情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法
【課題】基材の表面に凹凸を有する場合など、その凹凸部分で熱圧のかかり方が異なるため、中間転写媒体の密着強度に差が生じ、負荷をかけた場合に部分的な損傷を生じる問題を解決する情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法を提供することが求められていた。
【解決手段】基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法に用いられる情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法に用いられる情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、紙類やプラスチックからなる基材へ中間転写媒体を転写して形成した情報記録体（通帳、パスポート、免許証、各種証明書等々）に関し、該情報記録体の耐久性を向上させる手段に関する、情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法に掛かる。
【背景技術】
【０００２】
カード形状または冊子形状で、それらに画像や文字などの情報を記載した免許証、パスポートなどの各種証明書としての情報記録体が広く用いられており、この情報記録体を作成する手段として熱転写によって画像および文字などの情報を形成・担持してなる中間転写媒体を基材からなる情報記録被転写体に転写形成するものがある。
【０００３】
前記情報記録体の作成に用いられる熱転写可能な中間転写媒体とは、支持体上に、転写層として支持体側から剥離層、中間層、接着層などを順次設けたものであり、転写層側が情報記録被転写体の基材に重ねられ、加圧され、支持側または基材側のいずれかから加熱を受けることによって、基材に転写される媒体である。
【０００４】
剥離層とは、支持体と転写層との界面がそれぞれの材料同士の相性によって、転写の際に転写層が巧く剥離しない場合、これらの良好な剥離を実現させるために設ける層である。なお本発明において剥離層は必須ではない。また、中間層は接着層と剥離層との間に存在する層で必要に応じて適宜設計してよい。例えば、両者の間の接着力を向上させる層とか、偽造防止対策や装飾性を高める為の層であり、偽造防止対策や装飾性を高める為の層としては、例えば、回折構造を持ったＯＶＤ形成層が挙げられる。
【０００５】
接着層は、加熱加圧によって基材との接着を行う層であり、熱移行性材料で画像・文字などの情報を形成する受像層を兼ねた受像層兼接着層とすることができる
受像層および、受像層兼接着層とは感熱転写プリンタやインクジェットプリンタ等の印刷技術によって、印刷の版無しで画像情報（文字、記号、等も含む）を記録できる受像適性を備えた層であり、中間転写媒体の転写前に染料または顔料による画像を設けることが可能となる。
【０００６】
受像層兼接着層への情報の形成方法として、中間転写媒体をドラムとサーマルヘッドとでその主要部が構成される転写装置へ搬送し、色材が熱移行性材料である転写リボンの色材層を中間転写媒体の受像層兼接着層に当接させると共に、転写リボン側から前記サーマルヘッドを圧接し、かつ、画像データに基づき前記サーマルヘッドの発熱素子群を適宜発熱させて、画像データに基づく画像パターンを前記受像層兼接着層に形成・印刷する。尚、画像データが多色である場合には、色調の異なる転写リボン又は色調の異なる色材層を有する転写リボンを適用し、同様な工程を繰返して前記受像層兼接着層に多色の画像パターンが形成される。
【０００７】
また、ＯＶＤ形成層は、装飾性と偽造防止を目的としており、例えば微細な凹凸パターンで構成されるレリーフ型ホログラムが形成されたＯＶＤ形成層と、前記微細な凹凸面に沿って設けられＯＶＤ形成層よりその屈折率が大きい材料からなる透過性薄膜層で構成されており、このように、前記中間層としてレリーフ型ホログラムを利用した中間転写媒体は、エンボス複製法により、安価に大量に製造することができ、デッドコピーが難しいため多用されている。
【０００８】
転写方法の例をあげると、中間転写媒体の接着層または受像層兼接着層を被転写媒体に
当接させ、かつ、中間転写媒体の支持体側から熱ロール、熱板等の加熱媒体を圧接し、転写温度に加熱して被転写媒体である基材に接着層を圧着させると共に、中間転写媒体から支持体を剥離させて情報記録体を得るものである。また基材の材質によっては基材上に易接着層を形成することにより転写を容易にすることができる。
【０００９】
以上のように、従来の中間転写媒体を用いた情報記録体（例えば、特許文献１参照。）は偽変造を防止することのできる情報記録体として使用されている。しかしながら基材の表面に凹凸を有する場合など、その凹凸部分で熱圧のかかり方が異なるため、中間転写媒体の密着強度に差が生じ、負荷をかけた場合に部分的な損傷を生じる可能性があった。特にこの問題は基材が紙の場合に顕著であり、紙の種類によっては繊維の空隙が大きいため、空隙部分で中間転写体と基材が密着せず、部分的に破壊が生じる可能性があった。これを防止するためには基材表面に易接着層を設けることが有効であるが、凹凸の大きな紙の表面を完全に平滑にすることができない場合には密着不良を生じる可能性があった。
【００１０】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２０００−６５５５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、用紙の種類や形状を問わず、表面に設けられた転写層が十分な密着性を備えるとともに、偽造・改竄あるいは変造にたいするセキュリティ性が良好な情報記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項１に係る発明は、基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体である。
