説明

情報媒体および情報媒体判別装置

【課題】 情報を表すための有効面積が広く、かつ迅速に低コストで判別することができる情報媒体および情報媒体判別装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係るコイン型媒体20は、表面22と表面22と対向する裏面24とを有する本体20aと、表面22および裏面24の少なくとも一方に可視光線によって表された可視情報110と、表面22および裏面24の少なくとも一方に不可視光線によって表されかつ可視情報110を識別する不可視情報100とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報媒体および情報媒体判別装置に関し、特に、情報が付加されたコイン型やその他の形状の物体の判別に関する。
【背景技術】
【0002】
同心円状の複数のリングによりデータが示されたコインを識別するコイン識別装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に示されるコインは、図1に示されるように、円形状のコインの表面に同心円状の複数のリングR1〜R4が描かれ、リンクの色は、赤、緑、青または黒で表される。コインが通路を落下されたとき、コインの表面を照射し、その反射光から得られる光強度を検出することでコインを識別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−245386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
形状が同一であっても、その表面に印刷された内容を異ならせることで、媒体に異なる情報を与えることができる。このような媒体を複数種用意することで、媒体を、教育玩具やゲーム機などに利用することができる。しかしながら、特許文献1に示されるようなコインは、その表面に複数のリングを描画することでコインの識別を行うため、その表面に情報を表すことができる面積が制限され、仮に、コイン表面に文字、記号、図形等の情報を表示しようとすると、コイン自身を大きくするか、表示すべき情報を極力小さくすることを余儀なくされてしまう。
【0005】
また、コイン状の物体を識別する方法として、光学的な読取り方法以外に、RFIDを用いた方法や画像認識を用いた方法が考えられる。しかし、前者の方法では、物体を自由落下させた場合には、読取装置が落下速度に対応することが難しくなるし、コストも高くなってしまう。後者の方法は、撮像データから画像を抽出し抽出した画像のマッチング等を行うため、やはり識別に要する時間が長くなり、またコストが高くなってしまう。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、情報を表すための有効面積が広く、かつ迅速に低コストで判別することができる情報媒体および情報媒体判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報媒体は、第1の表面と第1の表面と対向する第2の表面とを有する本体と、前記第1および第2の表面の少なくとも一方に可視光線によって表された可視情報と、前記第1および第2の表面の少なくとも一方に不可視光線によって表されかつ前記可視情報を識別する不可視情報とを有する。
【0008】
好ましくは前記可視情報と前記不可視情報とは、同一表面に表される。また、前記第1および第2の表面に、前記可視情報および前記不可視情報がそれぞれ表されるようにすることができる。好ましくは前記可視情報に重なるように前記不可視情報が表される。好ましくは前記可視情報を含む第1の層が形成され、前記第1の層上に前記不可視情報を含む第2の層が形成され、前記第1および第2の層は、印刷によって形成されることができる。さらに前記可視情報は、可視光線によって表される可視ドットのパターンによって構成され、前記不可視情報は、赤外線を吸収する複数の不可視ドットのパターンによって構成され、可視ドットおよび不可視ドットは同一層内に形成されることができる。好ましくは複数の情報媒体が用意されるとき、前記可視情報および前記不可視情報は、情報媒体によってそれぞれ異なる。好ましくは情報媒体はコイン型を有し、前記不可視情報は、同心円状の複数のリングを含む。
【0009】
さらに本発明に係る情報媒体は、第1の表面と第1の表面と対向する第2の表面とを有し、外観形状が固有の情報に関連付けされた本体と、前記第1および第2の表面の少なくとも一方に不可視光線によって表されかつ前記外観形状を識別する不可視情報とを有する。好ましくは、前記本体の外観形状は、動物の輪郭を表す。
