説明

感熱転写記録媒体

【課題】染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下に保存後においても、印画における異常転写を防止でき、さらに、印画物表面が部分的にマット化する、いわゆる「テカリ」の現象を少なくすることができる感熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】基材(10)の一方の面に耐熱滑性層(40)を設け、該基材の他方の面に下引き層(20)、染料層(30)をこの順に設けた感熱転写記録媒体であり、下引き層(20)が、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを含んでいる。また、染料層(30)は、離型剤が添加されており、染料層は(20)、バインダー樹脂を含み、バインダー樹脂は、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂と多価イソシアネーとの反応物で少なくとも構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関するものであり、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した感熱転写記録媒体に関する。さらに詳しくは、高速印画時における転写感度が高く、すなわち、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下に保存後においても、印画における異常転写を防止でき、しかも、高濃度部で発生する画質不良、すなわち、被転写体の受像層が感熱転写記録媒体に融着することで色相変動が起こり、その結果、印画物表面が部分的にマット化する、いわゆる「テカリ」の現象を少なくすることができる感熱転写記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層(バックコート層)を設けたものである。ここで、上記感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華(昇華転写方式)あるいは溶融(溶融転写方式)させ、被転写体側に転写するものである。
【0003】
現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。
【0004】
このような用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、また、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では、基材シートの同じ側に印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体が多く普及してきている。
【0005】
そのような中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、従来の感熱転写記録媒体では十分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。
【0006】
そこで、転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等によりシワが発生したり、場合によっては破断が発生したりするという問題を抱えている。
【0007】
また、感熱転写記録媒体の染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、染料を増やすことでコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り状態時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行する(いわゆる裏移り)。そして、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層、あるいは保護層に再転移し(いわゆる裏裏移り)、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。
【0008】
また、感熱転写記録媒体側ではなく、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップする試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くする他、染料層と被転写体とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。それに対して、異常転写を防止するために、染料層あるいは被転写体に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみや地汚れが生じたりする。
【0009】
このような問題を解決するために、いくつかの方法が提案されている。
【0010】
例えば、特許文献1では、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂とを含有する接着層を有する熱転写シートが提案されている。
【0011】
また、例えば、特許文献2には、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂またはポリビニルアルコール樹脂の熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる接着層を有する熱転写シートが提案されている。
【0012】
また、例えば、特許文献3には、基材と染料層との間にビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体とコロイド状無機顔料超微粒子とからなる下地層を有する熱転写シートが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005−231354号公報
【特許文献2】特開2006−150956号公報
【特許文献3】特開2008−155612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1で提案されている感熱転写記録媒体を用いて昇華転写方式の高速プリンタにて印画を行った場合、高温・高湿下に保存したものを含めて、異常転写は確認されないものの、印画における転写感度が低く、充分なレベルまで至らない。また、いわゆるテカリも充分に抑えることができなかった。
【0015】
また、特許文献2で提案されている感熱転写記録媒体を用いて同じく印画を行った場合、印画における転写感度は高く、充分なレベルに至っているものの、高温・高湿下に保存したもので異常転写が確認され、しかもテカリも充分に抑えることができなかった。
【0016】
また、特許文献3で提案されている感熱転写記録媒体を用いて同じく印画を行った場合、印画における転写感度は高く、充分なレベルに至っており、高温・高湿下に保存したものも含めて、異常転写は問題ないものの、印画ムラが確認され、しかもテカリも充分に抑えることができなかった。
【0017】
このように、特許文献1〜3で提案されている従来技術では、印画における転写感度が高く、高温・高湿下に保存した場合においても異常転写を発生せず、テカリの現象を十分改善した高速プリンタに対応できる感熱転写記録媒体が見出されていないのが状況である。