【００１３】
また、本発明の請求項２に係る発明は、易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成されていることを特徴とする、請求項１記載の情報記録被転写体である。
【００１４】
また、本発明の請求項３に係る発明は、易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１および２記載の情報記録被転写体である。
【００１５】
また、本発明の請求項４に係る発明は、基材が基材の表面に凹凸を有するものであることを特徴とする請求項１ないし３記載の情報記録被転写体である。
【００１６】
また、本発明の請求項５に係る発明は、順に、基材、熱発泡した易接着層、少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体である。
【００１７】
また、本発明の請求項６に係る発明は、さらに、転写層上に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項５記載の情報記録体である。
【００１８】
また、本発明の請求項７に係る発明は、転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項６記載の情報記録体である。
【００１９】
また、本発明の請求項８に係る発明は、易接着層が、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されたものであることを特徴とする、請求項５から７何れか記載の情報記録体である。
【００２０】
また、本発明の請求項９に係る発明は、前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項４から７何れか記載の情報記録体である。
【００２１】
また、本発明の請求項１０に係る発明は、基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法である。
【００２２】
また、本発明の請求項１１に係る発明は、易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成され、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されるものであることを特徴とする、請求項１０記載の情報記録体の製造方法である。
【００２３】
また、本発明の請求項１２に係る発明は、易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が未発泡時に１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１１記載の情報記録体の製造方法である。
【００２４】
また、本発明の請求項１３に係る発明は、前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項１０から１２何れか記載の情報記録体の製造方法である。
【００２５】
また、本発明の請求項１４に係る発明は、支持体と転写層の間に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項１０から１３何れか記載の情報記録体の製造方法である。
【００２６】
また、本発明の請求項１５に係る発明は、転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項１４記載の情報記録体の製造方法である。
【発明の効果】
【００２７】
本発明に係る情報記録体は、基材上に熱発泡性の粒子を含む易接着層を設けてその上に情報の記録された転写層を熱圧によって密着させたものであり、転写の際の熱圧により易接着層の材料と熱発泡性の粒子の外殻が軟化すると共に粒子がその内部のガス圧により膨張し、易接着層が流動して基材表面の空隙を埋めつつ、転写媒体と隙間無く密着することを特徴とする。このことにより、従来であれば基材表面で転写媒体の密着不良が生じていたような空隙の多い基材であっても、十分な密着性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
本発明の実施の形態を図１〜図２に基づいて詳細に説明する。
【００２９】
図１は本発明に係る情報記録体において、中間転写媒体が易接着層を設けた基材からなる情報記録被転写体の該易接着層上に転写形成される工程の１実施例を示す側断面図であり、図２は本発明に係る情報記録体の層構成の１実施例を示す側断面図である。
【００３０】
本発明の１実施例の情報記録体は、図１に示すように、熱発泡性の粒子（１Ｃ）を含む易接着層（１Ｂ）を設けた基材（１Ａ）からなる情報記録被転写体（３）および中間転写媒体（２）から形成され、前記中間転写媒体（２）の構成は、例えば、支持体（２Ａ）／剥離性保護層（２Ｂ）／中間層（２Ｃ）／接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）からなる。以下、それぞれの層について説明する。
【００３１】
前記基材（１Ａ）として使用される材料として、最も本発明の効果を受ける紙をはじめ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、などが単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。
【００３２】
前記易接着層の主体である樹脂としては、中間転写媒体（２）の接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）と相性の良い樹脂であり熱可塑性の材料、例えば、ウレタン、アクリル、酢酸ビニル、等が単独で又は組み合わせで使用可能である。本発明における易接着層（１Ｂ）はこれらの樹脂中に熱発泡性の粒子（１Ｃ）を含むものである。熱発泡性の粒子とは熱可塑性のプラスチックの外殻に液状ガスを内包した中空の球状粒子であり、加熱された際に殻の内部のガス圧が増加すると共に熱可塑性のプラスチックの外殻が軟化して体積が増えることを特徴とする。この粒子の外殻には例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどが用いられる。
