説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】マルチベンダーネットワーク環境下において各社ベンダー機器の機器情報を収集し、その使用状況の分析や評価を行える情報処理装置等を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報処理装置は、ネットワークに接続された機器の情報を取得する情報処理装置であって、ネットワーク上の機器を検索する検索手段と、検索手段で検索された機器の識別情報を取得する識別情報取得手段と、識別情報取得手段で取得された識別情報に基づき、検索手段で検索された機器が有する機器情報を取得する機器情報取得手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
企業は自社製品を販売しシェア拡大を目的として、新たな顧客を獲得すべく様々な観点から営業活動を行っている。また新たな顧客を開拓するために、既に他社製品を使用している顧客に対して自社製品へ乗り換え(リプレース)や増設を提案するといった活動も営業活動の一環として盛んに行われている。
【0003】
さて一般に、コピー機、プリンタ等の機器製品の場合、顧客にとって、機器性能や導入コストのみならず、日々の稼動に伴う消耗品(印刷用紙やインク、トナー等)のコストについても関心が大きいところである。そのため営業担当者は、他社製品(例えばコピー機、プリンタ等)を一部又は全部に導入している顧客に対して、他社製品の使用状況の分析を行って、自社製品の優位性(例えばニーズのマッチ、性能向上、コスト削減等)を顧客に提案することで、自社製品のシェア拡大を図ることができる。このときまず何よりも、顧客ニーズとコストの最適化を行えるソリューションの提案を行うためには、現状の使用状況の分析は欠かせない。
【0004】
従来より、例えばコピー機メーカーの営業現場においては、顧客了解の下、顧客ネットワークから他社の機器情報を収集してから、現状の使用状況の分析・比較し、コピー機、プリンタ等の自社製品の優位性(メリット)を顧客に提案するという試みがある。ここで他社の機器情報の収集は、販売促進用営業支援ツール(以下販促ツールという)を使用することで実現できる。顧客ネットワーク上の端末から販促ツールを実行すると、販促ツールはSNMP(Simple Network Management Protocol)を利用して、ネットワーク上の自社製品や他社製品から機器情報を収集する。収集された機器情報は販促ツール上で展開され、顧客に見やすいよう使用状況などグラフ/リスト表示される。
【0005】
より具体的に例えば、販促ツールは、顧客ネットワーク上からコピー機、プリンタを検索し一覧表示させる。また検索した機器からは、コピー、プリントの使用回数など各種使用状況の分析に関する機器情報を取得し、機器毎にそれら情報を表示させる。
【0006】
これに関する技術として、例えば特許文献1には、ネットワーク上に接続される機器が持つ性能とその稼働状況とに基づいて、その機器の性能が十分に発揮されているかどうかを分析し、機器の性能に見合わない不合理な稼働状況にある機器の存在を分析してその情報を出力させるネットワーク機器の管理装置が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、あるコピー機メーカー(例えばA社)が他社製品(例えばB社、C社)の機器から機器情報を収集する場合にはある制約が存在する。即ち機器情報の収集には上記SNMPが利用されるところ、標準MIBのような汎用的な情報であれば他社製品に関してもMIB情報を取得できるため、自社製品の機器情報だけでなく他社製品の汎用的な機器情報も含めて収集することはできる。しかし一方、拡張MIB(Privete MIB)や独自プロトコルによる非汎用的な情報は各社独自の機器情報であるので、これを取得することはできない。従って、A社が販促ツールを使用して自社製品のみならずネットワーク環境下の他社製品の機器情報を収集する場合、自社製品については標準MIB及び拡張MIBを含む詳細な機器情報を取得できるものの、他社製品ついては標準MIBのみを含む簡単な機器情報を収集するに留まっていた。なお、上記特許文献1記載の管理装置においても同様な問題が生じ、その発明の射程範囲は自社製品に留まっている。
【0008】
そして上記営業活動という観点からすると、自社製品について詳細な機器情報を取得する意義は少なく、むしろ他社製品ついて詳細な機器情報を取得し、使用状況の分析に利用可能であることが望まれる。しかしながら、上述のように他社製品ついては標準MIBのみの簡単な機器情報しか収集できないので、営業担当者は、他社製品の詳細な使用状況の分析を行うことが難しく、そのため必ずしも的確で説得力のある提案ひいては十分な営業活動を行うことができなかった。
