説明

情報端末装置、転送プログラム及び転送方法

【課題】 デジタルオーディオプレーヤー等のGUIにおいて、著作権の保護や、メモリー装置のプロテクトを実現しつつ、そのデザインを変更可能として多様化を図る。
【解決手段】
スキンデータを、暗号化されたデータ形式で受信するデータ受信部と、データを記憶保持する記憶装置と、記憶装置をパーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割し、不可視領域への書き込みの可否を制御するメモリー管理部と、不可視領域へのデータの書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されるとき、スキンデータの転送を許可するコマンド実行部と、不可視領域への書き込み命令に応じて受信された、暗号化されたデータ形式のスキンデータを復号する復号部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルオーディオプレーヤーなど、音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータを再生する情報端末装置におけるGUI(Graphical User Interface)に係り、GUIを備えた情報端末装置、及びGUIの変更を行うための転送プログラム及び転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルオーディオプレーヤーなど、音響や映像を含むコンテンツデータの再生装置が普及しつつあり、この再生装置では、再生に係るコンテンツに関する情報を表示したり、再生状態やユーザーの操作状態などを表示するGUIとしてのディスプレイを備えるものがある。
【0003】
このディスプレイでは、カラー液晶を搭載し、画面の大型化などが進み、そこに表示されるGUIについても、画面構成やデザインを重視するユーザーのニーズが増大する傾向がある。これに対し、GUIのレイアウトを変更できる技術も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−331339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、GUIのレイアウトやデザインをユーザーが自由に変更できるとすると、他者による改変を望まないデザイナーなどがいた場合には、著作権上の問題が生じる。また、近年にあっては、デジタルオーディオプレーヤーなどのリモートデバイスに備えられたメモリー装置にアクセスする技術も進んでおり、デバイス内のメモリーについてのプロテクトも重要となってきている。
【0005】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、デジタルオーディオプレーヤー等のGUIにおいて、著作権の保護や、メモリー装置のプロテクトを実現しつつ、デザインの変更を可能として、多様化を図ることができる情報端末装置、転送プログラム及び転送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明は、音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースとを備えた情報端末装置であって、グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを、暗号化されたデータ形式で受信するデータ受信部と、データを記憶保持する記憶装置と、記憶装置をパーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割し、不可視領域への書き込みの可否を制御するメモリー管理部と、不可視領域へのスキンデータの転送許可要求が取得された場合に、転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されるとき、スキンデータの転送を許可するコマンド解析部と、不可視領域への書き込み命令に応じて、暗号化されたデータ形式のスキンデータを復号する復号部とを有する。
【0007】
第2の発明は、音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースと、データを記憶保持するとともに、パーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割された記憶装置とを備えた情報端末装置に対して、グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを転送するための転送プログラムであって、コンピュータに、情報端末装置に対して、スキンデータの不可視領域への転送許可要求を送信する命令送信ステップと、受信された転送許可要求に応じ、情報端末装置内の演算装置により書き込み命令が実行されると判断され、スキンデータの転送を許可する転送許可受諾コマンドを情報端末装置から受信した場合に、スキンデータを暗号化されたデータ形式で情報端末装置に送信するデータ送信ステップと、データ送信ステップにおいて送信された、暗号化されたデータ形式のスキンデータを、情報端末装置側で受信させて復号させ、その復号したスキンデータを不可視領域へ書き込ませる復号ステップとを実行させる。
