説明

情報記録装置及び情報再生装置並びに情報記録媒体

【課題】 曲単位でなく、当該曲の内容に基づいて曲の内容毎に曲の途中からランダムアクセス再生が可能な情報再生装置及び情報記録媒体並びに当該情報記録媒体を製作可能な情報記録装置を提供することにある。
【解決手段】 信号処理手段は、外部から入力された記録すべき記録情報に対して所定の信号処理を施して処理記録信号を出力するとともに、複数の部分記録情報の記録情報中における各々の開始位置と、各開始位置に対応する部分記録情報についての内容種類と、を内容情報として生成し、記録情報とともに情報記録媒体に記録する。よって、当該記録情報中の内容種類毎の部分記録情報の開始位置及び当該部分記録情報に対応する内容種類を含む内容情報が記録されるので、再生時において、当該内容情報に基づいて記録情報全体の記録順序に無関係に、再生させたい内容種類に対応する部分記録情報のみを再生できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録装置及び情報再生装置並びに情報記録媒体に関し、より詳細には、光ディスク等の情報記録媒体に記録された記録情報を、記録順序に無関係に再生するための情報記録装置及び情報再生装置並びに情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、音楽等の記録情報を記録するための情報記録媒体は、CD(Compact Disk)、オーディオテープ、DAT(Digital Audio Tape)等として広く普及している。また、これらの記録情報に更に映像を付加したものは、レーザディスク、VTR(Video Tape Recorder )用テープ、CD−V(CD−Video;部分的に画像が記録されたCD)、ビデオCD(CD全体に画像が記録されたCD)として同様に一般化している。
【0003】
これらの情報記録媒体では、記録情報の記録順序に無関係に、多彩な再生パターン(ランダムアクセス再生)が可能となっている。例えば、CDの場合では、複数の曲に対して逆順に再生したり、所定の曲のみ繰返して再生する等の再生が可能である。また、記録情報自体と共に記録されている、当該記録情報に対応する時間情報(タイムコード)に基づいて再生することも可能である。
【0004】
ここで、例えば、従来のCDにおいては、上記のランダムアクセス再生を可能とするため、図9(a)に示すように、実際に再生される音楽に対応するソース情報(記録情報に対応)が記録されたソース情報領域102の内側(CD100の内周部分)に、記録情報における各曲毎に当該曲をアクセスして再生するためのアクセス情報が記録されたアクセス情報領域101が設けられている。そして、アクセス情報領域101には、図9(b)に示すように、ソース情報領域102内の各曲毎の開始位置に対応する開始アドレス110、111、……、Nが記録されている。
【0005】
図9に示すCD100を用いて例えばランダム再生を行う場合には、CDプレーヤ等の再生装置においては、外部から入力された曲指定情報に基づき、指定された曲に対応する開始アドレスをアクセス情報領域101から読み出し、読み出した開始アドレスに対応する位置に光ピックアップを移送して再生し、1曲の再生が終了した後、次の再生すべき曲の開始アドレスに上記光ピックアップを移送して再生することを繰返すこととなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のCD等の情報記録媒体においては、アクセス情報領域101に記録されるアドレスは、一つの曲を単位として曲毎にその開始アドレスが記録されているのみであった。また、オペラ等の一つの曲自体が長いものは、例えば、楽章毎に区切って開始アドレスを記録していた。
【0007】
これに対し、近年、上述の情報記録媒体をカラオケ等の目的に使用することが盛んになりつつあるが、この場合に、一つの曲においてその「サビ(クライマックス)」の部分だけを繰り返して再生したいという要求や、複数の曲のある部分のみを連続して再生したいという要求が増加している。これに対し、上記従来のCDでは、曲単位でしか指定できないという問題点があった。
そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、曲単位でなく、更に当該曲の内容に基づいて曲の内容毎に曲の途中からランダムアクセス再生が可能な情報再生装置及び情報記録媒体並びに当該情報記録媒体を製作可能な情報記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、記録すべき記録情報に対して所定の信号処理を施して処理記録信号を出力するとともに、予め設定された所定の内容種類毎に前記記録情報を予め区分した複数の部分記録情報についての前記内容種類と、を前記記録情報に対応する内容情報として生成し、当該内容情報と前記部分記録情報の総数に対応する情報信号を出力する信号処理手段と、前記処理記録信号に前記情報信号を付加して多重記録信号を出力する多重手段と、前記多重記録信号を情報記録媒体に記録する記録手段と、を備えて構成される。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、信号処理手段は、外部から入力された記録すべき記録情報に対して所定の信号処理を施して処理記録信号を出力するとともに、複数の部分記録情報の記録情報中における各々の開始位置と、各開始位置に対応する部分記録情報についての内容種類と、を内容情報として生成し、当該内容情報と部分記録情報の総数に対応する情報信号を出力する。
そして、多重手段は、処理記録信号に内容情報信号を付加して多重記録信号を出力する。
その後、記録手段は、多重記録信号を情報記録媒体に記録する。
よって、記録情報とともに、当該記録情報中の内容種類毎の部分記録情報の開始位置及び当該部分記録情報に対応する内容種類を含む内容情報が記録されるので、再生時において、当該内容情報に基づいて記録情報全体の記録順序に無関係に、再生させたい内容種類に対応する部分記録情報のみを再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明に好適な実施例について、図面に基づいて説明する。なお、以下の実施例は、本発明を情報記録媒体としての光ディスクに対して情報を記録する情報記録装置及び当該情報記録装置により記録情報が記録された光ディスクから記録情報を再生する情報再生装置に対して適用した場合について説明する。
【0011】
(I)情報記録装置
始めに、実施例に係る情報記録装置の構成について、図1を用いて説明する。 図1に示すように、実施例に係る情報記録装置S1 は、記録すべき音楽情報や映像情報等の記録情報Rを一時的に記録するVTR1と、当該記録情報Rをその内容種類毎の部分記録情報PR に予め区分し、それぞれの部分記録情報PR に対応する内容種類とともに記録情報R中における当該部分記録情報PR 毎の開始時間が記載されたキューシートSTに基づき予め入力された内容情報であって、上記の内容種類とそれぞれの内容種類に対応する部分記録情報PR の開始時間よりなる内容情報を記憶するメモリ2と、VTR1から出力された音楽情報や映像情報をA/D変換した後、例えば、MPEG方式により圧縮処理し、音楽情報と映像情報とを時間軸多重して圧縮多重信号SR として出力するとともに、VTR1から出力される上記記録情報Rに対応したタイムコードTT 及びメモリ2から出力される内容情報に対応した内容情報信号SI に基づき、当該記録情報Rを部分記録情報PR 毎にアクセスするためのアクセス情報DACに対応するアクセス情報信号SACを出力する信号処理手段としての信号処理部3と、圧縮多重信号SR を一時的に記憶するハードディスク装置4と、アクセス情報信号SACを一時的に記録するフレキシブルディスク(FD)装置5と、情報記録装置S1 全体の制御を行うとともに、ハードディスク装置4から読み出された圧縮多重信号SR 及びFD装置5から読み出されたアクセス情報信号SACに基づき、記録情報Rと共に記録すべきその他の情報とアクセス情報DACとを合成して付加情報DA を生成し、当該付加情報DA に対応する付加情報信号SA を出力し、更に、圧縮多重信号SR と付加情報信号SA を時間軸多重するための情報選択信号SC を出力するコントローラ6と、情報選択信号SC に基づき、圧縮多重信号SR と付加情報信号SA とを時間軸多重して情報付加圧縮多重信号SAPを出力するための多重手段としての多重器7と、当該情報付加圧縮多重信号SAPに対して、例えば、リードソロモン符号等のエラー訂正コード(ECC)の付加及び8−15変調等の変調を施してディスク記録信号SM を生成する変調器8と、当該ディスク記録信号SM を光ディスクを製造する際のマスタ(抜き型)となるスタンパディスクに対して記録する記録手段としてのマスタリング装置9と、により構成されている。