【0009】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、マルチベンダーネットワーク環境下において各社ベンダー機器の機器情報を収集し、その使用状況の分析や評価を行える情報処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。より詳細には、一元的に異なるベンダー各社によるベンダー機器からの機器情報の取得・収集を可能とし、また収集した機器情報に基づく機器情報の分析・評価を視覚的、客観的に可能とする情報処理装置及びプログラム等を本発明により提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、ネットワークに接続された機器の情報を取得する情報処理装置であって、ネットワーク上の機器を検索する検索手段と、前記検索手段で検索された機器の識別情報を取得する識別情報取得手段と、前記識別情報取得手段で取得された識別情報に基づき、前記検索手段で検索された機器が有する機器情報を取得する機器情報取得手段と、を備える。
【0011】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、マルチベンダーネットワーク環境下において各社ベンダー機器の機器情報を収集し、その使用状況の分析や評価を行える情報処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】PC端末2の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。
【図3】PC端末2の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。
【図4】販促ツール画面例1を示す。
【図5】販促ツール画面例2を示す。
【図6】販促ツール画面例3を示す。
【図7】販促ツール画面例4を示す。
【図8】販促ツール画面例5を示す。
【図9】新規に機器検索及び機器情報を収集する場合の情報処理を示すフローチャートである。
【図10】A社製MFP3aのWebページ画面例1を示す。
【図11】A社製MFP3aのWebページ画面例2を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を各実施形態において図面を用いて説明する。機器の一実施例として、画像形成装置(MFP:Multi-Function Peripheral)やプリンタに対して本発明を適用した実施形態を示す。
【0015】
[システム構成]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム構成図である。図に示されるように、本実施形態に係る顧客ネットワーク7は、PC端末2、A社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cを含み構成される。当顧客においては、A社、B社、C社、各社のOA製品をそれぞれ採用しており、これらを日々の日常業務に使用している。
【0016】
MFPは、プリンタ、コピーおよびスキャナなどの複数の機能を一つの筐体内に収納したデジタル複合機であり、画像形成装置として知られる機器である。MFPは、プリンタ、コピーおよびスキャナなどのこれら基本機能だけでなく、デジタル画像技術の高度化やMFPに関連する技術の進化に伴い多彩な機能を有し、ユーザ環境において様々な利用形態を提供する。
【0017】
なおここで、A社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cなどの各社機器は、Webを介し自機器の機器情報を提供、公開している。つまりユーザはWebブラウザから各社機器にアクセスすると、機器情報一覧などが纏められたWeb画面を閲覧することができるようになっている。一般に、このようなWebで提供されている機器情報は、ユーザが詳細に機器情報(ステータス等)を把握できるよう、標準MIBのみならず拡張MIBに基づく詳細レベルの機器情報を含んでいる。この点再度後述する。
【0018】
PC端末2は、例えば日々の日常業務に使用するユーザ端末でよく、勿論複数台あってもよい。また本実施形態においてPC端末2は、販促ツール(機器情報収集・分析ツールを指すが便宜上以下このように呼ぶ)の実行機器としても使用される。即ち、顧客了解の下、A社営業担当者は持参したUSBメモリ1をPC端末2に接続する。このUSBメモリ1には、販促ツール・プログラムが保有されている。PC端末2を使用してこの販促ツール・プログラムを実行すると、販促ツールはSNMPを利用して、ネットワーク上の自社製品や他社製品から機器情報を収集する。収集された機器情報は販促ツール上で展開され、使用状況などが顧客に見やすいようグラフ/リスト表示される。そしてこれはA社営業担当者から顧客に対しての販促資料データとしても活用される(活用事例は後述)。
