説明

情報配信装置

【課題】ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを閲覧サイトへ投稿した場合に、そのコメントが他のユーザへ与える影響を把握可能にする。
【解決手段】実施の1形態の情報配信装置16は、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを受け付けるコメント受付部32と、ユーザとウェブコンテンツの組み合わせを特定可能な短縮URLを決定する短縮URL決定部34と、その短縮URLを含む本装置宛のリンクを付加したユーザのコメントを投稿サイトへ投稿して他のユーザに閲覧可能にするコメント投稿部38と、他のユーザから上記リンクを介したアクセスを受け付けた場合、当該リンクの短縮URLで特定されるウェブコンテンツへリダイレクト接続させる転送処理部44と、当該他のユーザがウェブコンテンツを閲覧したことを示す履歴を更新する履歴更新部46とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを他のユーザに閲覧可能に配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個々のユーザがツイートとも呼ばれる短いコメントを投稿し、他のユーザがそのコメントを閲覧することができるウェブサイト(以下、「投稿サイト」とも呼ぶ。)によるコミュニケーションサービスが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−193133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを閲覧サイトへ投稿した場合に、そのコメントが他のユーザへ与える影響を把握することにより、ウェブコンテンツの提供者にとって有用な情報を得ることができると考えた。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを閲覧サイトへ投稿した場合に、そのコメントが他のユーザへ与える影響を把握可能にするための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報配信装置は、ウェブコンテンツを閲覧するユーザから、ウェブコンテンツに対するコメントであって、外部の投稿サイトへ投稿すべきコメントを受け付けるコメント受付部と、ユーザとウェブコンテンツの組み合わせを一意に特定可能な識別情報を決定する識別情報決定部と、識別情報を含む本装置宛のリンクをユーザのコメントに付加した上で、そのコメントを投稿サイトへ投稿することにより、ユーザのコメントを他のユーザに閲覧可能にするコメント投稿部と、他のユーザからリンクを介したアクセスを受け付けた場合、リンクが含む識別情報で特定されるウェブコンテンツについて、その位置情報を他のユーザへ提供することにより、ウェブコンテンツを他のユーザに閲覧可能にするコンテンツ情報提供部と、他のユーザからリンクを介したアクセスを受け付けるたびに、リンクが含む識別情報で特定されるユーザのコメントに反応して他のユーザがウェブコンテンツを閲覧したことを示す履歴を更新する履歴更新部と、を備える。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントを閲覧サイトへ投稿した場合に、そのコメントが他のユーザへ与える影響を把握することを支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態の情報処理システムの構成を示す図である。
【図2】図1の情報配信装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】ホスト名保持部が保持するデータの構成を示す図である。
【図4】コメント属性の構成を示す図である。
【図5】アクセス履歴の構成を示す図である。
【図6】情報配信装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】変形例におけるコメント属性の構成を示す図である。
【図8】変形例におけるアクセス履歴の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施の形態の情報処理システム100の構成を示す。情報処理システム100は、ECサイトサーバ10と、投稿サイトサーバ12で総称される投稿サイトサーバ12a、投稿サイトサーバ12b、投稿サイトサーバ12cと、ユーザ端末14で総称されるユーザ端末14a、ユーザ端末14b、ユーザ端末14cと、情報配信装置16と、管理者端末18とを備える。これらの各装置は、LAN・WAN・インターネット等、公知の通信手段を含む通信網20を介して接続される。
【0011】