【0010】
本発明に係る情報媒体判別装置は、上記した情報媒体と、前記情報媒体に表された不可視情報を光学的に読取る読取り手段と、前記読取り手段の読取り結果に基づき前記本体を判別する判別手段とを有する。好ましくは、前記読取り手段は、前記情報媒体に不可視光線を照射する照射手段と、前記情報媒体からの前記不可視光線の反射光を検出する検出手段と。好ましくは情報媒体判別装置はさらに、判別手段による判別結果を出力する出力手段を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可視光線によって表された可視情報と、不可視光線によって可視情報を識別する不可視情報とを有するようにしたので、従来の情報媒体と比べて、可視情報および不可視情報によって有効に利用される面積を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来のコイン識別装置に用いられるコインを示す平面図である。
【図2】本発明の実施例に係るコイン型媒体判別装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施例において用いられるコイン型媒体を示す図である。
【図4】図4(a)は、図3に示すコイン型媒体のX−X線断面図、図4(b)は赤外光の反射状態を示す図、図4(c)は、可視情報とコード情報を単層で作成した例を示す図、図4(d)は、可視ドットと不可視ドットのパターンの模式図である。
【図5】図5(a)は、不可視光線によって表されたコード情報を示す図、図5(b)は、可視光線によって表された可視情報を示す図である。
【図6】読取り部の外観構成の一例を示す図である。
【図7】読取り部の内部構成の一例を示す図である。
【図8】読取り信号波形を示す図である。
【図9】制御部に保持された判別テーブルの例を示す図である。
【図10】本発明の情報媒体に適用可能な矩形型媒体の例を示す図である。
【図11】本発明の情報媒体に適用可能な動物型媒体の例を示す図である。
【図12】本発明の実施例に係る読取り部の他の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施例に係る教育玩具装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施例において、コイン型判別装置を例示するが、これは例示であり、他の形状の情報媒体を判別することも可能である。さらに、図面に示すスケールは、発明を理解するために誇張して記載されており、実際の製品のスケールと同一でないことに留意すべきである。
【実施例】
【0014】
図2は、本発明の実施例に係るコイン型媒体判別装置の構成を示すブロック図である。本実施例のコイン型媒体判別装置10は、情報が与えられたコイン型媒体20と、コイン型媒体20の識別情報を光学的に読取る読取り部30と、読取り部30で読取られた結果に基づきコイン型媒体20の判別等を行う制御部40と、制御部40による判別結果を出力する音声出力部50および画像表示部60とを含んで構成される。
【0015】
コイン型媒体20は、例えば、金属、プラスチック、木材、紙などの材料から構成され、好ましくは、比較的剛性を有し、かつ円形状、薄板状を有する。図3(a)は、コイン型媒体20の斜視図、図3(b)は、コイン型媒体の表面、図3(c)は、コイン型媒体の裏面を示す。コイン型媒体20は、円形状の平坦な表面22と、これに対向する円形状の平坦な裏面24と、表面22および裏面24を連結する円弧状の側面26とからなる外観を有する。例えば、コイン型媒体20の直径は、数十cm、厚さは数cmである。
【0016】
表面22および裏面24の少なくとも一方には、コイン型媒体20に関連付けされた可視光線によって表された可視情報と、コイン型媒体20または可視情報を識別することができる不可視光線によって表されたコード情報とが付加される。可視光線は、おおよそ360nm〜830nmの波長を指し、従って、可視情報は、肉眼によって見ることができる情報である。可視情報は、文字、記号、図形、画像またはこれらの組み合わせなどから構成される。一方、不可視光線は、可視光線より波長が短い紫外線および可視光線より波長が大きい赤外線を指し、従って、不可視光線によって表されたコード情報は、肉眼によって見ることができない。コード情報は、バーコード、QRコードまたはその他の形状を有するコードである。
【0017】
