情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラム
【課題】近傍範囲内に複数の情報ディスプレイが存在する場合に、1つの情報ディスプレイのみを目立たせる。
【解決手段】情報提示装置1であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置2の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段12と、再生順に従って複数のディスプレイ装置2の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置2を特定し、特定したディスプレイ装置2にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置2にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、順番に1つのディスプレイ装置2でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段13とを有する。
【解決手段】情報提示装置1であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置2の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段12と、再生順に従って複数のディスプレイ装置2の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置2を特定し、特定したディスプレイ装置2にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置2にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、順番に1つのディスプレイ装置2でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段13とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスプレイ装置で情報を提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売やサービス提供を行う商業空間において広告や販売促進を行うため、または、公共空間において情報提供を行うために、テレビ型のディスプレイを情報ディスプレイとして利用するデジタルサイネージが知られている。
【0003】
また、商品の近傍などに設置して、価格などを提示するための情報ディスプレイとして電子ポップなどが存在する。
【0004】
また、特許文献1および非特許文献1、2には、情報ディスプレイ周辺の状況に反応して提示内容を変化させる情報ディスプレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−277097号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「人の位置移動による状況即応型デジタルサイネージインタフェースの構成法」、情報処理学会マルチメディア通信と分散処理ワークショップ、2008年12月
【非特許文献2】「近傍の状況を反映するディスプレイ「リフレクトアド」」、情報処理学会インタラクション2011、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報ディスプレイは、薄型かつ低価格になり、1つの空間に対して設置される情報ディスプレイの数が増加しているため、情報ディスプレイが相互に干渉し合うようになってきている。
【0008】
例えば、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合、それぞれが同時にコンテンツの再生を行うと、ある情報ディスプレイの音声を聞いているときに、隣の情報ディスプレイの音が大きくて聞き取れなくなるという問題がある。また、全体の騒音レベルが上がり、特定の情報ディスプレイの音声が相対的に聞こえにくくなってしまう。
【0009】
このように、お客様(視聴者、ユーザ)の視界に多くの情報ディスプレイがあると、相互に干渉してかえって印象に残らなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合に、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、情報提示装置であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段と、前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段と、を有する。
【0012】
また、本発明は、ディスプレイ装置であって、近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出手段と、前記検知手段が第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定手段と、前記再生タイミング決定手段が再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生手段と、を有し、前記再生タイミング決定手段は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。
【0013】
また、本発明は、情報提示装置が行う情報提示方法であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定ステップと、前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御ステップと、を行う。
【0014】
また、本発明は、ディスプレイ装置が行う情報提示方法であって、近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出ステップと、前記検知ステップで第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定ステップと、前記再生タイミング決定ステップで再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生ステップと、を行い、前記再生タイミング決定ステップは、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。
【0015】
また、本発明は、前記情報提示方法をコンピュータに実行させるための情報提示プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合に、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態の処理概要を示す図である。
【図3】第1の実施形態のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図5】第2の実施形態(処理1)の処理概要を示す図である。
【図6】第2の実施形態(処理1)のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態(処理2)の処理概要を示す図である。
【図8】第2の実施形態(処理2)のフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図10】第3の実施形態の処理概要を示す図である。
【図11】第3の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
ショッピングモールや駅構内などの情報ディスプレイ(デジタルサイネージ)は、通常壁面に設置されている。また、売り場の情報ディスプレイは、商品棚や、壁や、販売台に設置されており、近傍には商品が配置されている。
【0020】
通常、お客様(視聴者、ユーザ)が通路などを進行する場合は、これらの情報ディスプレイを身体横に見ながら移動し、必要があれば立ち止まって情報ディスプレイに正対してその内容を見る。しかしながら、複数の情報ディスプレイが近傍範囲にある場合、情報ディスプレイが相互に干渉し合い、所望の情報ディスプレイの情報に集中できないという場合がある。本実施形態では、ある時点においては、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示を行う。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは、サーバ1(情報提示装置)と、近傍範囲に設置された複数の情報ディスプレイ2(ディスプレイ装置)とを備える。サーバ1と各情報ディスプレイ2とは、ネットワークにより接続されている。
【0022】
図示するサーバ1は、ディスプレイ管理部11と、再生順決定部12と、再生制御部13と、記憶部14とを備える。