ユーザ端末14a〜ユーザ端末14cは、それぞれ異なるユーザにより操作される情報処理装置であり、本実施の形態ではウェブブラウザがインストールされた一般的なPCであることとする。ただし、ユーザ端末14a〜ユーザ端末14cはPCに限定されるものではなく、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末等であってもよいことはもちろんである。ユーザ端末14a〜ユーザ端末14cのそれぞれは、ECサイトサーバ10および投稿サイトサーバ12が提供するウェブページを所定のディスプレイに表示させる。
【0012】
ECサイトサーバ10は、様々な商品をオンラインで販売するウェブサイト(すなわちECサイト)をインターネット上に公開するウェブサーバである。なお、ECサイトは一例であり、ユーザによるコメントの対象となるウェブコンテンツを提供するウェブサイトであれば他の種類のウェブサイトであってもよいことはもちろんである。例えば、企業情報やニュースを提供するウェブサイトであってもよい。
【0013】
投稿サイトサーバ12a〜投稿サイトサーバ12cのそれぞれは、ユーザが抱く時々の感想が記されたコメント(いわゆる「ツイート」)が即時に投稿される投稿サイトをインターネット上に公開するウェブサーバである。このような投稿サイトとしては、例えば「Twitter」(商標もしくは登録商標)が挙げられる。本実施の形態では、ECサイトサーバ10からユーザ端末14へ提供されたウェブページを閲覧するユーザの、ECサイトで紹介された商品に対するコメントが投稿されることとする。なお、投稿サイトサーバ12a〜投稿サイトサーバ12cはそれぞれ異なる投稿サイトを公開するものであり、以下では、投稿サイトサーバ12aは投稿サイトA、投稿サイトサーバ12bは投稿サイトB、投稿サイトサーバ12cは投稿サイトCを公開することとする。
【0014】
情報配信装置16は、ECサイトサーバ10が提供するウェブコンテンツに対するユーザのコメントを受け付けて投稿サイトサーバ12へ中継する情報処理装置である。詳細は後述するが、情報配信装置16は、他のユーザに対する影響力が高いユーザを把握可能にする。管理者端末18は、情報配信装置16の管理者(運用者とも言える)により操作される一般的なPCである。管理者端末18は、管理者の指示に応じて、他のユーザに対する影響力が高いユーザを示す情報を情報配信装置16から取得してディスプレイへ表示させることにより、その情報を管理者へ提示する。
【0015】
図2は、図1の情報配信装置16の機能構成を示すブロック図である。情報配信装置16は、ホスト名保持部30と、コメント受付部32と、短縮URL決定部34と、コメント属性設定部36と、コメント投稿部38と、コメント属性保持部40と、ユーザアクセス受付部42と、転送処理部44と、履歴更新部46と、アクセス履歴保持部48と、集計処理部50と、ユーザ情報提示部52とを備える。なお、情報配信装置16はウェブサーバとしての機能も有するが、当該機能は公知技術であるため詳細な説明は省略する。
【0016】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2の各機能ブロックは、ソフトウェアとして記録媒体に格納され、情報配信装置16のハードディスクにインストールされ、情報配信装置16のメインメモリに適宜読み出されてプロセッサにて実行されてもよい。
【0017】
ホスト名保持部30は、後述する短縮URLのホスト名フィールドへ設定すべき自装置(すなわち情報配信装置16)を示す複数のホスト名の候補を保持する。これら複数のホスト名の候補のそれぞれは、通信網20内のDNSサーバにおいても、情報配信装置16のIPアドレスと対応づけて保持される。
【0018】
図3は、ホスト名保持部30が保持するデータの構成を示す。情報配信装置16を示すホスト名の各候補(図3の「URLホスト名」)は、ユーザによるコメント対象となるウェブコンテンツ(以下、「コメント対象コンテンツ」とも呼ぶ。)を提供するウェブサイト(例えばECサイトサーバ10が公開するECサイト)のURLに設定されたホスト名(図3の「投稿元ホスト名」)と対応づけられる。本実施の形態では、URLホスト名には投稿元ホスト名と近似する文字列、言い換えれば一見して類似する文字列が設定される。例えば、投稿元ホスト名の一部を変化させたものであってもよく、投稿元ホスト名に対して短い文字列を付加したものであってもよい。
【0019】
