説明

情報処理装置

【課題】PCの待機時において、それぞれ異なる電圧レベルに依存した充電方式を有する複数の電子機器のそれぞれに対して適切に電力を供給することの可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対し、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、第1の電圧差を有した第1の信号を供給する第1の電圧供給手段と、第2の電圧差を有した第2の信号を供給する第2の電圧供給手段と、入力される制御信号に応じて、前記情報処理装置の待機時に前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する切り換え手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続される電子機器に電力を供給する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)規格の普及に伴い、様々な電子機器をUSBを介してPC(パーソナルコンピュータ)等の情報処理装置に接続することが可能となっている。そのような電子機器(以下、USBデバイスと称する)としては、キーボードやマウス、さらにはPC接続時に充電されるバッテリ内蔵型の携帯型音楽プレーヤなどがある。
【0003】
そのようなバッテリ内蔵型電子機器の普及に伴い、近年のPCは、その電源がオンされている間(以下、通常時と称する)のみならず、電源がオフされている間(以下、待機時と称する)にあっても、電子機器に電力を供給して電子機器を充電することのできるものが知られている。そのようなPCとしては、例えば特許文献1のPCのように、通常時と待機時とにおいて回路部と電源部とを切り換えることによって、待機時にあっても電源部から直接電力を被接続電子機器に供給することの可能なものが知られている。
【0004】
また、近年のUSBデバイスには、USBを構成する一対のデータ信号線D+およびD−を介して転送される差動信号対が所定の電圧差を有する場合にのみ充電を行う構成を有しているものがある。このため、近年のPCは、そのようなUSBデバイスの充電を可能とすべく、待機時において、USBデバイスに対して所定の電圧差を有する差動信号対を出力する構成を有しているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3127705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、そのようなUSBデバイスは、通常、異なる製品間で異なる電圧差(以下、電圧レベルと称する)に依存した充電方式を採用しており、従来のPCでは、それぞれ異なる電圧レベルに依存した充電方式を有する複数のUSBデバイスのそれぞれに電力を供給することができないという不都合を招来していた。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、PCの待機時において、それぞれ異なる電圧レベルに依存した充電方式を有する複数の電子機器のそれぞれに対して適切に電力を供給することの可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対し、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、第1の電圧差を有した第1の信号を供給する第1の電圧供給手段と、第2の電圧差を有した第2の信号を供給する第2の電圧供給手段と、入力される制御信号に応じて、前記情報処理装置の待機時に前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する切り換え手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、待機時において、それぞれ異なる電圧レベルに依存した充電方式を有する複数の電子機器のそれぞれに対して適切に電力を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施の形態のPCの構成を、周辺機器と共に概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態のUSB給電制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】図3は、第2の実施の形態のUSB給電制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、第3の実施の形態のUSB給電制御部の構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる情報処理装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明の第1の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。本実施の形態はパーソナルコンピュータ(以下、PCと称する)として情報処理装置を適用した例である。図1は、本実施の形態にかかるPCの構成を、周辺機器と共に概略的に示すブロック図である。なお、以下の説明において、PCが起動されて電源がオンの状態を通常時と称し、PCの電源がオフの状態を待機時と称する。
【0013】
