説明

感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法及び風速センサシステム

【課題】風速を高速に計測できる感温抵抗素子の計測値を風速に高速に変換する方法を提供する。
【解決手段】風速センサシステム10は、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21aと、温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bと、を有する風速センサ20を備える。また、風速センサシステム10は、第1感温抵抗素子21aの計測値Vを独立変数とする第1初等関数fと、第2感温抵抗素子21bの計測値Vを独立変数とする第2初等関数fと、を有する計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換するコンピュータ40を備える。更に、風速センサシステム10は、第1感温抵抗素子21aを駆動して室温よりも高い温度に発熱させると共に、第1感温抵抗素子21aの抵抗値に基づく計測値Vを出力し、且つ第2感温抵抗素子21bを駆動すると共に、第2感温抵抗素子21bの抵抗値に基づく計測値Vを出力する駆動検出回路部30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法及び風速センサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風速を計測するために風速センサが用いられている。
【0003】
風速センサは、サーミスタ等の感温抵抗素子を有している。この感温抵抗素子は、温度によって抵抗値が変化する特性を有しており、この特性が風速センサとして利用される。
【0004】
感温抵抗素子の抵抗値の変化は、例えば、感温抵抗素子の出力電圧として計測される。そして、風速センサによって計測された電圧等の計測値は、その後、風速に変換される。
【0005】
一般に、風速センサは、2つの感温抵抗素子を有している。これは、1つの感温抵抗素子のみの測定値から、風速を求めることは容易ではないからである。感温抵抗素子は、文字通り、その抵抗値が温度に依存して変化するので、測定気流の風速が同じであっても、周囲温度が異なれば、感温抵抗素子の抵抗値が異なる。即ち、感温抵抗素子の計測値は、風速及び温度という2つのパラメータに依存している。
【0006】
一方、気流の影響をうけない感温抵抗素子の計測値を温度に変換することは、計測値と温度との対応関係をまとめた対応表か又は変換式を用いることよって行える。
【0007】
そこで、風速センサでは、2つの感温抵抗素子を用いることによって、一方の感温抵抗素子によって風速を計測し、他方の感温抵抗素子の測定値を用いて一方の感温抵抗素子が計測した風速の温度補償が行われている。
【0008】
例えば、風速センサによって計測された計測値を風速に変換する際には、温度ごとに、計測値と風速との対応関係をまとめた対応表を用いることが提案されている。つまり、他方の感温抵抗素子によって周囲温度が計測され、一方の感温抵抗素子によって計測された計測値から風速を求める際には、その時の周囲温度における対応表が用いられる。このような対応表を用いる場合は、周囲温度の温度刻みを小さく取った対応表を多数作成することによって、風速の計測精度が向上する。
【0009】
また、風速を計測する一方の感温抵抗素子の計測値を直線化する直線化回路を用いる風速センサが提案されている。これは、一方の感温抵抗素子の計測値に線形性を持たせることによって、計測値から風速への変換を容易にするためである。具体的には、他方の感温抵抗素子によって周囲温度が計測され、直線化された一方の感温抵抗素子の計測値が、その周囲温度における対応表を用いて風速に変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平1−303811号公報
【特許文献2】特開2000−266773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
例えば、データセンタ又は工場等の広い室内の空調を制御するためには、多数の風速センサを用いることが考えられている。そして、このような広い空間の空調を効率良く制御するためには、数百個〜数万個の風速センサを有する大規模センシングシステムを用いることが有効であると考えられる。
【0012】
しかしながら、上述した対応表を用いて感温抵抗素子の計測値を風速に変換する場合、風速の計測精度を向上するためには、温度刻みを小さく取った対応表を多数作成する必要がある。そのため、これらの対応表を格納するための大きなメモリ容量が必要となる。また、個々の風速センサごとに対応表を用いて風速に変換することは、時間のかかる処理となる。従って、対応表を用いて感温抵抗素子の計測値を風速に変換することは、大規模センシングシステムには適していない。
【0013】
また、感温抵抗素子の計測値を直線化する直線化回路を用いることは、風速センサに追加の回路又は部品を設けるので、風速センサの構造が複雑になり、風速センサの製造コストが増加する。また、感温抵抗素子の計測値を直線化する際に、風速に対する感度が低下するおそれもある。更に、対応表を用いることは、上述したのと同様の問題を生ずる。従って、感温抵抗素子の計測値を直線化する直線化回路を用いることは、大規模センシングシステムには適していない。
【0014】
