説明

情報検索装置

【課題】あらかじめ登録されてはいないが、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力をもとに、あるいは、外国人あるいは活舌が悪い人の発話による語句の入力をもとに、当該語句に関する情報の検索を行うことができる情報検索装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る情報検索装置1は、ユーザにより入力された語句をもとにデータベース内の検索を行い当該語句に関する情報を提示する情報検索装置において、
前記検索の結果、当該語句に関する情報が抽出されなかった場合であって、その後の他の条件によるデータベース内の再検索により情報が抽出された場合に、前記語句と当該抽出された情報とを関連付けて登録候補データを作成し、当該登録候補データを前記データベースに登録することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用カーナビゲーション装置に代表される、情報検索装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述したような情報検索装置としては、例えば、特許文献1に記載されたような、車載用カーナビゲーション装置に適用して好適な、地図表示装置がある。この装置においては、地名や施設名等の正確な呼称により入力された語句をもとに情報を検索できることはもちろん、誤って入力されるあるいは省略して入力される可能性の高い語句の呼称について、それらの不正確な呼称を認識対象語句としてあらかじめ登録しておくことにより、不正確な呼称により語句が入力された場合でも、当該不正確な呼称による語句入力をもとに、地名あるいは施設の情報を検索することを可能としている。
【特許文献1】特開平9−42988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような情報検索装置においては、あらかじめ登録された認識対象語句をもとにした検索しか行うことができず、登録されてはいないが、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力をもとに、当該語句に関する情報の検索を行うことができないという問題があった。また、外国人あるいは活舌が悪い人の発話による語句の入力をもとに、当該語句に関する情報の検索を行うことができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題に鑑み、あらかじめ登録されてはいないが、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力をもとに、あるいは、外国人あるいは活舌が悪い人の発話による語句の入力をもとに、当該語句に関する情報の検索を行うことができる情報検索装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するため、本発明に係る情報検索装置は、
ユーザにより入力された語句をもとにデータベース内の検索を行い当該語句に関する情報を提示する情報検索装置において、
前記検索の結果、当該語句に関する情報が抽出されなかった場合であって、その後の他の条件によるデータベース内の再検索により情報が抽出された場合に、前記語句と当該抽出された情報とを関連付けて登録候補データを作成し、当該登録候補データを前記データベースに登録することを特徴とする。
【0006】
ここで、前記登録候補データの前記データベースへの登録を、前記登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、行ってもよい。
【0007】
また、前記情報検索装置は、一以上の車両に各々搭載される車載情報検索装置と、当該車載情報検索装置と登録候補データを送受信可能な路側センタを備えてもよい。
【0008】
加えて、前記路側センタは、前記登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、前記登録候補データを車載情報検索装置に送信してもよい。
【0009】
さらに、前記路側センタは、前記登録候補データを送信した車載情報検索装置の属性に基づき、前記登録候補データの送信先の車載情報検索装置を選定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、あらかじめ登録されてはいないが、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力に基づいて、当該語句に関連付けられた情報の検索を行うことができる。あるいは外国人あるいは活舌が悪い人の発話による語句の入力に基づいて、当該語句に関連付けられた情報の検索を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による情報検索装置の一実施例を示すブロック図である。
【0012】
本実施例の情報検索装置1は、一以上の車両に各々搭載される車載情報検索装置2と、地上側に設置される路側センタ3を備えている。
