感知装置
【課題】感知対象物を簡便に精度高く感知できる感知装置を提供すること。
【解決手段】水晶振動子4を発振させながら吸着層46に試料液を供給して試料液中の感知対象物を吸着させ、吸着時間が経過した時の水晶振動子4の発振周波数の変化量に基づいて感知対象物を感知するにあたって、吸着層46に試料液を供給する前に、水晶振動子4を発振させて所定の測定間隔例えば1秒毎に水晶振動子4の発振周波数を測定し、この測定結果が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された周波数許容値以下となるまで水晶振動子4の発振周波数を安定化させる。
【解決手段】水晶振動子4を発振させながら吸着層46に試料液を供給して試料液中の感知対象物を吸着させ、吸着時間が経過した時の水晶振動子4の発振周波数の変化量に基づいて感知対象物を感知するにあたって、吸着層46に試料液を供給する前に、水晶振動子4を発振させて所定の測定間隔例えば1秒毎に水晶振動子4の発振周波数を測定し、この測定結果が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された周波数許容値以下となるまで水晶振動子4の発振周波数を安定化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電片に設けられた電極上に形成された吸着層に試料流体中の感知対象物を吸着させ、圧電片の固有振動数の変化に基づいて感知対象物を感知する感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中や気体中の微量物質を感知する装置として、圧電片として主にATカットされた水晶片により構成された圧電振動子である水晶振動子によるQCM(Quarts Crystal Microbalance )を用いた感知装置が知られている。この種の感知装置は、水晶発振回路を構成する前記水晶振動子に微量物質を吸着させ、微量物質の吸着後における発振周波数(共振周波数)と、微量物質の吸着前あるいは微量物質が吸着していない参照用の水晶振動子の発振周波数と、の間における差分を捉えることにより試料流体中の微量物質の有無や濃度を感知している。微量物質としては、例えば大気中の環境汚染物質であるダイオキシンや、血液あるいは血清中の特定の抗原等であり、感知装置はこれらを極低濃度、例えばppb〜pptレベルにて感知する。
このような感知装置は、例えば上記の圧電片の表面に当該圧電片を発振させるための励振電極を形成し、更にこの励振電極上に微量物質を吸着する吸着層例えば抗体などを積層して構成される。そして、上記のように微量物質を吸着させて水晶振動子の発振周波数を測定して、例えば予め求めておいた検量線やしきい値に基づいて試料流体中の微量物質の有無や濃度が算出される。
【0003】
ところで、圧電片は発振を開始してから発振か安定するまでに時間を要し、特に液相中で発振させる場合には安定するまでの時間が長い。また、圧電片が気相中で安定して発振している状態で液相中に置かれた場合にも安定するまでに長い時間を要する。従って、微量物質を感知するにあたって、例えば吸着層に試料流体を供給する前に、圧電片の発振周波数が所定の値に安定化するまで待機する待機時間を設けておき、この待機時間が経過した後で感知対象物の感知(測定)を開始する必要がある。しかし、発振周波数が安定したかどうかを判断するのは極めて困難であり、微量物質を短時間で精度高く検出するためには例えば作業者の経験や判断が必要となっている。即ち、圧電片の発振周波数が落ち着く前に測定を開始してしまうと、微量物質の検出精度が悪くなってしまうし、必要以上に長い待機時間を設けた場合には、測定に要する時間が長くなってしまう。更に、上記の試料流体が液体の場合には、測定前に例えば緩衝液などの液体を圧電片に供給して発振周波数を安定化させることになるが、液体では圧電片の発振周波数が落ち着くまでには気体の場合よりも長い時間が必要となるので、圧電片の発振周波数が落ち着いたかどうかを見極めるのは一層困難である。
特許文献1、2には、水晶振動子を用いたセンサやシステムが記載されているが、上記の課題については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−183479
【特許文献2】特表2005−530177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、感知対象物を簡便に精度高く感知できる感知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の感知装置は、
圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知する装置において、
前記圧電片を発振させるための発振回路と、
この発振回路の発振周波数を測定する周波数測定部と、
この周波数測定部で測定された周波数を予め設定された時間間隔でサンプリングして周波数の時系列データを取得するデータ取得部と、
試料液を圧電センサーに供給したときに周波数の変化分を測定するために予め設定した測定時間を記憶する記憶部と、
前記吸着層に吸着される物質を含まない参照液を圧電センサーに供給したときに周波数の各サンプリングのタイミングを夫々始点とする、前記測定時間に相当する長さのサンプリング区間の群について、順次サンプリング区間毎に周波数安定度を算出し、算出された周波数安定度が測定感度に対応する許容値以下になったときに試料液の供給許可信号を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記周波数安定度は、例えば以下の式で表される。
周波数安定度
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
測定感度を選択することにより、測定感度に対応する許容値を求める許容値取得部備えていても良い。
【0008】
本発明の具体的構成としては、前記圧電センサーに対して試料液を供給する試料液供給部と、
前記圧電センサーに対して参照液を供給する参照液供給部と、
前記圧電センサーに供給された試料液及び参照液を排出する排出部と、を備え、
前記周波数安定度の算出及び前記試料液中の感知対象物の感知は、前記圧電センサーが置かれる雰囲気に夫々参照液及び試料液を流しながら行われる例を挙げることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知するにあたって、吸着層に試料流体を供給する前に参照液を供給して前記圧電片の発振周波数を予め設定された測定間隔で測定し、この測定結果が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された許容値以下となるまで圧電片の発振周波数を安定化させているので、感知対象物を簡便に精度高く感知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の感知装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】上記感知装置のセンサーユニットの一例を示す斜視図である。
【図3】上記のセンサーユニットを示す分解斜視図である。
【図4】上記のセンサーユニットに用いられる水晶振動子の一例を示す平面図である。