本明細書は、風速を高速に計測できる感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本明細書は、風速センサの構造を簡単にできる感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本明細書に開示する感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法の一形態によれば、第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、を備える計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換する。
【発明の効果】
【0017】
上述した本明細書に開示する感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法の一形態によれば、風速を高速に計測できる。
【0018】
また、上述した本明細書に開示する感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法の一形態によれば、風速センサの構造を簡単にできる。
【0019】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
【0020】
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、クレームされている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本明細書に開示する風速センサシステムの第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の風速センサシステムの風速センサを説明する図である。
【図3】図1の風速センサシステムのコンピュータを説明する図である。
【図4】第1実施形態の風速センサシステムによって感温抵抗素子の計測値が変換された風速と風速の実測値とを示す図である。
【図5】第1実施形態の変形例によって感温抵抗素子の計測値が変換された風速と風速の実測値とを示す図である。
【図6】本明細書に開示する風速センサシステムの第2実施形態の風速センサシステムによって感温抵抗素子の計測値が変換された風速と風速の実測値とを示す図である。
【図7】本明細書に開示する風速センサシステムの第3実施形態の風速センサを示す図である。
【図8】本明細書に開示する風速センサシステムの第4実施形態を示す図である。
【図9】従来の例による風速センサを用いて風速センサシステムを形成した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本明細書で開示する風速センサシステムの好ましい第1実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0023】
図1は、本明細書に開示する風速センサシステムの第1実施形態を示す図である。図2は、図1の風速センサシステムの風速センサを説明する図である。図3は、図1の風速センサシステムのコンピュータを説明する図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の風速センサシステム20は、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21aと、温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bと、を有する風速センサ20を備える。また、風速センサシステム20は、第1感温抵抗素子21aの計測値V1を独立変数とする第1初等関数f1と、第2感温抵抗素子の計測値V2を独立変数とする第2初等関数f2と、を有する計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速wsに変換するコンピュータ40を備える。
【0025】
風速センサシステム20は、例えば、室内の気流の風速を測定するために用いられる。
【0026】
次に、風速センサ20について、図2を参照して以下に説明する。
【0027】
第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bは、電気抵抗が温度変化に対して大きく変化する特性を有する。第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bとしては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0028】
図2に示すように、風速センサ20は、第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bを駆動し、それぞれの抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部30を有する。
【0029】
駆動検出回路部30は、第1感温抵抗素子21aに電力を供給する電力供給源としての定電流回路31aと、第2感温抵抗素子21bに電力を供給する電力供給源としての定電圧回路31bと、を有する。
【0030】
また、駆動検出回路部30は、外部電力から電力の供給を受けて定電流回路31aおよび定電圧回路31bに直流電力を供給するDC回路32を有する。
【0031】
また、駆動検出回路部30は、第1感温抵抗素子21aの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗35aと、第2感温抵抗素子21bの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗35bと、を有する。抵抗35a及び抵抗35bそれぞれは、アースされている。
【0032】