【0012】
次に情報記録装置S1 の動作を説明する。
VTR1に一時的に記録された音楽情報及び映像情報は、信号処理部3においてA/D変換された後、MPEG方式により圧縮処理され、時間軸多重されて圧縮多重信号SR となり、ハードディスク装置4に一時的に記憶される。これと並行して、キューシートSTの記載に基づいて入力されメモリ2に記憶されている部分記録情報PR 毎の内容種類と開始時間を含む内容情報信号SI に基づき、信号処理部3において、VTR1から入力されたタイムコードTT を参照して上記部分記録情報PR 毎の開始アドレス及びその内容種類を含むアクセス情報DACが生成され、当該アクセス情報DACに対応するアクセス情報信号SACが出力されてFD装置5に一時的に記憶される。アクセス情報DACの内容構成の具体例については、後述する。以上の処理が記録情報R全体について実行される。
【0013】
記録情報Rの全てについて上記の処理が終了すると、コントローラ6は、ハードディスク装置4から圧縮多重信号SR を読み出すとともにFD装置5からアクセス情報信号SACを読み出し、記録情報Rと共に記録すべきその他の情報と当該アクセス情報DACとを合成して付加情報DA を生成し、当該付加情報DA に対応する付加情報信号SA を出力する。その後、圧縮多重信号SR が付加情報信号SA と時間軸多重され、情報付加圧縮多重信号SAPが生成される。そして、情報付加圧縮多重信号SAPに対して変調器8によりリードソロモン符号等のエラー訂正コード(ECC)の付加及び8−15変調等の変調が施され、マスタリング装置9により変調されたディスク記録信号SM がスタンパディスクに対して記録される。そして、このスタンパディスクを用いて図示しないレプリケーション装置により、一般に市販されるレプリカディスクとしての光ディスクが製造される。
【0014】
次に、信号処理部3において生成されるアクセス情報DAC及びそれに基づく情報記録装置S1 の動作について、記録情報Rが複数の曲を含む音楽情報のみである場合を例として図2乃至6を用いてより具体的に説明する。
【0015】
通常、音楽一曲は、図2に示すように複数のコーラスからなっている。そして、一つのコーラスは、イントロ(前奏)、歌、歌(クライマックス)、間奏、後奏(エンディング)のように区分することができる。このような区分は、曲によってその数及び順序は異なるが、内容区分そのものは、ほとんどの曲に共通するものである。この、イントロ(前奏)、歌、歌(クライマックス)、間奏等が上述の内容種類に相当し、図2が、内容種類に基づいて部分記録情報PR に区分された記録情報Rとしての曲を示している。キューシートSTには、図2に示す区分毎(部分記録情報PR 毎)に曲の最初から起算した開始時間が記載されており、それに基づいてメモリ2には、内容情報として、内容種類とそれに対応する開始時間が部分記録情報PR 毎に記憶される。以後、この部分記録情報PR を説明の都合上「第1単位」とし、図2に示すコーラスに相当する単位を「第2単位」とする。
【0016】
また、図2に示す内容種類は、それぞれ図3に例を示すように内容コードが付与されている。なお、図3において「00h」(hは16進数を示す。)は定義されていないが、これは、記録情報としての曲に対して図2に示すような区分をしない場合に「00h」を記述することとしたものである。また、「06h」乃至「FFh」は、今後区分する内容種類数が増加した場合に備えて定義しないものである。
【0017】
