説明

感熱記録材料

【目的】画像保存性に優れ、熱応答性の良い感熱記録材料を得ることである。
【構成】芳香族イソシアナート化合物と該イソシアナート化合物と反応して発色するイミノ化合物とを含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料において、熱応答性(感度)を向上させるための増感剤として、化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物を少なくとも1種含有させることにより、熱応答性に優れた感熱記録材料を得ることができた。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像保存性に優れ、熱応答性の良い感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種計測器のプリンターやレコーダー、ラベル用プリンター、POS用プリンター、および乗車券等自動券売機などの広範囲の分野において、熱エネルギーによって記録を行なう感熱記録材料が使用されるようになってきた。
【0003】しかし、従来の電子供与性無色染料前駆体と電子受容性顕色剤を用いた感熱記録材料は、外観がよい、感触がよい、発色濃度が高い、各種の発色色相が得られる等の優れた特性を有している反面、記録画像部(感熱発色部)が、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックなどと接触して、プラスチック中に含まれる可塑剤や添加剤などにより消失したり、あるいは食品や化粧品に含まれる薬品と接触して容易に消失したり、あるいは短時間の日光曝露で容易に退色するなど、記録の保存性が劣るという欠点があった。この点を鑑み、2成分が加熱されることにより反応し、保存性の良い記録画像が得られる感熱記録材料として、特開昭58−38733号公報、特開昭58−54085号公報、特開昭58−104959号公報に2成分がイソシアナート化合物とイミノ化合物とを含む感熱記録材料が開示されている。
【0004】しかし、このイミノ化合物とイソシアナート化合物とを含む感熱記録材料は熱応答性(感度)に劣るという欠点がある。熱応答性を向上させるために、各種の増感剤が検討されているが、いまだ熱応答性は十分ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、画像保存性に優れたイミノ化合物とイソシアナート化合物とを含む感熱記録材料の熱応答性(感度)を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】芳香族イソシアナート化合物と該イソシアナート化合物と反応して発色するイミノ化合物とを含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料において、熱応答性(感度)を向上させるための増感剤として、化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物を少なくとも1種含有させることにより、熱応答性に優れた感熱記録材料を得ることができた。
【0007】本発明で言うピペリジン環には、ピペリジン環を構成する各原子間に不飽和結合が含まれていてもよいものとする。従って、1,2,3,6−テトラヒドロピリジンおよびその誘導体もピペリジン環を有する化合物である。
【0008】本発明で言うヘキサメチレンイミン環には、ヘキサメチレンイミン環を構成する各原子間に不飽和結合が含まれていてもよいものとする。従って、イミノジベンジルおよびその誘導体等はヘキサメチレンイミン環を有する化合物である。
【0009】本発明における化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物とは、一般式化1で表される複素環を化学構造中に有する化合物である。なお、化1〜8中では置換および無置換のアルキル基を総称してアルキル基と表現する。また、置換および無置換のフェニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を総称してアリール基と表現する。
【0010】
【化1】


【0011】一般式化1中、Aは炭素原子または窒素原子を、Bは炭素原子または酸素原子を、C3、C4、C6は炭素原子を、Nは窒素原子を、nは0以上2以下の整数を示す。また、R1は水素原子、アルキル基またはアリール基を示すが、Nが隣接炭素原子と二重結合を形成している場合には、R1は存在しない。また、一般式化1で示す複素環を構成する各原子間の結合は一重結合または二重結合である。
【0012】化1で示す複素環を化学構造中に有する化合物のうち、一般式化2および一般式化3で表される構造のものが好ましい。
【0013】
【化2】