更に、駆動検出回路部30は、抵抗35aを用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ33aと、オペアンプ33aの出力電圧V1をアナログ値からデジタル値へ変換するA/Dコンバータ34とを有する。駆動検出回路部30は、A/Dコンバータ34が出力するデジタル信号を、第1感温抵抗素子21aによる風速の計測値V1としてコンピュータ40に出力する。
【0033】
同様に、駆動検出回路部30は、抵抗35bを用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ33bを有する。A/Dコンバータ34は、オペアンプ33bの出力電圧V2をアナログ値からデジタル値へ変換する。駆動検出回路部30は、A/Dコンバータ34が出力するデジタル信号を、第2感温抵抗素子21bによる温度の計測値V2としてコンピュータ40に出力する。
【0034】
駆動検出回路部30は、定電流回路31aを用いて、第1感温抵抗素子21aが少し発熱する程度の電流で第1感温抵抗素子21aを駆動する。即ち、第1感温抵抗素子21aの温度は、周囲温度よりも高いことが好ましい。第1感温抵抗素子21aの温度は、例えば、周囲温度よりも5℃以上高くすることが好ましい。
【0035】
また、駆動検出回路30は、定電圧回路31bを用いて、第1感温抵抗素子21aに流す電流よりも微小な大きさの電流を流して、前記第1感温抵抗素子よりも小さく発熱させるように第2感温抵抗素子21bを駆動する。第2感温抵抗素子21bの温度は、ほぼ周囲温度と同じである。第2感温抵抗素子21bの温度と周囲温度との差は、例えば、1℃以内にあることが好ましい。本明細書では、第2感温抵抗素子21bの温度が周囲温度に対してより1℃以内にあることを、第2感温抵抗素子21bの温度が周囲温度と同じであるともいう。
【0036】
周囲温度よりも高い温度を有する第1感温抵抗素子21aは、測定気流中に露出しており、気流にさらされることにより熱が奪われて温度が低下するので、抵抗値が変化する。また、第1感温抵抗素子21aの抵抗値は、周囲温度が変動することによっても、第1感温抵抗素子21aの温度が変わることによって変化する。
【0037】
一方、周囲温度と同じ温度を有する第2感温抵抗素子21bは、測定気流中に露出しているが、気流の影響をほとんど受けないため、気流の温度にのみ影響される。従って、第2感温抵抗素子21bの抵抗値は、主に周囲もしくは気流の温度の変化によって変化する。即ち、第2感温抵抗素子21bは、温度に感度を有する。風速センサシステム10は、第2感温抵抗素子21bの計測値V2を用いて、温度を計測することができる。
【0038】
風速センサシステム10は、第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bの抵抗値の変化量を利用して、風速を測定する。第1感温抵抗素子21aによる計測値V1は、風速及び温度の両方の影響を受けて変化するため、第1感温抵抗素子21aのみでは風速の算出は困難である。そこで、風速センサシステム10は、温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bによる計測値V2を用いることによって温度を計測する。そして、風速センサシステム10は、この温度を用いて、第1感温抵抗素子21aによる計測値V1に対する温度の影響を補償することによって、風速を算出する。即ち、第1感温抵抗素子21aの計測値V1は、第1感温抵抗素子21aは風速に感度を有するということができる。
【0039】
次に、コンピュータ40について、図3を参照して以下に説明する。
【0040】
コンピュータ40は、第1初等関数f1と第2初等関数f2とを有する計測値変換式を用いて感温抵抗素子の計測値を風速に変換する演算を行う演算部41と、この計測値変換式を記憶する記憶部42と、入力部43と、出力部44と、を有する。また、コンピュータ40は、風速センサ20との間で通信を行う通信部45を有する。
【0041】
演算部41は、中央演算装置(CPU)、数値演算プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を用いて形成される。記憶部42は、半導体記憶装置、記憶媒体を用いた記憶装置等を用いて形成される。演算部41は、記憶部42に記憶されたプログラムを実行することにより、計測値変換式を用いて感温抵抗素子の計測値を風速に変換する。
【0042】
入力部43は、キーボード、マウス等を用いて形成される。出力部44は、液晶ディスプレイ、CRT、プリンタ等を用いて形成される。通信部45は、有線又は無線を用いて、風速センサ20との間で通信を行う。また、通信部45は、ネットワークを介して、風速センサ20との間で通信を行っても良い。
【0043】
次に、記憶部42に記憶されている計測値変換式について、以下に説明する。
【0044】
上述したように、計測値変換式は、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21aの計測値V1を独立変数とする第1初等関数f1と、温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bの計測値V2を独立変数とする第2初等関数f2と、を備える。
【0045】
第1初等関数f1又は第2初等関数f2としては、具体的には、計測値の1次関数又は2次以上の高次関数、多項式関数、指数関数、対数関数、正接関数等の三角関数、又は双曲線関数等が挙げられる。
【0046】
計測値変換式は、更に、第2感温抵抗素子21bの計測値V2を独立変数とする第3初等関数f3を備えていても良い。
