説明

情報処理装置

【課題】 切り替え後の画面表示制御機能による表示が行われるまで、画面表示制御機能が切り替えられる前の表示を続ける情報処理装置を提供する。
【解決手段】 情報処理装置は、画面表示制御機能を有する処理管理部、例えば、第1の処理管理部21からなり、処理管理部にはダミー処理部、例えば、第1のダミー処理部24を有する。異なる処理管理部へ動作が切り替えられる際、切り替え前の処理管理部では、ダミー処理部を第1優先度で動作させる。ここで、ダミー処理部は、表示部への表示を行わないことによって、表示部の表示を維持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、装置の処理動作を複数のグループに分けて管理する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置は、制御部と所望の動作を行う複数の処理部とを有し、制御部は、それらの処理部に優先度を付し、その優先度に従って動作させ、また、画像表示部を含む入出力部を使用させる権利を与える制御処理が知られている。ソフトウェアによって実装された情報処理装置においては、制御部は、オペレーティングシステムのタスク管理機能及びリソース管理機能であり、処理部は、各種のアプリケーションプログラムによるタスクである。
【0003】
複数の処理部が同時に動く場合、特に画像表示制御機能、即ち、画像表示部を使用させる処理部の決定及び切り替えには念入りな処理が必須である。なぜなら、画像表示部に表示された画像は使用者によって直接視認されるので、乱れた表示は装置の使い心地に大きな悪影響を与えるからである。
【0004】
そこで、画像表示部を有する情報処理装置は、画像表示部を使用させる処理部の切り替えに際して、表示が途切れないこと及び無用な表示が行われないことを満たす制御を行う画像表示制御機能を有する。この制御の一例は、各処理部に画像処理部の表示画面の一部または全部からなるウィンドウと呼ばれる区画を割り当て、複数のウィンドウが表示画面の同じ位置を占める場合、最前面にあるとされたウィンドウが表示される制御である。この制御機能は、ウィンドウシステムと呼ばれている。
【0005】
一方、異なる制御部の制御の元で動作する処理部の動作が1台の情報処理装置で必要となり、それらの処理部を1台の装置に統合して用いることが望まれることがある。異なる制御部は、異なる画面表示制御機能を有することが多く、ある処理部が動作する際、その処理部を制御する制御部の画面表示制御機能、例えば、ウィンドウシステムを併せて動作させる処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−161861号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている方法では、画面表示制御機能が切り替えられる際、即ち、切り替え前に動作していた処理部による表示から切り替え後に動作させる処理部による表示に切り替わる際に表示に乱れが生じる可能性がある問題点があった。例えば、切り替え前の画面表示制御機能は、動作の終了に際して、画像表示部の表示を全て消去する場合、切り替え後の画面表示制御機能が動作を開始するまでの間、画像表示部に表示がされないこととなり、使用者に違和感を与える。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、装置の処理動作を複数のグループに分けて管理する場合に、表示画面の切り替えの際に使用者に違和感を与えないように制御することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、画像を表示する表示手段と、第1種の処理手段と、ダミー処理手段及び第2種の処理手段を備えた処理管理手段と、前記第1種の処理手段及び前記第2種の処理手段とを動作させ、また、前記表示手段に表示する権利を前記第1種の処理手段と前記処理管理手段とのいずれかに与える制御手段とを有し、前記処理管理手段は、前記制御手段によって与えられた表示手段に表示する権利を前記ダミー処理手段及び前記第2種の処理手段のいずれかに与え、前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって前記表示手段に表示する権利を与えられたか否かに係らず前記表示手段に表示せず、前記制御手段は、前記第2種の処理手段が動作している際に前記第1種の処理手段を動作させる場合、前記処理管理手段を制御して前記表示手段に表示する権利を前記ダミー処理手段に与えさせ、前記第1種の処理手段を動作させて、前記第1種の処理手段に前記表示手段に表示する権利を与えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の情報処理装置は、画像を表示する表示手段と、ダミー処理手段、第1の処理手段及び第2の処理手段を備えた処理管理手段と、前記第1の処理手段及び前記第2の処理手段を動作させ、動作を中断させ、また、動作を終了させる制御手段とを有し、前記処理管理手段は、前記ダミー処理手段、第1の処理手段及び前記第2の処理手段のいずれかに前記表示手段に表示する権利を与え、前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって表示手段に表示する権利を与えられたか否かに係らず前記表示手段に表示せず、前記制御手段は、前記第1の処理手段が前記表示手段に表示する権利を与えられて動作しており、かつ、前記第2の処理部が動作を中断している際に前記第1の処理手段の動作を終了させる場合、前記処理管理手段を制御して前記ダミー処理手段に前記表示手段に表示する権利を与えさせ、前記第1の処理手段の動作を終了させ、前記第2の処理手段を動作させて、前記処理管理手段を制御して前記第2の処理手段に前記表示手段に表示する権利を与えさせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置の処理動作を複数のグループに分けて管理する場合に、表示画面の切り替えの際に使用者に違和感を与えないように制御することができる情報処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明による情報処理装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置が適用された移動通信端末装置の構成を示すブロック図である。この移動通信端末装置は、装置全体の制御を行う総合制御部11と、総合動作状況記憶部11aと、基地局(図示せず)との間で電波の送受信を行うアンテナ12aと、通信部12bと、送受信部13と、通話用のスピーカ14aと、通話用のマイクロフォン14bと、通話部14cと、表示部15と、入力装置16と、第1の処理管理部21と、第2の処理管理部31とからなる。総合動作状況記憶部11aには、総合動作状況11bが記憶される。
