説明

情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラム

【課題】より多くの会社について、的確な業績予想の情報を提供することができる情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムを提供する。
【解決手段】情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社発表があった場合には、コンセンサス予想のリセット処理を実行する。制御部21は、業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合、コンセンサス予想の検索処理を行なう。コンセンサス予想が登録されている場合は、このコンセンサス予想を、会社の業績予想値として特定して利用者端末11に送信する。コンセンサス予想が登録されていない場合には、制御部21は、会社予想の検索処理を実行する。会社予想が登録されている場合には、制御部21は、この会社予想を、会社の業績予想値として利用者端末11に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社の業績予想に関する情報を提供する情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上場企業についての業績予想に関する情報提供が行なわれている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。非特許文献1には、上場企業については、市場調査を行なうとともに分析する専門家(アナリスト)の予想から業績予想と株価見通しの経済指標を算出して利用者に提供することが開示されている。また、特許文献1には、各アナリストの業績予想や各アナリスト予想を平均したコンセンサスグラフを表示するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−350484号公報(第1頁、図6〜図9)
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】株式会社 QUICK、“会社情報 QUICKを知る”、[online]、[平成22年4月16日検索]、インターネット、<URL: http://corporate.quick.co.jp/corporate/know.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アナリストが常時ウォッチしている会社は、株式市場において時価総額全体の9割である。しかしながら、この「9割」を構成する会社数は、上場企業数の4割程度に過ぎない。投資家によっては、アナリストが注目していない企業についての情報を希望する場合もある。従って、投資家に対して、より多くの会社についての業績予想情報を提供することが望ましい。
【0006】
また、多くの企業は、会社の業績に合わせて、自身の会社予想を発表している。そして、アナリストは、企業によって発表された会社予想を参照して予想値を算出することが多い。このように、各種情報が提供されている環境下において、より確度が高い情報の提供が望まれている。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、より多くの会社について、的確な業績予想の情報を提供することができる情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、利用者端末に接続された制御手段とを備え、業績予想の情報を提供する情報提供システムであって、前記制御手段が、利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する手段と、前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する手段と、前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段と、前記第1情報記憶手段において業績予想
を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段と、前記特定した出力情報を利用者端末に送信する手段とを備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報提供システムにおいて、前記制御手段が、各会社が発表した新たな業績に関する情報を取得して、この情報を会社識別子とともに前記第2情報記憶手段に記憶する手段と、前記第2情報記憶手段に新たな情報が記録された場合、前記第1情報記憶手段において、この会社識別子に関連付けられた業績予想をリセットする手段とを更に備えたことを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の情報提供システムにおいて、前記第2情報記憶手段には、各会社の会社識別子に関連付けて各会社の業績の実績値が記憶されており、前記制御手段が、前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できない場合には、前記第2情報記憶手段に記憶された実績値を出力情報として特定する手段を更に備えたことを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提供システムにおいて、前記第1情報記憶手段には、複数のアナリストによる業績予想の統計値によって算出した業績予想が記録されていることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、利用者端末に接続された制御手段とを備えた情報提供システムを用いて、業績予想の情報を提供する情報提供方法であって、前記制御手段が、利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する段階と、前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する段階と、前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する段階と、前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する段階と、前記特定した出力情報を利用者端末に送信する段階とを実行することを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、利用者端末に接続された制御手段とを備えた情報提供システムを用いて、業績予想の情報を提供する情報提供プログラムであって、前記制御手段を、利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する手段、前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する手段、前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段、前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段、及び前記特定した出力情報を利用者端末に送信する手段として機能させることを要旨とする。
【0014】
(作用)
本発明によれば、制御手段は、利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する。制御手段は、情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を第1情報記憶手段及び第2情報記憶手段において検索する。制御手段は、第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する。制御手段は、第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場
