説明

感熱記録材料

【構成】 本発明の感熱記録材料は無色ないし淡色の電子供与性発色剤と該発色剤と接触して呈色し得る電子受容性顕色剤との呈色反応を利用した感熱記録材料であって、電子供与性発色剤として下記一般式(I)で表されるフルオラン化合物の少なくとも1種を用い、且つ、電子受容性顕色剤として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いる。
【化1】


(式中、R1及びR2は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
【効果】 本発明の感熱記録材料は地肌の白色度及び保存安定性、画像の保存安定性等の諸性能に優れている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は感熱記録材料に関するものであり、更に詳しくには、地肌白色度、地肌の保存安定性、画像の保存安定性等の諸性能に優れた感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無色ないし淡色の電子供与性発色剤(以下、発色剤という)と有機もしくは無機の電子受容性顕色剤(以下、顕色剤という)との呈色反応を利用した感熱記録材料は、特公昭45−14039号公報等に開示されており、計測記録計、ファクシミリ、プリンター、乗車券の自動販売機など広範囲の分野に利用されている。
【0003】かかる感熱記録材料は、地肌白色度、地肌の保存安定性、発色色調、発色濃度及び発色後の画像保存安定性において優れていることが要求される。
【0004】従来、黒色系の発色剤としては下記一般式(II)のフルオラン化合物が知られているが、これらを使用した感熱記録材料は地肌白色度、地肌保存安定性、画像保存安定性等の点で個々の化合物特有の欠点を有し、総合的に優れた感熱記録材料は得られていない。
【0005】
【化2】


(式中、R3及びR4はアルキル基を示す。)例えば式(III)のフルオラン化合物を発色剤として用いた感熱記録材料は、地肌の白色度が劣り、地肌及び画像の保存安定性についても未だ満足できるものではない。
【0006】
【化3】


【0007】更に特開平3−164294号公報には発色剤として式(IV)のフルオラン化合物を使用し、かつ顕色剤として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いることにより高温環境下での地肌及び画像の保存安定性を改善することが開示されているが、未だ十分とはいえない。
【0008】
【化4】


【0009】また、本発明者らは、下記一般式(I)
【化5】


(式中、R1及びR2は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)で表されるフルオラン化合物を用いた発色性記録材料が上記の諸特性において総合的に優れていることを見い出し先に出願を行ったが、顕色剤として2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパンを使用した感熱記録材料の場合、地肌の耐湿熱性においてやや劣ることが判明し、かかる点を改善するべく鋭意検討を行い本発明に至った。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は地肌の耐湿熱性を改善し、かつ優れた地肌白色度、地肌および画像の保存安定性を有する感熱記録材料を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題は、電子供与性発色剤として一般式(I)で表されるフルオラン化合物を用い、且つ、電子受容性顕色剤として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いることにより達成された。
【0012】すなわち本発明は、無色ないし淡色の電子供与性発色剤と該発色剤と接触して呈色し得る電子受容性顕色剤との呈色反応を利用した感熱記録材料において、電子供与性発色剤として下記一般式(I)で表されるフルオラン化合物の少なくとも1種を用い、かつ、電子受容性顕色剤として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いることを特徴とする感熱記録材料に関する。
【0013】
【化6】


(式中、R1及びR2は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)R1、R2としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基が好ましく、特に炭素数2〜5のものが好ましい。
【0014】一般式(I)で表されるフルオラン化合物の具体例としては、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−プロピルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジイソプロピルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジイソブチルアミノフルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−エチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン、2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ペンチルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0015】前記一般式(I)で表されるフルオラン化合物は、例えば下記の方法により製造することができる。一般式(V)
【化7】