【0014】化2中、A、B、C3、C4、C6、N、n、R1の示す元素、置換基および存在の有無の条件は化1と同じである。
【0015】化2中、H2〜H6は水素原子を示し、Aが窒素原子のときにはH2は存在しない。また、Aが窒素原子のときにAが隣接炭素原子と二重結合を形成している場合には、R2およびH2は存在しない。Bが酸素原子のときR5およびH5は存在しない。複素環を構成する原子間の結合が二重結合の場合、二重結合を構成する原子上のH2〜H6で表現される水素原子は存在しない。なお、化2で示す複素環を構成する各原子間の結合は一重結合または二重結合である。
【0016】化2中、R2とR3は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよく、R2とR3で形成される環は炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはニトロ基で置換されていてもよく、R1と結合して環を形成していてもよい。また、R2とR3が環を形成しないときは、R2は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は水素またはアリール基を示す。nが2の場合、R4は水素を示すが、nが1の場合、R4は水素、炭素原子数5以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ジアリールメチル基、アリールカルボニル基、ジアリールアセチル基またはハロゲン原子を示す。また、R4とR5は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよい。R5はBが炭素原子のときはR4またはR6と結合し、飽和または不飽和の環を形成してもよい。また、R5がR4またはR6と環を形成しないときは、R5は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示す。R6は水素、アリール基または炭素数5以下のアルキル基を示す。
【0017】
【化3】


【0018】化3中、A、B、C3、C4、C6、N、n、R1〜R6、H2〜H6の示す元素、置換基および存在の有無の条件は化1〜2と同じである。化3中、RXは炭素原子数5以下0以上の飽和または不飽和の2価の基を示し、AまたはC4に結合する。なお、RXがAに結合しているとき、R2は存在しない。同様にRXがC4に結合しているとき、R4は存在しない。
【0019】また、化2〜3で表される化合物のうち、特に好ましいものは化4〜8で表される構造のものである。
【0020】ピリジン環を少なくともひとつ有する化合物としては化4および化5で表される構造のものが好ましい。
【0021】
【化4】


【0022】化4中、R2とR3は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよく、R2とR3で形成される環は炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはニトロ基で置換されていてもよい。R2とR3が環を形成しないときは、R2は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は水素を示す。R4は水素、炭素原子数5以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アリールカルボニル基を示す。また、R4とR5は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよい。R5がR4と環を形成しないときは、R5は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示す。R6は水素またはアリール基を示す。
【0023】
【化5】


【0024】化5中、RXは炭素原子数5以下0以上の飽和または不飽和の2価の基を示し、ピリジン環の2位または4位に結合する。
【0025】ピペリジン環を少なくともひとつ有する化合物としては化6で表される構造のものが好ましい。また、ピペリジン環を少なくともひとつ有する化合物としてはN置換ピペリジンであることが好ましく、また構造中に少なくもひとつの芳香環を有していることが好ましい。
【0026】
【化6】


【0027】化6中、H2、H3は水素原子、R1は水素原子、アルキル基またはアリール基を示す。また、R2とR3は、各々が結合し飽和または不飽和の環を形成していてもよく、R2とR3で形成される環は炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子、またはヒドロキシ基で置換されていてもよく、R1と結合して環を形成していてもよい。また、R2とR3が環を形成しないときは、R2は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は水素またはアリール基を示す。R4は水素、炭素原子数5以下のアルキル基、アルケニル基、アリール基、ジアリールメチル基、アリールカルボニル基、ジアリールアセチル基、ハロゲン原子を示す。また、C2、C3は炭素原子を示すが、この間の結合は一重結合でも二重結合でもよいが、二重結合のときにはH2、H3は存在しない。
【0028】ヘキサメチレンイミン環を少なくともひとつ有する化合物としては化7で表される構造のものが好ましい。また構造中に少なくもひとつの芳香環を有していることが好ましい。
【0029】
【化7】


【0030】化7中、C2、C3、C5、C6は炭素原子を、H2、H3、H5、H6は水素原子を示すが、C2、C3間およびC5、C6間の結合はそれぞれ一重結合でも二重結合でもよく、C2、C3間が二重結合のときにはH2、H3は存在せず、C5、C6間が二重結合のときにはH5、H6は存在しない。
【0031】化7中、R2とR3は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよく、R2とR3で形成される環は炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子、またはヒドロキシ基で置換されていてもよい。また、R2とR3が環を形成しないときは、R2は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は水素またはアリール基を示す。R5とR6は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成してもよい。また、R5とR6が環を形成しないときは、R5は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を、R6は水素、アリール基または炭素数5以下のアルキル基を示す。
【0032】オキサゾール環、オキサジアゾール環を少なくともひとつ有する化合物としては化8で表される構造のものが好ましい。
【0033】
【化8】