【0018】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、高速印画時における転写感度が高く、すなわち、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下に保存後においても、印画における異常転写を防止でき、しかも、高濃度部で発生する画質不良、すなわち、被転写体の受像層が感熱転写記録媒体に融着することで色相変動が起こり、その結果、印画物表面が部分的にマット化する、いわゆる「テカリ」の現象を少なくすることができる感熱転写記録媒体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
【0020】
第1の発明は、感熱転写記録媒体である。当該感熱転写記録媒体は、基材と、耐熱滑性層と、下引き層と、染料層とを備える。また、基材の一方の面には耐熱滑性層が形成され、基材の他方の面には下引き層が形成されている。また、下引き層上には染料層が形成されている。なお、下引き層は、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを少なくとも含んでいる。染料層は、離型剤が添加されている。染料層は、バインダー樹脂を含んでいる。バインダー樹脂は、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂と多価イソシアネーとの反応物で少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0021】
第2の発明は、上記第1の発明において、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との配合比率は、重量基準で、(ポリビニルアルコール)/(ニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体)=7/3〜3/7であることを特徴とする。
【0022】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、下引き層の乾燥後の塗布量、つまり基材上に下引き層形成用の塗布液を塗布し乾燥した後に残った固形分量は、0.10g/m2以上0.30g/m2以下の範囲内であることを特徴とする。
【0023】
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1の発明において、離型剤は、分子量8000以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルおよび分子量3000以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルの少なくとも2種の変性シリコーンオイルからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の感熱転写記録媒体によれば、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、高温・高湿下に保存後においても、印画における異常転写を防止でき、いわゆる「テカリ」の現象の少ない、十分に満足できる印画物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る感熱転写記録媒体の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る感熱転写記録媒体について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る感熱転写記録媒体の側断面図である。
【0027】
図1に示すように、基材(10)の一方の面にサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層(40)が設けられている。また、基材(10)の他方の面は、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを含む下引き層(20)、染料層(30)を順次形成した構成となっている。
【0028】
上記基材(10)としては、熱転写における熱圧で軟化変形しない耐熱性と強度とが要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、アセテート、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、芳香族ポリアミド、アラミド、ポリスチレン等の合成樹脂のフィルム、およびコンデンサー紙、パラフィン紙などの紙類等を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。中でも、物性面、加工性、コスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0029】
また、上記基材(10)の厚さは、操作性、加工性を考慮し、2μm以上50μm以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適性や加工性等のハンドリング性を考慮すると、2μm以上9μm以下程度のものが好ましい。
【0030】
さらに、上記基材(10)においては、後述する耐熱滑性層(40)または/および後述する下引き層(20)を形成する面に、接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、例えば、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、それらの処理を二種以上併用することもできる。また、本実施形態では、基材(10)と下引き層(20)との接着性を高めることが有効であり、コスト面からもプライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。
【0031】
次に、上記耐熱滑性層(40)は、従来公知のもので対応でき、例えば、バインダーとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して耐熱滑性層(40)形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層(40)の乾燥後の塗布量は、0.1g/m2以上2.0g/m2以下程度が適当である。
【0032】
ここで、上記耐熱滑性層(40)の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層(40)形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいい、後述する下引き層(20)の乾燥後の塗布量および染料層(30)の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。
【0033】
なお、耐熱滑性層(40)の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0034】
また、機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0035】
そして、充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0036】
さらに、硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、およびその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0037】
次に、上記下引き層(20)は、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを含む。具体的には、上記下引き層(20)は、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを配合して下引き層(20)形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。
