情報記憶システム
複数の情報トラックを含む1つ以上の記憶媒体(168)を備える情報記憶装置。各記憶媒体(168)は、実質的に平面を有するヘッドアセンブリ(170)と、前記情報トラックと位置合わせされて配置された複数の読取り書込みヘッドとを有する。読取り書込みヘッドは、平らな表面の平面において実質的に構成されている。情報記憶媒体(168)およびヘッドアセンブリ(170)は、読取り書込みヘッドが使用時に情報記憶媒体の外面と実質的に摺動接触しているように相互に摺動当接して構成されている。別の態様において、情報記憶・検索装置は、情報記憶領域を含む情報記憶媒体(168)および、情報読取り書込みヘッドのアレイ(170)を備える。情報記憶媒体(168)およびヘッド(170)のアレイは使用時に、情報記憶領域の個々の領域が振動の間に読取り書込みヘッドの少なくとも1つと位置合わせされるように互いに対して振動させられるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶装置および操作方法に関する。詳細には、本発明は、ディジタル情報が情報記憶媒体から読取られそれに書込まれるシステムに関する。本発明は(フロッピー(登録商標)ディスクといった)取外し可能情報記憶媒体と同様に、他の形式の固定駆動装置にも展開し得るが本発明は特に、コンピュータハードディスク駆動装置といったハードディスク駆動装置でのディジタル情報の記憶に取り組んでいる。情報記憶媒体は読出し専用かまたは読取り書込み形式のものとしてよく、情報は、磁気手段、磁気抵抗手段、(コンパクトディスクおよびDVD駆動装置におけるような)光学的手段ばかりでなく、他のあらゆる適格なプロセスによって媒体から記憶または検索され得る。
【背景技術】
【0002】
従来のハードディスク駆動装置は一般に、必要に応じて情報が読取り、書込みおよび消去され得るように、例えば磁気的または光学的記録技法によってディジタル情報が記憶され得る回転ディスクを備える。典型的な磁気ハードディスクは、金属またはセラミックで製作され、その上にコーティングの磁気特性を変えることによってディスクの情報が記憶され得るように磁気コーティングが施されている硬質のプラッタを備える。
【0003】
ディスクの利用可能な記憶領域は、ディスクの中心部とディスクの外周部との間で多数の同心トラックに物理的に編成されている。各トラックの利用可能な記憶領域もまた、一定数のバイトの、概ね楔形またはパイ形の領域である、多数のセクタに再分割されている。ディスクの利用可能な記憶領域を同心トラックおよびセクタに編成することによって、情報はディスクの特定の領域に書込まれ、そして記憶された情報は突きとめられ検索され得る。
【0004】
ディスクの特定の場所でデータを読取るまたは書込むために、ディスク駆動装置は一般に、読取り書込みヘッドを含む。従来、磁気コアに巻かれた導電性材料のコイルを備える誘導読取り書込みヘッドが磁気媒体では使用されていた。情報は、コイルに電流を通電して磁場を発生させ、それが転じてディスクの領域の磁気特性を変えることによってディスクに書込むことができた。情報は、ディスクの領域の磁気材料が、読取り書込みヘッドを形成するコイルにおいて電流を誘導させるように、ヘッドをディスク上で通過させることによってディスクから読取られ得る。
【0005】
その後、磁気抵抗、特に巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドが使用されてきた。これらは、磁気記憶媒体の領域の磁気極性またはスピン抵抗に対する電気抵抗の検出可能な変化に反応するミクロ構造物である。それらは、それらが磁束変化に対するより大きな感度を有し、従って、より高密度にパックされた情報記憶を可能にするより大きな空間分解能を可能にすることから、上述の誘導ヘッドより好ましい。
【0006】
もっと最近に提起された代替策が、米国特許第6353317号に記載されているホール効果検出器である。
【0007】
読取り書込みヘッドは通常、可動アームの一端に取付けられる。アームの他方端は、ピボットまたはヘッドジンバルアセンブリ(HGA)に支持されており、アームが選択的に回転させられ得るようにいずれかの形態の駆動手段と接続されている。アームが回転すると、読取り書込みヘッドは、ディスクの中心領域からディスクの外周領域へ浅い弧を描きディスクの表面の上を移動し、そのようにしてディスクのトラックのいずれかの上に選択的に位置づけられ得る。駆動手段は、情報が読取りまたは書込みされる際に高速でアームを移動させることができなければならず、スピーカの典型的な駆動機構に類似のいずれかの形態の“ボイスコイル”機構を一般に備える。
【0008】
使用時に、ディスクは、通常、数千回転/分(rpm)といった高速で回転させられ、読取り書込みヘッドは、回転するディスクによって発生した空気のクッション上で効果的に「浮動する」。従って、読取り書込みヘッドは、実際にそれに接触することなくディスクの表面に極めて近接して維持される。実際、ヘッドが動作中に偶発的にそれに接触した場合、プラッタの表面に重大な損傷が生じ得る。これはヘッドクラッシュとして知られており、駆動装置が突然の物理的衝撃を受けた時に最も起こり得る。これは、従来のハードディスク駆動装置の潜在的な脆弱性である。
【0009】
情報は、プログラムが処理される際にコンピュータプログラムによって生成された命令の結果としてディスクに書込まれるかまたはそれから読取られるかのいずれかである。例えば、プログラムは、以後一般にディスクコントローラに送られる情報の要求を生成することができ、データの物理的位置は、ファイルアクセステーブル(FAT)、ニューテクノロジーファイルシステム(NTFS)、バーチャルテーブルオブコンテンツ(VTOC)または他の公知の手段を用いて識別される。信号は、処理および増幅を必要とし、最適な間隔および信号強度を得るために多くのコーディングプロトコルが使用される。ディスクコントローラはその後、読取り書込みヘッドが取付けられているアームを回転させて、それによりヘッドは、所要のデータが記憶されているセクタを含むディスクの適切なトラックの上に位置する。しかし、データは、トラックの正しい部分が回転しているディスクによって読取りヘッドと位置合わせされるまで、読取られることができない。従って、ディスク上のトラックの所要の円周部分が相対的に高速度でアクセスされることを可能にするために、すなわち、ディスクが1回転を完了するのに要する時間の平均して半分となるはずであるデータの「到着時間」を最小限にするためには、ディスクが高速で回転することが必要である。
【0010】
単一の中心軸に取付けられそれに関して回転可能な多数のディスクを設けることによって、ハードディスク駆動装置の利用可能な記憶容量を増大させることは公知である。駆動装置の記憶容量はまた、単一ディスクの両面に情報を記憶する、すなわちディスクの各側面に磁気コーティングおよび可動読取り書込みヘッドを設けることによって、さらに増大され(事実上、2倍にされ)得る。例えば、初期のメインフレーム駆動装置は、1〜8枚のディスクを、従って2〜16の表面を有し、使用されるプロトコルはこの制限を反映していた。取外し可能フロッピー(登録商標)ディスクといった他の形式の情報記憶媒体に記憶された情報および、取外し可能または固定の光ディスク(コンパクトディスク、DVDなど)に記憶された光情報は、類似の方法で一般にアクセスされる。例えば、光ディスクは、レーザー構成物といった光学的手段による情報の読取り(または書込み)を可能にするが、情報を回転ディスク上の螺旋トラックまたは多数の同心トラックに編成し、所要のトラック部分の上に読取り書込みヘッドを選択的に位置決めする手段を設けるという一般原理は通常、順守される。
【0011】
上述の形式の情報記憶システムと同様に、ディスクの特定のトラックの上に読取り書込みヘッドを位置決めするために可動アームを使用しないディスク駆動装置を製作する提起もまた行われている。代わりにディスク駆動装置には、情報記憶ディスクのトラックごとに1つの読取り書込みヘッドを備えるヘッドアセンブリが設けられる。ヘッドアセンブリは一般に、多数の読取り書込みヘッドがディスク形要素の1表面に堆積されたディスク形要素よりなる。ヘッドはそれ自体、ヘッドアセンブリの表面から延出し、使用時に媒体ディスクの表面と接触する概ね針状の要素を備える。従って、この形態のディスク駆動装置は、読取り書込みヘッドが常に利用可能な情報記憶トラックの個々の上に配置され得るので、可動アームを必要としない。このようにして、ヘッド/アームアセンブリの起動および移動に起因する多くの従来ディスク駆動装置の固有の待ち時間は取り除かれ、それにより改善された情報アクセス速度を可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の既知の形式の情報記憶駆動装置は、多くの限界および欠点を抱えている。従って、本発明は、そのような既知の装置を改良すること、特に、改善された性能および/またはより大きな使用の柔軟性を付与する情報記憶・検索システムを提供することを目的としている。本発明はまた、情報記憶システムの改善された製造方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の実施態様において、複数の情報トラックを含む記憶媒体と、ヘッドアセンブリと、から成る情報記憶装置において、
前記ヘッドアセンブリは、実質的に平らな表面と、前記情報トラックと位置合わせされて配置される複数の読取り書込みヘッドと、を有しており、
前記読取り書込みヘッドは、前記平らな表面の面内に実質的に配置され、前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは、前記読取り書込みヘッドが使用時に前記情報記憶媒体の外面と実質的に摺動接触するよう、互いに摺動当接状態に配置されている、情報記憶装置を提供する。
【0014】
従って、本発明によれば、磁気ディスクといった情報記憶媒体と情報の読取りおよび/または書込みができる概ね平坦な表面を有しており、使用時にヘッドアセンブリの平坦な「読取り書込み表面」が記憶媒体の外面に当接するように位置決めされ得る読取り書込みヘッドアセンブリを製作することが可能であることは、当業者にはわかるはずである。
【0015】
単一の読取り書込みヘッドが可動アームに取付けられている従来のハードディスクシステムとは異なり、本発明は、多数の、好ましくは大きいアレイの読取り書込みヘッドが情報記憶媒体のトラックと位置合わせされて設けられ、それにより情報が記憶または検索され得る速度を増大させるという利益を有する。詳細には、一般に固定ヘッドのアレイの装備が、データをディスクの利用可能なトラックの全部に書込むまたはそれらから読取ることを可能にし、トラックシーキングに関係する待ち時間を削除可能にする。可動アームおよびその関係する駆動機構を使用することなく、多くの従来の駆動装置と比較して、単純で、より信頼でき、より高いエネルギー効率的な構成を有する情報記憶システムが製造され得る。
【0016】
しかしさらに、本発明はまた、既知の複数ヘッド構成物にまさる多くの利益を提供する。読取り書込みヘッドを磁気ハードディスクプラッタといった情報記憶媒体の表面と接触しているように構成することによって、装置は、それがヘッドクラッシュに対する防護をもはや必要としないので、既知の装置よりも著しく頑強にされることが理解されるであろう。記憶媒体および読取り書込みヘッドは、単に精密公差適合であることによって接触して維持され得る。しかし好ましくは、2つの表面を一緒に付勢させるための弾性付勢手段が設けられる。好ましくは、付勢手段は、ほぼ一定の相対圧力を記憶媒体および読取り書込みヘッドに適用するように構成される。これにより、安定した動摩擦が維持されることが可能になる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの読取り書込みヘッドが、記憶媒体上で情報記憶に利用可能なトラックの全部について設けられる。従って、単純な構成物において、ヘッドアセンブリは、情報記憶媒体の対応する数のトラックの上に位置するように構成されている多数の読取り書込みヘッドから構成され得て、ヘッドはヘッドアセンブリの平面の表面と同じ高さであり、ヘッドアセンブリは転じて情報記憶媒体の平面と接触させられ得る。
【0018】
情報記憶媒体がディスクよりなり、トラックが同心円よりなる1つの好ましい構成において、読取り書込みヘッドは、それらがディスク上の最も内側のトラックからディスク上の最も外側のトラックまで1列に延び、個々の読取り書込みヘッドが特定のトラックの上に存在するように配置されるように実装され得る。従って、情報記憶ディスクの使用可能な記憶領域全体を横切って広がる1列の読取り書込みヘッドが設けられ得る。当然ながら、周方向に離間された複数のそのような列も設けられ得る。
【0019】
上述の通り、単純な形態において、本発明の読取り書込みヘッド構成物は、情報記憶媒体のトラックを横切って延びる読取り書込みヘッドの概ね線形のアレイより構成され得て、読取り書込みヘッドは概ね各トラックの上に位置する。従って、情報記憶のために設けられ得るトラックの数は一般に、読取り書込みヘッドの物理的寸法によってのみ制限されることは、明白であろう。それ故、使用され得る最小トラック幅は一般に、そのトラックの幅に概ね対応する読取り書込みヘッドを製造する能力によって、また、その幅のトラックで情報を書込む/読取る能力によってのみ制限されるにすぎない。
【0020】
現在の技術水準において、読取り書込みヘッドは、17ないし1.7ミクロンの範囲のピッチで製造され得る。言い換えると、ヘッド当たりの磁気材料、コイル材料および2つの信号トラックの総幅は17ないし1.7ミクロンになるであろう。従って、1インチ当たり10000を上回る個別の読取り書込みヘッドを備えるが、例えば、概ね従来通りの大きさの情報記憶ディスクで動作するような大きさにされ、ディスク上の対応する数のトラックと情報の読取りおよび/または書込みできる、読取り書込みヘッドのアレイを製造することが可能であろう。
【0021】
本発明は、また、情報記憶装置の読取り書込みヘッド密度(それ故、トラック密度)を増大させる別の手段も提供する。
【0022】
本発明は、第2の態様において、複数の読取り書込みヘッドを含む読取り書込みヘッドアセンブリを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に読取り書込みヘッドが、個々の読取り書込みヘッドが対応するトラックの概ね上方に位置して、情報記憶ディスクのトラックを横切って拡張する円弧状の線に沿って配置されるように、弧の編成で構成されている、情報記憶装置を提供する。
【0023】
放射状に拡張する読取り書込みヘッドの前述の構成物の1つとは異なり、円弧状の線における読取り書込みヘッドの上記構成は、読取り書込みヘッドのより大きい密度が付与されることを可能にし得る。情報記憶ディスクのトラックに関して適切に配向された円弧状ヘッド構成は、隣り合うヘッドが互いに径方向にオフセットされることを可能にし、それが読取り書込みヘッドの物理的寸法に起因する制限を克服可能にし得る。従って、最小トラック幅は読取り書込みヘッドの幅に限定されるのではなく、代わりに、読取り書込みヘッドが円弧状の線に沿って互い違いに設けられた場合、より小さい幅となり得る。
【0024】
例示目的だけのために示された簡略化した例において、情報記憶ディスクは、情報記憶ディスクの中心から20mmに始まりディスクの中心から60mmで終わる使用可能な情報記憶領域を有し得る。読取り書込みヘッドが25ミクロン(0.025mm)の幅を有する場合、ディスクの使用可能な記憶領域にわたり放射線に沿って拡張する隣り合う読取り書込みヘッドの線形アレイは、2000の読取り書込みヘッドを含むことができ、従って、ディスクの使用可能な記憶領域はトラックごとに1つの読取り書込みヘッド備える2000の同心トラックに構成され得る。隣り合うヘッドが互いに対してオフセットされている読取り書込みヘッドの円弧状アレイを使用することによって、情報記憶の使用可能な領域上に設けられ得るヘッドの数は、使用可能な情報記憶領域が構成され得るトラックの数の対応する増加を伴い何百にも増加され得る。
【0025】
従って有益には別の態様において、本発明は、複数の読取り書込みヘッドを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に情報記憶ディスクの各トラックが複数の読取り書込みヘッドによってアクセスされ得るように構成された情報記憶装置を提供する。
【0026】
好ましい形態において、読取り書込みヘッドは多数の組で設けられており、読取り書込みヘッドの各組は情報記憶ディスクの利用可能なトラックの全部にわたって拡張する。従って1つの単純な構成において、読取り書込みヘッドの第1の組は、情報記憶ディスクの全部のトラックを横切って放射状に、または矩形情報記憶部材を横切って横方向に拡張する、読取り書込みヘッドの概ね線形の構成物を含み得る。トラック当たりに多数の読取り書込みヘッドを設けることが望ましい場合、読取り書込みヘッドの第2および以降の組は、ヘッドの第1の組に類似の構成で設けられるが、それらから周方向または長手方向に離間される。
【0027】
本発明のトラック当たり複数ヘッド態様の特に好ましい構成物において、読取り書込みヘッドの各組は、前述の通り、増大したヘッド密度(および対応するトラック密度)を可能にするために円弧状の線に沿って設けられる。この構成では、読取り書込みヘッドの各組は概ね螺旋曲線をたどり、それにより、読取り書込みヘッドの多数の組が互いに隣接して設けられた時に、各トラックの複数のヘッド間の間隔が最も内側のトラックから最も外側のトラックへ増大すると同時に、各トラックの複数の読取り書込みヘッドが互い違い配置にされることを可能にし、その結果、読取り書込みヘッドの密度が最大にされ得ることが好ましい。
【0028】
理解され得るように、本発明は、情報記憶および検索の性能の改善と同様に情報記憶ディスクの機械的性能の改良を付与し得る多くの有利なヘッド構成物を提供する。
【0029】
本発明の前述の態様に従った情報記憶装置は好ましくは、最適な信号強度が維持されることを保証するためのリフレッシュ手段を備える。好ましくはリフレッシュ手段は、記憶媒体から利用可能な信号強度を監視するための手段を備えており、前記手段は、利用可能な信号強度が所定のしきい値を下回るまで低下した場合、受信した信号を再書込みするように構成されている。リフレッシュ手段は好ましくは、例えば適切に修正されたドライバといった、適格なソフトウェアを含む。
【0030】
本発明人は、読取り書込みヘッドを所要のトラックの上に位置決めするためにアーム機構を作動および移動させる際の待ち時間と同様に、ヘッドが情報を読取る/書込む準備ができる間に、アクセスされようとするセクタが読取り書込みヘッドの下の位置に位置づけられていないこともあるので、さらなる「回転」待ち時間が生じることを認識した。読取り書込みヘッドが最初に所要のトラックの上に移動させられる時、アクセスされようとするセクタはいずれかの回転位置を有し得る、すなわち、それはトラック上で周方向にいずれかの地点に位置づけられているかもしれない。従って、アクセスされるセクタの始めが読取り書込みヘッドの下に位置づけられる位置までディスクが回転する際の時間遅延が存在する。
【0031】
従来、アクセスされ得る位置にディスクの特定の部分が回転するのを待つ際の時間遅延を縮小するために情報記憶ディスクの回転速度を増大させる努力がなされてきた。この方策はその待ち時間を縮小することができるが、そのような高速駆動装置を製造する上での困難が存在する。例えば、より小さい直径のディスクを使用することによって極めて高速度が達成され得ることがわかっているが、そのようなディスクは、縮小した領域および低減した記憶容量を有する。
【0032】
さらに、ディスクの回転速度が高くなればなるほど、それを回転させるために要求されるエネルギーも大きくなり、駆動装置によって発生し放散しなければならない空気摩擦に起因する熱も大きくなる。さらに、より大きな回転速度による固有振動の増大は、位置合わせ不良などによる潜在的な問題を生じる。従って、この種の待ち時間をディスクの回転速度を増大させることによって縮小し得る程度には限界がある。
【0033】
しかし本発明によれば、多くの読取り書込みヘッドを利用した場合、相対的に低回転速度が、データアクセス時間を犠牲にすることなく情報記憶ディスクに使用され得る。その結果、これまで認識されてきたヘッド接触の不利益(熱の発生および急速な摩耗)は、実質的に取り除かれ得る。本発明の好ましい実施形態において、情報記憶ディスクは、600回転/分未満、好ましくは60rpm未満、さらには6rpm以下でさえもの回転速度で読取り書込みヘッドに対して回転するように作られる。これが、ディスク回転速度は可能な限り高く増大されるべきであるという当業における認識に完全に反することになることは、即座に理解されるであろう。例証として、現在既知のハードディスク駆動装置の回転速度は、数千回転/分のオーダである。読取り書込みヘッドと情報記憶媒体の表面との間の直接接触は、単一の読取り書込みヘッドについてでさえ、プラッタが不当に急速な摩耗を受け、発生した熱がヘッドとプラッタのトラックとの間の熱的位置決め不良を生じるはずであることから、そのような速度では現実的に想定できないであろう。
【0034】
実際、たとえ読取り書込みヘッドがプラッタと接触していないとしても、これがそれ自体で新規かつ有益であり、そして別の態様から見て、本発明が、情報記憶ディスクと、前記ディスクから情報を読取るかまたはそれに情報を書込むように構成された少なくとも1つの読取り書込みヘッドとを備えており、前記ディスクは、使用時に600回転/分未満の速度で前記読取り書込みヘッドに対して回転するように構成されている、情報記憶装置を提供することは、当業者によって理解されるであろう。
【0035】
従って、本発明のこの態様によれば、よりいっそう低速度が使用され、それは、読取り書込みヘッドと情報記憶ディスクとの間の接触を伴ってさえも、発生する熱は著しく少ないはずであるし、接触が意図されていない場合、ヘッドクラッシュの可能性が低減されるはずであることを意味する。さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、多くのヘッドが平面に設けられ、各ヘッドは「局所的」であり、それ故あらゆる膨張作用も相対的に最小であることになる。
【0036】
好ましくは、本発明の第1の態様に従って多くの読取り書込みヘッドが設けられる。好ましくは、これらは、例えば一般的なシリコンディスク上にエッチングされることによって、モノリシック層に設けられる。そのような構成物の利益は上述されている。
【0037】
読取り書込みヘッドと情報記憶媒体との間のインタフェースは、あらゆる適格な形態をとることができ、あらゆる適格な手段によって維持され、多くの適格な構成物が明白であろう。
【0038】
好ましくは、読取り書込みヘッドは一般に、適位置に固定され、情報記憶媒体は、両者間に潤滑手段が設けられて読取り書込みヘッドの上に位置する。好ましくは、潤滑手段は、記憶媒体およびヘッドアレイの少なくとも一方、好ましくは両方における自己潤滑層を含む。好ましくは、自己潤滑層は、四面体アモルファスカーボン(taC)または超ナノ結晶性形態のような人工ダイヤモンドコーティングよりなる。これらは、それらが本質的に黒鉛およびダイヤモンドの特性を併せ持つことから基本的に自己潤滑性であり、乾燥窒素中のそれらの摩擦係数は0.001のオーダである。比較として、ポリテトラフルオロエチレンの対応する摩擦係数は約0.04である。これは、約10〜25グラムの重量を有する摺動部材について、静止摩擦に打ち克つために要求される力が10〜25ミリグラムのオーダであることを意味する。
【0039】
動摩擦は一般に静止摩擦より小さいので、動摩擦は5ないし15ミリグラムの力のオーダであると予想される。これは、従って回転、振動などを継続するために要求される力である。また、最も好ましい実施形態では、継続する規則的な相対移動が記憶媒体と検出器表面との間に存在し、従って「スティクション」が最小限にされることも認められている。
