説明

感染症情報自動伝達方式

【課題】診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達できる感染症情報自動伝達方式の提供。
【解決手段】検体検査依頼情報作成部3は入力部2から入力される患者名と検査項目とから患者基本データベース1を参照して感染症情報を含む検体検査依頼情報を作成し、これにより検体採取ラベル出力部4は検体採取ラベル8を作成する。検体検査部6−iは検体を収容する試験管7に貼付けた検体採取ラベル8を読み取り対応する検査を行ない結果を検査結果照合登録更新部5に供給し、ここで検査結果に基づき患者基本データベース1の感染症情報を含む患者情報の登録および更新を行なう。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は感染症情報自動伝達方式に関し、特に病院等の診療機関において感染予防を目的として誤りなく感染症情報を伝達できる感染症情報自動伝達方式に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、病院等の診療機関の多くは、診療行為おそび医療事務等が総合医療情報システムとして構築されており、患者の診断や病歴管理等に利用されている。
【0003】このようなシステムにおいて、従来患者個人の感染症情報の登録は、キーボードデイスプレイ等から医師が手入力により行なわれていた。
【0004】すなわち、臨床検査機器により患者の検体検査を行ない、その結果により医師がカルテに感染症の陽性、陰性等の記入を行なったりして他の医師や看護婦等への伝達を行なったり、また、検体検査依頼伝票に記入して検査部署等への伝達を行なったり、キーボードデイスプレイに当該患者の感染症情報が格納されている感染症情報選択画面を表示して当該感染情報の陽性、陰性、未検査の中から検体検査の結果に対応するものを選択して登録していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の感染症情報の伝達方式は、医師による手作業を介しての伝達であるため、入力誤りや入力漏れ等が発生することが避けられず、診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達されない場合があるという欠点を有している。
【0006】感染症の多くは、治療や看護の際に周囲の人に伝染する危険があり、そのため、感染症情報の正確性は特に診療現場の医師、看護婦、検査技師等に重要な意義を有している。
【0007】本発明の目的は、診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達できる感染症情報自動伝達方式を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】第1の発明の感染症情報自動伝達方式は、感染症情報を含む患者の情報を格納する患者情報格納手段と、患者識別子と検体検査項目とを入力する入力手段と、前記入力手段から入力された情報に基き前記患者情報格納手段を参照して感染症情報を含む検体検査依頼情報を作成する検体検査依頼情報作成手段と、前記検体検査依頼情報作成手段から供給される検体検査依頼情報により検体採取ラベルを作成出力する検体採取ラベル作成手段と、検体を収容する器物に貼付けられた前記検体採取ラベルの情報を読み取りそれぞれ依頼に対応する検体の検査を行ないその検査結果を出力する1つ以上の検体検査手段と、前記検体検査依頼情報作成手段から供給される検体検査依頼情報と前記検体検査手段から供給される検査結果とを照合チェックし検査結果に基づき前記患者情報格納手段にある対応する患者の感染症情報を含む患者情報を登録更新する検査結果照合登録更新手段とを含んで構成されている。
【0009】また、第2の発明の感染症情報自動伝達方式は、第1の発明の感染症情報自動伝達方式において、入力手段から入力される患者識別子は患者氏名と患者番号とを含むことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0011】図1は本発明の感染症情報自動伝達方式の一実施の形態を示すブロック図である。
【0012】本実施の形態の感染症情報自動伝達方式は、図1に示すように、患者に関する情報を格納する患者基本データベース1と、患者を特定する患者識別子と検査項目とを入力する入力部2と、入力部2から入力された情報に基づいて患者の検体検査依頼情報を作成する検体検査依頼情報作成部3と、検体検査依頼情報作成部3からの情報に基づいて検体採取ラベル8を出力する検体採取ラベル出力部4と、検体採取ラベル8を読みとり要求される検査をそれぞれ行ないその検査結果を出力する1つ以上の検体検査部6−1〜6−nと、一定期間毎に検体検査依頼情報作成部3から供給される検体検査依頼情報とこれに対応する検体検査結果とを照合し検査漏れをチェックしかつ、検査結果により患者基本データベース1に感染症情報を登録またはその更新を行なう検査結果照合登録更新部5とから構成されている。
【0013】患者基本データベース1は患者に関する情報、例えば、患者氏名、患者番号、性別、生年月日、担当科、病棟、病歴、感染症情報等が格納されている。
【0014】入力部2は例えばキーボード等で実現され、入力される患者の識別子としては患者氏名と患者番号との併用が入力誤りを回避するために望ましい。検査項目は例へば検査を行なう特定の感染症名等である。
【0015】検体検査依頼情報作成部3は入力部2から入力された患者識別子から患者基本データベース1を参照して患者の正当性(患者氏名と患者番号との一致)をチェックし検体検査に必要なその患者の情報を患者基本データベース1から読み出して日付けと検体検査番号(例えば一日を通しての通し番号)を含む検体検査依頼情報を作成する。検体検査依頼情報としては、検査項目、患者氏名、患者番号、依頼発行日付、検体検査番号、感染症情報等がある。
【0016】検体採取ラベル出力部4は検体検査依頼情報作成部3から検体検査依頼情報の供給を受け、この情報が印刷された検体採取ラベル8を作成する。