【0019】
USBメモリ1は、上述のように販促ツール・プログラムが保有されている携帯型メモリ装置である。USBメモリ1は、Universal Serial Busを用いてコンピュータに接続してデータの読み書きを行う補助記憶装置のうち、USBコネクタがケーブルを介さず直接本体に付いている。一般的にUSBメモリ1の大きさは、数センチメートルほどであるので、データの移動や携帯に非常に適しているメモリデバイスである。本実施形態においては、A社営業担当者はこのUSBメモリ1を携帯し、USBメモリ1内の販促ツールを利用して営業活動を行っている。
【0020】
(ハードウェア)
ここで、PC端末2のハードウェア構成について簡単に説明しておく。販促ツールは、あくまでプログラムであるので、実際はPC端末2等の情報処理装置上で実行されるものであるからである。
【0021】
図2は、PC端末2の一実施形態の主要構成を示すハードウェア構成図である。PC端末2は、主要な構成として、CPU201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、補助記憶装置204、記憶媒体読取装置205、入力装置206、表示装置207、及び通信装置208を含む構成である。
【0022】
CPU201は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路から構成され、装置全体を制御する回路である。また、ROM202は、CPU201で実行される所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を格納するメモリであり、RAM203は、CPU201がROM202に格納された所定の制御プログラム(ソフトウェア部品)を実行して各種の制御を行うときの作業エリア(ワーク領域)として使用するメモリである。
【0023】
補助記憶装置204は、汎用のOS(Operating System)、販促ツール・プログラムを含む各種情報を格納する装置であり、不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)などが用いられる。記憶媒体読取装置205には、USBメモリ等の携帯型メディアをセットすることで、外部からの情報、例えば販促ツール・プログラムを取得できる。
【0024】
なお、上記各種情報は、補助記憶装置204以外にも、CD−ROM(Compact Disk - ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)、USBメモリ等の携帯型メディアなどの各種記憶媒体やその他のメディアに記憶されてもよく、これらの記憶媒体に格納された各種情報は、記憶媒体読取装置205などのドライブ装置を介して読み取ることが可能である。実際、本実施形態では販促ツールにより収集された機器情報(例えばMIB情報)は、PC端末2のHDDではなく、USBメモリに記憶される。その後、機器情報を容易に持ち帰ることができるようにするためである。
【0025】
入力装置206は、ユーザが各種入力操作を行うための装置である。入力装置206は、マウス、キーボード、表示装置207の表示画面上に重畳するように設けられたタッチパネルスイッチなどを含む。表示装置207は、各種データを表示画面に表示する装置である。例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。
【0026】
通信装置208は、ネットワークを介して他の機器との通信を行う装置である。有線ネットワークや無線ネットワークなど含む各種ネットワーク形態に応じた通信をサポートする。
【0027】
(機能)
次に、PC端末2の機能構成について簡単に説明する。販促ツールは、あくまでプログラムであるので、実際はPC端末2等の情報処理装置上の機能として実現されるものであるからである。
【0028】
図3は、PC端末2の一実施形態の主要機能を示す機能ブロック図である。PC端末2は、主要な機能として、機器検索部301、機器情報収集部302、記憶部303、機器情報分析部304、及び分析結果表示部305を含む構成である。
【0029】
機器検索部301は、ネットワーク上から機器を検索する機能を有している。具体的には、ネットワーク全体又はIPアドレスによる指定範囲内のネットワークからICMP等を使用して応答のある機器を検索する。また特定機種の機器(例えばプリンタ系機器)のみを検索したい場合、SNMPを使用して機種を特定可能な標準MIB値を取得し、当該標準MIB値に基づき特定機種に分類される機器を検索する。なお特定機種するに必要なMIB情報は標準MIBの範囲にある。
