説明

情報制御システムおよびデバイスコントローラ

【課題】制御ホストとデバイスコントローラ、機器との間の距離の制約を考慮せず正確なタイミングで機器を制御できるようにすること。
【解決手段】本発明は、映像や音声から成る情報の入出力を行う機器1、2とシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって接続され、機器1、2に対する情報の入出力制御を行うデバイスコントローラAと、デバイスコントローラAとネットワークを介して接続され、デバイスコントローラAに対して機器1、2を制御するためのコマンドの予約を行う制御ホストとを備える情報制御システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像や音声から成る情報を外部から入力したり、外部へ出力したりする機器をネットワーク経由で制御する情報制御システムおよびデバイスコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、映像や音声の入出力を行う機器(例えば、VTR)を外部のコンピュータでコントロールする場合、コンピュータのPCIバスに接続されたデバイスコントローラと機器とをRS−422等の専用ケーブルで直接接続する形態が挙げられる(図7(a)参照)。これにより、コンピュータで実行するアプリケーションソフトウェアによって機器を迅速に制御することができる。
【0003】
また、複数の機器を複数のコンピュータで制御するための構成としては、デバイスコントローラを独立して設けておき、このデバイスコントローラに対して複数のコンピュータと複数の機器とを各々RS−422等の専用ケーブルで接続する形態が挙げられる(図7(b)参照)。この形態では、デバイスコントローラを中心として複数のコンピュータから各々機器を制御することができることから、放送局のような大きな映像音声入出力システムを構築する場合に適用されている。ここで、放送システムとしては、特許文献1が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−135171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、いずれの形態においても、制御ホストとなるコンピュータとデバイスコントローラ、機器との間に距離の制約がある。すなわち、RS−422等の専用ケーブルでは最大1200メートルといった距離の制約があり、これを超える大きなシステムには対応できないという問題がある。
【0006】
また、コンピュータのPCIバスに接続されたデバイスコントローラと機器とを直接接続する形態では、コンピュータ毎にデバイスコントローラを装着しなければならず、制御される機器の間で動作の連携が必要な場合、コンピュータ経由で連携をとる必要がある。また、複数のコンピュータと複数の機器とをデバイスコントローラに接続する形成では、デバイスコントローラにコマンドが集中的に依頼されることから、デバイスコントローラについて非常に高い性能を要求される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこのような課題を解決するために成されたものである。すなわち、本発明は、映像や音声から成る情報の入出力を行う機器とシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって接続され、機器に対する情報の入出力制御を行うデバイスコントローラと、デバイスコントローラとネットワークを介して接続され、デバイスコントローラに対して機器を制御するためのコマンドの予約を行う制御ホストとを備える情報制御システムである。
【0008】
また、本発明は、映像や音声から成る情報の入出力を行う機器とシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線を介して接続するための機器接続インタフェースと、機器を制御するためのコマンドを発行する制御ホストとネットワークを介して接続するためのネットワークインタフェースとを備えるデバイスコントローラである。
【0009】
このような本発明では、デバイスコントローラにネットワークインタフェースを追加し、例えばTCP/IPの通信処理によって制御ホストとなるコンピュータとネットワーク接続する。一方、機器との間では例えばRS−422による専用ケーブルでの接続を行う。
【0010】