【0017】検体採取ラベル8は図2に示すように必要事項は例えば一部を除きバーコードでまた、感染症情報は特定の人にのみ解読できる暗号で情報が記載されており、検体を採取する試験管7に貼り付ける。
【0018】検体検査部6−1〜6−nは、検体採取ラベル8の情報を読み取り(バーコードリーダ等で)試験管7に採取された検体を分析検査してその検査結果を出力する。この検体検査部は検査項目によりそれぞれ用意されている。
【0019】検査結果照合登録更新部5は検体検査依頼情報作成部3から供給される検体検査依頼情報と検体検査部6−1〜6−nから供給される検体検査結果とを一時保持し、一定期間毎に、例へば依頼日毎に検体検査依頼情報と検体検査結果とを照合して検査漏れをチェックし、さらに、検体検査結果である例へば感染症情報を患者基本データベース1に登録したり、または更新したりする。
【0020】次に本実施の形態の感染症自動伝達方式の動作について説明する。
【0021】検体検査により患者の感染症情報を得ようとするときには、その患者氏名と患者番号と得ようとする感染症情報に対応する検査項目名とを入力部2から入力する。
【0022】検体検査依頼情報作成部3は入力部2から入力された患者識別子から患者基本データベース1を参照して患者の正当性(患者氏名と患者番号との一致)をチェックし検体検査に必要なその患者の情報を患者基本データベース1から読み出して検査項目、患者氏名、患者番号、依頼発行日付、検体検査番号、感染症情報を含む検体検査依頼情報を作成し検体採取ラベル出力部4と検査結果照合登録更新部5とに供給する。
【0023】検体採取ラベル出力部4は検体検査依頼情報作成部3から検体検査依頼情報の供給を受け、この情報が印刷された検体採取ラベル8を作成出力する。
【0024】この検体採取ラベル8を試験管7に貼り付け、患者から検体をこれに採取して検査項目に応じた検体検査部6−iにより検体採取ラベル8の情報を読み取られ、試験管7に採取された検体を分析検査してその検査結果を検査結果照合登録更新部5に出力する。
【0025】検査結果照合登録更新部5は検体検査依頼情報作成部3から供給される検体検査依頼情報と検体検査部6−1〜6−nから供給される検体検査結果とを一時保持し、一定期間毎に、検体検査依頼情報と検体検査結果とを照合して検査漏れをチェックし、さらに、検体検査結果を患者基本データベース1に登録したり、または検体検査結果に基づき患者基本データベース1の情報を更新したりする。
【0026】このようにして人手を介さずに患者基本データベース1に感染症情報を登録またはその更新を行い、次回の検体検査のときには登録された感染症情報を含んだ検体採取ラベルが使用でき、診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達できることとなる。
【0027】以上説明したように、本実施の形態の感染症自動伝達方式は人手を介さずに患者基本データベース1に感染症情報を登録またはその更新を行なうことができるので、診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達でき、入力ミスに起因する誤伝達による治療や看護の際に周囲の人に感染症が伝染する危険を回避できる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の感染症情報自動伝達方式は、人手を介さずに感染症情報を登録またはその更新を行なうことができるので、診療現場の医師、看護婦、検査技師等に患者の感染症情報が正確に伝達でき、入力ミスに起因する誤伝達による治療や看護の際に周囲の人に感染症が伝染する危険を回避できるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の感染症情報自動伝達方式の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態の感染症情報自動伝達方式に使用する検体採取ラベルの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 患者基本データベース
2 入力部
3 検体検査依頼情報作成部
4 検体採取ラベル出力部
5 検査結果照合登録更新部
6−1〜6−n 検体検査部
7 試験管
8 検体採取ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 感染症情報を含む患者の情報を格納する患者情報格納手段と、患者識別子と検体検査項目とを入力する入力手段と、前記入力手段から入力された情報に基き前記患者情報格納手段を参照して感染症情報を含む検体検査依頼情報を作成する検体検査依頼情報作成手段と、前記検体検査依頼情報作成手段から供給される検体検査依頼情報により検体採取ラベルを作成出力する検体採取ラベル作成手段と、検体を収容する器物に貼付けられた前記検体採取ラベルの情報を読み取りそれぞれ依頼に対応する検体の検査を行ないその検査結果を出力する1つ以上の検体検査手段と、前記検体検査依頼情報作成手段から供給される検体検査依頼情報と前記検体検査手段から供給される検査結果とを照合チェックし検査結果に基づき前記患者情報格納手段にある対応する患者の感染症情報を含む患者情報を登録更新する検査結果照合登録更新手段とを含むことを特徴とする感染症情報自動伝達方式。
【請求項2】 入力手段から入力される患者識別子は患者氏名と患者番号とを含むことを特徴とする請求項1記載の感染症情報自動伝達方式。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平10−3506
【公開日】平成10年(1998)1月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−158056
【出願日】平成8年(1996)6月19日
【出願人】(390001395)関西日本電気ソフトウェア株式会社 (438)