信号処理部3においては、メモリ2に記憶された第1単位毎の内容情報に基づき、第1単位毎にVTR1から入力される音楽情報に対して圧縮処理等の信号処理を行う。そして、第1単位毎の発生データ量と内容情報信号SI に含まれる第1単位毎の開始時間に基づき、各第1単位毎に開始アドレスを算出し、内容情報信号SI に含まれる内容種類とともに対応する開始アドレスを記憶する。このとき、各第1単位には、音楽情報の最初からの通し番号が付与される。次に、信号処理部3は、メモリ2からの内容情報信号SI に基づき、一つの第2単位(図2の場合、一つのコーラス)がいずれの内容種類に対応する第1単位から成り立っているか及びその順序を検出する。この処理は、例えば、図2の場合には、コーラス1に対応する第2単位は「イントロ」、「歌」及び「歌(クライマックス)」を示す三つの第1単位より成り立っていること及びそれらが「イントロ」、「歌」、「歌(クライマックス)」の順であることを検出するものである。その後、信号処理部3は、第2単位毎に、当該第2単位を構成する第1単位の組合わせ(第1単位の種類及び順序を示し、上記の場合、「イントロ」、「歌」、「歌(クライマックス)」)を記憶する。このとき、各第2単位には、第1単位と同様に音楽情報の最初からの通し番号が付与される。
【0018】
そして、信号処理部3は、VTR1から出力される音楽情報に含まれる全ての曲に対して上述の処理を行い、全てのデータに基づいてアクセス情報DACを生成する。
【0019】
ここで、アクセス情報DACのデータ構造の例を図4に示す。
図4に示すように、アクセス情報DACは、曲数データ20と、曲別第2単位数データ21と、各第2単位毎の第1単位数データ22と、各第2単位を構成する第1単位の記録すべき音楽情報の最初からの通し番号である構成第1単位番号データ23と、各第1単位の開始アドレスデータ24と、各第1単位毎の内容種類を示す内容コードデータ25(図3参照)により構成されている。ここで、第1単位数データ22において、各第2単位には記録すべき音楽情報の最初からの通し番号が付与されている。
【0020】
図4のアクセス情報DACについて、実際の曲に則したより具体的な例について、図5及び図6を用いて説明する。
図5には、2曲からなる音楽情報を内容種類毎に第1単位(部分記録情報PR に相当)に区分した状態を示している。すなわち、1曲目は二つの第2単位からなり、1曲目の最初の第2単位は「イントロ」、「歌」及び「歌(クライマックス)」の三つの第1単位より構成されている。また、1曲目の2番目の第2単位は、「歌」、「歌(クライマックス)」及び「エンディング」の三つの第1単位より構成されている。更に、2曲目は単一の第2単位より構成されており、当該第2単位は、「イントロ」、「歌」、「歌(クライマックス)」及び「エンディング」の四つの第1単位により構成されている。これらの区分が内容情報として予めキューシートSTに基づきメモリ2に記憶され、これに基づきそれぞれの第1単位の開始アドレス(図5「n1」、「n2」……「n10」)を含むアクセス情報DACが信号処理部3により生成されるのである。図5に示すように区分された音楽情報に対応するアクセス情報DACの内容を図6に示す。
【0021】
図6において、曲数データ20は、全曲数が2であるので、「2」とされている。曲別第2単位数データ21は、1曲目の第2単位数が2で2曲目の第2単位数が1なので、それぞれ「2」及び「1」とされている。第1単位数データ22は、各第2単位を構成する第1単位数が、それぞれ3、3、4であるので、「3」、「3」、「4」となる。構成第1単位番号データ23には、それぞれの第2単位を構成する第1単位の音楽情報の最初からの通し番号が記述されている。また、開始アドレスデータ24には、構成第1単位番号データ23における各第1単位毎の開始アドレス(図5参照)が記述されている。そして、内容コードデータ25には、各第1単位の順に図3に示す内容コードが記述されている。
【0022】
以上説明した処理により生成されたアクセス情報DACに対応するアクセス信号SACが信号処理部3から出力され、一旦FD装置5に記憶された後に読み出され、コントローラ6により付加情報DA として合成され、付加情報信号SA として出力される。その後、多重器7により圧縮多重信号SR と付加情報信号SA が多重され、情報付加圧縮多重信号SAPとして変調等された後マスタリング装置9によりスタンパディスクに記録され、これに基づいてレプリカディスクとしての光ディスクが製作される。
【0023】
なお、情報選択信号SC によって多重器7により付加情報信号SA と圧縮多重信号SR を時間軸多重するタイミングについては、多重器7の接点を予め付加情報信号SA 側に設定しておき、当該付加情報信号SA を記録した後、上記接点を圧縮多重信号SR 側に切り換えれば、上記光ディスク(スタンパディスク)の最内周に付加情報信号SA を時間軸多重することができる。この場合には、付加情報信号SA が一つの領域にまとめて記録されているので、再生時において、再生すべき第1単位に対応する部分記録情報PR を迅速に検索することができるとともに、再生時において、付加情報信号SA と圧縮多重信号SR が混同して再生されることを防止することができることとなる。