【図5】上記の水晶振動子を示す縦断面図である。
【図6】上記のセンサーユニットに用いられる流路形成部材を示す斜視図である。
【図7】上記のセンサーユニットを示す縦断面図である。
【図8】上記のセンサーユニットに緩衝液や試料液が供給される様子を示す模式図である。
【図9】感知装置における測定部10を示す概略図である。
【図10】上記の感知装置にて試料流体を感知する時に得られる特性を示す特性図である。
【図11】上記の測定部にて行われる計算に用いられる許容値の一例を示す模式図である。
【図12】測定部にて得られる周波数データを示す模式図である。
【図13】上記の感知装置の制御部において行われる計算方法の一例を示す模式図である。
【図14】上記の感知装置において感知対象物を感知する時のフローを示す概略図である。
【図15】上記の感知装置にて感知対象物が感知される様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の感知装置の実施の形態は、図1に示すように、センサーユニット2と、このセンサーユニット2に液体(試料液や緩衝液)を供給する液供給系1と、センサーユニット2から排出される液体を貯留する液排出系90と、センサーユニット2に取り付けられた圧電センサーである水晶センサー7を駆動し、また得られた発振出力を処理する周波数測定部10と、を備えている。図2及び図3に示すように、センサーユニット2は、支持体21、封止部材30、配線基板3、水晶振動子4、流路形成部材5及び上部カバー24が下側からこの順番で積層されて構成されている。
【0012】
水晶センサー7は、配線基板3上に圧電振動子である水晶振動子4を設けて構成されている。この水晶振動子4は、例えば図4に示すように、圧電片である円板状の水晶片41の両面に励振電極42、43を設けて構成されるが、この例では裏面側に第1の励振電極43A及び第2の励振電極43Bを互いに離間して配置すると共に、表面側に前記2つの励振電極43A、43Bに対する共通の励振電極(共通電極)42を配置している。従って、図5に示すように、第1の励振電極43A及び共通電極42により第1の振動領域4Aが、また第2の励振電極43B及び共通電極42により第2の振動領域4Bが形成されることになる。第1の励振電極43A及び第2の励振電極43Bは、水晶センサー7をセンサーユニット2に装着した時に、配線基板3の導電路32、34を介して、測定部10に設けられた後述の2つの発振回路6A、6Bに夫々接続されると共に、共通電極42は配線基板3の導電路33を介して発振回路6A、6Bのアース側に接続されることになる。上記の配線基板3の端部領域には、各導電路32〜34と夫々接続される接続端子35〜37が形成されている。
【0013】
水晶振動子4は、図3及び図7に示すように、配線基板3に形成された貫通孔31を塞ぐように装着されており、水晶センサー7は、この図7に示すように、図6に示す弾性体からなる流路形成部材5と、支持体21と、により夫々表面側及び裏面側が押しつけられた状態でセンサーユニット2に取り付けられる。
そして、水晶センサー7の共通電極42における第1の励振電極43Aに対応する領域には、図5に示すように、感知対象物である例えば抗原を吸着するための抗体からなる吸着層(反応物質)46が形成されている。従って、上記の吸着層46に例えば試料液中の感知対象物が吸着すると、第1の振動領域4Aにおける発振周波数が質量負荷効果により低下し、一方第2の振動領域4Bでは共通電極42に感知対象物が吸着しないので、感知対象物の吸着前後における各領域4A、4Bの発振周波数を比べることにより、センサーユニット2の周囲の温度、試料液の粘度、試料液中に含まれる感知対象物以外の物質の付着などの外乱の影響を抑えて吸着層46に吸着した感知対象物の量に対応する発振周波数の変化(低下分)を感知できることになる。
【0014】
図2、図3及び図7中26は液体供給管、27は排出手段である液体排出管であり、液体供給管26から供給される液体が流路形成部材5と水晶振動子4との間の流路である液体供給領域53を通って液体排出管27から排出されるように構成されている。また、図1に示すように、液供給系1は、水晶センサー7に対して参照液としての緩衝液及び試料液を夫々供給する緩衝液供給部91及び試料液供給部92によって構成されている。緩衝液供給部91は、緩衝液例えばリン酸バッファを貯留する緩衝液貯留部93と、例えばシリンジポンプなどの緩衝液保持部94と、例えば三方バルブなどからなる第1バルブ95と、を備えており、緩衝液保持部94により緩衝液貯留部93から一旦緩衝液を吸引して保持し、次いで図8(a)に示すように、第1バルブ95の流路を切り替えて緩衝液保持部94から水晶センサー7に向けて緩衝液を供給できるように構成されている。
【0015】
試料液供給部92は、試料液例えば血液や血清を貯留する試料液貯留部96と、例えば六方バルブなどからなる第2バルブ97と、を備えており、図8(b)に示すように、第2バルブ97に設けられたカラム98内に試料液貯留部96の試料液を充填し、次いで同図(c)に示すように、第2バルブ97の流路を切り替えて緩衝液によりカラム98内の試料液を押し出して水晶センサー7に向けて供給できるように構成されている。図1中91a、99は、夫々第1バルブ95から第2バルブ97を介して水晶センサー7に向けて伸びる緩衝液供給路及び液排出系90をなす廃液部であり、水晶センサー7に緩衝液を供給する時には緩衝液がカラム98を介さずに第2バルブ97を通流し、またカラム98から溢れた余分な試料液を廃液部99へと廃棄するように構成されている。
【0016】
次に、測定部10について図9を参照して説明する。この図9中6Aは水晶振動子4の第1の振動領域4Aを発振させるための第1の発振回路、6Bは水晶振動子4の第2の振動領域4Bを発振させるための第2の発振回路であり、これらの発振出力(周波数信号)は、スイッチ部80により交互に測定部10に取り込まれるように構成されている。測定部10は、公知の回路である周波数カウンターにより周波数を検出するものであっても良いが、例えば特開2006−258787号に記載されているように、周波数信号をA/D変換し、キャリアムーブにより処理して前記周波数信号の周波数で回転する回転ベクトルを生成し、この回転ベクトルの速度を求めるといった手法を利用したものであっても良く、このようなディジタル処理による測定部を利用した方が周波数の検出精度が高いので好ましい。
【0017】
こうして得られた周波数信号は、プログラム(プログラム格納部に格納されているが、プログラムとして図示する)11により例えば1sec毎にサンプリングされて、時系列データ12として記憶部13に記憶される。ここで図9中15、18は夫々コンピュータからなる制御部及びバスであり、前記プログラム11、記憶部13、CPU14、例えば作業者が後述の測定時間や周波数許容値などを入力する入力手段16及び周波数や感知対象物の測定結果が表示される表示部17などを備えている。記憶部13には、測定時間及び周波数許容値が記憶される。
【0018】