【0012】
図2は、第1の処理管理部21の詳細な構成を示すブロック図である。第1の処理管理部21は、第1の処理管理部21の各部による表示部15への画像の表示の制御を含む、第1の処理管理部21の制御を行う第1の制御部22と、第1の動作状況記憶部23と、第1のダミー処理部24と、待ち受け処理部25と、通話処理部26と、アドレス帳処理部27と、アドレス帳記憶部28とならなる。
【0013】
第1の動作状況記憶部23には、第1の動作状況23aが記憶される。アドレス帳記憶部28には、アドレス帳28aが記憶される。アドレス帳28aは、少なくとも氏名と、電話番号と、電子メールアドレスとが関連付けられた情報からなる。
【0014】
図3は、第2の処理管理部31の詳細な構成を示すブロック図である。第2の処理管理部31は、データ通信機能を処理する処理部のグループである。そして、第2の処理管理部31の各部による表示部15への画像の表示の制御を含む、第2の処理管理部31の制御を行う第2の制御部32と、第2の動作状況記憶部33と、第2のダミー処理部34と、電子メール処理部35と、ブラウザ処理部36とからなる。第2の動作状況記憶部33には、第2の動作状況33aが記憶される。
【0015】
上記のように構成された、本発明の実施形態に係る情報処理装置の各部の動作を、図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
通信部12bは、アンテナ12aが受信した高周波信号を送受信部13へ出力し、また、送受信部13から出力される高周波信号をアンテナ12aより送信する。
【0017】
送受信部13は、通信部12bからの高周波信号を増幅、周波数変換及び復調し、それによって得られたディジタル音声信号を通話部14cへ、また、制御信号を総合制御部11に送る。更には、通話部14cから出力されるディジタル音声信号、及び総合制御部11から出力される制御信号を変調、周波数変換及び増幅し、高周波信号を得て、それを通信部12bに送る。
【0018】
通話部14cは、送受信部13から出力されるディジタル音声信号をアナログ音声信号に変換し、それを増幅してスピーカ14aに送る。また、マイクロフォン14bから出力されるアナログ音声信号を増幅し、それをディジタル音声信号に変換して送受信部13に送信する。
【0019】
表示部15は、総合制御部11に制御されることで、カーソルを含む文字・数字を含む画像データの表示動作を行い、表示されているデータは、入力装置16からの入力操作や着信信号に応答して総合制御部11からの指示を受けることで切換わる。
【0020】
入力装置16は、通信相手の電話番号などを指定し、また、トグル式の入力方式によってひらがな文字、アルファベット文字及び記号文字を入力するための数字キーと、カーソル移動キーやスクロールキーを含む複数の機能キーとを含むキーからなる。そして、入力装置16のキーが押下されると、そのキーの識別子が総合制御部11に通知され、総合制御部11の制御に基づいて、表示部15に文字として表示されたり、キーの押下に基づく制御が行われたりする。
【0021】
第1の処理管理部21は、前述の通りの構成であり、通話機能等を処理する処理部のグループであって、第1の処理管理部21の各部の中で制御された処理部が入力装置16のキー操作等に従って動作し、動作の結果を表示部15への画像表示として出力する。
【0022】
第1の制御部22は、第1の処理管理部21内の処理部の動作状態を制御する。
【0023】
待ち受け処理部25は、装置の電源が投入された際に起動され、所定の待ち受け画面を表示部15に表示する。なお、起動処理については、後で詳述する。ここで、待ち受け画面は、静止画像であっても良く、動画像であっても良い。そして、待ち受け処理部25は、入力装置16のキーが操作されると、総合制御部11を経由してそのキーに対応付けられた処理部を起動する。また、基地局から通話着信信号が受信された際に入力装置16の通話キーが操作されると、通話処理部26を起動する。待ち受け処理部25は、装置の電源の切断に至るまで動作を終了しない。
【0024】
通話処理部26は、通話を行う処理部であり、待ち受け処理部25が動作中に入力装置16の所定のキーが操作された際、及び、アドレス帳処理部27が動作中にアドレス帳28aに含まれる電話番号が表示され、入力装置16の所定のキーが操作された際に起動され、通信部12b、送受信部13及び通話部14cを起動して、発信処理及び通話処理をさせ、所定の画像を表示部15に表示する。また、通話処理部26は、送受信部13によって通話着信信号が受信されると総合制御部11によって起動され、通信部12b、送受信部13及び通話部14cを起動して、着信処理及び通話処理をさせ、所定の画像を表示部15に表示する。通話中に入力装置16の所定のキーが操作された際、通話処理部26は、動作を終了する。
【0025】
アドレス帳処理部27は、アドレス帳28aを管理する処理部であり、待ち受け処理部25が動作中に入力装置16の所定のキーが操作された際に起動され、アドレス帳記憶部28に記憶されたアドレス帳28aを読み出して表示部15に表示、アドレス帳28aに情報の格納、アドレス帳28aの情報の更新、及び、アドレス帳28aの情報の削除を行う。
【0026】
また、アドレス帳28aに含まれる電話番号が表示されている際、入力装置16の所定のキーが操作されると、アドレス帳処理部27は、総合制御部11を経由して通話処理部26を起動する。また、アドレス帳28aに含まれる電子メールアドレスが表示されている際、入力装置16の所定のキーが操作されると、総合制御部11を経由して第2の処理管理部31の電子メール処理部35を起動する。アドレス帳処理部27は、入力装置16の所定のキーが操作された際、動作を終了する。
【0027】
第2の処理管理部31は、前述の通りの構成であり、データ通信機能を処理する処理部のグループであって、第2の処理管理部31内の各部の中で制御された処理部が入力装置16のキー操作等に従って動作し、動作の結果を表示部15への画像表示として出力する。
【0028】
第2の制御部32は、第2の処理管理部31内の処理部の動作状態を制御する。
【0029】