(式中、R1及びR2は前記と同じものを示す。)で表されるベンゾフェノン化合物と、一般式(VI)
【0016】
【化8】


(式中、Rは水素原子または低級アルキル基を示す。)で表されるジフェニルアミン化合物とを濃硫酸のような脱水縮合剤の存在下、0〜50℃の温度で数時間〜数十時間反応させ、生成した反応物を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で処理した後、必要に応じて適当な有機溶媒を使用して精製、再結晶等を行うことにより前記一般式(I)で表されるフルオラン化合物を白色〜微着色の粉末状で得ることができる。
【0017】また、本発明においては、その効果を損なわない範囲で、他の発色剤を併用することも可能である。併用できる発色剤としては、この種の記録材料に従来用いられているものがいずれも使用でき、特にトリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、フルオレン系、ビニロ−グフタリド系等の発色剤が好ましい。
【0018】これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、2−アニリノ−3−メチル−6−ジメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジプロピルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジペンチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)フルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ[9,3’]−6’−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス{2,2−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス{2,2−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エテニル}−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用してもよい。また、発色剤と同様に顕色剤についても、本発明の効果を損なわない範囲で他の顕色剤を併用してよい。
【0019】このような顕色剤としては、各種のフェノール性化合物が使用される。具体例としては、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、3,3’−ジアリルビスフェノールS、1,5−ビス(p−ヒドロキシフェニルメルカプト)−3−オキサペンタン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS等が挙げられる。
【0020】本発明の感熱記録材料に使用される発色剤と顕色剤との配合割合(重量比)は、発色剤1に対し顕色剤0.5〜3倍、好ましくは1〜2.5倍である。
【0021】本発明の感熱記録材料は、例えば以下の方法に従って製造される。
【0022】発色剤、顕色剤、増感剤をそれぞれポリビニルアルコール等の水溶性高分子水溶液と共にアトライター、サンドミル等を用いて薬剤の粒径が数ミクロン以下になるように分散する。増感剤は、発色剤、顕色剤のいずれか、あるいは両方に加えて、同時に分散してもよく、また場合によっては予め発色剤あるいは顕色剤との共融物を作成して分散してもよい。これらの分散液を混合して、必要に応じて顔料、バインダー、ワックス、金属石鹸、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を加えて、感熱塗液とする。得られた感熱塗液を上質紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体に塗布した後、カレンダー処理により平滑性を付与すると、感熱記録材料が得られる。また感熱塗液は、必要に応じて、発色性を向上させるために、プラスチック顔料あるいはシリカ等の断熱剤の下塗り層を有する支持体に塗布してもよい。さらに、耐水性、耐薬品性を付与するため、必要に応じて感熱記録層上に水溶性高分子水溶液等の上塗り層を設けてもよい。
【0023】増感剤としては、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、2−ベンジルオキシナフタレン、1,4−ジベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ジ−m−トルオキシエタン、1,2−ジ−p−トルオキシエタン、1,4−ジフェノキシブタン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフトエ酸フェニル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、テレフタル酸ジベンジル等が挙げられる。特に、p−ベンジルビフェニル、m−ターフェニル、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジ−p−メチルベンジル、1,2−ジ−m−トルオキシエタンが好ましく用いられる。
【0024】顔料としては、有機および無機の顔料が使用できる。好ましい具体例としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末等が挙げられる。
【0025】バインダーとしては、水溶性高分子および水不溶性高分子が使用できる。好ましい具体例としては、水溶性高分子として、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン類、スチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、エチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が、また水不溶性高分子として、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
【0026】ワックスの好ましい具体例としては、パラフィンワックス、カルボキシ変性パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
【0027】金属石鹸としては、高級脂肪酸金属塩が用いられる。好ましい具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0028】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類が用いられる。また紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤が用いられる。