【0047】
風速センサシステム10は、感温抵抗素子の計測値から風速wsを変換する計測値変換式として、下記式(1)を用いる。
ws=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1) (1)
ここで、V1は第1感温抵抗素子21aの計測値であり、V2は第2感温抵抗素子21bの計測値であり、f1は第1初等関数であり、f2は第2初等関数であり、f3は第3初等関数である。
【0048】
上記式(1)では、第1初等関数f1は、第1感温抵抗素子21aの計測値V1と、第2初等関数f2の値と、を独立変数とする。具体的には、第1初等関数f1は、第1感温抵抗素子21aの計測値V1と、第2初等関数f2の値との積を変数としている。
【0049】
例えば、感温抵抗素子であるサーミスタの抵抗値は温度に対して対数関数的に変化する。このサーミスタを定電流型回路に組み込んだ回路において、温度変化に対するサーミスタの抵抗値変化による出力電圧を解析的に求めようとすると、サーミスタの対数関数部が複雑な構造となり正確な解析解を求めることは難しい。また、実際の風速センサにおいては、サーミスタの形状や配置、サーミスタの周囲のフードやケースといった形状要素等の影響を受ける。そこで、気流にさらされて温度が変化することによって抵抗値が変化したサーミスタの出力電圧を解析的に求めることは非常に難しい。
【0050】
そこで、風速センサシステム10では、第1初等関数f1と、第2初等関数f2と、更に、第3初等関数f3とを備える計測値変換式(1)を用いて、風速センサの計測値から風速を変換することとした。例えば、感温抵抗素子としてサーミスタを用いる場合には、サーミスタの抵抗変化による電圧値変化と風速との間には、指数関数的な関係があるので、初等関数として、指数関数を用いることが好ましく、特にネイピア数を底とする指数関数を用いることが好ましい。
【0051】
図4は、本実施形態の風速センサシステム10によって感温抵抗素子の計測値が変換された風速wsと風速の実測値とを示す図である。図4の横軸は、第1感温抵抗素子21aの計測値V1である電圧を示す。図4の縦軸は、風速wsを示す。図4のカーブは、計測値変換式を用いて算出された風速であり、温度をパラメータとして、周囲温度が20℃〜60℃の範囲において5℃ごとに計算されている。また、図4におけるプロットは、各温度における風速の実測値である。風速の実測値は、校正された別の風速センサを用いて計測された値である。第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bとしては、サーミスタが用いられた。
【0052】
図4の風速を計算するにあたって、第1初等関数f1として、ネイピア数を底とする指数関数を用いた。即ち、上記式(1)は、下記式(2)のように書き直される。
1=f3(V2)×exp(f2(V2)×V1) (2)
【0053】
また、第2初等関数f2及び第3初等関数f3として、下記の多項式を用いた。
2(V2)=a122+a22+a3
3(V2)=a422+a52+a6、
ここで、a1、a2、a3、a4、a5、及びa6は係数である。
【0054】
上記式(1)及び式(2)において、第1初等関数f1(f2(V2)×V1)は、主に、横軸V1に対するカーブの全体形状を与える。また、第2初等関数f2(V2)は、主に、温度の違いによる各カーブ間のピッチを与える。更に、第3初等関数f3(V2)は、各カーブ形状への温度の影響を与える。
【0055】
係数a1、a2、a3、a4、a5、及びa6は、例えば、風速の実測値と計算値との間の差を求めて、最小二乗法により係数を最適化する方法等を用いることにより得られる。
【0056】
図4に示すように、風速センサシステム10では、各温度において、上記式(2)を用いて計算された風速wsと、風速の実測値との間に良い一致が見られる。
【0057】
異なる温度のカーブとカーブとの間の間隔は、形状の影響を考慮しない理論によれば等間隔となる。しかし、実際には、図4の風速の実測値のプロットに示すように、上述した形状の影響により、カーブとカーブとの間は不等間隔となる。そして、風速センサシステム10は、この形状の影響を含めて、風速wsの計算値を精度良く求めている。
【0058】
上記式(2)では、特に、第1初等関数f1として、ネイピア数を底とする指数関数を用いると共に、多項式である第2初等関数f2及び第3初等関数f3を用いることで、計測値V1、V2から、温度に対して不均等に変化する風速を、精度良く変換することができる。
【0059】
上述した本実施形態の風速センサシステム10によれば、単一の計測値変換式用いるだけなので、従来の風速センサで用いられる感温抵抗素子の計測値から風速を変換する対応表が不要となり、高速に風速を計測できる。また、これらの対応表を格納するための大きなメモリ容量も不要である。
【0060】
また、風速センサシステム10によれば、風速センサの計測値V1及びV2を独立変数とする計測値変換式を用いて風速が求められるので、風速センサの構造を簡単にすることができる。
【0061】
従って、風速センサシステム10によれば、風速センサの構造を簡単にし、且つ大きなメモリ容量が不要であるので、風速センサシステムの製造コストを低減できる。
【0062】
図5は、上述した第1実施形態の変形例によって感温抵抗素子の計測値が変換された風速と風速の実測値とを示す図である。
【0063】
本変形例では、温度範囲の両端にある20℃付近及び60℃付近において、上記式(2)を用いて計算された風速wsと、風速の実測値との間の一致度を向上するように、係数a1、a2、a3、a4、a5、及びa6が変更されている。
【0064】