【0040】
適格な駆動手段が読取り書込みヘッドの上方で情報記憶ディスクを回転させるために設けられ得る。巻くことによってばねにエネルギーが蓄積される「時計仕掛け」システムといった他の駆動システムも使用され得ることが考えられるが、電気モータといった従来の駆動手段がこの目的に適格であるとしてよい。
【0041】
1実施形態において、情報記憶ディスクの中心部は、既知の誘導技術を用いてディスクを回転させる非接触駆動装置を設けるための誘導モータの一部を形成する。そのような構成物は、やはり構成を単純化し、装置における可動部品の数を低減し、それが信頼性を改善し得る。
【0042】
上述した構成物の各々において、複数の情報記憶ディスクが、従来のスタック型ディスク駆動装置と類似の形で情報記憶ディスク内部に設けられ得る。
【0043】
(ヘッドの実装)
上述した態様の各々において、多数の読取り書込みヘッドがあらゆる適格な手段によって適位置に構成され得る。好ましくは、設けられる読取り書込みヘッドの全部は、単一部材に、例えば、使用時にディスクまたは矩形部材といった情報記憶要素のトラックの上方に正確に位置づけられ得る概ね平面の要素に、実装される。しかし、例えばトラック当たりに複数の読取り書込みヘッドが設けられる場合、読取り書込みヘッドは多くの個別の要素に実装され得て、ヘッドは上述の通り多くの組で構成され、その際、各組はそれ自身の要素に実装され得る。
【0044】
それらが支持基板を誇示するようにヘッドが製作される場合、それらが実質的に同じ高さであることを保証するためにそれらの間にフィラー層が設けられ得る。
【0045】
特に好ましい構成物において、読取り書込みヘッドを実装するための手段は、それが使用される情報記憶媒体の大きさおよび形状に(または少なくとも情報記憶媒体の使用可能な記憶領域に)対応する大きさおよび形状に概ね作られた平面要素よりなる。そのような構成物は、読取り書込みヘッドが情報記憶媒体の利用可能な記憶領域のいずれかの領域の上に存在するように位置決めされ得て、トラックに対するヘッドの位置合わせを付与するために横方向に調整され得るので、読取り書込みヘッドの位置決めに関して高められた柔軟性を可能にする。
【0046】
ヘッドアセンブリは情報記憶媒体の記憶領域の限られた部分にわたり拡張し得るが、好ましくはそれらは実質的に同一の広がりを有する。特に好ましい実施形態において、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリは、類似の方法で類似の基板から製作される。
【0047】
好ましくは、記憶媒体および/またはヘッドアセンブリは、摩擦の発熱を最小限にするために低摩擦コーティングを備える。好ましい実施形態において、四面体アモルファスまたはダイヤモンド様コーティングが、接触する表面の一方、好ましくは両方に設けられる。
【0048】
各読取りヘッドを駆動するために要する動力の量も、好ましい実施形態によれば、あらゆる発熱作用が最小限にされることを保証するように適応されている。これはたぶん、大規模並列書込みサイクルについて問題となるにすぎないことであろう。
【0049】
読取り書込みヘッドを、それらが設けられる表面の実質的に平面に有することは、公知のエッチング技法を用いてシリコンウェーハといった適格なベース基板材料による多くの当該ヘッドの製作を可能にするので、特に有益である。これは、多くのヘッドが相対的に低コストで使用されることを可能にする。詳細には、それはヘッドの高い表面積密度が形成されることを可能にする。さらにそれは、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリが使用時にほぼ同じ温度になるはずであることを保証する。これは、同様に好ましいように、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリがほぼ同じ大きさおよび形状であり、それらが熱的要因に同様に反応することから類似の熱膨張係数を有する材料のものである場合に、特定の利益となる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態に従って実現可能であり使用される大規模集積回路の製作様式は、さらなる有利な可能性を開く。一般的に、ヘッドアセンブリは好ましくは、即時的かつ製品の寿命期間の両方において歩留りおよび冗長性を最大限にする特徴を備えて製作される。好ましい実施形態において、ヘッドは位相的に矩形アレイで構成される。ヘッドのそのような矩形アレイは、個々のロー(row)およびカラム(column)の一端だけから信号を読取る、または信号を書込むことによってアドレスされ得ることが、当業者には理解されるであろう。しかし好ましくは、ヘッドアレイはローおよびカラムの両端との接続部を備える。この単純な冗長性は、たとえロー/カラム接続部のいずれかに故障が生じたとしても、継続的な動作を可能にする。
【0051】
また、本発明人は、集積回路製作技法がさらに、記憶媒体から読取られた情報の初期処理を実行する構成要素を提供するために利用され得ることも認識した。従って、好ましい実施形態において、ヘッドアセンブリは、ヘッドアセンブリから出力される前に、前記ヘッドによって読取られたデータを前処理および/または予備増幅するための前処理および/または予備増幅回路を備える。
【0052】
想定される一部の実施形態において、ヘッドからの信号を検出および処理するためにヘッドのアレイの縁端にレーザーが使用され得る。
【0053】
ヘッドアレイは好ましくは、複数のステップで製造されるように構成されており、より単純な処理の後により複雑な処理が実行される。これは、基板が各段階で試験され得るので、製作プロセスの有効歩留りを最大にする。これは、より単純な段階で首尾よく製作されたそうした基板だけがより複雑な、それ故より高額な製作段階に服することを保証する。これはまた、好ましい実施形態に従って、例えばヘッド、信号接続部および、トランジスタなどといった前置増幅器構成要素といった種々の構成要素が基板上の個別の領域に配置されるように構成することによって、増強される。
【0054】
1例において、製作プロセスは以下のステップを含む。基板をポリシングするステップ、(使用される場合)誘電体で被覆するステップ、金属薄膜/スパッタリングまたは類似物を用いて信号トラックを布設するステップ、制御回路(これらは主要な実施形態の1つでは薄膜トランジスタ(TFT)である)を作成するステップ、平面コイルおよび巨大磁気抵抗効果型(GMR)またはホール効果のどちらか一方の読取りヘッドとともに、または他のいずれかの検出器技術により、読取り書込みヘッドの検出器アレイを布設するステップ、およびダイヤモンドで被覆するステップ。このプロセスは、ピクセルの代わりに検出器を備える液晶平面スクリーンの製造にほぼ類似である。実際、これは本発明の好ましい特徴である。
【0055】
(基板)
好ましい実施形態において、情報記憶媒体および/またはヘッドアセンブリは、極紫外線リソグラフィに使用されるようなガラスセラミックスといった“ゼロ”膨張材料よりなる。これらは、ショット・リソテック(Schott Lithotec)社およびショット・グラス(Schott Glas)社によって製造され、“ゼロデュアー(Zerodur)”超低膨張ガラスセラミックスに基づいて開発された。また、コーニング(Corning Inc)社の超低膨張(ULE)ケイ酸チタンガラスセラミックも使用され得る。これらは、1ケルビン温度上昇当たり100mm膨張当たり1nm未満の膨張係数を有するように設計されている。例を挙げるために、現在好ましい実施形態において、データトラックの幅は、1〜2.5ミクロンのオーダである。従って、そのような実施形態における記憶媒体表面の全体の熱的移動は、各トラックに関してほぼ0.001%の領域である。
【0056】
情報記憶システムにおける上記の全般的な機械的改良に加えて、本発明はまた、情報記憶媒体とのデータの読取りおよび/または書込みの性能の著しい改良を提供し得る。詳細には、本発明は、データが記憶または検索され得る、または別様に見られ得る速度の相当の向上を提供することができ、本発明は、所定の時間内に読取り/書込まれ得るデータの量の相当の増大を提供し得る。
【0057】
ハードディスクの性能はしばしば、コンピュータシステムの全体性能の制限因子になり得る。中央処理装置(CPU)の使用は、システム、ユーザ、入出力待ちおよびアイドルの4つの種類に分けられる。システムCPU使用は、オペレーティングシステムによって要求されたものである。ユーザCPU使用は、アプリケーションによって要求されたものであり、事実上CPUの実際の引渡された作業負荷である。入出力待ちCPU使用は、ある特定のタスクに従事し、そのタスクを続行するために必要なデータが引渡されるのを待っているCPUによって費やされる時間である。アイドルCPU使用は、いかなる活動も生じていない時間である。従って、高速CPUは、ページングおよびキャッシングの効率的使用を備えていても相対的に低速なハードディスク駆動装置でデータを読取り書込みしなければならない場合、その最善の性能を実現することができないかもしれない。従って、ハードディスクアクセス時間の減少は、コンピュータの文脈において潜在的に極めて重要である。
【0058】
従来のハードディスク駆動装置の面密度を増大させることに関する問題の1つは、1次元のアクセス経路では、密度対アクセス時間比がより大きくなることであった。しかし本発明の好ましい実施形態によれば、面密度およびアクセス速度は、読取りヘッドの面密度を対応して増大させることによって同時に増大され得る。言い換えると、媒体表面がより高密度になるにつれて、ヘッドは、類似の基本製作技術を用いて、より小さくすることができ、より少ない線形空間が個々の束変化に要求される。従って、潜在的に面密度が2倍にされたならば、相対的な機械的運動のいかなる増大も伴わず、アクセス時間は半分にされ得る。
【0059】
既知の装置の全体性能を制限する別の要因は、ファイルの断片化である。しかし本発明の好ましい実施形態によれば、ファイルの断片化は、個々の断片またはクラスタが直接アドレス指定され得るので、それほど制限因子とならない。提起した物理的媒体の表面レイアウトの優位性を活用するためにデータベースアクセスが計画されるかもしれず、完全に非正規化された関係型ファイル構造のアクセスまたはフラットファイルへのアクセスは、より直接的か、または直接的でないかどちらかの索引づけにより、潜在的により単純で、より迅速になる。前述のことは個々の特定のファイルシステムの限界内のものとして理解しなければならず、索引の大きさは、それらが過度に大きくなった場合、それ自体が性能問題になる。
【0060】
これは特に、履歴的、経験的、表および他の規則的データに関係する。十分な数の索引があれば、単純なトポロジー、すなわち表面のデータの物理的レイアウトに内在する関係論理型構造によって相当量のローカル処理を行うことが可能となり得る。これは、表示画面の参照のためにほとんどまたはまったく蓄積エネルギー要求を伴わない実施形態を準備するであろう。
【0061】
この暗黙の関係論理型マッピングはまた、計算の必要がまったくなく直接に構造化照会言語(SQL)プリミティブを使用できるはずである実施形態も準備する。本質的に、ローカルハードディスク駆動装置がスクリーン(および入力装置)クライアントにサービスする。また、ネットワークがマトリックスに隠され(collapsed)得るので、ネットワーク分析もまた、物理的および計算的に、同じスケールで実行され得る。これは、個々の「パス」で潜在的にアドレス指定可能なはずである記憶構造を備える、大規模並列処理アルゴリズム設計によるアプリケーションにも当てはまるであろう。
【0062】
また実際、「人間の応答」時間スケール、すなわち150〜800ミリ秒よりも速くデータにアクセスする必要性はしばしばまったくない。
【0063】
1群の好ましい実施形態において、情報記憶媒体は、従来と同様、実質的に円形のディスクよりなる。これは、従来のディスクシステムとのその類似性に関係する多くの理由で有利となり得る。例えば、ハードウェアおよびソフトウェア構成要素の多くは、修正せずにか、またはほとんど修正せずにのどちらかで利用され得て、明らかなコスト上の利益を与える。実際には、本発明に従った情報記憶システムの構成要素の多くは、現在の駆動装置構成要素、ヘッド、ファームウェアドライバおよびアルゴリズム、およびアクセス経路の単純化されたものから利益を得るかもしれない。
【0064】
しかし本発明人は、それを回転させるのではなく記憶媒体をヘッドに対して振動させることによりヘッドによって磁気記憶媒体領域が適切にアクセスされ得るので、複数のヘッドが使用される場合に、連続回転するディスクは不可欠ではないことを認識した。従って別の群の好ましい実施形態において、情報記憶媒体は、複数の読取りおよび/または書込みヘッドに対して振動されるように構成される。これは、いくつかの利点を有し得る。例えばそれは、回転ディスクの「回転立ち上がり(spin-up)」時間が回避されるので、データへのより高速なアクセスを可能にする。
【0065】
上述した本発明の実施形態によれば、データが単一の「パス」または振動でアクセスされ得ることが理解されるであろう。従って、データの位置が、標準のヘッド/トラック/セクタ技法との類推によって、現在のデータトランザクション処理において以前に識別されていれば、あらゆるデータは1つの「パス」で検索され得る。
【0066】
データ検索のこの方法は、それ自体、新規かつ発明的であり、それ故、別の態様から見た時に、本発明は、個々のヘッドがそれらの相対移動の方向で前記媒体の小部分だけを横切るように前記記憶媒体上でヘッドのアレイを通過させることと、前記ヘッドのうちの1つ以上からデータを読取ることと、読取ったデータを出力することとを含む、不揮発性記憶媒体からデータを検索する方法を提供する。
【0067】
好ましくは、要求されたデータの全部が単一パスで読取られる。
【0068】
本発明人はさらに、この原理が、必ずしも本発明の第1の態様の文脈においてだけでなく、それ自体、新規かつ発明的であることを認識した。それ故、別の態様から見た時に、本発明は、情報記憶媒体と、情報読取りおよび/または書込みヘッドのアレイとを備える情報記憶・検索装置を提供し、情報記憶領域を備えており、情報記憶媒体およびヘッドのアレイは、使用時に互いに対して振動し、それにより情報記憶領域の各領域が前記振動の間に前記読取り書込みヘッドのうちの少なくとも1つと位置合わせされるように構成されている。
【0069】
従って、本発明のこの態様は、情報がやはり例えば磁気媒体に永久的に記憶され得て、それの上で適格な読取り書込みヘッドを、またはより好ましくはヘッドのアレイを通過させることによって読取られ/書込まれ得るという点で、従来のハードディスク駆動装置に類似の情報記憶・検索システムを提供できるということがわかるであろう。しかし、これが、既知の回転技術によって課せられる物理的限界を伴わずにハードディスク形式の情報記憶システムの広大な範囲の設計可能性を開くことが理解されるであろう。実際、本発明の好ましい実施形態に従って提供される別個の読取りおよび書込み信号経路および処理を考慮すれば、所定の領域との同時読取りおよび書込みが可能である。
【0070】
本発明のこの態様の有利な特徴は、相互の回転または別様の曲線振動を受ける記憶媒体およびヘッドにより実現され得る。しかしより好ましい実施形態において、記憶媒体およびヘッドは、互いに対して線形に振動するように構成される。前者の場合、記憶媒体およびヘッドアセンブリが円形または一部円形であることが、不可欠ではないが、好都合であるのに対し、後者の場合、それらは、不可欠ではないが、都合よくは非円形である。
【0071】
好ましくは情報記憶領域および、やはり好ましくはヘッドアレイも、(正方形を含め)矩形である。従って、データトラックは、最も都合よくは直線かつ互いに平行である。しかし、記憶領域またはトラックのあらゆる好適な形状が用途に応じて使用され得る。当然ながら、ヘッドのアレイに関して、個々のヘッドによって掃引される領域は、振動の方向で記憶領域の長さの小部分であるにすぎないであろう。従って、用語「トラック」は、情報記憶領域がより正確には、ヘッドの個々の掃引に対応する記憶部分領域の配列とみなされ得ることから、最も明解な説明ではない。
【0072】
好ましくは、共面の読取り書込みヘッドのアレイが、本発明の第1の態様においてと同様に設けられる。
【0073】
情報記憶媒体およびヘッドのアレイを互いに対して駆動するための多くの機構が考えられる。例えば、一方または両方の構成要素は、サーボによって駆動され得る。しかし好ましい実施形態では、単純な圧電アクチュエータが使用される。これは、それが作用する構成要素に特に直接的な駆動力を付与し、スキュー力が付与されるあらゆる傾向を低減することから、有益である。圧電原動力の使用は、本発明の好ましい実施形態に従って要求される少量の移動によって可能になる。
【0074】
好適とされるように、線形振動が使用される場合、記憶媒体およびヘッドは好ましくは、摺動側受によって互いに取付けられる。
【0075】
1群の好ましい実施形態では、2つの振動する情報記憶媒体またはヘッドアレイが逆相で振動するように構成される。これは、それが装置内部の全振動を最小限にするので有利である。これは、回転および線形振動にも等しく当てはまり、当然、逆振動部材の対を設けることによってスケールアップされ得る。
【0076】
一部の実施形態では、いかなる内部または外部の動力源も要求されず、所要の相対運動が単に装置を全体として揺動する、例えば、指で叩く、または相対移動する要素の一方に結合された装置内部のばねを圧縮および解放することによって、達成され得ることさえ考えられる。明らかにこれは、履歴データのような、データが相対的に低頻度で要求される用途において有用となりそうである。
【0077】
情報記憶媒体およびヘッドアレイは実質的に平面であることが現在のところ好ましいが、これは不可欠ではない。従って、その2つの表面が非平面である本発明の実施形態が考えられる。例えばそれらは、部分的または完全に円筒形であるか、またはいずれかの他の曲面形状とすることができる。重要なことは、それらの相互振動の間に表面間に実質的に一定の間隔が維持されるということだけである。この間隔は、好適とされるように、2つの表面が互いに接触している場合、ゼロであろう。当然これは、さらなる設計可能性をもたらし、特に著しくより小型の情報記憶装置を可能にする。
【0078】
好ましくは、ヘッドのアレイおよび情報記憶媒体は、互いに向けて弾性的に付勢される。これは、より一定の信号強度および全般的な安定性を保証するという利益を有する。それはまた、衝撃および打撃に起因する接触および衝突の損害の危険性を低減する。
【0079】
ヘッドのアレイはあらゆる好適な形状としてよいが、それは好ましくは、情報記憶領域と同じ大きさおよび形状である。好ましくは、ヘッドアレイは実質的に滑らかである。
【0080】
好ましくは、本発明の上記態様に従ったシステムは、1次元でのみ振動するように構成される。
【0081】
磁気媒体に記憶され得る情報のビットの数とアレイにおけるヘッドの数との比率は、ヘッド当たりビットの公称数を与えるであろう。好ましくは、記憶媒体とヘッドとの間の相互振動は、各ヘッドがこの公称ビット数を掃引するような振幅を有するように構成される。言い換えると、記憶域の各ビットはただ1つのヘッドと関係づけられる。これは、所要の情報のアドレス指定および検索を特に迅速かつ単純にする。
【0082】
最も好ましくは、ヘッド当たりビット数は、例えば関係するコンピュータオペレーティングシステムによって使用されるものといった、所定のデータブロックサイズに対応する。例えば1実施形態では、メインフレームの導入で使用される通り、各ヘッドが1「ページ」のメモリと関係するために4キロバイトのデータ記憶が存在する。別の実施形態において、このデータブロックサイズは、パーソナルコンピュータにおいて使用される通り、512バイトである。本発明の第1の態様によれば、ヘッドのアレイは使用時に情報記憶媒体と実質的に接触していることが好ましい。
【0083】
多くのヘッドを(以下に規定するように)使用することによって、個々のデータが「ロケート」される必要がなくなり、対応するヘッドの相対的に限られた行程の範囲内にあることが単に前提とされ得る。
【0084】
相対的な振動運動を駆動するために、例えば圧電駆動装置、リニアモータまたは手動による機械的操作といった、あらゆる好適な手段が設けられ得る。一部の想定される実施形態では、単一のアクチュエータの屈曲に頼るのではなく、情報記憶媒体を直接駆動するために、圧電アクチュエータのスタックが使用できよう。これにより、より大きな振動周波数が達成可能となるであろう。
【0085】
好ましい実施形態において、線形の矩形表面が振動させられる。多くの点で、これは連続回転に類似の効果をもたらすが、個々のヘッドと位置合わせされている記憶媒体の単一の領域が存在する。215Hzの例示的振動数において、これは、各ヘッドが各振動の間に(反対方向で)2回そのデータ領域の上を移動するので、いかなる物理的シークも伴わず1.2ミリ秒の待ち時間をもたらすであろう。これは、データが最上位ビットまたは最下位ビットのどちらか一方から等しく読取られ得ることを前提とする。
【0086】
16チャネルを備える本発明の実施形態が各情報記憶表面について8メガバイトのデータ転送速度を達成できることをモデルは示している。
【0087】
好ましい実施形態による通り、装置が、結果として生じる4つの媒体表面の個々と対面しているヘッドアレイとともに1対の逆振動する情報記憶媒体を備える場合、32Mbsのランダムアクセス読取り書込みデータ転送速度が可能である。実際には、読取りおよび書込みは同時に実行され得ることから、64Mbsの最大総合データ転送速度が理論的に可能である。
【0088】
本発明に従って理解される一般原理は、ヘッドの大きなアレイにより相対的に小さいデータ記憶領域の極めて直接的なアドレス指定が達成されるということである(例えば、上に示した例では512バイト)。これは、上述したデータ転送速度が「真の」ランダムにアクセスされるデータについてのものであることを意味する。これは従来技術の連続回転ディスクとは対照的であり、後者においては高いビット転送速度が達成可能であるか、または引用されているかもしれないが、それらは実際には所要のデータの近傍から読取られたデータの「バースト」を含み、実際にはそのわずかな小部分だけが、(大きなデータベースのコピー、バックアップ、データベース掃引などの特殊な状況を除き)、実際にシークされたデータを表している。
【0089】
(接続)
本発明に従った情報記憶装置がたとえどのような構成を採っているにせよ、好ましくは装置は、設けられた読取り書込みヘッドとの間で情報を転送する手段を含む。そのような手段はあらゆる適格な形態を採ることができ、従来の手段も適格となり得る。回転自在アームを使用する従来のディスク駆動装置において、アームに取付けられているヘッドは一般に、それを通じてデータが転送され得る電気コネクタとはんだ付け、圧着またはレーザー溶接され、そのような構成物は本発明での使用に適格となり得る。しかし好ましくは、設けられ得る多くの読取り書込みヘッドのために、読取り書込みヘッドは、後に既知の技術を用いて適格な接続手段が形成され得る、ガラスセラミックウェーハ上への堆積によって形成される。
【0090】
製造中の表面のジオメトリは、データを読取りおよび書込みするために最適なジオメトリで所要の薄膜を付与するために使用され得る。例えば、表面の平面上に直接読取り書込みヘッドの層を作成するよりもむしろ、主表面の一部の凹部垂直面上に表面の全体平面に直角または他の有効な角度で薄膜をスパッタすることが、より効果的となり得る。
【0091】