このような構成によって、制御ホストとなるコンピュータとデバイスコントローラとが距離の制約が問題にならないネットワークにて接続され、コンピュータからTCP/IPのネットワーク経由によってデバイスコントローラに制御タイミング付きのコマンドを依頼することができる。また、デバイスコントローラと機器とはリアルタイム処理を可能とするシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって接続されため、デバイスコントローラは、このコマンドに基づき所定のタイミングでリアルタイムにて機器を制御することができる。
【0011】
また、デバイスコントローラが複数ある場合、コンピュータがデバイスコントローラに一度コマンドを予約したあと、コンピュータを経由せずにデバイスコントローラ間でコマンドの連動を行うことができる。また、デバイスコントローラはネットワーク経由でマルチキャストアドレスを使ってほかのデバイスコントローラおよび制御ホストであるコンピュータにステータスをブロードキャストすることができる。
【発明の効果】
【0012】
このような本発明により、制御ホストとデバイスコントローラ、機器との間の距離の制約を考慮せずに正確なタイミングで機器の制御を行うことが可能となる。また、デバイスコントローラ間の連動を行う場合、万が一、制御ホストがダウンしたり、フリーズしたりしても、制御ホストを経由せずにデバイスコントローラ間で連動を行うことが可能となる。これらによって、システム規模に応じた柔軟な構成をコストアップせずに構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1は、本実施形態に係る情報制御システムを説明する構成図である。すなわち、本実施形態に係る情報制御システムは、映像や音声から成る情報の入出力を行う機器(例えば、VTRやコンテンツサーバ)とシリアル通信回線(例えば、RS−422)もしくはパラレル通信回線によって接続され、機器に対する情報の入出力制御を行うデバイスコントローラ(図1に示す例では、デバイスコントローラA〜D)と、このデバイスコントローラとネットワークNを介して接続され、デバイスコントローラに対して機器を制御するためのコマンドの予約を行う制御ホスト10とを備えている。
【0014】
図1に示す例では、デバイスコントローラAに機器1と機器2とが接続され、デバイスコントローラBに機器3が接続され、デバイスコントローラCに機器4が接続されている。なお、デバイスコントローラの数や、そのデバイスコントローラに接続される機器の数は一例であり、これ以外であってもよい。
【0015】
制御ホスト10は、各機器に対する情報入出力を管理するアプリケーションソフトウェアが実行されるコンピュータであり、このアプリケーションソフトウェアによって機器を制御するためのコマンドを対応するデバイスコントローラにネットワークN経由で送信する。
【0016】
デバイスコントローラA〜Cは、筐体内に各部が組み込まれたボックス型となっている。このデバイスコントローラA〜Cには、ネットワークNと接続するためのネットワークI/Oが設けられており、制御ホスト10から送られるコマンドの受信や、各デバイスコントローラ間のネットワークN経由での通信を行うことができるようになっている。
【0017】
また、デバイスコントローラA〜Cには、機器との間のシリアル通信を行う例えばRS−422制御I/O、パラレル通信を行うパラレル制御I/O、タイムコード(LTC/BCD)の入力インタフェース、映像リファレンス信号の入力インタフェース、ネットワークアドレス等の設定やステータス表示ができるパネル(例えば、タッチパネルディスプレイ)が設けられている。
【0018】
このように、制御ホスト10とデバイスコントローラA〜CとがネットワークNを介して接続されることで、制御ホスト10とデバイスコントローラA〜Cとの距離の制約を無くすことができる。
【0019】
また、デバイスコントローラA〜Cと機器1〜4とはシリアル通信回線やパラレル通信回線によってネットワークNを介さず直接接続されることから、デバイスコントローラA〜Cから機器1〜4をリアルタイムに制御できることになる。
【0020】
ここで、制御ホスト10とデバイスコントローラA〜Cとを接続するネットワークNとしては、例えばOSI参照モデルによるTCP/IPを用いたLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)のような距離の制約を事実上受けないプロトコルを適用する。
【0021】
TCP/IPを適用する場合には、各デバイスコントローラA〜Cには認識ID(IPアドレス)が割り当てられている。各デバイスコントローラA〜Cにはメモリキャッシュが設けられており、制御ホスト10からネットワークN経由で送られてきたコマンドを記憶することができるようになっている。
【0022】