可視情報およびコード情報は、表面22に全体またはその一部が重なるように形成されても良いし、それぞれが並ぶように形成されても良い。また、可視情報およびコード情報は、表面22および裏面24の双方に形成されても良い。さらに、表面22に可視情報が形成され、裏面24にコード情報が形成されても良いし、その反対に表面22にコード情報が形成され、裏面24に可視情報が形成されてもよい。要は、可視情報とそれに対応するコード情報がコイン型媒体20のいずれかの面に形成されていればよい。
【0018】
図4は、コイン型媒体の表面および裏面の双方に可視情報とコード情報が表されたときの断面図である。コイン型媒体を構成する本体20aの表面22には、可視情報を含む第1の層22aが形成され、第1の層22a上にはコード情報を含む第2の層22bが形成される。また、本体20aの裏面24には、可視情報を含む第1の層24aが形成され、第1の層24a上にはコード情報を含む第2の層24bが形成される。好ましくは、第1の層22a、24a、第2の層22b、24bは、印刷によって表面22、裏面24上に形成することができる。第1の層22a、24a、第2の層22b、24bは、必ずしも単層である必要はなく、複数の層が積層されたものであってもよい。
【0019】
第1の層22a、24aは、可視光線により表すことができるインクまたは材料を用いて形成される。第1の層22a、24aの下地である本体20aの表面には、可視光線を反射または吸収する層を形成するようにしてもよい。第2の層22b、24bは、不可視光線によりコード情報を表すことができるインクまたは材料を含んで構成され、かつ第2の層22b、24bは、可視光線を透過する。好ましくは、第2の層22b、24bは、赤外線を反射するCMYKインクを用いて形成された層と、その上に赤外線を吸収するインクを用いて形成された層の2層構造からなる。赤外線を吸収する層は、コード情報に対応するパターンを有する。
【0020】
図4(b)は、コード情報が形成される第2の層22b(24b)の断面を示している。同図に示すように、第1の層22a上には、赤外線を反射する赤外線反射層22b−1が全面に形成され、赤外線反射層22b−1上に、コード情報に対応するパターンPを含む赤外線吸収層22b−2が形成される。第2の層22bがこのように構成された場合、コード情報の読取りには、波長が940nmの赤外線IRを発光する光源が用いられる。パターンPは、赤外光IRを吸収するため、パターンPを照射した赤外光IRの反射光は生じない。他方、パターンPが存在しない領域を照射した赤外光IRは、赤外線反射層22b−1で反射される。また、赤外線反射層22b−1、赤外線吸収層22b−2は可視光線を透過するため、第2の層22bの下方に形成された可視情報は、肉眼によって視認することができる。こうして、本体20aの表面22、裏面24は、可視情報およびコード情報のためにそれぞれ有効に利用され、可視情報およびコード情報は相互に制約を受けない。
【0021】
さらに、可視情報とコード情報は、単層または同一の層から構成するものであっても良い。図4(c)に、可視情報とコード情報を1つの印刷層によって形成した例を示す。1つの印刷層22dは、本体20aの表面または裏面上に形成される。印刷層22dは、赤外線を反射するCMYKインクで描かれた複数の可視ドットQと、可視ドットQの隙間に形成された赤外線吸収インクで描かれた複数の不可視ドットPとを有する。可視ドットQは、赤外線を反射すると同時に可視光線によって表されるドットであり、複数の可視ドットQのパターンにより可視情報(例えば、図4(d)に示す「あ」)が構成される。不可視ドットPのパターンにより不可視光線によって表されるコード情報が形成される。
【0022】
図4(d)は、可視ドットQと不可視ドットPのパターンの模式図である。可視ドットQは、可視情報である「あ」を表示し、可視ドットの間には不可視ドットPが形成され、不可視ドットパターンによりコード情報が表される。可視ドットQおよび不可視Pの密度および配置を調整することで、図4(b)に示す2層構造と同様の効果を1層構造で得ることができ、これにより、可視情報およびコード情報の作成が容易となり、コストを低減することができる。
【0023】
図5(a)は、コード情報を模式的に示した図であり、図5(b)は、可視情報の例を模式的に示した図である。図5(a)に示すように、コード情報100は、例えば、同心円状の複数のリングR1〜R3を用いて構成することができる。リングR1〜R3の本数、太さ、間隔などを固有にすることで、コイン型媒体20を識別することができる。リングR1〜R3は、上記したように、コイン型媒体20の第2の層22b、24bによって形成されるものであり、肉眼によって見ることはできない。
【0024】