合には、この業績予想を出力情報として特定する。制御手段は、特定した出力情報を利用者端末に送信する。このため、アナリスト予想がない場合には、出力情報として会社予想を利用者に提供することができるので、より多くの会社の業績予想を提供することができる。
【0015】
本発明によれば、制御手段は、各会社が発表した新たな業績に関する情報を取得して、この情報を会社識別子とともに第2情報記憶手段に記憶する。制御手段は、第2情報記憶手段に新たな情報が記録された場合、第1情報記憶手段において、この会社識別子に関連付けられた業績予想をリセットする。アナリストによる業績予想は、会社が発表した新たな業績予想に応じて変更されることが多い。このため、制御手段は、会社発表があった直後は、アナリストによる業績予想をリセットして提供しない。この代わりに、会社が発表した業績に関する情報を提供する。そして、会社が発表した後に、アナリストによる業績予想が出された場合には、制御手段は、この業績予想を利用者に提供する。この場合には、会社発表の内容に応じてアナリストが新たに業績予想を変更しているので、より的確な業績予想を利用者に提供することができる。従って、利用者に情報を提供する時点で、より新しくてより適切な業績予想を提供することができる。
【0016】
本発明によれば、制御手段が、第1情報記憶手段及び第2情報記憶手段において業績予想を取得できない場合には、第2情報記憶手段に記憶された実績値を出力情報として特定する。このため、制御手段は、アナリスト予想及び会社予想がない場合には、出力情報としてこの会社の実績値を利用者端末に提供する。従って、アナリストによる業績予想や会社予想がない場合であっても、その会社の業績を予想するために有用な情報を提供することができる。
【0017】
本発明によれば、第1情報記憶手段には、複数のアナリストによる業績予想の統計値によって算出した業績予想が記録されている。このため、制御手段は、複数のアナリストによって業績予想が行なわれている場合には、より適切な統計値によって算出した業績予想を利用者に提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、より多くの会社について、的確な業績予想の情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施形態の情報提供システムの構成を説明する概略構成図。
【図2】実施形態のデータ記憶部のデータ構成を説明する説明図であり、(a)はアナリスト予想データ記憶部、(b)は会社予想データ記憶部、(c)は会社実績データ記憶部、(d)はコンセンサス予想データ記憶部。
【図3】実施形態の処理の処理手順を説明するための流れ図であり、(a)は会社発表更新処理、(b)はアナリスト予想更新処理、(c)は予想情報出力処理。
【図4】変更例における処理の処理手順を説明する流れ図であり、(a)はアナリスト評価処理、(b)はアナリスト評価情報生成処理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態では、会社の業績予想に関する情報を提供する情報提供システム、情報提供方法及び情報提供プログラムとして説明する。本実施形態では、全上場企業の次の決算期における業績についての予想情報を利用者に提供する情報提供サービスを行なう。
【0021】
この場合、アナリストにより業績が予想されている会社については、アナリストが予想
した予想値を提供する。本実施形態では、同じ会社の業績について複数のアナリストが予想している場合には、これら予想値の平均値(コンセンサス予想値)を提供する。
【0022】
一方、アナリストが業績を予想していない会社について、会社が発表した予想値がある場合には、この会社予想値を予想情報として提供する。また、会社が会社予想値を発表していない場合には、会社の直近の決算期の実績値(前期実績値)を予想情報として提供する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態では、会社の業績予想に関する情報を提供するシステムとして情報提供サーバ20を用いる。この情報提供サーバ20は、ネットワーク(ここではインターネット)を介して、複数の利用者端末11及び取引所サーバ12に接続されている。
【0024】
利用者端末11は、本サービスを利用して、業績予想に関する情報を取得する利用者が用いるコンピュータ端末である。この利用者端末11は、表示手段や入力手段を備えている。表示手段は、ディスプレイ等であって、情報提供サーバ20から取得した業績予想に関する情報を表示した画面等の各種画面を表示する。入力手段は、キーボードやポインティングデバイスであって、利用者が業績予想の閲覧を希望する会社を特定する情報等や閲覧指示等を入力する。
【0025】
取引所サーバ12は、株式会社東京証券取引所が所有するサーバであって、各会社の業績に関する情報を記憶している。本実施形態の取引所サーバ12は、決算期毎の業績の実績値や決算期毎の業績の予想値(会社予想値)が、発表日時(更新日時)とともに記憶されている。取引所サーバ12に記憶されている業績の実績値又は会社予想値には、売上高、営業利益、経常利益、EPS(Earnings Per Share:1株当たり当期利益)及び配当に関する値が含まれる。なお、取引所サーバ12に蓄積される情報は、会社によって異なり、実績値のみが蓄積されている場合や、実績値及び会社予想値が蓄積されている場合などがある。そして、取引所サーバ12は、株式会社東京証券取引所が運営する適時開示情報伝達システム(TDnet(登録商標);Timely Disclosure network)において各会社
が発表する情報を情報提供サーバ20からの情報要求に応じて情報を送信する。
【0026】
更に、この情報提供サーバ20は、アナリスト情報管理サーバ30に接続されている。アナリスト情報管理サーバ30は、各アナリストが予想した会社毎の業績予想を管理している。このアナリスト情報管理サーバ30は、アナリスト予想管理データ記憶部(図示せず)を備えている。このアナリスト予想管理データ記憶部には、各アナリストが算出したアナリスト予想情報が記録されている。このアナリスト予想情報には、アナリストコード、会社コード、決算期、アナリスト予想値及び更新日時に関するデータが含まれる。各データの内容については、後述するアナリスト予想データ記憶部22に蓄積される情報と共通するので、ここでは説明を省略する。
【0027】
一方、情報提供サーバ20は、制御部21、アナリスト予想データ記憶部22、会社予想データ記憶部23、会社実績データ記憶部24及びコンセンサス予想データ記憶部25を備える。制御部21は、制御手段として機能する。本実施形態では、会社予想データ記憶部23及び会社実績データ記憶部24は第2情報記憶手段、コンセンサス予想データ記憶部25は第1情報記憶手段として機能する。
【0028】
制御部21は、図示しないCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理を行なう。そして、このための情報提供プログラムを実行することにより、制御部21は、発表情報取得手段211、予想管理手段212、端末通信手段215及び提供情報特定手段216等として機能する。
【0029】
発表情報取得手段211は、各会社において発表された情報を取得する処理を行なう。本実施形態では、業績に関する情報(前期実績値や会社予想値)を適時開示情報伝達システムにおいて各会社が新たに発表した会社の決算情報を取得する。発表情報取得手段211は、業績に関する情報を新たに発表した会社を特定する識別子(会社コード)を検出した場合には、この取引所サーバ12から取得した情報を予想管理手段212に供給して記憶させる。
【0030】