図2に戻り、コメント受付部32は、ユーザ端末14からECサイトサーバ10へ送信されて、ECサイトサーバ10から転送されたユーザのコメントを受け付ける。ECサイトサーバ10は、ユーザのコメントを情報配信装置16へ転送するにあたり、情報配信装置16が提供するコメント投稿のための共通API、すなわち投稿先の投稿サイトサーバ12の種類に依存しないAPIを通信網20を介して呼び出す。その際には引数として、投稿先である投稿サイトの識別情報・コメント文字列・コメント対象コンテンツのURL・ユーザID等のコメント関連情報を指定する。コメント受付部32は、共通APIの呼び出しに応じて、上記のコメント関連情報を取得する。
【0020】
短縮URL決定部34は、コメントを投稿したユーザ(以下、「コメント投稿ユーザ」とも呼ぶ。)と、コメント対象コンテンツとの組み合わせを一意に特定可能なURL(以下、「短縮URL」とも呼ぶ。)を決定する。
【0021】
具体的には、短縮URL決定部34は、ホスト名保持部30に保持されたURLホスト名の候補の中から、コメント対象コンテンツのURLが示すホスト名と対応づけられたものを特定する。そして、特定したURLホスト名を短縮URLのホスト名フィールドへ設定する。また短縮URL決定部34は、コメント投稿ユーザのIDとコメント対象コンテンツのURLとの組み合わせを所定の関数に入力し、その組み合わせを一意に示す文字列(例えば、その組み合わせにより一意に定まるハッシュ文字列)を取得する。そして、取得した文字列を短縮URLのパス名フィールドへ設定する。上記所定の関数は、短縮URL生成のための公知のツールが提供する関数であってもよい。
【0022】
コメント属性保持部40は、ユーザのコメントに関する属性情報(以下、「コメント属性」とも呼ぶ)を保持する記憶領域である。図4は、コメント属性の構成を示す。コメント属性設定部36は、コメント属性として、コメント対象コンテンツのURL(図5の「投稿元URL」)と、そのURLに応じて決定された短縮URLと、投稿者であるユーザのIDと、投稿サイトの識別情報とを対応づけてコメント属性保持部40へ格納する。
【0023】
図2に戻り、コメント投稿部38は、ユーザのコメントを、そのユーザにより指定された投稿先サイトへ投稿するための処理を実行する。具体的には、まず、ユーザのコメントに対して、短縮URLを遷移先として設定したハイパーリンクを付加する。そして、投稿サイトA〜投稿サイトCのそれぞれが提供するコメント投稿用のAPIのうち、ユーザにより指定された投稿サイトのAPIを選択し、ハイパーリンクを付加したコメント文字列とユーザIDとを引数として呼び出す。これにより、ユーザが指定した投稿サイトに対応する投稿サイトサーバ12に対して、ハイパーリンクを付加したコメント文字列とユーザIDとを送信する。
【0024】
コメントの投稿を受け付けた投稿サイトサーバ12は、ユーザのコメントを投稿日時順に並べてリスト表示する画面(いわゆる「タイムライン」)に、投稿されたコメントを追加して表示させる。それとともに、そのユーザのコメントを受信するよう設定している他のユーザ(いわゆる「フォロワー」)のタイムラインにも、その投稿されたコメントを追加して表示させる。
【0025】
投稿サイトの自身のタイムラインを閲覧したユーザが、そのタイムラインに表示されたコメント内のハイパーリンクを選択し、そのハイパーリンクが短縮URLを含む場合、ユーザアクセス受付部42は、その短縮URLを指定したアクセス、例えばHTTP−GETリクエストをユーザ端末14から受け付ける。
【0026】
転送処理部44は、コメント属性保持部40に保持されたコメント属性、具体的には短縮URLと投稿元URLとの対応関係を参照して、ユーザ端末14から受け付けた短縮URLに対応づけられた投稿元URLを特定する。そして転送処理部44は、その投稿元URLへのリダイレクトを指示するHTTPレスポンスをユーザ端末14へ送信する。これにより、ユーザ端末14のウェブブラウザによるアクセス先をコメント対象コンテンツへ遷移させ、コメント対象コンテンツをユーザ端末14に表示させる。
【0027】
アクセス履歴保持部48は、ユーザ端末14から短縮URLを指定したアクセスを受け付けた実績を示す履歴情報(以下、「アクセス履歴」とも呼ぶ。)を保持する。このアクセス履歴は、ユーザのコメントに反応してそのコメント対象コンテンツを他のユーザが閲覧した実績を示す情報である。図5は、アクセス履歴の構成を示す。アクセス履歴は、コメント属性保持部40に保持されたコメント属性において短縮URLと対応づけられた情報項目(図5の「投稿元URL」・「投稿者ID」・「投稿先」)を含む。さらに、ユーザ端末14から短縮URLを指定したアクセスを受け付けた日時(図5の「アクセス日時」)と、そのアクセスを一意に識別するためのIDとしてユーザ端末14のIPアドレス(図5の「IPアドレス」)とを含む。
【0028】
履歴更新部46は、短縮URLを指定したアクセスがユーザアクセス受付部42において受け付けられるたびに、現在日時をアクセス日時として特定し、また受け付けられたアクセスパケットにおける送信元アドレスをユーザ端末14のIPアドレスとして取得する。さらに、コメント属性保持部40から短縮URLに対応するコメント属性を取得する。そして、それらを対応づけた新たなアクセス履歴をアクセス履歴保持部48へ格納する。