【0034】化8中、Aは炭素原子または窒素原子を示し、Aが窒素原子のとき、R2は存在しない。R2とR3は各々が結合し、飽和または不飽和の環を形成していてもよく、R2とR3で形成される環は炭素数5以下のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基またはニトロ基で置換されていてもよい。また、R2とR3が環を形成しないときは、R2は水素または炭素原子数5以下のアルキル基またはアルケニル基を示し、R3は水素またはアリール基を示す。R6は水素、アリール基または炭素数5以下のアルキル基を示す。
【0035】本発明における化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物としては、例えば1,2−ビス(4−ピリジル)エタン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、4−(4−クロロベンゾイル)ピリジン、4,4´−ジピリジル、ジフェニル−4−ピリジルメタン、2−フェニルキノリン、4,7−ジクロロキノリン、8−ニトロキノリン、フェナスリジン、4−ピペリジノピリジン、8−ヒドロキシユーロリジン、1−メチル−4−ピペリジニルビス(4−クロロフェノキシ)アセテート、4´−ピペリジノアセトフェノン、イミノジベンジル、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール、5−フェニル−2−(4−ピリジル)オキサゾール、2−(4−ビフェニルイル)−5−フェノキサゾール、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−フェニルベンゾキサゾール等が挙げられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】本発明における化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物の使用量は、芳香族イソシアナート化合物に対して5〜400重量%、好ましくは10〜300重量%である。5重量%以下では良好な熱応答性が得られず、400重量%以上では希釈効果が生じ、同様に良好な熱応答性が得られない。
【0037】本発明に用いられる芳香族イソシアナート化合物とは、常温固体の無色または淡色の芳香族イソシアナート化合物または複素環イソシアナート化合物を示し、例えば、下記の1種以上が用いられる。
【0038】2,6−ジクロロフェニルイソシアナート、p−クロロフェニルイソシアナート、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,3−ジメチルベンゼン−4,6−ジイソシアナート、1,4−ジメチルベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、1−メトキシベンゼン−2,5−ジイソシアナート、1−エトキシベンゼン−2,4−ジイソシアナート、2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジエトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、2,5−ジブトキシベンゼン−1,4−ジイソシアナート、アゾベンゼン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルエーテル−4,4′−ジイソシアナート、ナフタリン−1,4−ジイソシアナート、ナフタリン−1,5−ジイソシアナート、ナフタリン−2,6−ジイソシアナート、ナフタリン−2,7−ジイソシアナート、3,3′−ジメチル−ビフェニル−4,4′−ジイソシアナート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ジフェニルジメチルメタン−4,4′−ジイソシアナート、ベンゾフェノン−3,3′−ジイソシアナート、フルオレン−2,7−ジイソシアナート、アンスラキノン−2,6−ジイソシアナート、9−エチルカルバゾール−3,6−ジイソシアナート、ピレン−3,8−ジイソシアナート、ナフタリン−1,3,7−トリイソシアナート、ビフェニル−2,4,4′−トリイソシアナート、4,4′,4″−トリイソシアナート−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン、p−ジメチルアミノフェニルイソシアナート、トリス(4−フェニルイソシアナート)チオフォスフェート等がある。これらのイソシアナート化合物は、必要に応じて、フェノール類、ラクタム類、オキシム類等との付加化合物である、いわゆるブロックイソシアナートのかたちで用いてもよく、ジイソシアナートの2量体、例えば1−メチルベンゼン−2,4−ジイソシアナートの2量体、および3量体であるイソシアヌレートのかたちで用いてもよく、また、各種のポリオール等でアダクト化したポリイソシアナートとして用いることも可能である。
【0039】本発明に用いられるイミノ化合物とは、一般式化9(φは、隣接するC=Nと共役系を形成しうる芳香族性化合物残基)で表わされる如き化合物で、常温固形の無色または淡色の化合物である。
【0040】
【化9】