測定時間とは、試料液を水晶センサー7に供給した時に試料液中の感知対象物が水晶センサー7に吸着したことによる周波数の変化分(低下分)を取得するために必要な時間である。図10に示すように、試料液を水晶センサー7に供給した時に周波数が低下して安定するまでの時間は感知対象物の濃度に応じて変わるが、この装置では測定時間は、例えばカラム98内の試料液が水晶センサー7内を通過する時間(例えば5分)に相当する。そして、例えば一律にこの時間が経過した後の所定の時点の第1の振動領域4Aの周波数を、あるいは周波数の低下曲線の傾きが所定の値よりも小さくなった時の第1の振動領域4Aの周波数を、試料液中の感知対象物の濃度に対応する量の感知対象物が水晶センサー7(吸着層46)に吸着した時の周波数として評価している。また、試料液中の感知対象物の濃度と周波数の低下分との対応関係を表す検量線を作成する場合に、つまり既知の濃度の試料液に対して感知対象物の感知を行って感知対象物の濃度に対応する周波数の低下量を測定する場合に、周波数が低下して安定するまでに要する安定時間がカラム98内の試料液の前記通過時間よりも短いことが予め分かっていて、安定時間が経過した時点でサンプリングを終了してこの時の周波数を感知対象物の吸着後の周波数として用いる時には、当該安定時間が測定時間となる。
【0019】
また、周波数許容値とは、周波数が安定したかどうかを判断する時に、後述のように周波数の安定化の指標となる値(σ2(τ))が安定化に相当する十分小さな値になったか否かを判定するためのしきい値である。この周波数許容値は、例えば図11に示すように、設定された測定感度(分解能)に応じて変わってくるものであり、例えば水晶振動子4の発振周波数が30MHzの場合において、例えば測定感度が5Hzの時に測定時間において許容されるノイズ(誤差範囲)は例えば0.5Hz(30MHzの水晶センサーの場合、0.0167ppm)に設定され、この誤差範囲に対応するσ2(τ)の許容値は1.67×10−8 (0.0167ppm)以下となる。ここで、この図11に示すような測定感度に対応する周波数許容値のテーブルを記憶部13に格納しておき、作業者が入力あるいは選択した測定感度に基づいてプログラム11がこのテーブルから周波数許容値を取得するようにしても良い。あるいは、測定感度に対するノイズの割合(この例では0.1)を予め記憶部に記憶させ、測定感度が選択されたときに測定感度にノイズの割合を掛け算して許容されるノイズ(誤差範囲)を求めても良い。
【0020】
前記プログラム11は、時系列データ12のサンプリングを行うためのステップ群の他に、各バルブ95、97の切り替えシーケンスを行うステップ群、前記時系列データ12に基づいて試料液を水晶センサー7に供給した時の既述の周波数の低下分を求めるためのステップ群を含んでいる。更にこのプログラム11は、緩衝液を水晶センサー7に供給している時に周波数の安定化を判断するためのステップ群を備えている。以下にこの周波数の安定化の判断について述べると、水晶振動子4の発振周波数が安定したかどうかは、例えば以下の式(1)のAllan Deviationの式に基づいて計算される。
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
【0021】
この式(1)中ykは各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、mは各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)であり、この例では水晶センサー7に緩衝液を供給してサンプリングを開始してから例えば1秒毎に発振周波数の差(yk+1−yk)が計算され、この発振周波数の差を2乗した値を測定時間が経過するまで(m個の周波数を取得するまで)加算して2mで割った結果である測定結果σ2が算出される。そして、図12に示すように、サンプリングを開始して測定時間が経過した後1秒毎にこの測定結果σ2が更新され、つまり1秒毎に新たにサンプリングの始点が設定され、順次サンプリング区間毎にσ2(t1)、σ2(t2)、σ2(t3)、σ2(tj)、σ2(tj+1)、が取得されていくことになる。こうして図13に示すように、サンプリングを開始してから時間の経過と共に発振周波数が安定していくにつれて上記の測定結果σ2が所定の値に小さくなっていくので、上記のプログラム11は、この測定結果σ2(詳しくは以下に説明するように標準偏差σ)が既述の周波数許容値よりも小さくなった時に周波数が安定化したと判断し、試料液の供給許可信号を出力して既述の第2バルブ97を緩衝液側から試料液側に切り替えて試料液の供給を開始することとなる。この例ではプログラム11のステップ群の一部が、試料液の供給許可信号を出力する出力部に相当する。
【0022】
ここで、上記の(1)式において、σが誤差を指す平均値となるため、上記のように測定感度が例えば5Hzの場合のノイズ(誤差)の許容値を0.5Hzと定義すると、分散となるσについて、σ≒0.5と広義に解釈できることになる。即ち上記の(1)式では標準偏差(σ)が用いられているので、この標準偏差を測定感度における許容値として取り扱っている。このような周波数の安定化の判断は、例えば第1の振動領域4Aの発振周波数について、または第1の振動領域4A及び第2の振動領域4Bの双方の発振周波数について行われる。尚、図12では模式的にサンプリング区間を9秒として描画しており、また緩衝液を供給する前に水晶振動子4の発振を開始した時点をt0として示している。
【0023】
次に、感知装置の作用について、図14を参照して説明する。先ず、センサーユニット2内に水晶振動子4を収納し、このセンサーユニット2を図2に示すように気密に一体化すると共に、配線基板3に形成された接続端子35〜37を介して振動領域4A、4Bと発振回路6A、6Bとを夫々電気的に接続する。そして、例えば作業者は、測定を行う試料液に応じて、測定時間(カラム98内に貯留される試料液の量)と、周波数許容値または測定感度と、を入力(選択)する(ステップS1)。測定感度を入力する場合には、予め測定感度に対するノイズの割合(上記の例では0.1)が記憶部に記憶され、測定感度にこの比率が掛けられて許容値が求まる。
【0024】
次いで、各発振回路6A、6Bにより所定の周波数例えば30MHzで水晶振動子4(振動領域4A、4B)の発振を開始すると共に、緩衝液供給部91からバルブ95、97を介して緩衝液を液体供給領域53に供給する(ステップS2)。各振動領域4A、4Bの発振周波数は、測定部10において各々サンプリングされ、緩衝液が供給されると所定の値に低下していく。この時の水晶振動子4の発振周波数は、発振直後には発振状態が不安定であることから図10に示すように上下に変動し、その後時間の経過と共に安定化していくことになる。そして、既述の図13に示したように、周波数安定化プログラム14により、感知対象物の測定を行う測定時間と同じ時間に亘って標準偏差σが上記の周波数許容値以下に安定しているかどうか判断され(ステップS3)、水晶振動子4の発振周波数が安定化するまで感知対象物の測定が行われず、いわば待機時間が設けられることになる。そして、周波数が安定化したと判断される(ステップS4)と、以下のように感知対象物の感知が開始される。
【0025】