【0029】
集計処理部50は、アクセス履歴保持部48に保持されたアクセス履歴を参照し、各ユーザが投稿したコメントが他のユーザに与えた影響度合いを集計する。本実施の形態では、各ユーザの1以上のコメントに反応して他のユーザがコメント対象コンテンツを閲覧した回数を集計する。具体的には、アクセス履歴における各投稿者IDと対応づけられたレコード数を集計することにより、各ユーザのコメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数を導出する。図5に示すアクセス履歴の場合、ユーザ「nozomi」の2つのコメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数は合計3回と算出される。
【0030】
ユーザ情報提示部52は、投稿サイトへコメントを投稿したユーザに関する情報の提供要求を管理者端末18から受け付ける。ユーザ情報提示部52は、集計処理部50において集計された各ユーザのコメントによる他のユーザへの影響度合いに応じた態様で、各ユーザに関する情報(例えばアクセス履歴に保持された各ユーザのID)を管理者端末18へ提供する。本実施の形態では、各ユーザのコメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数に応じた態様で各ユーザに関する情報が表示されるよう設定したデータを管理者端末18へ送信する。各ユーザに関する情報は、ウェブページのデータに含まれて管理者端末18へ提供されてもよく、所定形式の文書ファイルのデータに含まれて管理者端末18へ提供されてもよい。
【0031】
なお図2には不図示であるが、情報配信装置16は、ユーザIDと、ユーザに関する各種属性情報(例えば氏名・性別・生年月日・メールアドレス等)とを対応づけて保持するユーザ情報保持部をさらに備えてもよい。ユーザ情報提示部52は、アクセス履歴に保持された各ユーザのIDをキーとしてユーザ情報保持部から各ユーザの属性情報を取得し、その属性情報を管理者端末18へ提供してもよい。
【0032】
ここで、ユーザ情報提示部52によるユーザ情報の提示態様の例を挙げる。ユーザ情報提示部52は、コメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数が所定値以上となったユーザの情報のみを管理者端末18へ提供してもよい。また、コメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数の降順で、複数のユーザに関する情報をランキング表示させてもよい。また、コメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数が所定値以上となったユーザの情報は、その閲覧回数が所定値未満のユーザの情報よりも視認性を高めた態様としてもよい。具体的には、文字サイズを大きくしてもよく、管理者の注意を喚起しやすいと想定される文字色や背景色を設定してもよい。
【0033】
以上の構成による動作を以下説明する。
ユーザ端末14aを操作してECサイトサーバ10のウェブコンテンツを閲覧中のユーザαが、そのウェブコンテンツに対する短い感想を記したコメントを特定の投稿サイトへ投稿する際、ECサイトサーバ10は予め定められた投稿フォームをユーザ端末14aへ送信して表示させる。ユーザαがその投稿フォームへコメントを入力して送信操作をすると、ECサイトサーバ10はユーザ端末14aからコメント文字列を受け付ける。ECサイトサーバ10は、そのコメント情報を引数として、情報配信装置16が提供する投稿サイトA〜Cに共通のコメント投稿用APIを呼び出す。
【0034】
以下、情報配信装置16の動作を示す図6のフローチャートを参照して説明する。情報配信装置16のコメント受付部32がECサイトサーバ10から送信されたコメント情報を受け付けると(S10のY)、短縮URL決定部34は、ホスト名保持部30に保持されたホスト名の候補からECサイトのURL(のホスト名)に対応するホスト名を選択する。そして、コメント対象コンテンツとユーザとを一意に特定可能な短縮URLを決定する(S12)。コメント属性設定部36は、コメント対象コンテンツおよびユーザと、短縮URLとの対応関係を含むコメント属性をコメント属性保持部40へ記録する(S14)。コメント投稿部38は、短縮URLを含むハイパーリンクを付加したユーザコメントを引数として、ユーザにより指定された投稿サイトが提供するコメント投稿用APIを呼び出すことにより、その投稿サイトへユーザコメントを投稿する(S16)。ECサイトサーバ10からコメント情報を受け付けなければ(S10のN)、S12〜S16はスキップされる。
