち、制御部21は、CPUがROMや記憶装置27などに格納される制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、I/O機器制御部23を介して接続される各種機器の動作を制御するとともに、通信I/F22およびネットワーク4を介して接続される複数のPOS端末3との間で各種データを送受信する動作を制御するものである。
【0017】
なお、記憶装置27には、取引データマスタ27aや、商品マスタ(不図示)などが格納されている。
【0018】
ここで、取引データマスタ27aは、一取引毎の取引データを記憶するデータベースであって、取引一連Noに対応付けて、該当する一取引における取引データ(販売した商品を示す情報(商品名)や、各販売した商品の売価や、合計金額など)を記憶するデータベースである。
【0019】
図3は、POS端末3の外観構成を示す斜視図である。
【0020】
図3に示すように、POS端末3は、レジ台(不図示)に載置されて貨幣を保管する機器であるドロワ5の上面に載置されており、本体ハウジング30の上面に、キーボード31、店員用ディスプレイ32、客用ディスプレイ33、レシート発行口34などを備えている。
【0021】
なお、キーボード31には、オペレータ(店員)が、例えば預り金額などを置数するための置数キーや、1取引として販売登録された商品の合計金額の表示を指示する現計キーや、1取引の販売登録の終了を選択して会計処理および締め処理を行う締めキーなどの各種機能キーが配置されている。また、キーボード31には、客が購入商品の返品を申し出た際に操作する返品キーや、返品商品の入力が完了した場合に操作する入力キーなども配置されている。
【0022】
また、店員用ディスプレイ32および客用ディスプレイ33には、販売登録される商品の名称、価格、1取引の合計金額、釣銭額などを表示する商品登録画面などの各種操作画面が表示される。なお、店員用ディスプレイ32および客用ディスプレイ33は、例えば、表示画面上にタッチパネルが積層配置された液晶ディスプレイである。
【0023】
POS端末3の本体ハウジング30の内部には、レシートR1(図4参照)を発行するプリンタ35(図5参照)が配置されている。そして、プリンタ35で会計情報が印字されたレシートR1は、レシート発行口34から外部に排出(発行)されるようになっている。なお、図4の例のレシートR1では、特定のグループの商品(例えば、商品Aや商品B)を2種類購入したことで30円の値引きがあった取引であることを示している。
【0024】
また、POS端末3には、商品に付されたバーコードなどのコードの情報(商品コード)を読み取るための読取装置(スキャナ)6が接続されている。
【0025】
図5は、POS端末3の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0026】
図5に示すように、このPOS端末3は、例えば、制御部36と、通信I/F37と、I/O機器制御部38とがバスB2によって接続されて構成されている。
【0027】
また、制御部36には、バスB2およびI/O機器制御部38を介して、キーボード31、店員用ディスプレイ32、客用ディスプレイ33、プリンタ35、ドロワ5、スキャナ6、記憶装置39が接続されている。
【0028】
なお、制御部36は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有して構成されている。
【0029】
即ち、制御部36は、CPUがROMなどに格納される制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、I/O機器制御部38を介して接続される各種構成要素の動作を制御するとともに、通信I/F37およびネットワーク4を介して接続されるストアサーバ2との間で各種データを送受信する動作を制御するものである。
【0030】
このような構成により、POS端末3は、売上登録処理を実行する。この売上登録処理は、商品に付されたバーコードを読取装置(スキャナ)6でスキャンし、ストアサーバ2の記憶装置(不図示)などに格納されている商品マスタを参照して、スキャンした商品の名称や、単価や、売上数、売上金額などの情報を登録する処理である。
【0031】
また、POS端末3は、売上登録に際して、ミックスマッチ登録処理およびおまけ贈呈処理も実行する。具体的には、ミックスマッチ登録処理とは、1個178円の所定の商品を3個なら500円で販売という場合の3個まとめて34円の値引きをする値引き設定を登録する処理のことである。また、おまけ贈呈処理とは、所定(対象)の商品を複数(例えば、2個)買ったら景品をプレゼントするなどにより景品をプレゼントしたこと(おまけ贈呈)を登録する処理のことである。なお、ここでいう、値引きや景品のプレゼントが、客に付与される特典のことである。