続いて、予め第2バルブ97のカラム98内に試料液を供給しておき、水晶振動子4を発振させたまま、第2バルブ97の流路を切り替えて、緩衝液供給部91からカラム98に対して緩衝液を供給する(ステップS5)。カラム98内の試料液は、緩衝液により押し出されて、液体供給領域53に供給される。そして、図15(a)に示す水晶振動子4の吸着層46に感知対象物が接触すると、同図(b)に示すように、例えば抗原抗体反応や化学反応などにより吸着層46に感知対象物が吸着して、水晶振動子4(振動領域4A)の発振周波数が質量負荷効果により低下していき、この周波数データが取得される(ステップS6)。その後、測定時間に亘って試料液を液体供給領域53に供給することにより、既述の図10に示すように、吸着層46には試料液中の感知対象物の濃度に応じた量の感知対象物が吸着し、水晶振動子4(振動領域4A)の発振周波数が所定の値に低下することになる。この時得られる周波数データは、例えば予め設定されていた測定感度例えば5Hzの単位で測定されることになり、また測定時間における誤差範囲(ノイズ)は0.5Hz以下に抑えられる。その後、測定時間が経過すると、液体供給領域53に供給される溶液が試料液から緩衝液に切り替わることになる。なおこの例ではカラム内の試料液が水晶振動子4に供給される直前の周波数(緩衝液の状態である周波数)と、当該試料が水晶振動子4を通過して、当該試料液を押し出している緩衝液に切り替った直後の周波数と、の差分を求めている。このため測定時間は試料液が水晶振動子4に到達する直前から、通過した直後の時点までということになる。
【0026】
その後、ステップS7では、緩衝液を水晶センサー7に供給して周波数が安定化したと判断された時点の周波数と、測定時間が経過して所定の時間が経過した時あるいは周波数の低下曲線の傾きが所定の値となった時の周波数と、の差分を求める。即ち、水晶振動子4の第1の振動領域4A(検出領域)における周波数の差分と、水晶振動子4の第2の振動領域4B(参照領域)における周波数の差分と、が求められる。第2の振動領域4Bの周波数の差分は既述のように温度変化や試料液の粘度、あるいは試料液中に含まれる感知対象物以外の物質の付着などの外乱によるものであることから、第1の振動領域4Aの差分から第2の振動領域4Bの差分を差し引いて、外乱による周波数の変動分を補償した、感知対象物の吸着だけに起因する周波数の差分が得られる。この値は例えば既述の検量線の作成に用いられ、あるいは予め作成されていた検量線に照らし合わせて試料液中の感知対象物の濃度あるいは有無として評価される。
【0027】
上述の実施の形態によれば、水晶振動子4を発振させながら吸着層46に試料液を供給して試料液中の感知対象物を吸着させ、水晶振動子4の発振周波数の変化量に基づいて感知対象物を感知するにあたって、吸着層46に試料液を供給する前に、緩衝液を供給して所定の測定間隔例えば1秒毎に水晶振動子4の発振周波数を測定し、この測定結果σ2(τ)が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された周波数許容値以下となるまで水晶振動子4の発振周波数を安定化させているので、感知対象物を簡便に精度高く感知できる。
また、発振周波数の安定化を判断するにあたり、既述のようにAllan Deviationの式を用いていることから、容易に且つ確実に周波数の安定化を判断することができる。
【0028】
更に、感知対象物を感知するにあたり、試料液を供給しながら発振周波数を測定することにより、感知対象物の濃度に応じた周波数の低下分を正確に算出することができるので、感知対象物を正確に感知できるし、また1つの水晶振動子4上に2つの振動領域4A、4Bを設けておき、一方の振動領域4Aを測定用、他方の振動領域4Bを参照用としていることから、センサーユニット2の周囲の温度などの影響を抑えているので、感知対象物を高い精度で感知できる。
【0029】
上記の例では、2つの振動領域4A、4Bを設けてセンサーユニット2の周囲の温度などの影響を抑えるようにしたが、1つの振動領域だけを設けるようにしても良い。また、緩衝液や試料液を供給しながら発振周波数を測定したが、励振電極43A、43B上にこれらの緩衝液や試料液を滴下していわば閉鎖系において測定しても良い。
以上において緩衝液は参照液の一例である。参照液は、圧電センサーの吸着層に吸着される物質を含まない液であることが必要であり、例えば純水などを用いてもよい。試料液として血液や血清を用いる場合には、緩衝液であることが好ましいが、河川などの環境水中の汚染物質を感知対象物として調べる場合には、参照液として純水が好ましい。
更に、既述のように測定部10により感知対象物の有無や濃度を算出したが、例えば各振動領域4A、4Bにおいて得られた発振周波数を表示部17に表示させ、作業者が表示部17の表示を読み取り、この読み取った結果と既述の検量線やしきい値とを比較して感知対象物の有無や濃度を求めても良い。また、周波数が安定化した後緩衝液から試料液への切り替えを測定部10(制御部15)により行うようにしたが、例えば表示部17に周波数が安定したかどうかを表示して、この表示に基づいて作業者が第2バルブ97を切り替えるようにしても良い。
【0030】
更に、液体である試料液を用いて、水晶振動子4の発振周波数を安定化させる時には液体の緩衝液を液体供給領域53に供給したが、気体中の感知対象物を感知する場合例えば気体中のダイオキシンやアルコールなどの感知にセンサーユニット2を用いても良い。その場合には、水晶振動子4の発振周波数を安定化させる時には、緩衝液に代えて例えば清浄な気体が用いられる。
【符号の説明】
【0031】
1 液供給系
2 センサーユニット
4 水晶振動子
4A、4B 振動領域
7 水晶センサー
10 測定部
41 水晶片
42 励振電極
43 励振電極
46 吸着層
90 液排出系
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電片に設けられた電極上に形成された吸着層に試料流体中の感知対象物を吸着させ、圧電片の固有振動数の変化に基づいて感知対象物を感知する感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液中や気体中の微量物質を感知する装置として、圧電片として主にATカットされた水晶片により構成された圧電振動子である水晶振動子によるQCM(Quarts Crystal Microbalance )を用いた感知装置が知られている。この種の感知装置は、水晶発振回路を構成する前記水晶振動子に微量物質を吸着させ、微量物質の吸着後における発振周波数(共振周波数)と、微量物質の吸着前あるいは微量物質が吸着していない参照用の水晶振動子の発振周波数と、の間における差分を捉えることにより試料流体中の微量物質の有無や濃度を感知している。微量物質としては、例えば大気中の環境汚染物質であるダイオキシンや、血液あるいは血清中の特定の抗原等であり、感知装置はこれらを極低濃度、例えばppb〜pptレベルにて感知する。
このような感知装置は、例えば上記の圧電片の表面に当該圧電片を発振させるための励振電極を形成し、更にこの励振電極上に微量物質を吸着する吸着層例えば抗体などを積層して構成される。そして、上記のように微量物質を吸着させて水晶振動子の発振周波数を測定して、例えば予め求めておいた検量線やしきい値に基づいて試料流体中の微量物質の有無や濃度が算出される。
【0003】
