説明

感熱転写記録媒体

【課題】耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を有することで、従来活用されてきた感熱転写記録媒体に付加価値をつけた感熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】少なくとも基材46と、前記基材の一方の面に設けられた感熱転写層44と、前記基材のもう一方の面に設けられた耐熱滑性層48とからなり、前記耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有する。この感熱転写記録媒体を用いて転写を行うことにより、印画物を得られるだけでなく、転写と共に、印画空間に芳香を放つことができる。また、受容層上に香料を含有させるわけではないため、印画物が経時により、にじみ等の劣化を起こしたり、印画物の発色に影響を与えてしまう等の問題を起こすことなく通常の印画物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関する。特に、耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有する感熱転写記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、感熱転写方式を用いて被転写体に文字や画像を形成することが行われている。
ここでいう感熱転写記録媒体とは、一般的にサーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式に用いられるインクリボンのことである。感熱転写方式としては、昇華転写方式と溶融転写方式が広く用いられている。それぞれ、感熱転写層のインクをサーマルヘッドの熱により、昇華または溶融させて、被転写体に転写させて画像を形成させる方式である。
【0003】
現在、感熱転写方式は、プリンタの高機能化とともに、身分証明書やカード類への顔写真などの出力、さらにアミューズメント施設における合成写真等、多岐にわたり利用されている。
【0004】
ところで、感熱転写記録媒体は、基材となる、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の一方の面に感熱転写層、他方の面にプリンタのサーマルヘッドより与えられる熱による貼り付きや走行性を調整するために耐熱滑性層が設けられている。
【0005】
前記耐熱滑性層は、従来から自己クリーニング性の付与、サーマルヘッドの耐久性向上、サーマルヘッドからの熱伝導ムラの軽減等のために設けられている。
【0006】
一方、近年では、精油の香りを嗅ぐ事により、鎮静効果、入眠効果、鎮痛効果、消臭効果等を得るアロマテラピーが注目され、使用されている。また、精油は熱により容易に気化し、芳香を拡散できる。
【0007】
こうした中、昇華転写方式により得られる感熱転写受像シートに関して、例えば、特許文献1に記載されているように、昇華型感熱転写受像シートの受容層上に芳香成分を含有する芳香成分含有印刷層を設けたり、少なくとも受容層及び基材を含む複数の構成成分からなる昇華型感熱転写受像シートで、その構成成分の何れかに芳香成分が含まれていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−187368号公報
【特許文献2】特開2004−322319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のように、芳香性を有する感熱転写受像シートが示されているが、受容層に芳香成分を含有させる場合では、芳香を十分に放つために、芳香成分を受容層中に高比率で含有させることが必要となり、それにより、印画物が経時により、にじみ等の劣化を起こしたり、印画物の発色に影響を与えてしまう等の問題があった。また、上記従来技術は、出力された感熱転写受像シート自体に芳香性を持たせることを目的としている。
【0010】
一方、本発明は、感熱転写受像シートが芳香性を有するのではなく、画像転写時に芳香を放つことを目的とした。すなわち、耐熱滑性層中に香料を有することで、上記従来技術の問題点を解決し、サーマルヘッドの熱により、転写とともに、印画空間に芳香を十分に放ち、従来活用されてきた感熱転写記録媒体に付加価値をつけた感熱転写記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題を解決する為に成されたものであり、その構成を以下に示す。
[請求項1]
少なくとも基材と、前記基材の一方の面に設けられた感熱転写層と、前記基材のもう一方の面に設けられた耐熱滑性層とからなる感熱転写記録媒体において、前記耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有することを特徴とする感熱転写記録媒体。
[請求項2]
前記香料が天然香料又は合成香料であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
[請求項3]
前記合成香料として、エステル基、ケトン基、アルデヒド基の少なくともいずれかを有する化合物を用いたことを特徴とする請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
[請求項4]