PC100は、ディスプレイ200、キーボード300およびUSB(Universal Serial Bus)デバイス400などを接続している。なお、本実施の形態において、USBデバイスとは、例えばバッテリ内蔵型の携帯型音楽プレーヤなどの電子機器であって、USB経由でのPC接続時にPCとの通信を行い、またUSB経由でのPC接続時においてデータ信号として所定の差動信号が入力された場合にのみPCからの充電が可能なものをいう。
【0014】
PC100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ノースブリッジ103と、グラフィックスコントローラ105と、メインメモリ107と、サウスブリッジ111と、HDD(ハードディスクドライブ)113と、BIOS−ROM(Basic Input/Output System−Read Only Memory)115と、USB給電制御部120と、を備える。また、PC100は、周辺機器との接続のためのコネクタC1〜C3を備える。
【0015】
CPU101は、PC100の動作を制御するものであり、BIOS−ROM115やHDD113からメインメモリ107にロードされるBIOSやOSや任意のアプリケーションソフトウェアなどを実行する。
【0016】
ノースブリッジ103は、CPU101、グラフィックスコントローラ105、メインメモリ107およびサウスブリッジ111に接続される。なお、ノースブリッジ103は、グラフィックスコントローラ105に対するAGP(Accelerated Graphics Port)インタフェースを提供するAGPコントローラや、CPU101およびノースブリッジ103間を接続するローカルバスとノースブリッジ103およびサウスブリッジ111間を接続するPCIバスとを接続するホスト−PCIブリッジや、メインメモリ107およびCPU101間のやり取りを制御するDRAMコントローラなどから構成される。
【0017】
グラフィックスコントローラ105は、ディスプレイコネクタなどのコネクタC1を介してLCDなどのモニタ200に接続される。なお、グラフィックコントローラ105は、RAMDAC(Random Access Memory Digital to Analog Converter)やVRAM(Video Random Access Memory)やビデオチップなどから構成され、CPU101から受けた描画指示をもとに映像データを生成し、これをVRAMに書き込み、完成した映像をモニタ200に送出する。
【0018】
メインメモリ107は、ノースブリッジ103に接続される。メインメモリ107には、BIOSやOSや例えば後述するUSBアプリケーションソフトウェアなどの所定のアプリケーションなどがロードされる。
【0019】
サウスブリッジ111は、BIOS−ROM115、HDD113、キーボード300およびUSB給電制御部120に接続される。なお、サウスブリッジ111は、HDD113などを接続し制御するIDE(Integrated Drive Electronics)コントローラや、PCI(Industrial Standard Architecture)バスとISAバスとを接続するためのPCI−ISAブリッジや、PS(Personal System)/2キーボードコネクタなどのコネクタC2を介してPC100に接続されるキーボードの入出力を制御するマルチI/Oコントローラや、USBインタフェースを提供するUSBコントローラなどから構成される。
【0020】
BIOS−ROM115は、サウスブリッジ111に接続される。BIOS−ROM115にはBIOSが格納されており、必要に応じてCPU101によりBIOS−ROM115からBIOSがメインメモリ107へロードされる。また、HDD113は、サウスブリッジ111に接続される。HDD113には、OSやUSBアプリケーショソフトウェアなどが格納されており、必要に応じてCPU101によりHDD113からメインメモリ107へロードされる。
【0021】
USB給電制御部120は、サウスブリッジ111に接続されると共に、USBコネクタであるコネクタC3を介してUSBデバイス400に接続されている。
【0022】
次に、図2を参照して、USB給電制御部120についてより具体的に説明する。図2は、USB給電制御部120の構成を概略的に示すブロック図である。USB給電制御部120は、電源供給部121と、USBバススイッチ122と、アナログバススイッチ123と、第1の電圧供給部124と、第2の電圧供給部125と、を備える。
【0023】
電源供給部121は、電源線を介してコネクタC3に接続されており、コネクタC3に接続されるUSBデバイス400に電源Vbusを供給する。なお、コネクタC3は、USBデバイス400がPC100に接続された際にUSBデバイス400を接地するような図示しない構成を有しており、電源供給部121が供給する電源Vbusは、接地(GND)を基準としてUSBデバイス400に供給される。
【0024】