このように、特に風速の精度が求められる温度領域に対して、係数a1、a2、a3、a4、a5、及びa6を最適化することにより、上記式(2)を用いて計算された風速wsと、風速の実測値との間の一致度を更に向上させることができる。
【0065】
次に、本明細書に開示する第2〜第4実施形態の風速センサシステムを、図面を参照しながら以下に説明する。第2〜第4実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図7及び図8において、図1〜図3と同じ構成要素に同じ符号を付してある。
【0066】
第2実施形態の風速センサシステム10では、感温抵抗素子の計測値から風速wsを変換する計測値変換式は、上記式(1)に対して、更に、第2感温抵抗素子21bの計測値V2を独立変数とする第4初等関数f4と、第2感温抵抗素子21bの計測値V2を独立変数とする第5初等関数f5と、を備える。
【0067】
具体的には、風速センサシステム10は、感温抵抗素子の計測値から風速wsを変換する計測値変換式として、下記式(3)を用いる。
ws=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1+f4(V2))+f5(V2) (3)
ここで、V1は第1感温抵抗素子の計測値であり、V2は第2感温抵抗素子の計測値であり、f1は第1初等関数であり、f2は第2初等関数であり、f3は第3初等関数であり、f4は第4初等関数であり、f5は第5初等関数である。
【0068】
上記式(3)において、第1初等関数f1(f2(V2)×V1+f4(V2))は、変数部に、第2初等関数f2(V2)と共に第4初等関数f4(V2)を有しているので、温度の違いによる各カーブ間のピッチの精度が向上している。また、上記式(3)は、第5初等関数f5(V2)を有することによっても、温度の違いによる各カーブ間のピッチの精度が向上する。
【0069】
本実施形態の風速センサシステム10のその他の構造は、上述した第1実施形態と同様である。
【0070】
図6は、本実施形態の風速センサシステム10によって感温抵抗素子の計測値が変換された風速wsと風速の実測値とを比較する図である。図6の横軸は、第1感温抵抗素子21aの計測値V1である電圧を示す。図6の縦軸は、風速wsを示す。図6のカーブは、上記式(3)を用いて算出された風速であり、温度をパラメータとして、周囲温度が20℃〜60℃の範囲において5℃ごとに計算されている。
【0071】
図6の風速を計算するにあたって、第1初等関数f1として、ネイピア数を底とする指数関数を用いた。即ち、上記式(3)は、下記式(4)のように書き直される。
ws=f3(V2)×exp(f2(V2)×V1+f4(V2))+f5(V2) (4)
【0072】
また、第2初等関数f2と、第3初等関数f3と、第4初等関数f4と、第5初等関数f5として、下記の多項式を用いた。
【0073】
2(V2)=b1×exp(b2×V2+b3)+b4
3(V2)=b5×V22−b6×V2+b7
4(V2)=b8×exp(b9×V2)、
5(V2)=b10
である。b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9及びb10は係数である。
【0074】
係数b1、b2、b3、b4、b5、b6、b7、b8、b9及びb10は、例えば、風速の実測値と計算値との間の差を求めて、最小二乗法により係数を最適化する方法等を用いることにより得られる。
【0075】
図6に示すように、風速センサシステム10は、各温度において、上記式(4)を用いて計算された風速wsと、風速の実測値との間に非常に良い一致が見られる。例えば、図4及び図5では、温度によっては、計算された風速wsと実測値との間にわずかなずれが見られたが、本実施形態では、このようなずれは見られない。
【0076】
上記式(4)では、特に、3つの初等関数f1,f2,f4として、ネイピア数を底とする指数関数を用いると共に、多項式である初等関数f3を用いることで、計測値V1、V2から、温度に対して不均等に変化する風速を、精度良く変換することができる。特に、第1初等関数f1の独立変数の一つである第2初等関数f2として、ネイピア数を底とする指数関数を用いることにより、温度の違いによる各カーブ間のピッチを精度良く表すことができる。
【0077】
上述した本実施形態の風速センサシステム10によれば、感温抵抗素子の計測値V1,V2から風速への変換精度を一層向上できる。また、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0078】
なお、上記式(4)では、第5初等関数f5として定数を用いたが、第5初等関数f5は、定数ではない計測値V2を独立変数とする初等関数であっても良い。
【0079】
図7は、本明細書に開示する風速センサシステムの第3実施形態の風速センサを示す図である。
【0080】
本実施形態の風速センサシステム10は、風速センサ20の構造が、上述した各実施形態とは異なっている。
【0081】
具体的には、風速センサ20は、図7に示すように、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21a及び温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bと共に、温度に感度を有する第3感温抵抗素子21cを有する。
【0082】