前記香料を、耐熱滑性層の固形分に対して0.01〜0.5重量%の割合で含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱転写記録媒体。
[請求項5]
前記感熱転写層が、昇華性染料とバインダとからなる感熱昇華転写層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の感熱転写記録媒体。
[請求項6]
前記感熱転写層が、染料又は/及び顔料とバインダとからなる感熱溶融転写層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の感熱転写記録媒体。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る感熱転写記録媒体は、基材フィルムの一方の面に感熱転写層が、もう一方の面に耐熱滑性層が設けられた感熱転写記録媒体において、前記耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有させることにより、印画物を得られるだけではなく、転写と共に、印画空間に芳香を放つことができる。また、前記耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有することにより、受容層上に芳香成分含有層を設ける場合と異なり、印画物が経時により、にじみ等の劣化を起こしたり、印画物の発色に影響を与えてしまう等の問題を起こすことなく印画物が得られた。
【0013】
さらに、本発明に係る感熱転写記録媒体は、前記香料がエステル基、ケトン基、アルデヒド基を有する合成香料であることを特徴とする感熱転写記録媒体であるので、香料を安価に入手することができ、取り扱いも容易であるため、生産性良く感熱転写記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る感熱転写記録媒体の層構成の1実施例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図1に基づいて詳細に説明する。
【0016】
本発明の1実施例の感熱転写記録媒体は、図1に示すように、基材フィルム(46)の一方の面に感熱転写層(44)、もう一方の面に耐熱滑性層(48)が設けられた感熱転写記録媒体(50)である。
【0017】
前記基材フィルムとしては、従来公知の感熱転写シートの基材として使用されているものと同等なものを使用することができ、機械的強度、耐熱性などを有することが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の合成樹脂フィルム、及び、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類が挙げられる。特に、物性や加工性コスト面で優れているポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。また、該基材フィルムの厚さは、操作性、加工性を考慮し、2〜50μmの範囲のものが使用できるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2〜10μm程度のものが好ましい。
【0018】
前記耐熱滑性層は、サーマルヘッドの熱による基材の熱収縮やサーマルヘッドとの摩擦による基材の破断を防止するために設けられる。耐熱滑性層に用いられるバインダとしては、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂等が挙げられる。
【0019】
ここで、本発明の特徴である香料について説明する。
【0020】
前記耐熱滑性層(48)に含有する香料は、合成香料や天然香料を用いることができる。天然香料としては、例えば、アロマテラピーに用いられるような、レモン油、オレンジ油、パインニードル油、ユーカリ油、レモングラス油、ペパーミント油、ローズマリー油、ラベンダー油、タイム油、セージ油、サンダルウッド油、ベチバー油等が挙げられる。
また、合成香料としては、エステル基を有する蟻酸シトロネリル、アフェルマート、蟻酸フェニルエチル、酢酸イソアミル、トリアセチン、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸l−メンチル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、アセチルイソオイゲノール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸シトロネリル、カプロン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、サリチル酸メチル、メチルアトラレート等や、ケトン基を有するl−カルボン、カンファー、ヌートカトン、ヘキシルシクロペンタノン、シクロテン、ダマセノン、p−メトキシアセトフェノン、ラズベリーケトン、アニシルアセトン、アセチルフラン、マルトール、エチルマルトール等や、アルデヒド基を有するシトロネラール、シトラール、イソシクロシトラール、n−ヘキサノール、n−オクタナール、n−デカナール、2,6−ノナジエナール、フェニルアセトアルデヒド、ヒドラトロパアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン等が挙げられる。
【0021】