【0030】
機器情報収集部302は、検索された機器の公開するWebを介して、当該機器の機器情報(拡張MIB情報含む)を収集する機能を有している。上述のように各社機器は、Webを介し自機器の機器情報を提供、公開しているので、具体的に、機器情報収集部302は、検索された機器に対しhttpプロトコルを使用してアクセスすることにより当該機器からWebデータを取得し、取得したWebデータを解析することにより当該ベンダー機器の拡張MIBに基づく機器情報を抽出する。これは他社機器から拡張MIB情報に相当する機器情報を取得できることを意味する。勿論いうまでもなく、機器情報収集部302は、SNMPを利用して自社機器の標準MIB及び拡張MIBを取得可能であり、また他社機器の標準MIBを取得可能となっている。この点再度後述する。
【0031】
記憶部303は、収集された機器情報を記憶する機能を有している。本実施形態の記憶部303は、収集された機器情報をUSBメモリ1内の記憶領域に記憶する。USBメモリ1に機器情報を保存しておけば社内に持ち帰ってからも機器情報の分析ができるからである。
【0032】
機器情報分析部304は、機器情報の分析を行う機能を有している。つまり収集された機器情報は、使用状況など顧客に見やすいよう分析される。この点具体例を後述する。
【0033】
分析結果表示部305は、分析された機器情報の分析結果を表示する機能を有している。機器情報は、機器情報分析部304により使用状況など顧客に見やすいよう分析され、その結果、分析結果表示部305は、分析された機器情報を使用状況など顧客に見やすいようグラフ/リスト表示する。この点もまた具体例を後述する。
【0034】
なお、以上説明したこれらの機能は、実際にはCPU201が実行するプログラムにより実現される。
【0035】
[販促ツール使用例]
次いで販促ツールの使用例について具体的に示す。本実施形態に係る販促ツールの使用にあたっては、上述したようにまずA社営業担当者が持参したUSBメモリ1をPC端末2に接続する。USBメモリ1には、販促ツール・プログラムが実行ファイル形式(例えばxxx.exeファイル)で保有されているので、A社営業担当者は、PC端末2を操作して販促ツール・プログラムを実行することにより、販促ツールはネットワーク上の自社製品や他社製品から機器情報を収集する。また収集された機器情報は販促ツール上で展開され、使用状況などが顧客に見やすいようグラフ/リスト表示される。以下、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0036】
図4は、販促ツール画面例1を示す。PC端末2において販促ツール・プログラムが実行されたときに立ち上がるメイン画面である。新規に機器検索及び機器情報を収集する場合、「新規データ取得」(ボタン)401を押下して次へ進む。
【0037】
図5は、販促ツール画面例2を示す。新規に機器検索及び機器情報を収集するときに立ち上がる新規データ登録画面である。データ名501欄には、これから収集するデータに対して名称を入力する。例えば「顧客先:○○株式会社様」などと入力できる。またコメント502欄には、任意の文字列を入力できる。例えば「△△営業所、総務部ご担当○○様」などと入力できる。入力できたらOK503を押下して次へ進む。
【0038】
図6は、販促ツール画面例3を示す。新規に機器検索をするときに立ち上がる検索条件設定画面である。検索条件として検索対象となるネットワークの範囲をここで設定する。範囲は、ブロードキャスト601又はIPアドレス範囲指定602から選択できる。ブロードキャスト601を選択した場合、ブロードキャスト到達可能範囲が検索対象となる。つまりPC端末2と同一ネットワークを検索対象とする。一方、IPアドレス範囲指定602を選択した場合、指定のIPアドレス範囲が検索対象となる。なお予め複数のIPアドレス範囲を保存しておけば入力の手間無くそこから選択できる。検索条件を設定できたらOK603を押下して次へ進む。
【0039】