【0008】
第3の発明は、音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースと、データを記憶保持するとともに、パーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割された記憶装置とを備えた情報端末装置に対して、グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを、他のコンピュータから転送するための転送方法であって、コンピュータから記情報端末装置に対して、スキンデータの不可視領域への転送許可要求を送信する命令送信ステップと、情報端末装置側において、転送許可要求を受信し、転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されるか否かを判断し、転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されると判断したときに、スキンデータの転送を許可する転送許可受諾コマンドをコンピュータに送信するコマンド解析ステップと、コンピュータ側で転送許可受諾コマンドを受信した場合に、スキンデータを暗号化されたデータ形式で情報端末装置に送信するデータ送信ステップと、データ送信ステップにおいて送信された、暗号化されたデータ形式のスキンデータを、情報端末装置側で受信して復号し、その復号したスキンデータを不可視領域へ書き込む復号ステップとを有する。
【0009】
なお、本発明において記憶装置における「可視領域」又は「不可視領域」とは、例えばマスストレージクラスのデータ転送プロトコルにおいて、転送元である外部機器から認識できる領域であるか否かを意味し、具体的には、データ転送プロトコルの仕様に応じて記憶装置側から示される記憶領域のアドレスインデックスデータのように、記憶領域の範囲を定義するインデックスに、書き込み可能な領域として含まれていれば「可視」となり、含まれていなければ「不可視」となる。
【0010】
また、上記発明において、「情報端末装置内の演算装置において実行される」とは、例えばMTP(メディアトランスファープロトコル)のように、処理を実行するために必要なプログラム(スクリプトやライブラリ)が全て情報端末装置内に保持され、外部からの命令により情報端末装置単独で完結できることを意味する。これにより、他の周辺機器(例えば転送元のパーソナルコンピュータ)から直接処理を実行できない状態が維持されることとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上述べたように、上記発明によれば、他のコンピュータなどから情報端末装置に対して新規なスキンデータを転送することにより、情報端末装置側で、新規なスキンデータを用いてGUIのデザインを変更することができる。かかるスキンデータの転送に際し、転送時にあっては、スキンデータを暗号化したデータ形式とするとともに、情報端末装置内部の演算装置で書き込み命令が実行させることを条件とするため、データの転送前又はその途中においてデータが改変されるのを防止することができる。また、転送後にあっては、記憶装置の不可視領域にスキンデータを保存するため、他のコンピュータから情報端末装置内に記録されたスキンデータを改変することができない。これらの結果、本発明によれば、著作権の保護や、メモリー装置のプロテクトを行いつつ、GUIの著作権を保護しつつ、GUIのデザインの多様化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るGUI変更システムの実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るGUI変更システムの全体構成を示す概念図である。なお、本実施形態では、情報端末装置として携帯デジタルオーディオプレーヤー1を例に説明する。
【0013】
同図に示すように、携帯デジタルオーディオプレーヤー1は、例えばUSB接続などによりパーソナルコンピュータ2と接続可能であり、このパーソナルコンピュータ2から新規のスキンデータをダウンロードし、自機内に記録されているスキンデータを差替えることによって、GUIのデザインを変更できる機能を備えている。なお、本実施形態では、情報端末装置として携帯デジタルオーディオプレーヤー1を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、この情報端末装置には、映像や音響等のデジタルコンテンツデータを再生する機能を備えた演算処理装置であれば、モバイルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistance)、携帯電話機が含まれる。
【0014】
パーソナルコンピュータ2は、インターネット3等の通信ネットワークを通じて、サーバ4との間でデータの送受信を行うことができる汎用コンピュータであり、USB端子を備え、これを通じて携帯デジタルオーディオプレーヤー1との間でもデータの送受信を行うことができる。かかるサーバ4は、スキンデータをパーソナルコンピュータ2に対して配信するコンテンツサーバである。