風速センサ20の駆動検出回路部30は、図2に示す第1実施形態と同様に、定電流回路31aおよび、定電圧回路31bと、DC回路32と、オペアンプ33a、33bと、A/Dコンバータ34と、抵抗35a、35bとを有する。駆動検出回路部30は、第1実施形態と同様に、第1感温抵抗素子21a及び第2感温抵抗素子21bを駆動する。そして、駆動検出回路部30は、第1感温抵抗素子21aによる風速の計測値V1と、第2感温抵抗素子21bによる温度の計測値V2と、を外部に出力する。
【0083】
更に、駆動検出回路部30は、図7に示すように、第3感温抵抗素子21cに電力を供給する電力供給源としての定電圧回路31cを有する。定電圧回路31cには、DC回路32から直流電力が供給される。
【0084】
また、駆動検出回路部30は、第3感温抵抗素子21cの抵抗変化に伴う電圧変化を分圧として取り出すための抵抗35cを有する。抵抗35cは、アースされている。
【0085】
更に、駆動検出回路部30は、抵抗35cを用いて取り出した分圧を増幅するオペアンプ33cを有する。A/Dコンバータ34は、オペアンプ33cの出力電圧V3をアナログ値からデジタル値へ変換する。駆動検出回路部30は、A/Dコンバータ34が出力するデジタル信号を、第3感温抵抗素子21cによる温度の計測値V3としてコンピュータ40に出力する。
【0086】
駆動検出回路30は、定電圧回路31cを用いて、第1感温抵抗素子21aに流す電流よりも微小な大きさの電流を流して、第3感温抵抗素子21cを駆動する。第3感温抵抗素子21cの温度は、第2感温抵抗素子21bと同様に、周囲温度と同じである。
【0087】
周囲温度と同じ温度を有する第3感温抵抗素子21cは、測定気流中に露出しているが、気流の影響をほとんど受けないため、気流の温度のみに影響される。従って、第3感温抵抗素子21cの抵抗値は、主に周囲もしくは気流の温度の変化によって変化する。即ち、第3感温抵抗素子21cの計測値V3は、温度に感度を有する。
【0088】
風速センサシステム10は、温度に感度を有する第2感温抵抗素子21bの計測値V2及び第3感温抵抗素子21cの計測値V3の平均値を用いて、温度を計測する。そして、風速センサシステム10は、温度の平均値を用いて、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21aの計測値V1に対する温度の影響を補償して、風速を算出する。
【0089】
風速センサシステム10は、第2感温抵抗素子21bの計測値V2及び第3感温抵抗素子21cの計測値V3の平均値V4として、
4=(V2+V3)/2
を用いる。そして、風速センサシステム10は、上記式(1)〜(4)等の計測値変換式において、計測値V2の代わりに平均値V4を使用する。
【0090】
このように風速センサシステム10では、第2感温抵抗素子21b及び第3感温抵抗素子21cによる平均化された抵抗値に基づく計測値を用いて温度が求められるので、温度に感度を有する感温抵抗素子の個体差による計測値のばらつきが低減される。
【0091】
上述した本実施形態の風速センサシステム10によれば、風速に感度を有する第1感温抵抗素子21aの計測値V1に対して、より精度良く温度の影響を補償できるので、風速がより精度よく算出される。
【0092】
また、風速センサシステム10によれば、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0093】
図8は、本明細書に開示する風速センサシステムの第4実施形態を示す図である。
【0094】
本実施形態の風速センサシステム10は、室内の空間に分散して配置された複数の風速センサ20を備える。風速センサ20としては、例えば、上述した第1〜第3実施形態の風速センサを用いることができる。
【0095】
また、風速センサシステム10は、入力された複数の風速センサ20それぞれの計測値を、同じ計測値変換式を用いて、風速に変換するコンピュータとしてのサーバ51を備える。サーバ51は、計測値を風速に変換する計測値変換式として、例えば、上述した第1〜第3実施形態の風速センサシステムと同じ式を用いることができる。
【0096】
風速センサシステム10では、各風速センサ20が、感温抵抗素子が計測した計測値を、風速に換算することなく、中継器54a、54bへ送信する。中継機54a、54bに入力された計測値は、上位中継機55を経由して、サーバ51へ入力される。サーバ51は、各風速センサ20から送信された計測値を、同じ計測値変換式を用いて、風速に変換する。
【0097】
また、風速センサシステム10は、風速センサにおける温度に感度を有する感温抵抗素子の計測値を用いて、温度を測定する。
【0098】
また、風速センサシステム10は、計測された風速及び温度の計測値を用いて、サーバ51によって制御される複数の空調機52を備える。更に、風速センサシステム10は、計測された風速及び温度の計測値を用いて、サーバ51によって制御される複数の気流制御器53を備える。上述した観点から、各風速センサ20は、空調機52及び気流制御器53を効率良く制御するための風速分布及び温度分布を測定するように、室内の各地点に配置されることが好ましい。
【0099】
風速センサシステム10は、例えば、工場、データセンタ、ビル、オフィス、農場、店舗等の広い室内において、空調機52及び気流制御器53を制御するシステムとして使用され得る。
【0100】
広い室内における空調を効率よく制御するためには、多数の地点における風速を計測することが好ましい。このような観点から、風速センサシステム30は、風速センサ20を10以上、又は100以上、又は1000以上、又は10000以上、又は100000以上備えることが好ましい。このように多数の風速センサを用いることによって、例えば、風速センサの個体差による計測値のばらつきがあったとしても、計測値が平均化されるので、全体としては、風速の計測値の信頼度が向上する。