【0013】
車載情報検索装置2は、語句を入力する入力部4と、入力部4から入力された語句をもとにデータベースDB内を検索する検索部5と、検索した情報を地図上に表示する表示部6と、登録候補データを作成する登録候補データ作成部7と、登録候補データを路側センタ3に送信する送信部8と、路側センタ3から送信される登録候補データを受信する受信部9と、受信部9が受信した登録候補データを検索対象データとしてデータベースDBに登録する登録部10とから構成される。
【0014】
路側センタ3は、車載情報検索装置2の送信部8から登録候補データを受信する受信部11と、NGワードデータ(例えば放送禁止用語や差別用語などの公共性がない語句)との比較により登録候補データがデータとして適切か否かを判定し記録媒体13に格納する判定部12と、受信部11が受信し判定部12によりデータとして適切と判定され、記録媒体13に格納された登録候補データの件数から当該登録候補データを車載情報検索装置2に送信してデータベースDBに登録するかどうかを判定する登録判定部14と、登録候補データに含まれる車両の属性(車種、地域、ユーザの性別や年齢や国籍など)に基づき送信先を選定する送信先選定部15と、登録候補データを車載情報検索装置2に送信する送信部16とから構成される。
【0015】
入力部4は、情報(地名や施設名の地図上の位置等)をデータベースDBに基づき検索するための条件としての語句の入力を受け付けるものである。入力部4における語句の入力は、タッチパネルやリモコンを利用した文字によるものでも、音声認識装置を利用した音声によるものでもよい。また、検索条件としての語句としては、地名や施設名、それらの俗称または方言、ジャンル、住所、電話番号などを入力することが可能である。
【0016】
検索部5は、入力された語句をもとにした検索の結果、当該語句に関する情報が抽出されない場合に、その旨をユーザに通知し、入力された語句を、登録候補語句として保持する。
【0017】
登録候補データ作成部7は、前記通知にユーザが応じて行った他の条件によるデータベースDB内の再検索により情報が抽出された場合に、検索部5が保持している登録候補語句と当該抽出された情報とを関連付けて登録候補データを作成する。
【0018】
判定部12において、NGワードデータとの比較により登録候補データがデータとして適切か否かを判定するのは、例えば、放送禁止用語や差別用語等の語句をデータベースDBに登録することを除外することを可能にするためである。
【0019】
登録判定部14は、登録候補データのデータベースDBへの登録を、判定部12により適切と判断された登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、行うことを判定する。また、登録判定部14は、登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、登録候補データに送信先データを関連付けて登録データを作成して、当該登録データを車載情報検索装置2に送信することを判定する。
【0020】
なお、車載情報検索装置2の、検索部5、登録候補データ作成部7、登録部10は、周知のCPU、ROM、RAMおよびこれらを相互に接続するバスラインを備えるコンピュータにより構成される。また、路側センタ3の登録判定部14、送信先選定部15も同様である。
【0021】
図2は、上記のように構成された情報検索装置1における、処理内容を示すフローチャートである。
【0022】
図2中左側は車載情報検索装置2内の処理内容を、右側は路側センタ3内の処理内容を示す。
【0023】
S1において、ユーザにより検索条件としての語句が入力される。S2において、当該語句をもとに前述したデータベースDB内の検索が行われ、S3において、検索した結果、当該語句に関する情報が抽出されない場合に、その旨をユーザに通知し、入力された語句を、登録候補語句として保持する。加えて、ユーザに対して他の条件(異なる地名あるいは施設名、ジャンル、住所、電話番号等)による再検索を要求する。さらに、S2において、前記通知に応答してユーザが入力する別の検索条件をもとにしたデータベース内の再検索により、情報が抽出された場合に、S4において、登録候補語句と当該抽出された情報とを関連付けて登録候補データを作成し、S5において、当該登録候補データを、路側センタ3側に送信する。
【0024】
S6において、車載情報検索装置2が送信した登録候補データを受信し、判定部12が当該登録候補データの登録候補語句をNGワードデータと比較して、当該登録候補語句がNGワードでないと判定された場合に、当該登録候補データを記録媒体13に格納する。S7において記録媒体13内の当該登録候補データの格納数つまりは作成数をカウントし、S8において、当該登録候補データの作成数が所定回数n以上であるかを判定し、所定回数n以上である場合には当該登録候補データを登録すると判定する。
【0025】