予想管理手段212は、アナリスト予想、コンセンサス予想、会社予想及び会社実績についての情報管理処理を行なう。具体的には、予想管理手段212は、発表情報取得手段211を介して取得した会社予想及び会社実績を、会社予想データ記憶部23及び会社実績データ記憶部24に記録する。更に、予想管理手段212は、アナリスト情報管理サーバ30から各アナリスト予想を取得し、このアナリスト予想データ記憶部22のデータ更新を行なう。更に、予想管理手段212は、アナリスト予想データ記憶部22のデータを用いてコンセンサス予想データ記憶部25のデータ更新を行なう。
【0031】
端末通信手段215は、利用者端末11との間でデータ送受信処理を行なう。具体的には、端末通信手段215は、利用者端末11から会社の業績予想に関する情報要求を受信する。端末通信手段215は、この情報要求を提供情報特定手段216に供給し、これに応じて提供情報特定手段216が特定した業績予想を利用者端末11に送信する。
【0032】
提供情報特定手段216は、会社の業績予想値を特定して端末通信手段215に提供する処理を行なう。本実施形態では、提供情報特定手段216は、会社予想データ記憶部23、会社実績データ記憶部24及びコンセンサス予想データ記憶部25に記録されたデータの中から、後述する予想情報出力処理によって特定した業績予想値を、端末通信手段215に提供する。
【0033】
アナリスト予想データ記憶部22には、図2(a)に示すように、各アナリストが予想した会社毎の業績に関するアナリスト予想レコード220が記憶されている。このアナリスト予想レコード220は、アナリスト情報管理サーバ30から新たな情報を取得した場合に記録される。このアナリスト予想レコード220には、アナリストコード、会社コード、決算期、アナリスト予想値及び更新日時に関するデータが含まれる。
【0034】
アナリストコードデータ領域には、各アナリストを特定するための識別子に関するデータが記録される。
会社コードデータ領域には、このアナリストが業績を予想した会社を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0035】
決算期データ領域には、この会社の業績を予想した決算期(決算を算出する区切りの時期)を特定するための識別子に関するデータが記録される。
アナリスト予想値データ領域には、このアナリストが予想したこの会社の業績の予想値に関するデータが記録される。この予想値には、予想される純利益が含まれる。更に、アナリストや予想対象の会社によっては、この予想値に、売上高、営業利益、経常利益、EPS及び配当に関する値が含まれる。
【0036】
更新日時データ領域には、このアナリスト予想値が記録された年月日及び時刻に関するデータが記録される。
会社予想データ記憶部23には、図2(b)に示すように、会社が予想した業績に関する会社予想レコード230が記憶されている。この会社予想レコード230は、取引所サーバ12から会社予想値を取得した場合に記録される。この会社予想レコード230には
、会社コード、決算期、会社予想値及び更新日時に関するデータが含まれる。
【0037】
会社コードデータ領域には、各会社を特定するための識別子に関するデータが記録される。
決算期データ領域には、この会社における業績を予想した決算期を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0038】
会社予想値データ領域には、この会社が発表した自社の業績の予想値に関するデータが記録される。
更新日時データ領域には、この会社予想値が取引所サーバ12において発表された年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0039】
会社実績データ記憶部24には、図2(c)に示すように、会社実績レコード240が記憶されている。この会社実績レコード240は、取引所サーバ12から会社の実績値を取得した場合に記録される。この会社実績レコード240には、会社コード、決算期、実績値及び更新日時に関するデータが含まれる。
【0040】
会社コードデータ領域には、各会社を特定するための識別子に関するデータが記録される。
決算期データ領域には、この会社において実績を登録した決算期を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0041】
実績値データ領域には、この会社におけるこの決算期の業績の実績値に関するデータが記録される。
更新日時データ領域には、この実績値が取引所サーバ12において発表された年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0042】
コンセンサス予想データ記憶部25には、図2(d)に示すように、コンセンサス予想に関するコンセンサス予想レコード250が記憶されている。このコンセンサス予想レコード250は、会社が実績値を発表した場合に生成され、アナリスト予想レコード220が更新された場合にアナリスト予想値が記録される。このコンセンサス予想レコード250には、会社コード、決算期、コンセンサス予想値及び更新日時に関するデータが含まれる。
【0043】
会社コードデータ領域には、アナリストによって業績が予想された各会社を特定するための識別子に関するデータが記録される。
決算期データ領域には、この会社における業績を予想した決算期を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0044】
コンセンサス予想値データ領域には、この会社の業績について各アナリストが予想した予想値の平均値に関するデータが記録される。
更新日時データ領域には、コンセンサス予想値が記録された年月日及び時刻に関するデータが記録される。
【0045】
次に、以上のように構成されたシステムを用いて、業績予想情報を提供する処理を行なう手順を、図3に従って説明する。本実施形態の情報提供サーバ20の制御部21は、会社発表更新処理、アナリスト予想更新処理及び予想情報出力処理を独立して行なう。ここでは、各処理について、この順番で説明する。
【0046】
(会社発表更新処理)
まず、会社発表更新処理について、図3(a)を用いて説明する。この会社発表更新処理は定期的に行なわれる。
【0047】
情報提供サーバ20の制御部21は、会社発表の検索処理を実行する(ステップS1−1)。ここでは、制御部21の発表情報取得手段211は、検索対象となる会社の会社コードを順次、特定する。そして、取引所サーバ12において、この会社コードに関連付けられて業績に関する情報(業績予想値又は実績値)が新たに公開されているか否かの判断を繰り返して実行する。
【0048】
具体的には、情報提供サーバ20の制御部21は、取引所サーバ12において検索対象となる会社コードに関連付けられた最新の決算期における実績値を取得する。更に、取引所サーバ12に会社予想値が記録されている場合には、情報提供サーバ20の制御部21は、取引所サーバ12においてこの会社コードに関連付けられた最新の決算期における会社予想値を取得する。
【0049】
そして、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社発表があるか否かを判断する(ステップS1−2)。ここで、制御部21は、実績値及び会社予想値の少なくとも一方が新しく発表されたか否かを判断する。以下、実績値を取得した場合、会社実績値を取得した場合の順番に説明する。
【0050】
実績値を取得した場合、まず、制御部21の発表情報取得手段211は、取引所サーバ12から取得した実績値の決算期と会社コードが記録された会社実績レコード240を会社実績データ記憶部24において検索する。
【0051】
ここで、該当する会社実績レコード240が抽出できた場合には、制御部21の発表情報取得手段211は、このうち、最新のレコードの更新日時と、取引所サーバ12から取得した実績値の更新日時とを比較する。
【0052】
更新日時が一致することにより、実績値についての新たな会社発表はないと判断した場合(ステップS1−2において「NO」の場合)、情報提供サーバ20の制御部21は、会社発表の検索処理を続行する(ステップS1−1)。すなわち、他の会社コードの会社を検索対象として、取引所サーバ12において新たな会社発表があるか否かを判断する。