電子メール処理部35は、電子メールの送信及び受信を行う処理部であり、電子メール処理部35の電子メール送信動作は、入力装置16の所定のキー操作がされた際、及びアドレス帳処理部27が動作中にアドレス帳28aに含まれる電子メールアドレスが表示されて入力装置16の所定のキーが操作された際に起動され、入力装置16の所定のキー操作によって作成された電子メールの標題と本文とを総合制御部11及び送受信部13を経由して送信して、動作を終了する。
【0030】
また、電子メール処理部35の電子メール受信動作は、送受信部13によって電子メールが受信されると総合制御部11によって起動され、受信された電子メールをメールボックス(図示せず)に記憶して、動作を終了する。
【0031】
ブラウザ処理部36は、ウェブサイトへアクセスする処理部である。即ち、ブラウザ処理部36は、入力装置16の所定のキーが操作された際、総合制御部11によって起動され、ウェブサイトへアクセスする動作を開始する。ブラウザ処理部36は、続いて、入力装置16のキー操作によってウェブサイトのアドレスを作成し、作成されたアドレスによって識別されるウェブサイトへ総合制御部11及び送受信部13を経由してアクセスし、そのウェブサイトから送信された情報を送受信部13及び総合制御部11を経由して受信して、表示部15に表示する。ブラウザ処理部36は、入力装置16の所定のキーが操作された際、動作を終了する。
【0032】
以下、本実施形態に係る移動通信端末装置の、処理部の管理処理、特に、動作中の処理部の切り替え処理に関する動作を説明する。
【0033】
(処理部の状態及び優先度)
まず、処理部の状態を説明する。第1の処理管理部21に属する処理部(第1のダミー処理部24、待ち受け処理部25、通話処理部26及びアドレス帳処理部27)と、第2の処理管理部31に属する処理部(第2のダミー処理部34、電子メール処理部35及びブラウザ処理部36)は、実行可能状態(Ready、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利とを得れば、直ちに動作できる状態。)、一時停止状態(Suspend、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利とを得ても直ちには動作できない状態。)及び終了状態のいずれかの状態にあるように制御される。
【0034】
第1の処理管理部21に属する処理部であって、実行可能状態または一時停止状態にある処理部には、第1の処理管理部21内での優先度が付される。第2の処理管理部31に属する処理部についても、同様である。後述するように、新たに実行可能状態におかれた処理部には最高の優先度が付されるが原則である。
【0035】
第1の処理管理部21に属する実行可能状態であって、第1の処理管理部21内で最も優先度が高い処理部が動作中(Active、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利とを得て、動作している状態。)であると第1の処理管理部21内でみなされる。また同様に、第2の処理管理部31に属する実行可能状態であって、第2の処理管理部31内で最も優先度が高い処理部が動作中であると第2の処理管理部31内でみなされる。
【0036】
また、第1の処理管理部21は、実行可能状態である処理部がなく、一時停止状態である処理部がある場合、一時停止状態である処理部の少なくとも1つが実行可能状態に移される。また、第2の処理管理部についても同様である。
【0037】
なお、上述したように、動作中とみなされる処理部は、第1の処理管理部21に属する処理部が1つと、第2の処理管理部31に属する処理部が1つの合計2つであるが、後述するように、総合制御部11によって表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利とは1つの処理部に与えられ、動作中の処理部は1つであるように制御される。また、動作中であると制御される処理部は、最後に動作中であるとみなされるに至った処理部である。
【0038】
第1の処理管理部21に属する処理部は、1つまたは2つが実行可能状態にある。また、第2の処理管理部31に属する処理部は、1つまたは2つが実行可能状態にある。そして、実行可能状態にある処理部は、実行可能状態に移されつつある処理部、動作中の処理部及びダミー処理部に限るように制御されることによって、処理部の消費電力を削減するが、これに限るものではない。上記以外の処理部が実行可能状態にあるように制御することによって、動作中の処理部を迅速に切り替えるとしても良い。
【0039】
第1の処理管理部21に属する処理部について、処理部をいずれの状態に移すかの判断は、総合制御部11及び第1の制御部22によって制御される。また、第2の処理管理部31に属する処理部については、総合制御部11及び第2の制御部32によって制御される。そして、処理部を実行可能状態に移すことは、第1の制御部22及び第2の制御部32を経由して、総合制御部11によって制御される(この制御を起動と記す。)。
【0040】
そして、起動の完了とは、新たに起動された処理部が表示部15に表示させる画像の作成を完了し、かつ、操作された入力装置16のキーの識別子を得た際に、その識別子に対応する処理を行うことができることになったこと(即ち、その処理部は、入力装置16の操作されたキーに基づいた処理が行えなかったが、行えるように変わったこと。)を意味する。
【0041】
総合制御部11は、第1の制御部22又は第2の制御部32を経由して起動させた処理部を、起動させた順を付して、また、優先度を付して総合動作状況11bに記憶する。更に、第1の処理管理部21と第2の処理管理部31との中で、いずれが高い優先度であるかを総合動作状況11bに記憶する。そして、第1の処理管理部21と第2の処理管理部31との中で高い優先度である処理管理部の制御部(第1の制御部22または第2の制御部32)に表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利との制御を委ねる。なお、高い優先度である処理管理部は、原則として、最後に起動された処理部が属する処理管理部であるが、詳細は後述する。
【0042】
ここで、第1のダミー処理部24と第2のダミー処理部34とは、装置の電源投入に伴って起動され、終了することはない。また、装置の電源投入の際、第1のダミー処理部24と第2のダミー処理部34との起動に続いて待ち受け処理部25が起動され、終了することはないため、第1のダミー処理部24と、第2のダミー処理部34と、待ち受け処理部25とは常に実行可能状態か、一時停止状態にある。そのため、第1の処理管理部21と第2の処理管理部31との中でいずれが優先度が高いかが不定であることはない。