ここで、電源供給部121とは、通常時および待機時のいずれにあってもUSBデバイス400に電源Vbusを供給することが可能なものである。より具体的には、電源供給部121は、通常時の電源系統(以下、通常電源系統と称する)と待機時の電源系統(以下、待機電源系統と称する)とを切り替える構成を有している。そして、電源供給部121は、通常時において、PC100に接続される図示しない商用電源から通常電源系統を介してUSBデバイス400に電源Vbusを供給する。一方、電源供給部121は、待機時において、商用電源から待機電源系統を介してUSBデバイス400に電源Vbusを供給する。これにより、通常電源系統を介してUSBデバイス400に電力を供給することができない待機時にあっても、待機電源系統を介してUSBデバイス400に電力を供給することが可能となる。
【0025】
USBバススイッチ122は、USBを構成する一対のデータ信号線(以下、差動信号線と称する)を介してコネクタC3に接続されており、コネクタC3に接続されるUSBデバイス400に対する差動信号対D+およびD−の入出力を行う。また、USBバススイッチ122は、アナログバススイッチ123、サウスブリッジ111を構成するUSBコントローラおよびI/Oコントローラに接続されており、アナログバススイッチ123からの差動信号D2+およびD2−の入力、USBコントローラに対する差動信号対D1+およびD1−の入出力およびI/Oコントローラからの制御信号S1の入力を行う。
【0026】
より具体的には、USBバススイッチ122は、後述する制御信号S1に応じて、USBコントローラおよびアナログバススイッチ123のうちの一方をUSBデバイス400に接続する。その結果、USBバススイッチ122は、通常時において差動信号対D1+およびD1−と差動信号対D+およびD−とを選択し、PC100およびUSBデバイス400間のデータ通信を可能とする。換言すると、USBバススイッチ122は、通常時において、USBコントローラからUSBデバイス400へデータが転送される場合、そのデータに応じた差動信号対D1+およびD1−を差動信号対D+およびD−としてUSBデバイス400へ出力する一方、USBデバイス400からUSBコントローラへデータが転送される場合、そのデータに応じた差動信号対D+およびD−を差動信号対D1+およびD1−としてUSBコントローラへ出力する。
【0027】
一方、USBバススイッチ122は、待機時において差動信号対D2+およびD2−を選択し、選択された差動信号対を差動信号対D+およびD−としてUSBデバイス400へ出力する。
【0028】
なお、ここでいう制御信号S1とは、I/OコントローラからUSBバススイッチ122に入力され、USBバススイッチ122の動作を制御するものである。より具体的には、制御信号S1は、待機時においてUSBデバイス400とアナログバススイッチ123との接続が確立するようUSBバススイッチ122を制御し、また、通常時においてUSBデバイス400とUSBコントローラとの接続が確立するようUSBバススイッチ122を制御する。
【0029】
なお、USBバススイッチ122は、USBコントローラとUSBデバイス400との間で行われるデータ信号の入出力を選択的に行うため、そのようなデータ信号の高速通信を確保するという観点から、FET(Field Effect Transistor)を含む構成を有していることが好ましい。
【0030】
アナログバススイッチ123は、USBバススイッチ122およびI/Oコントローラに接続されており、I/Oコントローラから制御信号S2の入力を受け付けると共に、USBバススイッチ122に差動信号対D2+およびD2−を出力する。また、アナログバススイッチ123は、第1の電圧供給部124および第2の電圧供給部125に接続されており、第1の電圧供給部124が供給する差動信号対Da+およびDa−の入力を受け付けると共に、第2の電圧供給部125が供給する差動信号対Db+およびDb−の入力を受け付ける。
【0031】
より具体的には、アナログバススイッチ123は、後述する制御信号S2に応じて、第1の電圧供給部124および第2の電圧供給部125のうちの一方をUSBバススイッチ122に接続する。その結果、アナログバススイッチ123は、第1の電圧供給部124が供給する差動信号対Da+およびDa−と、第2の電圧供給部125が供給する差動信号対Db+およびDb−とのうちの一方を選択し、選択された差動信号対を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122へ出力する。なお、ここでいう制御信号S2とは、後述するように、PC100に接続されるUSBデバイス400が電力を受ける上で必要とする電圧レベルをデータ信号線に供給する所定の電圧供給部とUSBデバイスとの接続を確立するようアナログバススイッチ123を制御するものである。
【0032】
なお、アナログバススイッチ123は、USBバススイッチ122とは異なり、USBデバイス400に対するデータ転送の入出力を行うものではないため、必ずしもFETなどの高速通信を可能とする構成を有する必要はない。よって、本実施の形態では、アナログバススイッチ123はアナログスイッチを含む構成を有するものとする。
【0033】
第1の電圧供給部124は、アナログバススイッチ123に接続されており、アナログバススイッチ123に差動信号対Da+およびDa−を出力する。また、第2の電圧供給部125は、アナログバススイッチ123に接続されており、アナログバススイッチ123に差動信号対Db+およびDb−を出力する。
【0034】