また、香料の沸点は200℃以下が好ましく、特に好ましくは150℃以下である。沸点が200℃以上であると、サーマルヘッドから熱がかかっても香料が気化せず、十分な芳香を放つことができない危険性がある。
【0022】
さらに、香料の含有量は、耐熱滑性層の固形分に対して0.01〜0.5重量%であることが好ましく、特に好ましくは0.1〜0.3重量%である。含有量が0.01重量%未満であると、転写時に十分な芳香が得られない危険性がある。一方、0.5重量%を超えると耐熱滑性層自体の膜強度が低下したり、熱伝導ムラが発生したり、ざらつき等の印画欠陥に及ぶ危険性がある。
【0023】
次に、本発明のもう一つの特徴である、多孔質無機粒子について説明する。
【0024】
前記耐熱滑性層(48)に含有する多孔質無機粒子としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー等が挙げられ、特にタルクが好ましい。また、該多孔質無機粒子は1種類でも2種以上を混ぜ合わせて使用してもよい。多孔質無機粒子を含有させることで、耐熱滑性層の表面に凹凸が形成されサーマルヘッドとの接触面積が小さくなるので、印画時のサーマルヘッドに対する離型性が向上する。
【0025】
また、多孔質無機粒子の含有量は、耐熱滑性層の固形分に対して、1〜30重量%が好ましく、特に好ましくは3〜20重量%である。含有量が1重量%未満であると、サーマルヘッドとの接触面積が大きくなり、印画時の離型性が低下してしまう危険性がある。一方、30重量%を越えると、サーマルヘッドの磨耗や多孔質無機粒子の脱落による転写不良が生じる危険性がある。
【0026】
耐熱滑性層の厚みは0.1〜2.5μmが好ましく、さらに0.5〜1.5μmがより好ましい。耐熱滑性層の厚みが0.1μmより小さい場合、サーマルヘッドからの耐熱性が劣り、印画時に支持体の熱収縮が生じやすくなる。一方、2.5μmより大きい場合、サーマルヘッドからの熱が染料層に十分伝わらず、所望の濃度の印画物を得ることができない。
【0027】
また、耐熱滑性層は滑性を向上させる目的で滑剤を含有してもよい。例えば、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤などが挙げられる。滑剤を含有させることで、耐熱滑性層とサーマルヘッドとの間の動摩擦係数を小さくすることができるので、サーマルヘッドからの力による基材の変形を防止できる。
【0028】
前記感熱転写層(44)には、熱昇華性染料とバインダとからなる感熱昇華転写層と、染料又は/及び顔料とバインダとからなる感熱溶融転写層がある。
【0029】
感熱昇華転写層は、例えば、熱昇華性染料、バインダ、溶剤等を配合して調製された塗布液を、塗布、乾燥する事により得られる。この転写層の塗布量は、乾燥厚で1.0μm程度が好適である。
【0030】
感熱溶融転写層は、例えば、染料又は/及び顔料、バインダ、溶剤等を配合して調製された塗布液を、塗布、乾燥する事により得られる。この転写層の塗布量は、乾燥厚で1.0μm程度が好適である。
【0031】
前記感熱昇華転写層の塗布液に用いられる熱昇華性染料としては、昇華性分散染料が好ましく用いられる。そのバインダとしては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール、スチレン・アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適である。
【0032】
前記感熱溶融転写層の塗布液に用いられる染料としては、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メチン系、アゾメタン系、キサンテン系、アキサジン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、アゾ系、スピロジピラン系、イソドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンダクタム系、アントラキノン系等の一般に使用されている感熱転写性染料を広く使用することができる。また、顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料を使用することができる。そのバインダとしては、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン・アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラール、スチレン・アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂が好適である。
【実施例】
【0033】
以下に本発明の感熱転写記録媒体について、実施例を挙げて詳しく説明する。
【0034】
基材フィルムとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを準備した。また、感熱転写層の形成に使用する「感熱昇華転写層形成用塗布液」として、下記配合割合からなる塗布液を作製した。
【0035】
マゼンタ染料 20部
ブチラール樹脂 15部
ポリエステル樹脂 5部
トルエン 30部
メチルエチルケトン 30部
【0036】
<実施例1>
基材の一方に、下記の耐熱滑性層形成用塗布液をグラビア方式により、乾燥厚1.1μmで塗工した後、50℃24時間、オーブン中で加熱して硬化処理を行った。