【0041】具体的な例を挙げれば、(1)1,3−ジイミノイソインドリン類:1,3−ジイミノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−メトキシイソインドリン、1,3−ジイミノ−6−シアノイソインドリン、1,3−ジイミノ−4,7−ジチア−5,5,6,6−テトラヒドロイソインドリン、1−フェニルイミノ−3−イミノイソインドリン、1−(3′−クロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′,5′−ジクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′,4′,5′トリクロロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′−シアノ−4′−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′−クロロ−5′−シアノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′,6′−ジクロロ−4′−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′,5′−ジメトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′,5′−ジエトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′−メチル−4′−ニトロフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5′−クロロ−2′−フェノキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4′−N,N−ジメチルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(3′−N,N−ジメチルアミノ−4′−メトキシフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′−メトキシ−5′−N−フェニルカルバモイルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(2′−クロロ−5′−トリフルオロメチルフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5′,6′−ジクロロベンゾチアゾリル−2′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(6′−メチルベンゾチアゾリル−2′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(4′−フェニルアミノフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(p−フェニルアゾフェニルイミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ナフチル−1′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(アンスラキノン−1′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(5′−クロロアンスラキノン−1′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(N−エチルカルバゾリル−3′−イミノ)−3−イミノソインドリン、1−(ナフトキノン−1′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ピリジル−4′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾロン−6′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(1′−メチルベンズイミダゾロン−6′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(7′−クロロベンズイミダゾロン−5′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2′−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−(2′,4′−ジニトロフェニルヒドラゾン)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3′−イミノ)−3−イミノイソインドリン、1−(インダゾリル−3′−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン、1−(インダゾリル−3′−イミノ)−3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン、1−(ベンズイミダゾリル−2′−イミノ)−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−(4′,5′−ジシアノイミダゾリル−2′−イミノ)−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン等、
【0042】(2)3−イミノイソインドリン−1−オン類:3−イミノイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラブロモイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,6,7−テトラフルオロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−5,6−ジクロロイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メトキシイソインドリン−1−オン、3−イミノ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプトイソインドリン−1−オン、3−イミノ−6−ニトロイソインドリン−1−オン、1−イミノナフタル酸イミド、1−イミノジフェン酸イミド、3−イミノイソインドリン−1−スピロ−ジオキソラン、1,1−ジメトキシ−3−イミノイソインドリン、1,1−ジエトキシ−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−エトキシ−3−イミノイソインドリン、3−イミノ−2−メチル−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン−1−オン、1−(シアノカルボメトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルボエトキシメチレン)−3−イミノイソインドリン、7−アミノ−2,3−ジメチル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン、7−アミノ−2,3−ジフェニル−5−オキソピロロ〔3,4b〕ピラジン等、