【００３３】
上記熱発泡性の粒子を含む易接着層を形成するために、例えば前記樹脂及び粒子をエマルジョン化したインキを作成し、スクリーン印刷等の印刷により基材上に形成することができる。図３参照。本発明の情報記録体は前記中間転写媒体の受像層兼接着層とこの易接着層を密着させた上で例えばヒートローラで熱圧をかけて作製する。この際、熱が加わることで粒子が発泡して体積が増えるとともに上方からローラーによって圧力が加わるため、熱可塑性である樹脂が流動することで基材の空隙を生めることができる。図４参照。
【００３４】
このようにして作製された情報記録体は基材の空隙が埋められているとともに、転写媒体と易接着層も隙間無く密着した状態になっているため、熱発泡性の粒子を含まない従来の転写物よりも転写媒体の密着性が改善される。
【００３５】
前記中間転写媒体（２）の支持体（２Ａ）としては、接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）に使用される材料より溶融又は軟化温度の高い材料であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、または紙、合成紙などを単独で又はそれらを組み合わせた複合体が使用可能である。
【００３６】
前記剥離性保護層（２Ｂ）としては、接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）をより効果的に被転写体に転写すると共に、転写された接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）については、外部からの化学的、機械的破損を防止する保護膜の機能を有することが必要である。例えば、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂あるいはこれらに、テフロン（登録商標）パウダー、ポリエチレンパウダー、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、及び、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩などの耐摩擦剤を添加したものが使用可能である。また、無機物を使用してもよい。
【００３７】
前記中間層（２Ｃ）としては、絵柄層（図示せず）やＯＶＤ層（図示せず）等を形成することができ、絵柄層はグラビア印刷等通常の印刷方法で形成する。ＯＶＤ層はホログラム形成層（図示せず）と透過性薄膜層（図示せず）とからなり、ホログラム形成層はホログラム形成用樹脂層の表面に、微細な凹凸パターンが設けられている。樹脂は、エンボス成形性が良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、剥離性保護層（２Ｂ）及び透過性薄膜層との接着性が良好である必要がある。例えば、ポリカーボネート樹脂、
ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン（メタ）アクリレート、ポリエステル（メタ）アクリレート、エポキシ（メタ）アクリレート、ポリオール（メタ）アクリレート、メラミン（メタ）アクリレート、トリアジン（メタ）アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、前記以外のものでも、ホログラム画像を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。透過性薄膜層はホログラム形成層の情報を透過するための透明材料であって、ホログラム形成層（屈折率ｎ＝１．３〜１．５）よりも屈折率の高いことが装飾性の向上に好ましい。さらに透過性薄膜層は、複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組み合わせ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としてもよい。また、このような薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては１０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。なお、ホログラム層は前記のいわゆるレリーフ型ホログラム以外に、リップマンホログラムなどの体積位相型ホログラムを用いることも可能である。
【００３８】
前記接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）としては、感熱接着剤として用いられるものであり、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系、線状飽和ポリエステルやポリエステル系ポリアミド等のポリエステル系、アクリル系等の熱可塑性樹脂を主としたものである。
【実施例】
【００３９】
以下に、本発明に係る情報記録体について、具体的に実施例を挙げて、さらに詳しく説明するが、それに限定されるものではない。
【００４０】
＜実施例＞
易接着インキの作製：水系ウレタンエマルジョンに熱発泡性の粒子（ＥＸＰＡＮＣＥＬ
５５１−２０）を表１に示す所定の重量％で分散させ、４種類の易接着層用のインキを作成した。効果の比較用として、水系ウレタンエマルジョン単体もインキも含め、合計５種類のインキを用意した。発泡粒子の平均粒径は７μｍ、軟化温度は１００℃〜１４０℃程度である。
【００４１】
スクリーン版の作製：テトロン製スクリーンクロスを使用し、３００線／インチのメッシュで６５０ｍｍ×６５０ｍｍの枠に貼り、これに乳剤を塗布し別途作製したポジフィルムを使用して露光し、定法に従いスクリーン版を作製した。