図7は、販促ツール画面例4を示す。機器検索及び機器情報の収集時に立ち上がる画面である。図に示されるように、検索(検出)された機器のIPアドレス701、機種名702、MACアドレス703、ステータス704が表示される。ここで、IPアドレス701及びMACアドレス703はICMPの応答パケットにより、機種名702はSNMP(標準MIB:1.3.6.1.2.1.25.3.2.1.3.1)により取得可能である。またさらに機器情報の詳細(別途表示される)は、機器に対しhttpプロトコルを使用してアクセスしWebデータを取得、取得したWebデータを解析することにより機器の拡張MIBに基づく機器情報を抽出できる。この点また後述する。そして、機器検索及び機器情報の収集が終了すると、ステータスバー705は100%を表示し、またステータス704は全て成功を示す。終了したら収集終了706を押下して次へ進む。すると再び図4のメイン画面に戻る。このときメイン画面では、カウンター取得402、分析実行403が押下可能となっている。カウンター取得402を押下すると、図6の検索条件設定画面に進み再び検索条件を設定し再検索できる。分析実行403を押下すると、機器検索につき収集された機器情報の分析の実行がなされ分析結果の出力(表示)画面に遷移する。ここでは分析実行403を押下して次へ進む。
【0040】
図8は、販促ツール画面例5を示す。収集された機器情報の分析結果に基づく分析結果の出力(表示)画面例である。例えば画面801では、表計算ソフトで知られる表形式に機器情報が分析集計されている。収集された機器情報の項目として主だった所を挙げれば、IPアドレス、モデル名、メーカー名、トータルカウンター、カラートータルカウンター、両面枚数・・などがある。また予め例えばモノクロ(印刷)単価、カラー(印刷)単価等の既知情報が与えられているので、これらを表示するとともに、既知情報と、トータルカウンター、カラートータルカウンター、両面枚数等に基づき、マクロ計算することで現状コストを算出し併せて出力できる。また例えば画面802では、表形式に分析集計されたデータに基づきグラフ形式で出力されている。このように出力されると視覚的に把握しやすく現状分析に便利である。なおこの分析結果の出力(表示)画面はあくまで一例であり、営業的観点から有効である限り分析結果の出力形式は様々に工夫できる。
【0041】
以上、販促ツールの使用例について具体的に示した。A社営業担当者は、持参したUSBメモリ1をPC端末2に接続し、PC端末2を操作して販促ツール・プログラムを実行するだけでネットワーク上の自社製品や他社製品から機器情報を収集することができる。また収集された機器情報は販促ツール上で展開され、使用状況など顧客に見やすいようグラフ/リスト表示される。ここで、本実施形態に係る販促ツールにより収集された機器情報は、従来収集が困難であった他社機器の詳細情報(例えば拡張MIB)を含む。具体的に、従来使用状況分析に必要なトータルカウンター(使用枚数)、カラートータルカウンター(カラー使用枚数)、両面枚数の機器情報については収集することができなかった(顧客に直接ヒアリングを行っていた)。これら機器情報は拡張MIBに基づいて収集される情報であるからである。しかしながら本実施形態に係る販促ツールではこれら情報を含め収集できるので、より詳細に他社製品の詳細な使用状況の分析を行うことができ、的確で説得力のある提案ひいては十分な営業活動を行うことが可能となる。以下フローチャートを参照しながらこの点に関しての情報処理を説明する。
【0042】
[情報処理]
図9は、新規に機器検索及び機器情報を収集する場合の情報処理を示すフローチャートである。上述のPC端末2の販促ツール画面例(図6)において、OK603が押下されると、機器検索及び機器情報収集命令がなされて当該フローチャートに示す情報処理が実行される。
【0043】
まず機器検索部301は、ネットワーク全体又はIPアドレスによる指定範囲内のネットワークからICMPを使用して応答のある機器を検索する(S901)。この時点で検索条件設定画面(図6)にて、検索対象となるネットワークの範囲は設定されているので、この設定に従い検索対象ネットワーク範囲に存在する機器が検索される。
【0044】
検索対象ネットワーク範囲から機器が検索されると(S902)、ICMPの応答IPパケットから取得可能な機器情報を取得する(S903)。例えば少なくとも、IPアドレス、MACアドレスを取得できる。
【0045】
機器情報収集部302は、検索された機器(機器のIPアドレス)に対して、SNMPを使用し標準MIB情報の取得を行う(S904)。本実施形態では検索対象となる機器はプリンタ系OA機器であるので、プリンタ機種の特定に使用できる標準MIB情報の取得を行う。具体的にはSNMPを使用し、検索された機器のIPアドレス及びOID(object ID)を指定して標準MIB値を取得する。なお機器名はOID:1.3.6.1.2.1.1.5.0、モデル名はOID:1.3.6.1.2.1.25.3.2から取得できる。
【0046】
上記取得された標準MIB値に基づき機種分類を行う(S905)。本実施形態では検索対象となる機器はプリンタ系OA機器であるので、プリンタ機種に分類される機器のみ抽出し、それ以外の関係ない機器については一切の情報を破棄できる。本実施形態では、A社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cが検索され、プリンタ機種に分類されたものとする(図1、図7)。