【0053】
会社予想値を取得した場合には、上述した実績値を取得した場合と同様な処理を実行する。具体的には、会社予想値を取得した場合、制御部21は、取引所サーバ12から取得した会社予想値の決算期と会社コードが記録された会社予想レコード230を会社予想データ記憶部23において検索する。ここで、該当する会社予想レコード230が抽出できた場合には、制御部21は、このうち、最新のレコードの更新日時が、取引所サーバ12から取得した会社予想値の更新日時と一致する場合には、会社予想値についての新たな会社発表はないと判断する(ステップS1−2において「NO」)。
【0054】
また、上述の処理において取得した実績値や会社実績値に対応する会社実績レコード240や会社予想レコード230が抽出できない場合又は更新日時が一致しない場合には、制御部21の発表情報取得手段211は、この会社コードの会社では新たな発表があると判断する。この場合(ステップS1−2において「YES」の場合)、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社実績・会社予想の記録処理を実行する(ステップS1−3)。ここで、実績値について新たな発表がある場合には、制御部21の予想管理手段212は、会社コード、決算期及び実績値を設定した会社実績レコード240を生成して、会社実績データ記憶部24に記録する。更に、予想管理手段212は、この会社実績レコード240に、取引所サーバ12から取得した実績値の更新日時を含める。
【0055】
更に、会社予想値について新たな発表がある場合には、制御部21の予想管理手段212は、会社コード、決算期及び会社予想値を設定した会社予想レコード230を生成して、会社予想データ記憶部23に記録する。そして、予想管理手段212は、この会社予想レコード230に、取引所サーバ12から取得した会社予想値に関連付けられた更新日時を記録する。
【0056】
次に、情報提供サーバ20の制御部21は、アナリスト予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4)。ここで、制御部21は、まず、予想決算期のコンセンサス予想レコード250がコンセンサス予想データ記憶部25に記録されているか否かを判断する。具体的には、制御部21の予想管理手段212は、会社予想値を新たに取得した場合には、この会社予想値における決算期を予想決算期として特定する。なお、会社予想値を新たに取得せず実績値のみを新たに取得した場合には、この実績値の決算期の次の決算期を予想決算期として特定する。
【0057】
次に、制御部21の予想管理手段212は、会社コード及び予想決算期が記録されたコンセンサス予想レコード250をコンセンサス予想データ記憶部25において検索する。
ここで、該当するコンセンサス予想レコード250を抽出した場合には、制御部21の予想管理手段212は、このコンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値のデータ領域を空欄にする。更に、予想管理手段212は、現在の年月日及び時刻を、このコンセンサス予想レコード250の更新日時データ領域に記録する。
【0058】
一方、該当するコンセンサス予想レコード250を抽出しなかった場合には、制御部21の予想管理手段212は、会社コードと予想決算期とを設定したコンセンサス予想レコード250を生成してコンセンサス予想データ記憶部25に記録する。更に、予想管理手段212は、現在の年月日及び時刻を、このコンセンサス予想レコード250の更新日時データ領域に記録する。この場合、このコンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値データ領域には、データが記録されていない。なお、新たな会社実績の発表があった場合には、制御部21の予想管理手段212は、予想決算期を含む会社予想レコード230が記録されていないため、必ず新たなコンセンサス予想レコード250を生成して記録する。
そして、情報提供サーバ20の制御部21は、会社発表の検索処理を続行する(ステップS1−1)。
【0059】
(アナリスト予想更新処理)
次に、アナリスト予想更新処理について、図3(b)を用いて説明する。このアナリスト予想更新処理は定期的に行なわれる。
【0060】
まず、情報提供サーバ20の制御部21は、各アナリストが予想したアナリスト予想値の取得処理を実行する(ステップS2−1)。ここで、制御部21の予想管理手段212は、アナリスト情報管理サーバ30において、アナリスト予想情報を順次、特定する。このアナリスト予想情報には、アナリストコード、会社コード、決算期及びアナリスト予想値が含まれる。
【0061】
そして、情報提供サーバ20の制御部21は、取得したアナリスト予想情報に対応するアナリスト予想レコード220が記録されているか否かを判断する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21の予想管理手段212は、取得したアナリスト予想情報のアナリストコード、会社コード及び決算期が記録されたアナリスト予想レコード220をアナリスト予想データ記憶部22において検索する。
【0062】
ここで、アナリスト予想情報に対応するアナリスト予想レコード220を抽出できない場合(ステップS2−2において「NO」の場合)には、制御部21の予想管理手段212は、後述するアナリスト予想の記録処理を実行する(ステップS2−4)。
【0063】
一方、該当するアナリスト予想レコード220を抽出した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、アナリスト予想の更新日時が一致するか否かを判断する(ステップS2−3)。ここで、制御部21の予想管理手段212は、アナリスト予想情報の更新日時と、抽出したアナリスト予想レコード220の更新日時とを比較する。
【0064】
更新日時が一致している場合(ステップS2−3において「YES」の場合)には、予想管理手段212は、他のアナリスト予想情報を特定して、ステップS2−1以降の処理を繰り返して実行する。
【0065】
一方、更新日時が一致していない場合(ステップS2−3において「NO」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、アナリスト予想の記録処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の予想管理手段212は、取得したアナリスト予想情報のアナリストコード、会社コード、決算期及びアナリスト予想値を設定したアナリスト予想レコード220を生成して、アナリスト予想データ記憶部22に記録する。更に、予想管理手段212は、このアナリスト予想レコード220の更新日時データ領域に、現在の年月日及び時刻を記録する。
【0066】
更に、予想管理手段212は、コンセンサス予想値を算出する。ここでは、まず、予想管理手段212は、この会社コードが記録された会社予想レコード230の中で、更新日時が最も遅いレコードを会社予想データ記憶部23から抽出する。更に、予想管理手段212は、この会社コードが記録された会社実績レコード240の中で、更新日時が最も遅いレコードを会社実績データ記憶部24から抽出する。更に、予想管理手段は、抽出した会社予想レコード230の更新日時と、会社実績レコード240の更新日時との中で、遅い更新日時(直近更新日)を特定する。
【0067】
