説明

感熱シート及びそのシートパッケージ及びそれを収容するトレー並びに画像形成装置

【課題】 感熱シートの感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報の自動判別を可能とする。
【解決手段】 シート2(12)の一面に感熱記録層3(13)が形成された感熱シート1(11)であって、前記シート2(12)の感熱記録層3(13)が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するための切欠き部4(14)をシート2(12)の縁部の所定位置に設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートに関し、詳しくは、上記シートの縁部の所定位置に切欠き部を設けて、感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報の判別を可能とする感熱シート及びそのシートパッケージ及びそれを収容するトレー並びに画像形成装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の感熱シートは、シートの隅部に切欠き部が設けられており、シートパッケージ及び画像形成装置のシート収容部に正しい向きでセットされたか否かの判別が可能となっている。また、従来のこの種のシートパッケージは、その一隅部に感熱シートの挿入規制部を備えており、上記感熱シートを正しい向きで挿入したときは、その感熱シートに設けられている切欠き部が合致して感熱シートの挿入を可能とし、上記感熱シートをそれ以外の向きで挿入したときは、その感熱シートと干渉してシートの挿入を不可能とし、感熱シートの挿入される向きの正否を判別できるようになっている。さらに、従来のこの種の記画像形成装置は、そのシート収容部の一隅部にシートパッケージのセット規制部を備えており、上記シートパッケージを正しい向きでセットしたときは、そのシートパッケージに設けられている感熱シートの挿入規制部が合致してシートパッケージのセットを可能とし、上記シートパッケージをそれ以外の向きでセットしたときには、そのシートパッケージと干渉してシートパッケージのセットを不可能とし、シートパッケージのセットされる向きの正否を判別できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−267563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような従来の感熱シート及びシートパッケージ並びに画像形成装置においては、感熱シートのセットされる向きの正否を判別することはできるものの、感熱シートのサイズやシートの色等のシート情報を判別することができなかった。したがって、感熱シートのサイズを誤ってセットした場合には、印画範囲に対してシートが小さくて画像の一部が欠けてしまったり、逆に印画範囲に対してシートが大きすぎて感熱シートを無駄にしてしまう虞があった。また、シートの色違いに対しては、色に応じてサーマルヘッドの発熱抵抗素子の印加電圧を手動調整する必要があり、操作が煩雑であった。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報の判別を可能とする感熱シート及びそのシートパッケージ及びそれを収容するトレー並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明による感熱シートは、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートであって、前記シートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するための切欠き部をシートの縁部の所定位置に設けたものである。
【0006】
このような構成により、一面に感熱記録層が形成されたシートの縁部の所定位置に設けた切欠き部で感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知する。
【0007】
また、本発明によるシートパッケージは、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態で、その外周をパッケージ材で覆ったシートパーケージであって、前記パッケージ材は、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して切除部を設けたものである。
【0008】
このような構成により、パッケージ材でシートの一面に感熱記録層が形成されて、複数枚重ね合わされた状態の感熱シートの外周を覆い、上記パッケージ材に設けられた切除部でシートの縁部の所定位置に設けた切欠き部の検知を可能にし、該切欠き部でシートの感熱記録層が形成された側の面の判別及び複数のシート情報の検知を可能とする。