【００４２】
基材の作製：上記で用意した５種類のインキを使用し上記スクリーン版を用いて、１８０ｋｇベースの用紙（わらがみ：東海パルプ（株）製）に印刷し、印刷物を９０ｍｍ×５５ｍｍの大きさに断裁することによって、５種類の情報記録被転写体である基材を作成した。これにより形成された易接着層の厚みは５μｍから８μｍであった。
【００４３】
情報記録体の作製：さらに、市販のカードプリンタＣＰ３００ＦＸ（凸版印刷株式会社製）を用いて、専用色リボンから専用中間転写フィルム（中間転写媒体）上に画像を中間転写し、しかる後に装置の内蔵ヒートロールを使用し、前記工程で作製した２種類の情報記録被転写体の易接着層上に画像を転写させてから、専用中間転写フィルムの支持体を剥離させることにより、発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録体を４種類と、発泡性の粒子を含まない易接着層を有する情報記録体を１種類、計５種類の情報記録体を得た。ヒートロールの表面温度は１８０℃である。
【００４４】
＜効果の確認＞
得られた５種類の情報記録体に粘着テープによる剥離試験を行ったところ、それぞれ転写層の一部が破壊されて剥がれた。剥離試験には粘着テープ「セロテープ（登録商標）ＣＴ−２４」（ニチバン（株）製：登録商標）を使用し、２００ｇ／ｃｍ2の圧力で情報記録体に密着させた後、４ｃｍ／秒の速度で貼り付け方向に対して１８０°方向に引き剥がすことでおこなった。この剥がれた後の情報記録体表面をスキャナで取り込み、コンピュータで処理することで破壊の生じた割合を算出した。この破壊の生じた割合を剥離率と定義し、５種類の情報記録体における剥離率を表１に示す。ここで得られた剥離率の値は熱発泡性の粒子の割合を増やした易接着インキであるほど小さくなり転写層の破壊が少ないということを示したため、発泡性の粒子を含む易接着層が密着性を向上させていると考えられ、発明の効果が確認された。
【００４５】
【表１】
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明に係る情報記録体において、中間転写媒体が易接着層を設けた基材からなる情報記録被転写体の該易接着層上に転写形成される工程の１実施例を示す側断面図である。
【図２】本発明に係る情報記録体の層構成の１実施例を示す側断面図である。
【図３】本発明の１実施例を示す、転写媒体を転写前の基材の断面図である。
【図４】本発明の１実施例を示す、転写媒体を転写後の情報記録体の断面図である。
【符号の説明】
【００４７】
１・・・情報記録体
１Ａ・・・基材
１Ｂ・・・易接着層
１Ｃ・・・熱発泡性の粒子
２・・・中間転写媒体
２Ａ・・・支持体
２Ｂ・・・剥離性保護層
２Ｃ・・・中間層
２Ｄ・・・接着層又は受像層兼接着層
３・・・情報記録被転写体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、紙類やプラスチックからなる基材へ中間転写媒体を転写して形成した情報記録体（通帳、パスポート、免許証、各種証明書等々）に関し、該情報記録体の耐久性を向上させる手段に関する、情報記録被転写体と情報記録体およびその製造方法に掛かる。
【背景技術】
【０００２】
カード形状または冊子形状で、それらに画像や文字などの情報を記載した免許証、パスポートなどの各種証明書としての情報記録体が広く用いられており、この情報記録体を作成する手段として熱転写によって画像および文字などの情報を形成・担持してなる中間転写媒体を基材からなる情報記録被転写体に転写形成するものがある。
【０００３】
前記情報記録体の作成に用いられる熱転写可能な中間転写媒体とは、支持体上に、転写層として支持体側から剥離層、中間層、接着層などを順次設けたものであり、転写層側が情報記録被転写体の基材に重ねられ、加圧され、支持側または基材側のいずれかから加熱を受けることによって、基材に転写される媒体である。
【０００４】
剥離層とは、支持体と転写層との界面がそれぞれの材料同士の相性によって、転写の際に転写層が巧く剥離しない場合、これらの良好な剥離を実現させるために設ける層である。なお本発明において剥離層は必須ではない。また、中間層は接着層と剥離層との間に存在する層で必要に応じて適宜設計してよい。例えば、両者の間の接着力を向上させる層とか、偽造防止対策や装飾性を高める為の層であり、偽造防止対策や装飾性を高める為の層としては、例えば、回折構造を持ったＯＶＤ形成層が挙げられる。
【０００５】
接着層は、加熱加圧によって基材との接着を行う層であり、熱移行性材料で画像・文字などの情報を形成する受像層を兼ねた受像層兼接着層とすることができる
受像層および、受像層兼接着層とは感熱転写プリンタやインクジェットプリンタ等の印刷技術によって、印刷の版無しで画像情報（文字、記号、等も含む）を記録できる受像適性を備えた層であり、中間転写媒体の転写前に染料または顔料による画像を設けることが可能となる。
【０００６】
受像層兼接着層への情報の形成方法として、中間転写媒体をドラムとサーマルヘッドとでその主要部が構成される転写装置へ搬送し、色材が熱移行性材料である転写リボンの色材層を中間転写媒体の受像層兼接着層に当接させると共に、転写リボン側から前記サーマルヘッドを圧接し、かつ、画像データに基づき前記サーマルヘッドの発熱素子群を適宜発熱させて、画像データに基づく画像パターンを前記受像層兼接着層に形成・印刷する。尚、画像データが多色である場合には、色調の異なる転写リボン又は色調の異なる色材層を有する転写リボンを適用し、同様な工程を繰返して前記受像層兼接着層に多色の画像パターンが形成される。
【０００７】
また、ＯＶＤ形成層は、装飾性と偽造防止を目的としており、例えば微細な凹凸パターンで構成されるレリーフ型ホログラムが形成されたＯＶＤ形成層と、前記微細な凹凸面に沿って設けられＯＶＤ形成層よりその屈折率が大きい材料からなる透過性薄膜層で構成されており、このように、前記中間層としてレリーフ型ホログラムを利用した中間転写媒体は、エンボス複製法により、安価に大量に製造することができ、デッドコピーが難しいため多用されている。