【0035】
投稿サイトサーバ12は、ユーザαのコメントを受け付けると、そのコメントをユーザαのタイムラインに表示させるとともに、ユーザαのフォロワーであるユーザβ(ユーザ端末14bの操作者であることとする)のタイムラインにも表示させる。ユーザβは、ユーザαのコメントを閲覧してコメント対象コンテンツに興味を持った場合、コメント内のハイパーリンクを選択する。その選択を検出したユーザ端末14bは、ハイパーリンクに含まれる短縮URLを指定したHTTP−GETリクエストを情報配信装置16へ送信する。
【0036】
情報配信装置16のユーザアクセス受付部42がユーザ端末14bから送信されたGETリクエストを受け付けると(S18のY)、転送処理部44は、コメント属性保持部40が保持するコメント属性においてGETリクエストの短縮URLと対応づけられたコメント対象コンテンツのURLを特定する。そして、そのコメント対象コンテンツへのリダイレクト指示をユーザ端末14bへ送信することにより、ユーザ端末14bにおいてコメント対象コンテンツを表示させる(S20)。それとともに履歴更新部46は、GETリクエストの短縮URLと対応づけられたコメント属性を取得して新たなアクセス履歴をアクセス履歴保持部48へ追加的に記録する(S22)。ユーザ端末14bから短縮URLを指定したGETリクエストを受け付けなければ(S18のN)、S20およびS22はスキップされる。
【0037】
情報配信装置16の管理者は、他のユーザに対する影響力が高いユーザに関する情報を情報配信装置16から取得して、ECサイトの提供者(例えば商品の製造業者や販売会社)へ提供する。情報配信装置16のユーザ情報提示部52が管理者端末18から送信されたユーザ情報の提供要求を受け付けると(S24のY)、アクセス履歴保持部48は履歴更新部46に保持されたアクセス履歴をユーザごとに集計する。そして、各ユーザのコメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数を算出する(S26)。ユーザ情報提示部52は、コメント対象コンテンツに対する他のユーザの閲覧回数が所定値以上のユーザに関する情報を、他のユーザに対して高い影響力を持つユーザであることを示す態様(例えば、他者への影響が強いユーザである旨のメッセージとともに)管理者端末18へ提供する(S28)。管理者端末18からユーザ情報の提供要求を受け付けなければ(S24のN)、S26およびS28はスキップされる。
【0038】
本実施の形態の情報配信装置16によれば、投稿サイトの閲覧者によるコメント対象コンテンツの閲覧要求を一旦自装置で受け付けた上で、ウェブサイト側へリダイレクトさせることにより、その閲覧要求を受け付けた実績を履歴として逐次記録する。そして、その履歴にもとづいて、ウェブコンテンツに対するユーザのコメントに反応して他のユーザがそのウェブコンテンツを閲覧した回数を集計することにより、他のユーザに対して影響力の高いユーザを抽出することができる。ウェブコンテンツの提供者やウェブサイトの運営者は、他のユーザに対して影響力の高いユーザの情報を商品販売に活用できる。例えば、他のユーザに対して影響力の高いユーザへ試供品を提供して、試供品に対する感想の投稿を促すことにより、商品の実質的な宣伝を行わせることができる。また、そのユーザの趣向にあわせた商品を提供することで肯定的なコメントの投稿を促し、そのユーザのコメントの影響を受ける他のユーザの購買意欲を高めるような販売戦略をとることもできる。
【0039】
なお、本実施の形態において、他のユーザに対する影響力の高いユーザの判定基準は、コメント対象コンテンツにアクセスすることが未確定のフォロワーの数ではなく、コメント対象コンテンツにアクセスすることが確定したユーザ数である。したがって、他のユーザに対する影響力の高いユーザを一層精度よく抽出できる。
【0040】
また情報配信装置16によれば、コメント内のハイパーリンクに設定する短縮URLのホスト名として、コメント対象コンテンツのURLに設定されたホスト名に近似するホスト名が設定される。これにより、コメント対象コンテンツのURLと何ら関わりのない短縮URLを設定する場合よりも、ハイパーリンクを選択(クリック)するにあたってのユーザの不安を低減させて、ハイパーリンクを選択させやすくし、コメント対象コンテンツへのアクセスを促進させることができる。
【0041】
また情報配信装置16によれば、投稿サイトの種類に依存しない共通のコメント投稿用APIを、ユーザ用のウェブコンテンツを提供するウェブサイト(図1ではECサイトサーバ10)へ提供する。これにより、ユーザ用のウェブコンテンツを提供するウェブサイトでは、コメント投稿先となる投稿サイトの違いを意識することなく共通APIをコールすればよく、ユーザコメント投稿機能の実装コストや保守コストが低減される。