また、制御ホスト10からネットワークN経由で各デバイスコントローラに制御コマンドを送る場合、複数のデバイスコントローラで構成される1つのグループを予約し、メモリキャッシュへの蓄積が可能となっている。これにより、予約されるコマンドが1つの動作グループとして管理され、1つのトリガーで各デバイスコントローラA〜Cの動作が可能となる。ここで、トリガーとしては、タイマーやパラレル入力を用いることができる。
【0023】
さらに、各デバイスコントローラA〜CがネットワークNに接続されていることから、ネットワークNのブロードキャスト技術を使ってネットワークN上の各デバイスコントローラA〜Cの相互間でステータスを通知することができる。また、IPMaskを使って通信フローをコントロールすることもできる。
【0024】
制御ホスト10からコマンドの予約を行う場合には、制御ホスト10が所望のデバイスコントローラA〜CにユーザID、パスワードを使ってログインし、制御用のユニークグループIDをデバイスコントローラに通知する。その後、以下のプロトコルでトリガー、グループ、コマンド、ステータス通知をセットする。
【0025】
<通信電文>
フォーマット(図2参照)…送信先IP、送信元IP、送信日付時刻、ユニークグループID、電文タイプ、トリガーの定義、電文
<送信先IP>
送信先IPの例
・192.168.0.1
また、マルチキャストアドレスの指定もできる。
・224.1.1.1(マルチキャストアドレス)
<ユニークグループID>
フォーマット…GroupID
GroupIDの生成方法は、マルチキャストアドレスを使う。デバイスコントローラがこのマルチキャストアドレスを使って、Group内のデバイスコントローラ、制御ホストのみにステータスの通知や、コマンド制御をすることができる。また、通信フローをコントロールできる。
ユニークグループIDの例
・192.168.0.1(送信先IP)
・224.1.1.1(マルチキャストアドレス)
・ユニークID
【0026】
<電文タイプ>
種類…RCommand、PCommand、Status
RCommand…デバイス制御RS−422コマンド
PCommand…デバイスパラレル制御コマンド
Status…制御デバイス、デバイスコントローラ、内部のステータス
【0027】
<トリガーの定義>
デバイス制御コマンドのトリガータイプの定義
フォーマット…ユニークグループID、Triggerタイプ(Timer、Instant、GPIの3種類)、OPTION部
トリガータイプについては、
Timerトリガー:実行日付時刻
Instantトリガー:即時実行
GPIトリガー:あるユニークグループIDのあるスタータスより動作
OPTOIN部については、
Timerトリガーの場合、実行日付時刻を設定する。
Instantトリガーの場合、OPTION部がない。
GPIトリガーの場合、どのユニークグループIDのStatusより動作するかを定義する。
実行日付時刻フォーマット:YYMMDDHHMMSSFFになる。例えば、2006年11月01日00時01分01秒25フレームでコマンドを実行する場合、「06110100010125」となる。
【0028】
<RS-422制御電文>
電文のフォーマットはポート番号、制御コマンド、OFFSET値になる。
OFFSET値は、定義されるトリガーのOFFSET値による。
【0029】
<パラレル制御電文>
電文のフォーマットは、PIN番号、タイプ、OFFSET値、OPTION部になる。
タイプは、GPI IN、GPI OUTの2種類がある。OPTION部についてはGPIINの場合、アクティブの信号レベル(UP、DOWN)認識を定義する。GPIOUTの場合、パルス幅を定義する。
OFFSET値は、定義されるトリガーのOFFSET値による。
【0030】
<ステータス>
フォーマット…ユニークグループID、日付時刻、ステータス
ステータスの送信は、マルチキャストアドレスを使って関係があるデバイスコントローラ、制御ホストに送る。まだ、上位アプリケーションがユニークグループIDを使って通信電文のフォローをコントロールでる。
【0031】
図3は、具体的なコマンドの流れを説明する模式図である。なお、この図ではネットワークNに4つのデバイスコントローラA〜Dが接続されている。制御ホスト10は、ネットワークNを介して各デバイスコントローラA〜Dにコマンドの予約および即時制御を行うことができる。制御コマンドは、所定のデバイスコントローラに対してIPアドレスを指定した電文フォーマット(図2参照)によって行う。
【0032】
例えば、制御ホスト10がIPアドレス(192.168.0.1)を指定してコマンド予約を行うと、ネットワークNを介してこのIPアドレス(192.168.0.1)が割り当てられたデバイスコントローラAにコマンドが送られる。
【0033】
また、マルチキャストIPを使ってグループ内のデバイスコントローラ(図3の例では、デバイスコントローラA〜C)にコマンドを予約することもできる。この場合、同一グループでないデバイスコントローラDはコマンドを受信することはできない。
