説明

情報処理装置及び給電方法

【課題】自動的にデバイスに合った給電の設定が可能な情報処理装置及び給電方法を提供する。
【解決手段】外部機器に給電可能な情報処理装置であって、外部機器を接続する接続手段と、外部機器を充電するための設定条件を定めた複数の給電モードを有し、接続手段に接続されている外部機器に有効な、複数の給電モードの中から選択された給電モードに従って外部機器に対して給電する給電手段と、情報処理装置が非稼動のときには情報処理装置を起動するように設定するウェイクアップ設定手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び給電方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のPC(Personal Computer)等の情報処理装置は、様々なデバイスと接続するためのインタフェースとして、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)やIEEE1394等といった標準規格で定められたバスインタフェースを備え、このバスインタフェースを介して、デバイスに対する電力の供給が可能となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、情報処理装置の電源をオフ状態にした場合や、情報処理装置が省電力状態の場合であっても、デバイスをバスインタフェースに挿入すると、そのデバイスに対する電力の供給を開始する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−53748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、デバイスをバスインタフェースに挿入した場合であっても、必ずしもデバイスに対してバス給電が可能となるわけではない。すなわち、単にデバイスを情報処理装置のバスインタフェースに挿入しても、デバイスによって給電を受け入れる(充電が可能となる)状態が異なるため、情報処理装置のUSBコントローラや電源回路等の設定を、挿入したデバイスに合うように設定する必要がある。
【0006】
通常、このような設定は、あらかじめ情報処理装置にインストールされたユーティリティ等の所定のツールによって、複数の設定の中からデバイスにあった設定を選択して行うが、ユーザが自ら挿入したデバイスに対してどの設定を選択すれば充電できるのかを判断する必要がある。
【0007】
ユーザが同じデバイスに何度も充電している場合には、どの設定を選択すればデバイスが充電可能となる状態となるか経験的に判断できる。しかし、例えば、初めてデバイスに充電する場合には、どの設定を選択すればデバイスが充電できる状態になるか判断できない。このため、複数の設定を1つ1つ選択し、選択した設定で繰り返しデバイスに給電するという面倒な手順を経なければ、そのデバイスに合う設定が判断できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの手を煩わせることなく容易にデバイスに合った給電の設定が可能な情報処理装置及び給電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる情報処理装置は、外部機器に給電可能な情報処理装置であって、前記外部機器を接続する接続手段と、前記外部機器を充電するための設定条件を定めた複数の給電モードを有し、前記接続手段に接続されている前記外部機器に有効な、複数の前記給電モードの中から選択された給電モードに従って前記外部機器に対して給電する給電手段と、前記情報処理装置が非稼動のときには該情報処理装置を起動するように設定するウェイクアップ設定手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明にかかる給電方法は、外部機器に給電する情報処理装置の給電方法であって、前記外部機器を充電するための設定条件を定めた複数の給電モードの中から選択される、前記情報処理装置と前記外部機器とを接続する接続手段に接続されている該外部機器に有効な給電モードを求め、該給電モードに従って該外部機器に対して給電するとともに、前記情報処理装置が非稼動時に前記外部機器が前記接続手段に接続されたときには前記情報処理装置を起動するウェイクアップ設定をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの手を煩わせることなく容易にデバイスに合った給電の設定が可能となる情報処理装置及び給電方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態にかかるコンピュータの構成を示したブロック図である。
【図2】USB給電の許可または不許可の設定を行う場合の例を示す図である。
【図3】図1に示す記憶部に記憶される給電モードの例を示す図である。
【図4】図1に示す外部ハードウェアに記憶される給電モードの例を示す図である。