また、読取り書込みヘッドとの間で効率的にデータを転送するために、いずれかの形態のローカル信号処理/接続管理を設けることも好ましいかもしれない。特に、多数の組の読取り書込みヘッドが設けられる場合、アドレス指定はヘッド構成物の物理的構造のマッピングとして管理され得る。
【0092】
従って一般的に、ヘッドアセンブリとの接続部のマトリックスを設けることが好ましい。ヘッドと通信するためのマトリックスの使用は、多くの可能なアクセス経路を付与する。例えば、1024の平行ヘッドアレイは、16×64ビットの経路/同時バンド幅の可能性を付与するであろう。これは、所定のアクセスサイクルの間のデータアクセスの次元を、1から2へと、そして潜在的により大きな次元へと高める。
【0093】
(トラッキング)
コンピュータのハードディスク駆動装置といった固定形態の情報記憶媒体では、ディスクのトラックが駆動装置の読取り書込みヘッドと正しく位置合わせされるように、ディスクは正確かつ永久的に配置され得る。しかし、本発明はまた、取外し可能形態の情報記憶媒体での使用にも適格である。取外し可能な磁気または光ディスクといった取外し可能媒体の場合、ディスクは通常、いずれかの形態のキャリヤまたはトレイに置かれ、そこにおいてディスクは限られた程度の自由移動を有する。従って、好ましくは、情報記憶装置は、各ヘッドが記憶媒体上の自己の特定のトラックと正しく位置合わせされるように、駆動装置の読取り書込みヘッドの位置決めを調整するいずれかの形態のトラッキング手段を含む。
【0094】
トラッキング手段によって付与される調整は、いずれかの適格な構成によって達成され得るが、好ましくは調整は、ナノポジショニング技術において現在利用可能なような1つ以上の圧電素子の使用によって達成される。
【0095】
この構成はそれ自体、新規かつ発明的であり、それ故、別の態様から見た時に、本発明は、使用時にデータが情報記憶媒体から読取られるかまたはそれに書込まれ得るように構成された複数の読取り書込みヘッドを備えており、使用時に1つ以上の読取り書込みヘッドの位置は、読取り書込みヘッドおよび媒体のトラックのアラインメントを調整可能にするために1つ以上の圧電素子または検出器表面全体によって調整可能である、情報記憶装置を提供するものと考えられる。
【0096】
想定される1実施形態において、これは、異なる時間スケールにわたるアラインメントをデータアクセスのそれに調整するような絶えず監視されているフィードバックループ機構において可能であろう。
【0097】
圧電素子(単数または複数)はあらゆる適格な形態を採ることができ、圧電素子の適格な形態は既知である。上述の通り、存在する任意の数の読取り書込みヘッドのアラインメントは、任意の数の圧電素子によって調整され得て、ヘッドは個別に調整され得るが、好ましくは、設けられ得る多くのヘッドのために、多数のヘッドが1つ以上の圧電素子によって一緒に調整される。より好ましくは、読取り書込みヘッドの全部の位置は、1つ以上の圧電素子によって一緒に調整され得る。
【0098】
1つの構成において、読取り書込みヘッドが実装される構造または要素は、1つ以上の圧電素子によって作用されて支持構造または要素のある程度の変形を生じさせ、それによりそれらに実装されたヘッドが移動を受け適位置に調整され得る。従って、読取り書込みヘッドが、ディスクのトラックを横切って及ぶ概ね細長い支持に実装された場合、圧電素子(単数または複数)は、細長い支持を伸張または圧縮下に置くように作用し得て、それにより読取り書込みヘッドの全部の位置が変更されてトラッキング調整を付与し得る。
【0099】
本発明の上述の態様のいずれかによれば、情報記憶媒体および/またはヘッドアレイは、情報記憶装置の一体部分とし得るかまたは、カートリッジなどのような、そこから取外し可能なものとすることができる。情報記憶媒体およびヘッドアレイを互いに対して移動させるための手段は、そうしたカートリッジ内部に設けられ得るかまたは、駆動装置は装置の固定部分によって設けられ得る。
【0100】
ここにおいて多くのまたは大きいアレイのヘッドと言及した場合、これは、少なくとも100ヘッド、好ましくは少なくとも1000ヘッド、より好ましくは少なくとも10000ヘッド、そして最も好ましくは少なくとも1000000ヘッドを意味するように意図されている。実際、本発明の好ましい実施形態は、長さ1024×幅約6万4000の矩形アレイにおいて6400万を超えるヘッドを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
ここで、本発明の特定の好ましい実施形態を、例示としてのみ、添付図面に関して説明する。
【0102】
はじめに図1に注目すれば、本発明の第1の実施形態に従った情報記憶装置の略図を見ることができる。システムの主な構成要素は、磁気コーティングが施されているゼロ膨張ガラスで作られたガラスセラミックディスク2、第2のガラスセラミックディスクに設けられた読取り書込みヘッドのアレイ4、駆動機構3である。これらは、ある特定の量のディスクコントローラハードウェア5も一緒に設けられた密閉ケース104に設けられている。
【0103】
図2は、(図1に対して逆さまに図示された)2枚のディスク2、4の略断面図を示す。データ読取り書込みヘッドのアレイ4は、参照数字6によって図式的に示されている。ヘッド6は各々、データバス10の配列によってスイッチアセンブリ8に電気的に接続されている。図1でわかる通り、ヘッド6は、ヘッドのアレイディスク4上に同心バンドで構成されている。
【0104】
検出器アレイ4における読取り書込みヘッド6の構成をより明確に示している概略図が、図3に示されている。わかるように、ヘッド6の各々は、磁気記憶装置ディスク2の表面の回りを円形に延びる単一のデータトラック14と関係づけられている。このようにして、ヘッド6は、図1でわかる通り、同心の円形バンドで構成されている。しかし、図3から明らかなように、隣り合う円形バンドのヘッド6は、ヘッド6が一連の同心の螺旋12(それらのうちの4つが図2に示されている)で構成されているものとしても見られるように、互いに周方向にオフセットされている。ヘッド6のこの螺旋状構成は、ヘッドがトラックを横切って放射線状に整列された場合よりも、データトラック14がより近密に離間され得るようにすることが理解されるであろう。螺旋の最適ピッチはヘッド6の精確な形状に依存するであろうが、ディスク2の内径から外周に延びる螺旋が考えられる。
【0105】
図4に注目すれば、2つのヘッドアセンブリ6をさらに詳細に示している2枚のディスク2、4の断面図を見ることができる。はじめに、1対の対応するガラスセラミックディスク基板112、119は、ショット・グラス(Schott Glas)社から入手可能であるような“ゼロ膨張”ガラスから製作される。代わりに、例えば、コーニング(Corning Inc)社から入手可能な超低膨張(ULE)ガラスといったケイ酸チタンガラスのような、極めて低い熱膨張を有する別の材料が基板に選択され得る。2枚の基板の極めて低い熱膨張係数とともに、それらは、使用時に両者間での熱的位置決め不良の以後のあらゆる可能性を最小限にするために同じ大きさ、形状、厚さおよび材質のものである。しかし、これらのパラメータの全部、例えば厚さが同じであることは不可欠ではない。
【0106】
データディスク2の基板119はその後、反強磁性結合媒体層118を付与するために厚さ数原子のルテニウム層が間に挟まれている2層の磁気媒体でスパッタ被覆される。当業者に周知の薄膜を用いた他の媒体コーティング技法も使用できるが、この構造は、IBMによって生み出された公知の“ピクシーダスト(Pixie Dust)”構成に類似である。磁気媒体層118はその後、厚さが2.5ミクロンのオーダの超ナノ結晶性人工ダイヤモンド層117で覆われ、これは当業において周知の化学気相蒸着によって堆積される。これは、極めて強靭で耐摩耗性であるが、例えば乾燥窒素中で0.001のオーダの極めて低い摩擦係数を備える表面を付与する。
【0107】
ヘッドアレイディスクは、最初にヘッドアセンブリのための導電性コネクタ113、114のマトリックスを適用することによってビルドアップされる。例えば、銅または銀系インクがガラスディスクの表面上にプリントされるかまたは、リソグラフィエッチングが使用され得る。これらは、図5の略図においてより明確に見ることができる。マイクロプロセッサ製作技術において公知であるように、支持層110にヘッドアセンブリ6およびマトリックス113、114との接続部120を形成するために、リソグラフィエッチングが使用される。磁気的および電気的に不活性なスペーサ領域111が、隣り合うヘッドアセンブリ間に形成される。いくつかのヘッドアセンブリ6に隣接して、直角または経験的に有用と決定された別の角度での読取り書込みヘッドの薄膜製作を可能にするために、スペースが形成される。
【0108】
超ナノ結晶性人工ダイヤモンド116の2.5ミクロン層はまた、ヘッド上の記憶ディスクについてと同様、化学気相蒸着によってヘッドアセンブリ上に堆積される。
【0109】
ヘッドアセンブリ6との外部電気接続部は、図6に見ることができる。ヘッドは明瞭のために数倍拡大して図示されており、従って構成はまったく概略である。わかるように、個々のヘッドアセンブリ6は、マトリックスのラジアルおよびアジマス分岐113、114間で各ノードで接続される。ラジアル分岐113は各々、ヘッドアレイディスク4の縁端で終端する。アジマス導体114との接続は、プリント回路基板などに一般的であるように、ガラスセラミック基板112を貫通するめっき穴123によっている。従って、各ヘッドは、そのトラック番号および円形バンド番号によって一意にアドレス指定可能である。
【0110】
図1に再び言及すれば、2枚のディスク2、4は、共通のスピンドル(明瞭のために図示せず)の回りに取付けられており、データ記憶ディスク2はスピンドルに取付けられそれによって回転させられ、ヘッドアセンブリディスク4はスピンドルがそれに対して回転するように固定して保持されている。これにより、2枚のディスク間に所要の相対回転を付与するが、必要な電気接続はディスクに容易に行わせる。ディスクは、各自の対面する表面がそれぞれのダイヤモンドのような層112、119を介して互いに接触しているように取付けられる。
【0111】
情報記憶ディスク2を回転させるためにモータ3が設けられている。好ましい実施形態において2枚のディスクの相対回転速度は、従来技術のハードディスク駆動装置におけるような数千rpmとは対照的に数回転/分(rpm)のオーダであるので、モータは相対的に極めて低動力とすることができ、時計仕掛け回転駆動装置が使用され得ることさえ考えられる。モータ3は、磁気ディスク2を直接駆動するものとして図示されているが、当然ながら、ベルト、鎖、ギヤなどを用いる間接駆動装置もまた使用され得る。
【0112】
さらに、低回転速度は摩擦による発熱および摩耗が劇的に低減されることを意味し、実際、ディスク、コーティングおよび潤滑についてここに記載された材料によれば、既知の装置に少なくとも匹敵する平均寿命が実現可能である。しかし、情報記憶ディスクとヘッドアレイディスクとが完全接触しているので、ヘッドクラッシュに関係する従来既知の問題は回避され、それによってここに記載された装置をより著しく頑強にする。
【0113】
図7に注目すれば、読取りヘッド6の略拡大図を見ることができる。これは、層の一方が一定した磁気配向を付与するために「固定(pinned)」されている、ニッケル鉄合金といった2層の磁気抵抗性材料よりなる既知の巨大磁気抵抗効果型ヘッドである。他方の磁気抵抗膜は自由な配向を有し、従って、その直下でディスク表面の磁場と整列され得る。ディスク表面の磁気配向が可変磁場層を固定層と整列させた時、両方の層における磁場と平行なスピンを備える伝導電子は、その2つの層を通じたそれぞれの移動において相対的に妨げられず、それ故、全電気抵抗は相対的に低い。逆に、反対に方向づけられた磁場に直面して、その磁場と反対方向のスピンを伴う電子は、金属原子との相対的により多くの衝突を受け、従って抵抗は増大し、容易に測定され得る。
【0114】
読取り書込みヘッドの代替実施形態が図19aおよび19bに示されている。ヘッド70は概略、電磁誘導フレーム72、読取りヘッド74および磁気シールド76を備える。ワイヤコイル78が、誘導コア72の上部に巻かれており、データバスとの接続部113a、114aを有する。読取りヘッド74は同様に2つの接続部113b、114bを有する。誘導フレームの先端部分72aおよび読取りヘッド74の先端は、互いにかつ磁気媒体表面80と密に近接している。図19bの平面図でわかる通り、コイル78に電流パルスを適用することによって、束変化が磁気媒体層80に生じ得る。それらは図19bで数字82によって図式的に示されている。束変化82は以後、読取りヘッド74によって読取られ、データバスに渡される信号を電気接続部113b、114bにおいて生成し得る。
【0115】
図7に戻って、2つの電気接点16が、合成磁気抵抗膜構造が露出されている検出器間隙18の両側に見ることができる。図7から、検出器間隙18はヘッドアセンブリ6の全幅の小部分だけを表しているにすぎないことが理解され得る。検出器は、約25の束変化またはビット/ミクロンの線記憶密度を可能にする、40ナノメートルのオーダの距離にわたり束変化を検出することができる。
【0116】
図8は、ヘッド6のアレイの一部を図式的に示している。この図から、図2に関して説明した螺旋状構成によって付与されるオーバラップが、検出器間隙18を互いに最小限にオフセットさせることを可能にし、従って、ディスク2のデータトラック14が、適切な電気接続を行うために要求される相対的に大きい幅にもかかわらず、可能な限り密にパックされ得るようにすることが理解されるであろう。
【0117】
図1に図示の通り、ディスクコントローラハードウェア5は、ヘッドアセンブリディスク4から分離して取付けられているが、その上に形成することも等しく可能であろう。ディスクコントローラ5は、当業で公知の標準形式のものとしてよい。必要とされるはずの唯一の修正は、ヘッドがディスクの所要のセクタに物理的に移動させられるのではなく、所要のセクタに対応するヘッドがアドレスされ、それが読取るデータが、ディスクコントローラをコンピュータシステムの残りの部分と連結しているデータバスに供給されるという事実を考慮することである。
【0118】
このようにして、データの特定の「ページ」(オペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの選択パラメータに応じ、512、1024、2048または4096バイト)が、ディスク上の所定のセクタ、すなわち、当業で公知である通り所定のトラックの特定の角セグメントに記憶される。データディスクによってサービスされるコンピュータのオペレーティングシステムに対してはいかなる修正も必要とはされない。というのも、物理的データマッピングではなく、論理的データマッピングをヘッドアドレスに変換するために必要な標準データコントローラに対する修正は、ディスクコントローラに組み込まれ得て、プロセッサとのディスク駆動装置のインタフェースは、(より単純ではあるが)現行の既知のハードディスク駆動装置についてと同じフォーマットとし得るからである。
【0119】
図9は、ヘッド6とのデータ接続部113、114が、データバス10と直列の一連のインライン増幅器146を介してスイッチアセンブリ8に接続されている実施形態を図式的に示している。本発明の第2および第3の実施形態は、図10〜14に関して概略的に説明する。これらの実施形態では、情報記憶媒体およびヘッドアレイが1対のセラミックディスク上にそれぞれ設けられるのではなく、それらは相互に摺動する矩形部材20、22上に設けられる。これらは図10において略断面図で示されている。第1の実施形態においてと同様、2枚の類似の大きさおよび形状の矩形の基板24、26は、ショット・グラス(Schott Glas)社から入手可能なゼロ膨張ガラスセラミックまたはコーニング(Corning Inc)社からのULEガラスセラミックで作られている。磁気媒体28および超ナノ結晶性人工ダイヤモンドまたはtaCの層30は、磁気媒体層を適用するためにサイドウェイスパッタリングが使用され得ることを除き、上述とまったく同様にしてビルドアップされる。
【0120】
同様に、ヘッドアセンブリ32は、上述の通り製作され、人工ダイヤモンド層34で覆われる。しかしこの実施形態では、2つの部材の形状は、データトラック14’が、円または螺旋で構成されるようなものでなく、平行な列で構成される。円形実施形態との類推によって、隣り合う列のヘッド6’は、ヘッドの最適なパッキングを可能にするために相互にオフセットされている。データトラック14’に対するヘッド6’の構成は、図10aに見ることができる。第1の実施形態と比較したもう1つの違いは、それらがヘッドの摺動部材22の両側に作ることができるので、ヘッドとの電気接続部を作るためにヘッドアレイのセラミック基板を貫通する穴を設ける必要がないということである。
【0121】
図lla〜llcを検討すれば、これらは情報記憶装置の概略的な平面断面図、側面断面図および端面図をそれぞれ示している。磁気データ記憶部材20は、2つの側部案内溝36で滑動できるように取付けられている。データ部材20の一端には、データ部材を往復運動させるための圧電アクチュエータ38が設けられている。圧電アクチュエータはそれ自体公知である。図llcの図は、アクチュエータ38の反対端から、データ部材20の上方に適位置に固定されたヘッドアレイ部材22を示している。実際には、図11の実施形態では、2つのヘッドアレイ22が設けられており、他方はデータ部材20の下方にある。これは、両面データ部材の使用を、従って、図10の実施形態に比べてデータ容量を倍にすることを可能にする。側部案内溝36は、最適な信号強度を保証するためにヘッドアレイ22に対するデータ部材20の横方向位置にわずかな間欠的補正を付与するための別の圧電アクチュエータを備える。
【0122】
図12a〜12cの実施形態は、図lla〜llcのそれに類似であるが、データ部材20の一端の圧電アクチュエータの代わりに、磁気リニアモータ109が案内溝36の内側に沿って設けられている点が異なる。
【0123】
図13および14は、それぞれ図11および12に対応する別の実施形態の略断面図を示しているが、前の実施形態において設けられた1対のデータ部材およびヘッドアレイ構成物が各例で密閉ケース4に設けられている点が異なる。使用時、逆相鋸波電圧波が、2つのデータ部材20を反対方向に往復運動させるためのそれぞれのアクチュエータ38、109に適用される。これは、正味モーメントがまったく存在しないので、装置が全体として物理的振動を受けにくいことを意味する。
【0124】
図15および16は、データ部材およびヘッドアレイアセンブリが取外し可能である本発明のさらに別の実施形態をしている。はじめに図15に注目すれば、主ハウジング50の適格なソケットに取外し可能に挿入され得るカートリッジ40内に収容されたデータ部材20’の両側に2つの読取り書込みヘッドアレイ部材22’を見ることができる。カートリッジ40の挿入端において、駆動結合部材53が、データ部材20’の一端に連結されており、カートリッジ40に貫入してそれが圧電往復運動モータ55と結合できるようにしている。これは、例えば、磁気的または物理的「プラグ」結合部材とすることができよう。また、データバスコネクタ54も、ヘッドアレイ22’と装置コントローラおよびインタフェース回路56との間で電気接続を確立するためにカートリッジ40に貫入する。このようにして、使用時に、カートリッジ40はハウジング50に挿入され得て、データスライドは前の実施形態の場合のように動作することができ、スライド20はそれ自体、結合部材53によりモータ55によって往復運動させられる。
【0125】
図16は、図12a〜12cおよび14の場合と同様、データ部材20”を動かすためのリニアアクチュエータ109’が設けられている代替実施形態を図示している。この実施形態では、データ部材20”とのいかなる外部結合も必要ではなく、従って、ヘッドアレイ22”との電気接続部54’だけが要求されるにすぎない。これらの電気接続部はまた、リニアモータ109に給電するためにも使用される。
【0126】
図17aおよび17bは、いずれの外部原動力も必要とすることなく、事前書込みまたは読取り専用ディスク84を保持するように設計されている本発明の別の実施形態を図式的に示している。ディスク84は、ラチェット機構86によって調節される以前に巻かれたばね(図示せず)の巻き戻しによって回転する。これは、自由に回転可能なスピンドル90で回転する支持テーブル88を回転させる。1列の読取りヘッドを備えるラジアルアーム92が、データトラックごとに1つのヘッドを伴いディスク84の記憶領域を横切って延びている。ラチェット機構86は、きっかり1回転に十分なだけの原動力を供給するように機器構成され得る。これは、1回のパスでディスクのいずれかの部分からいずれかのデータを供給することができるであろう。
【0127】
図18aおよび18bは、図17aおよび17bのそれに類似の実施形態を図示しているが、この実施形態では、情報記憶媒体が矩形部材94の形態である。読取りヘッドの対応する矩形アレイ96が存在する。ヘッドアレイ96はケーシング98に対して固定されており、情報記憶部材94はそれに対して長手方向に滑動するように取付けられている。データ部材は、圧縮ばね100によってケーシングの一端に結合されている。データ部材94の他方端には、押しボタン102が設けられている取付ブロック103が取付けられている。このようにして使用時に、前の実施形態においてと同様、データは、単にボタン102を押してそれを解放することによって、単一パスで検索され得る。これは、個々のデータビットが少なくとも1つの読取りヘッドの上を通過することを保証する。
【実施例1】
【0128】
ここで、上述の円形実施形態の特定の実例を示す。情報記憶ディスク4の磁気材料の使用可能バンドは、約40mmの内径および約120mmの外径を有する。従って、対応するヘッドアレイディスクの読取り書込みヘッドは、内径から外径に単一回転で延びる螺旋で構成されており、それらの直径は磁気媒体のバンドの寸法に対応する。
【0129】
円形ディスクの内径から外径に延びる単一回転の螺旋の長さLは、次式によって与えられる。
L=π(Di+Do)/2
式中、
Di=内径
Do=外径
【0130】
従って、約40mmの内径および約120mmの外径を備えるディスクの場合、各螺旋トラックの長さは、約250mmである。
【0131】
ヘッドの大きさおよび形状ならびに螺旋のピッチは、約2.5ミクロンのヘッドの径方向間隔および、約100ミクロンの隣り合う螺旋上のヘッド間の最小周方向間隔を可能にするようなものである。
【0132】
ディスクの使用可能表面の径方向範囲は、60−20=40mmである。これに上記の径方向間隔を掛けると、ディスク上で合計16000の円形データトラックを得る。これらのうちの最も短いものは明らかに、π×Di=π×40mm=126mmの長さを有する内径である。各ヘッドが1つのデータトラックに対応するので、これは各螺旋が16000のヘッドを有することを意味する。
【0133】
現在のディスク製作技術およびヘッド感度を用いれば、トラックの線ミクロン当たり25ビットのビット密度が達成可能である。これは、各トラックが少なくとも5040000ビットまたは630000バイトを有し得ることを意味する。隣り合う螺旋上のヘッド間の最小間隔がわずか100ミクロンにすぎないので、理論的には、1260本の螺旋の余地が存在するであろう。しかし、これは各ヘッドが630000/1260=500バイトしか掃引しないことを意味するであろう。
【0134】
ヘッド当たり512バイトの構成にすることは多少好適である、より著しく好適であるのは、大多数の現在既知のオペレーティングシステムにおいて、それがデータのブロックまたはページに対応することから、ヘッド当たり4096バイトまたは4キロバイトを有することであろう。従って、現在の例では153の螺旋および、ミクロン当たり25よりわずかに低いビット密度が存在し、もってヘッド当たり626688バイトまたは4096が付与される。