【0032】
次に、POS端末の機能について説明する。
【0033】
図6は、POS端末3の機能的構成を示すブロック図である。
【0034】
図6に示すように、POS端末3の制御部36は、CPUがROMなどに格納される所定の制御プログラムPをRAMに展開して実行することにより、後述のフローチャートの処理手順を実行する、返品処理部100として機能する。
【0035】
ここで、返品処理部100は、取引一連番号取得部110と、取引データ取得部120と、画面表示部130と、返品商品登録部140と、返金額算出部150と、販売登録部160と、再販売レシート発行部170と、ドロワ開放部180とを有している。
【0036】
取引一連番号取得部110は、返品対象の商品の購入時の一取引に係るレシートに印字してある取引No(番号)(図4の符号r1参照)を取得する。
【0037】
取引データ取得部120は、取引一連番号取得部110で取得された取引Noで特定される取引データをストアサーバ2から取得する。
【0038】
画面表示部130は、POS端末3が返品処理を実行する場合に、当該返品処理モード時における各種操作画面(図7参照)を店員用ディスプレイ32に表示する。
【0039】
返品商品登録部140は、客が返品を希望する返品対象の商品を登録する。
【0040】
返金額算出部150は、取引データ取得部120が取得した取引データに基づいて、客に返金する返金額を算出するものである。そして、この返金額算出部150は、返品対象の商品の購入時の一取引が客に特典(値引き)を付与する一取引であった場合に、その特典を考慮した返金額を算出する。より具体的には、この返金額算出部150は、前記一取引の合計金額から、返品する商品以外の全ての商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する。これにより、特典(値引分)を店舗側が負担することなく回収することができる。
【0041】
販売登録部160は、返品対象の商品の購入時の一取引から、返品対象の商品の返品処理を行った新たな商品販売登録を行う。
【0042】
再販売レシート発行部170は、前記返品処理を行った新たな商品販売登録に係る再販売レシートR2(図9参照)をプリンタ35を用いて印字発行する。
【0043】
ドロワ開放部180は、客が商品を返品したことにより、返金額算出部150が算出した返金額に相当する貨幣を店員から客に返金させるためにドロワ5を開放する。
【0044】
なお、本実施形態では、制御部36は、所定の複数の商品を組み合わせた売り上げの際に、前記複数の商品を単品でそれぞれ売り上げた場合には付与されない特典を付与する特典付与手段として機能する。また、制御部36は、特典の付与に係る組み合わせを構成する前記複数の商品のうちの一部の商品の返品を受け付ける返品受付手段として機能する。更に、制御部36は、前記複数の商品のうちの一部の商品の返品の際に、返品商品に対応する返金額を算出し、前記特典の回収または特典回収補助処理を実行する返品手段として機能する。
【0045】
次に、前記説明した構成のPOS端末3における処理動作の詳細について図8を用いて説明する。
【0046】
図8は、POS端末3の制御部36による返品処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図8において、客がレシートを持参して購入商品の返品を希望しに来た場合に、店員(キャッシャ)は、まず、例えば、キーボード31に含まれる返品キーを操作することにより、POS端末3の制御部36は、返品処理を開始する。
【0048】
まず、画面表示部130は、レシートに記載されている取引Noの入力画面(図7(a)参照)を表示し、制御部36は、店員による取引Noの入力を待機する(ステップS101)。
【0049】
店員が、客が持参したレシート(即ち、返品対象の商品の購入時の一取引に係るレシート)に印字されている取引Noを、キーボード31に含まれるテンキーなどを操作して入力すると、取引一連番号取得部110が、取引Noを取得する(ステップS102)。
【0050】
続いて、取引データ取得部120が、ステップS102で取得した取引Noに基づいて、該当する取引データを取得する(ステップS103)。この時、画面表示部130が、取得した取引データを含む返品商品入力画面(図7(b)参照)を、店員用ディスプレイ32に表示する。
【0051】
図7(b)は、返品対象の商品の購入時の一取引の登録情報(図の例では、商品A、商品B、商品Cおよび商品Dの登録情報)を表示する返品商品入力画面を示している。なお、図7(b)の表示例においては、商品Aおよび商品Bを併せて購入したことによるミックスマッチ値引きである30円の値引き額も取引データに含まれている。また、図7(b)に示される画面では、店員によって返品対象の商品のスキャンにより、返品対象の商品の登録を行う旨を示している。