【図5】本実施形態において、コンピュータが稼動状態からUSBウェイクアップ設定された状態に移行するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態において、コンピュータがUSBウェイクアップ設定された状態から稼動状態に移行するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態にかかるコンピュータ101の構成を示したブロック図である。図1に示したように、コンピュータ101は、CPU102と、メモリ103と、BOIS−ROM104と、USB(Universal Serial Bus)コントローラ105と、エンデベッドコントローラ106と、電源マイコン107と、電源回路108と、給電回路109と、USBポート110と、外部ハードウェア112と、を含んで構成されている。なお、以下では、コンピュータ101から電源の供給を受ける媒体は、USBデバイス111として説明しているが、例えば、IEEE1394等のUSB以外の規格による媒体であってもよい。
【0014】
CPU102は、コンピュータ101の動作を制御するプロセッサである。CPU102は、BIOS−ROM104に格納されたシステムBIOS(Basic Input Output System)をメモリ103にロードし、各種のハードウェアを制御する。また、CPU102は、ハードディスク(不図示)等に記憶されたOS(Operating System)をメモリ103にロードし、OSを実行する。その他、システムBIOSやOS以外の各種のアプリケーションプログラムを実行する。
【0015】
メモリ103は、BIOS−ROM104に記憶されたシステムBIOS、ハードディスク等(不図示)に記憶されたOSやアプリケーションプログラムを展開して実行するための主記憶メモリである。
【0016】
BOIS−ROM104は、主にハードウェアに対する種々の設定などを行うシステムBIOSを記憶するメモリである。
【0017】
BOIS−ROM104に記憶されるシステムBIOSは、機能的には、図1に示すように、起動部1041と、停止部1042と、給電制御部1043と、記憶部1044と、を含んで構成されている。
【0018】
起動部1041は、電源マイコン107、あるいは後述する給電制御部1043からの指示に応じてコンピュータ101内部の各種ハードウェアの起動処理を行い、コンピュータ101自体は非稼動状態であるがUSBコントローラ105や給電回路109に対して電力が供給されている状態から稼動した状態に移行させるものである。
【0019】
具体的には、起動部1041は、外部から起動処理の実行指示を受けると、その指示が、電源マイコン107からの指示によるものか、給電制御部1043からの指示によるものか否かを判定する。そして、給電制御部1043からの指示によるものと判定した場合、起動部1041は、USBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされているか否かを判定する。なお、後述するように、起動処理の実行指示が給電制御部1043からの指示によるものである場合とは、USBウェイクアップ設定がされている場合である。
【0020】
ここで、USBウェイクアップ設定とは、コンピュータ101自体は非稼動状態であるがUSBコントローラ105や給電回路109に対して電力が供給されている状態において、USBデバイス111がUSBポート110に挿入された場合に、USB給電を可能とする設定のことである。
【0021】
また、USB給電を許可するか否かの設定は、例えば、図2に示すように、コンピュータ101にインストールされたUSB給電の設定を行うためのユーティリティ等のツールによって設定が可能となっている。図2では、ユーティリティがディスプレイ(不図示)上に表示したプルダウンメニューによって、USB給電の「許可」または「不許可」の設定を行うことが可能な場合の例を示している。後述するように、このUSB給電の「許可」または「不許可」の設定は、記憶部1044に、USBポート110ごとに記憶される。
【0022】
そして、起動部1041は、起動処理の実行指示が、給電制御部1043からの指示によるものであり、かつUSBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされていると判定した場合、その旨を給電制御部1043に通知する。
【0023】
また、起動部1041は、起動処理の実行指示が給電制御部1043からの指示によるものではない、すなわち電源マイコン107からの指示によるものと判定した場合、または起動処理の実行指示が給電制御部1043からの指示によるものの、USBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされていないと判定した場合には、コンピュータ101内部の各種ハードウェアの初期化処理を行う。
【0024】
例えば、起動部1041は、VGA(Video Graphic Array)やIDE(Integrated Device Electronics)等の設定を初期化する等の処理を行う。起動部1041は、この処理を行うと、その後OS(Operating System)を起動し、ユーザがコンピュータ101を使用できる状態にする。続いて図1に戻り、停止部1042について説明する。