可視情報110は、図5(b)に示すように、ねずみを表している。可視情報110は、コイン型媒体20の第1の層22a、24aによって形成されるものであり、肉眼によって見ることができる。図5(b)に示す可視情報110上に、図5(b)に示すコード情報110が重ね合うように形成されたとき、肉眼では、図5(b)に示す「ねずみ」しか見ることはできない。
【0025】
次に、本実施例の読取り部について説明する。図6は、本実施例の読取り部の概観構成の例を示している。読取り部30は、コイン型媒体20を落下させるための通路部32を有し、通路部32には、コイン型媒体20が通ることができる貫通孔32aが形成される。貫通孔32aは、コイン型媒体20のサイズに適合するような矩形状の溝であり、コイン型媒体20は、貫通孔32aにより姿勢をガイドされた状態で落下され得る。通路部32の貫通孔32aの壁面には、フォトリフレクタが設けられ、フォトリフレクタは、コイン型媒体20が貫通孔32aを通るとき、非接触の光学的読取りを行う。
【0026】
図7は、読取り部の電気的構成を示すブロック図である。読取り部30は、駆動回路34、フォトリフレクタ36、アンプ38を含んで構成される。フォトリフレクタ36は、不可視光線を発光する発光素子36aと、照射された不可視光線の反射光を受光する受光素子36bとを含む。発光素子36aは、好ましくは940nmの波長の赤外線を照射するLEDダイオードまたはレーザから構成される。発光素子36aは、駆動回路34によって駆動され、駆動回路34は、制御部40により制御される。受光素子36bは、好ましくはフォトダイオードまたはフォトトランジスタから構成され、発光素子36aから発せられた赤外光の反射光を受光し、これを電気信号に変換し、変換された電気信号は、読取り信号としてアンプ38に出力される。アンプ38は、受け取った読取り信号を増幅し、これを制御部40へ出力する。
【0027】
制御部40は、例えば、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、中央処理装置などから構成され、好ましくは、ROMやRAMを含み、そこに必要なデータやプログラムを格納する。制御部40は、図示しないユーザ操作部などからコイン型媒体の判別開始の指示を受け取ると、プログラムを実行し、コイン型媒体の判別を行う。上記したように、制御部40は、駆動回路34を介して発光素子36aから不可視光線を発光させ、受光素子36bからの読取り信号に基づきコイン型媒体の判別を行う。
【0028】
図8は、コイン型媒体を読取ったときの読取り信号の波形を表している。同図は、リングR1、R2、R3からなるコード情報が付加されたコイン型媒体のほぼ中心を通る方向に走査がなされたときの波形を示している。リングR1、R2、R3は、赤外線を吸収するインク等の材料によって形成されており、リングR1、R2、R3を照射した赤外光は、そこで吸収されるため、受光素子36bによる電子信号は低レベルになる。他方、リングR1、R2、R3が存在しない領域を照射した赤外光は、そこで強く反射されるため、受光素子36bの電気信号が高レベルになる。制御部40は、低レベルが生じた回数、高レベルの信号の間隔t1、t2、t3、t4、t5からコード情報を解読する。
【0029】
制御部40は、読取り信号の解読結果に基づきコイン型媒体を判別する。好ましくは、制御部40は、図9に示すような判別テーブルをメモリに保持することができる。図9(a)は、コード情報とコイン識別(ID)との関係を規定した判別テーブルの例である。制御部40は、読取り信号の解読結果に一致するコード情報を検索し、検索されたコード情報に対応するコインIDを判別する。図9(b)は、コード情報と可視情報との関係を規定した判定テーブルの例である。制御部40は、読取り信号の解読結果に一致するコード情報を検索し、検索されたコード情報に対応する可視情報を判別する。これ以外にも、図9(a)と図9(b)とを組み合わせたような判別テーブルを用いても良い。なお、制御部40は、図示しないユーザ操作部からの入力に基づき判別テーブルの内容を書き換えることも可能である。
【0030】
制御部40は、コイン型媒体を判別すると、その判別結果を音声出力部50または画像表示物60から出力させることが可能である。例えば、図9(a)の判別テーブルを用いて、判別されたコイン型媒体のコインIDに対応する判別情報を音声や画像により出力する。判別情報は、例えば、コイン型媒体の番号や、あるいはコイン型媒体の識別IDに関連付けされた情報である。また、図9(b)の判別テーブルを用いて、判別された可視情報を音声や画像により出力するようにしてもよい。例えば、「ねずみ」が判別されたならば、音声により「ねずみ」と出力し、画像にねずみの映像を表示する。他方、コイン型媒体を判別することができなかった場合には、制御部40は、判別できなかったメッセージを音声や画像により出力することができる。