【0038】
なお、上記下引き層(20)において、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とは必須成分であり、特に、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とが、下引き層(20)の主成分であることが好ましい。
【0039】
ここで、上記主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との他に、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表す。つまり、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との合計が、下引き層(20)形成時の全体からみて50質量%超で含まれる意味であるが、好ましくは80質量%以上である。
【0040】
上記ポリビニルアルコールは、一般にポリ酢酸ビニルを、けん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化ポリビニルアルコールから、酢酸基が数%しか残存していない、いわゆる完全けん化ポリビニルアルコールまでを含むが、これらに特に限定されるものではない。
【0041】
上記ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体は、N−ビニルピロリドン系モノマーとビニル重合性モノマーであるビニルカプロラクタムとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合いずれに限定されるものではない。
【0042】
ここで、N−ビニルピロリドン系モノマーとは、N−ビニルピロリドン(N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等)およびその誘導体をいうものであって、誘導体としては、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドン、N−ビニル−3−ベンジルピロリドン、N−ビニル−3、3、5−トリメチルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。
【0043】
なお、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体は、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン成分との耐熱性、耐湿性が劣る点をビニルカプロラクタム成分が補ったものと考えられ、高温・高湿下に保存後の基材(10)と染料層(30)との接着性が高く、印画における異常転写を防止し、かつ、高速印画時における高濃度部のテカリを少なくする機能を発揮できる。
【0044】
ここで、ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体は、ビニルピロリドンとビニルカプロラクタムの重合割合が、モル比で、(ビニルピロリドン)/(ビニルカプロラクタム)=8/2〜2/8が好ましく、この範囲である場合、上述した機能を十分発揮できる。
【0045】
また、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との配合比率は、質量基準で、(ポリビニルアルコール)/(ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体)=8/2〜2/8であることが好ましい。さらに、高速印画時における転写感度、基材(10)あるいは染料層(30)との密着性を考慮すると、好ましくは7/3〜3/7である。この範囲を満たすことで、高速印画時における転写感度がより高く、よりテカリの少ない高濃度の印画物が得られ、かつ、高温・高湿下に保存後においても印画における異常転写がなく、より十分に満足できる印画物を得ることができる。
【0046】
また、上記下引き層(20)には、上述した性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0047】
なお、下引き層(20)の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、0.10g/m2以上0.30g/m2以下の範囲内であることが好ましい。0.10g/m2未満では、染料層(30)積層時の劣化により、高速印画時における転写感度が不足し、基材(10)あるいは染料層(30)との密着性に問題を抱える不安がある。一方、0.30g/m2超では、感熱転写記録媒体自体の感度低下に影響し、高速印画時における転写感度が不足する不安がある。
【0048】
次に、上記染料層(30)は、従来公知のもので対応でき、例えば、熱移行性染料、バインダー、溶剤などを配合して染料層(30)形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。
【0049】
また、染料層(30)の乾燥後の塗布量は、1.0g/m2程度が適当である。なお、染料層(30)は、1色の単一層で構成したり、色相の異なる染料を含む複数の染料層(30)を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることもできる。
【0050】
なお、上記染料層(30)の熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であれば、特に限定されるわけではなく、例えば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー56、16、30、93、33、ディスパースイエロー201、231、33等を挙げることができる。マゼンタ成分としては、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースバイオレット26、C.I.ソルベントレッド27、あるいはC.I.ソルベントレッド19等を挙げることができる。シアン成分としては、C.I.ディスパースブルー354、C.I.ソルベントブルー63、C.I.ソルベントブルー36、あるいはC.I.ディスパースブルー24等を挙げることができる。墨の染料としては、上記の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。
【0051】
また、上記染料層(30)に含まれるバインダーには、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂と多価イソシアネートとの反応物であることが必須であり、特に、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂が、染料層(30)に含まれるバインダーの主成分であることが好ましい。
【0052】
ここで、上記主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂の他に、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表す。つまり、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂が、染料層(30)に含まれるバインダーの全体からみて50質量%超で含まれる意味であるが、好ましくは80質量%以上である。
