説明

感知装置

【課題】装着操作の度に一様な接続状態が得られるように、圧電センサーを自動的に装着する感知装置を提供する。
【解決手段】圧電センサー7の圧電振動子72の吸着面に設けられた吸着層への感知対象物の吸着による発振周波数の変化に基づいて感知対象物を感知する感知装置1であって、測定器本体41は圧電振動子72が接続される接続部412を備え、圧電センサー7を着脱自在に保持した保持部材6は、上下方向に移動可能な遊びを持って移動体212に取り付けられる。移動機構2は、保持部材6に圧電センサー7を保持させるための保持位置と、当該圧電センサー7を測定器本体41に装着するための接続位置との間で移動体212を前後方向に移動させる。そして、移動体212が保持位置から接続位置へと移動する際に、保持部材6は案内部材42に載置された状態で前方側へ案内される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子を備えた圧電センサー用いて感知対象物を感知する感知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子などの圧電振動子を発振回路に接続し、圧電振動子に設けた励振電極への感知対象物の付着に起因する発振周波数(共振周波数)の変化を検出して感知対象物を検知する圧電センサーが知られている。圧電センサーは感知対象物を含む試料流体の供給、排出系統や発振回路を備えた感知装置に装着されて使用されるが、感知装置への試料流体の供給法としてはフローセル方式が知られている。
【0003】
フローセル方式は、感知装置に試料流体の供給、排出路を備えたフローセルを設け、このフローセル内に形成された空間内に圧電振動子を配置し、この空間を試料流体の通流空間として圧電振動子の表面に試料流体を連続的に供給する方式である(例えば特許文献1)。フローセル方式の感知装置は、試料流体を連続して供給できるので、周波数特性を安定化させることが容易であり、また液体の置換をスムーズに行うことができることから試料流体の使用量が少なくて済むという利点がある。
【0004】
このようなフローセル方式の感知装置では、圧電センサーフローセルに配置し、当該圧電センサーに設けられた圧電振動子の電極の端子を発振回路に接続して圧電センサーを感知装置に装着する作業が必要となる。従来、こうした装着作業はユーザーが手作業で行っていたが、装着不良により良好な感知結果を得られないといった現象を回避し、また装着作業の時間を削減するため、圧電センサーを装着する工程の自動化が求められている。
【0005】
特許文献2には、左右方向に開閉可能な開閉部(特許文献2の明細書では「第二部分」と記載。以下の特許文献2の引用においては括弧内に明細書中の名称を記す)の間に、圧電センサーを挿入するための筐体(センサー素子を受容するための手段)を備えた本体部(第一部分)を配した感知装置が記載されている。この筐体には、筐体内に挿入された圧電センサーの圧電振動子の位置に対応して開口部が形成されており、開閉部の一方側には、この開口部内に嵌合可能なフローセル(フローセル素子)が設けられている。そして前記筐体内に圧電センサーを挿入したあと、本体部を左右から挟むように開閉部材を閉位置に移動させることにより筐体の開口部内にフローセルを嵌合させて圧電振動子に試料流体を供給することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−183479号公報:段落0002、段落0024、図2
【特許文献2】特表2006−510901号公報:請求項1、段落0026、図2、図4、図7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の感知装置では、圧電センサーを格納した筐体にフローセルを接続する操作は自動化されているが、この筐体内に圧電センサーを配置する手法については記載されていない。従って、この操作を手作業により行う場合には、依然として作業ロスや装着不良の問題が残されている。
【0008】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、装着操作の度に一様な接続状態が得られるように、圧電センサーを自動的に装着する感知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る感知装置は、圧電振動子を備えた圧電センサーを前進させて測定器本体に装着すると共に、この圧電センサーを後退させて当該測定器本体から取り外し、前記圧電振動子の吸着面に設けられた吸着層へ感知対象物が吸着されることによる当該圧電振動子の発振周波数の変化に基づいて感知対象物を感知する感知装置であって、
前記測定器本体に設けられ、圧電振動子の被接続端子を発振回路に接続するための接続部と、
前記圧電センサーを着脱自在に保持するための保持部材と、
前記保持部材が上下方向へ移動可能な遊びを持って取り付けられる移動体と、
前記接続部の手前側に設定され、前記保持部材に圧電センサーを保持させるための保持位置と、前記圧電センサーを測定器本体に装着するために前記被接続端子が接続部に接続される接続位置との間で前記移動体を前後に水平方向に移動させる移動機構と、
前記移動体が保持位置から接続位置へと移動する際に、前記保持部材がその上に載置された状態で前方側に案内される案内部材と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記感知装置は、以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記保持位置は案内部材の手前側に設けられ、前記案内部材の手前側の先端部の上面には、手前側から奥手側へ向けて徐々に高くなるように形成された傾斜面からなる案内面が設けられ、前記保持部材には、前記案内面と対向する領域の下面に、手前側から奥手側へ向けて徐々に高くなるように形成された傾斜面からなる被案内面が設けられ、前記移動体が保持位置から接続位置に移動する際に、当該保持部材は、その被案内面が案内部材の案内面に案内されるようにして案内部材上に乗り上げてから、この案内部材上に載置された状態で前方側に案内されること。