次に、USB給電制御部120による任意のUSBデバイスに対する給電制御について具体例を挙げて説明する。なお、以下の説明において、PC100には、一定の電圧をそれぞれ有する差動信号対がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付ける特定のデバイス(以下、USBデバイスAと称する)と、D+信号上の駆動電圧が、PC100内部で0〜200Ωの抵抗を介して、D−信号上に認識された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付ける所定のUSBデバイス(以下、USBデバイスBと称する)と、のうちの一方が接続されるものとする。また、第1の電圧供給部124は、USBデバイスAを充電可能とするそれぞれ一定の電圧を有する差動信号対Da+およびDa−を供給するものとし、第2の電圧供給部125は、USBデバイスBを充電可能とするD+信号とD−信号が0〜200Ωの抵抗を介した短絡状態を有する差動信号対Db+およびDb−を供給するものとする。
【0035】
PC100のHDD113は、USBデバイス400に対する給電制御を行う所定のUSBアプリケーションソフトウェアを格納している。そして、ユーザは、通常時において、CPU101によってHDD113からメインメモリ107にロードされ実行されたUSBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電可能なモードおよびUSBデバイスBが充電可能なモードのうちのいずれかのモードを選択することができる。
【0036】
ユーザがUSBデバイスAの充電を要望している場合について説明する。この場合、ユーザは、USBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電対象の一つに設定されているモードを選択する。
【0037】
BIOSは、PC100の電源がオフされる際、サウスブリッジ111を介して、USBデバイスAと第1の電圧供給部124とを接続するようアナログバススイッチ123を制御する制御信号S2を、アナログバススイッチ123に出力する。その結果、アナログバススイッチ123は、USBバススイッチ122と第1の電圧供給部124との接続を確立する。次に、BIOSは、USBバススイッチ122に対してUSBデバイスAとアナログバススイッチ123との接続を接続するようUSBバススイッチ122を制御する制御信号S1をUSBバススイッチ122へ出力する。その結果、USBバススイッチ122は、USBデバイスAとアナログバススイッチ123との接続を確立する。これにより、待機時において、USBデバイスAの充電に必要とされる差動信号対Da+およびDa−が第1の電圧供給部124からUSBデバイスAに供給されることとなる。
【0038】
なお、ユーザがUSBデバイスBの充電を要望している場合についても、上記と同様にして、USBアプリケーションソフトウェアを介して充電対象機器としてUSBデバイスBが充電対象の一つに設定されているモードを選択することによって、待機時において、USBデバイスBの充電に必要とされる差動信号対Db+およびDb−を第2の電圧供給部125からUSBデバイスに適切に供給することができる。
【0039】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置では、PCの待機時において、データ信号線に一定の電圧レベルが供給された場合にのみ充電を行うUSBデバイスとデータ信号線同士が短絡された場合にのみ充電を行うUSBデバイスのそれぞれが充電可能となる信号レベルを供給する2つの電圧供給部を切り替え可能に設けている。これにより、USBデバイスを適切に充電することが可能となる。
【0040】
なお、本実施の形態の情報処理装置において、電圧供給部が供給する電圧を可変としても良い。より具体的には、例えばUSBアプリケーションソフトウェアを介してユーザが電圧供給部の電圧を設定できるように構成しても良い。また、電源供給部が供給する信号として、一定電圧信号、D+とD−の短絡信号、パルス波形信号等、充電を開始するための認証が可能な信号を採用しても良い。
【0041】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を図3に基づいて説明する。本実施の形態にかかる情報処理装置は、USB給電制御部が第2のアナログバススイッチおよび第3の電圧供給部をさらに備えることについて第1の実施の形態の情報処理装置と異なる。よって、前述の第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0042】
図3は、本実施の形態の給電制御部の構成を概略的に示すブロック図である。給電制御部220は、電源供給部121と、USBバススイッチ122と、第1のアナログバススイッチ223aと、第2のアナログバススイッチ223bと、第1の電圧供給部124と、第2の電圧供給部125と、第3の電圧供給部226と、を備える。
【0043】
第1の電圧供給部124は、第1のアナログバススイッチ223aに接続されており、第1のアナログバススイッチ223aに差動信号対Da+およびDa−を出力する。また、第2の電圧供給部125は、第2のアナログバススイッチ223bに接続されており、第2のアナログバススイッチ223bに差動信号対Db+およびDb−を出力する。さらに、第3の電圧供給部226は、第2のアナログバススイッチ223bに接続されており、第2のアナログバススイッチ223bに差動信号対Dc+およびDc−を出力する。