【0034】
例えば、制御ホスト10がマルチキャストIP(224.1.1.1)を使用したコマンドの予約を行うと、ネットワークNを介してこのマルチキャストIP(224.1.1.1)が割り当てられたグループを構成するデバイスコントローラA〜Cにコマンドが送られる。制御ホスト10は、一度のコマンド予約によってグループ内の複数のデバイスコントローラA〜Cに同じコマンドを送ることができる。一方、マルチキャストIP(224.1.1.1)が割り当てられていないデバイスコントローラDは、このコマンドを受信することはできない。
【0035】
また、同一グループ内のデバイスコントローラA〜Cは、マルチキャストIPを使った同じグループ内のデバイスコントローラA〜Cに対しスタートパルスが発生したことやステータスを通知することができる。これにより、制御ホスト10を介すことなく各デバイスコントローラ間で通信を行うことが可能となる。予め、予約されたコマンドは、同じグループのあるデバイスコントローラから通知されたステータスによって連動可能である。
【0036】
例えば、デバイスコントローラBでスタートパルスが発生した場合、マルチキャストIP(224.1.1.1)を使ってステータスの通知を行うと、同じマルチキャストIP(224.1.1.1)が割り当てられた他のデバイスコントローラA、Cにこのステータスが通知され、デバイスコントローラA、Cではこのステータスを受信することができる。一方、マルチキャストIP(224.1.1.1)が割り当てられていないデバイスコントローラDは、このステータスを受信することはできない。
【0037】
本実施形態では、このようなネットワークNを介したコマンドの予約によって制御ホスト10とデバイスコントローラA〜Dとの間の距離の制約を事実上受けることなく制御ホスト10から機器の制御を行うことができる。
【0038】
また、各デバイスコントローラA〜Dと機器とはネットワークNを介さず直接シリアル通信回線もしくはパラレル通信回線を介して接続されることから、デバイスコントローラA〜Dから機器の制御はリアルタイムで行うことが可能となる。したがって、距離の制約を事実上受けないシステム構築とともに、正確なタイミングによって機器をコントロールすることが可能となる。
【0039】
次に、具体的な適用例を説明する。図4は、シネマシステムへの適用例を示す模式図である。シネマシステムは、シネマオフィスから各地の映画館に対して映画やプロモーションビデオを配信する構成であり、シネマオフィスに設置された制御ホスト10であるコンピュータによって各地の映画館(ここでは、シネマCa、Cb)のシネマサーバ(制御対象の機器)S1、S2へ必要な情報(映画やプロモーションビデオ等)を配信するものである。
【0040】
本実施形態の情報制御システムを適用するため、各地のシネマCa、CbにはデバイスコントローラA、Bを各々設けておき、シネマオフィスに設置された制御ホスト10と各地のシネマCa、CbのデバイスコントローラA、BとをネットワークNで接続しておく。また、各地のシネマCa、Cbに設置されたデバイスコントローラA、BとシネマサーバS1、S2とはシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって直接接続しておく。
【0041】
シネマオフィスに設置された制御ホスト10では、実行されるアプリケーションソフトウェアによって各地のシネマCa、Cbで上映予定のコマンドを予約する。そして、それに対応した映像や音声等のコンテンツをシネマサーバS1、S2にネットワークN経由で送信しておく。
【0042】
各シネマCa、CbのデバイスコントローラA、Bは、予めシネマオフィスの制御ホスト10から送られてきたコマンドを記憶しておき、所定のタイミングでコマンドを実行する。このコマンドの実行によってシネマサーバS1、S2から映像や音声を出力することになる。
【0043】
図4に示す例では、シネマオフィスの制御ホスト10からネットワークNを介してシネマCaのデバイスコントローラS1に9時50分より10分間、5つのプロモーション上映を行うためのコマンドと、10時より本編を上映するためのコマンドを予約しておく。
【0044】
一方、シネマオフィスの制御ホスト10からネットワークNを介してシネマCbのデバイスコントローラS2には、シネマオフィスの制御ホスト10から、10時50分より10分間、5つのプロモーション上映を行うためのコマンドと、11時より本編を上映するためのコマンドを予約しておく。
【0045】
各シネマCa、CbのデバイスコントローラA、Bは、この予約されたコマンドを予定の時間に合わせてシネマサーバS1、S2に対して実行する。これにより、その実行タイミングに合わせてプロモーションや本編が上映されることになる。