【０００８】
転写方法の例をあげると、中間転写媒体の接着層または受像層兼接着層を被転写媒体に
当接させ、かつ、中間転写媒体の支持体側から熱ロール、熱板等の加熱媒体を圧接し、転写温度に加熱して被転写媒体である基材に接着層を圧着させると共に、中間転写媒体から支持体を剥離させて情報記録体を得るものである。また基材の材質によっては基材上に易接着層を形成することにより転写を容易にすることができる。
【０００９】
以上のように、従来の中間転写媒体を用いた情報記録体（例えば、特許文献１参照。）は偽変造を防止することのできる情報記録体として使用されている。しかしながら基材の表面に凹凸を有する場合など、その凹凸部分で熱圧のかかり方が異なるため、中間転写媒体の密着強度に差が生じ、負荷をかけた場合に部分的な損傷を生じる可能性があった。特にこの問題は基材が紙の場合に顕著であり、紙の種類によっては繊維の空隙が大きいため、空隙部分で中間転写体と基材が密着せず、部分的に破壊が生じる可能性があった。これを防止するためには基材表面に易接着層を設けることが有効であるが、凹凸の大きな紙の表面を完全に平滑にすることができない場合には密着不良を生じる可能性があった。
【００１０】
以下に先行技術文献を示す。
【特許文献１】特開２０００−６５５５号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、用紙の種類や形状を問わず、表面に設けられた転写層が十分な密着性を備えるとともに、偽造・改竄あるいは変造にたいするセキュリティ性が良好な情報記録体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、本発明の請求項１に係る発明は、基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体である。
【００１３】
また、本発明の請求項２に係る発明は、易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成されていることを特徴とする、請求項１記載の情報記録被転写体である。
【００１４】
また、本発明の請求項３に係る発明は、易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１および２記載の情報記録被転写体である。
【００１５】
また、本発明の請求項４に係る発明は、基材が基材の表面に凹凸を有するものであることを特徴とする請求項１ないし３記載の情報記録被転写体である。
【００１６】
また、本発明の請求項５に係る発明は、順に、基材、熱発泡した易接着層、少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体である。
【００１７】
また、本発明の請求項６に係る発明は、さらに、転写層上に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項５記載の情報記録体である。
【００１８】
また、本発明の請求項７に係る発明は、転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項６記載の情報記録体である。
【００１９】
また、本発明の請求項８に係る発明は、易接着層が、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されたものであることを特徴とする、請求項５から７何れか記載の情報記録体である。
【００２０】
また、本発明の請求項９に係る発明は、前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項４から７何れか記載の情報記録体である。
【００２１】
また、本発明の請求項１０に係る発明は、基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法である。
【００２２】
また、本発明の請求項１１に係る発明は、易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成され、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されるものであることを特徴とする、請求項１０記載の情報記録体の製造方法である。
【００２３】
また、本発明の請求項１２に係る発明は、易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が未発泡時に１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１１記載の情報記録体の製造方法である。
【００２４】
また、本発明の請求項１３に係る発明は、前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項１０から１２何れか記載の情報記録体の製造方法である。
【００２５】
また、本発明の請求項１４に係る発明は、支持体と転写層の間に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項１０から１３何れか記載の情報記録体の製造方法である。
【００２６】
また、本発明の請求項１５に係る発明は、転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項１４記載の情報記録体の製造方法である。
【発明の効果】
【００２７】
本発明に係る情報記録体は、基材上に熱発泡性の粒子を含む易接着層を設けてその上に情報の記録された転写層を熱圧によって密着させたものであり、転写の際の熱圧により易接着層の材料と熱発泡性の粒子の外殻が軟化すると共に粒子がその内部のガス圧により膨張し、易接着層が流動して基材表面の空隙を埋めつつ、転写媒体と隙間無く密着することを特徴とする。このことにより、従来であれば基材表面で転写媒体の密着不良が生じていたような空隙の多い基材であっても、十分な密着性を有することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２８】