【0044】
第1のアナログバススイッチ223aは、I/Oコントローラに接続されており、I/Oコントローラから制御信号S3の入力を受け付ける。そして、第1のアナログバススイッチ223aは、USBデバイス400と第1の電圧供給部124とを接続するように第1のアナログバススイッチ223aを制御する制御信号S3に応じて、USBバススイッチ122と第1の電圧供給部124との接続を確立し、差動信号対Da+およびDa−を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122に出力する。
【0045】
一方、第1のアナログバススイッチ223aは、USBデバイス400と第2の電圧供給部124および第3の電圧供給部226のうちの一方とを接続するように第1のアナログバススイッチ223aを制御する制御信号S3に応じて、USBバススイッチ122と第2のアナログバススイッチ223bとの接続を確立し、後述する第2のアナログバススイッチ223bから出力される差動信号対Dd+およびDd−を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122に出力する。
【0046】
第2のアナログバススイッチ223bは、I/Oコントローラに接続されており、I/Oコントローラから制御信号S3の入力を受け付ける。第2のアナログスイッチ223bは、USBデバイス400と第2の電圧供給部125とを接続するように第2のアナログバススイッチ223bを制御する制御信号S3に応じて、第1のアナログバススイッチ223aと第2の電圧供給部125との接続を確立し、差動信号対Db+およびDb−を差動信号対Dd+およびDd−として第1のアナログバススイッチ223aに出力する。
【0047】
一方、第2のアナログバススイッチ223bは、USBデバイス400と第3の電圧供給部226とを接続するよう第2のアナログバススイッチ223bを制御する制御信号S3に応じて、第1のアナログバススイッチ223aと第3の電圧供給部226との接続を確立し、差動信号対Dc+およびDc−を差動信号対Dd+およびDd−として第1のアナログバススイッチ223aに出力する。
【0048】
次に、USB給電制御部220による給電制御について説明する。なお、以下では、差動信号対Da+およびDa−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスAと、差動信号対Db+およびDb−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスBと、差動信号対Dc+およびDc−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスCと、のうちの1つをPC100に接続する場合について説明する。
【0049】
第1の実施の形態と同様に、ユーザは、通常時においてUSBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電可能なモードと、USBデバイスBが充電可能なモードと、USBデバイスCが充電可能なモードと、のうちのいずれか選択することができる。
【0050】
ユーザがUSBデバイスAの充電を要望している場合について説明する。この場合、ユーザは、USBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電対象の一つに設定されているモードを選択する。
【0051】
BIOSは、PC100の電源がオフされる際、サウスブリッジ111を介して、USBデバイスAと第1の電圧供給部124とを接続するように第1のアナログバススイッチ223aを制御する制御信号S3を、第1のアナログバススイッチ223aに出力する。その結果、第1のアナログバススイッチ223aは、USBバススイッチ122と第1の電圧供給部124との接続を確立する。これにより、待機時においてPC100にUSBデバイスAが接続された場合、USBデバイスAに対して、その充電に必要となる差動信号対Da+およびDa−をデータ信号線を介して適切に供給することが可能となる。
【0052】
ユーザがUSBデバイスBの充電を要望している場合について説明する。この場合、ユーザは、USBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスBが充電対象の一つに設定されているモードを選択する。
【0053】
BIOSは、PC100の電源がオフされる際、サウスブリッジ111を介して、USBデバイス400と第2の電圧供給部125とを接続するように第1のアナログバススイッチ223aおよび第2のアナログバススイッチ223bを制御する制御信号S3を、第1のアナログバススイッチ223aおよび第2のアナログバススイッチ223bに出力する。その結果、第1のアナログバススイッチ223aは、USBバススイッチ122と第2のアナログバススイッチ223bとの接続を確立し、第2のアナログバススイッチ223bは、第1のアナログバススイッチ223aと第2の電圧供給部125との接続を確立する。これにより、待機時においてPC100にUSBデバイスBが接続された際、USBデバイスBに対して、その充電に必要となる差動信号対Db+およびDb−をデータ信号線を介して適切に供給することが可能となる。なお、同様にして、待機時においてPC100にUSBデバイスCが接続された際、USBデバイスCに対して、その充電に必要となる差動信号対Dc+およびDc−を適切に供給することができる。