【0025】
停止部1042は、OS(Operating System)等のアプリケーションからの指示に応じてコンピュータ101の各種ハードウェアの停止処理を行い、コンピュータ101が稼動した状態から、コンピュータ101自体は非稼動状態であるがUSBコントローラ105や給電回路109に対して電力が供給されている状態に移行させるものである。
【0026】
具体的には、停止部1042は、OS等のアプリケーションのシャットダウン処理が行われると、VGAやIDE等の設定を保存する等の処理を行う。
【0027】
また、停止部1042は、VGAやIDE等の設定を保存する等の処理が終了すると、USBポート110がUSB給電を許可する設定にされているか否かを判定する。なお、USBポート110に対するUSB給電が許可されているか否かは、図2に示したようにユーティリティによって設定され、記憶部1044に記憶されている。
【0028】
そして、停止部1042は、USB給電を許可する設定がされていると判定した場合、USBコントローラ105が、そのUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを示す信号を検出しているか否かを判定する。続いて、給電制御部1043について説明する。
【0029】
給電制御部1043は、USBデバイス111に対して有効なUSB給電を行うための給電モードを定めたり、USBウェイクアップ設定をする等のUSB給電するための各種の設定を行うものである。
【0030】
ここで、給電モードとは、USBデバイス111を充電モードに切り換えるために、USBコントローラ105や電源回路108、あるいは外部ハードウェア112等のコンピュータ101の各部の条件の組み合わせを定めたものである。
【0031】
例えば、USBコントローラ105や外部ハードウェア112、電源回路108等のコンピュータ101の各部の制御信号の状態(ON/OFFあるいは、H(High)/L(Low))の組み合わせを定めたものである。このような給電モードの設定は、後述するように、記憶部1044に記憶されている。
【0032】
図3は、記憶部1044に記憶される給電モードの例を示す図である。図3では、USBコントローラ105、外部ハードウェア112、電源回路108の各部を、給電モードを定めるための組み合わせとして定めている。
【0033】
具体的には、給電モードが「モード0」の場合は、電源回路108をUSB給電用に設定し、USBコントローラ105や外部ハードウェア112は、USB給電用の設定は行わないことを示している。
【0034】
また、「モード1」は、USBコントローラ105および電源回路108をUSB給電用に設定し、「モード2」は、外部ハードウェア112および電源回路108をUSB給電用に設定し、「モード3」は、USBコントローラ105、外部ハードウェア112、電源回路108をUSB給電用に設定することを示している。
【0035】
なお、以下の説明では、上述した各部のUSB給電用の設定を、「ON」「OFF」等の組み合わせによって行うものとして説明しているが、実際には、例えば、外部ハードウェア112の場合であれば、図4に示すように、それぞれの給電モードに対応付けて、USBデバイス111の信号線1(クロックライン)、信号線2(データライン)の信号レベルが「H」または「L」に設定されている。
【0036】
このように、本実施の形態においては、給電モードとして複数のモードが定められている。その理由は、USBデバイス111によっては、充電モードに切り替わるために必要となるコンピュータ101の設定が異なるためである。
【0037】
図1に戻り、給電制御部1043は、停止部1042がUSBポート110にUSB給電を許可する設定がされていると判定し、かつUSBコントローラ105がUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを検出していると判定した場合、起動処理において起動部1041からUSBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされている旨の通知を受けた場合のいずれかの場合に、次の給電モードを記憶部1044に記憶させる。例えば、給電モードとして、記憶部1044に「モード0」が記憶されている場合には、次の給電モードである「モード1」を現在の給電モードとして記憶させる。
【0038】
そして、給電制御部1043は、記憶した給電モードに応じてUSBコントローラ105、外部ハードウェア112、電源回路108等の各部を設定する。そして、これらの各部を設定した状態において電源マイコン107が給電回路109に供給する電流の値(以下、供給電流値と呼ぶ。)を取得し、その供給電流値を給電モードごとに記憶部1044に記憶する。
【0039】
