説明

感熱記録体

【課題】 本発明は、高速、低エネルギーの印字でも優れた感度および画質が得られ
とともに、印字走行性、表面強度に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【解決手段】 熱膨張材料を含有した支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料及
び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該熱膨張材料が
接触型ドライヤー処理により熱膨張することを特徴とする感熱記録体。特に、支持体の密
度が0.7g/よりも高くすることによって優れた効果を発現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子供与性染料と電子受容性顕色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関
するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色の電子供与性染料と電子受容性顕色剤とを、
それぞれ微細な粒子に磨砕分散した後、両者を混合し、バインダ−、増感剤、滑剤及びそ
の他の助剤を添加して得られた塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持
体に塗工したものであり、サ−マルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レ−ザ−光等の加
熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。このような感熱記録体への
記録は、記録時の騒音が小さい、現像定着の必要がない、メンテナンスフリーである、機
器が比較的安価でありコンパクトである、得られる発色が非常に鮮明であるといった特徴
から、ファクシミリやコンピューター分野、レジ用紙、各種計測器、ラベルなどに使用さ
れてきた。近年では、金券・チケットやハンディターミナルなど、用途が更に多様化して
いることから、用途ごとに種々のプリンターが導入されており、幅広い印加エネルギー領
域において、高画質の記録像を得られることが求められている。これに加え、近年プリン
ターの省エネ目的による小型化や、高性能化に伴う印字の高速化、低エネルギー化が進ん
でいることから、微小な熱エネルギーでも高濃度且つ高画質な画像が得られることが要求
されている。
【0003】
これらの要求を満たす方法として、染料と顕色剤よりも低い温度で融解し、両者を溶解
する材料を増感剤として配合する方法が広く知られているが、十分な感度を得るには感熱
記録層中に大量に配合する必要があり、サーマルヘッドへの溶融物(カス)の付着や、ヘ
ッドに記録体が張り付くことによる印字のとび(スティッキング)が発生しやすくなると
いう問題がある。
また、支持体と感熱発色層の間に下塗り層を設けて、支持体の平滑性と断熱性を向上す
る方法が有効であることが知られており、特許文献1には、特定の顔料を用いた下塗り層
を設けることが記載されている。
更に、特許文献2には、熱膨張性プラスティックフィラーを配合した下塗り層を塗布し
た後、加熱膨張させて断熱性の高い層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−277704
【特許文献2】特願昭62−192149
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、高速印字時に十分な発色感度が得られない問題
がある。特許文献2に記載の感熱記録体の場合、フィラーの膨張によって塗工面の表面性
が損なわれ、優れた画像を得られない。また、熱膨張性プラスティックフィラーが従来か
ら使用されているの無機、有機顔料と比べて吸収性が低いため、印字走行性(耐ヘッドカ
ス性、耐スティッキング性)に問題が発生するとともに、支持体上に塗工をした塗工液が
沈み込み難く、アンカーリング効果が少ないため、表面強度が低下するという欠点があっ
た。そこで本発明は、高速、低エネルギーの印字でも優れた感度、画質が得られ、印字走
行性、表面強度に優れた感熱記録体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討の結果、熱膨張材料を含有した支持体上に無色ないし淡色の電子
供与性染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該
熱膨張材料が接触型ドライヤー処理により熱膨することで上記課題を解決することを見出
し、本発明を完成するに至った。特に、接触型ドライヤー処理として、ヤンキードライヤ
ー処理あるいはシリンダドライヤー処理を施すことで優れた効果が発現する。また、支持
体の密度が0.7g/mよりも高くすることによって優れた効果を発現する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、高速、低エネルギーの印字でも優れた感度、画質が得られ、印字走行
性、表面強度に優れた感熱記録体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、熱膨張材料を含有した支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料及び電子
受容性顕色剤を含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該熱膨張材料が接触型
ドライヤー処理により熱膨張することを特徴とする感熱記録体である。
【0009】
本発明において、接触型ドライヤー処理とは支持体に接触する熱処理であり、シリンダ
ドライヤー処理、ヤンキードライヤー処理などが挙げられ、これらの加熱処理は、抄紙工
程に組み込むことができるため、非常に効率的である。
【0010】
シリンダドライヤー処理とは、蒸気などにより加熱した金属性のシリンダドラムとポリ
エステル系のプラスチック・カンバスあるいはドライフェルトなどの間に支持体を挟みこ
みながら行う熱処理である。
【0011】
ヤンキードライヤー処理とは、蒸気などにより加熱した表面が鏡面仕上げされた金属製
のヤンキードラム(ヤンキードライヤー)に支持体を接触さる熱処理である。なお、ヤン
キードライヤ−処理では、前記したシリンダドライヤー処理とは異なり、支持体に加えら
れる張力(テンション)により支持体をヤンキードライヤーに接触させる。
【0012】
支持体を接触型ドライヤー処理によって熱処理した場合、熱により膨張した熱膨張材料
が表面平滑性の高い金属ドラムと接触し、且つ変形するため、支持体が高い平滑性を有す
ることが可能である。このため、プリンタヘッド等とのマッチング性が向上し、画質、発
色感度に優れる。また、ヤンキードライヤー処理では、ヤンキードラムと接触していない
支持体面が開放されている状態になっているため、シリンダドライヤー処理よりも膨張し
た熱膨張材料が潰れない状態で支持体中に存在するため、支持体の断熱効果が向上して、
更に画質、発色感度に優れる。
【0013】
本発明において、良好な品質が得られる理由に一つとして、熱膨張性材料によって支持
体中に微小な空気のセルを多数設けることにより、極めて良好な断熱性が得られることが
挙げられる。また、空気のセルが原紙の内部に配置されるので、表面に露出しているパル
プなどにより適度な支持体の吸収性が保たれ、ヘッドカスの発生、表面強度が低下などの
問題が発生しにくくなる。この点は、支持体上に熱膨張性材料を含有する中間層を設け場
合と大きく異なる点である。
【0014】
本発明において、熱膨張材料を膨張させた支持体の密度は0.7g/mより大きくす
ることが好ましい。密度が0.7g/mよりも低い場合、つまり、膨張させた熱膨張材
料の支持体全体に占める体積が大きくなると、支持体を構成するパルプなどの繊維間の結
合が大きく阻害されるため強度が低下すると共に、均質な面を形成することが困難である
。また、熱膨張材料を膨張させた支持体の密度が1.0g/mよりも高い場合、つまり
、膨張させた熱膨張材料の支持体全体に占める体積が小さくなると、膨張させた熱膨張材
料による断熱効果が十分に得られなくなる。
【0015】
本発明で支持体中に用いる熱膨張性材料とは、熱可塑性樹脂を殻とし、内部に低沸点溶