【0135】
各トラックが612キロバイトのデータ容量を有することにより、ディスクの容量は全体として、16000×612kB=9.79ギガバイトであり、これは現在使用されているハードディスクと同じオーダである。
【0136】
上述のディスクが毎秒1回転で回転するように取付けられた場合、ある特定の物理データアドレスは毎秒153のヘッドを通過するはずである。従って、回転待ち時間は、0ないし1/153=6.5ミリ秒の間である。ヘッドの全部が各自のトラックと永久的に整列されているので、それ以上の物理的待ち時間はまったくなく、それ故、平均シークタイムは3.25ミリ秒である。比較として、従来の単一ヘッドディスク設計において同様のシークタイムを達成するには、15000回転/分の回転速度が必要である。これは、そうした速度に必要な相当の向心力の下で利用可能な材料の物理的強度の限界にあると考えられる。
【0137】
ヘッドディスクとデータディスクとの間の最大相対線速度は、π×120mm/1秒=0.38メートル/秒である。明らかにこれは、何千回転/分の回転速度を伴う現在既知のシステムにおいて見られる速度の極めて小分率である。
【実施例2】
【0138】
ここで、上述の矩形実施形態の特定の例を示す。この例では、磁気媒体28の領域の長さは165mmであり、幅は25mmである。
【0139】
実施例1においてと同様、ヘッドの大きさおよび形状ならびに隣り合う列間の相互オフセットのピッチは、約2.5ミクロンのヘッドの側方間隔および、約820ミクロンの隣り合う列のヘッド間の長手方向間隔を可能にするようなものである。従って、これは、列当たり10000ヘッドおよび200列、すなわち理論上、合計で200万ヘッドを可能にする。
【0140】
各列のヘッドの数は平行な線形トラックの数に対応し、従って、データ部材の長さに延びる10000のデータトラックが存在する。実施例1の円形実施形態においてと同様、25ビット/線ミクロンのデータ記憶密度により、合計25×150×100=375万ビットが存在する。それ故、列の最大数が使用されるとするならば、各ヘッドは約4000ビットをカバーするであろう。しかし、以前と同様、各ヘッドはデータの標準ページ、すなわち4096バイト(32768ビット)をカバーすることが好ましく、従って、200列のヘッドが設けられる。
【0141】
従って、スライドの総データ容量は、200×4096×10000バイト=200×4×10000キロバイト=8ギガバイトである。明らかにこれは、両面スライドが使用されるとするならば、倍になるであろう。
【0142】
平均シークタイムは、当然、スライドの往復運動の振動数および振幅に依存するであろう。例えば、100Hzの振動数およびヘッド間の長手方向の間隔に等しい振幅において、スライドは、4096×80/40=820ミクロン毎10ミリ秒の線形運動の全サイクルを実行するであろう。しかし、回転とは異なり、往復運動振動では、所定のヘッドの掃引内の各ビットは、各サイクルの間に2度通過されることが理解されるはずである。従って、各ビットは5ミリ秒ごとにヘッドと整列される。それ故、平均シークタイムは、上述の回転実施形態の場合の3.25ミリ秒の時間よりもいっそう好適である2.5ミリ秒である。5ミリ秒の掃引時間および820ミクロンの掃引振幅は、0.16メートル/秒のデータとヘッドスライダ間の相対線速度を含意する。これは、実施例1の回転実施形態において見られた最大相対速度の半分未満である。さらに、スライドの相対的に長く薄い形状は、生起するあらゆる熱膨張の最も重要な成分が長手方向、すなわち振動の方向であることをもたらす。しかし、この方向での潜在的な位置決め不良は、ディスク上で異なる半径でのトラックの異なる長さを明らかにするために回転ディスクシステムにおいてすでに使用されている公知のアルゴリズムを活用することによって自動的に回避することができる。
【0143】
別の可能な実施形態が図20に図式的に示されている。この実施形態において、前述の原理に従って製作された2枚の磁気情報記憶ディスク120、122は、やはり前述の原理に従って製作された両面ヘッドアレイディスク124と対面している。ヘッドディスク124は固定して保持されており、2枚の媒体ディスクは、両方向矢印で図示されているように周期的に伸縮する圧電アクチュエータ126に取付けられている。それ故、従来のハードディスク駆動装置のように連続的に回転させられるのではなく、2枚のディスク120、122は、ヘッドアレイ124の各ヘッドが媒体ディスク上の固定の領域をアドレスするように、それらの共通軸に関して振動させられる。従って、これは、前述した矩形スライダ実施形態と機能的に極めて類似の構成物であることが理解されるであろう。
【0144】
本発明に従った使用のための読取り書込みヘッドの好ましい実施形態を、ここで図21a、21bおよび22に関して説明する。図21aは読取り書込みヘッドアセンブリの平面図を示しており、磁気コア128およびコイル銅巻き線130を見ることができる。巻き線130a、130bの各アームには一般に約60〜65の巻き数がある。
【0145】
図21bの側面図から明白なように、コア128は、巻き線130a、130bの内側の長辺が互いに向き合うように、それぞれコアの上アームおよび下アーム128a、128bの回りに銅巻き線130a、130bを備える概ね細長いU字形を有する。磁気シールド層132が巻き線間に設けられ、それらの間の干渉を防止する。
【0146】
コア128a、128bの2本のアームは、書込みヘッド134および読取りヘッド136をそれぞれ形成するために互いに隣接して上方へ曲げられている。ガラスフィラー層138がヘッド134、136の回りにかつ同じ高さに形成され、別のガラスの層140がアセンブリ全体を覆って形成されている。2つのガラス層は、例えば、コーニング(Corning Inc)社から入手可能なULEガラスまたはショット・グラス(Schott Glas)社のゼロデュアー(Zerodur)とすることができよう。ヘッドアセンブリは、やはりそうしたガラスの基板層142で支持されている。
【0147】
ヘッドの構成のより詳細な図が図22に示されている。コアの2本のアーム128a、128bの直立端129a、129bは、磁気媒体に面しているそれらの端面の幅がアーム128a、128bの残部の幅よりも小さくなるように斜めに切除された肩部を有する。
【0148】
図22の場合のように真向から見た時に、先頭のコア端129bには、小さな後方へ傾斜した断面が形成され、その角度は端部分129bの頂部まで45ないし90°としてよい。この傾斜した断面が読取りヘッド136を画成する。
【0149】
書込みヘッド134は、他方の端部分129a(図22では一部不明瞭である)の端面によって単純に画成される。磁気シールド132は、それぞれの銅巻き線130間に拡張している。それが静電容量効果を低減するとわかったので、ガラスの基板の溝に形成された2つの信号トラック148が図示されている。しかし、これは不可欠とはみなされず、それらは代わりに表面実装され得る。
【0150】
四面体アモルファスカーボンコーティング144がヘッドアセンブリおよび基板142の上に形成されているのに対し、誘電コーティング146がヘッドアセンブリおよび信号トラック148を基板142から分離している。信号トラック148を含むヘッドアセンブリ全体の例示的ピッチは、17ミクロンである。これは隣り合うヘッド間の最小間隔である。17ミクロンが典型的であるが、よりいっそう小さい値、例えば少なくともあるオーダだけ小さい値も可能である。実際のヘッドアセンブリ自体の例示的な幅は12ミクロンであり、基板表面から上の例示的な高さは4.5ミクロンである。
【0151】
図23は、ヘッドアセンブリ150のアレイの一部を図式的に示している。これらは、前の2つの図に示されたものと同様とし得るが、同様に他の機器構成を有することもできる。各ヘッドアセンブリ150は、両端にローおよびカラム信号接続部152、154を有する。この複製は、絶縁不良から保護するために有益な冗長性を付与する。各カラム信号接続部154は実際上、その読取り書込みヘッドとの別個の読取り書込み接続部を備えており、それぞれデータの同時読取り書込みを可能にする。
【0152】
アレイの片側のカラム信号接続部154は、156で略示されているが、ヘッドの製作プロセスの間に適格なマスクによって形成された固体構成要素によって形成された前置増幅器を通っている。ローおよびカラムデコーダ158、160は、データ読取りの基本的な前処理を付与する。図23には見られないが、これらはアレイの他方側で再現されている。
【0153】
図24は、本発明に従ったデータ記憶装置を示している。詳細には、それは、2つの独立したスライダ構成物164および制御回路166を収容する外部ケーシング162を有する。各スライダ構成物164は、矩形の中心情報記憶部材168および、記憶部材168の2面に対向しそれに合致する大きさにされた1対のヘッドアレイ170を備える。
【0154】
データ記憶部材168およびヘッドアレイ170は、上述の原理のいずれかに従って形成され得る。従って、ヘッドアレイは各々、何千もの個別のヘッドを備える。
【0155】
2つの情報記憶部材168は、それぞれの圧電アクチュエータ172に取付けられている。圧電アクチュエータは、2つのスライダ構成物164の両端にあり、それらを逆相で振動させて、ケーシング162において誘起される全振動を最小限にするように構成されている。4つのヘッドアレイ170は制御回路166に接続されており、転じて回路は、例えばパーソナルコンピュータなどのデータ処理システムとの接続のための外部プラグ174と接続されている。
【0156】
本発明の特定の極めて具体的な実施形態および実施例だけが以上に説明されており、実際には、本発明の原理は多くの種々の形で具体化され得ることが、当業者には理解されるはずである。例えば、データ表面およびヘッドアレイ表面は、円形または矩形である必要はなく、平面である必要さえない。実際、あらゆる合理的な形状が使用され得ることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明に従った情報記憶装置の概略図である。
【図2】本発明に従った記憶プラッタおよび検出器アレイの略断面図である。
【図3】データ検出器ヘッドの螺旋状構成を図式的に示す。
【図4】ヘッドアレイのうちの1対の検出器ヘッドの略拡大断面図を示す。
【図5】ヘッドとの接続を示す概略図である。
【図6】ヘッドアレイディスク上のヘッドとの接続を示す概略図である。
【図7】検出器ヘッドの略拡大図を示す。
【図8】図7のヘッドアレイの一部を示す。
【図9】スイッチアセンブリとのヘッドの接続を示す概略図である。
【図10】本発明の別の実施形態の情報記憶媒体および検出器アレイの断面を示す。
【図10a】図10の実施形態におけるヘッドのオフセット構成の概略図である。
【図lla】図10の実施形態の略平面断面図である。
【図l1b】図10の実施形態の略側面断面図である。
【図llc】図10の実施形態の略端面図である。
【図12a】別の実施形態の略平面断面図である。
【図12b】図12aの実施形態の略側面断面図である。
【図12c】図12aおよび12bの実施形態の略端面図である。
【図13】2つのスライダを備える別の実施形態の略側面断面図である。
【図14】2つのスライダを備えるさらに別の実施形態の略側面断面図である。
【図15】取外し可能スライダカートリッジを備える別の実施形態の略側面断面図である。
【図16】取外し可能スライダカートリッジを備えるさらに別の実施形態の略側面断面図である。
【図17a−17b】手動巻き上げ機構によって操作される別の実施形態の略平面図および略断面図である。
【図18a−18b】手動押しばね機構によって操作される別の実施形態の略平面図および略断面図である。
【図19a−19b】それぞれ別の読取り書込みヘッドの断面図および平面図を示す。
【図20】本発明に従った代替実施形態の略斜視図である。
【図21a−21b】読取り書込みヘッドアセンブリの詳細図である。
【図22】読取り書込みアセンブリのさらなる詳細図である。
【図23】ヘッドのアレイの概略図である。
【図24】本発明の別の実施形態の情報記憶装置の略斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記憶装置および操作方法に関する。詳細には、本発明は、ディジタル情報が情報記憶媒体から読取られそれに書込まれるシステムに関する。本発明は(フロッピー(登録商標)ディスクといった)取外し可能情報記憶媒体と同様に、他の形式の固定駆動装置にも展開し得るが本発明は特に、コンピュータハードディスク駆動装置といったハードディスク駆動装置でのディジタル情報の記憶に取り組んでいる。情報記憶媒体は読出し専用かまたは読取り書込み形式のものとしてよく、情報は、磁気手段、磁気抵抗手段、(コンパクトディスクおよびDVD駆動装置におけるような)光学的手段ばかりでなく、他のあらゆる適格なプロセスによって媒体から記憶または検索され得る。
【背景技術】
【0002】
従来のハードディスク駆動装置は一般に、必要に応じて情報が読取り、書込みおよび消去され得るように、例えば磁気的または光学的記録技法によってディジタル情報が記憶され得る回転ディスクを備える。典型的な磁気ハードディスクは、金属またはセラミックで製作され、その上にコーティングの磁気特性を変えることによってディスクの情報が記憶され得るように磁気コーティングが施されている硬質のプラッタを備える。
【0003】
ディスクの利用可能な記憶領域は、ディスクの中心部とディスクの外周部との間で多数の同心トラックに物理的に編成されている。各トラックの利用可能な記憶領域もまた、一定数のバイトの、概ね楔形またはパイ形の領域である、多数のセクタに再分割されている。ディスクの利用可能な記憶領域を同心トラックおよびセクタに編成することによって、情報はディスクの特定の領域に書込まれ、そして記憶された情報は突きとめられ検索され得る。
【0004】
ディスクの特定の場所でデータを読取るまたは書込むために、ディスク駆動装置は一般に、読取り書込みヘッドを含む。従来、磁気コアに巻かれた導電性材料のコイルを備える誘導読取り書込みヘッドが磁気媒体では使用されていた。情報は、コイルに電流を通電して磁場を発生させ、それが転じてディスクの領域の磁気特性を変えることによってディスクに書込むことができた。情報は、ディスクの領域の磁気材料が、読取り書込みヘッドを形成するコイルにおいて電流を誘導させるように、ヘッドをディスク上で通過させることによってディスクから読取られ得る。
【0005】
その後、磁気抵抗、特に巨大磁気抵抗効果型(GMR)ヘッドが使用されてきた。これらは、磁気記憶媒体の領域の磁気極性またはスピン抵抗に対する電気抵抗の検出可能な変化に反応するミクロ構造物である。それらは、それらが磁束変化に対するより大きな感度を有し、従って、より高密度にパックされた情報記憶を可能にするより大きな空間分解能を可能にすることから、上述の誘導ヘッドより好ましい。
【0006】
もっと最近に提起された代替策が、米国特許第6353317号に記載されているホール効果検出器である。
【0007】
読取り書込みヘッドは通常、可動アームの一端に取付けられる。アームの他方端は、ピボットまたはヘッドジンバルアセンブリ(HGA)に支持されており、アームが選択的に回転させられ得るようにいずれかの形態の駆動手段と接続されている。アームが回転すると、読取り書込みヘッドは、ディスクの中心領域からディスクの外周領域へ浅い弧を描きディスクの表面の上を移動し、そのようにしてディスクのトラックのいずれかの上に選択的に位置づけられ得る。駆動手段は、情報が読取りまたは書込みされる際に高速でアームを移動させることができなければならず、スピーカの典型的な駆動機構に類似のいずれかの形態の“ボイスコイル”機構を一般に備える。
【0008】
使用時に、ディスクは、通常、数千回転/分(rpm)といった高速で回転させられ、読取り書込みヘッドは、回転するディスクによって発生した空気のクッション上で効果的に「浮動する」。従って、読取り書込みヘッドは、実際にそれに接触することなくディスクの表面に極めて近接して維持される。実際、ヘッドが動作中に偶発的にそれに接触した場合、プラッタの表面に重大な損傷が生じ得る。これはヘッドクラッシュとして知られており、駆動装置が突然の物理的衝撃を受けた時に最も起こり得る。これは、従来のハードディスク駆動装置の潜在的な脆弱性である。
【0009】
情報は、プログラムが処理される際にコンピュータプログラムによって生成された命令の結果としてディスクに書込まれるかまたはそれから読取られるかのいずれかである。例えば、プログラムは、以後一般にディスクコントローラに送られる情報の要求を生成することができ、データの物理的位置は、ファイルアクセステーブル(FAT)、ニューテクノロジーファイルシステム(NTFS)、バーチャルテーブルオブコンテンツ(VTOC)または他の公知の手段を用いて識別される。信号は、処理および増幅を必要とし、最適な間隔および信号強度を得るために多くのコーディングプロトコルが使用される。ディスクコントローラはその後、読取り書込みヘッドが取付けられているアームを回転させて、それによりヘッドは、所要のデータが記憶されているセクタを含むディスクの適切なトラックの上に位置する。しかし、データは、トラックの正しい部分が回転しているディスクによって読取りヘッドと位置合わせされるまで、読取られることができない。従って、ディスク上のトラックの所要の円周部分が相対的に高速度でアクセスされることを可能にするために、すなわち、ディスクが1回転を完了するのに要する時間の平均して半分となるはずであるデータの「到着時間」を最小限にするためには、ディスクが高速で回転することが必要である。
【0010】
単一の中心軸に取付けられそれに関して回転可能な多数のディスクを設けることによって、ハードディスク駆動装置の利用可能な記憶容量を増大させることは公知である。駆動装置の記憶容量はまた、単一ディスクの両面に情報を記憶する、すなわちディスクの各側面に磁気コーティングおよび可動読取り書込みヘッドを設けることによって、さらに増大され(事実上、2倍にされ)得る。例えば、初期のメインフレーム駆動装置は、1〜8枚のディスクを、従って2〜16の表面を有し、使用されるプロトコルはこの制限を反映していた。取外し可能フロッピー(登録商標)ディスクといった他の形式の情報記憶媒体に記憶された情報および、取外し可能または固定の光ディスク(コンパクトディスク、DVDなど)に記憶された光情報は、類似の方法で一般にアクセスされる。例えば、光ディスクは、レーザー構成物といった光学的手段による情報の読取り(または書込み)を可能にするが、情報を回転ディスク上の螺旋トラックまたは多数の同心トラックに編成し、所要のトラック部分の上に読取り書込みヘッドを選択的に位置決めする手段を設けるという一般原理は通常、順守される。
【0011】
上述の形式の情報記憶システムと同様に、ディスクの特定のトラックの上に読取り書込みヘッドを位置決めするために可動アームを使用しないディスク駆動装置を製作する提起もまた行われている。代わりにディスク駆動装置には、情報記憶ディスクのトラックごとに1つの読取り書込みヘッドを備えるヘッドアセンブリが設けられる。ヘッドアセンブリは一般に、多数の読取り書込みヘッドがディスク形要素の1表面に堆積されたディスク形要素よりなる。ヘッドはそれ自体、ヘッドアセンブリの表面から延出し、使用時に媒体ディスクの表面と接触する概ね針状の要素を備える。従って、この形態のディスク駆動装置は、読取り書込みヘッドが常に利用可能な情報記憶トラックの個々の上に配置され得るので、可動アームを必要としない。このようにして、ヘッド/アームアセンブリの起動および移動に起因する多くの従来ディスク駆動装置の固有の待ち時間は取り除かれ、それにより改善された情報アクセス速度を可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述の既知の形式の情報記憶駆動装置は、多くの限界および欠点を抱えている。従って、本発明は、そのような既知の装置を改良すること、特に、改善された性能および/またはより大きな使用の柔軟性を付与する情報記憶・検索システムを提供することを目的としている。本発明はまた、情報記憶システムの改善された製造方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、第1の実施態様において、複数の情報トラックを含む記憶媒体と、ヘッドアセンブリと、から成る情報記憶装置において、
前記ヘッドアセンブリは、実質的に平らな表面と、前記情報トラックと位置合わせされて配置される複数の読取り書込みヘッドと、を有しており、
前記読取り書込みヘッドは、前記平らな表面の面内に実質的に配置され、前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは、前記読取り書込みヘッドが使用時に前記情報記憶媒体の外面と実質的に摺動接触するよう、互いに摺動当接状態に配置されている、情報記憶装置を提供する。
【0014】
従って、本発明によれば、磁気ディスクといった情報記憶媒体と情報の読取りおよび/または書込みができる概ね平坦な表面を有しており、使用時にヘッドアセンブリの平坦な「読取り書込み表面」が記憶媒体の外面に当接するように位置決めされ得る読取り書込みヘッドアセンブリを製作することが可能であることは、当業者にはわかるはずである。
【0015】
単一の読取り書込みヘッドが可動アームに取付けられている従来のハードディスクシステムとは異なり、本発明は、多数の、好ましくは大きいアレイの読取り書込みヘッドが情報記憶媒体のトラックと位置合わせされて設けられ、それにより情報が記憶または検索され得る速度を増大させるという利益を有する。詳細には、一般に固定ヘッドのアレイの装備が、データをディスクの利用可能なトラックの全部に書込むまたはそれらから読取ることを可能にし、トラックシーキングに関係する待ち時間を削除可能にする。可動アームおよびその関係する駆動機構を使用することなく、多くの従来の駆動装置と比較して、単純で、より信頼でき、より高いエネルギー効率的な構成を有する情報記憶システムが製造され得る。
【0016】
しかしさらに、本発明はまた、既知の複数ヘッド構成物にまさる多くの利益を提供する。読取り書込みヘッドを磁気ハードディスクプラッタといった情報記憶媒体の表面と接触しているように構成することによって、装置は、それがヘッドクラッシュに対する防護をもはや必要としないので、既知の装置よりも著しく頑強にされることが理解されるであろう。記憶媒体および読取り書込みヘッドは、単に精密公差適合であることによって接触して維持され得る。しかし好ましくは、2つの表面を一緒に付勢させるための弾性付勢手段が設けられる。好ましくは、付勢手段は、ほぼ一定の相対圧力を記憶媒体および読取り書込みヘッドに適用するように構成される。これにより、安定した動摩擦が維持されることが可能になる。
【0017】
好ましくは、少なくとも1つの読取り書込みヘッドが、記憶媒体上で情報記憶に利用可能なトラックの全部について設けられる。従って、単純な構成物において、ヘッドアセンブリは、情報記憶媒体の対応する数のトラックの上に位置するように構成されている多数の読取り書込みヘッドから構成され得て、ヘッドはヘッドアセンブリの平面の表面と同じ高さであり、ヘッドアセンブリは転じて情報記憶媒体の平面と接触させられ得る。
【0018】
情報記憶媒体がディスクよりなり、トラックが同心円よりなる1つの好ましい構成において、読取り書込みヘッドは、それらがディスク上の最も内側のトラックからディスク上の最も外側のトラックまで1列に延び、個々の読取り書込みヘッドが特定のトラックの上に存在するように配置されるように実装され得る。従って、情報記憶ディスクの使用可能な記憶領域全体を横切って広がる1列の読取り書込みヘッドが設けられ得る。当然ながら、周方向に離間された複数のそのような列も設けられ得る。
【0019】