【0047】
次に機器情報収集部302は、そのプリンタ機種に対して、httpプロトコルを使用してアクセスすることにより機器からWebデータを取得する(S906)。
【0048】
ここで、上述のようにA社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cなどの各社機器は、Webを介し自機器の機器情報を提供、公開している。Webページからは、ネットワーク上にあるパソコンのWebブラウザから対象機器のIPアドレスを入力するだけで、離れた場所にある出力機器の状態管理やジョブ履歴確認、設定変更ができるようになっている。
【0049】
図10は、A社製MFP3aのWebページ画面例1を示す。ユーザはWebブラウザからA社製MFP3aのIPアドレス(例えば172.17.1.11)を入力すると、A社製MFP3aのWebページ画面が表示される。図に示されるように、このWebページ画面ではA社製MFP3aの様々な機器状態を閲覧できる。また例えば、Webページ画面左のカウンター1001を押下すると、カウンター(出力枚数情報)情報を閲覧可能なWebページ画面が表示される。
【0050】
図11は、A社製MFP3aのWebページ画面例2を示す。カウンター情報を閲覧可能なWebページ画面である。図に示されるように、このWebページ画面ではA社製MFP3aのカウンター情報、具体的にトータル、コピー、プリンタ、A3/DLT、両面、ステープルの使用回数(枚数)情報が閲覧できる。またコピーに関し、その内訳(白黒、フルカラー、単色、2色)、プリンタに関しその内訳(白黒、カラー)の使用回数情報もまた閲覧できる。
【0051】
このようにA社製MFP3a及びA社製プリンタ4aのみならず、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cについても同様のWebページを閲覧できる。またWebページに関し各社ともフォーマットやデザインの差異はあるものの、閲覧可能な機器情報自体は概ね同一であるといえる。
【0052】
従って再びS906に戻り、機器情報収集部302は、A社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cなどの各社プリンタ機器のWeb I/Fに対して、IPアドレスを指定し、httpプロトコルを使用してアクセスすることにより機器からWebデータを取得する。ここでは特にカウンター情報(印刷出力の使用回数、つまり出力枚数の情報に相当)を取得したいので、各社プリンタ機器のWeb I/Fに対してのアクセス先指定では「http://IPアドレス/カウンター情報のページのURL/」といったようなアクセスを行うことで、カウンター情報を含むWebデータ(Webページ画面データ)を取得できる。なお「カウンター情報のページのURL」は各社毎に異なるが、販促ツールには予め既知情報として各社毎に保持されている。なお、この社名は標準MIB情報により取得された機器名から特定できる。
【0053】
機器情報収集部302はWebデータを取得すると、取得したWebデータを解析することにより機器情報を抽出する(S907)。上述のカウンター情報のページでは、トータル、コピー、プリンタ、A3/DLT、両面、ステープルの使用回数情報が含まれており、またコピーに関し、その内訳(白黒、フルカラー、単色、2色)、プリンタに関しその内訳(白黒、カラー)の使用回数情報も含まれていた。従って、Webデータにも同様の情報が含まれているので、機器情報収集部302は、Webデータを解析することでこれら情報を抽出することができる。
【0054】
なお解析ではまずWebデータからHTMLタグ等を除去する。また各社Webページ上そのフォーマットやデザインの差異はあるが、Webデータ内の位置やタグなどから各社とも一定のパターンを有しているので、販促ツールはこのパターンを既知情報として予めパターン辞書に蓄積している。従って機器情報収集部302は、取得したWebデータを解析することにより機器情報を抽出できる。より具体的に機器情報収集部302は、取得したWebデータを解析することにより、A社製MFP3a、A社製プリンタ4a、B社製MFP5b、C社製プリンタ6cから、トータル、コピー(内訳:白黒、フルカラー、単色、2色)、プリンタ(内訳:白黒、カラー)、A3/DLT、両面、ステープルの使用回数情報を抽出できる。
【0055】