【0054】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置では、第2のアナログバススイッチおよび第3の電圧供給部をさらに備えることによって、待機時において、データ信号線にそれぞれ異なる電圧レベルが供給された場合にのみ充電を行う3つのUSBデバイスをPCに接続した場合にあっても、それぞれのUSBデバイスを適切に充電することが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態の情報処理装置において、複数のアナログバススイッチおよび複数の電圧供給部を備えても良い。これにより、複数のUSBデバイスのそれぞれを適切に充電することが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態の情報処理装置において、複数の電圧供給部のうちの少なくとも1つが、D+信号上の駆動電圧がPC100内部で0〜200Ωの抵抗を介してD−信号上に認識された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付ける所定のUSBデバイスを充電可能とする差動信号対を、そのUSBデバイスに供給しても良い。
【0057】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を図4に基づいて説明する。本実施の形態にかかる情報処理装置は、第3の電圧供給部をさらに備えることについて第1の実施の形態の情報処理装置と異なる。よって、前述の第1の実施の形態と同じ部分は同じ符号で示し、説明も省略する。
【0058】
図4は、第3の実施の形態の給電制御部の構成を概略的に示すブロック図である。USB給電制御部320は、電源供給部121と、USBバススイッチ122と、アナログバススイッチ323と、第1の電圧供給部124と、第2の電圧供給部125と、第3の電圧供給部226と、を備える。
【0059】
第3の電圧供給部226は、アナログバススイッチ323に接続されており、アナログバススイッチ323に差動信号対Dc+およびDc−を出力する。
【0060】
アナログバススイッチ323は、I/Oコントローラに接続されており、I/Oコントローラから制御信号S4の入力を受け付ける。そして、アナログバススイッチ323は、USBデバイス400と第1の電圧供給部124とを接続するようにアナログバススイッチ323を制御する制御信号S4に応じて、USBバススイッチ122と第1の電圧供給部124との接続を確立し、差動信号対Da+およびDa−を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122に出力する。
【0061】
また、アナログバススイッチ323は、USBデバイス400と第2の電圧供給部125とを接続するようにアナログバススイッチ323を制御する制御信号S4に応じて、USBバススイッチ122と第2の電圧供給部125との接続を確立し、差動信号対Db+およびDb−を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122に出力する。
【0062】
さらに、アナログバススイッチ323は、USBデバイス400と第3の電圧供給部226とを接続するようにアナログバススイッチ323を制御する制御信号S4に応じて、USBバススイッチ122と第3の電圧供給部226との接続を確立し、差動信号対Dc+およびDc−を差動信号対D2+およびD2−としてUSBバススイッチ122に出力する。
【0063】
次に、USB給電制御部320による給電制御について説明する。なお、以下では、差動信号対Da+およびDa−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスAと、差動電圧対Db+およびDb−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスBと、差動電圧対Dc+およびDc−がデータ信号線を介して入力された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付けるUSBデバイスCと、のうちの1つをPC100に接続する場合について説明する。
【0064】
第1の実施の形態と同様に、ユーザは、通常時においてUSBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電可能なモードと、USBデバイスBが充電可能なモードと、USBデバイスCが充電可能なモードと、のうちのいずれかのモードを選択することができる。
【0065】
ユーザがUSBデバイスAの充電を要望している場合について説明する。この場合、ユーザは、USBアプリケーションソフトウェアを介して、USBデバイスAが充電対象の一つに設定されているモードを選択する。
【0066】