媒を含有する中空のプラスティックフィラーであって、過熱により膨張するプラスティッ
クフィラーを意味する。このようなフィラーは従来公知であり、種々のものが適用される
が、粒子直径は、未膨張状態の場合0.5μm〜20μm以下、好ましくは1μmから3
0μmであり、発泡状態では20μmから250μm、好ましくは50μmから200μ
mとする。
【0016】
プラスティックフィラーの殻となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルニ
トリル、ポリブタジエン、あるいはそれらの共重合体が挙げられる。また殻内に含まれる
材料としては、プロパンやブタンなどの低沸点炭化水素が一般的である。このような熱可
塑性樹脂は、松本油脂社製マイクロスフェアー、積水化学社製アドバンセル、大日精化社
製ダイフォーム、日本フィライト社製エクスパンセルなどとして、入手可能である。
【0017】
本発明の支持体は、熱膨張性材料、パルプ、バインダーに加え、必要に応じて顔料、硫
酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、消泡剤などの各種薬品を添
加し、抄紙される。
【0018】
支持体に用いられるパルプは特に制限されるものではなく、広葉樹晒クラフトパルプ、
針葉樹晒クラフトパルプ、メカニカルパルプ、サーモメカニカルパルプ、リファイナーグ
ランドパルプ、ケナフなどの非木材パルプ、古紙パルプなどを使用することができる。課
題に対する所望の効果を損なわない範囲で、木材パルプの代わりにPET繊維、ナイロン
やビニロンなどのポリビニルアルコール系合成繊維を使用することも可能である。本発明
において、熱膨張性材料は支持体のパルプ重量当たり0.5〜50%配合することが望ま
しく、好ましくは1〜30%、より好ましくは2〜20%である。
【0019】
本発明で支持体および感熱記録層中に使用可能なバインダーとしては、重合度が完全ケ
ン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビ
ニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコ
ール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オ
レフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変
性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニ
ルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン
共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼ
イン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、
ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリ
ビニルブチラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコー
ン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロ樹脂などを例示することができる
。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に
溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し
、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0020】
また、本発明で支持体および感熱記録層中に使用可能な顔料としては、シリカ、炭酸カ
ルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニ
ウムなどの無機または有機充填剤などを挙げることができ、特に制限されるものではない

【0021】
本発明の感熱記録層で使用する電子供与性ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感
熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリ
フェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系、ジビニル系化合物等が好
ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、こ
れらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
【0022】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名ク
リスタルバイオレットラクトン〕; 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタ
リド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0023】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7
−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルア
ニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン; 3
−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジ
エチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルア
ミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−
6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチ
ル−7−n−オクチルアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n
−オクチルアミノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノ
フルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−
クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチル
アニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオ
ラン; 3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−クロ
ロフルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオ
ラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチル
アミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−7−(o−フ
ルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン; 3−
ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオ
ラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルア
ミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミ
ノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−
メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−
7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(