【0023】
ディスプレイ管理部11は、各情報ディスプレイ2から送信されるサーバ1への接続要求および切断要求に基づいて、記憶部14に記憶される登録リストを更新する。登録リストには、サーバ1に接続されている情報ディスプレイ2が登録される。
【0024】
再生順決定部12は、近傍に設置された複数の情報ディスプレイ2のコンテンツの再生順を決定する。再生制御部13は、再生順決定部12が決定した再生順に従って、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2でのみでコンテンツを再生させる。
【0025】
情報ディスプレイ2は、サーバ1の指示に従って、コンテンツの再生を行う再生部21を有する。情報ディスプレイ2が再生・提示するコンテンツとしては、静止画や動画などがある。コンテンツは、各情報ディスプレイ2の図示しない記憶部に蓄積されている場合や、ネットワークを経由して配信され場合がある。動画のコンテンツがネットワークを経由して配信される場合、情報ディスプレイ2はストリーミング再生する。
【0026】
コンテンツは、同じ情報(静止画)が継続して提示される場合や、一定長の動画映像が繰り返されたりするが、蓄積メモリを差し替えたり、ネットワークを介して新たなコンテンツが配信されることで書き換え可能である。
【0027】
以上説明したサーバ1および情報ディスプレイ2は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、サーバ1および情報ディスプレイ2の各機能は、サーバ1用のプログラムの場合はサーバ1のCPUが、そして、情報ディスプレイ2用のプログラムの場合は情報ディスプレイ2のCPUが、それぞれ実行することにより実現される。
【0028】
また、サーバ1用のプログラムおよび情報ディスプレイ2用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0029】
次に、本実施形態の処理について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態の情報提示方法の概要を示す説明図である。本実施形態では、サーバ1が近傍範囲に存在する複数の情報ディスプレイ2の再生順を決定し、決定した再生順で1つの情報ディスプレイ(図示する例では「B」)を選択し、選択した情報ディスプレイのみでコンテンツの再生を行う。選択した情報ディスプレイ(B)が再生を行っている間、サーバ1は、他の全ての情報ディスプレイ(図示する例では「A」)を停止モードまたは静粛モードに制御する。
【0031】
停止モードは、コンテンツの再生を停止し、情報ディスプレイの画面をオフにする。静粛モードは、映像のみのコンテンツの再生を行い、音声の出力(訴求)は行わない。なお、静粛モードでは、映像を目立たない背景調(画像全体のトーンを落とす、白っぽい画像に変更するなど)に変更して、映像のみのコンテンツ再生を行うこととしてもよい。
【0032】
情報ディスプレイ(B)は、コンテンツの再生が終了すると、終了通知をサーバ1に送信する。サーバ1は、再生順リストの次の情報ディスプレイに再生を指示し、次の情報ディスプレイがコンテンツを再生する。これを繰り返すことにより、本実施形態では、常に1台のみの情報ディスプレイが、コンテンツを再生する。
【0033】
図3は、図2の処理のフローチャートである。
【0034】
なお、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2の各々は、その存否をサーバ1に登録する。すなわち、情報ディスプレイ2は、起動時に接続要求をサーバに送信し、停止時には、切断要求をサーバ1に送信する。
【0035】
サーバ1のディスプレイ管理部11は、接続要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を行うとともに、記憶部14の登録リストに当該情報ディスプレイ2のID(識別情報)を登録する。接続要求には、送信元の情報ディスプレイ2のIDが含まれている。
【0036】
また、ディスプレイ管理部11は、切断要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を切断するとともに、記憶部14の登録リストから当該情報ディスプレイ2のIDを削除する。なお、切断要求には、情報ディスプレイ2のIDが含まれている。
【0037】
これにより、登録リストには、サーバ1と実際に接続状態にある情報ディスプレイ2が登録される。
【0038】
そして、再生順決定部12は、登録リストに登録された複数の情報ディスプレイ2の中で、コンテンツの再生順を決定し、決定した再生順を登録リストに設定する(S11)。再生順は、各情報ディスプレイ2毎にあらかじめ定められた優先順位に基づいて決定することが考えられる。例えば、各情報ディスプレイ2の優先順位を記憶した優先順位テーブル(不図示)を、サーバ1は備えるものとする。
【0039】
なお、再生順の決定には、ラウンドロビンを用いること、登録リストへの登録順とすること、情報ディスプレイ2の位置を用いることなど様々な方法がある。
【0040】
そして、登録リストに変更がない場合(S12:YES)、再生制御部13は、再生順が設定された登録リストを用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2にコンテンツの再生命令を送信するととも、他の全ての情報ディスプレイ2についてはコンテンツの再生を停止する停止命令またはコンテンツの映像のみを再生する静粛命令を送信する(S13)。
【0041】
これにより、再生命令を受信した情報ディスプレイ2は、コンテンツを再生する。本実施形態では、各情報ディスプレイ2が再生するコンテンツは例えば数秒から数十秒程度に短く区切られており、一回の再生では区切られた短い部分のコンテンツを再生し、その後、他の情報ディスプレイ2に再生の機会を譲るものとする。
【0042】
停止命令または静粛命令が送信された他の情報ディスプレイ2は、コンテンツの再生を行わず画面をオフにする停止モード、またはコンテンツの映像のみを再生する静粛モードとなる。
【0043】
再生命令を受信した情報ディスプレイ2は、コンテンツの再生が終了すると、終了通知をサーバ1に送信する(S14)。
【0044】
サーバ1の再生制御部13は、終了通知を受信すると、登録リストに変更があるか否か、すなわち情報ディスプレイ2の登録または削除が発生したか否かを判別する(S12)。登録リストに変更がない場合(S12:YES)、再生制御部13は、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し(S13)、以降の処理を繰り返し行う。全ての情報ディスプレイ2でコンテンツの再生が一巡したら、1番目(最初)の情報ディスプレイ2に戻るが、その情報ディスプレイ2が再生すべきコンテンツが複数ある場合は、前回の続きとなる内容を再生することにしてもよい。
【0045】
登録リストに変更があった場合(S12:NO)、再生順決定部12は、変更後の登録リストに登録された情報ディスプレイ2の中で、コンテンツの再生順を再決定し、決定した再生順を変更後の登録リストに設定する(S15)。再生制御部13は、変更後の登録リストを用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し(S13)、以降の処理を繰り返し行う。
【0046】
図3の処理を繰り返すことで、本実施形態では、同時には1台のみの情報ディスプレイ2が訴求する状態(静粛モードではないコンテンツの再生をしている状態)をつくることができる。
【0047】
以上説明した本実施形態では、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2を1つのまとまりとして扱い、これらをサーバ1で管理し、ある時点において1つの情報ディスプレイ2のみが目立つようにコンテンツを再生することで、訴求効果を高めることができる。すなわち、1つの情報ディスプレイ2だけで映像とともに音声を鳴らし、他の情報ディスプレイ2を停止または静粛モードとすることで、1つの情報ディスプレイ2を注目させることができる。
【0048】
また、複数の情報ディスプレイ2が存在する空間であっても、比較的静かな空間として演出することができる。また、訴求していない状態の情報ディスプレイ2は停止または静粛モードとなるので、省エネルギーになる。
【0049】
また、1つの情報ディスプレイ2を目立たせることで、顧客満足度を高めたり、商品情報の認知を高めたり、商品の販売の売上を向上したりすることが望める。
【0050】
また、ある1台の情報ディスプレイ2でのコンテンツ再生(訴求)が終了すると、次の情報ディスプレイ2のコンテンツ再生に移ることで、ユーザは、時間さえあれば全ての情報ディスプレイ2が訴求するコンテンツを視聴することができる。
【0051】