上述の通り、単純な形態において、本発明の読取り書込みヘッド構成物は、情報記憶媒体のトラックを横切って延びる読取り書込みヘッドの概ね線形のアレイより構成され得て、読取り書込みヘッドは概ね各トラックの上に位置する。従って、情報記憶のために設けられ得るトラックの数は一般に、読取り書込みヘッドの物理的寸法によってのみ制限されることは、明白であろう。それ故、使用され得る最小トラック幅は一般に、そのトラックの幅に概ね対応する読取り書込みヘッドを製造する能力によって、また、その幅のトラックで情報を書込む/読取る能力によってのみ制限されるにすぎない。
【0020】
現在の技術水準において、読取り書込みヘッドは、17ないし1.7ミクロンの範囲のピッチで製造され得る。言い換えると、ヘッド当たりの磁気材料、コイル材料および2つの信号トラックの総幅は17ないし1.7ミクロンになるであろう。従って、1インチ当たり10000を上回る個別の読取り書込みヘッドを備えるが、例えば、概ね従来通りの大きさの情報記憶ディスクで動作するような大きさにされ、ディスク上の対応する数のトラックと情報の読取りおよび/または書込みできる、読取り書込みヘッドのアレイを製造することが可能であろう。
【0021】
本発明は、また、情報記憶装置の読取り書込みヘッド密度(それ故、トラック密度)を増大させる別の手段も提供する。
【0022】
本発明は、第2の態様において、複数の読取り書込みヘッドを含む読取り書込みヘッドアセンブリを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に読取り書込みヘッドが、個々の読取り書込みヘッドが対応するトラックの概ね上方に位置して、情報記憶ディスクのトラックを横切って拡張する円弧状の線に沿って配置されるように、弧の編成で構成されている、情報記憶装置を提供する。
【0023】
放射状に拡張する読取り書込みヘッドの前述の構成物の1つとは異なり、円弧状の線における読取り書込みヘッドの上記構成は、読取り書込みヘッドのより大きい密度が付与されることを可能にし得る。情報記憶ディスクのトラックに関して適切に配向された円弧状ヘッド構成は、隣り合うヘッドが互いに径方向にオフセットされることを可能にし、それが読取り書込みヘッドの物理的寸法に起因する制限を克服可能にし得る。従って、最小トラック幅は読取り書込みヘッドの幅に限定されるのではなく、代わりに、読取り書込みヘッドが円弧状の線に沿って互い違いに設けられた場合、より小さい幅となり得る。
【0024】
例示目的だけのために示された簡略化した例において、情報記憶ディスクは、情報記憶ディスクの中心から20mmに始まりディスクの中心から60mmで終わる使用可能な情報記憶領域を有し得る。読取り書込みヘッドが25ミクロン(0.025mm)の幅を有する場合、ディスクの使用可能な記憶領域にわたり放射線に沿って拡張する隣り合う読取り書込みヘッドの線形アレイは、2000の読取り書込みヘッドを含むことができ、従って、ディスクの使用可能な記憶領域はトラックごとに1つの読取り書込みヘッド備える2000の同心トラックに構成され得る。隣り合うヘッドが互いに対してオフセットされている読取り書込みヘッドの円弧状アレイを使用することによって、情報記憶の使用可能な領域上に設けられ得るヘッドの数は、使用可能な情報記憶領域が構成され得るトラックの数の対応する増加を伴い何百にも増加され得る。
【0025】
従って有益には別の態様において、本発明は、複数の読取り書込みヘッドを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に情報記憶ディスクの各トラックが複数の読取り書込みヘッドによってアクセスされ得るように構成された情報記憶装置を提供する。
【0026】
好ましい形態において、読取り書込みヘッドは多数の組で設けられており、読取り書込みヘッドの各組は情報記憶ディスクの利用可能なトラックの全部にわたって拡張する。従って1つの単純な構成において、読取り書込みヘッドの第1の組は、情報記憶ディスクの全部のトラックを横切って放射状に、または矩形情報記憶部材を横切って横方向に拡張する、読取り書込みヘッドの概ね線形の構成物を含み得る。トラック当たりに多数の読取り書込みヘッドを設けることが望ましい場合、読取り書込みヘッドの第2および以降の組は、ヘッドの第1の組に類似の構成で設けられるが、それらから周方向または長手方向に離間される。
【0027】
本発明のトラック当たり複数ヘッド態様の特に好ましい構成物において、読取り書込みヘッドの各組は、前述の通り、増大したヘッド密度(および対応するトラック密度)を可能にするために円弧状の線に沿って設けられる。この構成では、読取り書込みヘッドの各組は概ね螺旋曲線をたどり、それにより、読取り書込みヘッドの多数の組が互いに隣接して設けられた時に、各トラックの複数のヘッド間の間隔が最も内側のトラックから最も外側のトラックへ増大すると同時に、各トラックの複数の読取り書込みヘッドが互い違い配置にされることを可能にし、その結果、読取り書込みヘッドの密度が最大にされ得ることが好ましい。
【0028】
理解され得るように、本発明は、情報記憶および検索の性能の改善と同様に情報記憶ディスクの機械的性能の改良を付与し得る多くの有利なヘッド構成物を提供する。
【0029】
本発明の前述の態様に従った情報記憶装置は好ましくは、最適な信号強度が維持されることを保証するためのリフレッシュ手段を備える。好ましくはリフレッシュ手段は、記憶媒体から利用可能な信号強度を監視するための手段を備えており、前記手段は、利用可能な信号強度が所定のしきい値を下回るまで低下した場合、受信した信号を再書込みするように構成されている。リフレッシュ手段は好ましくは、例えば適切に修正されたドライバといった、適格なソフトウェアを含む。
【0030】
本発明人は、読取り書込みヘッドを所要のトラックの上に位置決めするためにアーム機構を作動および移動させる際の待ち時間と同様に、ヘッドが情報を読取る/書込む準備ができる間に、アクセスされようとするセクタが読取り書込みヘッドの下の位置に位置づけられていないこともあるので、さらなる「回転」待ち時間が生じることを認識した。読取り書込みヘッドが最初に所要のトラックの上に移動させられる時、アクセスされようとするセクタはいずれかの回転位置を有し得る、すなわち、それはトラック上で周方向にいずれかの地点に位置づけられているかもしれない。従って、アクセスされるセクタの始めが読取り書込みヘッドの下に位置づけられる位置までディスクが回転する際の時間遅延が存在する。
【0031】
従来、アクセスされ得る位置にディスクの特定の部分が回転するのを待つ際の時間遅延を縮小するために情報記憶ディスクの回転速度を増大させる努力がなされてきた。この方策はその待ち時間を縮小することができるが、そのような高速駆動装置を製造する上での困難が存在する。例えば、より小さい直径のディスクを使用することによって極めて高速度が達成され得ることがわかっているが、そのようなディスクは、縮小した領域および低減した記憶容量を有する。
【0032】
さらに、ディスクの回転速度が高くなればなるほど、それを回転させるために要求されるエネルギーも大きくなり、駆動装置によって発生し放散しなければならない空気摩擦に起因する熱も大きくなる。さらに、より大きな回転速度による固有振動の増大は、位置合わせ不良などによる潜在的な問題を生じる。従って、この種の待ち時間をディスクの回転速度を増大させることによって縮小し得る程度には限界がある。
【0033】
しかし本発明によれば、多くの読取り書込みヘッドを利用した場合、相対的に低回転速度が、データアクセス時間を犠牲にすることなく情報記憶ディスクに使用され得る。その結果、これまで認識されてきたヘッド接触の不利益(熱の発生および急速な摩耗)は、実質的に取り除かれ得る。本発明の好ましい実施形態において、情報記憶ディスクは、600回転/分未満、好ましくは60rpm未満、さらには6rpm以下でさえもの回転速度で読取り書込みヘッドに対して回転するように作られる。これが、ディスク回転速度は可能な限り高く増大されるべきであるという当業における認識に完全に反することになることは、即座に理解されるであろう。例証として、現在既知のハードディスク駆動装置の回転速度は、数千回転/分のオーダである。読取り書込みヘッドと情報記憶媒体の表面との間の直接接触は、単一の読取り書込みヘッドについてでさえ、プラッタが不当に急速な摩耗を受け、発生した熱がヘッドとプラッタのトラックとの間の熱的位置決め不良を生じるはずであることから、そのような速度では現実的に想定できないであろう。
【0034】
実際、たとえ読取り書込みヘッドがプラッタと接触していないとしても、これがそれ自体で新規かつ有益であり、そして別の態様から見て、本発明が、情報記憶ディスクと、前記ディスクから情報を読取るかまたはそれに情報を書込むように構成された少なくとも1つの読取り書込みヘッドとを備えており、前記ディスクは、使用時に600回転/分未満の速度で前記読取り書込みヘッドに対して回転するように構成されている、情報記憶装置を提供することは、当業者によって理解されるであろう。
【0035】
従って、本発明のこの態様によれば、よりいっそう低速度が使用され、それは、読取り書込みヘッドと情報記憶ディスクとの間の接触を伴ってさえも、発生する熱は著しく少ないはずであるし、接触が意図されていない場合、ヘッドクラッシュの可能性が低減されるはずであることを意味する。さらに、本発明の好ましい実施形態によれば、多くのヘッドが平面に設けられ、各ヘッドは「局所的」であり、それ故あらゆる膨張作用も相対的に最小であることになる。
【0036】
好ましくは、本発明の第1の態様に従って多くの読取り書込みヘッドが設けられる。好ましくは、これらは、例えば一般的なシリコンディスク上にエッチングされることによって、モノリシック層に設けられる。そのような構成物の利益は上述されている。
【0037】
読取り書込みヘッドと情報記憶媒体との間のインタフェースは、あらゆる適格な形態をとることができ、あらゆる適格な手段によって維持され、多くの適格な構成物が明白であろう。
【0038】
好ましくは、読取り書込みヘッドは一般に、適位置に固定され、情報記憶媒体は、両者間に潤滑手段が設けられて読取り書込みヘッドの上に位置する。好ましくは、潤滑手段は、記憶媒体およびヘッドアレイの少なくとも一方、好ましくは両方における自己潤滑層を含む。好ましくは、自己潤滑層は、四面体アモルファスカーボン(taC)または超ナノ結晶性形態のような人工ダイヤモンドコーティングよりなる。これらは、それらが本質的に黒鉛およびダイヤモンドの特性を併せ持つことから基本的に自己潤滑性であり、乾燥窒素中のそれらの摩擦係数は0.001のオーダである。比較として、ポリテトラフルオロエチレンの対応する摩擦係数は約0.04である。これは、約10〜25グラムの重量を有する摺動部材について、静止摩擦に打ち克つために要求される力が10〜25ミリグラムのオーダであることを意味する。
【0039】
動摩擦は一般に静止摩擦より小さいので、動摩擦は5ないし15ミリグラムの力のオーダであると予想される。これは、従って回転、振動などを継続するために要求される力である。また、最も好ましい実施形態では、継続する規則的な相対移動が記憶媒体と検出器表面との間に存在し、従って「スティクション」が最小限にされることも認められている。
【0040】
適格な駆動手段が読取り書込みヘッドの上方で情報記憶ディスクを回転させるために設けられ得る。巻くことによってばねにエネルギーが蓄積される「時計仕掛け」システムといった他の駆動システムも使用され得ることが考えられるが、電気モータといった従来の駆動手段がこの目的に適格であるとしてよい。
【0041】
1実施形態において、情報記憶ディスクの中心部は、既知の誘導技術を用いてディスクを回転させる非接触駆動装置を設けるための誘導モータの一部を形成する。そのような構成物は、やはり構成を単純化し、装置における可動部品の数を低減し、それが信頼性を改善し得る。
【0042】
上述した構成物の各々において、複数の情報記憶ディスクが、従来のスタック型ディスク駆動装置と類似の形で情報記憶ディスク内部に設けられ得る。
【0043】
(ヘッドの実装)
上述した態様の各々において、多数の読取り書込みヘッドがあらゆる適格な手段によって適位置に構成され得る。好ましくは、設けられる読取り書込みヘッドの全部は、単一部材に、例えば、使用時にディスクまたは矩形部材といった情報記憶要素のトラックの上方に正確に位置づけられ得る概ね平面の要素に、実装される。しかし、例えばトラック当たりに複数の読取り書込みヘッドが設けられる場合、読取り書込みヘッドは多くの個別の要素に実装され得て、ヘッドは上述の通り多くの組で構成され、その際、各組はそれ自身の要素に実装され得る。
【0044】
それらが支持基板を誇示するようにヘッドが製作される場合、それらが実質的に同じ高さであることを保証するためにそれらの間にフィラー層が設けられ得る。
【0045】
特に好ましい構成物において、読取り書込みヘッドを実装するための手段は、それが使用される情報記憶媒体の大きさおよび形状に(または少なくとも情報記憶媒体の使用可能な記憶領域に)対応する大きさおよび形状に概ね作られた平面要素よりなる。そのような構成物は、読取り書込みヘッドが情報記憶媒体の利用可能な記憶領域のいずれかの領域の上に存在するように位置決めされ得て、トラックに対するヘッドの位置合わせを付与するために横方向に調整され得るので、読取り書込みヘッドの位置決めに関して高められた柔軟性を可能にする。
【0046】
ヘッドアセンブリは情報記憶媒体の記憶領域の限られた部分にわたり拡張し得るが、好ましくはそれらは実質的に同一の広がりを有する。特に好ましい実施形態において、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリは、類似の方法で類似の基板から製作される。
【0047】
好ましくは、記憶媒体および/またはヘッドアセンブリは、摩擦の発熱を最小限にするために低摩擦コーティングを備える。好ましい実施形態において、四面体アモルファスまたはダイヤモンド様コーティングが、接触する表面の一方、好ましくは両方に設けられる。
【0048】
各読取りヘッドを駆動するために要する動力の量も、好ましい実施形態によれば、あらゆる発熱作用が最小限にされることを保証するように適応されている。これはたぶん、大規模並列書込みサイクルについて問題となるにすぎないことであろう。
【0049】
読取り書込みヘッドを、それらが設けられる表面の実質的に平面に有することは、公知のエッチング技法を用いてシリコンウェーハといった適格なベース基板材料による多くの当該ヘッドの製作を可能にするので、特に有益である。これは、多くのヘッドが相対的に低コストで使用されることを可能にする。詳細には、それはヘッドの高い表面積密度が形成されることを可能にする。さらにそれは、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリが使用時にほぼ同じ温度になるはずであることを保証する。これは、同様に好ましいように、情報記憶媒体およびヘッドアセンブリがほぼ同じ大きさおよび形状であり、それらが熱的要因に同様に反応することから類似の熱膨張係数を有する材料のものである場合に、特定の利益となる。
【0050】
本発明の好ましい実施形態に従って実現可能であり使用される大規模集積回路の製作様式は、さらなる有利な可能性を開く。一般的に、ヘッドアセンブリは好ましくは、即時的かつ製品の寿命期間の両方において歩留りおよび冗長性を最大限にする特徴を備えて製作される。好ましい実施形態において、ヘッドは位相的に矩形アレイで構成される。ヘッドのそのような矩形アレイは、個々のロー(row)およびカラム(column)の一端だけから信号を読取る、または信号を書込むことによってアドレスされ得ることが、当業者には理解されるであろう。しかし好ましくは、ヘッドアレイはローおよびカラムの両端との接続部を備える。この単純な冗長性は、たとえロー/カラム接続部のいずれかに故障が生じたとしても、継続的な動作を可能にする。
【0051】
また、本発明人は、集積回路製作技法がさらに、記憶媒体から読取られた情報の初期処理を実行する構成要素を提供するために利用され得ることも認識した。従って、好ましい実施形態において、ヘッドアセンブリは、ヘッドアセンブリから出力される前に、前記ヘッドによって読取られたデータを前処理および/または予備増幅するための前処理および/または予備増幅回路を備える。
【0052】
想定される一部の実施形態において、ヘッドからの信号を検出および処理するためにヘッドのアレイの縁端にレーザーが使用され得る。
【0053】
ヘッドアレイは好ましくは、複数のステップで製造されるように構成されており、より単純な処理の後により複雑な処理が実行される。これは、基板が各段階で試験され得るので、製作プロセスの有効歩留りを最大にする。これは、より単純な段階で首尾よく製作されたそうした基板だけがより複雑な、それ故より高額な製作段階に服することを保証する。これはまた、好ましい実施形態に従って、例えばヘッド、信号接続部および、トランジスタなどといった前置増幅器構成要素といった種々の構成要素が基板上の個別の領域に配置されるように構成することによって、増強される。
【0054】
1例において、製作プロセスは以下のステップを含む。基板をポリシングするステップ、(使用される場合)誘電体で被覆するステップ、金属薄膜/スパッタリングまたは類似物を用いて信号トラックを布設するステップ、制御回路(これらは主要な実施形態の1つでは薄膜トランジスタ(TFT)である)を作成するステップ、平面コイルおよび巨大磁気抵抗効果型(GMR)またはホール効果のどちらか一方の読取りヘッドとともに、または他のいずれかの検出器技術により、読取り書込みヘッドの検出器アレイを布設するステップ、およびダイヤモンドで被覆するステップ。このプロセスは、ピクセルの代わりに検出器を備える液晶平面スクリーンの製造にほぼ類似である。実際、これは本発明の好ましい特徴である。
【0055】
(基板)
好ましい実施形態において、情報記憶媒体および/またはヘッドアセンブリは、極紫外線リソグラフィに使用されるようなガラスセラミックスといった“ゼロ”膨張材料よりなる。これらは、ショット・リソテック(Schott Lithotec)社およびショット・グラス(Schott Glas)社によって製造され、“ゼロデュアー(Zerodur)”超低膨張ガラスセラミックスに基づいて開発された。また、コーニング(Corning Inc)社の超低膨張(ULE)ケイ酸チタンガラスセラミックも使用され得る。これらは、1ケルビン温度上昇当たり100mm膨張当たり1nm未満の膨張係数を有するように設計されている。例を挙げるために、現在好ましい実施形態において、データトラックの幅は、1〜2.5ミクロンのオーダである。従って、そのような実施形態における記憶媒体表面の全体の熱的移動は、各トラックに関してほぼ0.001%の領域である。
【0056】
情報記憶システムにおける上記の全般的な機械的改良に加えて、本発明はまた、情報記憶媒体とのデータの読取りおよび/または書込みの性能の著しい改良を提供し得る。詳細には、本発明は、データが記憶または検索され得る、または別様に見られ得る速度の相当の向上を提供することができ、本発明は、所定の時間内に読取り/書込まれ得るデータの量の相当の増大を提供し得る。
【0057】
ハードディスクの性能はしばしば、コンピュータシステムの全体性能の制限因子になり得る。中央処理装置(CPU)の使用は、システム、ユーザ、入出力待ちおよびアイドルの4つの種類に分けられる。システムCPU使用は、オペレーティングシステムによって要求されたものである。ユーザCPU使用は、アプリケーションによって要求されたものであり、事実上CPUの実際の引渡された作業負荷である。入出力待ちCPU使用は、ある特定のタスクに従事し、そのタスクを続行するために必要なデータが引渡されるのを待っているCPUによって費やされる時間である。アイドルCPU使用は、いかなる活動も生じていない時間である。従って、高速CPUは、ページングおよびキャッシングの効率的使用を備えていても相対的に低速なハードディスク駆動装置でデータを読取り書込みしなければならない場合、その最善の性能を実現することができないかもしれない。従って、ハードディスクアクセス時間の減少は、コンピュータの文脈において潜在的に極めて重要である。
【0058】
従来のハードディスク駆動装置の面密度を増大させることに関する問題の1つは、1次元のアクセス経路では、密度対アクセス時間比がより大きくなることであった。しかし本発明の好ましい実施形態によれば、面密度およびアクセス速度は、読取りヘッドの面密度を対応して増大させることによって同時に増大され得る。言い換えると、媒体表面がより高密度になるにつれて、ヘッドは、類似の基本製作技術を用いて、より小さくすることができ、より少ない線形空間が個々の束変化に要求される。従って、潜在的に面密度が2倍にされたならば、相対的な機械的運動のいかなる増大も伴わず、アクセス時間は半分にされ得る。
【0059】
既知の装置の全体性能を制限する別の要因は、ファイルの断片化である。しかし本発明の好ましい実施形態によれば、ファイルの断片化は、個々の断片またはクラスタが直接アドレス指定され得るので、それほど制限因子とならない。提起した物理的媒体の表面レイアウトの優位性を活用するためにデータベースアクセスが計画されるかもしれず、完全に非正規化された関係型ファイル構造のアクセスまたはフラットファイルへのアクセスは、より直接的か、または直接的でないかどちらかの索引づけにより、潜在的により単純で、より迅速になる。前述のことは個々の特定のファイルシステムの限界内のものとして理解しなければならず、索引の大きさは、それらが過度に大きくなった場合、それ自体が性能問題になる。
【0060】
これは特に、履歴的、経験的、表および他の規則的データに関係する。十分な数の索引があれば、単純なトポロジー、すなわち表面のデータの物理的レイアウトに内在する関係論理型構造によって相当量のローカル処理を行うことが可能となり得る。これは、表示画面の参照のためにほとんどまたはまったく蓄積エネルギー要求を伴わない実施形態を準備するであろう。
【0061】
この暗黙の関係論理型マッピングはまた、計算の必要がまったくなく直接に構造化照会言語(SQL)プリミティブを使用できるはずである実施形態も準備する。本質的に、ローカルハードディスク駆動装置がスクリーン(および入力装置)クライアントにサービスする。また、ネットワークがマトリックスに隠され(collapsed)得るので、ネットワーク分析もまた、物理的および計算的に、同じスケールで実行され得る。これは、個々の「パス」で潜在的にアドレス指定可能なはずである記憶構造を備える、大規模並列処理アルゴリズム設計によるアプリケーションにも当てはまるであろう。
【0062】
また実際、「人間の応答」時間スケール、すなわち150〜800ミリ秒よりも速くデータにアクセスする必要性はしばしばまったくない。
【0063】
1群の好ましい実施形態において、情報記憶媒体は、従来と同様、実質的に円形のディスクよりなる。これは、従来のディスクシステムとのその類似性に関係する多くの理由で有利となり得る。例えば、ハードウェアおよびソフトウェア構成要素の多くは、修正せずにか、またはほとんど修正せずにのどちらかで利用され得て、明らかなコスト上の利益を与える。実際には、本発明に従った情報記憶システムの構成要素の多くは、現在の駆動装置構成要素、ヘッド、ファームウェアドライバおよびアルゴリズム、およびアクセス経路の単純化されたものから利益を得るかもしれない。
【0064】
しかし本発明人は、それを回転させるのではなく記憶媒体をヘッドに対して振動させることによりヘッドによって磁気記憶媒体領域が適切にアクセスされ得るので、複数のヘッドが使用される場合に、連続回転するディスクは不可欠ではないことを認識した。従って別の群の好ましい実施形態において、情報記憶媒体は、複数の読取りおよび/または書込みヘッドに対して振動されるように構成される。これは、いくつかの利点を有し得る。例えばそれは、回転ディスクの「回転立ち上がり(spin-up)」時間が回避されるので、データへのより高速なアクセスを可能にする。