【0009】
さらに、トレーの第1の発明は、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態でトレー本体内に収容するトレーであって、前記トレー本体は、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して上下面に開口部を備えたものである。
【0010】
このような構成により、トレー本体の上下面に設けた開口部でシートの一面に感熱記録層が形成され、複数枚重ね合わせた状態でトレー本体に収容された感熱シートの縁部の所定位置に設けた切欠き部の検知を可能にし、該切欠き部でシートの感熱記録層が形成された側の面の判別及び複数のシート情報の検知を可能とする。
【0011】
さらにまた、トレーの第2の発明は、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態でトレー本体内に収容するトレーであって、前記トレー本体は、その下面の前部側に形成された開口部と、該開口部を通して進退自在に設けられ、弾性部材によって内側に向けて付勢された可動部とを、内部に収容された前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して備えたものである。
【0012】
このような構成により、感熱シートの縁部の所定位置に設けられた切欠き部に対応して、トレー本体の下面の前部側に形成された開口部を通して弾性部材で内側に向けて付勢された可動部を進退自在とさせ、該可動部で上記感熱シートの切欠き部を検知してシートの感熱記録層が形成された側の面の判別及び複数のシート情報の検知を可能とする。
【0013】
そして、本発明による画像形成装置は、シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態で収容し、装置本体に対して着脱自在にされたトレーと、該トレーから前記感熱シートを一枚ずつ分離して搬送する搬送機構と、該搬送機構によって搬送された前記感熱シートの感熱記録層に圧接し、画像データに基づいて加熱して印画する熱転写ヘッドと、印画動作を制御する制御手段とを備えた画像形成装置であって、前記トレーは、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応してトレー本体に開口部を設け、前記装置本体は、装填された前記トレーの前記開口部に対応する位置に前記感熱シートの切欠き部の有無及びシート情報の判別信号を出力する検知手段を設けたものである。
【0014】
このような構成により、装置本体に対して着脱自在にされたトレーで複数枚重ね合わせた状態の感熱シートを収容し、検知手段で上記トレーのトレー本体に設けた開口部を通して上記感熱シートの縁部の所定位置に設けられた切欠き部の有無を判別し及びシート情報を検出してその判別信号を出力し、制御手段で印画動作を制御し、搬送機構で上記トレーから上記感熱シートを一枚ずつ分離して搬送し、熱転写ヘッドで搬送された上記感熱シートの感熱記録層に圧接し、画像データに基づいて加熱して印画する。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る感熱シートの発明は、シートの縁部の所定位置に設けた切欠き部で感熱シートの感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を容易に判別することができる。したがって、感熱シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを誤って画像形成装置にセットされたことを防止することができる。これにより、搬送時にジャミングを起こしたり、印画ができないという問題を防止することができる。さらに、シート情報に基づいて複数種類の感熱シートに対してそれぞれ適切な印画条件、例えば印画範囲や熱転写ヘッドの印加電圧を自動設定することができる。
【0016】
また、請求項2に係る発明によれば、切欠き部を複数のシート情報に応じて予め設定された位置で、シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを反転された際に上記複数のシート情報の設定位置と異なる位置となるような所定位置に一つ設けたことにより、該一つの切欠き部でシートの感熱記録層が形成された側の面の判別及び複数のシート情報の検出を行うことができる。したがって、切欠き部の数を減らすことができる。
【0017】