【0101】
また、風速センサシステム10は、全ての風速センサ20に対して同じ計測値変換式を用いずに、室内のエリアごとに、異なる計測値変換式を用いても良い。例えば、図8において、中継器54aを経由して送信されるエリアの風速センサ20の計測値には、同じ計測値変換式を用いるが、中継器54bを経由して送信されるエリアの風速センサ20の計測値には、別の計測値変換式を用いても良い。
【0102】
また、風速センサシステム10において、種類の異なる風速センサが用いられている場合には、種類毎に異なる計測値変換式を用いても良い。
【0103】
図9は、従来の例による風速センサを用いて風速センサシステム110を形成した例を示す図である。風速センサシステム110は、感温抵抗素子を用いて計測した風速をサーバ151へ送信する複数の風速センサ120と、サーバ151とを備える。各風速センサ120は、感温抵抗素子によって計測された計測値から風速を変換する対応表を有するので、この対応表を格納するための大きなメモリ容量を有する。
【0104】
多数の地点に風速センサを配置した場合には、各風速センサに対応表を格納するメモリと、計測値をメモリに格納及び参照する回路とを設けることになるので、システム全体としては、非常に多数のメモリ及び回路を設ける必要がある。そのため、風速センサシステム110の構造が複雑となり、コストが著しく増加する。
【0105】
上述した本実施形態の風速センサシステム10によれば、各風速センサ20は、対応表を有さないので、構造がシンプルであり、コストを低減できる。
【0106】
また、風速センサシステム10によれば、サーバ51は、風速センサ20から送信された計測値を、計測値変換式を用いて風速へ変換するだけなので、多数の風速センサ20を用いて高速に風速を計測できる。
【0107】
本発明では、上述した各実施形態の風速センサシステムは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
【0108】
例えば、上述した各実施形態では、風速センサは、風速に感度を有する感温抵抗素子を1つ有していたが、風速センサは、風速に感度を有する感温抵抗素子を2つ以上の有していても良い。
【0109】
また、上述した各実施形態では、風速センサは、温度に感度を有する感温抵抗素子を1つ又は2つ有していたが、風速センサは、温度に感度を有する感温抵抗素子を2つ以上有していても良い。
【0110】
また、上述した各実施形態では、感温抵抗素子の計測値として電圧を用いていたが、感温抵抗素子の計測値として電流を用いても良い。
【0111】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
【0112】
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0113】
(付記1)
第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、
第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、
を備える計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法。
【0114】
(付記2)
前記第1初等関数は、前記第1感温抵抗素子の計測値と、前記第2初等関数の値と、を独立変数とする付記1に記載の方法。
【0115】
(付記3)
前記第1初等関数は、前記第1感温抵抗素子の計測値と、前記第2初等関数の値との積を変数とする付記2に記載の方法。
【0116】
(付記4)
前記第1初等関数及び前記第2初等関数は、ネイピア数を底とする指数関数である付記1〜3の何れか一項に記載の方法。
【0117】
(付記5)
前記計測値変換式は、更に、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第3初等関数を備え、
前記計測値変換式は、
風速=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1
であり、ここで、
1は、前記第1感温抵抗素子の計測値であり、
2は、前記第2感温抵抗素子の計測値であり、
1は、前記第1初等関数であり、
2は、前記第2初等関数であり、
3は、前記第3初等関数である、付記1〜4の何れか一項に記載の方法。
【0118】
(付記6)
前記計測値変換式は、更に、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第3初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第4初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第5初等関数と、を備え、
前記計測値変換式は、
風速=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1+f4(V2))+f5(V2
であり、ここで、
1は、前記第1感温抵抗素子の計測値であり、
2は、前記第2感温抵抗素子の計測値であり、
1は、前記第1初等関数であり、
2は、前記第2初等関数であり、
3は、前記第3初等関数であり、
4は、前記第4初等関数であり、
5は、前記第5初等関数である、付記1〜4の何れか一項に記載の方法。
【0119】
(付記7)
第1感温抵抗素子と、
第2感温抵抗素子と、
を有する風速センサと、
前記第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、