【0024】
以上説明した情報記録装置S1 及び情報記録装置S1 により音楽情報が記録された光ディスクによれば、音楽情報とともに、当該音楽情報中の「イントロ」「間奏」等の内容種類毎の第1単位の開始アドレス及び当該第1単位毎に対応する内容種類を含む内容情報が記録されるので、再生時において、当該内容情報に基づいて音楽情報全体の記録順序に無関係に再生させたい内容種類に対応する第1単位部分のみを再生できる。
【0025】
(II)情報再生装置
始めに、図7を用いて、実施例に係る情報再生装置の構成について説明する。 図7に示すように、実施例に係る情報再生装置S2 は、上述の情報記録装置S1 により圧縮多重信号SR にアクセス情報信号SACを含む付加情報信号SA が多重してディスク記録信号SM として記録されている光ディスクDKから当該ディスク記録信号SM を検出し、検出信号SP として出力する検出手段としての光ピックアップ10と、読み出された検出信号SP を一定のスレッショルド(閾値)によって2値化して2値信号SB として出力する2値化器11と、2値信号SB に対して復調及びエラー訂正を行い、復調信号SL として出力するとともに、2値信号SB から付加情報信号SA を抽出する抽出手段としての復調器12と、復調信号SL に対してMPEG方式により伸張処理を行い、D/A変換して出力映像信号SDV及び出力音楽信号SDAとして出力する信号処理部13と、2値信号SB からクロック成分を検出し、検出クロック信号CLKP として出力するクロック成分検出器14と、検出クロック信号CLKP と後述の発振器17からの基準クロック信号CLKとを位相比較して比較信号とし、当該比較信号から高域成分を除去し、スピンドルモータ16の回転数制御信号SSPとして出力するLPF(Low Pass Filter )を含む位相比較器15と、回転数制御信号SSPに基づく回転数制御の下、光ディスクDKを回転するスピンドルモータ16と、情報再生装置S2 を構成する各部材相互間のタイミング同期を取るための基準クロック信号CLKを出力する発振器17と、情報再生装置S2 全体の制御を行うとともに、抽出された付加情報信号SA に含まれるアクセス情報DACを記憶し、キーボード18から入力された再生すべき内容種類を指定する指定信号SF 及び復調器12から出力される現在再生中の記録情報のアドレスに対応するアドレス信号SADに基づいて、当該指定信号SF により指定された内容種類に対応する部分記録情報PR (第1単位)のみを再生するためのスピンドル制御信号SE 、信号出力制御信号SDS及びスライダ制御信号SX を出力する制御手段としてのコントローラ19と、により構成されている。
【0026】
ここで、信号出力制御信号SDSの制御に基づく信号処理部13による出力映像信号SDV及び出力音楽信号SDAの出力については、再生すべき部分記録情報PR (第1単位)を再生するために当該部分記録情報PR (第1単位)が記録されている位置にスライダ制御信号SX により光ピックアップ10を移送している間は、出力映像信号SDVについては、移送直前の画像が静止画として出力され、出力音楽信号SDAの出力については中断することとなる。
【0027】
更に、上記情報記録装置S1 による記録においては、再生時にクロックが自己抽出することができるようにディスク記録信号SM が変調されているので、クロック成分検出器14において、抽出クロック信号CLKP を検出することができる。
【0028】
次に、情報再生装置S2 の動作について図7及び図8を用いて、図6のアクセス情報DACに対応する音楽情報のみが光ディスクDKに記録されている場合について説明する。この場合に、出力映像信号SDVが出力されないことはいうまでもないが、出力映像信号SDVが音楽情報と共に多重されている場合も、類似の動作により、以下に示す実施例と同等の効果を上げることができる。また、以下の実施例では、音楽情報に対応する音楽中の「クライマックス」部分(内容コード「03h」に対応する)のみを再生する場合について説明する。