【0042】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0043】
第1の変形例を説明する。上記実施の形態においては、集計処理部50は、アクセス履歴における投稿者IDごとのレコード数を集計した。変形例においては、投稿者IDごとに集計したレコード数をさらに短縮URLの種類数(言い換えればユーザコメントの総数)で除算してもよい。すなわち、1コメントあたりの他のユーザの平均反応数を算出してもよい。ユーザ情報提示部52は、上記の除算結果が所定値以上のユーザを、他のユーザに対して影響力の高いユーザと判定してもよい。この変形例によると、単に投稿コメント数が多い結果、コメント対象コンテンツの閲覧数が多くなったユーザを排除して、少ない投稿コメント数であっても効率的に多くの他のユーザに影響を与えるユーザ(典型的にはフォロワーが多く、かつ、フォロワーの追随を招きやすいユーザ)を抽出することができる。すなわち、ウェブコンテンツの提供者やウェブサイトの運営者にとって重要となるユーザの抽出精度を高めることができる。
【0044】
第2の変形例を説明する。上記実施の形態においては、ECサイトサーバ10から情報配信装置16へユーザコメントが送信される際に、投稿サイトA〜Cのいずれかが指定されることとした。変形例においては、コメントを投稿する際のチェックボックスによる選択等により、ユーザが複数の投稿サイトを投稿先として一括して指定してもよい。そして、ECサイトサーバ10は共通APIをコールする際にそれら複数の投稿サイトを指定してもよい。この場合、情報配信装置16のコメント投稿部38は、指定された複数の投稿サイトそれぞれに対して、ユーザコメントを並行して送信してもよい。この変形例によると、複数の投稿サイトへのコメント投稿が1回の操作で実現されるため、コメントを投稿するユーザの負担を低減できる。
【0045】
第3の変形例を説明する。上記実施の形態においては言及していないが、コメント投稿部38は確認部を含んでもよい。この確認部は、実際に投稿サイトサーバ12へ投稿するコメントのデータ、すなわち短縮URLを含むハイパーリンクが付加されたコメントのデータをECサイトサーバ10へ提供することにより、投稿者であるユーザのユーザ端末14において編集可能に表示させてもよい。ユーザによる(編集を含む)確認後に送信操作がなされた場合、確認部はECサイトサーバ10から確認後のユーザコメントを受け付け、コメント投稿部38は確認後のユーザコメントを投稿サイトサーバ12へ送信する。この変形例によると、実際に投稿されるコメントの内容、すなわち短縮URLを含むハイパーリンクが付加されたコメントをユーザに確認させることができる。例えばユーザは、ハイパーリンクのクリックを促す文章等を追記することができる。
【0046】
第4の変形例を説明する。図7で示すようにコメント属性保持部40は、コメント属性として、ユーザにより投稿されたコメントの内容(以下、「コメント本文」とも呼ぶ。)をさらに保持してもよい。本変形例のコメント属性設定部36は、コメント受付部32がECサイトサーバ10から送信されたコメント情報を受け付けた際、コメント本文と、投稿元URLと、短縮URLと、ユーザIDと、投稿サイトの識別情報とを対応づけてコメント属性保持部40へ格納する。同様に、図8で示すようにアクセス履歴保持部48は、アクセス履歴として、ユーザにより投稿されたコメント本文をさらに保持してもよい。本変形例の履歴更新部46は、短縮URLを指定したアクセスがユーザアクセス受付部42において受け付けられるたびに、コメント属性保持部40から短縮URLに対応するコメント本文を含むコメント属性を取得してアクセス履歴保持部48へ格納する。
【0047】
第4の変形例において集計処理部50はコメント解析部を含んでもよい。コメント解析部は、コメント属性保持部40に保持されたコメント本文の属性(特徴とも言える)を、形態素解析や構文解析、予め定められたキーワードとのマッチング等の公知の自然言語処理技術を用いて特定する。例えば、コメントの末尾が断定形であるか否か(断定の助動詞で終わっているか否か)や、コメントの末尾が疑問形であるか否か(疑問の助動詞や記号「?」で終わっているか否か)、コメントが特定のキーワードや記号を含むか否か、文字数等を特定する。
【0048】
集計処理部50は、アクセス履歴保持部48に保持されたコメント本文ごと(短縮URLごとでもよい)に他のユーザがコメント対象コンテンツを閲覧した回数、すなわちアクセス履歴保持部48におけるコメント本文の種類ごとのレコード数を集計する。ユーザ情報提示部52は、各コメントの属性情報と、各コメント対象コンテンツの閲覧回数を対応づけた情報を管理者端末18へ提供する。例えば、他のユーザがコメント対象コンテンツを閲覧した回数が所定回数以上となったコメントの属性情報を管理者端末18へ提供してもよい。