本発明の実施の形態を図１〜図２に基づいて詳細に説明する。
【００２９】
図１は本発明に係る情報記録体において、中間転写媒体が易接着層を設けた基材からなる情報記録被転写体の該易接着層上に転写形成される工程の１実施例を示す側断面図であり、図２は本発明に係る情報記録体の層構成の１実施例を示す側断面図である。
【００３０】
本発明の１実施例の情報記録体は、図１に示すように、熱発泡性の粒子（１Ｃ）を含む易接着層（１Ｂ）を設けた基材（１Ａ）からなる情報記録被転写体（３）および中間転写媒体（２）から形成され、前記中間転写媒体（２）の構成は、例えば、支持体（２Ａ）／剥離性保護層（２Ｂ）／中間層（２Ｃ）／接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）からなる。以下、それぞれの層について説明する。
【００３１】
前記基材（１Ａ）として使用される材料として、最も本発明の効果を受ける紙をはじめ、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、などが単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。
【００３２】
前記易接着層の主体である樹脂としては、中間転写媒体（２）の接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）と相性の良い樹脂であり熱可塑性の材料、例えば、ウレタン、アクリル、酢酸ビニル、等が単独で又は組み合わせで使用可能である。本発明における易接着層（１Ｂ）はこれらの樹脂中に熱発泡性の粒子（１Ｃ）を含むものである。熱発泡性の粒子とは熱可塑性のプラスチックの外殻に液状ガスを内包した中空の球状粒子であり、加熱された際に殻の内部のガス圧が増加すると共に熱可塑性のプラスチックの外殻が軟化して体積が増えることを特徴とする。この粒子の外殻には例えば、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどが用いられる。
【００３３】
上記熱発泡性の粒子を含む易接着層を形成するために、例えば前記樹脂及び粒子をエマルジョン化したインキを作成し、スクリーン印刷等の印刷により基材上に形成することができる。図３参照。本発明の情報記録体は前記中間転写媒体の受像層兼接着層とこの易接着層を密着させた上で例えばヒートローラで熱圧をかけて作製する。この際、熱が加わることで粒子が発泡して体積が増えるとともに上方からローラーによって圧力が加わるため、熱可塑性である樹脂が流動することで基材の空隙を生めることができる。図４参照。
【００３４】
このようにして作製された情報記録体は基材の空隙が埋められているとともに、転写媒体と易接着層も隙間無く密着した状態になっているため、熱発泡性の粒子を含まない従来の転写物よりも転写媒体の密着性が改善される。
【００３５】
前記中間転写媒体（２）の支持体（２Ａ）としては、接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）に使用される材料より溶融又は軟化温度の高い材料であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、または紙、合成紙などを単独で又はそれらを組み合わせた複合体が使用可能である。
【００３６】
前記剥離性保護層（２Ｂ）としては、接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）をより効果的に被転写体に転写すると共に、転写された接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）については、外部からの化学的、機械的破損を防止する保護膜の機能を有することが必要である。例えば、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂あるいはこれらに、テフロン（登録商標）パウダー、ポリエチレンパウダー、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、及び、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩などの耐摩擦剤を添加したものが使用可能である。また、無機物を使用してもよい。
【００３７】
前記中間層（２Ｃ）としては、絵柄層（図示せず）やＯＶＤ層（図示せず）等を形成することができ、絵柄層はグラビア印刷等通常の印刷方法で形成する。ＯＶＤ層はホログラム形成層（図示せず）と透過性薄膜層（図示せず）とからなり、ホログラム形成層はホログラム形成用樹脂層の表面に、微細な凹凸パターンが設けられている。樹脂は、エンボス成形性が良好で、プレスムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、剥離性保護層（２Ｂ）及び透過性薄膜層との接着性が良好である必要がある。例えば、ポリカーボネート樹脂、
ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン（メタ）アクリレート、ポリエステル（メタ）アクリレート、エポキシ（メタ）アクリレート、ポリオール（メタ）アクリレート、メラミン（メタ）アクリレート、トリアジン（メタ）アクリレートなどの熱硬化性樹脂あるいはこれらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、前記以外のものでも、ホログラム画像を形成可能な安定性を有する材料であれば使用可能である。透過性薄膜層はホログラム形成層の情報を透過するための透明材料であって、ホログラム形成層（屈折率ｎ＝１．３〜１．５）よりも屈折率の高いことが装飾性の向上に好ましい。さらに透過性薄膜層は、複数の層を重ね合わせて形成してもよく、異なる屈折率の層の組み合わせ、高屈折率の層と低屈折率の層とを交互に積層した多層膜としてもよい。また、このような薄膜層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては１０ｎｍ〜１０００ｎｍの範囲内にあることが好ましい。なお、ホログラム層は前記のいわゆるレリーフ型ホログラム以外に、リップマンホログラムなどの体積位相型ホログラムを用いることも可能である。