給電制御部1043は、現在の給電モードに対応する供給電流値を記憶部1044に記憶すると、上述した場合と同様にして、次の給電モードについての供給電流値を取得する。そして、すべての給電モードの供給電流値を記憶部1044に記憶すると、記憶したそれぞれの供給電流値を比較し、有効な給電モードを設定するための供給電流値があるか否かを判定する。
【0040】
具体的には、各給電モードにおける供給電流値と、あらかじめ記憶部1044に記憶された、USB給電するための基準となる電流値(以下、電流閾値と呼ぶ。)とを比較し、電流閾値を超えている供給電流値があるか否かを判定する。そして、電流閾値を超えている供給電流値があると判定した場合には、その供給電流値を取得したときの給電モードを、USB給電するために有効な給電モードとして記憶部1044に記憶し、記憶した給電モードに応じて各部を設定する。
【0041】
また、給電制御部1043は、停止部1042がUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを示す信号を検出していないと判定した場合、または上述した有効な給電モードを設定するための供給電流値がないと判定した場合のいずれかの場合に、USBポート110にUSBウェイクアップ設定し、BIOS−ROM104の起動部1041に起動処理を行うよう指示する。続いて記憶部1044について説明する。
【0042】
記憶部1044は、USB給電を行うための各種の設定を記憶するものである。具体的には、記憶部1044は、電流閾値、USB給電するために有効な給電モードを記憶するほか、給電モードごとに供給電流値を記憶する。また、図3、4に示すような、給電モードの組み合わせ、あるいはUSBウェイクアップ設定や図2に示すようなUSB給電を「許可する」「許可しない」旨の設定をUSBポート110ごとに記憶する。
【0043】
続いて図1に戻り、USBコントローラ105について説明する。
【0044】
USBコントローラ105は、USBポート110にUSBデバイス111が挿入されると、USBデバイス111が挿入された旨の信号を検出する。また、USBコントローラ105は、上述した指示を行うほか、挿入されたUSBデバイス111に対する各種コマンドやデータの送受信の制御を行う。
【0045】
エンデベッドコントローラ106は、コンピュータ101の電源管理を行うものである。具体的には、停止部1042がUSB給電を許可する設定にされていないと判定した場合、または給電制御部1043が有効な給電モードがないと判定した場合のいずれかの場合に、給電回路109とUSBポート110との接続を遮断する等、USBポート110に対するUSB給電を禁止する設定を行う。
【0046】
なお、USBデバイス111が挿入されていないと判定した場合にUSBウェイクアップ設定を行う理由は、例えば、マウス等の本来USB給電を行う対象ではないデバイスを、ユーザが誤ってUSBポート110に挿入した場合であっても、USBデバイスにバッテリを備えるようなUSB給電の対象となるUSBデバイスがUSBポートに挿入された場合に、USBウェイクアップ設定をすることによって、自動的にUSB給電が可能な状態となるためである。
【0047】
電源マイコン107は、給電回路109やコンピュータ101内の各部に対して供給電流を供給するほか、コンピュータ101内の各部の電圧の状態等を監理する。また、電源マイコン107は、電源スイッチ(不図示)が押下され、電源回路108が、その信号を検知すると、BIOS−ROM104の起動部1041に対して起動処理を行うように指示する。
【0048】
電源回路108は、電源スイッチ(不図示)が押下された場合に、その信号を検知する他、コンピュータ101本体の電源を制御する回路である。
【0049】
給電回路109は、停止部1042が各種ハードウェアの停止処理を行った場合であっても、USBポート110に対して電力を供給するための回路である。
【0050】
USBポート110は、給電回路109とUSBデバイス111との接続を媒介するポートである。
【0051】
USBデバイス111は、USB規格で定められた方式よって通信やデータの授受が可能な媒体であり、例えば、フラッシュメモリやハードディスク等である。
【0052】
外部ハードウェア112は、BIOS−ROM104、USBコントローラ105、電源回路108等のように、電源の制御を通常行うハードウェア以外の外部回路である。このように外部ハードウェア112についても、給電モードを設定するための条件の組み合わせの1つに含めている理由は、BIOS−ROM104、USBコントローラ105、電源回路108等のように、通常電源の制御を行うハードウェアだけでは、USBデバイス111に対して有効な給電が出来ない場合があるためである。
【0053】
続いて、上述したコンピュータ101で行われる停止処理について説明する。
【0054】
図5は、コンピュータ101が、稼動状態から、USBウェイクアップ設定された状態に移行するまでの処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、ユーザがコンピュータ101のOS等のアプリケーションに対してシャットダウンする指示を行ったものとする。
【0055】