ところで、圧電片は発振を開始してから発振か安定するまでに時間を要し、特に液相中で発振させる場合には安定するまでの時間が長い。また、圧電片が気相中で安定して発振している状態で液相中に置かれた場合にも安定するまでに長い時間を要する。従って、微量物質を感知するにあたって、例えば吸着層に試料流体を供給する前に、圧電片の発振周波数が所定の値に安定化するまで待機する待機時間を設けておき、この待機時間が経過した後で感知対象物の感知(測定)を開始する必要がある。しかし、発振周波数が安定したかどうかを判断するのは極めて困難であり、微量物質を短時間で精度高く検出するためには例えば作業者の経験や判断が必要となっている。即ち、圧電片の発振周波数が落ち着く前に測定を開始してしまうと、微量物質の検出精度が悪くなってしまうし、必要以上に長い待機時間を設けた場合には、測定に要する時間が長くなってしまう。更に、上記の試料流体が液体の場合には、測定前に例えば緩衝液などの液体を圧電片に供給して発振周波数を安定化させることになるが、液体では圧電片の発振周波数が落ち着くまでには気体の場合よりも長い時間が必要となるので、圧電片の発振周波数が落ち着いたかどうかを見極めるのは一層困難である。
特許文献1、2には、水晶振動子を用いたセンサやシステムが記載されているが、上記の課題については何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−183479
【特許文献2】特表2005−530177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、感知対象物を簡便に精度高く感知できる感知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の感知装置は、
圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知する装置において、
前記圧電片を発振させるための発振回路と、
この発振回路の発振周波数を測定する周波数測定部と、
この周波数測定部で測定された周波数を予め設定された時間間隔でサンプリングして周波数の時系列データを取得するデータ取得部と、
試料液を圧電センサーに供給したときに周波数の変化分を測定するために予め設定した測定時間を記憶する記憶部と、
前記吸着層に吸着される物質を含まない参照液を圧電センサーに供給したときに周波数の各サンプリングのタイミングを夫々始点とする、前記測定時間に相当する長さのサンプリング区間の群について、順次サンプリング区間毎に周波数安定度を算出し、算出された周波数安定度が測定感度に対応する許容値以下になったときに試料液の供給許可信号を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
前記周波数安定度は、例えば以下の式で表される。
周波数安定度
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
測定感度を選択することにより、測定感度に対応する許容値を求める許容値取得部備えていても良い。
【0008】
本発明の具体的構成としては、前記圧電センサーに対して試料液を供給する試料液供給部と、
前記圧電センサーに対して参照液を供給する参照液供給部と、
前記圧電センサーに供給された試料液及び参照液を排出する排出部と、を備え、
前記周波数安定度の算出及び前記試料液中の感知対象物の感知は、前記圧電センサーが置かれる雰囲気に夫々参照液及び試料液を流しながら行われる例を挙げることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知するにあたって、吸着層に試料流体を供給する前に参照液を供給して前記圧電片の発振周波数を予め設定された測定間隔で測定し、この測定結果が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された許容値以下となるまで圧電片の発振周波数を安定化させているので、感知対象物を簡便に精度高く感知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の感知装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】上記感知装置のセンサーユニットの一例を示す斜視図である。
【図3】上記のセンサーユニットを示す分解斜視図である。
【図4】上記のセンサーユニットに用いられる水晶振動子の一例を示す平面図である。
【図5】上記の水晶振動子を示す縦断面図である。
【図6】上記のセンサーユニットに用いられる流路形成部材を示す斜視図である。
【図7】上記のセンサーユニットを示す縦断面図である。
【図8】上記のセンサーユニットに緩衝液や試料液が供給される様子を示す模式図である。
【図9】感知装置における測定部10を示す概略図である。
【図10】上記の感知装置にて試料流体を感知する時に得られる特性を示す特性図である。
【図11】上記の測定部にて行われる計算に用いられる許容値の一例を示す模式図である。
【図12】測定部にて得られる周波数データを示す模式図である。
【図13】上記の感知装置の制御部において行われる計算方法の一例を示す模式図である。
【図14】上記の感知装置において感知対象物を感知する時のフローを示す概略図である。
【図15】上記の感知装置にて感知対象物が感知される様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の感知装置の実施の形態は、図1に示すように、センサーユニット2と、このセンサーユニット2に液体(試料液や緩衝液)を供給する液供給系1と、センサーユニット2から排出される液体を貯留する液排出系90と、センサーユニット2に取り付けられた圧電センサーである水晶センサー7を駆動し、また得られた発振出力を処理する周波数測定部10と、を備えている。図2及び図3に示すように、センサーユニット2は、支持体21、封止部材30、配線基板3、水晶振動子4、流路形成部材5及び上部カバー24が下側からこの順番で積層されて構成されている。
【0012】
水晶センサー7は、配線基板3上に圧電振動子である水晶振動子4を設けて構成されている。この水晶振動子4は、例えば図4に示すように、圧電片である円板状の水晶片41の両面に励振電極42、43を設けて構成されるが、この例では裏面側に第1の励振電極43A及び第2の励振電極43Bを互いに離間して配置すると共に、表面側に前記2つの励振電極43A、43Bに対する共通の励振電極(共通電極)42を配置している。従って、図5に示すように、第1の励振電極43A及び共通電極42により第1の振動領域4Aが、また第2の励振電極43B及び共通電極42により第2の振動領域4Bが形成されることになる。第1の励振電極43A及び第2の励振電極43Bは、水晶センサー7をセンサーユニット2に装着した時に、配線基板3の導電路32、34を介して、測定部10に設けられた後述の2つの発振回路6A、6Bに夫々接続されると共に、共通電極42は配線基板3の導電路33を介して発振回路6A、6Bのアース側に接続されることになる。上記の配線基板3の端部領域には、各導電路32〜34と夫々接続される接続端子35〜37が形成されている。
【0013】
水晶振動子4は、図3及び図7に示すように、配線基板3に形成された貫通孔31を塞ぐように装着されており、水晶センサー7は、この図7に示すように、図6に示す弾性体からなる流路形成部材5と、支持体21と、により夫々表面側及び裏面側が押しつけられた状態でセンサーユニット2に取り付けられる。