さらに、請求項3に係る発明によれば、切欠き部を複数のシート情報に応じて予め設定された位置で、シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを反転された際に上記複数のシート情報の設定位置と異なる位置となるような所定位置に複数設けたことにより、シートの感熱記録層が形成された側の面の判別と同時に例えばシートのサイズ及び種類についてのシート情報をそれぞれ個別に判別することができる。
【0018】
さらにまた、請求項4に係るシートパッケージの発明によれば、感熱シートの縁部の所定位置に設けた切欠き部に対応して設けた切除部を通して上記感熱シートの切欠き部を検知でき、該切欠き部で感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を容易に判別することができる。したがって、シートパッケージが感熱シートの感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを誤って画像形成装置にセットされるのを防止することができる。これにより、搬送時にジャミングを起こしたり、印画ができないという問題を防止することができる。さらに、シート情報に基づいて複数種類の感熱シートに対してそれぞれ適切な印画条件、例えば印画範囲や熱転写ヘッドの印加電圧を自動設定することができる。
【0019】
また、請求項5又は6に係るトレーの発明によれば、感熱シートの縁部の所定位置に設けた切欠き部に対応して設けた開口部を通して上記感熱シートの切欠き部を検知でき、該切欠き部で感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を容易に判別することができる。したがって、感熱シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを誤ってセットされるのを防止することができる。これにより、搬送時にジャミングを起こしたり、印画ができないという問題を防止することができる。さらに、シート情報に基づいて複数種類の感熱シートに対してそれぞれ適切な印画条件、例えば印画範囲や熱転写ヘッドの印加電圧を自動設定することができる。
【0020】
さらに、請求項7に係る画像形成装置の発明によれば、感熱シートの縁部の所定位置に設けた切欠き部で感熱シートの感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を自動判別することができる。したがって、感熱シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを誤ってセットされるのを防止することができる。これにより搬送時にジャミングを起こしたり、印画ができないという問題を防止することができる。さらに、シート情報に基づいて複数種類の感熱シートに対してそれぞれ適切な印画条件、例えば印画範囲や熱転写ヘッドの印加電圧を自動設定することができる。
【0021】
さらにまた、請求項8に係る発明によれば、トレーの開口部を間にして、装置本体の上下位置に対向して備えた発光素子及び受光素子で感熱シートの切欠き部の有無を検知し、上記開口部を通して上記発光素子からの光を受光素子で検知されたオン・オフ信号により判別部で上記感熱シートの感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を自動判別することができる。また、切欠き部の検知に光を利用するものとしたことにより、信頼性が向上する。
【0022】
そして、請求項9に係る発明によれば、感熱シートの縁部の所定位置に設けられた切欠き部に対応して、トレー本体の下面の前部側に形成された開口部を通して弾性部材で内側に向けて付勢された可動部を進退自在とさせ、該可動部でその一端部に対応して装置本体側に設けられたマイクロスイッチを押圧し、該マイクロスイッチのオン・オフ信号により判別部で感熱シートの切欠き部の有無及びシート情報の判別をすることができる。したがって、感熱シートの感熱記録層が形成された側の面及び複数のシート情報を自動判別することができる。
【0023】
また、請求項10に係る発明によれば、装置が起動された直後、又はトレーが装置本体に装填された直後の所定時間だけ、制御手段で検知手段を起動して感熱シートの切欠き部の検知動作を行わせることができる。したがって、印画動作時に搬送される感熱シートにより検知手段が誤動作するのを防止することができる。
【0024】
さらに、請求項11に係る発明によれば、装置本体に装填されたトレー内の感熱シートに切欠き部が検知されないことを示す判別信号を入力すると、感熱シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを反転して収容されたことを知らせる報知信号を出力すると共に、トレーからの感熱シートの供給動作を規制する信号を出力するものとしたことにより、感熱シートが反転されて感熱記録層の形成された側の面を誤ってセットされたことを容易に知ることができると同時に、誤ってセットされた感熱シートが搬送されるのを防止することができる。