さらに、S9において、当該登録候補データの送信先を、登録候補データに含まれる車両の属性(車種、地域、ユーザの性別や年齢や国籍など)ごとの作成頻度に基づき選定し、S10において、選定した送信先を当該登録候補データに関連付けて登録データを作成し、S11において、当該登録データを車載情報検索装置2に送信する。
【0026】
S12において、路側センタ3より送信された登録データが受信され、S13において、当該登録データを前記データベースDBに登録する。
【0027】
この場合において、一つの地名または施設名に対応する、俗称あるいは方言等の語句の登録データの登録可能数は、所定数m以下とし、前記登録時に既に所定数mの異なる語句の登録データがデータベースDB内に登録されている場合は、使用頻度の低い語句の登録データを削除することもできる。
【0028】
これにより、あらかじめ登録されてはいないが、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力に対応する情報と当該語句とを関連付けて、新たに検索対象データとしてデータベースに登録することができるので、ユーザが頻繁に使用する登録されていない語句をもとに情報の検索を行うことができる。
【0029】
あるいは、外国人または活舌が悪い人の発話による語句の入力についても、当該語句に対応する情報と当該語句とを関連付けて、新たに検索対象データとしてデータベースに登録することができるので、外国人あるいは活舌の悪い人の発話による語句をもとに情報の検索を行うことができる。つまり、情報検索装置に学習機能および自動的なデータベース作成機能をもたせることができる。
【0030】
なお、本実施例においては、情報検索装置を、一以上の車両に各々搭載される車載情報検索装置と、当該車載情報検索装置と登録候補データを送受信可能な路側センタを備えて構成している。これにより、異なる複数のユーザが入力した、頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力、あるいは、外国人や活舌の悪い発話による語句の入力についてより多くの情報を路側センタにより一元的に収集して、登録候補データのデータベースへの登録の判定をなるべく多くのユーザの語句の入力に基づいて行うことができる。
【0031】
図3は、本発明による情報検索装置の一実施例をより具体的に示すブロック図である。
【0032】
ここでは具体的な施設名として、俗称セントレア、正式名称中部国際空港を本発明による情報検索装置により検索した場合を示す。
【0033】
図3に示すように、車載情報検索装置2が複数あり、当該装置2が例えば東海エリアのA車、B車および、関東エリアのC車に搭載されていたとする。
【0034】
路側センタ3については地上側の任意の場所に設置可能である。
【0035】
A車に搭載された車載情報検索装置2において、ユーザが語句として「セントレア」を入力し検索を行って、まず当該語句に関する情報なしとの通知をユーザに行うとともに、他の条件(異なる地名あるいは施設名、ジャンル、住所、電話番号等)による再検索をユーザに要求し、「セントレア」を登録候補語句として保持する。そこで、当該通知にユーザが応じて行った他の条件(例えば、ジャンル=空港、地域=愛知県)によるデータベースDB内の再検索により、「中部国際空港」に関する情報が抽出された場合に、登録候補語句としての「セントレア」と情報としての「中部国際空港」とを関連付け、さらにA車の属性(地域=名古屋)を含めて登録候補データを作成し、当該登録候補データを、路側センタ3側に送信する。
【0036】
同様に、B車に搭載された車載情報検索装置2において、ユーザが語句として「セントレア」を入力し検索を行って、当該語句に関する情報なしとの通知を受けて、他の条件(異なる地名あるいは施設名、ジャンル、住所、電話番号等)による再検索をユーザに要求し、「セントレア」を登録候補語句として保持する。そこで、当該通知にユーザが応じて行った他の条件(例えば、地域=愛知県、電話番号=0569)によるデータベースDB内の再検索により、「中部国際空港」に関する情報が抽出された場合に、登録候補語句としての「セントレア」と情報としての「中部国際空港」とを関連付け、さらにB車の属性(地域、岐阜)を含めて登録候補データを作成し、当該登録候補データを、路側センタ3側に送信する。
【0037】
路側センタ3には、上述したようにして、複数の車載情報検索装置2から「セントレア」と「中部国際空港」とを関連付けた登録候補データが送信されて、記憶媒体13に格納されている。そして格納された、同一の登録候補語句「セントレア」に対応する登録候補データの格納数つまりは作成数が、所定回数50件を超えた場合に、この登録候補データをデータベースに検索対象データとして登録すると判定するとともに、送信先を東海地方に選定し、当該送信先を登録候補データに関連付けて、登録データを作成して、選定された送信先の車載情報検索装置2に登録データを送信する。
【0038】
登録データを受信したそれぞれの車載情報検索装置2は、当該車載情報検索装置2内のデータベースに登録データを検索対象データとして登録する。なお、請求項中では登録候補データを送信するあるいは登録すると記載しているが、本実施例では、登録候補データに送信先のデータを加えたものを、説明の便宜上、登録データと記載している。