m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−メチル−ク
ロロフルオラン; 3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン
; 3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ
−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−
クロロアニリノ)フルオラン; 3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フ
ルオラン; 3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3
−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3
−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン; 3
−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン; 3−ジ−n−ペン
チルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン; 3−ピロリジノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン; 3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン; 3
−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン; 3−(N−エチル−N−キシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ
)フルオラン; 3−(N−エチル−p−トルイディノ)−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン; 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフ
ルオラン; 3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7
−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7
−アニリノフルオラン; 3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン; 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン;
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフ
ルオラン; 2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン; 2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニ
リノフルオラン; 2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニ
リノフルオラン; 2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)
アミノアニリノフルオラン; 2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)ア
ミノアニリノフルオラン; 2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミ
ノアニリノフルオラン; 2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノ
アニリノフルオラン; 2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)
アミノアニリノフルオラン; 2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミ
ノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミ
ノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルア
ミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミ
ノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチ
ルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 3−ジエチルアミノ−6−p−(p−
ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン; 2,4−ジメチル−6−〔(4
−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0024】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕;
3,6,6'−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3'−フタリド〕
【0025】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル
)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔2−(p−
ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7
−テトラクロロフタリド; 3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)
エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド; 3,3−ビス−〔1
−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−
4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0026】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル
インドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキ
シフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタ
リド; 3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−
エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド; 3,3−ビス(1−
エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド; 3,6−ビス(ジエチルアミノ
)フルオラン−γ−(3'−ニトロ)アニリノラクタム; 3,6−ビス(ジエチルアミ
ノ)フルオラン−γ−(4'−ニトロ)アニリノラクタム; 1,1−ビス−〔2',2'
,2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジ
ニトリルエタン; 1,1−ビス−〔2',2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチ
ルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン; 1,1−ビス−〔2'
,2',2'',2''−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,
2−ジアセチルエタン; ビス−〔2,2,2',2'−テトラキス−(p−ジメチルアミ
ノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0027】