【0043】(3)3−イミノイソインドリン類:1−(シアノベンゾイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノカルバミドメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−N−フェニルカルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3′−メチルフェニル)カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4′−クロロフェニル)カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(4′−メトキシフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔シアノ−N−(3′−クロロ−4′−メチルフェニル)−カルバモイルメチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−p−ニトロフェニルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(ジシアノメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノ−1′,2′,4′−トリアゾリル−(3′)−カルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノチアゾイル−(2′)−カルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−(シアノベンズイミダゾリル−(2′)−カルバモイルメチレン−3−イミノイソインドリン、1−(シアノベンゾチアゾリル−(2′)−カルバモイルメチレン)−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)メチレン〕−3−イミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−5−メトキシイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−6−クロロイソインドリン、1−〔(1′−フェニル−3′−メチル−5−オキソ)−ピラゾリデン−4′〕−3−イミノイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−4,7−ジチアテトラヒドロイソインドリン、1−〔(シアノベンズイミダゾリル−2′)−メチレン〕−3−イミノ−5,6−ジメチル−4,7−ピラジイソインドリン、1−〔(1′−メチル−3′−n−ブチル)−バルビツル酸−5′〕−3−イミノイソインドリン等、
【0044】(4)3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド類:3−イミノ−1−スルホ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−クロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5,6−ジクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラクロロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラブロモ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,6,7−テトラフルオロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−ニトロ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−6−メトキシ安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−4,5,7−トリクロロ−6−メチルメルカプト安息香酸イミド、3−イミノ−1−スルホナフトエ酸イミド、3−イミノ−1−スルホ−5−ブロモナフトエ酸イミド等があり、目的に応じて2種以上のイミノ化合物を併用することも可能である。
【0045】芳香族イソシアナート化合物の使用量はイミノ化合物と反応し、発色画像が得られる量であれば特に制限されないが、イミノ化合物に対して1重量%以上含有されていることが好ましく、特に好ましくは5〜1000重量%である。
【0046】本発明の感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙が主として用いられるが、紙のほかに各種不織布、織布、合成樹脂フィルム、ラミネート紙、合成紙、金属箔等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができる。
【0047】感熱記録層の層構成は、単一の層であっても、複数の多層構造であってもよい。多層の場合は、各層の間に中間層を介在させてもよく、この中間層が複数の層から構成されていてもよい。また、感熱記録層上に保護層を設けることも、感熱記録層と支持体の間に中間層を設けることもできる。この場合、保護層および中間層は各々単層でも2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていてもよい。更に支持体の感熱記録層が設けられている面と反対側の面にカール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0048】感熱記録層は、各発色成分を微粉砕して得られる各々の水性分散液とバインダ−等を混合し、支持体上に塗布乾燥することにより得ることができる。この場合、例えば、各発色成分を一層づつに含有させ、多層構造としてもよい。
【0049】熱応答性を向上させるための増感剤は、通常各発色成分およびバインダーと共に感熱記録層中に含有させるが、各発色成分を一層づつに含有させ、多層構造にする場合には、必ずしも感熱記録層を構成する全層に含有させなくてもよい。また、増感剤層を別に設けてもよい。
【0050】本発明の感熱記録材料は、他の熱可融性物質を1種もしくは複数種併用して用いることができる。60℃〜180℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜140℃の融点を有するものが好ましい。例えば、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、β−ナフチルベンジルエーテル、N−ステアリルウレア、N,N′−ジステアリルウレア、β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール(p−メチルベンジル)エーテル、1,4−ジメトキシナフタレン、1−メトキシ−4−ベンジルオキシナフタレン、N−ステアロイルウレア、4−ベンジルビフェニル、1,2−ジ(m−メチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(4−クロロフェノキシ)エタン、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、ジメチルテレフタレート等が挙げられる。
【0051】さらに本発明の感熱記録材料には、本出願人による国際出願PCT/JP81/00300号に示される少なくとも1個のアミノ基を有するアニリン誘導体を含有することもでき、地肌カブリ防止にはより効果的である。