そして、水晶センサー7の共通電極42における第1の励振電極43Aに対応する領域には、図5に示すように、感知対象物である例えば抗原を吸着するための抗体からなる吸着層(反応物質)46が形成されている。従って、上記の吸着層46に例えば試料液中の感知対象物が吸着すると、第1の振動領域4Aにおける発振周波数が質量負荷効果により低下し、一方第2の振動領域4Bでは共通電極42に感知対象物が吸着しないので、感知対象物の吸着前後における各領域4A、4Bの発振周波数を比べることにより、センサーユニット2の周囲の温度、試料液の粘度、試料液中に含まれる感知対象物以外の物質の付着などの外乱の影響を抑えて吸着層46に吸着した感知対象物の量に対応する発振周波数の変化(低下分)を感知できることになる。
【0014】
図2、図3及び図7中26は液体供給管、27は排出手段である液体排出管であり、液体供給管26から供給される液体が流路形成部材5と水晶振動子4との間の流路である液体供給領域53を通って液体排出管27から排出されるように構成されている。また、図1に示すように、液供給系1は、水晶センサー7に対して参照液としての緩衝液及び試料液を夫々供給する緩衝液供給部91及び試料液供給部92によって構成されている。緩衝液供給部91は、緩衝液例えばリン酸バッファを貯留する緩衝液貯留部93と、例えばシリンジポンプなどの緩衝液保持部94と、例えば三方バルブなどからなる第1バルブ95と、を備えており、緩衝液保持部94により緩衝液貯留部93から一旦緩衝液を吸引して保持し、次いで図8(a)に示すように、第1バルブ95の流路を切り替えて緩衝液保持部94から水晶センサー7に向けて緩衝液を供給できるように構成されている。
【0015】
試料液供給部92は、試料液例えば血液や血清を貯留する試料液貯留部96と、例えば六方バルブなどからなる第2バルブ97と、を備えており、図8(b)に示すように、第2バルブ97に設けられたカラム98内に試料液貯留部96の試料液を充填し、次いで同図(c)に示すように、第2バルブ97の流路を切り替えて緩衝液によりカラム98内の試料液を押し出して水晶センサー7に向けて供給できるように構成されている。図1中91a、99は、夫々第1バルブ95から第2バルブ97を介して水晶センサー7に向けて伸びる緩衝液供給路及び液排出系90をなす廃液部であり、水晶センサー7に緩衝液を供給する時には緩衝液がカラム98を介さずに第2バルブ97を通流し、またカラム98から溢れた余分な試料液を廃液部99へと廃棄するように構成されている。
【0016】
次に、測定部10について図9を参照して説明する。この図9中6Aは水晶振動子4の第1の振動領域4Aを発振させるための第1の発振回路、6Bは水晶振動子4の第2の振動領域4Bを発振させるための第2の発振回路であり、これらの発振出力(周波数信号)は、スイッチ部80により交互に測定部10に取り込まれるように構成されている。測定部10は、公知の回路である周波数カウンターにより周波数を検出するものであっても良いが、例えば特開2006−258787号に記載されているように、周波数信号をA/D変換し、キャリアムーブにより処理して前記周波数信号の周波数で回転する回転ベクトルを生成し、この回転ベクトルの速度を求めるといった手法を利用したものであっても良く、このようなディジタル処理による測定部を利用した方が周波数の検出精度が高いので好ましい。
【0017】
こうして得られた周波数信号は、プログラム(プログラム格納部に格納されているが、プログラムとして図示する)11により例えば1sec毎にサンプリングされて、時系列データ12として記憶部13に記憶される。ここで図9中15、18は夫々コンピュータからなる制御部及びバスであり、前記プログラム11、記憶部13、CPU14、例えば作業者が後述の測定時間や周波数許容値などを入力する入力手段16及び周波数や感知対象物の測定結果が表示される表示部17などを備えている。記憶部13には、測定時間及び周波数許容値が記憶される。
【0018】
測定時間とは、試料液を水晶センサー7に供給した時に試料液中の感知対象物が水晶センサー7に吸着したことによる周波数の変化分(低下分)を取得するために必要な時間である。図10に示すように、試料液を水晶センサー7に供給した時に周波数が低下して安定するまでの時間は感知対象物の濃度に応じて変わるが、この装置では測定時間は、例えばカラム98内の試料液が水晶センサー7内を通過する時間(例えば5分)に相当する。そして、例えば一律にこの時間が経過した後の所定の時点の第1の振動領域4Aの周波数を、あるいは周波数の低下曲線の傾きが所定の値よりも小さくなった時の第1の振動領域4Aの周波数を、試料液中の感知対象物の濃度に対応する量の感知対象物が水晶センサー7(吸着層46)に吸着した時の周波数として評価している。また、試料液中の感知対象物の濃度と周波数の低下分との対応関係を表す検量線を作成する場合に、つまり既知の濃度の試料液に対して感知対象物の感知を行って感知対象物の濃度に対応する周波数の低下量を測定する場合に、周波数が低下して安定するまでに要する安定時間がカラム98内の試料液の前記通過時間よりも短いことが予め分かっていて、安定時間が経過した時点でサンプリングを終了してこの時の周波数を感知対象物の吸着後の周波数として用いる時には、当該安定時間が測定時間となる。
【0019】
また、周波数許容値とは、周波数が安定したかどうかを判断する時に、後述のように周波数の安定化の指標となる値(σ2(τ))が安定化に相当する十分小さな値になったか否かを判定するためのしきい値である。この周波数許容値は、例えば図11に示すように、設定された測定感度(分解能)に応じて変わってくるものであり、例えば水晶振動子4の発振周波数が30MHzの場合において、例えば測定感度が5Hzの時に測定時間において許容されるノイズ(誤差範囲)は例えば0.5Hz(30MHzの水晶センサーの場合、0.0167ppm)に設定され、この誤差範囲に対応するσ2(τ)の許容値は1.67×10−8 (0.0167ppm)以下となる。ここで、この図11に示すような測定感度に対応する周波数許容値のテーブルを記憶部13に格納しておき、作業者が入力あるいは選択した測定感度に基づいてプログラム11がこのテーブルから周波数許容値を取得するようにしても良い。あるいは、測定感度に対するノイズの割合(この例では0.1)を予め記憶部に記憶させ、測定感度が選択されたときに測定感度にノイズの割合を掛け算して許容されるノイズ(誤差範囲)を求めても良い。
【0020】
前記プログラム11は、時系列データ12のサンプリングを行うためのステップ群の他に、各バルブ95、97の切り替えシーケンスを行うステップ群、前記時系列データ12に基づいて試料液を水晶センサー7に供給した時の既述の周波数の低下分を求めるためのステップ群を含んでいる。更にこのプログラム11は、緩衝液を水晶センサー7に供給している時に周波数の安定化を判断するためのステップ群を備えている。以下にこの周波数の安定化の判断について述べると、水晶振動子4の発振周波数が安定したかどうかは、例えば以下の式(1)のAllan Deviationの式に基づいて計算される。
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
【0021】