図5に示すように、停止部1042は、OS等のアプリケーションのシャットダウン処理が指示されると、VGAやIDE等の設定を保存する等の処理を行う(ステップS501)。
【0056】
そして、停止部1042は、USBポート110がUSB給電を許可する設定にされているか否かを判定する(ステップS502)。
【0057】
そして、停止部1042がUSBポート110がUSB給電を許可する設定にされていないと判定した場合(ステップS502;No)、エンデベッドコントローラ106は、USBポート110に対するUSB給電を禁止する設定を行う(ステップS503)。
【0058】
一方、USBポート110がUSB給電を許可する設定にされていると判定した場合(ステップS502;Yes)、停止部1042は、USBコントローラ105がそのUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを示す信号を検出しているか否かを判定する(ステップS504)。
【0059】
そして、停止部1042がUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを示す信号を検出していないと判定した場合(ステップS504;No)、給電制御部1043は、USBポート110に対してUSBウェイクアップ設定し、BIOS−ROM104の起動部1041に起動処理を行うよう指示する(ステップS505)。このステップS505が終了すると、ステップS503に進み、エンデベッドコントローラ106は、USBポート110に対するUSB給電を禁止する設定を行う。
【0060】
一方、停止部1042が、USBコントローラ105がUSBポート110にUSBデバイス111が挿入されていることを示す信号を検出していると判定した場合(ステップS504;Yes)、給電制御部1043は、記憶部1044に記憶されている給電モードの次の給電モードを現在の給電モードとして記憶部1044に記憶し、記憶した給電モードに応じて各部を設定する(ステップS506)。そして、記憶した給電モードでの供給電流値を取得し、その供給電流値を給電モードに対応付けて記憶部1044に記憶する(ステップS507)。そして、すべての給電モードの供給電流値を記憶部1044に記憶したか否かを判定する(ステップS508)。
【0061】
そして、給電制御部1043は、すべての給電モードの供給電流値を記憶部1044に記憶していないと判定すると(ステップS508;No)、ステップS506に戻り、ステップS506〜S507の各処理を繰り返す。
【0062】
一方、すべての給電モードの供給電流値を記憶部1044に記憶したと判定すると(ステップS508;Yes)、給電制御部1043は、記憶したそれぞれの供給電流値を比較し(ステップS509)、有効な給電モードを設定するための供給電流値があるか否かを判定する(ステップS510)。
【0063】
そして、給電制御部1043は、有効な給電モードを設定するための供給電流値があると判定した場合(ステップS510;Yes)、その供給電流値を取得したときの給電モードを、USB給電するために有効な給電モードとして記憶部1044に記憶し、その有効な給電モードに対応したUSBコントローラ105や電源回路108、あるいは外部ハードウェア112等の各部の設定を行う(ステップS511)。
【0064】
一方、給電制御部1043が、有効な給電モードを設定するための供給電流値がないと判定した場合(ステップS510;No)、ステップS505、S503に進む。
【0065】
このように、ステップS511またはステップS503のいずれかの処理が終了すると、本実施の形態における停止処理が終了する。
【0066】
続いて、コンピュータ101で行われる起動処理について説明する。
【0067】
図6は、コンピュータ101が、USBウェイクアップ設定された状態から、稼動状態に移行するまでの処理手順を示すフローチャートである。以下の説明では、電源マイコン107、または給電制御部1043からの起動処理の実行指示を受けたものとする。
【0068】
図6に示すように、起動部1041は、起動処理の実行指示が、電源マイコン107からの指示によるものか、給電制御部1043からの指示によるものか、すなわち実行指示がUSBウェイクアップ設定によるものか否かを判定する(ステップS601)。
【0069】
そして、実行指示がUSBウェイクアップ設定によるものと判定した場合(ステップS601;Yes)、起動部1041は、USBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされているか否かを判定する(ステップS602)。
【0070】
そして、起動部1041は、USBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされていると判定した場合(ステップS602;Yes)、その旨を停止部1042に通知する。その後、図5に示すステップS506に進み、停止部1042は、ステップS506以降の停止処理を行う。
【0071】