【0053】
なお、上記染料層(30)に含まれるバインダー樹脂に他に添加される樹脂としては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができる。
【0054】
上記酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂と反応させる多価イソシアネートとしては従来公知の塗料、接着剤、ポリウレタンの合成に使用されているいずれの多価イソシアネートでも良い。
【0055】
ここで、染料層(30)の染料とバインダー樹脂との配合比率は、質量基準で、(染料)/(バインダー樹脂)=10/100〜300/100が好ましい。これは、(染料)/(バインダー樹脂)の比率が、10/100を下回ると、染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が300/100を越えると、バインダーに対する染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体となった際に、保存安定性が悪くなって、染料が析出し易くなってしまうためである。
【0056】
なお、染料層(30)に離型剤を含有させることで、印画時の染料層(30)と被転写体との間の融着を防止することができる。本発明では少なくとも2種類の変性シリコーンオイルからなる離型剤を含有させている。
【0057】
なお、高エネルギー印加時に効果を発揮する離型剤としては、例えば、分子量8000以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルであることが好ましい。また、低エネルギー印加時に効果を発揮する離型剤としては、例えば、分子量3000以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルであることが好ましい。
【0058】
また、離型剤が高分子量であることや非反応性であることは高いエネルギーで印画を行う際に十分な離型性能を維持する為に有効である、これに対して低分子量であることや反応性であることは表面に局在化しやすい特徴があり、低エネルギーで印画する際でも十分な離型性を得る為に有効であると考えられる。
【0059】
上記離型剤は、染料層(30)のバインダー樹脂に対して、1.0〜7.0質量%の範囲であることが好ましく、特に3.0〜6.0質量%の範囲が好ましい。1.0質量%を下回る場合、印画時の染料層(30)と被転写体との間で融着が生じやすくなり、融着により熱シワが酷くなるため、結果として転写ムラが生じる。一方、7.0質量%を超える場合、被転写体との滑り性は向上するものの、染料の昇華を阻害し、転写ムラや所望の濃度の印画物を得ることができない。
【0060】
また、染料層(30)には、性能を損なわない範囲で、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。
【0061】
なお、上述した耐熱滑性層(40)、下引き層(20)、染料層(30)は、いずれも従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。ここで、塗布方法の一例を挙げると、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。また、乾燥は、一般的に熱風乾燥、加熱乾燥により行われる。その乾燥温度は、70〜130℃の範囲内で適宜選択することができるが、塗布後に塗布液に含まれる溶媒が蒸発すればよく、特に限定されない。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例および比較例に基づき更に説明するが、本発明は以下の説明する実施例によって制限されるものではない。また、以下の説明中、「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0063】
[耐熱滑性層付き基材の作製]
基材(10)として、4.5μmの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に、下記に示す組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が1.0g/m2になるように塗布し、100℃で1分乾燥した後に、40℃環境下で1週間エージングすることで、耐熱滑性層(40)付き基材(10)を得た。
【0064】
<耐熱滑性層塗布液>
アクリルポリオール樹脂 12.5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル 2.5部
タルク 6.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 4.0部
トルエン 50.0部
メチルエチルケトン 20.0部
酢酸エチル 5.0部
【0065】
(実施例1)
上述したようにして作製した耐熱滑性層(40)付き基材(10)の易接着処理面に、下記に示す組成の下引き層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.20g/m2になるように塗布し、100℃で2分乾燥することで、下引き層(20)を形成した。引き続き、その下引き層(20)の上に、下記に示す組成の染料層塗布液−1を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/m2になるように塗布し、90℃で1分乾燥することで、染料層(30)を形成し、実施例1の感熱転写記録媒体を得た。
【0066】
<下引き層塗布液−1>
ポリビニルアルコール 1.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 4.0部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0067】
<染料層塗布液−1>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 1.0部
トルエン 44.9部
メチルエチルケトン 44.9部
側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量1500)
側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量10000)
【0068】
(実施例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を下記に示す組成の下引き層塗布液−2にした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の感熱記録転写媒体を得た。
【0069】
<下引き層塗布液−2>
ポリビニルアルコール 4.0部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.0部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0070】
(実施例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を下記に示す組成の下引き層塗布液−3にした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の感熱記録転写媒体を得た。
【0071】
<下引き層塗布液−3>
ポリビニルアルコール 3.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 1.5部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0072】