【0065】
上述した本発明の実施形態によれば、データが単一の「パス」または振動でアクセスされ得ることが理解されるであろう。従って、データの位置が、標準のヘッド/トラック/セクタ技法との類推によって、現在のデータトランザクション処理において以前に識別されていれば、あらゆるデータは1つの「パス」で検索され得る。
【0066】
データ検索のこの方法は、それ自体、新規かつ発明的であり、それ故、別の態様から見た時に、本発明は、個々のヘッドがそれらの相対移動の方向で前記媒体の小部分だけを横切るように前記記憶媒体上でヘッドのアレイを通過させることと、前記ヘッドのうちの1つ以上からデータを読取ることと、読取ったデータを出力することとを含む、不揮発性記憶媒体からデータを検索する方法を提供する。
【0067】
好ましくは、要求されたデータの全部が単一パスで読取られる。
【0068】
本発明人はさらに、この原理が、必ずしも本発明の第1の態様の文脈においてだけでなく、それ自体、新規かつ発明的であることを認識した。それ故、別の態様から見た時に、本発明は、情報記憶媒体と、情報読取りおよび/または書込みヘッドのアレイとを備える情報記憶・検索装置を提供し、情報記憶領域を備えており、情報記憶媒体およびヘッドのアレイは、使用時に互いに対して振動し、それにより情報記憶領域の各領域が前記振動の間に前記読取り書込みヘッドのうちの少なくとも1つと位置合わせされるように構成されている。
【0069】
従って、本発明のこの態様は、情報がやはり例えば磁気媒体に永久的に記憶され得て、それの上で適格な読取り書込みヘッドを、またはより好ましくはヘッドのアレイを通過させることによって読取られ/書込まれ得るという点で、従来のハードディスク駆動装置に類似の情報記憶・検索システムを提供できるということがわかるであろう。しかし、これが、既知の回転技術によって課せられる物理的限界を伴わずにハードディスク形式の情報記憶システムの広大な範囲の設計可能性を開くことが理解されるであろう。実際、本発明の好ましい実施形態に従って提供される別個の読取りおよび書込み信号経路および処理を考慮すれば、所定の領域との同時読取りおよび書込みが可能である。
【0070】
本発明のこの態様の有利な特徴は、相互の回転または別様の曲線振動を受ける記憶媒体およびヘッドにより実現され得る。しかしより好ましい実施形態において、記憶媒体およびヘッドは、互いに対して線形に振動するように構成される。前者の場合、記憶媒体およびヘッドアセンブリが円形または一部円形であることが、不可欠ではないが、好都合であるのに対し、後者の場合、それらは、不可欠ではないが、都合よくは非円形である。
【0071】
好ましくは情報記憶領域および、やはり好ましくはヘッドアレイも、(正方形を含め)矩形である。従って、データトラックは、最も都合よくは直線かつ互いに平行である。しかし、記憶領域またはトラックのあらゆる好適な形状が用途に応じて使用され得る。当然ながら、ヘッドのアレイに関して、個々のヘッドによって掃引される領域は、振動の方向で記憶領域の長さの小部分であるにすぎないであろう。従って、用語「トラック」は、情報記憶領域がより正確には、ヘッドの個々の掃引に対応する記憶部分領域の配列とみなされ得ることから、最も明解な説明ではない。
【0072】
好ましくは、共面の読取り書込みヘッドのアレイが、本発明の第1の態様においてと同様に設けられる。
【0073】
情報記憶媒体およびヘッドのアレイを互いに対して駆動するための多くの機構が考えられる。例えば、一方または両方の構成要素は、サーボによって駆動され得る。しかし好ましい実施形態では、単純な圧電アクチュエータが使用される。これは、それが作用する構成要素に特に直接的な駆動力を付与し、スキュー力が付与されるあらゆる傾向を低減することから、有益である。圧電原動力の使用は、本発明の好ましい実施形態に従って要求される少量の移動によって可能になる。
【0074】
好適とされるように、線形振動が使用される場合、記憶媒体およびヘッドは好ましくは、摺動側受によって互いに取付けられる。
【0075】
1群の好ましい実施形態では、2つの振動する情報記憶媒体またはヘッドアレイが逆相で振動するように構成される。これは、それが装置内部の全振動を最小限にするので有利である。これは、回転および線形振動にも等しく当てはまり、当然、逆振動部材の対を設けることによってスケールアップされ得る。
【0076】
一部の実施形態では、いかなる内部または外部の動力源も要求されず、所要の相対運動が単に装置を全体として揺動する、例えば、指で叩く、または相対移動する要素の一方に結合された装置内部のばねを圧縮および解放することによって、達成され得ることさえ考えられる。明らかにこれは、履歴データのような、データが相対的に低頻度で要求される用途において有用となりそうである。
【0077】
情報記憶媒体およびヘッドアレイは実質的に平面であることが現在のところ好ましいが、これは不可欠ではない。従って、その2つの表面が非平面である本発明の実施形態が考えられる。例えばそれらは、部分的または完全に円筒形であるか、またはいずれかの他の曲面形状とすることができる。重要なことは、それらの相互振動の間に表面間に実質的に一定の間隔が維持されるということだけである。この間隔は、好適とされるように、2つの表面が互いに接触している場合、ゼロであろう。当然これは、さらなる設計可能性をもたらし、特に著しくより小型の情報記憶装置を可能にする。
【0078】
好ましくは、ヘッドのアレイおよび情報記憶媒体は、互いに向けて弾性的に付勢される。これは、より一定の信号強度および全般的な安定性を保証するという利益を有する。それはまた、衝撃および打撃に起因する接触および衝突の損害の危険性を低減する。
【0079】
ヘッドのアレイはあらゆる好適な形状としてよいが、それは好ましくは、情報記憶領域と同じ大きさおよび形状である。好ましくは、ヘッドアレイは実質的に滑らかである。
【0080】
好ましくは、本発明の上記態様に従ったシステムは、1次元でのみ振動するように構成される。
【0081】
磁気媒体に記憶され得る情報のビットの数とアレイにおけるヘッドの数との比率は、ヘッド当たりビットの公称数を与えるであろう。好ましくは、記憶媒体とヘッドとの間の相互振動は、各ヘッドがこの公称ビット数を掃引するような振幅を有するように構成される。言い換えると、記憶域の各ビットはただ1つのヘッドと関係づけられる。これは、所要の情報のアドレス指定および検索を特に迅速かつ単純にする。
【0082】
最も好ましくは、ヘッド当たりビット数は、例えば関係するコンピュータオペレーティングシステムによって使用されるものといった、所定のデータブロックサイズに対応する。例えば1実施形態では、メインフレームの導入で使用される通り、各ヘッドが1「ページ」のメモリと関係するために4キロバイトのデータ記憶が存在する。別の実施形態において、このデータブロックサイズは、パーソナルコンピュータにおいて使用される通り、512バイトである。本発明の第1の態様によれば、ヘッドのアレイは使用時に情報記憶媒体と実質的に接触していることが好ましい。
【0083】
多くのヘッドを(以下に規定するように)使用することによって、個々のデータが「ロケート」される必要がなくなり、対応するヘッドの相対的に限られた行程の範囲内にあることが単に前提とされ得る。
【0084】
相対的な振動運動を駆動するために、例えば圧電駆動装置、リニアモータまたは手動による機械的操作といった、あらゆる好適な手段が設けられ得る。一部の想定される実施形態では、単一のアクチュエータの屈曲に頼るのではなく、情報記憶媒体を直接駆動するために、圧電アクチュエータのスタックが使用できよう。これにより、より大きな振動周波数が達成可能となるであろう。
【0085】
好ましい実施形態において、線形の矩形表面が振動させられる。多くの点で、これは連続回転に類似の効果をもたらすが、個々のヘッドと位置合わせされている記憶媒体の単一の領域が存在する。215Hzの例示的振動数において、これは、各ヘッドが各振動の間に(反対方向で)2回そのデータ領域の上を移動するので、いかなる物理的シークも伴わず1.2ミリ秒の待ち時間をもたらすであろう。これは、データが最上位ビットまたは最下位ビットのどちらか一方から等しく読取られ得ることを前提とする。
【0086】
16チャネルを備える本発明の実施形態が各情報記憶表面について8メガバイトのデータ転送速度を達成できることをモデルは示している。
【0087】
好ましい実施形態による通り、装置が、結果として生じる4つの媒体表面の個々と対面しているヘッドアレイとともに1対の逆振動する情報記憶媒体を備える場合、32Mbsのランダムアクセス読取り書込みデータ転送速度が可能である。実際には、読取りおよび書込みは同時に実行され得ることから、64Mbsの最大総合データ転送速度が理論的に可能である。
【0088】
本発明に従って理解される一般原理は、ヘッドの大きなアレイにより相対的に小さいデータ記憶領域の極めて直接的なアドレス指定が達成されるということである(例えば、上に示した例では512バイト)。これは、上述したデータ転送速度が「真の」ランダムにアクセスされるデータについてのものであることを意味する。これは従来技術の連続回転ディスクとは対照的であり、後者においては高いビット転送速度が達成可能であるか、または引用されているかもしれないが、それらは実際には所要のデータの近傍から読取られたデータの「バースト」を含み、実際にはそのわずかな小部分だけが、(大きなデータベースのコピー、バックアップ、データベース掃引などの特殊な状況を除き)、実際にシークされたデータを表している。
【0089】
(接続)
本発明に従った情報記憶装置がたとえどのような構成を採っているにせよ、好ましくは装置は、設けられた読取り書込みヘッドとの間で情報を転送する手段を含む。そのような手段はあらゆる適格な形態を採ることができ、従来の手段も適格となり得る。回転自在アームを使用する従来のディスク駆動装置において、アームに取付けられているヘッドは一般に、それを通じてデータが転送され得る電気コネクタとはんだ付け、圧着またはレーザー溶接され、そのような構成物は本発明での使用に適格となり得る。しかし好ましくは、設けられ得る多くの読取り書込みヘッドのために、読取り書込みヘッドは、後に既知の技術を用いて適格な接続手段が形成され得る、ガラスセラミックウェーハ上への堆積によって形成される。
【0090】
製造中の表面のジオメトリは、データを読取りおよび書込みするために最適なジオメトリで所要の薄膜を付与するために使用され得る。例えば、表面の平面上に直接読取り書込みヘッドの層を作成するよりもむしろ、主表面の一部の凹部垂直面上に表面の全体平面に直角または他の有効な角度で薄膜をスパッタすることが、より効果的となり得る。
【0091】
また、読取り書込みヘッドとの間で効率的にデータを転送するために、いずれかの形態のローカル信号処理/接続管理を設けることも好ましいかもしれない。特に、多数の組の読取り書込みヘッドが設けられる場合、アドレス指定はヘッド構成物の物理的構造のマッピングとして管理され得る。
【0092】
従って一般的に、ヘッドアセンブリとの接続部のマトリックスを設けることが好ましい。ヘッドと通信するためのマトリックスの使用は、多くの可能なアクセス経路を付与する。例えば、1024の平行ヘッドアレイは、16×64ビットの経路/同時バンド幅の可能性を付与するであろう。これは、所定のアクセスサイクルの間のデータアクセスの次元を、1から2へと、そして潜在的により大きな次元へと高める。
【0093】
(トラッキング)
コンピュータのハードディスク駆動装置といった固定形態の情報記憶媒体では、ディスクのトラックが駆動装置の読取り書込みヘッドと正しく位置合わせされるように、ディスクは正確かつ永久的に配置され得る。しかし、本発明はまた、取外し可能形態の情報記憶媒体での使用にも適格である。取外し可能な磁気または光ディスクといった取外し可能媒体の場合、ディスクは通常、いずれかの形態のキャリヤまたはトレイに置かれ、そこにおいてディスクは限られた程度の自由移動を有する。従って、好ましくは、情報記憶装置は、各ヘッドが記憶媒体上の自己の特定のトラックと正しく位置合わせされるように、駆動装置の読取り書込みヘッドの位置決めを調整するいずれかの形態のトラッキング手段を含む。
【0094】
トラッキング手段によって付与される調整は、いずれかの適格な構成によって達成され得るが、好ましくは調整は、ナノポジショニング技術において現在利用可能なような1つ以上の圧電素子の使用によって達成される。
【0095】
この構成はそれ自体、新規かつ発明的であり、それ故、別の態様から見た時に、本発明は、使用時にデータが情報記憶媒体から読取られるかまたはそれに書込まれ得るように構成された複数の読取り書込みヘッドを備えており、使用時に1つ以上の読取り書込みヘッドの位置は、読取り書込みヘッドおよび媒体のトラックのアラインメントを調整可能にするために1つ以上の圧電素子または検出器表面全体によって調整可能である、情報記憶装置を提供するものと考えられる。
【0096】
想定される1実施形態において、これは、異なる時間スケールにわたるアラインメントをデータアクセスのそれに調整するような絶えず監視されているフィードバックループ機構において可能であろう。
【0097】
圧電素子(単数または複数)はあらゆる適格な形態を採ることができ、圧電素子の適格な形態は既知である。上述の通り、存在する任意の数の読取り書込みヘッドのアラインメントは、任意の数の圧電素子によって調整され得て、ヘッドは個別に調整され得るが、好ましくは、設けられ得る多くのヘッドのために、多数のヘッドが1つ以上の圧電素子によって一緒に調整される。より好ましくは、読取り書込みヘッドの全部の位置は、1つ以上の圧電素子によって一緒に調整され得る。
【0098】
1つの構成において、読取り書込みヘッドが実装される構造または要素は、1つ以上の圧電素子によって作用されて支持構造または要素のある程度の変形を生じさせ、それによりそれらに実装されたヘッドが移動を受け適位置に調整され得る。従って、読取り書込みヘッドが、ディスクのトラックを横切って及ぶ概ね細長い支持に実装された場合、圧電素子(単数または複数)は、細長い支持を伸張または圧縮下に置くように作用し得て、それにより読取り書込みヘッドの全部の位置が変更されてトラッキング調整を付与し得る。
【0099】
本発明の上述の態様のいずれかによれば、情報記憶媒体および/またはヘッドアレイは、情報記憶装置の一体部分とし得るかまたは、カートリッジなどのような、そこから取外し可能なものとすることができる。情報記憶媒体およびヘッドアレイを互いに対して移動させるための手段は、そうしたカートリッジ内部に設けられ得るかまたは、駆動装置は装置の固定部分によって設けられ得る。
【0100】
ここにおいて多くのまたは大きいアレイのヘッドと言及した場合、これは、少なくとも100ヘッド、好ましくは少なくとも1000ヘッド、より好ましくは少なくとも10000ヘッド、そして最も好ましくは少なくとも1000000ヘッドを意味するように意図されている。実際、本発明の好ましい実施形態は、長さ1024×幅約6万4000の矩形アレイにおいて6400万を超えるヘッドを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0101】
ここで、本発明の特定の好ましい実施形態を、例示としてのみ、添付図面に関して説明する。
【0102】
はじめに図1に注目すれば、本発明の第1の実施形態に従った情報記憶装置の略図を見ることができる。システムの主な構成要素は、磁気コーティングが施されているゼロ膨張ガラスで作られたガラスセラミックディスク2、第2のガラスセラミックディスクに設けられた読取り書込みヘッドのアレイ4、駆動機構3である。これらは、ある特定の量のディスクコントローラハードウェア5も一緒に設けられた密閉ケース104に設けられている。
【0103】
図2は、(図1に対して逆さまに図示された)2枚のディスク2、4の略断面図を示す。データ読取り書込みヘッドのアレイ4は、参照数字6によって図式的に示されている。ヘッド6は各々、データバス10の配列によってスイッチアセンブリ8に電気的に接続されている。図1でわかる通り、ヘッド6は、ヘッドのアレイディスク4上に同心バンドで構成されている。
【0104】
検出器アレイ4における読取り書込みヘッド6の構成をより明確に示している概略図が、図3に示されている。わかるように、ヘッド6の各々は、磁気記憶装置ディスク2の表面の回りを円形に延びる単一のデータトラック14と関係づけられている。このようにして、ヘッド6は、図1でわかる通り、同心の円形バンドで構成されている。しかし、図3から明らかなように、隣り合う円形バンドのヘッド6は、ヘッド6が一連の同心の螺旋12(それらのうちの4つが図2に示されている)で構成されているものとしても見られるように、互いに周方向にオフセットされている。ヘッド6のこの螺旋状構成は、ヘッドがトラックを横切って放射線状に整列された場合よりも、データトラック14がより近密に離間され得るようにすることが理解されるであろう。螺旋の最適ピッチはヘッド6の精確な形状に依存するであろうが、ディスク2の内径から外周に延びる螺旋が考えられる。
【0105】
図4に注目すれば、2つのヘッドアセンブリ6をさらに詳細に示している2枚のディスク2、4の断面図を見ることができる。はじめに、1対の対応するガラスセラミックディスク基板112、119は、ショット・グラス(Schott Glas)社から入手可能であるような“ゼロ膨張”ガラスから製作される。代わりに、例えば、コーニング(Corning Inc)社から入手可能な超低膨張(ULE)ガラスといったケイ酸チタンガラスのような、極めて低い熱膨張を有する別の材料が基板に選択され得る。2枚の基板の極めて低い熱膨張係数とともに、それらは、使用時に両者間での熱的位置決め不良の以後のあらゆる可能性を最小限にするために同じ大きさ、形状、厚さおよび材質のものである。しかし、これらのパラメータの全部、例えば厚さが同じであることは不可欠ではない。
【0106】
データディスク2の基板119はその後、反強磁性結合媒体層118を付与するために厚さ数原子のルテニウム層が間に挟まれている2層の磁気媒体でスパッタ被覆される。当業者に周知の薄膜を用いた他の媒体コーティング技法も使用できるが、この構造は、IBMによって生み出された公知の“ピクシーダスト(Pixie Dust)”構成に類似である。磁気媒体層118はその後、厚さが2.5ミクロンのオーダの超ナノ結晶性人工ダイヤモンド層117で覆われ、これは当業において周知の化学気相蒸着によって堆積される。これは、極めて強靭で耐摩耗性であるが、例えば乾燥窒素中で0.001のオーダの極めて低い摩擦係数を備える表面を付与する。
【0107】
ヘッドアレイディスクは、最初にヘッドアセンブリのための導電性コネクタ113、114のマトリックスを適用することによってビルドアップされる。例えば、銅または銀系インクがガラスディスクの表面上にプリントされるかまたは、リソグラフィエッチングが使用され得る。これらは、図5の略図においてより明確に見ることができる。マイクロプロセッサ製作技術において公知であるように、支持層110にヘッドアセンブリ6およびマトリックス113、114との接続部120を形成するために、リソグラフィエッチングが使用される。磁気的および電気的に不活性なスペーサ領域111が、隣り合うヘッドアセンブリ間に形成される。いくつかのヘッドアセンブリ6に隣接して、直角または経験的に有用と決定された別の角度での読取り書込みヘッドの薄膜製作を可能にするために、スペースが形成される。
【0108】
超ナノ結晶性人工ダイヤモンド116の2.5ミクロン層はまた、ヘッド上の記憶ディスクについてと同様、化学気相蒸着によってヘッドアセンブリ上に堆積される。
【0109】
ヘッドアセンブリ6との外部電気接続部は、図6に見ることができる。ヘッドは明瞭のために数倍拡大して図示されており、従って構成はまったく概略である。わかるように、個々のヘッドアセンブリ6は、マトリックスのラジアルおよびアジマス分岐113、114間で各ノードで接続される。ラジアル分岐113は各々、ヘッドアレイディスク4の縁端で終端する。アジマス導体114との接続は、プリント回路基板などに一般的であるように、ガラスセラミック基板112を貫通するめっき穴123によっている。従って、各ヘッドは、そのトラック番号および円形バンド番号によって一意にアドレス指定可能である。
【0110】
図1に再び言及すれば、2枚のディスク2、4は、共通のスピンドル(明瞭のために図示せず)の回りに取付けられており、データ記憶ディスク2はスピンドルに取付けられそれによって回転させられ、ヘッドアセンブリディスク4はスピンドルがそれに対して回転するように固定して保持されている。これにより、2枚のディスク間に所要の相対回転を付与するが、必要な電気接続はディスクに容易に行わせる。ディスクは、各自の対面する表面がそれぞれのダイヤモンドのような層112、119を介して互いに接触しているように取付けられる。
【0111】
情報記憶ディスク2を回転させるためにモータ3が設けられている。好ましい実施形態において2枚のディスクの相対回転速度は、従来技術のハードディスク駆動装置におけるような数千rpmとは対照的に数回転/分(rpm)のオーダであるので、モータは相対的に極めて低動力とすることができ、時計仕掛け回転駆動装置が使用され得ることさえ考えられる。モータ3は、磁気ディスク2を直接駆動するものとして図示されているが、当然ながら、ベルト、鎖、ギヤなどを用いる間接駆動装置もまた使用され得る。
【0112】
さらに、低回転速度は摩擦による発熱および摩耗が劇的に低減されることを意味し、実際、ディスク、コーティングおよび潤滑についてここに記載された材料によれば、既知の装置に少なくとも匹敵する平均寿命が実現可能である。しかし、情報記憶ディスクとヘッドアレイディスクとが完全接触しているので、ヘッドクラッシュに関係する従来既知の問題は回避され、それによってここに記載された装置をより著しく頑強にする。
【0113】
図7に注目すれば、読取りヘッド6の略拡大図を見ることができる。これは、層の一方が一定した磁気配向を付与するために「固定(pinned)」されている、ニッケル鉄合金といった2層の磁気抵抗性材料よりなる既知の巨大磁気抵抗効果型ヘッドである。他方の磁気抵抗膜は自由な配向を有し、従って、その直下でディスク表面の磁場と整列され得る。ディスク表面の磁気配向が可変磁場層を固定層と整列させた時、両方の層における磁場と平行なスピンを備える伝導電子は、その2つの層を通じたそれぞれの移動において相対的に妨げられず、それ故、全電気抵抗は相対的に低い。逆に、反対に方向づけられた磁場に直面して、その磁場と反対方向のスピンを伴う電子は、金属原子との相対的により多くの衝突を受け、従って抵抗は増大し、容易に測定され得る。
【0114】
読取り書込みヘッドの代替実施形態が図19aおよび19bに示されている。ヘッド70は概略、電磁誘導フレーム72、読取りヘッド74および磁気シールド76を備える。ワイヤコイル78が、誘導コア72の上部に巻かれており、データバスとの接続部113a、114aを有する。読取りヘッド74は同様に2つの接続部113b、114bを有する。誘導フレームの先端部分72aおよび読取りヘッド74の先端は、互いにかつ磁気媒体表面80と密に近接している。図19bの平面図でわかる通り、コイル78に電流パルスを適用することによって、束変化が磁気媒体層80に生じ得る。それらは図19bで数字82によって図式的に示されている。束変化82は以後、読取りヘッド74によって読取られ、データバスに渡される信号を電気接続部113b、114bにおいて生成し得る。
【0115】
図7に戻って、2つの電気接点16が、合成磁気抵抗膜構造が露出されている検出器間隙18の両側に見ることができる。図7から、検出器間隙18はヘッドアセンブリ6の全幅の小部分だけを表しているにすぎないことが理解され得る。検出器は、約25の束変化またはビット/ミクロンの線記憶密度を可能にする、40ナノメートルのオーダの距離にわたり束変化を検出することができる。