【0031】
このように本実施例によれば、コイン型媒体の表面または裏面の少なくとも一方に、不可視光線によって表されたコード情報と可視情報と設けるようにしたので、可視情報とコード情報とが互いに干渉することなく両者を自由に表すことが可能になる。
【0032】
上記実施例では、コード情報と可視情報とを重ね合わせた例を示したが、勿論、これ以外にも、例えば、表面に可視情報を表し、裏面にコード情報を表したり、可視情報とコード情報とが同一面に並んで表されるようにしてもよい。さらに上記実施例では、コード情報を同心円状のリングで表したが、これに限らず、複数のバーからなるバーコードや2次元情報的なQRコードであってもよい。
【0033】
次に、本発明の他の実施例について説明する。上記実施例では、コイン型媒体として外観を円形状としたが、図10に示すように、矩形状であってもよい。矩形型媒体200は、表面とこれに対向する裏面を有し、表面および裏面の少なくとも一方にコード情報と可視情報が表される。矩形型媒体200は、図10(a)に示すように、同心円状の複数のリンクR1、R2、R3からなるコード情報を含むものであってもよいし、図10(b)に示すように、外観形状と相似形となるようなサイズの異なる複数の矩形パターンL1、L2、L3を有するものであってもよい。この場合にも、矩形パターンL1、L2、L3の本数、幅等を変えることで、矩形型媒体に固有の識別情報を与えることができる。
【0034】
さらに、本発明の情報媒体の外観形状は、円形状、矩形状、三角形のような幾何学的な形状以外の形状であってもよい。図11は、動物の輪郭を有する動物型媒体210の例を示している。動物型媒体210の表面または裏面のいずれかにに不可視光線により表すことができるコード情報220が付加される。この場合、動物型媒体210の輪郭形状により動物を認識することができる情報が与えられるので、必ずしも動物型媒体210の表面または裏面に可視情報を形成することを要しない。
【0035】
さらに上記実施例では、コイン型媒体等の情報媒体が自由落下するときに、読取り部30がコード情報を読取るようにしたが、これ以外にも、図12に示すように、レールなどが設けられた傾斜面230上をコイン型媒体20をスライドさせもしくは回転させ、そのときに、コード情報を読取るようにしてもよい。
【0036】
さらに上記実施例では、発光素子として赤外線発光素子を用い、コード情報に赤外線吸収/反射インキを用いる例を示したが、これ以外にも、発光素子として紫外線発光素子を用い、コード情報に紫外線吸収/反射インキを用いるようにしてもよい。要は、可視光線に対して透明であり、不可視光線に対して不透明なインキを用いればよい。
【0037】
次に、本発明の情報媒体のいくつかの利用例について説明する。
(1)同一の外観形状を有する複数の情報媒体のそれぞれに異なる可視情報とそれに対応する不可視コード情報を付与する場合:
可視情報の名前などを音声出力したり、可視情報に関する参考情報を画像表示することで、可視情報の名前を覚えたり、可視情報の名前の発音を練習したりする教育玩具装置に利用することができる。
(2)外観形状の異なる情報媒体にそれぞれ不可視コード情報を付与する場合(表面または裏面への可視情報は必ずしも不要);
例えば、図11に示す動物型媒体のように、1つ1つの情報媒体の外観形状を異ならせかつその外観形状によって何らかの意味のある情報(この場合には、動物)を識別することができる場合には、当該外観形状によって識別された情報に関するものを音声出力や画像出力することで、教育玩具装置やゲーム機などに利用することができる。
(3)同一の外観形状を有する複数の情報媒体にそれぞれ不可視コード情報を付与する場合(もし、可視情報を付与する場合には、複数の情報媒体には同一の可視情報が付与される):、
このような場合、肉眼によっては情報媒体の情報の区別が全くつかないので、例えば、不可視コード情報に関連付けして当たりまたは外れ情報を設定しておき、情報媒体の判別が行われたとき、当たりまたは外れ情報を出力させる。これにより、ゲーム機に利用することができる。
【0038】