(実施例4)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を下記に示す組成の下引き層塗布液−4にした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の感熱記録転写媒体を得た。
【0073】
<下引き層塗布液−4>
ポリビニルアルコール 1.5部
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 3.5部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0074】
(実施例5)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を乾燥後の塗布量が0.05g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例3と同様にして、実施例5の感熱記録転写媒体を得た。
【0075】
(実施例6)
実施例2で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を乾燥後の塗布量が0.35g/m2になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例3と同様にして、実施例6の感熱記録転写媒体を得た。
【0076】
(実施例7)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、染料層(30)を下記に示す組成の染料層塗布液−2にした以外は、実施例2と同様にして、実施例7の感熱記録転写媒体を得た。
【0077】
<染料層塗布液−2>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 1.0部
トルエン 44.9部
メチルエチルケトン 44.9部
側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル 0.2部
【0078】
(比較例1)
耐熱滑性層(40)付き基材(10)の易接着処理面に、下引き層(20)を形成することなく、易接着処理面の上に、実施例1と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が0.70g/m2になるように塗布し、90℃で1分乾燥することで、染料層を形成し、比較例1の感熱転写記録媒体を得た。
【0079】
(比較例2)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を下記に示す組成の下引き層塗布液−5にした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の感熱記録転写媒体を得た。
【0080】
<下引き層塗布液−5>
ポリビニルアルコール 5.0部
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0081】
(比較例3)
実施例1で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層(20)を下記に示す組成の下引き層塗布液−6にした以外は、実施例1と同様にして、比較例3の感熱記録転写媒体を得た。
【0082】
<下引き層塗布液−6>
ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体 5.0部
〔共重合比(モル比):1/1〕
純水 76.0部
イソプロピルアルコール 19.0部
【0083】
(比較例4)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、染料層(30)を下記に示す組成の染料層塗布液−3にした以外は、実施例3と同様にして、比較例4の感熱記録転写媒体を得た。
【0084】
<染料層塗布液−3>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
ポリビニルアセトアセタール樹脂 4.0部
2,6−トリレンジイソシアネートプレポリマー 1.0部
トルエン 44.9部
メチルエチルケトン 44.9部
側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量1500)
側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量10000)
【0085】
(比較例5)
実施例3で作製した感熱転写記録媒体において、染料層(30)を下記に示す組成の染料層塗布液−4にした以外は、実施例3と同様にして、比較例5の感熱記録転写媒体を得た。
【0086】
<染料層塗布液−4>
C.I.ソルベントブルー63 5.0部
酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 5.0部
トルエン 44.9部
メチルエチルケトン 44.9部
側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量1500)
側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル 0.1部
(分子量10000)
【0087】
[被転写体の作製]
基材(10)として、188μmの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記に示す組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が5.0g/m2になるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。
【0088】
<受像層塗布液>
塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 19.5部
アミノ変性シリコーンオイル 0.5部
トルエン 40.0部
メチルエチルケトン 40.0部
【0089】
[常温における染料層の密着性評価]
実施例1〜7、比較例1〜5の感熱転写記録媒体に関して、常温にて保存された感熱転写記録媒体の染料層(30)の上に、幅18mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層(30)の付着の有無を調べることにより常温における染料層(30)の密着性を評価した。結果を、表1に示す。
【0090】
なお、評価は以下の基準にて行った。
○:染料層の付着が、認められない
△:染料層の付着が、僅かに認められる
×:染料層の付着が、全面で認められる
【0091】
[高温・高湿保存後における染料層の密着性評価]
実施例1〜7、比較例1〜5の感熱転写記録媒体に関して、40℃で90%RH環境下に72時間保存した後、常温にて、さらに24時間保存した感熱転写記録媒体の染料層(30)の上に、幅18mm、長さ150mmのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層(30)の付着の有無を調べることにより高温・高湿保存後における料層の密着性を評価した。その結果を、表1に示す。なお、評価は、上記の常温における評価と同基準にて行った。
【0092】
[印画評価]