【0052】
続いて、店員が、スキャナ6を用いて返品対象の商品に付されたバーコードを読み取る作業を行うと、画面表示部130が、図7(c)に示すように、バーコードを読み取られた返品対象の商品の情報を表示した返品商品入力画面を、店員用ディスプレイ32に表示し、返品商品登録部140が、返品対象の商品を登録する(ステップS104)。
【0053】
なお、図7(c)の表示例においては、店員によって返品対象の商品Aのバーコードがスキャンされて、返品対象の商品Aの登録情報(商品名:商品A、単価120、数量1、金額120)が表示された返品商品入力画面を示している。加えて、図7(c)の表示例においては、返品対象の商品Aが特典(ミックスマッチ値引き)の対象であったので、値引き額が取り消される。
【0054】
制御部36は、返品対象の商品に付されたバーコードの読み取り後、店員がキーボード31に含まれる入力キーを操作すると、全ての返品対象の商品に付されたバーコードの読み取りが終了したとして、ステップS105に進む。
【0055】
続いて、返金額算出部150が、ステップS103で取得した取引データに基づいて、客に返金する返金額を算出するとともに(ステップS105)、販売登録部160が、返品対象の商品の購入時の一取引から、対象の商品を返品した新たな商品販売登録を行う(ステップS106)。
【0056】
この場合、画面表示部130が、図7(d)に示す客層締め画面を店員用ディスプレイ32に表示する。
【0057】
図7(d)は、返品対象外であり、新たな商品販売登録における商品の販売情報(図の例では、商品B、商品Cおよび商品Dのそれぞれの金額(売価))と、返品する商品の返金情報(図の例では、商品A:返金額90円)とを表示する客層締め画面を示している。新たな商品販売登録における商品の販売情報(図の例では、商品B、商品Cおよび商品Dのそれぞれの金額(売価))は、返品処理前と同じ取引Noを付与されて、ストアサーバ2の取引データマスタ27aに格納される。
【0058】
ステップS105の処理では、返金額算出部150は、返品対象の商品の購入時の一取引が客に特典(値引き)を付与する一取引であった場合には、その特典を店舗側に回収するための返金額を算出する。より具体的には、この処理では、返金額算出部150は、返品対象の商品の購入時の一取引の合計金額から、返品する商品以外の全ての商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する。
【0059】
続いて、再販売レシート発行部170が、前記新たな商品販売登録に係る再販売レシートR2(図9参照)をプリンタ35を用いて印字発行する(ステップS107)。
【0060】
再販レシートR2(図9参照)は、図7(d)の客層締め画面に表示される内容を印字したレシートであり、図9の例では、商品B、商品Cおよび商品Dの販売情報と、商品Aの返金情報とが印字されている様子を示している。なお、ステップS107で発行された再販売レシートを使用すれば、客は、他の商品(例えば、商品Bなど)の返品も行うことができる。
【0061】
続いて、ドロワ開放部180が、前記ステップS105で算出された返金額に相当する貨幣を店員から客に返金させるためにドロワ5を開放する(ステップS108)。これにより、店員が開放されたドロワ5から返金額に相当する貨幣を取り出して客に返金する。
【0062】
なお、ここで、前記した図8のステップS105の返金額の算出の具体的な一例について説明する。
【0063】
例えば、客が図5に示すレシートR1を持参し、商品A(120円)の返品を希望した場合の返金額の算出の場合について説明する。
【0064】
この場合、ステップS102において、取引一連番号取得部110が、図4に示すレシートに印字された取引Noである「1234」を取得する。そして、ステップS103において、取引データ取得部120が、前記ステップS102で取得された取引No「1234」で特定される取引データ、即ち、図4に示すレシートに印字されている会計情報(商品A、商品B、商品C、商品Dなどの商品名と、それらの値段(売価)(¥120、¥100、¥150、¥130など))を含む取引データを取得する。
【0065】
そして、ステップS105において、返金額算出部150が、ステップS103で取得した取引データに基づいて、返品対象の商品Aの購入時の一取引の合計金額(¥470)から、返品する商品A以外の全ての商品(商品B、商品Cおよび商品D)の売価(¥100、¥150、¥130)を差し引いた金額「90円」を返金額として算出する。
【0066】