【0015】
携帯デジタルオーディオプレーヤー1は、音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能を備えたプレーヤー装置であり、音声出力用のスピーカー13や、映像コンテンツやGUIを表示するためのディスプレイ12、ユーザー操作を入力するボタンなどの操作パネル11を備えている。このGUIは、スキンデータによって、そのデザインが定義されるとともに、この定義に従い、スキンデータに含まれる複数の部品データ(背景画像、ボタンアイコン、動画など)によって画面構成がなされる。
【0016】
そして、パーソナルコンピュータ2は、このサーバ4からダウンロードしたスキンデータを蓄積し、後述するGUI変更アプリケーションを用いることにより、携帯デジタルオーディオプレーヤー1に対してスキンデータを転送し、携帯デジタルオーディオプレーヤー1のディスプレイ12に表示されるGUIを変更することができる。
【0017】
図2は、携帯デジタルオーディオプレーヤー1及びパーソナルコンピュータ2の、GUI変更機能に係るモジュールを示すブロック図である。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0018】
図2に示すように、携帯デジタルオーディオプレーヤー1は、USBインターフェース(I/F)101と、復号部102と、メモリー管理部103と、メモリー装置104と、コマンド解析部105と、コマンド実行部106と、表示データ生成部107と、再生処理部108と、入力インターフェース109と、出力インターフェース110とを備えている。
【0019】
USBインターフェース(I/F)101は、パーソナルコンピュータ2側に設けられたUSBインターフェース201と、USBケーブルを介して通信を行う通信インターフェースであり、例えば、音楽・映像ファイルやスキンデータの送受信を行うことができる。
【0020】
再生処理部108は、出力インターフェース(I/F)110を介して、コンテンツデータを出力するモジュールであり、音声データを音声信号に変換してスピーカー13から出力し、映像データを映像信号に変換してディスプレイ12に出力する。
【0021】
入力インターフェース(I/F)109は、操作パネル11等の操作デバイスから操作信号を取得し、コマンド解析部105に入力するモジュールである。コマンド解析部105は、入力インターフェース109からの入力信号や、パーソナルコンピュータ2側からの入力信号から、コマンドを解析して抽出し、コマンド実行部106に入力するモジュールであり、本実施形態では、特に不可視領域104bへのデータの転送許可要求が取得された場合に、転送許可要求に基づく書き込み命令が当該携帯デジタルオーディオプレーヤー1内の演算装置、すなわちコマンド実行部106において実行されるか否かを判断する。そして、コマンド実行部106において書き込み命令が実行されると判断したときには、スキンデータの不可視領域104bへの転送を許可する転送許可受諾コマンドをパーソナルコンピュータ2側へ送信する。
【0022】
メモリー管理部103は、メモリー装置104に対するデータの入出力、及びデータ格納先を管理するモジュールであり、本実施形態では、メモリー装置104をパーテーションにより不可視領域104bと可視領域(ユーザー領域)104aとに分割し、各領域への書き込みを制御する。このメモリー装置104は、フラッシュメモリーやハードディスク等の記憶装置であり、パーテーションにより分割されている。
【0023】
コマンド実行部106は、CPU等の演算処理装置であり、コマンド解析部105が抽出したコマンドを受け取り、それを実行し、各モジュールの動作を制御するモジュールである。表示データ生成部107は、コンテンツデータの映像データを映像信号に変換するとともに、スキンデータを解析して、スキンデータが定義するレイアウト及びデザインに従って、スキンデータのファイルパッケージに含まれる部品データを組み合わせてGUIを構成し、ディスプレイ12に表示されるべき映像・画像を生成するモジュールである。
【0024】
復号部102は、パーソナルコンピュータ2から受信された、暗号化されたスキンデータを解凍及び復号するモジュールであり、解凍され復号されたデータは、メモリー管理部103を介して、メモリー装置104の不可視領域104bに書き込まれる。
【0025】
一方、パーソナルコンピュータ2は、インターネット3等に接続するための通信インターフェース207と、USBインターフェース201と、ハードディスク等の記憶装置203と、マウス22やキーボード21等の入力デバイスが接続される入力インターフェース206とを備えている。
【0026】
さらに、パーソナルコンピュータ2は、アプリケーション実行部204を備えており、このアプリケーション実行部204で種々のアプリケーションを実行することにより、データベース管理部202やデータ加工部205が仮想的に構築されるようになっている。
【0027】
データベース管理部202は、記憶装置203に対するデータの入出力を管理するモジュールである。また、データ加工部205は、アプリケーション実行部204で例えばCADソフトやフォトレタッチソフトを実行することによって構築されるモジュールであり、画像データを加工したり、独自のアイコンデータを作成したりすることが可能となっている。