【0025】
そして、請求項12に係る発明によれば、検知手段から入力する判別信号の感熱シートのシート情報に応じて制御手段で印画条件を制御するものとすれば、例えばサイズの異なる感熱シートに対しては、シートサイズに合わせて印画範囲を自動調整することができ、色違いの感熱シートに対しては、熱転写ヘッドの印加電圧をシートの色に合わせて自動調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による感熱シートの実施形態を示す斜視図であり、(a)はサイズの大きい感熱シート1を示し、(b)はサイズの小さい感熱シート11を示す。この感熱シート1,11は、画像データに基づいて加熱されて印画するもので、シート2,12と、感熱記録層3,13と、切欠き部4,14とからなる。なお、感熱シート1と感熱シート11とは構成が同じであるため、以下の説明では、サイズの大きい感熱シート1を中心に述べる。
【0027】
上記シート2は、後述する感熱記録層3の支持体となるもので、例えば透明なポリエチレンテレフタレート(PET)等からなる四角形の透明なフィルムである。そして、このシート2は、サイズの大小や、無色またはブルー等の色の種類について、複数のシート情報を有している。
【0028】
上記シート2の一面には、感熱記録層3が形成されている。この感熱記録層3は、画像データに基づいて、例えばサーマルヘッドにより加熱されて発色し、所定の画像を印画形成するもので、公知の感熱材料を塗布して形成される。そして、上記感熱記録層3上には、図示省略の保護層が設けられて、感熱記録層3が傷付き等から保護されている。
【0029】
上記シート2の縁部の所定位置、例えば図1に示す短辺部には、切欠き部4が設けられている。この切欠き部4は、上記シート2の感熱記録層3が形成されている側の面(以下、「表面」と記載する)とその反対側の面(以下、「裏面」と記載する)を判別し及び複数のシート情報、例えばシートのサイズとシートの色の種類を検知するためのものであり、複数のシート情報に応じて予め設定された位置で、上記シート2が表裏面を反転された際に上記複数のシート情報の設定位置と異なる位置に複数設けられている。
【0030】
具体的には、図1に示す切欠き部4a,14bは、シート2,12のサイズを判別するものであり、例えば同図(a)に示す切欠き部4aは、サイズ大を示し、同図(b)に示す切欠き部14aは、サイズ小を示すものとして設定されている。また、切欠き部4b,4c,14b,14cは、シート2,12の色を判別するものであり、例えば同図に示す切欠き部4b,14bは無色を、同図に示す切欠き部4c,14cはブルーを示すものとして設定されている。そして、共にシート2,12の表裏面を反転された際にいずれの切欠き部4a〜4c,14a〜14cも他の切欠き部の位置と重ならないようになっている。なお、図1において、切欠き部4a,4b,14a,14bは、感熱シート1,11に形成された切欠き部を示しており、破線で示した切欠き部4c,14cは、それが形成される位置を示している。
【0031】
図2は本発明によるシートパッケージの実施形態を示す斜視図である。ここでは、サイズの大きい感熱シート1のシートパッケージ15について説明する。なお、サイズの小さい感熱シート11についても同様である。このシートパッケージ15は、シート2の一面に感熱記録層3が形成された感熱シート1を複数枚重ね合わせた状態で、その外周をパッケージ材5で覆ったものである。上記パッケージ材5は、感熱シート1の挿入側(又は排出側)の側面が一杯に開放されて挿入口5aとされ、感熱シート1の矢印A方向への挿入及び矢印B方向への排出が自在となっている。また、パッケージ材5の上記挿入口5aと反対側の後端部には、正しく挿入された感熱シート1のシート2に形成された切欠き部4(図2においては、感熱シート1に形成された切欠き部4a,4bを示す)に対応する位置に切除部6が設けられており、該切除部6を通して感熱シート1の上記切欠き部4が検知可能となっている。
【0032】
なお、上記実施形態においては、切欠き部4がパッケージ材5の後端部にある場合を感熱シート1の正しい挿入状態と定め、上記切欠き部4に対応してパッケージ材5の後端部に切除部6を設けた場合について説明したが、切欠き部4がパッケージ材5の挿入口15側にある場合を感熱シート1の正しい挿入状態とし、上記切欠き部4に対応してパッケージ材5の挿入口15側に切除部6を設けてもよい。
【0033】