なお、客が図5に示すレシートを持参し、そのレシートに印字されている全ての商品(商品A、商品B、商品Cおよび商品D)の返品を希望した場合の返金額の算出の場合は、ステップS105において、返金額算出部150が、ステップS103で取得した取引データに基づいて、返品対象の商品A、商品B、商品Cおよび商品Dの購入時の一取引の合計金額(¥470)から、0円を差し引いた金額「470円」を返金額として算出する。
【0067】
即ち、以上説明した実施形態によれば、店舗の損失を抑制または防止することが可能な返品処理を行うことができる。
【0068】
具体的には、本実施形態によれば、返品対象の商品の購入時の一取引が客に対して特典(値引き)を付与する一取引であった場合に、その特典(値引き)を店舗側が負担することなく回収する処理を行うことができるので、店舗側の損失を軽減または防止することが可能となる。
【0069】
より具体的には、従来では、返品対象の商品の購入時の一取引が客に対して特典(値引き)を付与する一取引であった場合でも、その特典(値引き)を考慮せずに、返品対象の商品の売価に相当する貨幣を客に返金していたため、販売額と返金額の差額により店舗側が損するようになっていたものの、本実施形態によれば、従来のような販売額と返金額の差額による店舗側の損失を軽減または防止することが可能となる。
【0070】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、返品対象の商品がキャンペーン(特典:値引き)対象の商品であるか否かに関係無く、返品対象の商品の購入時の一取引の合計金額から、返品する商品以外の全ての商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する形態をとっているが、これとは別に、返品する商品がキャンペーン(特典:値引き)対象の商品である場合、返品対象の商品の購入時の一取引に含まれる全てのキャンペーン対象の商品の合計金額から値引き額を引いた値から、返品するキャンペーン対象の商品以外の全てのキャンペーン対象の商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出するような第2の実施形態とすることも可能である。
【0071】
図10は、第2の実施形態におけるストアサーバ2の制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0072】
図10に示すように、第2の実施形態のストアサーバ2では、記憶装置27が、取引データマスタ27a以外に、キャンペーンマスタ27bを有している点のみが第1の実施形態と相違している。
【0073】
このキャンペーンマスタ27bは、返品する商品がキャンペーン対象の商品であるか否かを特定する情報を記憶するデータベースであり、具体的には、キャンペーン期間や、どの商品がキャンペーン(特典:値引き)対象の商品であるかなどを示すキャンペーン情報を記憶するデータベースである。
【0074】
図11は、第2の実施形態におけるPOS端末3の機能的構成を示すブロック図である。
【0075】
図11において、第2の実施形態の機能的構成は、図6に示す第1の実施形態の機能的構成と相違する点として、キャンペーン情報取得部190が新たに追加され、返金額算出部150の返金額の算出方法が異なる点が挙げられる。
【0076】
即ち、キャンペーン情報取得部190は、取引データ取得部120が取得した取引データに基づいて、当該取引データの一取引に含まれる商品がキャンペーン対象(特典:値引き)の商品であるかを特定するためのキャンペーン情報をストアサーバ2から取得する。
【0077】
返金額算出部150は、キャンペーン情報取得部190で取得された情報に基づいて、返品対象の商品がキャンペーン対象の商品である場合、返品対象の商品の購入時の一取引に含まれる全てのキャンペーン対象の商品の合計金額から、返品するキャンペーン対象の商品以外の全てのキャンペーン対象の商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する。
【0078】
図12は、第2の実施形態におけるPOS端末3の返品処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0079】
図12に示すように、この処理では、図8の処理手順にステップS109の処理を新たに追加した形態となっており、その他は同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0080】
即ち、ステップS104の処理後、ステップS109において、キャンペーン情報取得部190が、ステップS11で取得した取引データの一取引に含まれる商品がキャンペーン対象(特典:値引き)の商品であるかを特定するためのキャンペーン情報をストアサーバ2から取得する。
【0081】