なお厳密にいえば、各社によって取得できる情報の有無はあり得る。Webページで公開している情報が異なる場合があるからである。しかしながら、実際には、同機種(例えばプリンタ機種)であれば各社ともWebページに表示している機器情報はほぼ共通している。それでも取得できない情報項目があれば、販促ツール上、取得不可(N/A)などと表示させればよい。
【0056】
最後に記憶部303は、収集(抽出)された機器情報をUSBメモリ1の記憶領域に記憶する(S908)。そして収集(抽出)された機器情報は、機器情報分析部304により分析され、分析結果表示部305により使用状況などが顧客に見やすいよう分析結果がグラフ/リスト表示される。
【0057】
他社機器の詳細な機器情報は拡張MIBによって取得可能な情報であるので、従来より他社機器から詳細な機器情報、例えばカウンター情報(使用回数情報、出力枚数情報)を取得するのは困難であり、これら情報は顧客に直接ヒアリングを行うなどして取得していたところ、本実施形態に係る販促ツールでは、他社機器からより詳細な機器情報、例えばカウンター(出力枚数情報)情報では、コピー(内訳:白黒、フルカラー、単色、2色)、プリンタ(内訳:白黒、カラー)、A3/DLT、両面、ステープルなどの使用回数情報を取得できる。よって販促ツールでより詳細に他社製品の詳細な使用状況の分析を行うことができるので、営業担当者は顧客に対して的確で説得力のある提案ひいては十分な営業活動を行うことが可能となる。また実施にあたっては、営業担当者はUSBメモリ1をPC端末2に指すだけの簡便操作で機器情報を収集でき、収集された機器情報はUSBメモリ1で持ち帰ることもできる。
【0058】
[機器情報の例示]
機器がMFPやプリンタといった出力系OA機器である場合、従来標準MIBからのみでは収集不可能であった有用な機器情報を例示しておく。即ち本実施形態に係る販促ツールではWebを介しこれら情報を含め収集できる。これら有用な情報によれば、より詳細に他社製品の詳細な使用状況の分析を行うことができる。
トータルカウンター
フルカラートータルカウンター
二色トータルカウンター
単色トータルカウンター
モノクロトータルカウンター
コピーフルカラーカウンター
コピー二色カウンター
コピー単色カウンター
コピーモノクロカウンター
プリンタフルカラーカウンター
プリンタ二色カウンター
プリンタ単色カウンター
プリンタモノクロカウンター
FAX受信カウンター
FAX送信カウンター
スキャナカラーカウンター
スキャナモノクロカウンター
両面カウンター
[活用事例]
最後に、上述の本実施形態に係る販促ツールにより収集された機器情報を利用することにより活用しうる事例を紹介する。具体的には、販促ツールを使用して、プリンタ系OA機器からその機器情報としてカウンター情報を収集した場合の活用事例である。
【0059】
(機器の最適化)
本実施形態に係る販促ツールを使用して、機器毎の機能別出力情報(コピー、プリンター、ファクス、スキャナ)の提示と、出力全体に対する利用機能毎の比率を提示することにより、顧客環境において適切な機器を利用しているかの把握に活用する。販促ツールを使用して現状の使用状況を正確に分析することにより、顧客に対し、機器性能、機器配置場所(配置部門)の最適化の提案を行うことができるからである。
【0060】
例えば、全ての機能についての利用率が非常に高い部門に配置されたMFPについては、より高機能なMFPへのリプレースを提案できる。営業部門などは社外向け資料の出力が大部分を占めるので、フルカラー対応の高機能MFPを配置することが適切であるからである。このように、現状の使用状況の正確な把握・分析に基づいて、業務効率の向上、機器の配置場所(配置部門)の最適化を行うことができる。
【0061】
また例えば、FAXのみの利用が大部分を占めるような部門に配置された高機能MFPについては、コスト削減の観点からも、低価格なMFPへのリプレースを提案できる。また例えば、社内向け資料の出力が大部分を占めるような部門に配置されたフルカラー対応の高機能MFPについては、コスト削減の観点からも、モノクロコピー機へのリプレースを提案できる。このように、現状の使用状況の正確な把握・分析に基づいて、主な用途や業務量を考慮して、コスト削減、機器配置の最適化を行うことができる。
【0062】
また上記リプレースに関し、他社製品との比較で、自社製品の優位性や使用状況分析に基づく自社製品の最適性などを提案することにより、自社製品の販売やシェア拡大を図ることができる。また顧客環境を正確に把握・分析することで、新たな問題を発見し、そこからより高度なソリューションの提案に導くことも期待できる。
【0063】
(環境指数分析)
近年、環境問題意識の高まりから、OA機器に関しても、環境又は省エネに対する配慮が重要視されつつある。プリンタ系OA機器の場合、印刷枚数を削減することは、単にコスト削減のみならず、用紙(資源)や電力量(さらにCO2)の削減につながるため、顧客にとっても身近なレベルで環境問題に取り組むことができる。