【0043】
第1の制御部22は、第1の処理管理部21に属する処理部であって、実行可能状態にある処理部及び一時停止状態にある処理部と、総合制御部11の制御に従ってそれらの処理部に付された優先度とを第1の動作状況23aに記憶する。そして、第1の処理管理部21に表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利との制御を委ねられている場合、最も高い優先度が付された処理部にそれらの権利を与える。
【0044】
また、最も高い優先度が付された処理部のみを実行可能状態に置くため、その処理部は動作中となり、その他の処理部を一時停止状態に置く。しかし、後述するように、処理部の起動中、又は終了処理中に総合制御部11によって指示された場合、最も高い優先度が付された処理部以外の処理部を実行可能状態に置くことがある。
【0045】
また、一時停止状態の処理部は、例えば、送受信部13からの信号を受信することによって処理をすることがあるが(ソフトウェアによって実装された情報処理装置においては、割り込み発生による処理である。)、総合制御部11によって起動されない場合、優先度は変わらず、その結果、動作中とは見なされない。また、一時停止状態の処理部は、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利が与えられることはない。
【0046】
第2の制御部32は、第2の処理管理部31に属する処理部を管理し、状況を第2の動作状況33aに記憶するが、動作は、第1の制御部22と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0047】
(ダミー処理部の動作)
第1のダミー処理部24の動作と、第2のダミー処理部34の動作を説明する。ここで、これらの動作は同一であり、第1のダミー処理部24の動作のみを説明し、第2のダミー処理部34の動作の説明を省略する。
【0048】
第1のダミー処理部24は、最も高い優先度が付され、実行可能状態に置かれた場合、表示部15への表示の権利が与えられるが、表示部15への表示を行わない。この表示を行わないことによって、第1のダミー処理部24が実行可能状態に置かれる前の表示を表示部15に維持させる。また、第1のダミー処理部24は、実行可能状態に置かれた場合、入力装置16のキー操作を受け取る権利が与えられるが、このキー操作に依存した動作を行わない。このキー操作に依存した動作を行わないことによって、キー操作が行われたとしても、装置の動作に変化を与えない。
【0049】
(新たに処理部を起動する際の処理)
まず、動作中の処理部(処理部の起動中、又は終了処理中でない限り、この処理部は、ダミー処理部以外の処理部であって、入力装置16のキー操作を受け取って動作し、動作結果を表示部15へ表示している。)が第1の処理管理部21に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作を説明する。
【0050】
図4は、この場合の、総合制御部11の処理部起動の制御動作のフローチャートを示す。総合制御部11は、動作中の処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合、制御動作を開始して(ステップS11a)、第1の制御部22を制御して、第1のダミー処理部24を第1の処理管理部21内の処理部の中で、最も優先度を高くさせて、動作中とさせる(ステップS11b)。ここで、併せて、ステップS11aの制御動作開始の際に動作中であった処理部を一時停止状態におかせる。
【0051】
次に、総合制御部11は、第1の制御部22を制御して、新たに起動する処理部を第1のダミー処理部24の優先度未満の優先度で起動させる(ステップS11c、その処理部は、起動前には一時停止状態または終了状態にあるので、実行可能状態に移させる。そして、第1の処理管理部21に属する処理部の中で最も高い優先度の処理部は、第1のダミー処理部24であるので、起動するタスクを第1のダミー処理部24に次いで、2番目に高い優先度で起動させても良い。)。そして、総合制御部11は起動が完了したとの通知を受け取ったか否かを調べることにより起動完了を待つ(ステップS11d)。その後、起動が完了した場合、その新たに起動された処理部を第1の処理管理部21内の処理部の中で、最も優先度を高くさせて動作中とさせる(ステップS11e)。そして、制御動作を終了する(ステップS11f)。ここで、併せて、第1のダミー処理部24を一時停止状態におかせる。
【0052】
この結果、第1のダミー処理部24は、第1の処理管理部21内の処理部の中で、2番目に優先度が高くなる。更に、総合制御部11は、ステップS11aの制御動作開始の際に動作中であった処理部を終了させることもある。
【0053】
この起動処理によって、新たに起動される処理部の起動が開始されてから完了するまでの間、表示部15の表示は変化せず、入力装置16のキー操作によって装置の処理部が処理を行うことはなく、装置の使用者に違和感を与えることはない。
【0054】
次に、動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第2の処理管理部31に属する処理部である場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作を説明する。
【0055】
総合制御部11は、動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第2の処理管理部31に属する処理部である場合、第2の制御部32を制御して、第2のダミー処理部34を第2の処理管理部31内の処理部の中で、最も優先度を高くさせ、新たに起動する処理部の起動が完了した際、その新たに起動された処理部を第2の処理管理部31内の処理部の中で、最も優先度を高くさせるが、上記の動作中の処理部が第1の処理管理部21に属する処理部のいずれかであり、かつ、起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合と同様の制御であり、フローチャートを参照した説明を省略する。
【0056】
次に、動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作を説明する。
【0057】