次に、予想管理手段212は、この会社コードが記録されたアナリスト予想レコード220の中で、特定した直近更新日時より後の更新日時が記録されたレコードをアナリスト予想データ記憶部22から抽出する。なお、同じアナリストコードを含むレコードを複数、抽出した場合には、更新日時が最新のレコードを抽出する。そして、予想管理手段212は、抽出したアナリスト予想値を合計し、これをアナリスト予想情報の数で除算することにより、平均値(コンセンサス予想値)を算出する。そして、制御部21の予想管理手段212は、算出したコンセンサス予想値を、このコンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値データ領域に記録する。
【0068】
(予想情報出力処理)
次に、利用者端末11から予想情報の提供の要求があった場合に行われる予想情報出力処理について、図3(c)を用いて説明する。
【0069】
この場合、利用者の操作に応じて利用者端末11は、情報提供サーバ20に対して業績予想に関する情報の送信要求を送信する。本実施形態では、この送信要求には、利用者が業績予想について情報の提供を受けたい会社の会社コードが含まれている。これにより、情報提供サーバ20の制御部21の端末通信手段215は、業績予想に関する情報の送信要求の受信処理を実行する(ステップS3−1)。
【0070】
まず、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想の検索処理を実行する(
ステップS3−2)。具体的には、制御部21の提供情報特定手段216は、この会社コードと予想決算期とが記録されているコンセンサス予想レコード250をコンセンサス予想データ記憶部25から抽出する。
【0071】
次に、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想の登録があるか否かを判断する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21は、コンセンサス予想レコード250にコンセンサス予想値が記録されている場合には、コンセンサス予想が登録されていると判断し、コンセンサス予想値が記録されていない場合には、コンセンサス予想が登録されていないと判断する。
【0072】
ここで、コンセンサス予想が登録されている場合(ステップS3−3において「YES」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、このコンセンサス予想値を、業績予想値として特定する。そして、情報提供サーバ20の制御部21は、後述する情報出力処理を実行する(ステップS3−7)。
【0073】
一方、コンセンサス予想が登録されていない場合(ステップS3−3において「NO」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、会社予想の検索処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の提供情報特定手段216は、この会社コードと、予想決算期とが記録されている会社予想レコード230を会社予想データ記憶部23において検索する。
【0074】
次に、情報提供サーバ20の制御部21は、会社予想の登録があるか否かを判断する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21は、会社予想レコード230を抽出した場合には、会社予想が登録されていると判断し、会社予想レコード230を抽出しなかった場合には、会社予想が登録されていないと判断する。
【0075】
ここで、会社予想が登録されている場合(ステップS3−5において「YES」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、この会社予想レコード230の会社予想値を、業績予想値として特定する。そして、情報提供サーバ20の制御部21は、後述する情報出力処理を実行する(ステップS3−7)。
【0076】
一方、会社予想が登録されていない場合(ステップS3−5において「NO」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、前期実績の取得処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の提供情報特定手段216は、会社コードと、予想決算期の直前の決算期(実績決算期)とが記録されている会社実績レコード240を会社実績データ記憶部24から抽出する。提供情報特定手段216は、抽出した会社実績レコード240の実績値(前期実績値)を、業績予想値として特定する。
【0077】
そして、情報提供サーバ20の制御部21は、情報出力処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の端末通信手段215は、会社コードとともに、特定した業績予想値を利用者端末11に送信する。利用者端末11は、この会社の業績予想値として、コンセンサス予想値、会社予想値又は前期実績値のいずれかを取得する。以上により、予想情報出力処理が終了する。
【0078】
<会社発表の前後において提供される業績予想値の具体例>
次に、上述した予想情報出力処理において、会社発表があった前後において、利用者に提供される情報について説明する。ここでは、会社発表を行なう決算期が2010年3月期であり、この次の決算期が2011年3月期である場合を想定する。更に、5月14日の15時に、2010年3月期の決算発表が行なわれる場合を想定する。
【0079】
(アナリスト予想があり、会社予想があるケース)
会社発表(5月14日15時)より前は、情報提供サーバ20の制御部21は、ステップS3−3において「YES」と判断するため、2010年3月期の業績予想として、コンセンサス予想値を利用者端末11に送信する。
【0080】
そして、会社発表があった場合には、これ以降に、情報提供サーバ20の制御部21は、この会社発表を検出する(ステップS1−2において「YES」の場合)。この場合、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社実績・会社予想の記録処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、制御部21は、発表があった決算期(2010年3月期)と実績値と会社コードを含む会社実績レコード240を生成して会社実績データ記憶部24に記録する。更に、制御部21は、次の決算期(2011年3月期)と会社予想値と会社コードを含む会社予想レコード230を生成して会社予想データ記憶部23に記録する。
【0081】
そして、制御部21は、アナリスト予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4)。この場合、コンセンサス予想データ記憶部25には、次の決算期(2011年3月期)が設定されコンセンサス予想値が空欄のコンセンサス予想レコード250が記憶される。
【0082】
その後、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値が記録されておらず(ステップS3−3において「NO」)、会社予想値が記録されている(ステップS3−5において「YES」)と判断する。このため、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想値として、会社予想値を利用者端末11に送信する。
【0083】
その後、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想を最初のアナリストが予想した場合(ステップS2−3において「NO」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、このアナリスト予想の記録処理を実行する(ステップS2−4)。この場合、制御部21は、コンセンサス予想値を算出してコンセンサス予想レコード250に記録する。このため、これ以降、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、このコンセンサス予想レコード250に記録されたコンセンサス予想値を、この業績予想値として利用者端末11に送信する(ステップS3−3において「YES」)。なお、アナリスト予想が更新されるたびに、アナリスト予想の記録処理(ステップS2−4)が行なわれて、更新されたコンセンサス予想が利用者端末11に送信される。