【0028】
このデータ加工部205により、本実施形態では、ユーザーが自分の好みにあったスキンデータをカスタマイズできるようになっている。具体的には、ユーザーが独自に用意・作成した画像やアイコンデータなどを上記パッケージファイルに追加したり、又は既に含まれている既存のデータと差替えたりすることによって、独自のスキンデータを生成し、これをパッケージファイルとして携帯デジタルオーディオプレーヤー1に転送することができる。この場合、ユーザーのカスタマイズを支援できるように、暗号化がされていない、或いは暗号化が解除可能な著作権フリーの画像やアイコン、レイアウトのテンプレートなどが予め用意されていることが好ましい。
【0029】
アプリケーション実行部204において、GUI変更アプリケーションを実行することにより、図3に示すPC側GUI120がパーソナルコンピュータ2のディスプレイに表示される。このPC側GUI120は、リストボックス123と、イメージボックス122と、サンプルイメージボックス121と、実行ボタン124とで概略構成されており、リストボックス123で、転送したいスキンデータを選択すると、その選択されたスキンデータにより定義・構成されるGUIがイメージボックス121及び122に表示される。
【0030】
このイメージボックス121及び122に表示されるGUIのイメージは、リストボックス123にリスト表示されたスキンデータに関連づけられたサムネイル画像であり、ユーザーによる選択操作に応じて記憶装置203から読み出される。
【0031】
そして、上記PC側GUI120の実行ボタン124に対して、クリック等の選択操作を行うと、アプリケーション上でイベントが発生し、携帯デジタルオーディオプレーヤー1に対して転送許可要求が送信される。この転送許可要求は、携帯デジタルオーディオプレーヤー1側のコマンド実行部106に対して、スキンデータの受信処理、復号処理及び不可視領域104bへの書き込み処理の実行許可を求める信号であり、携帯デジタルオーディオプレーヤー1のコマンド解析部105によって抽出され、その内容が判断される。
【0032】
また、アプリケーション実行部204は、携帯デジタルオーディオプレーヤー1側において、携帯デジタルオーディオプレーヤー1内のコマンド実行部106によって当該転送に係るスキンデータの書き込み命令が実行されると判断された場合に、当該スキンデータの転送を許可する転送許可受諾コマンドを受信する。この転送許諾受諾コマンドが受信されたことに基づいて、アプリケーション実行部204は、スキンデータを暗号化されたデータ形式で携帯デジタルオーディオプレーヤー1に送信する。携帯デジタルオーディオプレーヤー1側では、受信された、暗号化されたデータ形式のスキンデータを、復号部102で復号させ、不可視領域104bに書き込む。
【0033】
なお、このGUI変更アプリケーションは、汎用コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録することができる。具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD−ROMやDVD−ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピュータや専用コンピュータを用いて、上述したシステムや方法を実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0034】
(GUI変更方法)
以上の構成を有するGUI変更アプリケーション及び携帯デジタルオーディオプレーヤー1を動作させることによって、GUIの変更処理を実行することができる。図4は、本実施形態に係るGUI変更方法の手順を示すフローチャート図である。
【0035】
先ず、PC側GUI120を起動し、転送に係るスキンデータの選択を行う(S101)。具体的には、上記PC側GUI120のリストボックス123に列記されたスキンデータを選択し、実行ボタン124に対して、クリック等の選択操作を行う。
【0036】
この選択操作に応じて、アプリケーション上でイベントが発生し、選択されたスキンデータが読み出されるとともに(S102)、携帯デジタルオーディオプレーヤー1に対して転送許可要求が送信される(S103)。なお、本実施形態では、イベント発生に応じてMTP接続が確立されており(S100)、転送許可要求等のコマンドの送受が可能となっているものとする。
【0037】
そして、ステップS103において、転送許可要求は、コマンド解析部105によって抽出され、その内容が判断される。ここで、当該転送許可要求は、コマンド実行部106において実行される書き込み命令によって、これから送信されるスキンデータが不可視領域104bに書き込む旨の内容となっているものとする。
【0038】
次いで、コマンド解析部105によって、コマンド実行部106で当該書き込み命令が実行されると判断されると、このコマンド解析部105から転送許可受諾コマンドがパーソナルコンピュータ2側に送信される。この転送許可受諾コマンドが受信されたことに基づいて、PC側のアプリケーション実行部204は、スキンデータを、暗号化されたデータ形式(暗号化ビットマップデータパッケージ)で、携帯デジタルオーディオプレーヤー1に送信する(S104及びS105)。