図5は、この場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作のフローチャートを示す。総合制御部11は、動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合、制御動作を開始して(ステップS11h)、第2の制御部32を制御して、第2のダミー処理部34を第2の処理管理部31内で最も優先度を高くさせて、動作中とさせる(ステップS11i)。ここで、併せて、ステップS11hの制御動作開始の際に動作中であった処理部を一時停止状態におかせる。
【0058】
次に、総合制御部11は、第1の制御部22を制御して、新たに起動する処理部を第1のダミー処理部24の優先度未満の優先度で起動させる(ステップS11j、その処理部は、起動前には一時停止状態または終了状態にあるので、実行可能状態に移させる。そして、第1の処理管理部21に属する処理部の中で最も高い優先度の処理部は、第1のダミー処理部24であるので、起動するタスクを第1のダミー処理部24に次いで、2番目に高い優先度としても良い。)。
【0059】
そして、起動が完了したとの通知を受け取ったか否かを調べることにより起動完了を待ち(ステップS11k)、起動が完了した場合、総合制御部11は、その処理部を第1の処理管理部21内の処理部の中で、最も優先度を高くさせて、動作中とさせる(ステップS11m)。この結果、第1のダミー処理部24は、第1の処理管理部21内の処理部の中で、2番目に優先度が高くなり、一時停止状態となる。
【0060】
次に、総合制御部11は、第1の処理管理部21の優先度を第2の処理管理部31の優先度より高くする。即ち、その旨を総合動作状況11bに格納する。そして、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利との制御を第1の制御部22に委ね(ステップS11n)、制御動作を終了する(ステップS11o)。
【0061】
総合制御部11は、動作中の処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第2の処理管理部31に属する処理部である場合、第1の制御部22を制御して、第1のダミー処理部24を第1の処理管理部21内で最も優先度を高くさせる。次に、第2の制御部32を制御して、新たに起動する処理部を第2のダミー処理部34の優先度未満の優先度で起動させ、起動の完了後、その処理部を第2の処理管理部31内の処理部の中で、最も優先度を高くさせる。
【0062】
この結果、第2のダミー処理部34は、第2の処理管理部31内の処理部の中で、2番目に優先度が高くなる。次に、総合制御部11は、第2の処理管理部31は、第1の処理管理部21より優先度が高い旨を総合動作状況11bに格納する。そして、表示部15への表示の権利と、入力装置16のキー操作を受け取る権利との制御を第2の制御部32に委ねる。
【0063】
この、動作中の処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第2の処理管理部31に属する処理部である場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作は、動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合の総合制御部11の処理部起動の制御動作と同様であり、フローチャートを参照した説明を省略する。
【0064】
この起動処理によって、動作中の処理部と新たに起動される処理部が異なる処理管理部に属している場合、起動する処理部の起動が開始されてから完了するまでの間、表示部15の表示は変化せず、入力装置16のキー操作によって装置の処理部が処理を行うことはなく、装置の使用者に違和感を与えることはない。
【0065】
また、新たに起動された処理部が属する処理管理部とは異なる処理管理部においては、その処理部が起動された後、ダミー処理部が最も優先度が高くなる。そのため、この異なる処理管理部が表示部15に表示を行う権利及び/または入力装置16のキー操作を受け取る権利をたとえ有したとしても、その権利はダミー処理部に与えられるので、表示部15の表示に何ら影響を与えることなく、また、入力装置16のキー操作に依存してこの異なる処理管理部に属する処理部による処理は行われない。
【0066】
上記の動作中の処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であり、かつ、新たに起動する処理部が第1の処理管理部21に属する処理部である場合の処理の一例を用いて説明する。図6は、この場合の処理に伴って、総合動作状況11bにいずれの処理管理部に属する処理部が優先度が高いと記憶されているか、及び、第1の動作状況23aと第2の動作状況33aとに処理部が如何なる優先度で記憶されているかが変化する状況を示す。
【0067】
即ち、図6(a)は、第2の動作状況33aが第1の動作状況23aより上に示されていることにより、第2の処理管理部31が第1の処理管理部21より優先度が高いと総合動作状況11bに記憶されていることを示す。更に、第2の動作状況33aには、ブラウザ処理部36と第2のダミー処理部34が含まれ、かつ、前者が最も上に示されていることにより、ブラウザ処理部36は、最大の優先度であり、後者は、前者の優先度未満の優先度であることを示す。
【0068】
また、第1の動作状況23aには、第1のダミー処理部24と待ち受け処理部25が含まれ、かつ、前者が最も上に示されていることにより、第1のダミー処理部24は、最大の優先度であり、後者は、前者の優先度未満の優先度であることを示す。この図6(a)は、図5に示すフローチャートのステップS11hの制御動作が開始される状況に対応し、ブラウザ処理部36が入力装置16のキー操作を受け取って動作中であり、動作結果を表示部15に表示している状況を示す。また、待ち受け処理部25は、一時停止の状態にある状況を示す。
【0069】
ここで、例えば、入力装置16の所定のキーが操作されることにより、待ち受け処理部25を起動させるとする。すると、まず、総合制御部11は、動作中の処理部は第2の処理管理部31に属するブラウザ処理部36であることから、第2のダミー処理部34を第2の動作状況33aの中で最大の優先度にさせる。図6(b)は、第2のダミー処理部34が第2の動作状況33aの中で最も上に示されていることにより、第2のダミー処理部34が第2の動作状況33aの中で最大の優先度である状況を示す。
【0070】