【００３８】
前記接着層又は受像層兼接着層（２Ｄ）としては、感熱接着剤として用いられるものであり、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系、線状飽和ポリエステルやポリエステル系ポリアミド等のポリエステル系、アクリル系等の熱可塑性樹脂を主としたものである。
【実施例】
【００３９】
以下に、本発明に係る情報記録体について、具体的に実施例を挙げて、さらに詳しく説明するが、それに限定されるものではない。
【００４０】
＜実施例＞
易接着インキの作製：水系ウレタンエマルジョンに熱発泡性の粒子（ＥＸＰＡＮＣＥＬ
５５１−２０）を表１に示す所定の重量％で分散させ、４種類の易接着層用のインキを作成した。効果の比較用として、水系ウレタンエマルジョン単体もインキも含め、合計５種類のインキを用意した。発泡粒子の平均粒径は７μｍ、軟化温度は１００℃〜１４０℃程度である。
【００４１】
スクリーン版の作製：テトロン製スクリーンクロスを使用し、３００線／インチのメッシュで６５０ｍｍ×６５０ｍｍの枠に貼り、これに乳剤を塗布し別途作製したポジフィルムを使用して露光し、定法に従いスクリーン版を作製した。
【００４２】
基材の作製：上記で用意した５種類のインキを使用し上記スクリーン版を用いて、１８０ｋｇベースの用紙（わらがみ：東海パルプ（株）製）に印刷し、印刷物を９０ｍｍ×５５ｍｍの大きさに断裁することによって、５種類の情報記録被転写体である基材を作成した。これにより形成された易接着層の厚みは５μｍから８μｍであった。
【００４３】
情報記録体の作製：さらに、市販のカードプリンタＣＰ３００ＦＸ（凸版印刷株式会社製）を用いて、専用色リボンから専用中間転写フィルム（中間転写媒体）上に画像を中間転写し、しかる後に装置の内蔵ヒートロールを使用し、前記工程で作製した２種類の情報記録被転写体の易接着層上に画像を転写させてから、専用中間転写フィルムの支持体を剥離させることにより、発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録体を４種類と、発泡性の粒子を含まない易接着層を有する情報記録体を１種類、計５種類の情報記録体を得た。ヒートロールの表面温度は１８０℃である。
【００４４】
＜効果の確認＞
得られた５種類の情報記録体に粘着テープによる剥離試験を行ったところ、それぞれ転写層の一部が破壊されて剥がれた。剥離試験には粘着テープ「セロテープ（登録商標）ＣＴ−２４」（ニチバン（株）製：登録商標）を使用し、２００ｇ／ｃｍ2の圧力で情報記録体に密着させた後、４ｃｍ／秒の速度で貼り付け方向に対して１８０°方向に引き剥がすことでおこなった。この剥がれた後の情報記録体表面をスキャナで取り込み、コンピュータで処理することで破壊の生じた割合を算出した。この破壊の生じた割合を剥離率と定義し、５種類の情報記録体における剥離率を表１に示す。ここで得られた剥離率の値は熱発泡性の粒子の割合を増やした易接着インキであるほど小さくなり転写層の破壊が少ないということを示したため、発泡性の粒子を含む易接着層が密着性を向上させていると考えられ、発明の効果が確認された。
【００４５】
【表１】
【図面の簡単な説明】
【００４６】
【図１】本発明に係る情報記録体において、中間転写媒体が易接着層を設けた基材からなる情報記録被転写体の該易接着層上に転写形成される工程の１実施例を示す側断面図である。
【図２】本発明に係る情報記録体の層構成の１実施例を示す側断面図である。
【図３】本発明の１実施例を示す、転写媒体を転写前の基材の断面図である。
【図４】本発明の１実施例を示す、転写媒体を転写後の情報記録体の断面図である。
【符号の説明】
【００４７】
１・・・情報記録体
１Ａ・・・基材
１Ｂ・・・易接着層
１Ｃ・・・熱発泡性の粒子
２・・・中間転写媒体
２Ａ・・・支持体
２Ｂ・・・剥離性保護層
２Ｃ・・・中間層
２Ｄ・・・接着層又は受像層兼接着層
３・・・情報記録被転写体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体。
【請求項２】
易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成されていることを特徴とする、請求項１記載の情報記録被転写体。
【請求項３】
易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１および２記載の情報記録被転写体。
【請求項４】
基材が基材の表面に凹凸を有するものであることを特徴とする請求項１ないし３記載の情報記録被転写体。
【請求項５】
順に、基材、熱発泡した易接着層、少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体。
【請求項６】
さらに、転写層上に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項５記載の情報記録体。
【請求項７】
転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項６記載の情報記録体。
【請求項８】
易接着層が、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で発泡されたものであることを特徴とする、請求項５から７何れか記載の情報記録体。
【請求項９】