BIOSは、PC100の電源がオフされる際、サウスブリッジ111を介して、USBデバイスAと第1の電圧供給部124との接続を確立するようアナログバススイッチ323を制御する制御信号S4を、アナログバススイッチ323に出力する。その結果、アナログバススイッチ323は、USBバススイッチ122と第1の電圧供給部124との接続を確立する。これにより、待機時においてPC100にUSBデバイスAが接続された際、USBデバイスに対して、その充電に必要となる差動信号対Da+およびDa−をデータ信号線を介して適切に供給することが可能となる。なお、同様にして、待機時において、PC100にUSBデバイスBが接続された際、USBデバイスBに対して、その充電に必要となる差動信号対Db+およびDb−をデータ信号線を介して適切に供給することができると共に、待機時において、PC100にUSBデバイスCが接続された際、USBデバイスCに対して、その充電に必要となる差動信号対Dc+およびDc−をデータ信号線を介してUSBデバイスCに適切に供給することができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態の情報処理装置では、1つのアナログバススイッチに3つの電圧供給部を接続することによって、待機時において、データ信号線にそれぞれ異なる電圧レベルが供給された場合にのみ充電を行う3つのUSBデバイスをPCに接続した場合にあっても、それぞれのUSBデバイスを適切に充電することが可能となる。
【0068】
なお、本実施の形態の情報処理装置では、アナログバススイッチに3つの電圧供給部が接続されているが、アナログバススイッチに4つ以上の電圧供給部を接続しても良い。これにより、それらのUSBデバイスのそれぞれを適切に充電することが可能となる。
【0069】
また、本実施の形態の情報処理装置において、複数の電圧供給部のうちの少なくとも1つが、D+信号上の駆動電圧がPC100内部で0〜200Ωの抵抗を介してD−信号上に認識された場合にのみ電源線を介した電力の供給を受け付ける所定のUSBデバイスを充電可能とする差動信号対を、そのUSBデバイスに供給しても良い。
【符号の説明】
【0070】
100…PC、101…CPU部、103…ノースブリッジ、105…グラフィックスコントローラ、107…メインメモリ、111…サウスブリッジ、113…HDD、115…BIOS−ROM、120,220,320…USB給電制御部、121…電源供給部、122…USBバススイッチ、123,323…アナログバススイッチ、223a…第1のアナログバススイッチ、223b…第2のアナログバススイッチ、124…第1の電圧供給部、125…第2の電圧供給部、226…第3の電圧供給部、200…ディスプレイ、300…キーボード、400…USBデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対し、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、
第1の電圧差を有した第1の信号を供給する第1の電圧供給手段と、
第2の電圧差を有した第2の信号を供給する第2の電圧供給手段と、
入力される制御信号に応じて、前記情報処理装置の待機時に前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する切り換え手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御信号は、第1の制御信号と第2の制御信号から構成され、
前記切り換え手段は、前記情報処理装置の待機状態移行時に入力される第1の制御信号の示す内容と第2の制御信号の示す内容との組み合わせに応じて、前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを出力することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の電圧差は、前記複数の電子機器のうちの第1の電子機器が電力の供給を受ける上で必要とする電圧差であり、
前記第2の電圧差は、前記複数の電子機器のうちの第2の電子機器が電力の供給う受ける上で必要とする電圧差であり、
前記切り換え手段は、前記制御信号に応じて、前記第1の電子機器が接続される場合に前記第1の信号を出力する一方、前記第2の電子機器が接続される場合に前記第2の信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
第3の電圧差を有した第3の信号を供給する第3の電圧供給手段を更に備え、
前記切り換え手段は、前記制御信号に応じて、前記第1の信号、前記第2の信号及び前記第3の信号のうちの何れか一つを、前記データ信号線を介して前記電子機器に出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対して、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、
第1の電圧差を有した第1の信号を供給する第1の電圧供給手段と、
第2の電圧差を有した第2の信号を供給する第2の電圧供給手段と、
入力される制御信号に応じて、前記情報処理装置の待機時に前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する給電制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
前記制御信号は、第1の制御信号と第2の制御信号から構成され、