【0029】
情報再生装置S2 の動作は、コントローラ19に含まれるROM(Read Only Memory)に記憶されたフローチャート(図8参照)に基づいて行われる。 図7に示す情報再生装置S2 において、音楽情報中の特定の内容種類のみ音楽情報を再生する場合には、始めに、キーボード18により再生すべき「クライマックス」に対応する内容コード「03h」が入力される(ステップS1)。そして、内容コード「03h」が入力されると(ステップS1)、コントローラ19は、記憶しているアドレス情報DAC(図6参照)の内容コードデータ25から内容コード「03h」に対応する第1単位番号「(3)」「(5)」「(9)」を取得する(ステップS2)。第1単位番号が取得できたら(ステップS2)、次に、当該番号の第1単位の開始アドレス及び当該番号の第1単位の次の第1単位の開始アドレスを開示アドレスデータ24から取得する(ステップS3)。具体的には、第1単位(3)の開始アドレスは「n3」であり、第1単位(3)の次の第1単位である第1単位(4)の開始アドレスは「n4」となる。
【0030】
そして、ステップS4において、「n4」から「n3」を減算し、第1単位(3)のサイズ(n4−n3)を算出する(ステップS4)。その後、ステップS3で取得した第1単位(3)の開始アドレス「n3」と、ステップS4で算出した第1単位(3)のサイズ(n4−n3)をコントローラ19内のメモリに記憶する(ステップS5)。
【0031】
次に、全ての内容コード「03h」に対応する第1単位(第1単位(3)、第1単位(5)及び第1単位(9))について、ステップS3乃至ステップS5が実行されたか否かが判断される(ステップS6)。これまでの処理では、第1単位(3)についてしか処理が終了していないので、ステップS6は「NO」となり、ステップS3に戻って、次の第1単位(5)についてステップS3乃至ステップS5に処理が実行される。このようにして、第1単位(3)、第1単位(5)及び第1単位(9)について、ステップS3乃至ステップS5が実行される。
【0032】
第1単位(3)、第1単位(5)及び第1単位(9)について、ステップS3乃至ステップS5が実行されたならば(ステップS6;YES)、次に、第1単位(3)の開始アドレス「n3」の位置に光ピックアップ10を移送するべく制御信号としてのスライダ制御信号SX が出力される。このとき、信号出力制御信号SDSにより出力音声信号SDAの出力は停止される。そして、開始アドレス「n3」の位置に光ピックアップ10が移送されると、その位置から第1単位(3)のサイズ(n4−n3)だけ再生される(ステップS7)。このとき、再生開始と同時に出力音声信号SDAの出力が再開されることはいうまでもない。
【0033】
第1単位(3)について、サイズ(n4−n3)だけ再生されると(ステップS7)、次に、全ての内容コード「03h」に対応する第1単位(第1単位(3)、第1単位(5)及び第1単位(9))について、ステップS7が実行されたか否かが判断される(ステップS8)。これまでの処理では、第1単位(3)についてしかステップS7の処理が終了していないので、ステップS8は「NO」となり、ステップS7に戻って、次の第1単位(5)についてステップS7の処理が実行される。このようにして、第1単位(3)、第1単位(5)及び第1単位(9)について、ステップS7が実行され、内容種類「クライマックス」に対応する第1単位の再生が行われる。全ての「クライマックス」に対応する第1単位の再生が終了したならば(ステップS8;YES)、内容種類毎の再生処理を終了し、次の命令の入力待ちとなる。
【0034】
以上が、情報再生装置S2 の処理であり、これによれば、音楽情報中の内容種類毎の第1単位の開始アドレス及び当該第1単位に対応する内容種類を含むアクセス情報DACに基づいて音楽情報が再生されるので、曲毎のクライマックス部分のみの連続再生や、曲毎のイントロ部分のみの連続再生等の多彩な再生が可能となり、特に、実施例をカラオケ装置に応用した場合には、より利用範囲が広がる。
【0035】
(III )変形例
上述の実施例においては、一の曲を「前奏」、「クライマックス」、「間奏」等の第1単位に区分した場合について説明したが、本発明は、これに限られるものではなく、第1単位への区分方法を変えることにより、コーラス(曲)単位のリピート再生や、特定の曲のみの連続再生、内容種類単位のリピート再生等も可能である。