前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項４から７何れか記載の情報記録体。
【請求項１０】
基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法。
【請求項１１】
易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成され、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されるものであることを特徴とする、請求項１０記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１２】
易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が未発泡時に１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１１記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１３】
前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項１０から１２何れか記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１４】
支持体と転写層の間に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項１０から１３何れか記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１５】
転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項１４記載の情
報記録体の製造方法。
【請求項１】
基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体。
【請求項２】
易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成されていることを特徴とする、請求項１記載の情報記録被転写体。
【請求項３】
易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１および２記載の情報記録被転写体。
【請求項４】
基材が基材の表面に凹凸を有するものであることを特徴とする請求項１ないし３記載の情報記録被転写体。
【請求項５】
順に、基材、熱発泡した易接着層、少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体。
【請求項６】
さらに、転写層上に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項５記載の情報記録体。
【請求項７】
転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項６記載の情報記録体。
【請求項８】
易接着層が、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で発泡されたものであることを特徴とする、請求項５から７何れか記載の情報記録体。
【請求項９】
前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項４から７何れか記載の情報記録体。
【請求項１０】
基材の表面に熱発泡性の粒子を含む易接着層を有する情報記録被転写体に、支持体に少なくとも受像層を有する転写層を備えた情報記録体を熱転写したのち、支持体を剥離することを特徴とする情報記録体の製造方法。
【請求項１１】
易接着層及び熱発泡性の粒子の外殻が熱可塑性の材料で構成され、転写層の転写に要する温度よりも低い温度で軟化されるものであることを特徴とする、請求項１０記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１２】
易接着層の厚みが３μｍ以上２０μｍ以下であり、易接着層中に含まれる熱発泡性の粒子の直径が未発泡時に１５μｍ以下で、その含有比率が１重量％以上１０重量％以下であることを特徴とする請求項１１記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１３】
前記転写層が、回折格子構造体が形成されたＯＶＤ（Ｏｐｔｉｃａｌ Ｖａｒｉａｂｌｅ Ｄｅｖｉｃｅ）形成層を備えることを特徴とする請求項１０から１２何れか記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１４】
支持体と転写層の間に剥離性保護層を設けていることを特徴とする請求項１０から１３何れか記載の情報記録体の製造方法。
【請求項１５】
転写層と剥離性保護層の間に中間層を設けていることを特徴とする請求項１４記載の情
報記録体の製造方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２００９−１０７２５８（Ｐ２００９−１０７２５８Ａ）
【公開日】平成２１年５月２１日（２００９．５．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−２８３３２５（Ｐ２００７−２８３３２５）
【出願日】平成１９年１０月３１日（２００７．１０．３１）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年５月２１日（２００９．５．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１０月３１日（２００７．１０．３１）
【出願人】（０００００３１９３）凸版印刷株式会社 (10,630)
【Ｆターム（参考）】
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