また、本実施形態では、各情報ディスプレイ2から送信される接続要求および切断要求にもとづいて、登録リストが自動で更新され、更新された登録リストに基づいて再生順が決定されるため、管理者が個別に再生順を再決定する必要がない。すなわち、情報ディスプレイの数が多く、また情報ディスプレイ2の増減が頻繁に行われる場合であっても、いちいち個別に対応しなくても、全体の状況に適合した情報提示を行うことができる。
【0052】
<第2の実施形態>
本実施形態では、近傍範囲の複数の情報ディスプレイの周囲を観察するために設置されたセンサによって近傍をセンシングしてお客様の位置を検知し、センシング結果に応じて各情報ディスプレイ2を制御(コンテンツ再生、停止、静粛モード)する。
【0053】
図4は、第2の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは、サーバ1と、近傍範囲に設置された複数の情報ディスプレイ2と、複数の情報ディスプレイ2の周囲に存在する人(お客様など)を検知するセンサ3(ビデオカメラ、赤外線人感センサなど)と、を備える。
【0054】
図示するサーバ1は、ディスプレイ管理部11と、再生順決定部12と、再生制御部13と、記憶部14と、ディスプレイ選択部15とを備える。本実施形態のサーバ1は、ディスプレイ選択部15を有する点において、第1の実施形態のサーバ1(図1参照)と異なる。ディスプレイ選択部15は、センサ3が検知した、複数の情報ディスプレイ2の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、人の視界範囲に存在する情報ディスプレイ2を複数のディスプレイ装置の中から選択する。
【0055】
また、本実施形態の再生制御部13は、ディスプレイ選択部15が選択した情報ディスプレイ2の中から、再生順決定部12が決定した再生順に従ってコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2には再生命令を送信するととも、選択した情報ディスプレイ2の中の他の情報ディスプレイ2には停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる。
【0056】
また、本実施形態の各情報ディスプレイ2は、起動時に接続要求をサーバに送信する際に、当該情報ディスプレイ2が設置された位置情報(X,Y)も併せて送信する点において、第1の実施形態の情報ディスプレイ2と異なり、その他は第1の実施形態と同様である。これにより、サーバ1のディスプレイ管理部11は、接続要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を行うとともに、記憶部14の登録リストに当該情報ディスプレイ2のIDと位置情報とを登録する。これにより、登録リストには、サーバ1と実際に接続状態にある情報ディスプレイ2の位置情報が登録される。
【0057】
図5は、本実施形態の情報提示方法の概要を示す説明図である。本実施形態では、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2の周囲をセンシングし、お客様の位置および進行方向を検知し、サーバ1に送信する。
【0058】
図5に示すように、お客様が複数の情報ディスプレイ2に近づいていく場合は、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する。なお、各情報ディスプレイ2の位置については、記憶部14の登録リストを参照する。
【0059】
一方、お客様の進行方向が複数の情報ディスプレイ2から離れていく(情報ディスプレイ2を見ていない)場合は、ディスプレイ選択部15は、いずれの情報ディスプレイ2も選択しない。
【0060】
図6は、図5の処理を示すフローチャートである。
【0061】
まず、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2周辺のお客様を検知すると、当該お客様の位置および進行方向をサーバ1に入力する(S21)。サーバ1のディスプレイ選択部15は、センサ3から取得した進行方向を用いて、お客様が情報ディスプレイ2に向かって移動しているのか否かを判別する(S22)。情報ディスプレイ2から遠ざかる方向に移動している場合(S22:NO)、再生制御部13は、全ての情報ディスプレイ2に停止命令または静粛命令を送信し、全ての情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S25)。
【0062】
情報ディスプレイ2に近づいて移動している場合(S22:YES)、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する(S23)。図5に示す例では、「2」から「6」の情報ディスプレイ2を選択する。
【0063】
再生制御部13は、視野範囲外の情報ディスプレイ2については(S23:NO)、停止命令または静粛命令を送信し、当該情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S26)。
【0064】
視野範囲内の情報ディスプレイ2については(S23:YES)、第1の実施形態で説明したように(図3参照)、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる(S24)。
【0065】
図7は、お客様が複数の情報ディスプレイ2に対して左右に移動する場合の情報提示方法の概要を示す説明図である。ディスプレイ選択部15は、進行方向の視界範囲にある情報ディスプレイ2(図7の例では、「1」〜「3」の情報ディスプレイ2)を選択する。
【0066】
図8は、図7の処理を示すフローチャートである。
【0067】
まず、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2周辺のお客様を検知すると、当該お客様の位置および進行方向をサーバ1に入力する(S31)。サーバ1のディスプレイ選択部15は、センサ3から取得した進行方向を用いて、お客様が複数の情報ディスプレイ2に向かって平行に移動しているのか否かを判別する(S32)。平行に移動していない場合(S32:NO)、図6のS22へ進む。
【0068】
情報ディスプレイ2に平衡して移動している場合(S32:YES)、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する(S33)。なお、各情報ディスプレイ2の位置については、記憶部14の登録リストを参照する。
【0069】
再生制御部13は、視野範囲外の情報ディスプレイ2については(S33:NO)、停止命令または静粛命令を送信し、当該情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S36)。
【0070】
視野範囲内の情報ディスプレイ2については(S33:YES)、第1の実施形態で説明したように(図3参照)、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる(S34)。
【0071】
なお、センサ3が、複数のお客様を検知した場合、ディスプレイ選択部15は、各お客様の視界範囲のOR集合に存在する情報ディスプレイを選択したり、あるいは、情報ディスプレイ2群に対して一番近距離のお客様のみに着目して視界範囲を決定することとしてもよい。
【0072】
以上説明した本実施形態では、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2を1つのまとまりとして扱い、それぞれの位置を管理し、人の位置と進行方向をセンサ3により検知して計算することで、映像コンテンツを再生すべき視界範囲内の情報ディスプレイ2を選択する。これにより、第1の実施形態と同様に、必要な情報ディスプレイ2だけを周囲から目立たせ、不必要な情報ディスプレイを停止または静粛モードに制御することができる。
【0073】
具体的には、お客様の進行方向の視界範囲内の情報ディスプレイのみを目立たせ、遠ざかるまたは通り過ぎた情報ディスプレイ2は停止または静粛モードにする。これにより、相対的に主要となる情報ディスプレイを周囲から目立たせることができる。
【0074】
また、それぞれの情報ディスプレイに接近センサを付け、人が接近した時だけ情報ディスプレイをオンにする方法では、複数の人がそれぞれ別の情報ディスプレイに接近すると、近傍範囲の複数の情報ディスプレイがオンになってしまうが、本実施形態によれは、1つのまとまりとして管理されたなかで1台の情報ディスプレイ2しか目立たないようにすることができる。
【0075】
<第3の実施形態>
本実施形態では、サーバを備えることなく、各情報ディスプレイが、近傍の他の情報ディスプレイが出力する音をセンシングし、センシング結果に応じて自律的に情報ディスプレイを制御する。
【0076】