【0049】
第4の変形例によれば、どのような特徴を持つコメントが他者に対して影響を与えやすいか、言い換えれば、他者の閲覧行動を喚起させやすいかを、閲覧回数の実績に基づいて客観的に判別することが容易になる。例えば、情報処理システム100の管理者は、他者の閲覧行動を喚起させやすいコメントの特徴をユーザへ提示することにより、ユーザによる投稿コメントの作成を支援することができる。
【0050】
上述した実施の形態、変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0051】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0052】
10 ECサイトサーバ、 12 投稿サイトサーバ、 14 ユーザ端末、 16 情報配信装置、 18 管理者端末、 30 ホスト名保持部、 32 コメント受付部、 34 短縮URL決定部、 36 コメント属性設定部、 38 コメント投稿部、 40 コメント属性保持部、 42 ユーザアクセス受付部、 44 転送処理部、 46 履歴更新部、 48 アクセス履歴保持部、 50 集計処理部、 52 ユーザ情報提示部、 100 情報処理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブコンテンツを閲覧するユーザから、前記ウェブコンテンツに対するコメントであって、外部の投稿サイトへ投稿すべきコメントを受け付けるコメント受付部と、
前記ユーザと前記ウェブコンテンツの組み合わせを一意に特定可能な識別情報を決定する識別情報決定部と、
前記識別情報を含む本装置宛のリンクを前記ユーザのコメントに付加した上で、そのコメントを前記投稿サイトへ投稿することにより、前記ユーザのコメントを他のユーザに閲覧可能にするコメント投稿部と、
前記他のユーザから前記リンクを介したアクセスを受け付けた場合、前記リンクが含む識別情報で特定されるウェブコンテンツについて、その位置情報を前記他のユーザへ提供することにより、前記ウェブコンテンツを前記他のユーザに閲覧可能にするコンテンツ情報提供部と、
前記他のユーザから前記リンクを介したアクセスを受け付けるたびに、前記リンクが含む識別情報で特定されるユーザのコメントに反応して前記他のユーザが前記ウェブコンテンツを閲覧したことを示す履歴を更新する履歴更新部と、
を備えることを特徴とする情報配信装置。
【請求項2】
前記履歴を参照し、前記ユーザのコメントに反応して前記他のユーザが前記ウェブコンテンツを閲覧した回数に応じた態様で、前記ユーザの情報を外部へ提示するユーザ情報提示部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報配信装置。
【請求項3】
前記識別情報決定部は、前記識別情報として、本装置を示すホスト名と、前記ユーザと前記ウェブコンテンツの組み合わせを一意に特定可能なパス名とを含むURLを決定し、その際、予め定められた本装置を示す複数種類のホスト名の候補の中から、前記ウェブコンテンツを提供するウェブサイトと対応づけられたホスト名を前記URLへ設定することを特徴とする請求項1または2に記載の情報配信装置。
【請求項4】
ウェブコンテンツを閲覧するユーザから、前記ウェブコンテンツに対するコメントであって、外部の投稿サイトへ投稿すべきコメントを受け付ける機能と、
前記ユーザと前記ウェブコンテンツの組み合わせを一意に特定可能な識別情報を決定する機能と、
前記識別情報を含む本装置宛のリンクを前記ユーザのコメントに付加した上で、そのコメントを前記投稿サイトへ投稿することにより、前記ユーザのコメントを他のユーザに閲覧可能にする機能と、
前記他のユーザから前記リンクを介したアクセスを受け付けた場合、前記リンクが含む識別情報で特定されるウェブコンテンツについて、その位置情報を前記他のユーザへ提供することにより、前記ウェブコンテンツを前記他のユーザに閲覧可能にする機能と、
前記他のユーザから前記リンクを介したアクセスを受け付けるたびに、前記リンクが含む識別情報で特定されるユーザのコメントに反応して前記他のユーザが前記ウェブコンテンツを閲覧したことを示す履歴を更新する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−190431(P2012−190431A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121377(P2011−121377)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】