本発明の感熱記録層で使用する電子受容性顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記
録紙の分野で公知のものがすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例え
ば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性
物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4
−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−
ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルス
ルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル
−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホ
ン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒド
ロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のア
ミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタ
ン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒド
ロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−
(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'
−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス
(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニ
ルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、国際公開WO02/081229号あ
るいは特開2002−301873号公報記載の化合物、またN,N'−ジ−m−クロロ
フェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビ
ス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2
−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスル
ホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキ
シ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、
マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価
金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸
と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独または
2種以上混合して使用することもできる。国際公開WO97/16420号に記載のジフ
ェニルスルホン架橋型化合物は、日本曹達(株)製商品名D−90として入手可能である
。また、国際公開WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品
名NKK−395、D−100として入手可能である。この他、特開平10−25857
7号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型
発色成分を含有することもできる。
【0028】
本発明の感熱記録層に使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することがで
きる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマ
イド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−
(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタ
レン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシ
エタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メ
チルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−
p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナ
フタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(
フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'−エチ
レンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2
−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチ
ル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニルなどを例示
することができるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの増感剤は、単独ま
たは2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
また本発明では、課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、滑剤、架橋剤などを感
熱記録層中に使用することができる。
【0030】
本発明で使用可能な滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂
肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。本発明で使用可能な架橋
剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メ
ラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹
脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウ
ム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
また、記録画像の耐油性効果などを示す画像安定剤として、4,4'−ブチリデン(6−
t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−
4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4'−(2,3−エポキ
シ−2−メチルプロポキシ)ジフェニルスルホン等を感熱記録層に添加することもできる
。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化
防止剤、蛍光染料等を感熱記録層に使用することができる。
【0031】
本発明で感熱記録層に使用する電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤、その他の各
種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるも
のではないが、通常、電子供与性ロイコ染料1部に対して電子受容性顕色剤0.5〜10
部、増感剤0.5〜10部程度が使用される。上記組成からなる塗液を、熱膨張性材料を
含有した支持体に塗布することによって、目的とする感熱記録体が得られる。
【0032】