【0084】
(アナリスト予想があり、会社予想がないケース)
会社発表(5月14日15時)より前は、情報提供サーバ20の制御部21は、上述したケースと同様に、2010年3月期の業績予想として、コンセンサス予想値を利用者端末に送信する。
【0085】
そして、会社発表があった場合には、これ以降に、情報提供サーバ20の制御部21は、この会社発表を検出する(ステップS1−2において「YES」の場合)。この場合、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社実績・会社予想の記録処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、制御部21は、発表があった決算期(2010年3月期)と実績値と会社コードを含む会社実績レコード240を生成して会社実績データ記憶部24に記録する。
【0086】
そして、制御部21は、アナリスト予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4
)。この場合、コンセンサス予想データ記憶部25には、次の決算期(2011年3月期)が設定されコンセンサス予想値が空欄のコンセンサス予想レコード250が記憶される。
【0087】
その後、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値及び会社予想が記録されていないと判断し(ステップS3−5において「NO」)、前期実績の取得処理を実行する(ステップS3−6)。このため、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想として、前期実績値を利用者端末11に送信する。
【0088】
その後、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想を最初のアナリストが予想した場合(ステップS2−3において「NO」の場合)には、情報提供サーバ20の制御部21は、このアナリスト予想の記録処理を実行する(ステップS2−4)。この場合、制御部21は、コンセンサス予想値を算出してコンセンサス予想レコード250に記録する。このため、これ以降、次の会社発表があるまで、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、このコンセンサス予想レコード250に記録されたコンセンサス予想値を、この業績予想値として利用者端末11に送信する(ステップS3−3において「YES」)。
【0089】
(アナリスト予想がなく、会社予想があるケース)
会社発表(5月14日15時)より前は、情報提供サーバ20の制御部21は、ステップS3−5において「YES」と判断するため、2010年3月期の業績予想として、会社予想値を利用者端末11に送信する。
【0090】
そして、会社発表があった場合には、これ以降に、情報提供サーバ20の制御部21は、この会社発表を検出する(ステップS1−2において「YES」の場合)。この場合、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社実績・会社予想の記録処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、制御部21は、発表があった決算期(2010年3月期)と実績値と会社コードを含む会社実績レコード240を生成して会社実績データ記憶部24に記録する。更に、制御部21は、次の決算期(2011年3月期)と会社予想値と会社コードを含む会社予想レコード230を生成して会社予想データ記憶部23に記録する。
【0091】
そして、制御部21は、アナリスト予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4)。この場合、コンセンサス予想データ記憶部25には、次の決算期(2011年3月期)が設定されコンセンサス予想値が空欄のコンセンサス予想レコード250が記憶される。
【0092】
その後、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値が記録されておらず(ステップS3−3において「NO」)、会社予想値が記録されている(ステップS3−5において「YES」)と判断する。このため、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想値として、会社予想値を利用者端末11に送信する。
【0093】
そして、このケースの場合、アナリスト予想がないので、コンセンサス予想レコード250にはデータが記録されることがない。従って、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想値として、会社予想値を利用者端末11に送信する。
【0094】
(アナリスト予想がなく、会社予想もないケース)
会社発表(5月14日15時)より前は、情報提供サーバ20の制御部21は、ステップS3−5において「NO」と判断するため、2010年3月期の業績予想として、前期実績値を利用者端末11に送信する。
【0095】
そして、会社発表があった場合には、これ以降に、情報提供サーバ20の制御部21は、この会社発表を検出する(ステップS1−2において「YES」の場合)。この場合、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社実績・会社予想の記録処理を実行する(ステップS1−3)。ここでは、制御部21は、発表があった決算期(2010年3月期)と実績値と会社コードを含む会社実績レコード240を生成して会社実績データ記憶部24に記録する。
【0096】
そして、制御部21は、アナリスト予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4)。この場合、コンセンサス予想データ記憶部25には、次の決算期(2011年3月期)が設定されコンセンサス予想値が空欄のコンセンサス予想レコード250が記憶される。
【0097】
その後、利用者端末11から業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合(ステップS3−1)には、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想レコード250のコンセンサス予想値及び会社予想が記録されていないと判断し(ステップS3−5において「NO」)、前期実績の取得処理を実行する(ステップS3−6)。このため、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想として、前期実績値(2010年3月期の実績値)を利用者端末11に送信する。
【0098】
そして、このケースの場合、アナリスト予想がないので、コンセンサス予想レコード250にはデータが記録されることがない。従って、制御部21は、この会社の次の決算期(2011年3月期)の業績予想値として、前期実績値を利用者端末11に送信する。
【0099】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、情報提供サーバ20の制御部21は、業績予想に関する情報の送信要求を受信した場合、コンセンサス予想の検索処理を行なう(ステップS3−2)。コンセンサス予想が登録されている場合(ステップS3−3において「YES」の場合)は、このコンセンサス予想を、会社の業績予想値として特定して利用者端末11に送信する。コンセンサス予想が登録されていない場合(ステップS3−3において「NO」の場合)には、制御部21は、会社予想の検索処理を実行する。会社予想が登録されている場合(ステップS3−5において「YES」の場合)には、制御部21は、この会社予想を、会社の業績予想値として利用者端末11に提供する。このため、アナリストによる業績予想が行なわれていない会社についての業績予想値で会社予想がある場合には、この会社予想を利用者に提供することができるので、より多くの会社の業績予想を提供することができる。