続いて、ステップS105において、返金額算出部150は、キャンペーン情報取得部190で取得された情報に基づいて、返品対象の商品がキャンペーン対象の商品である場合、返品対象の商品の購入時の一取引に含まれる全てのキャンペーン対象の商品の合計金額から値引き額を引いた値から、返品するキャンペーン対象の商品以外の全てのキャンペーン対象の商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する。
【0082】
一方、ステップS105において、返金額算出部150は、返品対象の商品がキャンペーン対象の商品ではない場合には、その売価を客に返金する返金額として算出する。
【0083】
具体的には、例えば、図4に示す商品Aと商品Bとが、キャンペーン対象の特定のグループに含まれる商品であり、キャンペーンが30円の値引きであった場合で、客が図4に示すレシートを持参し、商品A(120円)の返品を希望した場合の返金額の算出の場合について説明する。
【0084】
この場合、ステップS102において、取引一連番号取得部110が、図4に示すレシートに印字された取引Noである「1234」を取得する。そして、ステップS103において、取引データ取得部120が、前記ステップS102で取得された取引No「1234」で特定される取引データ、即ち、図4に示すレシートに印字されている会計情報(商品A、商品B、商品C、商品Dなどの商品名と、それらの値段(売価)(¥120、¥100、¥150、¥130など))を含む取引データを取得する。
【0085】
そして、ステップS105において、返金額算出部150が、ストアサーバ2からキャンペーンマスタ27bに登録されているキャンペーン情報を取得し、当該一取引における商品Aと商品Bとがキャンペーン(値引き30円)対象の商品であることを認識し、返品する商品Aがキャンペーン対象の商品であることから、返品対象の商品Aの購入時の一取引に含まれる全てのキャンペーン対象の商品の合計金額(190円)から値引き額(30円)を引いた値(190円)から、返品するキャンペーン対象の商品以外の全てのキャンペーン対象の商品の売価(商品Bの売価(¥100))を差し引いた金額「90円」を返金額として算出する。
【0086】
即ち、以上説明した第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、客がキャンペーン(特典:値引き)対象の商品以外の通常の商品を返品した場合の客の損失を抑制または防止することができる。
【0087】
(第3の実施形態)
第1の実施形態および第2の実施形態では、返品対象の商品の購入時の一取引が客に特典として値引きを付与する一取引であった場合に、その値引きを回収する処理を行う形態について説明したが、これ以外にも、例えば、返品対象の商品の購入時の一取引が客に特典として景品を贈呈する一取引であった場合に、その景品を回収する処理を行う第3の実施形態とすることも可能である。なお、第3の実施形態における景品とは、所定のグループの商品を複数購入したら客に贈呈されるおまけのことである。
【0088】
図13は、第3の実施形態に係るPOS端末3の機能的構成を示すブロック図である。
【0089】
図13において、第3の実施形態の機能的構成は、図11に示す第2の実施形態の機能的構成と相違する点として、画面表示部130に、特典回収を補助する処理を実行する報知部130aが新たに設けられた点が挙げられる。
【0090】
即ち、報知部130aは、返品対象の商品がキャンペーン(特典)、即ち、景品の贈呈が行われた商品であった場合に、店員用ディスプレイ32に、景品を店舗に返却して貰うように客にお願いする旨を表示した景品返却促し画面(図15参照)を表示させる。
【0091】
図14は、第3の実施形態におけるPOS端末3の返品処理動作の流れを示すフローチャートである。
【0092】
図14に示すように、この処理では、図12の処理手順にステップS110およびステップS111の処理を新たに追加した形態となっており、その他は同一の構成であるため、ここでは説明を省略する。
【0093】
即ち、ステップS109の処理後、続くステップS110の処理で、報知部130aが、返品対象の商品が客に景品を贈呈した商品であるか否かを判定する。この判定の結果、返品対象の商品が客に景品を贈呈した商品であると判定された場合(ステップS110:Yes)、続いて、ステップS111において、報知部130aが、店員用ディスプレイ32に、景品を店舗に返却して貰うように客にお願いする旨を表示した景品返却促し画面S1(図15参照)を表示させる。これにより、店員が、客に対して景品の返却をお願いする。
【0094】
即ち、第3の実施形態によれば、返品対象の商品が客に対して景品が贈呈される特典対象の商品である場合に、客に対して景品の店舗への返却を促すことができるので、店舗側の損失を防止することが可能となる。