実施例1〜7、比較例1〜5の感熱転写記録媒体に関して、常温にて保存した感熱転写記録媒体、および40℃で90%RH環境下に72時間保存した後、常温にて、さらに24時間保存した感熱転写記録媒体と被転写体とを使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度、異常転写の有無、感熱転写記録媒体と被転写体との密着性、およびテカリを評価した。その結果を、表1に示す。また、最高反射濃度は、テカリの確認されない印画部を、X−Rite528にて測定した値である。
なお、印画条件は以下の通りである。
印画環境:23℃50%RH
印加電圧:29V
ライン周期:0.7msec
印画密度:主走査300dpi 副走査300dpi
【0093】
[異常転写評価]
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。
○:被転写体への異常転写が、認められない
△:被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×:被転写体への異常転写が、全面で認められる
【0094】
[テカリ評価]
また、テカリの評価は、以下の基準にて行った。
○:テカリが、認められない
△:テカリが、部分的に認められる
×:テカリが、はっきりと認められる
【0095】
【表1】

【0096】
表1に示す結果から、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを主成分として含む塗布液を塗布、乾燥して形成された下引き層(20)が設けられた実施例1〜7の感熱転写記録媒体は、下引き層(20)が設けられていない比較例1の感熱転写記録媒体と比較して、明らかに高速印画時における転写感度が高いことがわかった。
【0097】
また、常温保存および高温・高湿保存における染料層(30)の密着性および印画における異常転写、さらに高濃度部で発生するテカリも実用上問題ないことがわかった。その中で、実施例1および実施例2の感熱記録媒体と、実施例3および4の感熱転写記録媒体は、常温保存および高温・高湿保存におけるテカリの結果や高温・高湿保存後の密着性から、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との含有割合は、固形分質量比で、ポリビニルアルコール/ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体=7/3〜3/7であることがより好ましいことがわかった。
【0098】
また、実施例5の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較すると、下引き層(20)の塗布量が0.10g/m2未満であるため、幾分高温・高湿保存後の密着性が低下し、さらにテカリも幾分効果が低下していることがわかった。
【0099】
また、実施例6の感熱転写記録媒体は、同じく実施例3の感熱転写記録媒体と比較すると、下引き層(20)の塗布量が0.30g/m2超であるため、転写感度の効果が低下していることがわかった。
【0100】
また、実施例7の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較すると、離型剤が2種類の変性シリコーンオイルの組み合わせではない為、印画後の熱転写記録媒体と被転写体の密着性が強いことがわかった。
【0101】
これに対して、比較例2の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較して、下引き層(20)をポリビニルアルコールのみで設けた結果、高温・高湿保存における染料層(30)の密着性に問題を抱えると同時に、テカリの問題を抱えることがわかった。
【0102】
また、比較例3の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較して、下引き層(20)をビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体のみで設けた結果、比較例2の感熱転写記録媒体で確認される高温・高湿保存における染料層(30)の密着性、テカリに関して幾分改善は確認されるものの、十分とは言えず、最高反射濃度も幾分劣ることがわかった。
【0103】
また、比較例4の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較して、染料層(30)のバインダーを酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂からポリビニルアセトアセタール樹脂に変更した結果、常温保存および高温・高湿保存における染料層(30)の密着性および印画における異常転写が悪化傾向に向かうことがわかった。
【0104】
また、比較例5の感熱転写記録媒体は、実施例3の感熱転写記録媒体と比較して、染料層(30)から硬化剤を除いた結果、比較例4の感熱転写記録媒体と同じ問題を抱えることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明により得られる感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。
【符号の説明】
【0106】
10・・・基材
20・・・下引き層
30・・・染料層
40・・・耐熱滑性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱転写記録媒体であって、
基材と、
耐熱滑性層と、
下引き層と、
染料層とを備え、
前記基材の一方の面には前記耐熱滑性層が形成され、
前記基材の他方の面には前記下引き層が形成され、
前記下引き層上には染料層が形成され、
前記下引き層は、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体とを少なくとも含んでおり、
前記染料層は、離型剤が添加されており、
前記染料層は、バインダー樹脂を含み、
前記バインダー樹脂は、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂と多価イソシアネーとの反応物で少なくとも構成されていることを特徴とする、感熱転写記録媒体。
【請求項2】
前記ポリビニルアルコールと前記ビニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体との配合比率は、重量基準で、(ポリビニルアルコール)/(ニルピロリドン−ビニルカプロラクタム共重合体)=7/3〜3/7であることを特徴とする、請求項1記載の感熱転写記録媒体。
【請求項3】
前記基材上に下引き層形成用の塗布液を塗布し乾燥した後に残った固形分量は、0.10g/m2以上0.30g/m2以下の範囲内であることを特徴とする、請求項1または2記載の感熱転写記録媒体。
【請求項4】
前記離型剤は、分子量8000以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルおよび分子量3000以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルの少なくとも2種の変性シリコーンオイルからなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1に記載の感熱転写記録媒体。

【図1】
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【公開番号】特開2012−200904(P2012−200904A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64964(P2011−64964)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】