一方、起動部1041は、実行指示がUSBウェイクアップ設定によるものではないと判定した場合(ステップS601;No)、またはUSBポート110に対してUSB給電を許可する設定がされていないと判定した場合(ステップS602;No)、VGAやIDE等を初期化する等の処理を行う(ステップS603)。このステップS603の処理が終了すると、コンピュータ101は、OS(Operating System)を起動し、ユーザがコンピュータ101を使用できる状態にする。このステップS603の処理が終了すると、本実施の形態における起動処理が終了する。
【0072】
このように、記憶部1044が、接続されたUSBデバイス111を充電可能な状態にするためのコンピュータ101の各部の条件を定めた複数の給電モードを記憶し、給電制御部1043が、USBデバイス111が接続された場合に、複数の給電モードの中からUSBデバイス111に有効な給電モードを選択し、選択した給電モードに従ってコンピュータ101の各部を設定するので、ユーザの手を煩わせることなく容易にデバイスに合った給電の設定が可能となる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0074】
101 コンピュータ
102 CPU
103 メモリ
104 BIOS−ROM
1041 起動部
1042 停止部
1043 給電制御部
1044 記憶部
105 USBコントローラ
106 エンデベッドコントローラ
107 電源マイコン
108 電源回路
109 給電回路
110 USBポート
111 USBデバイス
112 外部ハードウェア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に給電可能な情報処理装置であって、
前記外部機器を接続する接続手段と、
前記外部機器を充電するための設定条件を定めた複数の給電モードを有し、
前記接続手段に接続されている前記外部機器に有効な、複数の前記給電モードの中から選択された給電モードに従って前記外部機器に対して給電する給電手段と、
前記情報処理装置が非稼動のときには該情報処理装置を起動するように設定するウェイクアップ設定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ウェイクアップ設定手段は、前記外部機器が前記給電モードのいずれも有効でない場合、ウェイクアップ設定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記給電手段は、各々の前記給電モードについて前記外部機器に対して供給した電流が閾値以上であるか否かを判定し、前記外部機器に対して供給した電流が閾値以上であると判定した場合、該給電モードを有効な給電モードとして選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記給電手段は、前記情報処理装置を停止状態にする場合に、複数の前記給電モードについて、前記外部機器に対して供給した電流が前記閾値以上であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
外部機器に給電する情報処理装置の給電方法であって、
前記外部機器を充電するための設定条件を定めた複数の給電モードの中から選択される、前記情報処理装置と前記外部機器とを接続する接続手段に接続されている該外部機器に有効な給電モードを求め、
該給電モードに従って該外部機器に対して給電するとともに、
前記情報処理装置が非稼動時に前記外部機器が前記接続手段に接続されたときには前記情報処理装置を起動するウェイクアップ設定をする
ことを特徴とする給電方法。
【請求項6】
ウェイクアップ設定の際、前記接続手段に接続された前記外部機器が前記複数の給電モードのいずれも有効でない場合に設定することを特徴とする請求項5に記載の給電方法。
【請求項7】
前記給電モードを求める際、各々の前記給電モードについて前記外部機器に対して供給した電流が閾値以上であるか否かを判定し、前記外部機器に対して供給した電流が閾値以上であると判定した場合、該給電モードを有効な給電モードとして選択する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の給電方法。
【請求項8】
前記情報処理装置を停止状態にするとき、複数の前記給電モードについて、前記外部機器に対して供給した電流が前記閾値以上であるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項7に記載の給電方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−257493(P2010−257493A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183307(P2010−183307)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【分割の表示】特願2008−282326(P2008−282326)の分割
【原出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】