この式(1)中ykは各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、mは各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)であり、この例では水晶センサー7に緩衝液を供給してサンプリングを開始してから例えば1秒毎に発振周波数の差(yk+1−yk)が計算され、この発振周波数の差を2乗した値を測定時間が経過するまで(m個の周波数を取得するまで)加算して2mで割った結果である測定結果σ2が算出される。そして、図12に示すように、サンプリングを開始して測定時間が経過した後1秒毎にこの測定結果σ2が更新され、つまり1秒毎に新たにサンプリングの始点が設定され、順次サンプリング区間毎にσ2(t1)、σ2(t2)、σ2(t3)、σ2(tj)、σ2(tj+1)、が取得されていくことになる。こうして図13に示すように、サンプリングを開始してから時間の経過と共に発振周波数が安定していくにつれて上記の測定結果σ2が所定の値に小さくなっていくので、上記のプログラム11は、この測定結果σ2(詳しくは以下に説明するように標準偏差σ)が既述の周波数許容値よりも小さくなった時に周波数が安定化したと判断し、試料液の供給許可信号を出力して既述の第2バルブ97を緩衝液側から試料液側に切り替えて試料液の供給を開始することとなる。この例ではプログラム11のステップ群の一部が、試料液の供給許可信号を出力する出力部に相当する。
【0022】
ここで、上記の(1)式において、σが誤差を指す平均値となるため、上記のように測定感度が例えば5Hzの場合のノイズ(誤差)の許容値を0.5Hzと定義すると、分散となるσについて、σ≒0.5と広義に解釈できることになる。即ち上記の(1)式では標準偏差(σ)が用いられているので、この標準偏差を測定感度における許容値として取り扱っている。このような周波数の安定化の判断は、例えば第1の振動領域4Aの発振周波数について、または第1の振動領域4A及び第2の振動領域4Bの双方の発振周波数について行われる。尚、図12では模式的にサンプリング区間を9秒として描画しており、また緩衝液を供給する前に水晶振動子4の発振を開始した時点をt0として示している。
【0023】
次に、感知装置の作用について、図14を参照して説明する。先ず、センサーユニット2内に水晶振動子4を収納し、このセンサーユニット2を図2に示すように気密に一体化すると共に、配線基板3に形成された接続端子35〜37を介して振動領域4A、4Bと発振回路6A、6Bとを夫々電気的に接続する。そして、例えば作業者は、測定を行う試料液に応じて、測定時間(カラム98内に貯留される試料液の量)と、周波数許容値または測定感度と、を入力(選択)する(ステップS1)。測定感度を入力する場合には、予め測定感度に対するノイズの割合(上記の例では0.1)が記憶部に記憶され、測定感度にこの比率が掛けられて許容値が求まる。
【0024】
次いで、各発振回路6A、6Bにより所定の周波数例えば30MHzで水晶振動子4(振動領域4A、4B)の発振を開始すると共に、緩衝液供給部91からバルブ95、97を介して緩衝液を液体供給領域53に供給する(ステップS2)。各振動領域4A、4Bの発振周波数は、測定部10において各々サンプリングされ、緩衝液が供給されると所定の値に低下していく。この時の水晶振動子4の発振周波数は、発振直後には発振状態が不安定であることから図10に示すように上下に変動し、その後時間の経過と共に安定化していくことになる。そして、既述の図13に示したように、周波数安定化プログラム14により、感知対象物の測定を行う測定時間と同じ時間に亘って標準偏差σが上記の周波数許容値以下に安定しているかどうか判断され(ステップS3)、水晶振動子4の発振周波数が安定化するまで感知対象物の測定が行われず、いわば待機時間が設けられることになる。そして、周波数が安定化したと判断される(ステップS4)と、以下のように感知対象物の感知が開始される。
【0025】
続いて、予め第2バルブ97のカラム98内に試料液を供給しておき、水晶振動子4を発振させたまま、第2バルブ97の流路を切り替えて、緩衝液供給部91からカラム98に対して緩衝液を供給する(ステップS5)。カラム98内の試料液は、緩衝液により押し出されて、液体供給領域53に供給される。そして、図15(a)に示す水晶振動子4の吸着層46に感知対象物が接触すると、同図(b)に示すように、例えば抗原抗体反応や化学反応などにより吸着層46に感知対象物が吸着して、水晶振動子4(振動領域4A)の発振周波数が質量負荷効果により低下していき、この周波数データが取得される(ステップS6)。その後、測定時間に亘って試料液を液体供給領域53に供給することにより、既述の図10に示すように、吸着層46には試料液中の感知対象物の濃度に応じた量の感知対象物が吸着し、水晶振動子4(振動領域4A)の発振周波数が所定の値に低下することになる。この時得られる周波数データは、例えば予め設定されていた測定感度例えば5Hzの単位で測定されることになり、また測定時間における誤差範囲(ノイズ)は0.5Hz以下に抑えられる。その後、測定時間が経過すると、液体供給領域53に供給される溶液が試料液から緩衝液に切り替わることになる。なおこの例ではカラム内の試料液が水晶振動子4に供給される直前の周波数(緩衝液の状態である周波数)と、当該試料が水晶振動子4を通過して、当該試料液を押し出している緩衝液に切り替った直後の周波数と、の差分を求めている。このため測定時間は試料液が水晶振動子4に到達する直前から、通過した直後の時点までということになる。
【0026】
その後、ステップS7では、緩衝液を水晶センサー7に供給して周波数が安定化したと判断された時点の周波数と、測定時間が経過して所定の時間が経過した時あるいは周波数の低下曲線の傾きが所定の値となった時の周波数と、の差分を求める。即ち、水晶振動子4の第1の振動領域4A(検出領域)における周波数の差分と、水晶振動子4の第2の振動領域4B(参照領域)における周波数の差分と、が求められる。第2の振動領域4Bの周波数の差分は既述のように温度変化や試料液の粘度、あるいは試料液中に含まれる感知対象物以外の物質の付着などの外乱によるものであることから、第1の振動領域4Aの差分から第2の振動領域4Bの差分を差し引いて、外乱による周波数の変動分を補償した、感知対象物の吸着だけに起因する周波数の差分が得られる。この値は例えば既述の検量線の作成に用いられ、あるいは予め作成されていた検量線に照らし合わせて試料液中の感知対象物の濃度あるいは有無として評価される。
【0027】
上述の実施の形態によれば、水晶振動子4を発振させながら吸着層46に試料液を供給して試料液中の感知対象物を吸着させ、水晶振動子4の発振周波数の変化量に基づいて感知対象物を感知するにあたって、吸着層46に試料液を供給する前に、緩衝液を供給して所定の測定間隔例えば1秒毎に水晶振動子4の発振周波数を測定し、この測定結果σ2(τ)が測定時間と同じ時間に亘って感知対象物の測定感度に基づいて予め設定された周波数許容値以下となるまで水晶振動子4の発振周波数を安定化させているので、感知対象物を簡便に精度高く感知できる。
また、発振周波数の安定化を判断するにあたり、既述のようにAllan Deviationの式を用いていることから、容易に且つ確実に周波数の安定化を判断することができる。
【0028】
更に、感知対象物を感知するにあたり、試料液を供給しながら発振周波数を測定することにより、感知対象物の濃度に応じた周波数の低下分を正確に算出することができるので、感知対象物を正確に感知できるし、また1つの水晶振動子4上に2つの振動領域4A、4Bを設けておき、一方の振動領域4Aを測定用、他方の振動領域4Bを参照用としていることから、センサーユニット2の周囲の温度などの影響を抑えているので、感知対象物を高い精度で感知できる。