この図6(b)は、図5に示すフローチャートのステップS11iの第2のダミー処理部34の優先度が高くされた状況に対応し、第2のダミー処理部34は、入力装置16のキー操作に依存した動作を行わず、かつ、表示部15に表示しないことから、入力装置16の装置が操作されても装置の動作に影響を与えず、かつ、表示部15の表示は、図6(a)に状況を示すブラウザ処理部36によって表示された画像が引き続き表示されたものである。
【0071】
次に、総合制御部11は、待ち受け処理部25を起動させ、起動が完了すると、待ち受け処理部25を第1の動作状況23aの中で最大の優先度にさせる。図6(c)は、待ち受け処理部25が第1の動作状況23aの中で最も上に示されていることにより、待ち受け処理部25が第1の動作状況23aの中で最大の優先度である状況を示す。
【0072】
この図6(c)は、図5に示すフローチャートのステップS11mの起動完了した処理部の優先度を最も高くさせた状況に対応し、図6(b)に示した状況と同様に、第2のダミー処理部34は、入力装置16のキー操作に依存した動作を行わず、かつ、表示部15に表示しないことから、入力装置16の装置が操作されても装置の動作に影響を与えず、かつ、表示部15の表示は、図6(a)に状況を示すブラウザ処理部36によって表示された画像が引き続き表示されたものである。
【0073】
待ち受け処理部25の起動が完了したとの通知を受けて、総合制御部11は、第1の処理管理部21が第2の処理管理部31より優先度を高くする制御を行う。図6(d)は、第1の動作状況23aが第2の動作状況33aより上に示されていることにより、第1の処理管理部21が第2の処理管理部31より優先度が高いと総合動作状況11bに記憶されていることを示す。
【0074】
この図6(d)は、図5に示すフローチャートのステップS11nの第1の処理管理部21の優先度が第2の処理管理部31の優先度より高いと制御された状況に対応し、この、図6(d)に示す優先度の状況に至って、待ち受け処理部25が入力装置16のキー操作を受け取って動作中であり、動作結果を表示部15に表示している。この状況に至る、図6(b)に示す状況及び図6(c)に示す状況においては、既に説明した通り、表示部15には、図6(a)に示す状況でブラウザ処理部36が表示した画像が引き続き表示され、また、入力装置16のキー操作に依存して動作する処理部はなく、使用者に違和感を与えることはない。
【0075】
(処理部を終了する際の処理)
総合制御部11が処理部を終了させる制御動作を、(1)総合動作状況11bに高い優先度であると記憶された処理管理部に属する処理部であって、その処理管理部の動作状況に最大の優先度が付されて記憶されている処理部、即ち、動作中の処理部が、終了させる処理部に含まれている場合の制御動作と、(2)(1)以外の場合の制御動作に分けて説明する。
【0076】
図7は、この(1)の場合の総合制御部11の処理部終了の制御動作のフローチャートを示す。なお、総合動作状況11bに高い優先度であると記憶された処理管理部が第1の処理管理部21である場合の総合制御部11の制御動作を説明する。高い優先度である処理管理部が、第2の処理管理部31である際の制御動作も同様であって、説明を省略する。
【0077】
総合制御部11は、処理部を終了させるに際し、動作中の処理部が、終了させる処理部に含まれている場合、制御動作を開始する(ステップS11p)。
【0078】
そして、総合制御部11は、終了させる処理部を終了させる(ステップS11q)。ここで、終了させる処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であれば、第1の制御部22を制御して終了させ、第1の動作状況23aからその処理部の情報を削除させる。また、終了させる処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であれば、第2の制御部32を制御して終了させ、第2の動作状況33aからその処理部の情報を削除させる。そして、終了された処理部に関する情報を総合動作状況11bから削除する。
【0079】
この終了制御の際、動作中の処理部が終了されても、表示部15の表示は変わらない。なぜなら、第1の処理管理部21に属する処理部の中で、2番目に高い優先度が付された処理部は第1のダミー処理部24であり、上記処理部の終了に伴い、最も高い優先度が付された処理部は第1のダミー処理部24となるためである。
【0080】
次に、総合制御部11は、総合動作状況11bに記憶された、起動された処理部の中で最も近い過去に起動された処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であるか、第2の処理管理部31に属する処理部であるかを調べる(ステップS11r)。そして、その処理部が処理管理部21に属する処理部である場合、第1の制御部22を制御して、その処理部を起動させる(ステップS11s、その処理部は、一時停止状態にあるので、実行可能状態に移させる。)。なお、第1の処理管理部21に属する処理部の中で最も優先度が高い処理部は第1のダミー処理部24であるので、起動の際、起動される処理部は、第1のダミー処理部24に次いで2番目に高い優先度が付されている。
【0081】
そして、起動が完了したとの通知を受け取ったか否かを調べることにより起動完了を待ち(ステップS11t)、起動が完了した場合、総合制御部11は、その起動された処理部を第1の処理管理部21に属する処理部の中で最大の優先度とさせて、動作中とさせ、第1の動作状況23aを更新させて(ステップS11u)、制御動作を終了する(ステップS11v)。これによって、第1のダミー処理部24は、第1の処理管理部21に属する処理部の中で、2番目に高い優先度が付され、一時停止状態となる。
【0082】
一方、ステップS11rで、最も近い過去に起動された処理部が第2の処理管理部31に属する処理部の場合、総合制御部11は、第2の制御部32を制御して、その処理部を起動させる(ステップS11w、その処理部は、一時停止状態にあるので、実行可能状態に移させる。)。なお、第2の処理管理部31に属する処理部の中で最も優先度が高い処理部は、第2のダミー処理部34であるので、起動の際、起動される処理部は、第2のダミー処理部34に次いで、2番目に高い優先度が付されている。
【0083】
そして、起動が完了したとの通知を受け取ったか否かを調べることにより起動完了を待ち(ステップS11x)、起動が完了した場合、総合制御部11は、その起動された処理部を第2の処理管理部31に属する処理部の中で最大の優先度とさせて、動作中とさせ、第2の動作状況33aを更新させる(ステップS11y)。この優先度の変更により、起動完了の後、第2のダミー処理部34は、第2の処理管理部31に属する処理部の中で2番目に高い優先度が付され、一時停止状態となる。