【0116】
図8は、ヘッド6のアレイの一部を図式的に示している。この図から、図2に関して説明した螺旋状構成によって付与されるオーバラップが、検出器間隙18を互いに最小限にオフセットさせることを可能にし、従って、ディスク2のデータトラック14が、適切な電気接続を行うために要求される相対的に大きい幅にもかかわらず、可能な限り密にパックされ得るようにすることが理解されるであろう。
【0117】
図1に図示の通り、ディスクコントローラハードウェア5は、ヘッドアセンブリディスク4から分離して取付けられているが、その上に形成することも等しく可能であろう。ディスクコントローラ5は、当業で公知の標準形式のものとしてよい。必要とされるはずの唯一の修正は、ヘッドがディスクの所要のセクタに物理的に移動させられるのではなく、所要のセクタに対応するヘッドがアドレスされ、それが読取るデータが、ディスクコントローラをコンピュータシステムの残りの部分と連結しているデータバスに供給されるという事実を考慮することである。
【0118】
このようにして、データの特定の「ページ」(オペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの選択パラメータに応じ、512、1024、2048または4096バイト)が、ディスク上の所定のセクタ、すなわち、当業で公知である通り所定のトラックの特定の角セグメントに記憶される。データディスクによってサービスされるコンピュータのオペレーティングシステムに対してはいかなる修正も必要とはされない。というのも、物理的データマッピングではなく、論理的データマッピングをヘッドアドレスに変換するために必要な標準データコントローラに対する修正は、ディスクコントローラに組み込まれ得て、プロセッサとのディスク駆動装置のインタフェースは、(より単純ではあるが)現行の既知のハードディスク駆動装置についてと同じフォーマットとし得るからである。
【0119】
図9は、ヘッド6とのデータ接続部113、114が、データバス10と直列の一連のインライン増幅器146を介してスイッチアセンブリ8に接続されている実施形態を図式的に示している。本発明の第2および第3の実施形態は、図10〜14に関して概略的に説明する。これらの実施形態では、情報記憶媒体およびヘッドアレイが1対のセラミックディスク上にそれぞれ設けられるのではなく、それらは相互に摺動する矩形部材20、22上に設けられる。これらは図10において略断面図で示されている。第1の実施形態においてと同様、2枚の類似の大きさおよび形状の矩形の基板24、26は、ショット・グラス(Schott Glas)社から入手可能なゼロ膨張ガラスセラミックまたはコーニング(Corning Inc)社からのULEガラスセラミックで作られている。磁気媒体28および超ナノ結晶性人工ダイヤモンドまたはtaCの層30は、磁気媒体層を適用するためにサイドウェイスパッタリングが使用され得ることを除き、上述とまったく同様にしてビルドアップされる。
【0120】
同様に、ヘッドアセンブリ32は、上述の通り製作され、人工ダイヤモンド層34で覆われる。しかしこの実施形態では、2つの部材の形状は、データトラック14’が、円または螺旋で構成されるようなものでなく、平行な列で構成される。円形実施形態との類推によって、隣り合う列のヘッド6’は、ヘッドの最適なパッキングを可能にするために相互にオフセットされている。データトラック14’に対するヘッド6’の構成は、図10aに見ることができる。第1の実施形態と比較したもう1つの違いは、それらがヘッドの摺動部材22の両側に作ることができるので、ヘッドとの電気接続部を作るためにヘッドアレイのセラミック基板を貫通する穴を設ける必要がないということである。
【0121】
図lla〜llcを検討すれば、これらは情報記憶装置の概略的な平面断面図、側面断面図および端面図をそれぞれ示している。磁気データ記憶部材20は、2つの側部案内溝36で滑動できるように取付けられている。データ部材20の一端には、データ部材を往復運動させるための圧電アクチュエータ38が設けられている。圧電アクチュエータはそれ自体公知である。図llcの図は、アクチュエータ38の反対端から、データ部材20の上方に適位置に固定されたヘッドアレイ部材22を示している。実際には、図11の実施形態では、2つのヘッドアレイ22が設けられており、他方はデータ部材20の下方にある。これは、両面データ部材の使用を、従って、図10の実施形態に比べてデータ容量を倍にすることを可能にする。側部案内溝36は、最適な信号強度を保証するためにヘッドアレイ22に対するデータ部材20の横方向位置にわずかな間欠的補正を付与するための別の圧電アクチュエータを備える。
【0122】
図12a〜12cの実施形態は、図lla〜llcのそれに類似であるが、データ部材20の一端の圧電アクチュエータの代わりに、磁気リニアモータ109が案内溝36の内側に沿って設けられている点が異なる。
【0123】
図13および14は、それぞれ図11および12に対応する別の実施形態の略断面図を示しているが、前の実施形態において設けられた1対のデータ部材およびヘッドアレイ構成物が各例で密閉ケース4に設けられている点が異なる。使用時、逆相鋸波電圧波が、2つのデータ部材20を反対方向に往復運動させるためのそれぞれのアクチュエータ38、109に適用される。これは、正味モーメントがまったく存在しないので、装置が全体として物理的振動を受けにくいことを意味する。
【0124】
図15および16は、データ部材およびヘッドアレイアセンブリが取外し可能である本発明のさらに別の実施形態をしている。はじめに図15に注目すれば、主ハウジング50の適格なソケットに取外し可能に挿入され得るカートリッジ40内に収容されたデータ部材20’の両側に2つの読取り書込みヘッドアレイ部材22’を見ることができる。カートリッジ40の挿入端において、駆動結合部材53が、データ部材20’の一端に連結されており、カートリッジ40に貫入してそれが圧電往復運動モータ55と結合できるようにしている。これは、例えば、磁気的または物理的「プラグ」結合部材とすることができよう。また、データバスコネクタ54も、ヘッドアレイ22’と装置コントローラおよびインタフェース回路56との間で電気接続を確立するためにカートリッジ40に貫入する。このようにして、使用時に、カートリッジ40はハウジング50に挿入され得て、データスライドは前の実施形態の場合のように動作することができ、スライド20はそれ自体、結合部材53によりモータ55によって往復運動させられる。
【0125】
図16は、図12a〜12cおよび14の場合と同様、データ部材20”を動かすためのリニアアクチュエータ109’が設けられている代替実施形態を図示している。この実施形態では、データ部材20”とのいかなる外部結合も必要ではなく、従って、ヘッドアレイ22”との電気接続部54’だけが要求されるにすぎない。これらの電気接続部はまた、リニアモータ109に給電するためにも使用される。
【0126】
図17aおよび17bは、いずれの外部原動力も必要とすることなく、事前書込みまたは読取り専用ディスク84を保持するように設計されている本発明の別の実施形態を図式的に示している。ディスク84は、ラチェット機構86によって調節される以前に巻かれたばね(図示せず)の巻き戻しによって回転する。これは、自由に回転可能なスピンドル90で回転する支持テーブル88を回転させる。1列の読取りヘッドを備えるラジアルアーム92が、データトラックごとに1つのヘッドを伴いディスク84の記憶領域を横切って延びている。ラチェット機構86は、きっかり1回転に十分なだけの原動力を供給するように機器構成され得る。これは、1回のパスでディスクのいずれかの部分からいずれかのデータを供給することができるであろう。
【0127】
図18aおよび18bは、図17aおよび17bのそれに類似の実施形態を図示しているが、この実施形態では、情報記憶媒体が矩形部材94の形態である。読取りヘッドの対応する矩形アレイ96が存在する。ヘッドアレイ96はケーシング98に対して固定されており、情報記憶部材94はそれに対して長手方向に滑動するように取付けられている。データ部材は、圧縮ばね100によってケーシングの一端に結合されている。データ部材94の他方端には、押しボタン102が設けられている取付ブロック103が取付けられている。このようにして使用時に、前の実施形態においてと同様、データは、単にボタン102を押してそれを解放することによって、単一パスで検索され得る。これは、個々のデータビットが少なくとも1つの読取りヘッドの上を通過することを保証する。
【実施例1】
【0128】
ここで、上述の円形実施形態の特定の実例を示す。情報記憶ディスク4の磁気材料の使用可能バンドは、約40mmの内径および約120mmの外径を有する。従って、対応するヘッドアレイディスクの読取り書込みヘッドは、内径から外径に単一回転で延びる螺旋で構成されており、それらの直径は磁気媒体のバンドの寸法に対応する。
【0129】
円形ディスクの内径から外径に延びる単一回転の螺旋の長さLは、次式によって与えられる。
L=π(Di+Do)/2
式中、
Di=内径
Do=外径
【0130】
従って、約40mmの内径および約120mmの外径を備えるディスクの場合、各螺旋トラックの長さは、約250mmである。
【0131】
ヘッドの大きさおよび形状ならびに螺旋のピッチは、約2.5ミクロンのヘッドの径方向間隔および、約100ミクロンの隣り合う螺旋上のヘッド間の最小周方向間隔を可能にするようなものである。
【0132】
ディスクの使用可能表面の径方向範囲は、60−20=40mmである。これに上記の径方向間隔を掛けると、ディスク上で合計16000の円形データトラックを得る。これらのうちの最も短いものは明らかに、π×Di=π×40mm=126mmの長さを有する内径である。各ヘッドが1つのデータトラックに対応するので、これは各螺旋が16000のヘッドを有することを意味する。
【0133】
現在のディスク製作技術およびヘッド感度を用いれば、トラックの線ミクロン当たり25ビットのビット密度が達成可能である。これは、各トラックが少なくとも5040000ビットまたは630000バイトを有し得ることを意味する。隣り合う螺旋上のヘッド間の最小間隔がわずか100ミクロンにすぎないので、理論的には、1260本の螺旋の余地が存在するであろう。しかし、これは各ヘッドが630000/1260=500バイトしか掃引しないことを意味するであろう。
【0134】
ヘッド当たり512バイトの構成にすることは多少好適である、より著しく好適であるのは、大多数の現在既知のオペレーティングシステムにおいて、それがデータのブロックまたはページに対応することから、ヘッド当たり4096バイトまたは4キロバイトを有することであろう。従って、現在の例では153の螺旋および、ミクロン当たり25よりわずかに低いビット密度が存在し、もってヘッド当たり626688バイトまたは4096が付与される。
【0135】
各トラックが612キロバイトのデータ容量を有することにより、ディスクの容量は全体として、16000×612kB=9.79ギガバイトであり、これは現在使用されているハードディスクと同じオーダである。
【0136】
上述のディスクが毎秒1回転で回転するように取付けられた場合、ある特定の物理データアドレスは毎秒153のヘッドを通過するはずである。従って、回転待ち時間は、0ないし1/153=6.5ミリ秒の間である。ヘッドの全部が各自のトラックと永久的に整列されているので、それ以上の物理的待ち時間はまったくなく、それ故、平均シークタイムは3.25ミリ秒である。比較として、従来の単一ヘッドディスク設計において同様のシークタイムを達成するには、15000回転/分の回転速度が必要である。これは、そうした速度に必要な相当の向心力の下で利用可能な材料の物理的強度の限界にあると考えられる。
【0137】
ヘッドディスクとデータディスクとの間の最大相対線速度は、π×120mm/1秒=0.38メートル/秒である。明らかにこれは、何千回転/分の回転速度を伴う現在既知のシステムにおいて見られる速度の極めて小分率である。
【実施例2】
【0138】
ここで、上述の矩形実施形態の特定の例を示す。この例では、磁気媒体28の領域の長さは165mmであり、幅は25mmである。
【0139】
実施例1においてと同様、ヘッドの大きさおよび形状ならびに隣り合う列間の相互オフセットのピッチは、約2.5ミクロンのヘッドの側方間隔および、約820ミクロンの隣り合う列のヘッド間の長手方向間隔を可能にするようなものである。従って、これは、列当たり10000ヘッドおよび200列、すなわち理論上、合計で200万ヘッドを可能にする。
【0140】
各列のヘッドの数は平行な線形トラックの数に対応し、従って、データ部材の長さに延びる10000のデータトラックが存在する。実施例1の円形実施形態においてと同様、25ビット/線ミクロンのデータ記憶密度により、合計25×150×100=375万ビットが存在する。それ故、列の最大数が使用されるとするならば、各ヘッドは約4000ビットをカバーするであろう。しかし、以前と同様、各ヘッドはデータの標準ページ、すなわち4096バイト(32768ビット)をカバーすることが好ましく、従って、200列のヘッドが設けられる。
【0141】
従って、スライドの総データ容量は、200×4096×10000バイト=200×4×10000キロバイト=8ギガバイトである。明らかにこれは、両面スライドが使用されるとするならば、倍になるであろう。
【0142】
平均シークタイムは、当然、スライドの往復運動の振動数および振幅に依存するであろう。例えば、100Hzの振動数およびヘッド間の長手方向の間隔に等しい振幅において、スライドは、4096×80/40=820ミクロン毎10ミリ秒の線形運動の全サイクルを実行するであろう。しかし、回転とは異なり、往復運動振動では、所定のヘッドの掃引内の各ビットは、各サイクルの間に2度通過されることが理解されるはずである。従って、各ビットは5ミリ秒ごとにヘッドと整列される。それ故、平均シークタイムは、上述の回転実施形態の場合の3.25ミリ秒の時間よりもいっそう好適である2.5ミリ秒である。5ミリ秒の掃引時間および820ミクロンの掃引振幅は、0.16メートル/秒のデータとヘッドスライダ間の相対線速度を含意する。これは、実施例1の回転実施形態において見られた最大相対速度の半分未満である。さらに、スライドの相対的に長く薄い形状は、生起するあらゆる熱膨張の最も重要な成分が長手方向、すなわち振動の方向であることをもたらす。しかし、この方向での潜在的な位置決め不良は、ディスク上で異なる半径でのトラックの異なる長さを明らかにするために回転ディスクシステムにおいてすでに使用されている公知のアルゴリズムを活用することによって自動的に回避することができる。
【0143】
別の可能な実施形態が図20に図式的に示されている。この実施形態において、前述の原理に従って製作された2枚の磁気情報記憶ディスク120、122は、やはり前述の原理に従って製作された両面ヘッドアレイディスク124と対面している。ヘッドディスク124は固定して保持されており、2枚の媒体ディスクは、両方向矢印で図示されているように周期的に伸縮する圧電アクチュエータ126に取付けられている。それ故、従来のハードディスク駆動装置のように連続的に回転させられるのではなく、2枚のディスク120、122は、ヘッドアレイ124の各ヘッドが媒体ディスク上の固定の領域をアドレスするように、それらの共通軸に関して振動させられる。従って、これは、前述した矩形スライダ実施形態と機能的に極めて類似の構成物であることが理解されるであろう。
【0144】
本発明に従った使用のための読取り書込みヘッドの好ましい実施形態を、ここで図21a、21bおよび22に関して説明する。図21aは読取り書込みヘッドアセンブリの平面図を示しており、磁気コア128およびコイル銅巻き線130を見ることができる。巻き線130a、130bの各アームには一般に約60〜65の巻き数がある。
【0145】
図21bの側面図から明白なように、コア128は、巻き線130a、130bの内側の長辺が互いに向き合うように、それぞれコアの上アームおよび下アーム128a、128bの回りに銅巻き線130a、130bを備える概ね細長いU字形を有する。磁気シールド層132が巻き線間に設けられ、それらの間の干渉を防止する。
【0146】
コア128a、128bの2本のアームは、書込みヘッド134および読取りヘッド136をそれぞれ形成するために互いに隣接して上方へ曲げられている。ガラスフィラー層138がヘッド134、136の回りにかつ同じ高さに形成され、別のガラスの層140がアセンブリ全体を覆って形成されている。2つのガラス層は、例えば、コーニング(Corning Inc)社から入手可能なULEガラスまたはショット・グラス(Schott Glas)社のゼロデュアー(Zerodur)とすることができよう。ヘッドアセンブリは、やはりそうしたガラスの基板層142で支持されている。
【0147】
ヘッドの構成のより詳細な図が図22に示されている。コアの2本のアーム128a、128bの直立端129a、129bは、磁気媒体に面しているそれらの端面の幅がアーム128a、128bの残部の幅よりも小さくなるように斜めに切除された肩部を有する。
【0148】
図22の場合のように真向から見た時に、先頭のコア端129bには、小さな後方へ傾斜した断面が形成され、その角度は端部分129bの頂部まで45ないし90°としてよい。この傾斜した断面が読取りヘッド136を画成する。
【0149】
書込みヘッド134は、他方の端部分129a(図22では一部不明瞭である)の端面によって単純に画成される。磁気シールド132は、それぞれの銅巻き線130間に拡張している。それが静電容量効果を低減するとわかったので、ガラスの基板の溝に形成された2つの信号トラック148が図示されている。しかし、これは不可欠とはみなされず、それらは代わりに表面実装され得る。
【0150】
四面体アモルファスカーボンコーティング144がヘッドアセンブリおよび基板142の上に形成されているのに対し、誘電コーティング146がヘッドアセンブリおよび信号トラック148を基板142から分離している。信号トラック148を含むヘッドアセンブリ全体の例示的ピッチは、17ミクロンである。これは隣り合うヘッド間の最小間隔である。17ミクロンが典型的であるが、よりいっそう小さい値、例えば少なくともあるオーダだけ小さい値も可能である。実際のヘッドアセンブリ自体の例示的な幅は12ミクロンであり、基板表面から上の例示的な高さは4.5ミクロンである。
【0151】
図23は、ヘッドアセンブリ150のアレイの一部を図式的に示している。これらは、前の2つの図に示されたものと同様とし得るが、同様に他の機器構成を有することもできる。各ヘッドアセンブリ150は、両端にローおよびカラム信号接続部152、154を有する。この複製は、絶縁不良から保護するために有益な冗長性を付与する。各カラム信号接続部154は実際上、その読取り書込みヘッドとの別個の読取り書込み接続部を備えており、それぞれデータの同時読取り書込みを可能にする。
【0152】
アレイの片側のカラム信号接続部154は、156で略示されているが、ヘッドの製作プロセスの間に適格なマスクによって形成された固体構成要素によって形成された前置増幅器を通っている。ローおよびカラムデコーダ158、160は、データ読取りの基本的な前処理を付与する。図23には見られないが、これらはアレイの他方側で再現されている。
【0153】
図24は、本発明に従ったデータ記憶装置を示している。詳細には、それは、2つの独立したスライダ構成物164および制御回路166を収容する外部ケーシング162を有する。各スライダ構成物164は、矩形の中心情報記憶部材168および、記憶部材168の2面に対向しそれに合致する大きさにされた1対のヘッドアレイ170を備える。
【0154】
データ記憶部材168およびヘッドアレイ170は、上述の原理のいずれかに従って形成され得る。従って、ヘッドアレイは各々、何千もの個別のヘッドを備える。
【0155】
2つの情報記憶部材168は、それぞれの圧電アクチュエータ172に取付けられている。圧電アクチュエータは、2つのスライダ構成物164の両端にあり、それらを逆相で振動させて、ケーシング162において誘起される全振動を最小限にするように構成されている。4つのヘッドアレイ170は制御回路166に接続されており、転じて回路は、例えばパーソナルコンピュータなどのデータ処理システムとの接続のための外部プラグ174と接続されている。
【0156】
本発明の特定の極めて具体的な実施形態および実施例だけが以上に説明されており、実際には、本発明の原理は多くの種々の形で具体化され得ることが、当業者には理解されるはずである。例えば、データ表面およびヘッドアレイ表面は、円形または矩形である必要はなく、平面である必要さえない。実際、あらゆる合理的な形状が使用され得ることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】本発明に従った情報記憶装置の概略図である。
【図2】本発明に従った記憶プラッタおよび検出器アレイの略断面図である。
【図3】データ検出器ヘッドの螺旋状構成を図式的に示す。
【図4】ヘッドアレイのうちの1対の検出器ヘッドの略拡大断面図を示す。
【図5】ヘッドとの接続を示す概略図である。
【図6】ヘッドアレイディスク上のヘッドとの接続を示す概略図である。
【図7】検出器ヘッドの略拡大図を示す。
【図8】図7のヘッドアレイの一部を示す。
【図9】スイッチアセンブリとのヘッドの接続を示す概略図である。
【図10】本発明の別の実施形態の情報記憶媒体および検出器アレイの断面を示す。
【図10a】図10の実施形態におけるヘッドのオフセット構成の概略図である。
【図lla】図10の実施形態の略平面断面図である。
【図l1b】図10の実施形態の略側面断面図である。
【図llc】図10の実施形態の略端面図である。
【図12a】別の実施形態の略平面断面図である。
【図12b】図12aの実施形態の略側面断面図である。
【図12c】図12aおよび12bの実施形態の略端面図である。
【図13】2つのスライダを備える別の実施形態の略側面断面図である。
【図14】2つのスライダを備えるさらに別の実施形態の略側面断面図である。
【図15】取外し可能スライダカートリッジを備える別の実施形態の略側面断面図である。
【図16】取外し可能スライダカートリッジを備えるさらに別の実施形態の略側面断面図である。
【図17a−17b】手動巻き上げ機構によって操作される別の実施形態の略平面図および略断面図である。
【図18a−18b】手動押しばね機構によって操作される別の実施形態の略平面図および略断面図である。
【図19a−19b】それぞれ別の読取り書込みヘッドの断面図および平面図を示す。
【図20】本発明に従った代替実施形態の略斜視図である。
【図21a−21b】読取り書込みヘッドアセンブリの詳細図である。
【図22】読取り書込みアセンブリのさらなる詳細図である。
【図23】ヘッドのアレイの概略図である。
【図24】本発明の別の実施形態の情報記憶装置の略斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報トラックを含む記憶媒体と、ヘッドアセンブリと、から成る情報記憶装置であって、
前記ヘッドアセンブリは、
実質的に平らな表面と、前記情報トラックと位置合わせされて配置された複数の読取り書込みヘッドと、を有しており、
前記読取り書込みヘッドは実質的に前記平らな表面の面内に配置されており、
前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは、前記読取り書込みヘッドが使用時に前記情報記憶媒体の外面と実質的に摺動接触しているように、相互に摺動当接状態で配置されている、情報記憶装置。
【請求項2】
前記ヘッドはモノリシック層上に設けられている、請求項1記載の情報記憶装置。