【0039】
このように全国各地からの登録候補データを一元的に路側センタ3において収集し、収集された登録候補データの、それぞれの属性に基づく作成数をカウントすることにより、当該登録候補データを登録するかどうかを判定することができる。
【0040】
図4は、本発明による情報検索装置の他の実施例を示すブロック図である。
【0041】
図1に示した実施例に比べて、路側センタ内に設置されていた登録判定部12を車載情報検索装置2内に設置して、路側センタを廃して、登録候補データをカウントして登録するかどうかの判定を車載情報検索装置2内で行う構成となっている点が異なる。
【0042】
これにともない、車載情報検索装置2の送信部8、受信部9も廃されるとともに、NGワードデータとの比較により登録候補データがデータとして適切か否かを判定する判定部12も、他の車両と検索対象データを共有しないので、公共性の要求が少ないため廃される。
【0043】
これによっても、あらかじめ登録されていない、ユーザが頻繁に使用する俗語や方言による語句の入力に対応する情報と当該語句とを関連付けて、新たに検索対象データとしてデータベースに登録することができる。もちろんこの場合は、同一のユーザが入力する俗語や方言等の語句のみに基づいて、登録候補データの作成がなされ、当該登録データを登録するかどうかの判定もなされることになる。
【0044】
この場合、ユーザ個人の嗜好を迅速に反映するため、あるいは同じ検索の失敗をしないために、登録候補データの検索対象データとしての登録の判定に用いる登録候補データの作成数の必要な所定回数nを、図1に示した実施例(n=50)に比して少なくすることが好ましい。
【0045】
なお、送信先の選定は、車両の属性のうち上述したような地域による選定に限られず、車種、ユーザの性別や年齢や国籍などにより行うことが可能である。特に国籍により送信先の選定を行うと、外国人の発話による語句をもとに新たな検索対象データを作成して、当該語句に関する情報の検索ができる。
【0046】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明による情報検索装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明による情報検索装置の一実施例の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明による情報検索装置の一実施例をより具体的に示すブロック図である。
【図4】本発明による情報検索装置の他の実施例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 情報検索装置
2 車載情報検索装置
3 路側センタ
4 入力部
5 検索部
6 表示部
7 登録候補データ作成部
8 送信部
9 受信部
10 登録部
11 受信部
12 判定部
13 記録媒体
14 登録判定部
15 送信先選定部
16 送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザにより入力された語句をもとにデータベース内の検索を行い当該語句に関する情報を提示する情報検索装置において、
前記検索の結果、当該語句に関する情報が抽出されなかった場合であって、その後の他の条件によるデータベース内の再検索により情報が抽出された場合に、前記語句と当該抽出された情報とを関連付けて登録候補データを作成し、当該登録候補データを前記データベースに登録することを特徴とする情報検索装置。
【請求項2】
前記登録候補データの前記データベースへの登録を、前記登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、行うことを特徴とする請求項1に記載の情報検索装置。
【請求項3】
前記情報検索装置は、一以上の車両に各々搭載される車載情報検索装置と、当該車載情報検索装置と登録候補データを送受信可能な路側センタを備えることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の情報検索装置。
【請求項4】
前記路側センタは、前記登録候補データの作成が所定回数以上行われた場合に、前記登録候補データを車載情報検索装置に送信することを特徴とする請求項3に記載の情報検索装置。
【請求項5】
前記路側センタは、前記登録候補データを送信した車載情報検索装置の属性に基づき、前記登録候補データの送信先の車載情報検索装置を選定することを特徴とする請求項4に記載の情報検索装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−164225(P2007−164225A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355726(P2005−355726)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】