【0039】
なお、このデータ転送開始からスキン変更までの間、PC側のGUIでは、時間経過を示すアニメーションが表示される(S105)。この経過表示アニメーションは、例えば、サーバ4から定期的にダウンロードされる広告とすることができる。
【0040】
携帯デジタルオーディオプレーヤー1側では、受信されたスキンデータ(パッケージファイル)について、上記転送許可要求に対応するデータであるか、又はコマンドであるかを再度確認すべく、パッケージファイルに含まれているコマンドを抽出し、解析する(S107)。そして、コマンドの内容が、携帯デジタルオーディオプレーヤー1側のコマンド実行部106で実行されるもの(内部実行コマンド)でないときには、エラー処理を行う(S109)。このエラー処理としては、ステップS110以降の処理を停止するとともに、既に受信済みのデータを削除したり、警告メッセージを表示したりする。
【0041】
ステップS108で、内部コマンドであると判断されたときには、先ず、USB接続を一旦解除し(S110)、暗号化ビットマップデータパッケージを復号部102で解凍・復号処理を行い(S111)、この解凍・復号されたスキンデータを、不可視領域104bに書き込む(S112)。本実施形態では、不可視領域への書き込みは、上書き保存形式であり、元のデータは消失される。
【0042】
次いで、携帯デジタルオーディオプレーヤー1を再起動させるなどして初期化を行い(S113)、新たなスキンデータを読み込ませることにより、スキンを変更する。その後、再度USB接続を実行し、USB通信が確立したら(S115)、PC側GUI120で、正常終了表示を行う(S116)。
【0043】
(本実施形態による作用・効果)
以上述べたように、上記本実施形態によれば、他のコンピュータ(パーソナルコンピュータ2)などから携帯デジタルオーディオプレーヤー1に対して、ユーザーが任意に選択したスキンデータを転送し、スキンデータを差替えることによって携帯デジタルオーディオプレーヤー1側でGUIのデザインを変更することができる。
【0044】
このスキンデータの転送に際し、転送時にあっては、スキンデータを暗号化したデータ形式(暗号化ビットマップデータパッケージ)とするとともに、携帯デジタルオーディオプレーヤー1内部のコマンド実行部106で書き込み命令が実行されることを条件とするため、データの転送前又はその途中において、スキンデータが改変されるのを防止することができる。また、転送後にあっては、メモリー装置104の不可視領域104bにスキンデータを保存するため、他のコンピュータから携帯デジタルオーディオプレーヤー1内に記録されたスキンデータを改変することができない。これらの結果、本実施形態によれば、著作権の保護や、メモリー装置のプロテクトを行いつつ、GUIの著作権を保護しつつ、GUIのデザインの多様化を図ることができる。
【0045】
(変更例)
なお、上記実施形態で説明した装置、方法、及びプログラムには種々の機能を追加することができる。
【0046】
上記実施形態では、著作権保護のため暗号化されたデータパッケージを転送するようにしたが、著作権がフリーやユーザーが自作したスキンデータであれば、暗号処理を省略し、オリジナルのデータをそのまま転送するようにしてもよい。この場合には、転送後における復号部102による復号は省略することができる。
【0047】
また、例えば、上記実施形態では、ステップS105でのデータ転送の経過表示として広告アニメーションを表示したが、この他、PC側GUIのみならず、携帯デジタルオーディオプレーヤー1のディスプレイに表示させてもよい。さらに、このアニメーションを表示するタイミングも、データ転送の待機時間のみならず、PC側GUIや携帯デジタルオーディオプレーヤー1の起動時、終了時、USB接続確立時、その他のイベント発生時に表示するようにしてもよい。
【0048】
また、この広告アニメーションを携帯デジタルオーディオプレーヤー1に表示させる場合には、アニメーションデータをスキンデータのパッケージファイルに包含させてもよく、他の音楽ファイルなどのコンテンツデータに含ませてもよい。さらには、広告アニメーションの表示について、時間的範囲を設定し、設定された範囲の時間(期限限定、時間限定など)のみ広告を提示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施形態に係るGUI変更システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】実施形態に係る携帯デジタルオーディオプレーヤー1及びパーソナルコンピュータ2の、GUI変更機能に係るモジュールを示すブロック図である。
【図3】実施形態に係るPC側GUIの画面構成を示す構成図である。
【図4】実施形態に係るGUI変更方法の手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0050】
1…携帯デジタルオーディオプレーヤー
2…パーソナルコンピュータ
3…インターネット
4…サーバ