【0100】
(2) 本実施形態では、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想及び会社予想が登録されていない場合(ステップS3−5において「NO」の場合)には、前期実績の取得処理を実行する(ステップS3−6)。そして、制御部21は、取得した実績値(前期実績値)を、会社の業績予想値として利用者端末11に提供する。このため、アナリストによる業績予想や会社予想がない場合であっても、この会社の前期実績値を提供することにより、その会社の業績を予想するために有用な情報を提供することができる。
【0101】
(3) 本実施形態では、情報提供サーバ20の制御部21は、新たな会社発表があった場合(ステップS1−2において「YES」の場合)には、コンセンサス予想のリセット処理を実行する(ステップS1−4)。アナリストによる業績予想は、会社が発表した業績に関する情報に応じて変更されることが多い。このため、制御部21は、会社発表があった直後は、アナリストによる業績予想をリセットして提供しない。この代わりに、会社が発表した業績に関する情報を利用者に提供する。そして、会社が発表した後に、アナリストによる業績予想が出された場合には、制御部21は、この業績予想を利用者に提供する。この場合には、会社発表の内容に応じてアナリストが新たに業績予想を変更しているので、より的確な業績予想を利用者に提供することができる。従って、利用者に情報を提供する時点で、より新しくてより適切な業績予想を提供することができる。
【0102】
(4) 本実施形態では、情報提供サーバ20の制御部21は、アナリストによる業績予想として、コンセンサス予想値を利用者端末11に提供する。このコンセンサス予想値は、アナリスト予想値の平均値である。このため、複数のアナリストによって業績予想が行なわれている場合には、これらを考慮した業績予想を利用者に提供することができる。
【0103】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態の情報提供サーバ20の制御部21は、予想情報出力処理においてコンセンサス予想の登録がない場合に、会社予想の検索処理を実行した(ステップS3−4)。これに限らず、会社予想の検索処理は、コンセンサス予想の登録の有無にかかわらず行なってもよい。例えば、制御部21は、会社予想の検索処理を実行した後、コンセンサス予想の検索処理を行なってもよい。この場合には、コンセンサス予想の登録がない場合には、会社予想を提供し、コンセンサス予想の登録もある場合には、コンセンサス予想とともに会社予想も提供することができる。
【0104】
・ 上記実施形態においては、アナリストの業績予想としてコンセンサス予想値を利用者に提供した。更に、このコンセンサス予想値としてアナリスト予想値の平均値を用いた。利用者に提供するアナリストの業績予想は、これに限られず、他のアナリスト予想値の統計値であってもよい。例えば、予想の正確さに応じて重み付けを行なって統計値を算出してもよい。具体的には、アナリストの評価を行なうことによりアナリストに対してランキングを付して、ランキングが高いアナリストの予想値は重み付けが高くなるように統計値を算出する。
【0105】
ここで、アナリストの評価は、会社予想値や会社実績と、アナリスト予想値との乖離度によって行なってもよい。具体的には、図4(a)に示すようにアナリスト評価処理において、まず、制御部21は、アナリスト予想値及び会社発表の取得処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21は、この会社の会社コード及び直近の決算期が記録されたアナリスト予想レコード220、会社予想レコード230及び会社実績レコード240を取得する。
【0106】
次に、制御部21は、アナリスト予想値の乖離度の算出処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21は、各アナリスト予想値と実績値との差分を実績値で除算して乖離度を算出する。
【0107】
そして、制御部21は、この乖離度に応じたアナリストのランキング処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21は、乖離度が小さいアナリスト予想値を算出したアナリスト順に、高いランキングを付与する。更に、制御部21は、ランキング情報の蓄積処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21は、付与したランキング及びアナリストコードを、アナリスト評価データ記憶部に記憶する。そして、制御部21は、利用者端末11に会社の業績予想値を送信する場合には、このアナリストの
予想値と、このアナリストのランキングとを合わせて送信してもよい。これにより、利用者に対して、各アナリスト予想値とともに、予想の確からしさを判断する情報を提供することができる。
【0108】
・ 上記実施形態においては、情報提供サーバ20の制御部21は、アナリスト予想としてコンセンサス予想値を利用者端末11に提供した。利用者端末11に提供される情報はコンセンサス予想値に限定されるものではなく、各アナリストが予想したアナリスト予想値を利用者端末11に提供してもよい。この場合、会社発表更新処理のアナリスト予想のリセット処理(ステップS1−4)において、制御部21は、まず、この会社の会社コードと予想決算期とが記録されたアナリスト予想レコード220を検索する。ここで、該当するアナリスト予想レコード220がある場合には、制御部21は、このレコードのアナリスト予想値を削除するとともに、このレコードの更新日時を現在日時にする。
【0109】
その後、制御部21は、予想情報出力処理のコンセンサス予想の検索処理(ステップS3−2)の代わりに、アナリスト予想値の検索処理を実行する。この検索処理においては、制御部21は、この会社コード及び予想決算期が記録されたアナリスト予想レコード220を検索する。
【0110】
該当するアナリスト予想レコード220を抽出した場合には、制御部21は、抽出したすべてのアナリスト予想レコード220のアナリスト予想値を、業績予想値として特定する。一方、該当するアナリスト予想レコード220を抽出しなかった場合には、制御部21は、ステップS3−4以降の処理を実行する。
【0111】
また、各アナリストが予想したアナリスト予想値を提供する場合には、各アナリスト予想値とともに、各アナリストに関する評価情報(各アナリストの予想値の分野別の正確さや予想傾向等)を利用者端末11に提供してもよい。ここで、このアナリストの評価情報は、例えば、図4(b)に示すように、アナリストの評価情報生成処理によって生成する。この場合、情報提供サーバ20の制御部21は、各アナリストの評価情報を記憶するアナリスト評価情報記憶手段を備えている。
【0112】
この処理において、制御部21は、まず、各アナリスト予想値及び発表された実績値の取得処理を実行する(ステップS5−1)。ここで、予め定めた期間(例えば1年や半年)のアナリスト予想値や実績値を取得する。
【0113】
そして、制御部21は、アナリスト予想の評価処理を実行する(ステップS5−2)。具体的には、ステップS4−2と同様にして、制御部21は、各アナリスト予想値と実績値との差分を実績値で除算して乖離度を算出する。
【0114】
更に、制御部21は、業績の方向性を予想し株価にインパクトを与えたアナリストを特定する。具体的には、制御部21は、ステップS5−1において取得したアナリスト予想レコード220毎に算出した乖離度と予め定められた基準乖離度とを比較する。そして、制御部21は、基準乖離度以上の乖離度を算出したが記録されたアナリスト予想レコード220を、レコードにおいて検索する。