図13は、本発明の実施例に係る教育玩具装置(またはゲーム機)の構成を示す図である。なお、図2に示す構成と同一のものについては同一の参照番号を付してある。本実施例の教育玩具装置10Aは、ユーザからの指示を受け取る入力部70と、情報媒体の判別結果に応じて音声出力または画像出力するためのデータを格納したメモリ80とを有する。教育玩具装置10Aが図11に示すような動物型媒体の判別を行う場合、メモリ80は、動物型媒体210によって識別される動物の名前(和名、英名など)の音声情報や、動物に関する生態情報(例えば、生息地、体長、寿命など)を記憶し、音声出力部50は、メモリ80の音声情報に基づき音声出力をし、画像表示部60は、ディスプレイに生態情報を表示することができる。また、ゲーム機を構成する場合には、メモリ80には、例えば、コイン型媒体毎の当たり/外れ情報や、コイン型媒体に与えられた得点情報などを記憶し、それらの情報が音声出力部50や画像表示部60によって出力されるようにする。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0040】
10:コイン型媒体判別装置 20:コイン型媒体
20a:本体 22:表面
22a:第1の層 22b:第2の層
24:裏面 24a:第1の層
24b:第2の層 26:側面
30:読取り部 32:通路部
32a:貫通孔 34:駆動回路
36:フォトリフレクタ 36a:発光素子
36b:受光素子 38:アンプ
40:制御部 50:音声出力部
60:画像表示部 70:入力部
80:メモリ 100:コード情報
110:可視情報 200:コイン型媒体
210:動物型媒体 220:コード情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面と第1の表面と対向する第2の表面とを有する本体と、
前記第1および第2の表面の少なくとも一方に可視光線によって表された可視情報と、
前記第1および第2の表面の少なくとも一方に不可視光線によって表されかつ前記可視情報を識別する不可視情報と、
を有する情報媒体。
【請求項2】
前記可視情報と前記不可視情報とは、同一表面に表される、請求項1に記載の情報媒体。
【請求項3】
前記第1および第2の表面に、前記可視情報および前記不可視情報がそれぞれ表される、請求項1または2に記載の情報媒体。
【請求項4】
前記可視情報に重なるように前記不可視情報が表される、請求項1ないし3いずれか1つに記載の情報媒体。
【請求項5】
前記可視情報を含む第1の層が形成され、前記第1の層上に前記不可視情報を含む第2の層が印刷により形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の情報媒体。
【請求項6】
前記可視情報は、可視光線によって表される複数の可視ドットのパターンによって構成され、前記不可視情報は、赤外線を吸収する複数の不可視ドットのパターンによって構成され、可視ドットおよび不可視ドットは同一層内に形成される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の情報媒体。
【請求項7】
複数の情報媒体が用意されるとき、前記可視情報および前記不可視情報は、情報媒体によってそれぞれ異なる、請求項1ないし6いずれか1つに記載の情報媒体。
【請求項8】
前記情報媒体はコイン型を有し、前記不可視情報は、同心円状の複数のリングを含む、請求項1ないし7いずれか1つに記載の情報媒体。
【請求項9】
第1の表面と第1の表面と対向する第2の表面とを有し、外観形状が固有の情報に関連付けされた本体と、
前記第1および第2の表面の少なくとも一方に不可視光線によって表されかつ前記外観形状を識別する不可視情報と、
を有する情報媒体。
【請求項10】
前記本体の外観形状は、動物の輪郭を表す、請求項9に記載の情報媒体。
【請求項11】
請求項1ないし9いずれか1つに記載の情報媒体と、
前記情報媒体に表された不可視情報を光学的に読取る読取り手段と、
前記読取り手段の読取り結果に基づき前記本体を判別する判別手段と、
を有する情報媒体判別装置。
【請求項12】
前記読取り手段は、前記情報媒体に不可視光線を照射する照射手段と、前記情報媒体からの前記不可視光線の反射光を検出する検出手段とを有する請求項11に記載の情報媒体判別装置。
【請求項13】
情報媒体判別装置はさらに、判別手段による判別結果を出力する出力手段を含む、請求項11または12に記載の情報媒体判別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−38072(P2012−38072A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177479(P2010−177479)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(308025886)株式会社エスアイエレクトロニクス (2)
【Fターム(参考)】