図9は、第3の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは複数の情報ディスプレイ2を備え、各情報ディスプレイ2は、音声検出部23と、再生タイミング決定部22と、再生部21とを備える。
【0077】
音声検出部23は、近傍に設置された他の情報ディスプレイ2が出力する音を検出する。音声検出部23は、例えば集音マイクなどであって、近傍範囲の当該情報ディスプレイ2に影響を及ぼしそうな情報ディスプレイの音声を観測する。集音マイクの感度を調整することによって、どのくらいの範囲をひとまとまりの情報ディスプレイ群として扱うかを調整することができる。近傍のお客様の肉声をなるべくセンシングしないように帯域フィルタを用いても良い。また、近傍の他の情報ディスプレイ2以外が発しているBGMや環境音については、ある音圧以下の音は無視して無音とみなすこととしてもよい。
【0078】
再生タイミング決定部22は、音声検出部23が第1の所定時間(n秒)、他の情報ディスプレイ2が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する。また、再生タイミング決定部22は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間(m秒)が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。再生部21は、再生タイミング決定部22が再生を決定した場合、コンテンツを再生する。
【0079】
図10は、本実施形態の処理の概要を示す説明図である。図示する例では、情報ディスプレイ(A)の近傍範囲100に情報ディスプレイ(B)が存在し、情報ディスプレイ(A)の音声検出部23(集音マイク)は、情報ディスプレイ(B)が出力する音を検知する。また、情報ディスプレイ(B)の近傍範囲200に情報ディスプレイ(A)が存在し、情報ディスプレイ(B)の音声検出部23(集音マイク)は、情報ディスプレイ(A)が出力する音を検知する。
【0080】
そして、情報ディスプレイ(A)および情報ディスプレイ(B)のそれぞれは、音声検出部23が他の情報ディスプレイの音を検知しない無音状態に、コンテンツの再生を開始する。
【0081】
図11は、本実施形態の各情報ディスプレイ2の処理を示すフローチャートである。
【0082】
音声検出部23は、近傍範囲の他の情報ディスプレイ2が出力する音を検知し、検知結果を再生タイミング決定部22に送出する(S41)。再生タイミング決定部22は、検知結果により、近傍の他の情報ディスプレイ2が一定時間(n秒)、音を発生していない場合(S42:YES)、コンテンツの再生を決定し、再生部21にコンテンツの再生を開始させる(S43)。そして、コンテンツ(例えば、数秒から数十秒に区切られたもの)の再生が終了した後、再生タイミング決定部22は、一定時間の無音時間(m秒)が経過するまで待機し、その後、S41に戻り、音声検出部23は周囲の音を観測する。
【0083】
また、近傍の他の情報ディスプレイ2が音を発生している場合(S42:NO)、一定時間(x秒)が経過するまで待機し、その後、S41に戻り、音声検出部23は周囲の音を観測する。
【0084】
近傍範囲の情報ディスプレイ2が同時に再生を開始しないように、n、m、xは、それぞれの情報ディスプレイ2で異なるように予め設定しておくか、ある時間範囲でランダムに設定する。
【0085】
これにより、サーバが全体の情報ディスプレイ2を統括して観測しなくとも、各情報ディスプレイ2に備えられた音声検出部23(集音マイク)が近傍周囲を観測することによって、複数の情報ディスプレイ2を含む空間の最適化を行うことができる。
【0086】
以上説明した本実施形態では、各情報ディスプレイ2のそれぞれが、近傍の音を観測することによって、コンテンツを再生すべきタイミングを決定し、結果として近傍範囲内では1つの情報ディスプレイだけを目立たせ、他の情報ディスプレイ2はコンテンツを再生しない状態に制御することができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、各情報ディスプレイ2が再生するコンテンツは、1つのデータファイルである必要はなく、スポットアドにみられるように背景、接近への呼びかけ、立ち止まりによる詳細説明、帰ろうとすることへの呼びかけなどの一連の映像コンテンツをグループとして扱い、これを一連のものとして入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 :サーバ
11:ディスプレイ管理部
12:再生順決定部
13:再生制御部
14:記憶部
15:ディスプレイ選択部
2 :情報ディスプレイ
21:再生部
22:再生タイミング決定部
23:音声検出部
3 :センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスプレイ装置で情報を提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品販売やサービス提供を行う商業空間において広告や販売促進を行うため、または、公共空間において情報提供を行うために、テレビ型のディスプレイを情報ディスプレイとして利用するデジタルサイネージが知られている。
【0003】
また、商品の近傍などに設置して、価格などを提示するための情報ディスプレイとして電子ポップなどが存在する。
【0004】
また、特許文献1および非特許文献1、2には、情報ディスプレイ周辺の状況に反応して提示内容を変化させる情報ディスプレイが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−277097号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「人の位置移動による状況即応型デジタルサイネージインタフェースの構成法」、情報処理学会マルチメディア通信と分散処理ワークショップ、2008年12月
【非特許文献2】「近傍の状況を反映するディスプレイ「リフレクトアド」」、情報処理学会インタラクション2011、2011年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
情報ディスプレイは、薄型かつ低価格になり、1つの空間に対して設置される情報ディスプレイの数が増加しているため、情報ディスプレイが相互に干渉し合うようになってきている。
【0008】
例えば、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合、それぞれが同時にコンテンツの再生を行うと、ある情報ディスプレイの音声を聞いているときに、隣の情報ディスプレイの音が大きくて聞き取れなくなるという問題がある。また、全体の騒音レベルが上がり、特定の情報ディスプレイの音声が相対的に聞こえにくくなってしまう。
【0009】
このように、お客様(視聴者、ユーザ)の視界に多くの情報ディスプレイがあると、相互に干渉してかえって印象に残らなくなってしまう。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合に、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、情報提示装置であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段と、前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段と、を有する。
【0012】
また、本発明は、ディスプレイ装置であって、近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出手段と、前記検知手段が第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定手段と、前記再生タイミング決定手段が再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生手段と、を有し、前記再生タイミング決定手段は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。
【0013】
また、本発明は、情報提示装置が行う情報提示方法であって、近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定ステップと、前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御ステップと、を行う。
【0014】
また、本発明は、ディスプレイ装置が行う情報提示方法であって、近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出ステップと、前記検知ステップで第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定ステップと、前記再生タイミング決定ステップで再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生ステップと、を行い、前記再生タイミング決定ステップは、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。