【0095】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本発明は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0096】
例えば、前記した実施形態では、POS(Point Of Sales:販売時点データ管理)端末の場合について説明したが、これ以外にも、ECR(Electronic Cash Register)装置などのその他の情報処理装置に適用することも可能である。
【0097】
また、前記した実施形態では、ストアサーバを備える形態について説明したが、これ以外にも、POS端末やECR装置単体の場合にも適用可能である。なお、その場合には、POS端末またはECR装置がそれぞれ取引データやキャンペーン情報を記憶装置に格納しておく。また、その場合には、当該返品対象の商品の登録を行ったPOS端末やECR装置でしか返品処理が行えないようになる。
【0098】
また、前記した実施形態のPOS端末3で実行されるプログラムは、ROMなどの記憶部に予め組み込んで提供することが可能である。また、前記プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶して提供することが可能である。更に、前記プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0099】
また、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1 POSシステム
2 ストアサーバ
3 POS端末
4 ネットワーク
27 記憶装置(記憶手段)
36 制御部(特典付与手段)
100 返品処理部(返品手段)
110 取引一連番号取得部
120 取引データ取得部
130 画面表示部
130a 報知部(報知手段)
140 返品商品登録部(返品受付手段)
150 返金額算出部(返金額算出手段)
160 販売登録部
170 再販売レシート発行部
180 ドロワ開放部
190 キャンペーン情報取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の商品を組み合わせた売り上げの際に、前記複数の商品を単品でそれぞれ売り上げた場合には付与されない特典を付与する特典付与手段と、
前記特典の付与に係る組み合わせを構成する前記複数の商品のうちの一部の商品の返品を受け付ける返品受付手段と、
前記複数の商品のうちの一部の商品の返品の際に、返品商品に対応する返金額を算出し、前記特典の回収または特典回収を補助する処理を実行する返品手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
返品対象の商品の購入時の一取引の合計金額から、返品する商品以外の全ての商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する返金額算出手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
返品対象の商品が客に景品が贈呈される前記特典の対象商品である場合、前記景品の店舗への返却を促す報知を行う報知手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、
予め定められた複数の商品を組み合わせた売り上げの際に、前記複数の商品を単品でそれぞれ売り上げた場合には付与されない特典を付与する特典付与手段と、
前記特典の付与に係る組み合わせを構成する前記複数の商品のうちの一部の商品の返品を受け付ける返品受付手段と、
前記複数の商品のうちの一部の商品の返品の際に、返品商品に対応する返金額を算出し、前記特典の回収または特典回収を補助する処理を実行する返品手段と、
して機能させるプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータを、
返品対象の商品の購入時の一取引の合計金額から、返品する商品以外の全ての商品の売価を差し引いた金額を返金額として算出する返金額算出手段と、
して機能させる請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
返品対象の商品が客に景品が贈呈される前記特典の対象商品である場合、前記景品の店舗への返却を促す報知を行う報知手段として、機能させる請求項4に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−8258(P2013−8258A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141350(P2011−141350)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】