【0052】具体的な例をあげれば、(1)モノアニリン類:p−アミノ安息香酸メチル、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸−n−プロピル、p−アミノ安息香酸−iso −プロピル、p−アミノ安息香酸ブチル、p−アミノ安息香酸ドデシル、p−アミノ安息香酸ベンジル、o−アミノベンゾフェノン、m−アミノアセトフェノン、p−アミノアセトフェノン、m−アミノベンズアミド、o−アミノベンズアミド、p−アミノベンズアミド、p−アミノ−N−メチルベンズアミド、3−アミノ−4−メチルベンズアミド、3−アミノ−4−メトキシベンズアミド、3−アミノ−4−クロロベンズアミド、p−(N−フェニルカルバモイル)アニリン、p−〔N−(4−クロロフェニル)カルバモイル〕アニリン、p−〔N−(4−アミノフェニル)カルルバモイル〕アニリン、2−メトキシ−5−(N−フェニルカルバモイル)アニリン、2−メトキシ−5−〔N−(2′−メチル−3′−クロロフェニル)カルバモイル〕アニリン、2−メトキシ−5−〔N−(2′−クロロフェニル)カルバモイル〕アニリン、5−アセチルアミノ−2−メトキシアニリン、4−アセチルアミノアニリン、4−(N−メチル−N−アセチルアミノ)アニリン、2,5−ジエトキシ−4−(N−ベンゾイルアミノ)アニリン、2,5−ジメトキシ−4−(N−ベンゾイルアミノ)アニリン、2−メトキシ−4−(N−ベンゾイルアミノ)−5−メチルアニリン、4−スルファモイルアニリン、3−スルファモイルアニリン、2−(N−エチル−N−フェニルアミノスルホニル)アニリン、4−ジメチルアミノスルホニルアニリン、4−ジエチルアミノスルホニルアニリン、スルファチアゾール、4−アミノジフェニルスルホン、2−クロロ−5−N−フェニルスルファモイルアニリン、2−メトキシ−5−N,N−ジエチルスルファモイルアニリン、2,5−ジメトキシ−4−N−フェニルスルファモイルアニリン、2−メトキシ−5−ベンジルスルホニルアニリン、2−フェノキシスルホニルアニリン、2−(2′−クロロフェノキシ)スルホニルアニリン、3−アニリノスルホニル−4−メチルアニリン等、
【0053】(2)ビスアニリン類:ビス〔4−(m−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔3−メチル−4−(p−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノ−5,5′−ジメトキシビフェニル、2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、オルソートリジンスルホン、2,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノビフェニル、2,2′−ジメチル−4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−チオジアニリン、2,2′−ジチオジアニリン、4,4′−ジチオジアニリン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、ビス(3−アミノ−4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、3,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−エチレンジアニリン、4,4′−ジアミノ−2,2′−ジメチルジベンジル、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニル等、
【0054】(3)フェニレンジアミン類:ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、3,3′,4,4′−テトラアミノジフェニルエーテル、3,3′,4,4′−テトラアミノジフェニルスルホン、3,3′ ,4,4′−テトラアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
【0055】また、感熱記録層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の分散剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、さらに界面活性剤、蛍光染料などを含有させることもできる。
【0056】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳しく説明する。
【0057】実施例11,3−ジイミノ−4,5,6,7−テトラクロロイソインドリン15gを1%ポリビニルアルコール水溶液60gと共にボールミルで24時間粉砕し、別に4,4′,4″−トリイソシアナート−2,5−ジメトキシトリフェニルアミン10gを1%ポリビニルアルコール水溶液40gと共にボールミルで24時間粉砕し分散液を得た。また、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン(融点118℃)25gを1%ポリビニルアルコール水溶液125gと共に同様に分散し分散液を得た。これら3種の分散液を混合後、炭酸カルシウムの40%水分散液125g、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液50g、10%ポリビニルアルコ−ル水溶液135g、水90gを加え十分攪拌し、塗液を得た。この塗液を50g/m2の坪量を有する原紙上に固型分で5.2g/m2の塗布量が得られるように塗布し、乾燥後、スーパーカレンダーで処理して感熱記録材料を得た。
【0058】実施例2〜10実施例1で用いた1,2−ビス(2−ピリジル)エチレンの代わりに、それぞれ、4−(4−クロロベンゾイル)ピリジン(実施例2、融点108℃)、2−フェニルキノリン(実施例3、融点84℃)、フェナスリジン(実施例4、融点107℃)、8−ヒドロキシユーロリジン(実施例5、融点132℃)、4´−ピペリジノアセトフェノン(実施例6、融点85℃)、イミノジベンジル(実施例7、融点105℃)、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール(実施例8、融点122℃)、5−フェニル−2−(4−ピリジル)オキサゾール(実施例9、融点100℃)、2,5−ジフェニル−1,3,4−オキサジアゾール(実施例10、融点138℃)を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0059】比較例1実施例1の1,2−ビス(2−ピリジル)エチレンを用いない以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0060】試験1(発色濃度=熱応答性)
実施例1〜10および比較例1で得た感熱記録材料を、それぞれ感熱ファクシミリ印字試験機を用いて印加パルス0.9ミリ秒および1.2ミリ秒で印加電圧12.0ボルトの条件で印字し、得られた発色画像の濃度を濃度計マクベスRD918を用いて測定した。その結果を表1に示した。
【0061】試験2(耐可塑剤性=画像保存性)
実施例1〜10および比較例1で得た感熱記録材料を、それぞれ塩化ビニールシートと重ね、300g/m2の荷重をかけて40℃の雰囲気下に24時間保存した後、試験1と同様にして、発色部の濃度を測定した。下記に示す数1に従って画像残存率を計算した。その結果、実施例1〜10および比較例1で得た感熱記録材料の画像残存率はすべて100%であった。
【0062】
【数1】A=(B/C)×100A:画像残存率(%)
B:試験後の画像部濃度C:試験前の画像部濃度
【0063】
【表1】


【0064】
【発明の効果】本発明による化合物を用いることにより画像保存性に優れ、かつ熱応答性に優れた感熱記録材料を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 芳香族イソシアナート化合物とイミノ化合物とを含む感熱記録層を支持体上に設けた感熱記録材料において、化学構造中にピリジン環、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環のうちの少なくともひとつを有する化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする感熱記録材料。

【公開番号】特開平5−124350
【公開日】平成5年(1993)5月21日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−318444
【出願日】平成3年(1991)11月5日
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)