【0084】
更に、総合制御部11は、第2の処理管理部31の優先度を第1の処理管理部21の優先度より高くし、その旨を総合動作状況11bに更新記憶して(ステップS11z)、制御動作を終了する(ステップS11v)。
【0085】
上記(2)の場合、総合制御部11は、終了させる処理部が第1の処理管理部21に属する処理部であれば、第1の制御部22を制御して終了させ、第1の動作状況23aからその処理部の情報を削除させる。また、終了させる処理部が第2の処理管理部31に属する処理部であれば、第2の制御部32を制御して終了させ、第2の動作状況33aからその処理部の情報を削除させる。そして、終了された処理部に関する情報を総合動作状況11bから削除する。
【0086】
この(2)の場合、処理部の終了の制御動作の前後を問わず、総合動作状況11bに高い優先度であると記憶された処理管理部に属する処理部であって、その処理管理部の動作状況に最大の優先度が付されて記憶されている処理部、即ち、動作中の処理部は変わらず、その処理部が入力装置16のキー操作を受け取って動作中であり、動作結果を表示部15に表示している。このため、表示部11の表示の切り替えは発生せず、使用者に違和感を与えるおそれはない。
【0087】
上記(1)の場合の制御動作を、一例を用いて説明する。図8は、この場合の処理に伴って、第1の動作状況23aに起動された処理部が如何なる優先度で記憶されているかが変化する状況を示す。なお、この変化の過程の全ての状況において、第1の処理管理部21が第2の処理管理部31より優先度が高いと総合動作状況11bに記憶されている。そして、第2の処理管理部31の処理部の中で起動された処理部は第2のダミー処理部34のみで、この場合の処理に伴って変化することはないため、第2の動作状況33aに記憶された情報の図示を省略する。
【0088】
図8(a)は、第1の処理管理部21に属する処理部で起動された処理部は、優先度が高い順に、通話処理部26と、第1のダミー処理部24と、アドレス帳処理部27と、待ち受け処理部25とであることを示し、通話処理部26が動作中であることを示す。この状態は、使用者によって、待ち受け処理部25が動作中にアドレス帳処理部27が起動され、アドレス帳処理部27が動作中に通話処理部26が起動されて動作中である状況を示す。
【0089】
この図8(a)は、図7に示すフローチャートのステップS11pの制御動作が開始される状況に対応し、通話処理部26が入力装置16のキー操作を受け取って動作中であり、動作結果を表示部15に表示している状況を示す。また、アドレス帳処理部27と待ち受け処理部25は、一時停止の状態にある状況を示す。
【0090】
この状況で、通話処理部26及びアドレス帳処理部27を終了させる場合、総合制御部11は、まず、第1の制御部22を制御して、通話処理部26を終了させ、その結果、第1のダミー処理部24を第1の処理管理部21中の最高の優先度を付させる。図8(b)は、この状況を示す。続いて、総合制御部11は、アドレス帳処理部27を終了させる。図8(c)は、通話処理部26及びアドレス帳処理部27の終了の制御が完了した状況を示す。
【0091】
この図8(b)は、図7に示すフローチャートのステップS11qの処理部の終了の制御中に対応し、図8(c)は、そのステップの処理部の終了の制御が完了した状況に対応し、いずれのステップにおいても第1のダミー処理部24の優先度が最高であり、第1のダミー処理部24は、入力装置16のキー操作に依存した動作を行わず、かつ、表示部15に表示しないことから、入力装置16の装置が操作されても装置の動作に影響を与えず、かつ、表示部15の表示は、図8(a)に状態を示す通話処理部26によって表示された画像が引き続き表示されたものである。
【0092】
これらの処理部の終了の制御が完了した後、総合制御部11は、総合動作状況11bに記憶された起動された処理部の中で、最も近い過去に起動された処理部である待ち受け処理部25を起動させる(図7に示すフローチャートのステップS11sに対応する。)。そして、その起動が完了した後、第1の制御部22を制御して、待ち受け処理部25を第1の処理管理部21の中で最も優先度が高い処理部とさせる。図8(d)は、図7に示すフローチャートのステップS11uの処理が完了したことに対応し、この処理が完了した状況を示す。
【0093】
この、図8(d)に示す優先度の状況に至って、待ち受け処理部25が入力装置16のキー操作を受け取って動作中であり、動作結果を表示部15に表示を行っている。この状況に至る、図8(b)に示す状況及び図8(c)に示す状況においては、表示部15には、図8(a)に示す状況で通話処理部26が表示した画像が引き続き表示され、また、入力装置16のキー操作に依存して動作する処理部はなく、使用者に違和感を与えることはない。
【0094】
以上の説明では、処理管理部は、第1の処理管理部21と、第2の処理管理部31との2つであるとしたが、3つ以上であっても良く、何ら制御動作に変わることはない。また、それぞれの処理管理部に属する処理部の数はいくつであっても良く、何ら制御動作に変わることはない。
【0095】
以上の説明では、総合制御部11と、第1の制御部22と、第2の制御部32とによって制御動作を行うとしたが、これに限るものではない。総合制御部11が、第1の制御部22または第2の制御部32の動作を併せて行っても良い。
【0096】
以上の説明では、全ての処理部は処理管理部に属するとしたが、これに限るものではない。処理管理部に属さず、総合制御部11の制御を直接受ける処理部があっても良い。この場合、総合制御部11は、直接制御する処理部に対して処理管理部の制御部の制御動作を併せて行うが、これに限るものではない。
【0097】
例えば、総合制御部11は、総合制御部11の制御を直接受ける処理部であって、動作中の処理部の終了に際し、その処理部を制御して、表示部15の表示を維持させる制御をしても良い。また、総合制御部11の制御を直接受ける処理部であって、終了する処理部と起動が完了していない処理部とのいずれにも入力装置16のキー操作によって入力された情報を与えない制御をしても良い。これらの制御により、総合制御部11の制御を直接受けるダミー処理部を設けない構成としても良い。
【0098】