【0115】
該当するアナリスト予想値を抽出した場合には、制御部21は、このアナリスト予想値の中から、この決算期における会社の実績値と予め定めた所定範囲内で一致しているアナリスト予想値を検索する。該当するアナリスト値が抽出できた場合には、制御部21は、このアナリスト予想値のアナリスト予想レコード220に含まれるアナリストコードを、優良アナリストとしてアナリスト評価記憶部に記録する。
【0116】
次に、制御部21は、各アナリスト予想値と実績値とから各アナリストの予想傾向分析処理を実行する(ステップS5−3)。具体的には、制御部21は、アナリスト別に、業績を予想した会社の業種別に乖離度の平均値を算出することにより、各アナリストの予想傾向を算出する。
【0117】
次に、制御部21は、アナリスト評価情報の蓄積処理を実行する(ステップS5−4)。具体的には、制御部21は、アナリスト評価情報をアナリストコードに関連付けて、前記アナリスト評価情報記憶手段に記憶する。このアナリスト評価情報には、優良アナリストの特定情報、各アナリストの予想傾向を含める。
【0118】
そして、制御部21は、予想情報出力処理においてアナリスト予想レコード220を抽出した場合には、抽出したアナリスト予想レコード220のアナリストコードに関連付けらアナリスト評価情報をアナリスト評価情報記憶手段から抽出し、各アナリスト予想とともに利用者端末11に送信する。この場合にも、利用者に対して、各アナリスト予想値とともに確からしさを判断する情報を提供することができる。
【0119】
・ 上記実施形態においては、情報提供サーバ20の制御部21は、会社発表は取引所サーバ12から取得した。これに限らず、会社発表は、ニュースサイトや各会社が所有する会社サーバから取得してもよい。各会社の会社サーバから取得する場合には、情報提供サーバ20の制御部21は、会社サーバを特定する情報(URL等)と会社コードとを関連付けた情報を記憶する。そして、制御部21は、この情報を用いて検索対象を順次、特定することにより、各会社サーバから個別に会社発表を取得することができる。
【0120】
・ 上記実施形態においては、情報提供サーバ20の制御部21は、会社予測値が登録されていない場合には、会社の前期実績を取得して(ステップS3−7)、利用者端末11に提供した。利用者端末11に提供する会社実績は、前期の実績のみに限らず、過去の所定期間の実績を利用者端末11に送信してもよい。
【0121】
・ 上記実施形態においては、情報提供サーバ20の制御部21は、コンセンサス予想値を算出した。これに限らず、コンセンサス予想値は、外部のコンセンサス予想提供システムで算出した値を用いてもよい。例えば、情報提供サーバ20の制御部21が、このシステムから定期的にコンセンサス予想値を取得して、コンセンサス予想データ記憶部25に記憶してもよい。
【符号の説明】
【0122】
11…利用者端末、12…取引所サーバ、20…情報提供サーバ、21…制御部、22…アナリスト予想データ記憶部、23…会社予想データ記憶部、24…会社実績データ記憶部、25…コンセンサス予想データ記憶部、30…アナリスト情報管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、
各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、
利用者端末に接続された制御手段とを備え、業績予想の情報を提供する情報提供システムであって、
前記制御手段が、
利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する手段と、
前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する手段と、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段と、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段と、
前記特定した出力情報を利用者端末に送信する手段と
を備えたことを特徴とする情報提供システム。
【請求項2】
前記制御手段が、
各会社が発表した新たな業績に関する情報を取得して、この情報を会社識別子とともに前記第2情報記憶手段に記憶する手段と、
前記第2情報記憶手段に新たな情報が記録された場合、前記第1情報記憶手段において、この会社識別子に関連付けられた業績予想をリセットする手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記第2情報記憶手段には、各会社の会社識別子に関連付けて各会社の業績の実績値が記憶されており、
前記制御手段が、前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できない場合には、前記第2情報記憶手段に記憶された実績値を出力情報として特定する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記第1情報記憶手段には、複数のアナリストによる業績予想の統計値によって算出した業績予想が記録されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
【請求項5】
各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、
各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、
利用者端末に接続された制御手段とを備えた情報提供システムを用いて、業績予想の情報を提供する情報提供方法であって、
前記制御手段が、
利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する段階と、
前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する段階と、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する段階と、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する段階と、
前記特定した出力情報を利用者端末に送信する段階と
を実行することを特徴とする情報提供方法。
【請求項6】
各会社の会社識別子に関連付けてアナリストによる業績予想を記憶した第1情報記憶手段と、
各会社の会社識別子に関連付けて各会社が発表した業績予想を記録した第2情報記憶手段と、
利用者端末に接続された制御手段とを備えた情報提供システムを用いて、業績予想の情報を提供する情報提供プログラムであって、
前記制御手段を、
利用者端末から会社識別子を含む情報要求を受信する手段、
前記情報要求の会社識別子に関連付けられた業績予想を前記第1情報記憶手段及び前記第2情報記憶手段において検索する手段、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段、
前記第1情報記憶手段において業績予想を取得できず、前記第2情報記憶手段において業績予想を取得できた場合には、この業績予想を出力情報として特定する手段、及び
前記特定した出力情報を利用者端末に送信する手段
として機能させることを特徴とする情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−232954(P2011−232954A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102562(P2010−102562)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(593230039)株式会社QUICK (7)