【0064】
従って本実施形態の販促ツールにおいても、自然環境への影響や結びつきを示す環境指標を導入し、上述の機器情報分析部304は、機器情報の環境指標への分析・換算を行う。また分析結果表示部305は、分析された環境指標を表示する。
【0065】
具体的には、本実施形態の販促ツールにより収集された機器毎のトータルカウンター、両面枚数などの機器情報を用いて、使用紙枚数、推定CO2排出量(使用紙枚数の製造時に発生するCo2量)、立木換算(Co2排出量を吸収するのに必要な50年杉の木の本数)、両面機能の使用による削減効果を環境指標として顧客に提示できる。これにより顧客は、現状の利用が環境に対しどのくらい負荷があるのか、両面印刷機能やリプレース等によりどれくらい環境への負担削減できるのか、などを身近に把握できる。
【0066】
このように、本実施形態の販促ツールによれば、現状の使用状況の正確な把握・分析に基づいて、環境面の配慮からの自社製品の優位性や使用状況分析に基づく自社製品の最適性などを提案することにより、自社製品の販売やシェア拡大を図ることができる。また顧客環境を正確に把握・分析することで、新たな問題を発見し、そこからより高度なソリューションの提案に導くことも期待できる。
【0067】
以上本発明によれば、マルチベンダーネットワーク環境下において各社ベンダー機器の機器情報を収集し、その使用状況の分析や評価を行える情報処理装置、プログラム、携帯型メモリ等を提供することが可能となる。
【0068】
なお、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 USBメモリ
2 PC端末
3a A社製MFP
4a A社製プリンタ
5b B社製MFP
6c C社製プリンタ
7 ネットワーク
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 補助記憶装置
205 記憶媒体読取装置
206 入力装置
207 表示装置
208 通信装置
301 機器検索部
302 機器情報収集部
303 記憶部
304 機器情報分析部
305 分析結果表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2008−040627号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された機器の情報を取得する情報処理装置であって、
ネットワーク上の機器を検索する検索手段と、
前記検索手段で検索された機器の識別情報を取得する識別情報取得手段と、
前記識別情報取得手段で取得された識別情報に基づき、前記検索手段で検索された機器が有する機器情報を取得する機器情報取得手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記識別情報取得手段は、第一のプロトコルにより、当該機器の標準MIB情報を取得することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記機器情報取得手段は、第二のプロトコルにより、前記標準MIB情報に基づき特定された機器がそれぞれネットワーク上に公開している公開情報を取得することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記機器情報取得手段が取得した前記公開情報から、該公開情報を公開する機器の拡張MIB情報を抽出する抽出手段を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、ネットワークに接続された機器の情報を取得する情報処理装置として機能させるプログラムであって、
該プログラムは、
ネットワーク上の機器を検索する検索工程と、
検索された機器の識別情報を取得する識別情報取得工程と、
取得された識別情報に基づき、検索された機器が有する機器情報を取得する機器情報取得工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−41597(P2013−41597A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221918(P2012−221918)
【出願日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【分割の表示】特願2010−22390(P2010−22390)の分割
【原出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】