【0029】
上記の例では、2つの振動領域4A、4Bを設けてセンサーユニット2の周囲の温度などの影響を抑えるようにしたが、1つの振動領域だけを設けるようにしても良い。また、緩衝液や試料液を供給しながら発振周波数を測定したが、励振電極43A、43B上にこれらの緩衝液や試料液を滴下していわば閉鎖系において測定しても良い。
以上において緩衝液は参照液の一例である。参照液は、圧電センサーの吸着層に吸着される物質を含まない液であることが必要であり、例えば純水などを用いてもよい。試料液として血液や血清を用いる場合には、緩衝液であることが好ましいが、河川などの環境水中の汚染物質を感知対象物として調べる場合には、参照液として純水が好ましい。
更に、既述のように測定部10により感知対象物の有無や濃度を算出したが、例えば各振動領域4A、4Bにおいて得られた発振周波数を表示部17に表示させ、作業者が表示部17の表示を読み取り、この読み取った結果と既述の検量線やしきい値とを比較して感知対象物の有無や濃度を求めても良い。また、周波数が安定化した後緩衝液から試料液への切り替えを測定部10(制御部15)により行うようにしたが、例えば表示部17に周波数が安定したかどうかを表示して、この表示に基づいて作業者が第2バルブ97を切り替えるようにしても良い。
【0030】
更に、液体である試料液を用いて、水晶振動子4の発振周波数を安定化させる時には液体の緩衝液を液体供給領域53に供給したが、気体中の感知対象物を感知する場合例えば気体中のダイオキシンやアルコールなどの感知にセンサーユニット2を用いても良い。その場合には、水晶振動子4の発振周波数を安定化させる時には、緩衝液に代えて例えば清浄な気体が用いられる。
【符号の説明】
【0031】
1 液供給系
2 センサーユニット
4 水晶振動子
4A、4B 振動領域
7 水晶センサー
10 測定部
41 水晶片
42 励振電極
43 励振電極
46 吸着層
90 液排出系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知する装置において、
前記圧電片を発振させるための発振回路と、
この発振回路の発振周波数を測定する周波数測定部と、
この周波数測定部で測定された周波数を予め設定された時間間隔でサンプリングして周波数の時系列データを取得するデータ取得部と、
試料液を圧電センサーに供給したときに周波数の変化分を測定するために予め設定した測定時間を記憶する記憶部と、
前記吸着層に吸着される物質を含まない参照液を圧電センサーに供給したときに周波数の各サンプリングのタイミングを夫々始点とする、前記測定時間に相当する長さのサンプリング区間の群について、順次サンプリング区間毎に周波数安定度を算出し、算出された周波数安定度が測定感度に対応する許容値以下になったときに試料液の供給許可信号を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする感知装置。
【請求項2】
前記周波数安定度は、以下の式で表されることを特徴とする請求項1に記載の感知装置。
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
【請求項3】
測定感度を選択することにより、測定感度に対応する許容値を求める許容値取得部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の感知装置。
【請求項4】
前記圧電センサーに対して試料液を供給する試料液供給部と、
前記圧電センサーに対して参照液を供給する参照液供給部と、
前記圧電センサーに供給された試料液及び参照液を排出する排出部と、を備え、
前記周波数安定度の算出及び前記試料液中の感知対象物の感知は、前記圧電センサーが置かれる雰囲気に夫々参照液及び試料液を流しながら行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の感知装置。
【請求項5】
前記供給許可信号の出力により、前記圧電センサーへの液の供給を参照液から試料液に切り替える液切り替え部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の感知装置。
【請求項1】
圧電片に設けられた電極上に吸着層を形成してなる圧電センサーを用い、前記吸着層に試料液中の感知対象物を吸着させ、前記圧電片の固有振動数の変化に基づいて前記感知対象物を感知する装置において、
前記圧電片を発振させるための発振回路と、
この発振回路の発振周波数を測定する周波数測定部と、
この周波数測定部で測定された周波数を予め設定された時間間隔でサンプリングして周波数の時系列データを取得するデータ取得部と、
試料液を圧電センサーに供給したときに周波数の変化分を測定するために予め設定した測定時間を記憶する記憶部と、
前記吸着層に吸着される物質を含まない参照液を圧電センサーに供給したときに周波数の各サンプリングのタイミングを夫々始点とする、前記測定時間に相当する長さのサンプリング区間の群について、順次サンプリング区間毎に周波数安定度を算出し、算出された周波数安定度が測定感度に対応する許容値以下になったときに試料液の供給許可信号を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする感知装置。
【請求項2】
前記周波数安定度は、以下の式で表されることを特徴とする請求項1に記載の感知装置。
yk:各サンプリング区間毎のk番目のサンプリング時における周波数、m:各サンプリング区間に含まれるサンプリング数(k,m:正数)
【請求項3】
測定感度を選択することにより、測定感度に対応する許容値を求める許容値取得部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の感知装置。
【請求項4】
前記圧電センサーに対して試料液を供給する試料液供給部と、
前記圧電センサーに対して参照液を供給する参照液供給部と、
前記圧電センサーに供給された試料液及び参照液を排出する排出部と、を備え、
前記周波数安定度の算出及び前記試料液中の感知対象物の感知は、前記圧電センサーが置かれる雰囲気に夫々参照液及び試料液を流しながら行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の感知装置。
【請求項5】
前記供給許可信号の出力により、前記圧電センサーへの液の供給を参照液から試料液に切り替える液切り替え部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の感知装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−227033(P2011−227033A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124862(P2010−124862)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
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