【0029】
【実施例】つぎに、本発明を製造例、実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。
【0030】[製造例1] 2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの製造98%硫酸100mL中に、2−(2−ヒドロキシ−4−ジエチルアミノベンゾイル)安息香酸(純度98.1%)31.3gを25℃以下で少量ずつ添加、溶解後、2,3'−ジメチル−4−メトキシジフェニルアミン(純度97.2%)23.8gを10〜20℃で滴下した。室温で20時間撹拌後、反応物を1000gの氷水中へ排出し、析出した沈殿を瀘取した。得られた瀘取物をトルエン200mLと25%水酸化ナトリウム水溶液130mLとともに、撹拌下1時間還流した。
【0031】ついで、トルエン層を分取し、湯洗後、減圧下トルエン溶液を100mLまで濃縮、冷却し、析出物を瀘取した。得られた析出物をトルエン80mLから再結晶し、得られた結晶にイソプロピルアルコール500mLを加え、撹拌下1時間還流後冷却した。結晶を瀘取し、乾燥して淡黄白色の結晶33.4g(収率68.1%)を得た。この結晶の融点、元素分析値は下記の通りであった。
融点:188〜189℃ C H N元素分析値:理論値(C323023) 78.34% 6.16% 5.71% 実測値 78.30% 6.18% 5.68%
【0032】[製造例2] 2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランの製造98%硫酸100mL中に、2−(2−ヒドロキシ−4−ジ−n−ブチルアミノベンゾイル)安息香酸37.0gを25℃以下で少量ずつ添加、溶解後、2,3'−ジメチル−4−メトキシジフェニルアミン25.0gを10〜20℃で滴下した。室温で20時間撹拌後、反応物を1000gの氷水中へ排出し、析出した沈殿を瀘取した。得られた瀘取物をトルエン200mLと25%水酸化ナトリウム水溶液130mLとともに、撹拌下1時間還流した。
【0033】ついで、トルエン層を分取し、湯洗後、減圧下トルエンを留去し、得られた残渣55.8gをイソプロピルアルコール560mLで再結晶することにより、淡黄白色の結晶45.7g(収率83.7%)を得た。この結晶の融点、元素分析値は下記の通りであった。
融点:145〜147℃ C H N元素分析値:理論値(C363823) 79.09% 7.01% 5.13% 実測値 79.15% 7.03% 5.15%
【0034】[製造例3] 2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオランの製造98%硫酸100mL中に、2−[2−ヒドロキシ−4−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)ベンゾイル]安息香酸35.5gを25℃以下で少量ずつ添加、溶解後、2,3'−ジメチル−4−メトキシジフェニルアミン25.0gを10〜20℃で滴下した。室温で20時間撹拌後、反応物を1000gの氷水中へ排出し、析出した沈殿を瀘取した。得られた瀘取物をトルエン200mLと25%水酸化ナトリウム水溶液130mLとともに、撹拌下1時間還流した。
【0035】ついで、トルエン層を分取し、湯洗後、減圧下トルエンを留去し、得られた残渣約40gにメタノール225mLを加え、撹拌下1時間還流した。室温まで冷却後、析出物を瀘取し、得られた瀘取物にイソプロピルアルコール500mLを加え、撹拌下1時間還流した。冷却後、結晶を瀘取し、乾燥して淡黄白色の結晶31.4g(収率59.0%)を得た。この結晶の融点、元素分析値は下記の通りであった。
融点:179.5〜180.5℃ C H N元素分析値:理論値(C353623) 78.90% 6.83% 5.26% 実測値 78.74% 6.72% 5.18%
【0036】[実施例1]製造例1で得られた2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン3gを2%ポリビニルアルコ−ル水溶液70g中、サンドミルを用いて平均粒径が1ミクロンになるように粉砕し発色剤分散液を得た。
【0037】一方、顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン6gと増感剤であるp−ベンジルビフェニル3gを2%ポリビニルアルコール水溶液75g中で、サンドミルを用いて平均粒径が3ミクロンになるように粉砕して、顕色剤分散液を得た。
【0038】上記2種の分散液を混合した後、炭酸カルシウム15gを水50mLに分散した分散液とパラフィンワックス30%分散液15gを添加、よく混合して感熱塗液を得た。
【0039】このようにして調製した感熱塗液を上質紙に、固形分塗布量が約5g/m2となるように塗布、乾燥後、カレンダー処理により感熱記録層面のベック平滑度が約300秒になるように調整し、感熱記録材料を作製した。
【0040】[実施例2]実施例1における発色剤である2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの代わりに製造例2で得られた2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオランを用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0041】[実施例3]実施例1における発色剤である2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの代わりに製造例3で得られた2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオランを用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0042】[実施例4]実施例1における増感剤であるp−ベンジルビフェニルの代わりに2−ベンジルオキシナフタレンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0043】[比較例1]実施例1における発色剤である2−(3−メチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオランの代わりに2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン(式IIIの化合物)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0044】[比較例2]実施例1における顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの代わりにビスフェノールA(2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0045】[比較例3]実施例1における顕色剤である4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンの代わりにビスフェノールA(2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン)を用い、かつ実施例1における増感剤であるp−ベンジルビフェニルの代わりに2−ベンジルオキシナフタレンを用いた以外は実施例1と同様の操作を行って、感熱記録材料を作製した。