【0015】
また、本発明は、前記情報提示方法をコンピュータに実行させるための情報提示プログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ある領域内に複数の情報ディスプレイが存在する場合に、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示する情報提示装置、ディスプレイ装置、情報提示方法、および情報提示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図2】第1の実施形態の処理概要を示す図である。
【図3】第1の実施形態のフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図5】第2の実施形態(処理1)の処理概要を示す図である。
【図6】第2の実施形態(処理1)のフローチャートである。
【図7】第2の実施形態(処理2)の処理概要を示す図である。
【図8】第2の実施形態(処理2)のフローチャートである。
【図9】第3の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。
【図10】第3の実施形態の処理概要を示す図である。
【図11】第3の実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
ショッピングモールや駅構内などの情報ディスプレイ(デジタルサイネージ)は、通常壁面に設置されている。また、売り場の情報ディスプレイは、商品棚や、壁や、販売台に設置されており、近傍には商品が配置されている。
【0020】
通常、お客様(視聴者、ユーザ)が通路などを進行する場合は、これらの情報ディスプレイを身体横に見ながら移動し、必要があれば立ち止まって情報ディスプレイに正対してその内容を見る。しかしながら、複数の情報ディスプレイが近傍範囲にある場合、情報ディスプレイが相互に干渉し合い、所望の情報ディスプレイの情報に集中できないという場合がある。本実施形態では、ある時点においては、1つの情報ディスプレイのみを目立たせて情報提示を行う。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは、サーバ1(情報提示装置)と、近傍範囲に設置された複数の情報ディスプレイ2(ディスプレイ装置)とを備える。サーバ1と各情報ディスプレイ2とは、ネットワークにより接続されている。
【0022】
図示するサーバ1は、ディスプレイ管理部11と、再生順決定部12と、再生制御部13と、記憶部14とを備える。
【0023】
ディスプレイ管理部11は、各情報ディスプレイ2から送信されるサーバ1への接続要求および切断要求に基づいて、記憶部14に記憶される登録リストを更新する。登録リストには、サーバ1に接続されている情報ディスプレイ2が登録される。
【0024】
再生順決定部12は、近傍に設置された複数の情報ディスプレイ2のコンテンツの再生順を決定する。再生制御部13は、再生順決定部12が決定した再生順に従って、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2でのみでコンテンツを再生させる。
【0025】
情報ディスプレイ2は、サーバ1の指示に従って、コンテンツの再生を行う再生部21を有する。情報ディスプレイ2が再生・提示するコンテンツとしては、静止画や動画などがある。コンテンツは、各情報ディスプレイ2の図示しない記憶部に蓄積されている場合や、ネットワークを経由して配信され場合がある。動画のコンテンツがネットワークを経由して配信される場合、情報ディスプレイ2はストリーミング再生する。
【0026】
コンテンツは、同じ情報(静止画)が継続して提示される場合や、一定長の動画映像が繰り返されたりするが、蓄積メモリを差し替えたり、ネットワークを介して新たなコンテンツが配信されることで書き換え可能である。
【0027】
以上説明したサーバ1および情報ディスプレイ2は、例えば、CPUと、メモリと、HDD等の外部記憶装置と、入力装置と、出力装置とを備えた汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、各装置の各機能が実現される。例えば、サーバ1および情報ディスプレイ2の各機能は、サーバ1用のプログラムの場合はサーバ1のCPUが、そして、情報ディスプレイ2用のプログラムの場合は情報ディスプレイ2のCPUが、それぞれ実行することにより実現される。
【0028】
また、サーバ1用のプログラムおよび情報ディスプレイ2用のプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVD−ROMなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。
【0029】
次に、本実施形態の処理について説明する。
【0030】
図2は、本実施形態の情報提示方法の概要を示す説明図である。本実施形態では、サーバ1が近傍範囲に存在する複数の情報ディスプレイ2の再生順を決定し、決定した再生順で1つの情報ディスプレイ(図示する例では「B」)を選択し、選択した情報ディスプレイのみでコンテンツの再生を行う。選択した情報ディスプレイ(B)が再生を行っている間、サーバ1は、他の全ての情報ディスプレイ(図示する例では「A」)を停止モードまたは静粛モードに制御する。
【0031】
停止モードは、コンテンツの再生を停止し、情報ディスプレイの画面をオフにする。静粛モードは、映像のみのコンテンツの再生を行い、音声の出力(訴求)は行わない。なお、静粛モードでは、映像を目立たない背景調(画像全体のトーンを落とす、白っぽい画像に変更するなど)に変更して、映像のみのコンテンツ再生を行うこととしてもよい。
【0032】
情報ディスプレイ(B)は、コンテンツの再生が終了すると、終了通知をサーバ1に送信する。サーバ1は、再生順リストの次の情報ディスプレイに再生を指示し、次の情報ディスプレイがコンテンツを再生する。これを繰り返すことにより、本実施形態では、常に1台のみの情報ディスプレイが、コンテンツを再生する。
【0033】
図3は、図2の処理のフローチャートである。
【0034】
なお、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2の各々は、その存否をサーバ1に登録する。すなわち、情報ディスプレイ2は、起動時に接続要求をサーバに送信し、停止時には、切断要求をサーバ1に送信する。
【0035】
サーバ1のディスプレイ管理部11は、接続要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を行うとともに、記憶部14の登録リストに当該情報ディスプレイ2のID(識別情報)を登録する。接続要求には、送信元の情報ディスプレイ2のIDが含まれている。
【0036】
また、ディスプレイ管理部11は、切断要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を切断するとともに、記憶部14の登録リストから当該情報ディスプレイ2のIDを削除する。なお、切断要求には、情報ディスプレイ2のIDが含まれている。
【0037】
これにより、登録リストには、サーバ1と実際に接続状態にある情報ディスプレイ2が登録される。
【0038】
そして、再生順決定部12は、登録リストに登録された複数の情報ディスプレイ2の中で、コンテンツの再生順を決定し、決定した再生順を登録リストに設定する(S11)。再生順は、各情報ディスプレイ2毎にあらかじめ定められた優先順位に基づいて決定することが考えられる。例えば、各情報ディスプレイ2の優先順位を記憶した優先順位テーブル(不図示)を、サーバ1は備えるものとする。
【0039】
なお、再生順の決定には、ラウンドロビンを用いること、登録リストへの登録順とすること、情報ディスプレイ2の位置を用いることなど様々な方法がある。
【0040】
そして、登録リストに変更がない場合(S12:YES)、再生制御部13は、再生順が設定された登録リストを用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2にコンテンツの再生命令を送信するととも、他の全ての情報ディスプレイ2についてはコンテンツの再生を停止する停止命令またはコンテンツの映像のみを再生する静粛命令を送信する(S13)。
【0041】
これにより、再生命令を受信した情報ディスプレイ2は、コンテンツを再生する。本実施形態では、各情報ディスプレイ2が再生するコンテンツは例えば数秒から数十秒程度に短く区切られており、一回の再生では区切られた短い部分のコンテンツを再生し、その後、他の情報ディスプレイ2に再生の機会を譲るものとする。