図3は本発明による画像形成装置の斜視図であり、図4は図3のC矢視による説明図である。ここでは、サイズの大きい感熱シート1を中心に説明する。この画像形成装置は、搬送された感熱シート1のシート2の一面に形成された感熱記録層3を画像データに基づいて加熱して画像形成するもので、図1に示すシート2の縁部の所定位置に設けられた切欠き部4の検出を可能としており、装置本体7内にトレー8と、搬送機構9と、サーマルヘッド10と、検知手段16(図7参照)と、制御手段17(図7参照)とを備えている。
【0034】
上記装置本体7の底面部には、トレー8が設けられている。このトレー8は、シート2の一面に感熱記録層3が形成された感熱シート1を複数枚重ね合わせた状態で収容するものであり、装置本体7の前面下部に設けられたトレー挿入口18から装置本体7に対して着脱自在にされている。また、このトレー8の前面側には、図4に示すように収容された感熱シート1の短辺部の所定位置に設けられた上記切欠き部4(図1参照)に対応してトレー本体19の上下面に開口部20が設けられ、該開口部20を通して後述する検知手段16による上記切欠き部4の検知を可能としている。さらに、トレー本体19の供給側上部には、駆動部31(図7参照)の駆動力を得て互いに連動する三つの供給ローラ21を設けて複数枚重ねて収容された感熱シート1を一枚ずつ分離して供給できるようにしている。そして、トレー本体19の上部には上蓋22が設けられており、この上蓋22の上面が排出された感熱シート1の受け部23とされている。
【0035】
上記装置本体7内部には、図4に示すように、搬送機構9が設けられている。この搬送機構9は、感熱シート1を一枚ずつ同図において矢印で示す方向に搬送して後述するサーマルヘッド10まで運び、さらにサーマルヘッド10によって印画された感熱シート1を矢印方向に搬送して上記トレー8の上蓋22に設けた受け部23に排出するものであり、複数の搬送ローラ24を配列して同図中破線で示す搬送路25を形成している。そして、上記各搬送ローラ24は、駆動部31(図7参照)により回転駆動されるようになっている。
【0036】
上記搬送路25の途中には、サーマルヘッド10が設けられている。このサーマルヘッド10は、複数配列された発熱抵抗素子を画像データに基づいて加熱させ、その熱エネルギーを感熱シート1に付与して発色させるものであり、搬送路25を間にして対向して配設されたプラテンローラ27に感熱シート1を圧接して印画形成する熱転写ヘッドとなるものである。
【0037】
上記装置本体7には、装填された上記トレー8の開口部20に対応して検知手段16が設けられている。この検知手段16は、感熱シート1の切欠き部4の有無を検知する光センサーであり、図5及び図6に示すように発光素子28a〜28dと、受光素子29a〜29dと、判別部30とからなる。ここで、発光素子28a〜28d及び受光素子29a〜29dは、上記トレー本体19の開口部20を間にして、装置本体7の上下位置に対向して備えられており、それぞれ一組で上記感熱シート1の切欠き部4の有無を検知する。判別部30は、上記開口部20を通して発光素子28a〜28dからの光を受光素子29a〜29dで検知したオン・オフ信号により上記感熱シート1の切欠き部4の有無を判別し、該切欠き部4の有無及びシート情報の判別信号を出力する。
【0038】
図7に示すように、上記搬送機構9の駆動部31、サーマルヘッド10及び検知手段16に接続して制御手段17が設けられている。この制御手段17は、駆動部31を制御して搬送機構9を駆動し、感熱シート1(又は11)を所定の速度で搬送すると共に、サーマルヘッド10を駆動して画像データに基づいて加熱させて印画動作を行わせるものであり、上記感熱シート1の切欠き部4に基づいて検知された感熱シート1のシート情報を上記検知手段16から得て、該シート情報に応じて印画条件、例えば印画範囲及びサーマルヘッド10の発熱抵抗素子への印加電圧を自動調整するようになっている。
【0039】
なお、この制御手段17は、図4に示すように上記トレー挿入口18の奥側に設けられた、例えばマイクロスイッチ32がトレー8の装填によりトレー本体19の後壁部33に押圧されてオンすることにより、上記検知手段16を所定時間だけ起動するようになっている。また、トレー8が装填されている状態で操作部34の電源スイッチが投入された際には、電源スイッチの投入と同時に所定時間だけ上記検知手段16を起動する。さらに、上記制御手段17には、記憶部35が接続されており、感熱シート1の各切欠き部4a〜4cの位置とシート情報との関係を予め記憶できるようになっている。
【0040】
次に、このように構成された画像形成装置の動作について説明する。以下の説明においては、サイズの大きい感熱シート1を中心に述べる。
先ず、図2に示すように、シート2の一面に感熱記録層3が形成された感熱シート1(図1参照)を複数枚重ね合わせた状態で、その外周をパッケージ材5で覆ったシートパーケージ15が、図5に示すように感熱シート1に設けられた切欠き部4に対応して有する切除部6をトレー8の前面側に設けた開口部20に合致させた状態でトレー本体19内に収容されて準備されている。