【0036】
また、音楽情報のみでなく映像情報を上述のように内容種類毎に区分して記録するようにし、当該内容種類毎に再生するように構成することもできる。
更に、本発明をコンピュータ用のCD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory )の記録に応用することも可能である。その際には、記録されているデータの種類毎に内容種類を区分して記録することとなる。
【0037】
更にまた、光ディスクDKへの記録情報Rの記録に際しては、アクセス情報DACが多重された付加情報信号SA を、ファイル単位や曲単位で記録するようにしてもよい。
更に、キーボード18は、遠隔操作可能なリモコンであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例に係る情報記録装置の概要構成ブロックを示す図である。
【図2】実施例の内容種類により記録情報(曲)の区分を示す図である。
【図3】実施例の内容種類のコード化の一例を示す図である。
【図4】実施例のアドレス情報のデータ構造を示す図である。
【図5】実施例の内容種類による曲の区分の具定例を示す図である。
【図6】アクセス情報の具体例を示す図である。
【図7】実施例の情報再生装置の概要構成を示すブロック図である。
【図8】実施例の情報再生装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】従来技術の情報記録を説明する図である。
【符号の説明】
【0039】
1…VTR
2…メモリ
3、13…信号処理部
4…ハードディスク装置
5…FD装置
6、19…コントローラ
7…多重器
8…変調器
9…マスタリング装置
10…光ピックアップ
11…2値化器
12…復調器
14…クロック成分検出器
15…位相比較器(LPF)
16…スピンドルモータ
17…発振器
18…キーボード
20…曲数データ
21…曲別第2単位数データ
22…第1単位数データ
23…構成第1単位番号データ
24…開始アドレスデータ
25…内容コードデータ
100…CD
101…アクセス情報領域
102…ソース情報領域
110、111、N…開始アドレス
AC…アクセス情報
1 …情報記録装置
2 …情報再生装置
DK…光ディスク
ST…キューシート
R …圧縮多重信号
I …内容情報信号
AC…アクセス情報信号
A …付加情報信号
C …情報選択信号
M …ディスク記録信号
AP…情報付加圧縮多重信号
SP…回転数制御信号
P …検出信号
B …2値信号
X …スライダ制御信号
E …スピンドル制御信号
F …指定信号
AD…アドレス信号
DS…信号出力制御信号
L …復調信号
DV…出力映像信号
DA…出力音楽信号
T …タイムコード
CLK…基準クロック信号
CLKP …検出クロック信号
R…記録情報
R …部分記録情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録すべき記録情報に対して所定の信号処理を施して処理記録信号を出力するとともに、予め設定された所定の内容種類毎に前記記録情報を予め区分した複数の部分記録情報についての前記内容種類と、を前記記録情報に対応する内容情報として生成し、当該内容情報と前記部分記録情報の総数に対応する情報信号を出力する信号処理手段と、前記処理記録信号に前記情報信号を付加して多重記録信号を出力する多重手段と、前記多重記録信号を情報記録媒体に記録する記録手段と、を備えたことを特徴とする情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−213810(P2007−213810A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102258(P2007−102258)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【分割の表示】特願平7−166024の分割
【原出願日】平成7年6月30日(1995.6.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】