前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、
を有する計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換するコンピュータと、
を備える風速センサシステム。
【0120】
(付記8)
前記第1感温抵抗素子を駆動して周囲温度よりも高い温度に発熱させると共に、前記第1感温抵抗素子の抵抗値に基づく計測値を出力し、且つ、
前記第2感温抵抗素子を、前記第1感温抵抗素子よりも小さく発熱させるように駆動すると共に、前記第2感温抵抗素子の抵抗値に基づく計測値を出力する駆動検出回路部を有する付記7に記載の風速センサシステム。
【0121】
(付記9)
室内の空間に分散して配置された複数の風速センサと、
入力された複数の前記風速センサそれぞれの計測値を、同じ計測値変換式を用いて、風速に変換するコンピュータと、
を備え、
前記風速センサは、第1感温抵抗素子と、第2感温抵抗素子と、を有し、
前記計測値変換式は、前記第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、を有する風速センサシステム。
【符号の説明】
【0122】
10 風速センサシステム
20 風速センサ
21a 第1感温抵抗素子
21b 第2感温抵抗素子
21c 第3感温抵抗素子
30 駆動検出回路部
31a 定電流回路
31b、31c 定電圧回路
32 DC回路
33a、33b、33c オペアンプ
34 A/Dコンバータ
35a、35b、35c 抵抗
40 コンピュータ
41 演算部
42 記憶部
43 入力部
44 出力部
45 通信部
51 サーバ
52 空調機
53 気流制御器
54 中継器
55 上位中継器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、
第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、
を備える計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換する方法。
【請求項2】
前記第1初等関数は、前記第1感温抵抗素子の計測値と、前記第2初等関数の値と、を独立変数とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1初等関数及び前記第2初等関数は、ネイピア数を底とする指数関数である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記計測値変換式は、更に、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第3初等関数を備え、
前記計測値変換式は、
風速=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1
であり、ここで、
1は、前記第1感温抵抗素子の計測値であり、
2は、前記第2感温抵抗素子の計測値であり、
1は、前記第1初等関数であり、
2は、前記第2初等関数であり、
3は、前記第3初等関数である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記計測値変換式は、更に、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第3初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第4初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第5初等関数と、を備え、
前記計測値変換式は、
風速=f3(V2)×f1(f2(V2)×V1+f4(V2))+f5(V2
であり、ここで、
1は、前記第1感温抵抗素子の計測値であり、
2は、前記第2感温抵抗素子の計測値であり、
1は、前記第1初等関数であり、
2は、前記第2初等関数であり、
3は、前記第3初等関数であり、
4は、前記第4初等関数であり、
5は、前記第5初等関数である、請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
第1感温抵抗素子と、
第2感温抵抗素子と、
を有する風速センサと、
前記第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、
前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、
を有する計測値変換式を用いて、感温抵抗素子の計測値を風速に変換するコンピュータと、
を備える風速センサシステム。
【請求項7】
室内の空間に分散して配置された複数の風速センサと、
入力された複数の前記風速センサそれぞれの計測値を、同じ計測値変換式を用いて、風速に変換するコンピュータと、
を備え、
前記風速センサは、第1感温抵抗素子と、第2感温抵抗素子と、を有し、
前記計測値変換式は、前記第1感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第1初等関数と、前記第2感温抵抗素子の計測値を独立変数とする第2初等関数と、を有する風速センサシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−106910(P2011−106910A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260826(P2009−260826)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)