【0041】
次に、図7に示す操作部34の電源スイッチが投入されて画像形成装置が起動された後、上記トレー8が装置本体7の前面側に設けられたトレー挿入口18から装填される(図4又は図5参照)。このとき、トレー挿入口18の奥側に設けられたマイクロスイッチ32がトレー本体19の後壁部33に押圧されてオンする。これにより、検知手段16が制御手段17に制御されて所定時間だけ起動する。なお、装置が起動される前に、トレー8が装填された場合には、装置の電源スイッチが投入されると同時に検知手段16が所定時間だけ起動する。
【0042】
上記検知手段16が起動すると、発光素子28a〜28dが発光し、図6に示すように光が上記トレー本体19の開口部20、シートパッケージの切除部6及び感熱シート1の切欠き部4を通して受光素子29a〜29dのいずれかによって検知される。受光素子29a〜29dは、上記光を検知すると電気信号の検知信号を出力する。判別部30は、予め設定されて記憶された感熱シート1の各切欠き部4a〜4cの位置とシート情報(例えばシートサイズ及びシートの色情報)との関係を、制御手段17を介して記憶部35から読み出し、上記受光素子29a〜29dから入力した検知信号と照合し、感熱シート1のサイズ及び無色又はブルー等の色のシート情報を判別して判別信号を出力する。
【0043】
この場合、図8に示すように、例えば受光素子29a及び受光素子29cが光を検知(ON)しているときには、切欠き部4a,4bが検知された場合であり、シート情報は分類1に属する。そして、このとき判別部30から感熱シート1のセッティングは「正しい」、シートサイズは「大」及び色は「無色」である旨の判別信号が出力される。なお、受光素子29b及び受光素子29cが光を検知(ON)しているときには、シート情報は分類3に属する。これは、サイズの小さい感熱シート11がセットされた場合であり、図1(b)に示す切欠き部14a,14bが検知されたものである。そして、このとき判別部30から感熱シート11のセッティングは「正しい」、シートサイズは「小」及び色は「無色」である旨の判別信号が出力される。他に、受光素子29a〜29dの検知出力に基づいて同図に示す分類2又は4に相当する判別信号が判別部30から出力する。
【0044】
制御手段17は、上記各判別信号を入力すると、搬送機構9の駆動部31(図7参照)を駆動してトレー8から感熱シート1を一枚だけ分離して、サーマルヘッド10まで搬送させる。同時に、上記シート情報に応じた適切な制御を実行する。例えば、感熱シート1,11のサイズに合わせて画像のサイズを拡大又は縮小して印画範囲を制御したり、シート2,12の色に応じてサーマルヘッド10の発熱抵抗素子に対する印加電圧を制御する。
【0045】
また、図8に示すように、上記受光素子29a〜29dのいずれも光を検知しない(OFF)ときには、感熱シート1が表裏面を間違えてセットされたことを示しており、この場合、判別部30は、感熱シート1のセッティングが正しくないことを示す判別信号を出力する(同図に示す分類5を参照)。この場合、制御手段17は、上記判別信号を入力すると感熱シート1のセッティングエラーを知らせる報知信号を出力して図7に示す簡易表示部30に表示させると共に、上記トレー8からの感熱シート1の供給動作を規制する信号を駆動部31に出力する。
【0046】
さらに、図8に示すように、上記受光素子29a〜29dの全てが光を検知した(ON)ときには、トレー8に感熱シート1がセットされていないことを示し、判別部30からその旨を示す判別信号を出力する(同図に示す分類6を参照)。この場合、制御手段17は、この判別信号を入力すると、感熱シート1が無いことを知らせる報知信号を出力して簡易表示部30に表示させる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、感熱シート1は、切欠き部4が四角形のシート2の短辺部に形成された場合について説明したが、これに限定されず、切欠き部4は、シート2の縁部のいずれの個所に形成されてもよい。
【0048】
図9は、検知手段16の他の構成例を示す平面図である。この検知手段16は、光センサーに替えてマイクロスイッチ38a〜38dを適用したものである。具体的には、この検知手段16は、図9及び図10に示すように、トレー8に収容された感熱シート1の切欠き部4に対応して、トレー本体19の下面の前部側に形成された開口部20を通して進退自在に設けられ、弾性部材36によって内側に向けて付勢された四つの可動部32と、該可動部32の一端部32aに対応して押圧可能に装置本体7側に設けられたマイクロスイッチ38a〜38dと、該マイクロスイッチ38a〜38dのオン・オフ信号により感熱シート1,11の切欠き部4,14の有無及びシート情報の判別信号を出力する判別部30とからなっている。