ブチラール樹脂 6部
リン酸エステル化合物 1部
タルク 1部
ラベンダー油(天然香料) 0.02部
トリレンジイソシアネート 2部
トルエン 45部
メチルエチルケトン 46部
続いて、前記基材のもう一方に、前記感熱昇華転写層形成用塗布液をグラビア方式により、乾燥厚1.0μmで印刷し、実施例1の感熱転写記録媒体を作製した。
【0037】
<実施例2>
実施例1において、天然香料ラベンダー油を使用する代わりに、エステル基を有する合成香料アセチルイソオイゲノールを0.01重量部使用した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感熱転写記録媒体を得た。
【0038】
<実施例3>
実施例1において、天然香料ラベンダー油を使用する代わりに、ケトン基を有する合成香料ラズベリーケトンを0.01重量部使用した以外は実施例1と同様にして、実施例3の感熱転写記録媒体を得た。
【0039】
<実施例4>
実施例1において、天然香料ラベンダー油を使用する代わりに、アルデヒド基を有する合成香料バニリンを0.01重量部使用した以外は実施例1と同様にして、実施例4の感熱転写記録媒体を得た。
【0040】
<比較例1>
実施例1において、香料を含有しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
【0041】
<比較例2>
実施例1において、タルクを含有しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱転写記録媒体を得た。
【0042】
<比較例3>
比較例1と同様の耐熱滑性層を作製し、前記感熱昇華転写層形成用塗布液中に、天然香料ラベンダー油を0.02重量部含有させ、比較例3の感熱転写記録媒体を得た。
【0043】
(評価)
実施例1〜4及び比較例1〜3の本発明の感熱転写記録媒体において、サーマルシミュレーターにより8inch/sの速さで800m転写試験を行い、試験中の印画音及び芳香性を官能評価し、印画後の印画物の状態を目視観察した。その結果を表1に示す。
【0044】
(評価基準)
[リボン走行性]
○;スティッキングなく走行
×;スティッキングあり
[印画物の状態]
○;欠陥なく良好
△;欠陥はないが、色味に変化あり
×;転写ムラ等の欠陥発生
[芳香性]
○;十分に芳香
△;芳香が不十分
×;芳香なし
【0045】
(評価結果)
実施例1〜4の本発明の感熱転写記録媒体は、リボン走行性、印画物の状態共に問題なく、また、印画時に十分に芳香を感じることができた。実施例2〜4においては、含有量が実施例1の1/2であるが、同程度の十分な芳香であった。比較例1は、リボン走行性及び印画物の状態は問題ないが、香料を含有していないため、芳香は発生しなかった。比較例2は、タルクによる表面凹凸がないため、スティッキングが発生し、リボン走行性及び印画物の状態が、通常より劣った。比較例3は、感熱昇華転写層中に香料が存在するため、転写ムラが発生し、色味にも異常が発生していた。さらに、芳香はしたものの、実施例1とは異なった芳香であった。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の感熱転写記録媒体は、出力された画像を簡便に形成できると共に、印画空間に芳香を放つことができるため、アミューズメント用出力物として、付加価値のある商品としての利用が期待できる。
【符号の説明】
【0047】
44・・・感熱転写層
46・・・基材フィルム
48・・・耐熱滑性層
50・・・感熱転写記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材と、前記基材の一方の面に設けられた感熱転写層と、前記基材のもう一方の面に設けられた耐熱滑性層とからなる感熱転写記録媒体において、前記耐熱滑性層中に香料及び多孔質無機粒子を含有することを特徴とする感熱転写記録媒体。
【請求項2】
前記香料が天然香料又は合成香料であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録媒体。
【請求項3】
前記合成香料として、エステル基、ケトン基、アルデヒド基の少なくともいずれかを有する化合物を用いたことを特徴とする請求項2に記載の感熱転写記録媒体。
【請求項4】
前記香料を、耐熱滑性層の固形分に対して0.01〜0.5重量%の割合で含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱転写記録媒体。
【請求項5】
前記感熱転写層が、昇華性染料とバインダとからなる感熱昇華転写層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の感熱転写記録媒体。
【請求項6】
前記感熱転写層が、染料又は/及び顔料とバインダとからなる感熱溶融転写層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の感熱転写記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−212936(P2011−212936A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82263(P2010−82263)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】