【0042】
停止命令または静粛命令が送信された他の情報ディスプレイ2は、コンテンツの再生を行わず画面をオフにする停止モード、またはコンテンツの映像のみを再生する静粛モードとなる。
【0043】
再生命令を受信した情報ディスプレイ2は、コンテンツの再生が終了すると、終了通知をサーバ1に送信する(S14)。
【0044】
サーバ1の再生制御部13は、終了通知を受信すると、登録リストに変更があるか否か、すなわち情報ディスプレイ2の登録または削除が発生したか否かを判別する(S12)。登録リストに変更がない場合(S12:YES)、再生制御部13は、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し(S13)、以降の処理を繰り返し行う。全ての情報ディスプレイ2でコンテンツの再生が一巡したら、1番目(最初)の情報ディスプレイ2に戻るが、その情報ディスプレイ2が再生すべきコンテンツが複数ある場合は、前回の続きとなる内容を再生することにしてもよい。
【0045】
登録リストに変更があった場合(S12:NO)、再生順決定部12は、変更後の登録リストに登録された情報ディスプレイ2の中で、コンテンツの再生順を再決定し、決定した再生順を変更後の登録リストに設定する(S15)。再生制御部13は、変更後の登録リストを用いて、次にコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し(S13)、以降の処理を繰り返し行う。
【0046】
図3の処理を繰り返すことで、本実施形態では、同時には1台のみの情報ディスプレイ2が訴求する状態(静粛モードではないコンテンツの再生をしている状態)をつくることができる。
【0047】
以上説明した本実施形態では、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2を1つのまとまりとして扱い、これらをサーバ1で管理し、ある時点において1つの情報ディスプレイ2のみが目立つようにコンテンツを再生することで、訴求効果を高めることができる。すなわち、1つの情報ディスプレイ2だけで映像とともに音声を鳴らし、他の情報ディスプレイ2を停止または静粛モードとすることで、1つの情報ディスプレイ2を注目させることができる。
【0048】
また、複数の情報ディスプレイ2が存在する空間であっても、比較的静かな空間として演出することができる。また、訴求していない状態の情報ディスプレイ2は停止または静粛モードとなるので、省エネルギーになる。
【0049】
また、1つの情報ディスプレイ2を目立たせることで、顧客満足度を高めたり、商品情報の認知を高めたり、商品の販売の売上を向上したりすることが望める。
【0050】
また、ある1台の情報ディスプレイ2でのコンテンツ再生(訴求)が終了すると、次の情報ディスプレイ2のコンテンツ再生に移ることで、ユーザは、時間さえあれば全ての情報ディスプレイ2が訴求するコンテンツを視聴することができる。
【0051】
また、本実施形態では、各情報ディスプレイ2から送信される接続要求および切断要求にもとづいて、登録リストが自動で更新され、更新された登録リストに基づいて再生順が決定されるため、管理者が個別に再生順を再決定する必要がない。すなわち、情報ディスプレイの数が多く、また情報ディスプレイ2の増減が頻繁に行われる場合であっても、いちいち個別に対応しなくても、全体の状況に適合した情報提示を行うことができる。
【0052】
<第2の実施形態>
本実施形態では、近傍範囲の複数の情報ディスプレイの周囲を観察するために設置されたセンサによって近傍をセンシングしてお客様の位置を検知し、センシング結果に応じて各情報ディスプレイ2を制御(コンテンツ再生、停止、静粛モード)する。
【0053】
図4は、第2の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは、サーバ1と、近傍範囲に設置された複数の情報ディスプレイ2と、複数の情報ディスプレイ2の周囲に存在する人(お客様など)を検知するセンサ3(ビデオカメラ、赤外線人感センサなど)と、を備える。
【0054】
図示するサーバ1は、ディスプレイ管理部11と、再生順決定部12と、再生制御部13と、記憶部14と、ディスプレイ選択部15とを備える。本実施形態のサーバ1は、ディスプレイ選択部15を有する点において、第1の実施形態のサーバ1(図1参照)と異なる。ディスプレイ選択部15は、センサ3が検知した、複数の情報ディスプレイ2の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、人の視界範囲に存在する情報ディスプレイ2を複数のディスプレイ装置の中から選択する。
【0055】
また、本実施形態の再生制御部13は、ディスプレイ選択部15が選択した情報ディスプレイ2の中から、再生順決定部12が決定した再生順に従ってコンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2には再生命令を送信するととも、選択した情報ディスプレイ2の中の他の情報ディスプレイ2には停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる。
【0056】
また、本実施形態の各情報ディスプレイ2は、起動時に接続要求をサーバに送信する際に、当該情報ディスプレイ2が設置された位置情報(X,Y)も併せて送信する点において、第1の実施形態の情報ディスプレイ2と異なり、その他は第1の実施形態と同様である。これにより、サーバ1のディスプレイ管理部11は、接続要求を送信した情報ディスプレイ2との接続を行うとともに、記憶部14の登録リストに当該情報ディスプレイ2のIDと位置情報とを登録する。これにより、登録リストには、サーバ1と実際に接続状態にある情報ディスプレイ2の位置情報が登録される。
【0057】
図5は、本実施形態の情報提示方法の概要を示す説明図である。本実施形態では、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2の周囲をセンシングし、お客様の位置および進行方向を検知し、サーバ1に送信する。
【0058】
図5に示すように、お客様が複数の情報ディスプレイ2に近づいていく場合は、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する。なお、各情報ディスプレイ2の位置については、記憶部14の登録リストを参照する。
【0059】
一方、お客様の進行方向が複数の情報ディスプレイ2から離れていく(情報ディスプレイ2を見ていない)場合は、ディスプレイ選択部15は、いずれの情報ディスプレイ2も選択しない。
【0060】
図6は、図5の処理を示すフローチャートである。
【0061】
まず、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2周辺のお客様を検知すると、当該お客様の位置および進行方向をサーバ1に入力する(S21)。サーバ1のディスプレイ選択部15は、センサ3から取得した進行方向を用いて、お客様が情報ディスプレイ2に向かって移動しているのか否かを判別する(S22)。情報ディスプレイ2から遠ざかる方向に移動している場合(S22:NO)、再生制御部13は、全ての情報ディスプレイ2に停止命令または静粛命令を送信し、全ての情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S25)。
【0062】
情報ディスプレイ2に近づいて移動している場合(S22:YES)、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する(S23)。図5に示す例では、「2」から「6」の情報ディスプレイ2を選択する。
【0063】
再生制御部13は、視野範囲外の情報ディスプレイ2については(S23:NO)、停止命令または静粛命令を送信し、当該情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S26)。
【0064】
視野範囲内の情報ディスプレイ2については(S23:YES)、第1の実施形態で説明したように(図3参照)、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる(S24)。
【0065】
図7は、お客様が複数の情報ディスプレイ2に対して左右に移動する場合の情報提示方法の概要を示す説明図である。ディスプレイ選択部15は、進行方向の視界範囲にある情報ディスプレイ2(図7の例では、「1」〜「3」の情報ディスプレイ2)を選択する。
【0066】
図8は、図7の処理を示すフローチャートである。
【0067】