【0049】
この検知手段16の動作は、上記四つの可動部37のいずれか二つが弾性部材31によって付勢されて内側に移動し、その一端部37aによりマイクロスイッチ38a〜38dのいずれかが押圧されてオンしていれば、感熱シート1,14の切欠き部4a〜4c,14a〜14cのいずれかが存在していることになる。したがって、判別部30でオンしているマイクロスイッチ38a〜38dの出力に基づいて感熱シート1,11のサイズ又は種類等のシート情報を得ることができる。また、いずれの可動部37も移動せずマイクロスイッチ38a〜38dの全てがオフの状態となっているときには、上記切欠き部4a〜4c,14a〜14cが無いことになり、このときは感熱シート1,11が表裏面を間違ってセットされたと判断される。一方、全ての可動部37が移動してマイクロスイッチ38a〜38dの全てをオンさせているときには、感熱シート1,11が無いと判断される。
【0050】
また、上記実施形態においては、感熱シート1,11の切欠き部4,14をサイズ判別用と種類判別用との二つ設けた場合について説明したが、これに限られず、切欠き部4,14は一つだけとし、各切欠き部4,14の形成位置により感熱シート1,11のセッティングの正否、感熱シート1,11のサイズ及び種類を判別するようにしてもよい。この場合、例えば第1の切欠き部の位置はサイズ大及び無色のシート情報を、第2の切欠き部の位置はサイズ小及び無色のシート情報を、第3の切欠き部の位置はサイズ大及びブルーのシート情報を、第4の切欠き部の位置はサイズ小及びブルーのシート情報を有するように設定すると、上記四つの切欠き部のいずれかが検知されれば感熱シート1,11のセッティングは正しく、且つ検知された切欠き部の位置に応じたシート情報を得ることができる。また、上記四つの切欠き部のいずれも検知されなければ、感熱シート1,11が表裏面を間違ってセットされたと判断できる。さらに、上記実施形態においては、トレー8にシートパッケージ15を収容する場合について説明したが、感熱シート1,11を複数枚重ね合わせた状態で直接トレー8に収容してもよい。
【0051】
そして、以上の説明においては、感熱シート1(又は11)がフィルムの場合について説明したが、これに限られず、感熱シート1(又は11)は、一面に感熱記録層3(又は13を)備えた記録紙であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明による感熱シートの実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明によるシートパッケージの実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明による画像形成装置の斜視図である。
【図4】図3のC矢視による説明図である。
【図5】検知手段の一構成例を示す平面図である。
【図6】図5のX−X線断面図である。
【図7】上記画像形成装置の回路構成を示すブロック図である。
【図8】上記検知手段の判別部の判別出力を示す説明図である。
【図9】検知手段の他の構成例を示す平面図である。
【図10】図9のY−Y線断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1,11…感熱シート
2,12…シート
3,13…感熱記録層
4,4a〜4d…切欠き部
5…パッケージ材
6…切除部
7…装置本体
8…トレー
9…搬送機構
10…サーマルヘッド(熱転写ヘッド)
15…シートパッケージ
16…検知手段
17…制御手段
19…トレー本体
20…開口部
28a〜28d…発光素子
29a〜29d…受光素子
30…判別部
36…弾性部材
37…可動部
37a…一端部
38a〜38d…マイクロスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートであって、
前記シートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するための切欠き部をシートの縁部の所定位置に設けたことを特徴とする感熱シート。
【請求項2】
前記切欠き部は、前記複数のシート情報に応じて予め設定された位置で、前記シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とで反転された際に前記複数のシート情報の設定位置と異なる位置に一つ設けられたことを特徴とする請求項1記載の感熱シート。
【請求項3】