前記給電制御手段は、前記情報処理装置の待機状態移行時に入力される第1の制御信号の示す内容と第2の制御信号の示す内容との組み合わせに応じて、前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを出力することを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第1の電圧差は、前記複数の電子機器のうちの第1の電子機器が電力の供給を受ける上で必要とする電圧差であり、
前記第2の電圧差は、前記複数の電子機器のうちの第2の電子機器が電力の供給を受ける上で必要とする電圧差であり、
前記給電制御手段は前記制御信号に応じて、前記第1の電子機器が接続される場合に前記第1の信号を出力する一方、前記第2の電子機器が接続される場合に前記第2の信号を出力することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対して、前記データ信号線を介して出力される信号が所定の電圧値を有する場合に前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、
一定の電圧値を有する第1の信号を供給する第1の電圧供給手段と、
前記信号同士が抵抗を介して短絡された第2の信号を供給する第1の電圧供給手段と、
入力される制御信号に応じて、前記情報処理装置の待機時に前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する給電制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記制御信号は、第1の制御信号と第2の制御信号から構成され、
前記給電制御手段は、前記情報処理装置の待機状態移行時に入力される第1の制御信号の示す内容と第2の制御信号の示す内容との組み合わせに応じて、前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを出力することを特徴とする請求項8記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記給電制御手段は前記制御信号に応じて、前記第1の電子機器が接続される場合に前記第1の信号を出力する一方、前記第2の電子機器が接続される場合に前記第2の信号を出力することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対して、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、
前記情報処理装置の待機時に、第1の電圧差を有した第1の信号と第2の電圧差を有した第2の信号とのいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器へ出力する給電制御部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
前記給電制御部は、入力される制御信号に応じて、前記電子機器へ前記第1の信号を出力するか前記第2の信号を出力するかを切り替えることを特徴とする請求項11記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記制御信号は、第1の制御信号と第2の制御信号から構成され、
前記給電制御部は、前記情報処理装置の待機状態移行時に入力される第1の制御信号の示す内容と第2の制御信号の示す内容との組み合わせに応じて、前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを出力することを特徴とする請求項12記載の情報処理装置。
【請求項14】
データ信号線および電源線を含むバスを介して取り替え可能に接続される複数の電子機器のうちの1つに対して、前記データ信号線を介して出力される信号の電圧値に応じて前記電源線を介して電力の供給を行う情報処理装置であって、
前記情報処理装置の待機時に、一定の電圧値を有する第1の信号と前記信号同士が抵抗を介して短絡された第2の信号とのいずれかを前記データ信号線を介して前記電子機器に出力する給電制御部を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
前記給電制御部は、入力される制御信号に応じて、前記電子機器へ前記第1の信号を出力するか前記第2の信号を出力するかを切り替えることを特徴とする請求項14記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記制御信号は、第1の制御信号と第2の制御信号から構成され、
前記給電制御部は、前記情報処理装置の待機状態移行時に入力される第1の制御信号の示す内容と第2の制御信号の示す内容との組み合わせに応じて、前記第1の信号または前記第2の信号のいずれかを出力することを特徴とする請求項15記載の情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−192007(P2010−192007A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134314(P2010−134314)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【分割の表示】特願2008−324487(P2008−324487)の分割
【原出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】