11…操作パネル
12…ディスプレイ
13…スピーカー
21…キーボード
22…マウス
101,201…USBインターフェース
102…復号部
103…メモリー管理部
104…メモリー装置
104a…ユーザー領域(可視領域)
104b…不可視領域
105…コマンド解析部
106…コマンド実行部
107…表示データ生成部
108…再生処理部
109…入力インターフェース
110…出力インターフェース
120…GUI(PC側)
121…サンプルイメージボックス
122…イメージボックス
123…リストボックス
124…実行ボタン
202…データベース管理部
203…記憶装置
204…アプリケーション実行部
205…データ加工部
206…入力インターフェース
207…通信インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースとを備えた情報端末装置であって、
上記グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを、暗号化されたデータ形式で受信するデータ受信部と、
データを記憶保持する記憶装置と、
前記記憶装置をパーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割し、該不可視領域への書き込みの可否を制御するメモリー管理部と、
前記不可視領域へのスキンデータの転送許可要求が取得された場合に、該転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されるとき、前記スキンデータの転送を許可するコマンド解析部と、
前記不可視領域への書き込み命令に応じて、前記暗号化されたデータ形式の前記スキンデータを復号する復号部と
を有することを特徴とする情報端末装置。
【請求項2】
音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、
この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースと、
データを記憶保持するとともに、パーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割された記憶装置と
を備えた情報端末装置に対して、該グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを転送するための転送プログラムであって、
コンピュータに、
前記情報端末装置に対して、前記スキンデータの前記不可視領域への転送許可要求を送信する命令送信ステップと、
前記受信された転送許可要求に応じ、情報端末装置内の演算装置により書き込み命令が実行されると判断され、前記スキンデータの転送を許可する転送許可受諾コマンドを該情報端末装置から受信した場合に、前記スキンデータを暗号化されたデータ形式で該情報端末装置に送信するデータ送信ステップと、
前記データ送信ステップにおいて送信された、前記暗号化されたデータ形式の前記スキンデータを、前記情報端末装置側で受信させて復号させ、その復号した前記スキンデータを前記不可視領域へ書き込ませる復号ステップと
を実行させることを特徴とする転送プログラム。
【請求項3】
音声データ及び映像データのうちの少なくとも一方を含むデジタルコンテンツデータの出力再生機能と、
この出力再生機能及びその他の機能に対する操作のためのグラフィックユーザーインターフェースと、
データを記憶保持するとともに、パーテーションにより、不可視領域と可視領域とに分割された記憶装置と
を備えた情報端末装置に対して、該グラフィックユーザーインターフェースのデザインを定義し、構成するスキンデータを、他のコンピュータから転送するための転送方法であって、
前記コンピュータから記情報端末装置に対して、前記スキンデータの前記不可視領域への転送許可要求を送信する命令送信ステップと、
前記情報端末装置側において、前記転送許可要求を受信し、該転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されるか否かを判断し、該転送許可要求に基づく書き込み命令が、当該情報端末装置内の演算装置において実行されると判断したときに、前記スキンデータの転送を許可する転送許可受諾コマンドを前記コンピュータに送信するコマンド解析ステップと、
前記コンピュータ側で前記転送許可受諾コマンドを受信した場合に、前記スキンデータを暗号化されたデータ形式で前記情報端末装置に送信するデータ送信ステップと、
前記データ送信ステップにおいて送信された、前記暗号化されたデータ形式の前記スキンデータを、前記情報端末装置側で受信して復号し、その復号した前記スキンデータを前記不可視領域へ書き込む復号ステップと
を有することを特徴とする転送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−269498(P2008−269498A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114763(P2007−114763)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】