前記切欠き部は、前記複数のシート情報に応じて予め設定された位置で、前記シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とで反転された際に前記複数のシート情報の設定位置と異なる位置に複数設けられたことを特徴とする請求項1記載の感熱シート。
【請求項4】
シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態で、その外周をパッケージ材で覆ったシートパーケージであって、
前記パッケージ材は、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して切除部を設けたことを特徴とするシートパッケージ。
【請求項5】
シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態でトレー本体内に収容するトレーであって、
前記トレー本体は、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して上下面に開口部を備えたことを特徴とするトレー。
【請求項6】
シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態でトレー本体内に収容するトレーであって、
前記トレー本体は、その下面の前部側に形成された開口部と、該開口部を通して進退自在に設けられ、弾性部材によって内側に向けて付勢された可動部とを、内部に収容された前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応して備えたことを特徴とするトレー。
【請求項7】
シートの一面に感熱記録層が形成された感熱シートを複数枚重ね合わせた状態で収容し、装置本体に対して着脱自在にされたトレーと、該トレーから前記感熱シートを一枚ずつ分離して搬送する搬送機構と、該搬送機構によって搬送された前記感熱シートの感熱記録層に圧接し、画像データに基づいて加熱して印画する熱転写ヘッドと、印画動作を制御する制御手段とを備えた画像形成装置であって、
前記トレーは、前記感熱シートの縁部の所定位置にシートの感熱記録層が形成された側の面を判別し及び複数のシート情報を検知するために設けられた切欠き部に対応してトレー本体に開口部を設け、
前記装置本体は、装填された前記トレーの前記開口部に対応する位置に前記感熱シートの切欠き部の有無及びシート情報の判別信号を出力する検知手段を設けた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記検知手段は、前記トレーの開口部を間にして、装置本体の上下位置に対向して備えた発光素子及び受光素子と、前記開口部を通して前記発光素子からの光を受光素子で検知したオン・オフ信号により前記感熱シートの切欠き部の有無及びシート情報の判別信号を出力する判別部とからなることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検知手段は、前記トレーに収容された前記感熱シートの切欠き部に対応して、前記トレー本体の下面の前部側に形成された開口部を通して進退自在に設けられ、弾性部材によって内側に向けて付勢された可動部と、該可動部の一端部に対応して押圧可能に前記装置本体側に設けられたマイクロスイッチと、該マイクロスイッチのオン・オフ信号により前記感熱シートの切欠き部の有無及びシート情報の判別信号を出力する判別部とからなることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段は、装置が起動された直後、又は前記トレーが装置本体に装填された直後の所定時間だけ、前記検知手段を起動して前記感熱シートの切欠き部の検知動作を行わせることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記検知手段から感熱シートの切欠き部無しの判別信号を入力すると、前記感熱シートが感熱記録層の形成された側の面とその反対側の面とを反転して収容されたことを知らせる報知信号を出力すると共に、前記トレーからの前記感熱シートの供給動作を規制する信号を出力することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記検知手段から入力する判別信号の前記感熱シートのシート情報に応じて印画条件を制御することを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−231816(P2006−231816A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52519(P2005−52519)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】