まず、センサ3が、複数の情報ディスプレイ2周辺のお客様を検知すると、当該お客様の位置および進行方向をサーバ1に入力する(S31)。サーバ1のディスプレイ選択部15は、センサ3から取得した進行方向を用いて、お客様が複数の情報ディスプレイ2に向かって平行に移動しているのか否かを判別する(S32)。平行に移動していない場合(S32:NO)、図6のS22へ進む。
【0068】
情報ディスプレイ2に平衡して移動している場合(S32:YES)、ディスプレイ選択部15は、お客様の位置と進行方向と、あらかじめ定めた視野角と距離とによって算出された視界範囲の中に位置する情報ディスプレイ2を選択する(S33)。なお、各情報ディスプレイ2の位置については、記憶部14の登録リストを参照する。
【0069】
再生制御部13は、視野範囲外の情報ディスプレイ2については(S33:NO)、停止命令または静粛命令を送信し、当該情報ディスプレイ2を停止または静粛モードに制御する(S36)。
【0070】
視野範囲内の情報ディスプレイ2については(S33:YES)、第1の実施形態で説明したように(図3参照)、記憶部14に記憶された登録リストの再生順を用いて、コンテンツを再生させる情報ディスプレイ2を特定し、特定した情報ディスプレイ2に再生命令を送信するととも、他の情報ディスプレイ2については停止命令または静粛命令を送信し、選択した情報ディスプレイ2の中で再生順の順番で1つの情報ディスプレイ2のみでコンテンツを再生させる(S34)。
【0071】
なお、センサ3が、複数のお客様を検知した場合、ディスプレイ選択部15は、各お客様の視界範囲のOR集合に存在する情報ディスプレイを選択したり、あるいは、情報ディスプレイ2群に対して一番近距離のお客様のみに着目して視界範囲を決定することとしてもよい。
【0072】
以上説明した本実施形態では、近傍範囲にある複数の情報ディスプレイ2を1つのまとまりとして扱い、それぞれの位置を管理し、人の位置と進行方向をセンサ3により検知して計算することで、映像コンテンツを再生すべき視界範囲内の情報ディスプレイ2を選択する。これにより、第1の実施形態と同様に、必要な情報ディスプレイ2だけを周囲から目立たせ、不必要な情報ディスプレイを停止または静粛モードに制御することができる。
【0073】
具体的には、お客様の進行方向の視界範囲内の情報ディスプレイのみを目立たせ、遠ざかるまたは通り過ぎた情報ディスプレイ2は停止または静粛モードにする。これにより、相対的に主要となる情報ディスプレイを周囲から目立たせることができる。
【0074】
また、それぞれの情報ディスプレイに接近センサを付け、人が接近した時だけ情報ディスプレイをオンにする方法では、複数の人がそれぞれ別の情報ディスプレイに接近すると、近傍範囲の複数の情報ディスプレイがオンになってしまうが、本実施形態によれは、1つのまとまりとして管理されたなかで1台の情報ディスプレイ2しか目立たないようにすることができる。
【0075】
<第3の実施形態>
本実施形態では、サーバを備えることなく、各情報ディスプレイが、近傍の他の情報ディスプレイが出力する音をセンシングし、センシング結果に応じて自律的に情報ディスプレイを制御する。
【0076】
図9は、第3の実施形態に係る情報提示システムの構成図である。本実施形態の情報提示システムは複数の情報ディスプレイ2を備え、各情報ディスプレイ2は、音声検出部23と、再生タイミング決定部22と、再生部21とを備える。
【0077】
音声検出部23は、近傍に設置された他の情報ディスプレイ2が出力する音を検出する。音声検出部23は、例えば集音マイクなどであって、近傍範囲の当該情報ディスプレイ2に影響を及ぼしそうな情報ディスプレイの音声を観測する。集音マイクの感度を調整することによって、どのくらいの範囲をひとまとまりの情報ディスプレイ群として扱うかを調整することができる。近傍のお客様の肉声をなるべくセンシングしないように帯域フィルタを用いても良い。また、近傍の他の情報ディスプレイ2以外が発しているBGMや環境音については、ある音圧以下の音は無視して無音とみなすこととしてもよい。
【0078】
再生タイミング決定部22は、音声検出部23が第1の所定時間(n秒)、他の情報ディスプレイ2が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する。また、再生タイミング決定部22は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間(m秒)が経過するまで、コンテンツの再生を待機する。再生部21は、再生タイミング決定部22が再生を決定した場合、コンテンツを再生する。
【0079】
図10は、本実施形態の処理の概要を示す説明図である。図示する例では、情報ディスプレイ(A)の近傍範囲100に情報ディスプレイ(B)が存在し、情報ディスプレイ(A)の音声検出部23(集音マイク)は、情報ディスプレイ(B)が出力する音を検知する。また、情報ディスプレイ(B)の近傍範囲200に情報ディスプレイ(A)が存在し、情報ディスプレイ(B)の音声検出部23(集音マイク)は、情報ディスプレイ(A)が出力する音を検知する。
【0080】
そして、情報ディスプレイ(A)および情報ディスプレイ(B)のそれぞれは、音声検出部23が他の情報ディスプレイの音を検知しない無音状態に、コンテンツの再生を開始する。
【0081】
図11は、本実施形態の各情報ディスプレイ2の処理を示すフローチャートである。
【0082】
音声検出部23は、近傍範囲の他の情報ディスプレイ2が出力する音を検知し、検知結果を再生タイミング決定部22に送出する(S41)。再生タイミング決定部22は、検知結果により、近傍の他の情報ディスプレイ2が一定時間(n秒)、音を発生していない場合(S42:YES)、コンテンツの再生を決定し、再生部21にコンテンツの再生を開始させる(S43)。そして、コンテンツ(例えば、数秒から数十秒に区切られたもの)の再生が終了した後、再生タイミング決定部22は、一定時間の無音時間(m秒)が経過するまで待機し、その後、S41に戻り、音声検出部23は周囲の音を観測する。
【0083】
また、近傍の他の情報ディスプレイ2が音を発生している場合(S42:NO)、一定時間(x秒)が経過するまで待機し、その後、S41に戻り、音声検出部23は周囲の音を観測する。
【0084】
近傍範囲の情報ディスプレイ2が同時に再生を開始しないように、n、m、xは、それぞれの情報ディスプレイ2で異なるように予め設定しておくか、ある時間範囲でランダムに設定する。
【0085】
これにより、サーバが全体の情報ディスプレイ2を統括して観測しなくとも、各情報ディスプレイ2に備えられた音声検出部23(集音マイク)が近傍周囲を観測することによって、複数の情報ディスプレイ2を含む空間の最適化を行うことができる。
【0086】
以上説明した本実施形態では、各情報ディスプレイ2のそれぞれが、近傍の音を観測することによって、コンテンツを再生すべきタイミングを決定し、結果として近傍範囲内では1つの情報ディスプレイだけを目立たせ、他の情報ディスプレイ2はコンテンツを再生しない状態に制御することができる。
【0087】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、各情報ディスプレイ2が再生するコンテンツは、1つのデータファイルである必要はなく、スポットアドにみられるように背景、接近への呼びかけ、立ち止まりによる詳細説明、帰ろうとすることへの呼びかけなどの一連の映像コンテンツをグループとして扱い、これを一連のものとして入れ替えてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 :サーバ
11:ディスプレイ管理部
12:再生順決定部
13:再生制御部
14:記憶部
15:ディスプレイ選択部
2 :情報ディスプレイ
21:再生部
22:再生タイミング決定部
23:音声検出部
3 :センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提示装置であって、
近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段と、
前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段と、を有すること
を特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提示装置であって、
センサが検知した、前記複数のディスプレイ装置の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、前記人の視界範囲に存在するディスプレイ装置を前記複数のディスプレイ装置の中から選択する選択手段を、さらに有し、
前記再生制御手段は、
前記選択手段が選択したディスプレイ装置以外のディスプレイ装置に、前記停止命令または前記静粛命令を送信し、