また、総合制御部11は、総合制御部11の制御を直接受ける処理部の終了または起動による状況の変化の際、表示部15を直接制御して、上記終了または起動前の画像を表示させることによって、表示部15の表示の違和感を与えないとしても良い。また、入力装置16を直接制御して、上記終了または起動が完了するまでに操作されたキーを無視することによって、いずれの処理部もその操作されたキーに依存して動作しないとしても良い。このように、表示部15及び入力装置16を直接制御することによって、総合制御部11の制御を直接受けるダミー処理部を設けない構成としても良い。
【0099】
以上の説明は、本発明を移動通信端末装置に適用した形態を例にとって行ったが、これに限るものではない。本発明は、あらゆる情報処理装置に適用することが当然に可能である。本発明は以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の実施形態に係る移動通信端末装置の構成を示すブロック図。
【図2】本発明の実施形態に係る第1の処理管理部の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係る第2の処理管理部の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施形態に係る総合制御部11の処理部起動の制御動作のフローチャート(その1、動作中の処理部と新たに起動される処理部とが同じ処理管理部に属す場合)。
【図5】本発明の実施形態に係る総合制御部11の処理部起動の制御動作のフローチャート(その2、動作中の処理部と新たに起動される処理部とが異なる処理管理部に属す場合)。
【図6】本発明の実施形態に係る処理部の優先度の遷移を示す図(その1、異なる処理管理部の間で動作中の処理部が移動する例)。
【図7】本発明の実施形態に係る総合制御部11の処理部終了の制御動作のフローチャート。
【図8】本発明の実施形態に係る処理部の優先度の遷移を示す図(その2、1つの処理管理部に属す処理部が終了する例)。
【符号の説明】
【0101】
11 総合制御部
11a 総合動作状況記憶部
11b 総合動作状況
15 表示部
16 入力装置
21 第1の処理管理部
22 第1の制御部
23 第1の動作状況記憶部
23a 第1の動作状況
24 第1のダミー処理部
25 待ち受け処理部
26 通話処理部
27 アドレス帳処理部
31 第2の処理管理部
32 第2の制御部
33 第2の動作状況記憶部
33a 第2の動作状況
34 第2のダミー処理部
35 電子メール処理部
36 ブラウザ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示手段と、
第1種の処理手段と、
ダミー処理手段と第2種の処理手段とを備えた処理管理手段と、
前記第1種の処理手段と前記第2種の処理手段とを動作させ、また、前記表示手段に表示する権利を前記第1種の処理手段と前記処理管理手段とのいずれかに与える制御手段とを有し、
前記処理管理手段は、前記制御手段によって与えられた表示手段に表示する権利を前記ダミー処理手段及び前記第2種の処理手段のいずれかに与え、
前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって前記表示手段に表示する権利を与えられたか否かに係らず前記表示手段に表示せず、
前記制御手段は、前記第2種の処理手段が動作している際に前記第1種の処理手段を動作させる場合、前記処理管理手段を制御して前記表示手段に表示する権利を前記ダミー処理手段に与えさせ、前記第1種の処理手段を動作させて、前記第1種の処理手段に前記表示手段に表示する権利を与える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
入力手段を更に有し、
前記制御手段は、前記表示手段に表示する権利に併せて前記入力手段から入力された情報を使用する権利を前記第1種の処理手段と前記処理管理手段とのいずれかに与え、
前記処理管理手段は、前記制御手段によって表示手段に表示する権利に併せて与えられた前記入力手段から入力された情報を使用する権利を前記表示手段に表示する権利に併せて前記ダミー処理手段及び前記第2種の処理手段のいずれかに与え、
前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって前記入力手段から入力された情報を使用する権利を与えられたか否かに係らず前記入力手段によって入力された情報に依存した動作をしない
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
画像を表示する表示手段と、
ダミー処理手段、第1の処理手段及び第2の処理手段を備えた処理管理手段と、
前記第1の処理手段及び前記第2の処理手段を動作させ、動作を中断させ、また、動作を終了させる制御手段とを有し、
前記処理管理手段は、前記ダミー処理手段、第1の処理手段及び前記第2の処理手段のいずれかに前記表示手段に表示する権利を与え、
前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって表示手段に表示する権利を与えられたか否かに係らず前記表示手段に表示せず、
前記制御手段は、前記第1の処理手段が前記表示手段に表示する権利を与えられて動作しており、かつ、前記第2の処理部が動作を中断している際に前記第1の処理手段の動作を終了させる場合、前記処理管理手段を制御して前記ダミー処理手段に前記表示手段に表示する権利を与えさせ、前記第1の処理手段の動作を終了させ、前記第2の処理手段を動作させて、前記処理管理手段を制御して前記第2の処理手段に前記表示手段に表示する権利を与えさせる
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
入力手段を更に有し、
前記処理管理手段は、前記表示手段に表示する権利に併せて前記入力手段から入力された情報を使用する権利を前記ダミー処理手段、第1の処理手段及び前記第2の処理手段のいずれかに与え、
前記ダミー処理手段は、前記処理管理手段によって前記入力手段から入力された情報を使用する権利を与えられたか否かに係らず前記入力手段によって入力された情報に依存した動作をしない
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−148813(P2007−148813A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342649(P2005−342649)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】