【0046】
図5は、放送局の放送システムへの適用例を示す模式図である。放送システムは、例えばスタジオから放送を行うにあたり、所定のタイミングでVTR等の機器からの映像や音声を送出する構成であり、スタジオに設置された制御ホストであるコンピュータによってVTRを制御したり、サーバを制御して映像や音声を送出したりするものである。
【0047】
本実施形態の情報制御システムを適用するため、例えば放送局ビルの2階にあるスタジオに制御ホスト10、デバイスコントローラA、VTRを設けておき、放送局ビルの10開にある機器ルームにデバイスコントローラBおよびサーバS3を設けておき、制御ホスト10と各デバイスコントローラA、BとをネットワークNで接続しておく。また、各デバイスコントローラA、BとVTRおよびサーバS3とはシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって直接接続しておく。
【0048】
制御ホスト10では、実行されるアプリケーションソフトウェアによってVTRやサーバS3から映像および音声を送出するタイムスケジュールを組んでおき、このタイムスケジュールに合わせて各デバイスコントローラA、Bにコマンドを予約しておく。制御ホスト10から各デバイスコントローラA、Bへのコマンド予約は、ネットワークNのトラフィックを考慮して、実際のコマンド実行時よりも十分に早いタイミングで送っておく。
【0049】
各デバイスコントローラA、Bは、予め制御ホスト10から送られてきたコマンドを記憶しておき、所定のタイミングでコマンドを実行する。このコマンドの実行によってVTRやサーバS3から映像や音声を出力することになる。
【0050】
図5に示す例では、制御ホスト10から2階のスタジオのデバイスコントローラAに対し、TAKEボタンの3秒後にVTRを5分間送出するためのコマンドを予約している。また、10階の機器ルームのデバイスコントローラBに対し、VTRを5分階送出した後、1分間サーバS3の素材を送出するためのコマンドを予約してある。
【0051】
そして、2階のスタジオのTAKEボタンが押されると、このスタートトリガが2階スタジオのデバイスコントローラAに送られ、3秒後にVTRによる送出を5分間実行する。送出から5分後、2階スタジオのデバイスコントローラAは、ステータスを10階機器ルームのデバイスコントローラBにネットワークNを介して送る。このステータスを受信した10階機器ルームのデバイスコントローラBは、ステータス受信に合わせてサーバS3の素材を1分間送出するコマンドを実行する。各デバイスコントローラA、BとVTRおよびサーバS3とはネットワークNを介さず直接ケーブル接続されているため、コマンドの実行に対してリアルタイムで映像等の送出を行うことができる。
【0052】
これにより、制御ホスト10で作成したタイムスケジュールによって予約コマンドの実行、および各階のデバイスコントローラA、B間での直接通信によって、正確なタイミングでVTRやサーバS3から映像および音声を送出することが可能となる。
【0053】
図6は、街頭スクリーンへのプロモーション配信システムへの適用例を示す模式図である。プロモーション配信システムは、例えば広告代理店のオフィスから各地の大型ビジョン等の街頭スクリーンに対して所望のプロモーションビデオを配信する構成であり、広告代理店オフィスに設置された制御ホスト10であるコンピュータによって各地のプロモーションステーションのサーバ(制御対象の機器)へ必要な情報を配信するものである。
【0054】
本実施形態の情報制御システムを適用するため、各地のプロモーションステーションにはデバイスコントローラA、Bを各々設けておき、広告代理店オフィスに設置された制御ホスト10と各地のプロモーションステーションのデバイスコントローラA、BとをネットワークNで接続しておく。また、各地のプロモーションステーションに設置されたデバイスコントローラA、Bとサーバとはシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって直接接続しておく。
【0055】
広告代理店オフィスに設置された制御ホスト10では、実行されるアプリケーションソフトウェアによって各地のプロモーションステーションで上映予定のコマンドを予約する。そして、それに対応した映像や音声等のコンテンツをサーバS4やシネマサーバS5にネットワークN経由で送信しておく。
【0056】
各プロモーションステーションのデバイスコントローラA、Bは、予め広告代理店オフィスの制御ホスト10から送られてきたコマンドを記憶しておき、所定のタイミングでコマンドを実行する。このコマンドの実行によってサーバS4やシネマサーバS5から映像や音声を街頭スクリーンに上映することになる。