前記選択手段が選択したディスプレイ装置の中から、前記再生順に従ってコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置には前記再生命令を送信するととも、前記選択したディスプレイ装置の中の他のディスプレイ装置には前記停止命令または前記静粛命令を送信し、前記選択したディスプレイ装置の中で前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置のみでコンテンツを再生させること
を特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
ディスプレイ装置であって、
近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出手段と、
前記検知手段が第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定手段と、
前記再生タイミング決定手段が再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生手段と、を有し、
前記再生タイミング決定手段は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機すること
を特徴とするディスプレイ装置。
【請求項4】
情報提示装置が行う情報提示方法であって、
近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定ステップと、
前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御ステップと、を行うこと
を特徴とする情報提示方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提示方法であって、
センサが検知した、前記複数のディスプレイ装置の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、前記人の視界範囲に存在するディスプレイ装置を前記複数のディスプレイ装置の中から選択する選択ステップを、さらに行い、
前記再生制御ステップは、
前記選択ステップで選択したディスプレイ装置以外のディスプレイ装置に、前記停止命令または前記静粛命令を送信し、
前記選択ステップで選択したディスプレイ装置の中から、前記再生順に従ってコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置には前記再生命令を送信するととも、前記選択したディスプレイ装置の中の他のディスプレイ装置には前記停止命令または前記静粛命令を送信し、前記選択したディスプレイ装置の中で前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置のみでコンテンツを再生させること
を特徴とする情報提示方法。
【請求項6】
ディスプレイ装置が行う情報提示方法であって、
近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出ステップと、
前記検知ステップで第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定ステップと、
前記再生タイミング決定ステップで再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生ステップと、を行い、
前記再生タイミング決定ステップは、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機すること
を特徴とする情報提示方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の情報提示方法をコンピュータに実行させるための情報提示プログラム。
【請求項1】
情報提示装置であって、
近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定手段と、
前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御手段と、を有すること
を特徴とする情報提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報提示装置であって、
センサが検知した、前記複数のディスプレイ装置の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、前記人の視界範囲に存在するディスプレイ装置を前記複数のディスプレイ装置の中から選択する選択手段を、さらに有し、
前記再生制御手段は、
前記選択手段が選択したディスプレイ装置以外のディスプレイ装置に、前記停止命令または前記静粛命令を送信し、
前記選択手段が選択したディスプレイ装置の中から、前記再生順に従ってコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置には前記再生命令を送信するととも、前記選択したディスプレイ装置の中の他のディスプレイ装置には前記停止命令または前記静粛命令を送信し、前記選択したディスプレイ装置の中で前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置のみでコンテンツを再生させること
を特徴とする情報提示装置。
【請求項3】
ディスプレイ装置であって、
近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出手段と、
前記検知手段が第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定手段と、
前記再生タイミング決定手段が再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生手段と、を有し、
前記再生タイミング決定手段は、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機すること
を特徴とするディスプレイ装置。
【請求項4】
情報提示装置が行う情報提示方法であって、
近傍に設置された複数のディスプレイ装置の、コンテンツの再生順を決定する再生順決定ステップと、
前記再生順に従って、前記複数のディスプレイ装置の中からコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置にはコンテンツを再生させる再生命令を送信するととも、他のディスプレイ装置にはコンテンツの再生を停止させる停止命令またはコンテンツの映像のみを再生させる静粛命令を送信し、前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置でのみでコンテンツを再生させる再生制御ステップと、を行うこと
を特徴とする情報提示方法。
【請求項5】
請求項4に記載の情報提示方法であって、
センサが検知した、前記複数のディスプレイ装置の周辺に存在する人の位置および進行方向を用いて、前記人の視界範囲に存在するディスプレイ装置を前記複数のディスプレイ装置の中から選択する選択ステップを、さらに行い、
前記再生制御ステップは、
前記選択ステップで選択したディスプレイ装置以外のディスプレイ装置に、前記停止命令または前記静粛命令を送信し、
前記選択ステップで選択したディスプレイ装置の中から、前記再生順に従ってコンテンツを再生させるディスプレイ装置を特定し、特定したディスプレイ装置には前記再生命令を送信するととも、前記選択したディスプレイ装置の中の他のディスプレイ装置には前記停止命令または前記静粛命令を送信し、前記選択したディスプレイ装置の中で前記再生順の順番で1つのディスプレイ装置のみでコンテンツを再生させること
を特徴とする情報提示方法。
【請求項6】
ディスプレイ装置が行う情報提示方法であって、
近傍に設置された他ディスプレイ装置が出力する音を検出する検出ステップと、
前記検知ステップで第1の所定時間、前記他ディスプレイ装置が出力する音を検知しない場合に、コンテンツの再生を決定する再生タイミング決定ステップと、
前記再生タイミング決定ステップで再生を決定した場合、コンテンツを再生する再生ステップと、を行い、
前記再生タイミング決定ステップは、コンテンツの再生終了後、第2の所定時間が経過するまで、コンテンツの再生を待機すること
を特徴とする情報提示方法。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の情報提示方法をコンピュータに実行させるための情報提示プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230241(P2012−230241A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98339(P2011−98339)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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