電子供与性ロイコ染料、電子受容性顕色剤並びに、必要に応じて感熱記録層に添加する
材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化
装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダーおよび目的に応じ
て各種の添加材料を加えて塗液とする。塗布する手段は特に限定されるものではなく、周
知慣用技術に従って塗布することができ、例えばエアーナイフコーター、ロッドブレード
コーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテ
ンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択さ
れ使用される。感熱記録層の塗布量は特に限定されず、通常乾燥重量で2〜12g/m2
の範囲である。
【0033】
本発明の感熱記録体は更に、均一性と断熱性を高める目的で、支持体と感熱記録層の間
に中間層を設けることができる。また、印字画像の保存性向上を目的に、感熱記録層上に
保護層を設けることもできる。更に、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を
設け、カールの矯正を図ることも可能である。また、各層の塗工後にスーパーカレンダー
がけなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付
加することができる。
【実施例】
【0034】
以下に本発明の感熱記録体を実施例、参考例及び比較例によって説明する。なお説明中
、部および%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。各種材料を以下のように調製した。
[実施例1]
LBKP(ろ水度カナディアンフリーネス320cc) 100部
熱膨張性材料(松本油脂(株)製商品名:F30) 20部
ポリアクリルアミド 0.6部
上記配合からなる紙料を長網型抄紙機にてウェットプレス後の水分量70%以上に抄紙し
、紙面温度が80℃以上になるようヤンキードライヤーで乾燥し、支持体中の熱膨張性材
料を膨張させた。その後、カレンダー処理を行い、ベック平滑度350秒、坪量52.5
g/m、紙厚70μm、密度0.75g/mの支持体を得た。
次いで、下記配合の顕色剤分散液(A液)、ロイコ染料分散液(B液)、及び増感剤分
散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5ミクロンになる
まで湿式磨砕を行った。
A液(顕色剤分散液)
4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
B液(塩基性無色染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(ODB−2) 3.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 6.9部
水 3.9部
C液(増感剤分散液)
シュウ酸ジベンジル 6.0部
ポリビニルアルコール10%水溶液 18.8部
水 11.2部
【0035】
次いで、下記の割合で分散液を混合して感熱記録層の塗液とした。
感熱記録層塗液A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(ロイコ染料分散液) 13.8部
C液(増感剤分散液) 36.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117)10%水溶液
25部
【0036】
次いで、感熱記録層塗液を前記支持体上に塗布量4.0g/m2となるように塗布し、
紙面温度60℃にて乾燥を行ない感熱記録層塗工紙を得た。
【0037】
[実施例2]
乾燥・膨張をシリンダドライヤーで行った以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製し
た。
【0038】
[実施例3]
熱膨張性材料を10部に変更した以外は実施例1と同様に支持体中の熱膨張性材料を膨張
させた。その後、カレンダー処理を行い、密度0.90g/mの感熱記録体を作製した

【0039】
[実施例4]
支持体の密度を0.60g/mに調整した以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製
した。
【0040】
[比較例1]
実施例1の支持体に配合した熱膨張性材料を配合せず、密度0.85g/mの支持体を
得た以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
【0041】
[比較例2]
熱膨張性材料を軽質炭酸カルシウムに変更し、長網型抄紙機にて抄紙し、ヤンキードライ
ヤーにて乾燥した。その後、カレンダー処理を行い、密度0.63g/mの支持体を作
製した。
【0042】
[比較例3]
密度0.90g/mの上質紙上に、下記塗液を塗布量4.0g/m2となるように塗布
した後、乾燥を行ない、熱膨張性材料を膨張させた。その後、カレンダー処理により、密
度0.66g/mの支持体を作成し、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
熱膨張性材料(松本油脂(株)製商品名:F30) 20部
完全ケン化型ポリビニルアルコール(クラレ社製商品名:PVA117)10%水溶液
25部
水 55部
【0043】
[比較例4]
乾燥・膨張を送風乾燥で行った以外は、実施例1と同様に感熱記録体を作製した。
【0044】
<記録感度評価>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京
セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.15mJ/dot、0.2
5mJ/dot、0.35mJ/dotで印字した。記録部の記録濃度は、マクベス濃度
計(RD−914、アンバーフィルター使用)で測定し評価した。
<記録画質評価>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH−PMD(感熱記録紙印字試験機、京
セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.25mJ/dotで印字し
た。
【0045】
◎:印字部が均一に発色している
○:印字部にわずかに白ヌケが生じている
△:印治部に白ヌケが生じている
×:印字部に多量に白ヌケが生じている
【0046】
<表面強度>
プリューフバウ印刷機を用いて、枚葉インキ(東洋インキ製造社製、商品名:TK ハ
イユニティーMZ藍)を0.25ml(印刷ユニット圧:50kgf)、湿し水を0.0
15ml(湿し水ユニット圧:20kgf)使用して感熱記録層の表面に印刷(印刷速度
:100m/min)を行った際のインクの付着状態をチェックし、インクの抜けの有無
を目視判定し、次の基準で評価した。
○:インクの抜けがほとんどない
×:インクの抜けが多い
【0047】
<ヘッドカス>
サトー社製ラベルプリンタ(プリンタ名:レスプリR−8)にて長さ30cmの格子印字
をおこない、印字後のサーマルヘッドに付着したヘッドカス及び印字サンプルを目視観察
した。
○:サーマルヘッドにヘッドカスの付着がほとんどない
×:サーマルヘッドにヘッドカスが付着し、印字部がかすれる
各実施例及び比較例の感熱記録体について上記の評価結果を表1に示した。
【0048】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張材料を含有した支持体上に無色ないし淡色の電子供与性染料及び電子受容性顕色剤
を含有する感熱記録層を有する感熱記録体であって、該熱膨張材料が接触型ドライヤー処
理により熱膨張することを特徴とする感熱記録体。
【請求項2】
前記接触型ドライヤー処理がシリンダドライヤー処理であることを特徴とする請求項1に
記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記接触型ドライヤー処理がヤンキードライヤー処理であることを特徴とする請求項1に
記載の感熱記録体。
【請求項4】
前記支持体の密度が0.7g/mよりも高いことを特徴とする請求項1〜3に記載の感
熱記録体。