【請求項3】
前記ヘッドは所定位置に固定されており、前記情報記憶媒体は、両者間に潤滑のための手段が設けられて前記ヘッド上に位置する、請求項1または2に記載の情報記憶装置。
【請求項4】
前記潤滑手段は、前記記憶媒体とヘッドアレイのうちの少なくとも一方の上に自己潤滑層を含む、請求項3に記載の情報記憶装置。
【請求項5】
前記自己潤滑層は人工ダイヤモンドコーティングを含む、請求項4に記載の情報記憶装置。
【請求項6】
前記読取り書込みヘッドの全部が単一部材に実装されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項7】
前記部材は一般に、前記情報記憶媒体の大きさおよび形状に対応する大きさおよび形状とされている、請求項6に記載の情報記憶装置。
【請求項8】
前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは類似の基板を備える、請求項7に記載の情報記憶装置。
【請求項9】
前記記憶媒体および前記読取り書込みヘッドを一緒に付勢させるための弾性付勢手段を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項10】
前記ヘッドは位相的に矩形アレイで構成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項11】
前記ヘッドアレイはローおよびカラムの両方の端部との接続部を備える、請求項10に記載の情報記憶装置。
【請求項12】
前記ヘッドアセンブリは、前記ヘッドによって読取られたデータを前記ヘッドアセンブリから出力される前に前処理および/または予備増幅するための前処理および/または予備増幅回路を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項13】
前記記憶媒体および/または前記ヘッドアセンブリは、1ケルビン温度上昇当たり1nm/100mm未満の膨張係数を有するガラスの基板を含む、いずれかの上記請求項に記載の情報記憶装置。
【請求項14】
前記記憶媒体上の情報記憶用トラックの全部について少なくとも1つの読取り書込みヘッドが設けられている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項15】
最適な信号強度の維持を保証するためのリフレッシュ手段を含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項16】
前記リフレッシュ手段は、前記記憶媒体からの信号強度を監視するための手段を含み、前記監視手段は、得られる信号強度が所定のしきい値を下回るまで低下したとき、受信信号を再書込みするよう構成されている、請求項15に記載の情報記憶装置。
【請求項17】
前記ヘッドアセンブリおよび前記情報記憶媒体は互いに向けて弾性付勢されている、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項18】
前記記憶媒体の記憶域の各ビットは1つだけのヘッドと関係づけられている、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項19】
前記読取り書込みヘッドに、或いはそれらから情報を転送する手段を含む、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項20】
前記読取り書込みヘッドはガラスセラミックウェーハ上に堆積によって形成され、前記ウェーハは接続手段を備えている、請求項19に記載の情報記憶装置。
【請求項21】
各ヘッドが前記記憶媒体上の自己の特定トラックと正しく位置合わせされるように駆動装置の読取り書込みヘッドの位置決めを調整するためのトラッキング手段を含む、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項22】
前記トラッキング手段は1つ以上の圧電素子を含む、請求項21に記載の情報記憶装置。
【請求項23】
1つ以上の圧電素子が、前記ヘッドの全部の位置を一緒に調整するよう構成されている、請求項22に記載の情報記憶装置。
【請求項24】
前記1つ以上の圧電素子は、前記読取り書込みヘッドが実装されている構造または要素に作用して前記支持構造または要素のある程度の変形を生じさせ、もってそれらに実装された前記ヘッドが適正位置に調整移動され得るように構成されている、請求項22または23に記載の情報記憶装置。
【請求項25】
前記情報記憶媒体を前記ヘッドアセンブリに対して振動させる手段を含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項26】
情報記憶領域を備える情報記憶媒体と、情報読取りおよび/または書込みヘッドのアレイと、を備え、前記情報記憶媒体および前記ヘッドアレイは、使用時に互いに対して振動させられ、もって前記情報記憶領域の各領域が前記振動の間に前記読取り書込みヘッドのうちの少なくとも1つと位置合わせされるように構成されている、情報記憶・検索装置。
【請求項27】
前記振動を駆動するための圧電アクチュエータを含む、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記ヘッドアレイは実質的に平らな表面を有する部材上に設けられており、前記ヘッドは前記表面と実質的に共面である、請求項26または27に記載の装置。
【請求項29】
前記ヘッドは前記情報記憶媒体と互いに摺動当接している、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
逆相で振動するように構成された2つの振動する情報記憶媒体またはヘッドアレイを含む、請求項25乃至29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記ヘッドアレイは前記情報記憶領域と同じ大きさおよび形状である、請求項25乃至30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記3情報記憶媒体および前記ヘッドアレイは互いに対して線形に振動するように構成されている、請求項25乃至31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記ヘッドアレイは矩形である、請求項25乃至32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記情報記憶媒体は矩形である、請求項25乃至33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記情報記憶媒体はディスクからなる、請求項1乃至31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
複数の読取り書込みヘッドから成り、前記読取り書込みヘッドは、使用時に情報記憶ディスクの各トラックが1つ以上の読取り書込みヘッドがアクセスできるように構成されている、情報記憶装置。
【請求項37】
前記読取り書込みヘッドは多数組設けられており、前記読取り書込みヘッドの各組は前記情報記憶ディスクのトラックの全部にわたって延びている、請求項35または36に記載の情報記憶装置。
【請求項38】
読取り書込みヘッドの第1の組は、前記情報記憶ディスクの全トラックを横切って半径方向に延びる、或いは矩形情報記憶部材を横切って幅方向に延びる、概ね線形に配設された読取り書込みヘッドから成る、請求項35、36または37に記載の情報記憶装置。
【請求項39】
前記第1の組のヘッドと類似の構成を有するもそれらから周方向または長手方向に離間された別の組の読取り書込みヘッドを含む、請求項38に記載の情報記憶装置。
【請求項40】
各読取り書込みヘッド組は円弧状の線に沿って設けられている、請求項39に記載の情報記憶装置。
【請求項41】
各読取り書込みヘッドの組は、読取り書込みヘッドの多数の組が互いに隣接して設けられ、各トラックの複数のヘッド間の間隔が最も内側のトラックから最も外側のトラックへ増大するように、概ね螺旋曲線をたどっている、請求項40記載の情報記憶装置。
【請求項42】
複数の読取り書込みヘッドを含む読取り書込みヘッドアセンブリを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に読取り書込みヘッドが、個々の読取り書込みヘッドが対応するトラックの概ね上方に位置して、情報記憶ディスクのトラックを横切って拡張する円弧状の線に沿って配置されるように、弧の編成で構成されている、情報記憶装置。
【請求項43】
600回転/分未満の回転速度で読取り書込みヘッドに対して回転するように構成された情報記憶ディスクを含む、請求項35〜42のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項44】
情報記憶ディスクと、前記ディスクから情報を読取るかまたはそれに情報を書込むように構成された少なくとも1つの読取り書込みヘッドとを備えており、前記ディスクは、使用時に600回転/分未満の回転速度で前記読取り書込みヘッドに対して回転するように構成されている、情報記憶装置。
【請求項45】
読取り書込みヘッドは、個々の読取り書込みヘッドが特定のトラックの上に位置するように配置されて、それらがディスクの最も内側のトラックからディスクの最も外側のトラックに直線で拡張するように実装されている、請求項35〜44のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項46】
使用時にデータが情報記憶媒体から読取られるかまたはそれに書込まれ得るように構成された複数の読取り書込みヘッドを備えており、使用時に、1つ以上の読取り書込みヘッドの位置は、読取り書込みヘッドおよび媒体のトラックのアラインメントを調整可能にするために1つ以上の圧電素子または検出器表面全体によって調整可能である、情報記憶装置。
【請求項47】
前記情報記憶媒体の中心部が誘導モータの一部を形成する、請求項35〜46のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項48】
データ記憶装置であって、
データ記憶媒体と、
前記データ記憶媒体に対してデータを書込み、読取りするヘッドアレイと、
前記データ記憶媒体および前記ヘッドアレイを互いに対して線形に振動させる振動駆動機構と、から成るデータ記憶装置。
【請求項49】
不揮発性記憶媒体からデータを検索する方法であって、個々のヘッドがそれらの相対移動の方向で前記媒体の小部分だけを横切るように前記記憶媒体上でヘッドのアレイを通過させることと、前記ヘッドのうちの1つ以上からデータを読取ることと、読取ったデータを出力することと、から成る方法。
【請求項50】
単一パスで全部の所要のデータを読取ることを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項1】
複数の情報トラックを含む記憶媒体と、ヘッドアセンブリと、から成る情報記憶装置であって、
前記ヘッドアセンブリは、
実質的に平らな表面と、前記情報トラックと位置合わせされて配置された複数の読取り書込みヘッドと、を有しており、
前記読取り書込みヘッドは実質的に前記平らな表面の面内に配置されており、
前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは、前記読取り書込みヘッドが使用時に前記情報記憶媒体の外面と実質的に摺動接触しているように、相互に摺動当接状態で配置されている、情報記憶装置。
【請求項2】
前記ヘッドはモノリシック層上に設けられている、請求項1記載の情報記憶装置。
【請求項3】
前記ヘッドは所定位置に固定されており、前記情報記憶媒体は、両者間に潤滑のための手段が設けられて前記ヘッド上に位置する、請求項1または2に記載の情報記憶装置。
【請求項4】
前記潤滑手段は、前記記憶媒体とヘッドアレイのうちの少なくとも一方の上に自己潤滑層を含む、請求項3に記載の情報記憶装置。
【請求項5】
前記自己潤滑層は人工ダイヤモンドコーティングを含む、請求項4に記載の情報記憶装置。
【請求項6】
前記読取り書込みヘッドの全部が単一部材に実装されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項7】
前記部材は一般に、前記情報記憶媒体の大きさおよび形状に対応する大きさおよび形状とされている、請求項6に記載の情報記憶装置。
【請求項8】
前記情報記憶媒体および前記ヘッドアセンブリは類似の基板を備える、請求項7に記載の情報記憶装置。
【請求項9】
前記記憶媒体および前記読取り書込みヘッドを一緒に付勢させるための弾性付勢手段を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項10】
前記ヘッドは位相的に矩形アレイで構成されている、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項11】
前記ヘッドアレイはローおよびカラムの両方の端部との接続部を備える、請求項10に記載の情報記憶装置。
【請求項12】
前記ヘッドアセンブリは、前記ヘッドによって読取られたデータを前記ヘッドアセンブリから出力される前に前処理および/または予備増幅するための前処理および/または予備増幅回路を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項13】
前記記憶媒体および/または前記ヘッドアセンブリは、1ケルビン温度上昇当たり1nm/100mm未満の膨張係数を有するガラスの基板を含む、いずれかの上記請求項に記載の情報記憶装置。
【請求項14】
前記記憶媒体上の情報記憶用トラックの全部について少なくとも1つの読取り書込みヘッドが設けられている、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項15】
最適な信号強度の維持を保証するためのリフレッシュ手段を含む、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項16】
前記リフレッシュ手段は、前記記憶媒体からの信号強度を監視するための手段を含み、前記監視手段は、得られる信号強度が所定のしきい値を下回るまで低下したとき、受信信号を再書込みするよう構成されている、請求項15に記載の情報記憶装置。
【請求項17】
前記ヘッドアセンブリおよび前記情報記憶媒体は互いに向けて弾性付勢されている、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項18】
前記記憶媒体の記憶域の各ビットは1つだけのヘッドと関係づけられている、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項19】
前記読取り書込みヘッドに、或いはそれらから情報を転送する手段を含む、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項20】
前記読取り書込みヘッドはガラスセラミックウェーハ上に堆積によって形成され、前記ウェーハは接続手段を備えている、請求項19に記載の情報記憶装置。
【請求項21】
各ヘッドが前記記憶媒体上の自己の特定トラックと正しく位置合わせされるように駆動装置の読取り書込みヘッドの位置決めを調整するためのトラッキング手段を含む、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項22】
前記トラッキング手段は1つ以上の圧電素子を含む、請求項21に記載の情報記憶装置。
【請求項23】
1つ以上の圧電素子が、前記ヘッドの全部の位置を一緒に調整するよう構成されている、請求項22に記載の情報記憶装置。
【請求項24】
前記1つ以上の圧電素子は、前記読取り書込みヘッドが実装されている構造または要素に作用して前記支持構造または要素のある程度の変形を生じさせ、もってそれらに実装された前記ヘッドが適正位置に調整移動され得るように構成されている、請求項22または23に記載の情報記憶装置。
【請求項25】
前記情報記憶媒体を前記ヘッドアセンブリに対して振動させる手段を含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の情報記憶装置。
【請求項26】
情報記憶領域を備える情報記憶媒体と、情報読取りおよび/または書込みヘッドのアレイと、を備え、前記情報記憶媒体および前記ヘッドアレイは、使用時に互いに対して振動させられ、もって前記情報記憶領域の各領域が前記振動の間に前記読取り書込みヘッドのうちの少なくとも1つと位置合わせされるように構成されている、情報記憶・検索装置。
【請求項27】
前記振動を駆動するための圧電アクチュエータを含む、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
前記ヘッドアレイは実質的に平らな表面を有する部材上に設けられており、前記ヘッドは前記表面と実質的に共面である、請求項26または27に記載の装置。
【請求項29】
前記ヘッドは前記情報記憶媒体と互いに摺動当接している、請求項28に記載の装置。
【請求項30】
逆相で振動するように構成された2つの振動する情報記憶媒体またはヘッドアレイを含む、請求項25乃至29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記ヘッドアレイは前記情報記憶領域と同じ大きさおよび形状である、請求項25乃至30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記3情報記憶媒体および前記ヘッドアレイは互いに対して線形に振動するように構成されている、請求項25乃至31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
前記ヘッドアレイは矩形である、請求項25乃至32のいずれか1項に記載の装置。
【請求項34】
前記情報記憶媒体は矩形である、請求項25乃至33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記情報記憶媒体はディスクからなる、請求項1乃至31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
複数の読取り書込みヘッドから成り、前記読取り書込みヘッドは、使用時に情報記憶ディスクの各トラックが1つ以上の読取り書込みヘッドがアクセスできるように構成されている、情報記憶装置。
【請求項37】
前記読取り書込みヘッドは多数組設けられており、前記読取り書込みヘッドの各組は前記情報記憶ディスクのトラックの全部にわたって延びている、請求項35または36に記載の情報記憶装置。
【請求項38】
読取り書込みヘッドの第1の組は、前記情報記憶ディスクの全トラックを横切って半径方向に延びる、或いは矩形情報記憶部材を横切って幅方向に延びる、概ね線形に配設された読取り書込みヘッドから成る、請求項35、36または37に記載の情報記憶装置。
【請求項39】
前記第1の組のヘッドと類似の構成を有するもそれらから周方向または長手方向に離間された別の組の読取り書込みヘッドを含む、請求項38に記載の情報記憶装置。
【請求項40】
各読取り書込みヘッド組は円弧状の線に沿って設けられている、請求項39に記載の情報記憶装置。
【請求項41】
各読取り書込みヘッドの組は、読取り書込みヘッドの多数の組が互いに隣接して設けられ、各トラックの複数のヘッド間の間隔が最も内側のトラックから最も外側のトラックへ増大するように、概ね螺旋曲線をたどっている、請求項40記載の情報記憶装置。
【請求項42】
複数の読取り書込みヘッドを含む読取り書込みヘッドアセンブリを備えており、読取り書込みヘッドは、使用時に読取り書込みヘッドが、個々の読取り書込みヘッドが対応するトラックの概ね上方に位置して、情報記憶ディスクのトラックを横切って拡張する円弧状の線に沿って配置されるように、弧の編成で構成されている、情報記憶装置。
【請求項43】
600回転/分未満の回転速度で読取り書込みヘッドに対して回転するように構成された情報記憶ディスクを含む、請求項35〜42のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項44】
情報記憶ディスクと、前記ディスクから情報を読取るかまたはそれに情報を書込むように構成された少なくとも1つの読取り書込みヘッドとを備えており、前記ディスクは、使用時に600回転/分未満の回転速度で前記読取り書込みヘッドに対して回転するように構成されている、情報記憶装置。
【請求項45】
読取り書込みヘッドは、個々の読取り書込みヘッドが特定のトラックの上に位置するように配置されて、それらがディスクの最も内側のトラックからディスクの最も外側のトラックに直線で拡張するように実装されている、請求項35〜44のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項46】
使用時にデータが情報記憶媒体から読取られるかまたはそれに書込まれ得るように構成された複数の読取り書込みヘッドを備えており、使用時に、1つ以上の読取り書込みヘッドの位置は、読取り書込みヘッドおよび媒体のトラックのアラインメントを調整可能にするために1つ以上の圧電素子または検出器表面全体によって調整可能である、情報記憶装置。
【請求項47】
前記情報記憶媒体の中心部が誘導モータの一部を形成する、請求項35〜46のいずれかに記載の情報記憶装置。
【請求項48】
データ記憶装置であって、
データ記憶媒体と、
前記データ記憶媒体に対してデータを書込み、読取りするヘッドアレイと、
前記データ記憶媒体および前記ヘッドアレイを互いに対して線形に振動させる振動駆動機構と、から成るデータ記憶装置。
【請求項49】
不揮発性記憶媒体からデータを検索する方法であって、個々のヘッドがそれらの相対移動の方向で前記媒体の小部分だけを横切るように前記記憶媒体上でヘッドのアレイを通過させることと、前記ヘッドのうちの1つ以上からデータを読取ることと、読取ったデータを出力することと、から成る方法。
【請求項50】
単一パスで全部の所要のデータを読取ることを含む、請求項49に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図20】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
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【図6】
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【図16】
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【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2006−504213(P2006−504213A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546185(P2004−546185)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004595
【国際公開番号】WO2004/038701
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505148287)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004595
【国際公開番号】WO2004/038701
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505148287)
【Fターム(参考)】
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