【0057】
図6に示す例では、新橋の広告代理店オフィスの制御ホスト10からネットワークNを介して渋谷のプロモーションステーションのデバイスコントローラAに10分間、5つのプロモーション上映を行うためのコマンドを予約しておく。
【0058】
一方、広告代理店オフィスの制御ホスト10からネットワークNを介して新宿のプロモーションステーションのデバイスコントローラBには、広告代理店オフィスの制御ホスト10から、30分間、5つのプロモーション上映を行うためのコマンドを予約しておく。
【0059】
渋谷および新宿の各プロモーションステーションのデバイスコントローラA、Bは、この予約されたコマンドを予定の時間に合わせてサーバS4やシネマサーバS5に対して実行する。これにより、その実行タイミングに合わせてプロモーションが街頭スクリーンに上映されることになる。
【0060】
このようなプロモーション配信システムに適用することで、広告代理店オフィスから多地点にわたるプロモーションステーションに対してのプロモーション配信の制御を行うことができ、統括的な管理を容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る情報制御システムを説明する構成図である。
【図2】電文フォーマットを説明する模式図である。
【図3】具体的なコマンドの流れを説明する模式図である。
【図4】シネマシステムへの適用例を示す模式図である。
【図5】放送局の放送システムへの適用例を示す模式図である。
【図6】街頭スクリーンへのプロモーション配信システムへの適用例を示す模式図である。
【図7】従来のシステムを説明する模式図である。
【符号の説明】
【0062】
1…機器、2…機器、10…制御ホスト、S1…サーバ、S2…サーバ、S3…サーバ、S4…サーバ、S5…シネマサーバ、N…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像や音声から成る情報の入出力を行う機器とシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線によって接続され、前記機器に対する情報の入出力制御を行うデバイスコントローラと、
前記デバイスコントローラとネットワークを介して接続され、前記デバイスコントローラに対して前記機器を制御するためのコマンドの予約を行う制御ホストと
を備えることを特徴とする情報制御システム。
【請求項2】
前記デバイスコントローラは前記ネットワークに複数台接続されており、前記制御ホストから複数台の前記デバイスコントローラに対して一括してコマンドの予約を行う
ことを特徴とする請求項1記載の情報制御システム。
【請求項3】
前記デバイスコントローラは前記ネットワークに複数台接続されており、前記制御ホストから複数台の前記デバイスコントローラのうち同じグループに属するものに対して一括してコマンドの予約を行う
ことを特徴とする請求項1記載の情報制御システム。
【請求項4】
前記デバイスコントローラは、前記制御ホストから送られたコマンドを記憶しておき、所定のタイミングで前記コマンドを実行して前記機器を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の情報制御システム。
【請求項5】
前記ネットワークに複数の前記デバイスコントローラが接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の情報制御システム。
【請求項6】
前記ネットワークに複数の前記デバイスコントローラが接続されており、各デバイスコントローラが前記ネットワークを介して直接通信を行う
ことを特徴とする請求項1記載の情報制御システム。
【請求項7】
映像や音声から成る情報の入出力を行う機器とシリアル通信回線もしくはパラレル通信回線を介して接続するための機器接続インタフェースと、
前記機器を制御するためのコマンドを発行する制御ホストとネットワークを介して接続するためのネットワークインタフェースと
を備えることを特徴とするデバイスコントローラ。
【請求項8】
前記機器接続インタフェースは、シリアル通信回線もしくはパラレル通信回線である
ことを特徴とする請求項7記載のデバイスコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−123078(P2008−123078A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303551(P2006−303551)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】