【0046】上記各実施例及び比較例で得られた感熱記録材料について、下記の性能試験を行った。
【0047】[評価1] 地肌白色度及び地肌保存安定性の測定実施例1〜4及び比較例1〜3にて得られた各感熱記録材料の地肌白色度の測定及び地肌保存安定性試験を下記の方法に従って行った。
【0048】地肌白色度の測定:感熱記録材料の地肌の着色濃度を反射濃度計RD−914(マクベス製)を使用し反射濃度値(OD値)で測定した。
【0049】地肌耐湿熱性の測定:感熱記録材料を50℃、90%RHの条件に24hr晒した後、地肌の着色濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。
【0050】地肌耐熱性の測定:感熱記録材料を60℃、20%RHの条件に24hr晒した後、地肌の着色濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。
【0051】地肌耐光性の測定:感熱記録材料を2万ルックスの蛍光灯に24hr照射した後、地肌の着色濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。これらの結果を表1に示す。
【0052】
[表1]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 地肌 地肌保存安定性 白色度 ─────────────── 耐湿熱性 耐熱性 耐光性 (OD値) (OD値) (OD値) (OD値) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 1 0.07 0.08 0.11 0.09 実施例 2 0.07 0.07 0.12 0.11 実施例 3 0.08 0.08 0.12 0.10 実施例 4 0.08 0.08 0.11 0.09───────────────────────────── 比較例 1 0.09 0.10 0.12 0.11 比較例 2 0.10 0.14 0.13 0.11 比較例 3 0.10 0.14 0.14 0.11━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━地肌白色度:数値が小さい程、地肌の白色度が高いことを示す。
地肌の保存安定性:各試験後の数値が小さい程、地肌の保存安定性が高いことを示す。
【0053】[評価2] 画像保存安定性の測定実施例1〜4及び比較例1〜3にて得られた各感熱記録材料に対して印字装置TH−PMD(大倉電気製)を使用し、パルス巾を種々変化させて発色を行い、各感熱記録材料について発色画像濃度(OD値)約1.1(パルス巾1.15ms付近)の発色画像を得た。
【0054】次いで得られた画像に対して、画像保存安定性試験を下記の方法に従って行った。
【0055】画像耐湿熱性の測定:発色画像を50℃、90%RHの条件に24hr晒した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。
【0056】画像耐熱性の測定:発色画像を60℃、20%RHの条件に24hr晒した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。
【0057】画像耐光性の測定:発色画像を2万ルックスの蛍光灯に24hr照射した後、画像の濃度(OD値)を反射濃度計RD−914で測定した。各画像堅牢度を、下記式により算出した。
【0058】堅牢度(%)=(試験後画像濃度/初期発色画像濃度)×100これらの結果を表2に示す。
【0059】
[表2]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 初期発色 画像堅牢度 画像濃度 ────────────────── 耐湿熱性 耐熱性 耐光性 (OD値) (%) (%) (%) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例 1 1.12 90.4 99.3 97.3 実施例 2 1.10 89.5 93.3 96.3 実施例 3 1.11 90.2 95.3 95.8 実施例 4 1.11 94.4 99.6 95.6─────────────────────────────── 比較例 1 1.11 85.6 94.6 96.0 比較例 2 1.13 86.3 97.5 95.1 比較例 3 1.13 85.9 88.6 92.0━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━画像堅牢度:数値が大きい程、画像堅牢度が高いことを示す。
【0060】表1から明らかなごとく、本発明の感熱記録材料は、地肌白色度が高く、地肌の保存安定性がよい。また、表2から明かなごとく、本発明の感熱記録材料は画像の保存安定性がよい。
【0061】
【発明の効果】本発明の感熱記録材料は、地肌の耐湿熱性が改善されたのみならず、地肌の白色度及び保存安定性、画像の保存安定性等の他の諸性能にも非常に優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 無色ないし淡色の電子供与性発色剤と該発色剤と接触して呈色し得る電子受容性顕色剤との呈色反応を利用した感熱記録材料において、電子供与性発色剤として下記一般式(I)で表されるフルオラン化合物の少なくとも1種を用い、且つ、電子受容性顕色剤として4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンを用いることを特徴とする感熱記録材料。
【化1】


(式中、R1及びR2は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)

【公開番号】特開平6−72051
【公開日】平成6年(1994)3月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−51344
【出願日】平成5年(1993)2月16日
【出願人】(000179904)山本化成株式会社 (70)