(b)前記圧電センサーは、前記圧電振動子の吸着面側に試料流体を通流させる通流空間を形成するための空間形成部材と積層された状態で使用され、前記測定器本体に装着された圧電センサーに積層された空間形成部材を当該圧電センサーに向けて押し当てて固定する固定部材と、空間形成部材を固定する固定位置と、この固定位置から退避した退避位置との間で前記固定部材を昇降させるための昇降機構と、を備えたこと。
(c)前記固定部材には、前記空間形成部材に設けられた供給孔を介して通流空間内に試料流体を供給するための供給路及び、当該空間形成部材に設けられた排出孔を介して試料流体を排出するための排出路が形成されていること。
(d)前記昇降機構は、前記固定位置と退避位置との間で前記固定部材を昇降させる際に、予め設定した負荷よりも大きな負荷が加わった場合に当該固定部材の昇降を停止すること。
【0011】
(e)前記測定器本体には、発振回路に接続された圧電振動子の温度を予め設定された温度に維持するための温度調節機構が設けられていること。
(f)前記圧電振動子には、第1の振動領域と、弾性的な境界領域を介して、当該第1の振動領域とは異なる領域に配置された第2の振動領域とが設けられ、これら第1の振動領域と第2の振動領域とを各々発振させるための第1の発振回路及び第2の発振回路を備えたこと。
(g)前記移動機構は、前記保持位置と接続位置との間で前記移動体を移動させる際に、予め設定した負荷よりも大きな負荷が加わった場合に当該移動体の移動を停止すること。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧電センサーを保持する保持部材が上下方向へ移動可能な遊びを持って移動体に取り付けられており、当該圧電センサーを感知装置の測定器本体に装着するために移動体を水平方向に移動させると、前記保持部材は案内部材上に載置された状態で測定器本体へ向けて案内される。このとき保持部材は自重によって案内部材に対して押し付けられた状態を保つので、圧電センサーが不要な方向に傾いたりすることなく装置本体に装着することができる。この結果、例えば手作業により圧電センサーを装着する場合などと比較して、不必要な方向へ力が加わり圧電センサーが浮き上がったり傾いたりするといった装着不良の発生を抑えて正確な感知結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る感知装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】前記感知装置の内部構成を示す斜視図である。
【図3】前記感知装置に設けられているシャーシ部を示す外観斜視図である。
【図4】前記感知装置に設けられるフローセルベース及びその移動機構の構成を示す斜視図である。
【図5】前記感知装置に設けられているフローセルカバー及びその昇降機構を示す一部破断斜視図である。
【図6】前記フローセルベース、フローセルカバー及びこれらの間に取り付けられる圧電センサーの構成例を示す分解斜視図である。
【図7】前記フローセルベースの側面図である。
【図8】前記圧電センサーに設けられる圧電振動子の構成例を示す説明図である。
【図9】前記圧電振動子が発振回路に接続された状態を示す説明図である。
【図10】前記圧電センサーとフローセルカバーとの間に試料流体の通流空間を形成するためのマイクロ流路チップの外観構成を示す斜視図である。
【図11】前記フローセルベース、フローセルカバー及びこれらの間に装着される圧電センサーの他の構成例を示す分解斜視図である。
【図12】前記感知装置に設けられた移動機構及び昇降機構に係る電気的構成を示すブロック図である。
【図13】前記移動機構及び昇降機構の駆動、停止に係るスイッチ回路の構成例を示す説明図である。
【図14】前記感知装置の作用を示す第1の説明図である。
【図15】前記感知装置の作用を示す第2の説明図である。
【図16】前記感知装置の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る感知装置の例として、圧電振動子である水晶振動子72を備えた圧電センサー7を自動的に装着する機構を備えた感知装置1の構成について図1〜図13を参照しながら説明する。図1及び図2に示すように、感知装置1は圧電センサー7を発振させる後述の発振回路部81a、81bを格納した測定器本体であるシャーシ部41と、圧電センサー7を着脱自在に保持した保持部材であるフローセルベース6をアーム部材212に取り付けて、前記シャーシ部41へ向けて前後に水平方向に移動させる移動機構2と、圧電センサー7との間に試料流体の通流空間を形成する空間形成部材であるマイクロ流路チップ73やゴムパッキン73aを圧電センサー7の板面に押し当てて固定する固定部材であるフローセルカバー51と、このフローセルカバー51を昇降させる昇降機構3と、を備えており、これらは共通の基台11に配置されている。以下、図1〜図4、図7、図14〜16の各図においては、図面に向かって左手を手前側、右手を奥手側として説明を行う。
【0015】
図3は、基台11からシャーシ部41を取り外した状態を示しており、シャーシ部41は金属製の筐体として構成されている。シャーシ部41の手前側の側壁面には、圧電センサー7を挿入するための接続口411が設けられており、接続口411内には圧電センサー7を発振回路部81a、81bに接続するための接続部をなす端子部412が配置されている(図12参照)。
【0016】
図3に示すように、接続口411の手前側には、接続口411の下端部を基点として手前側へ向けて水平方向に伸びる板状の部材からなる案内部材42が配置されている。案内部材42は、その上面が平坦に加工されており、圧電センサー7を保持した後述のフローセルベース6は、この案内部材42の上面に載置された状態で接続口411に向けて移動するようになっている。さらに案内部材42の手前側の先端部の上面には、手前側から奥手側へ向けて徐々に高くなるように形成された傾斜面からなる案内面421が設けられている。
【0017】
シャーシ部41の下面には、水晶振動子72や通流空間内を流れる試料流体の温度を一定に保つために、フローセルベース6などを介して圧電センサー7に接するシャーシ部41や案内部材42の温度を調節するための温度調節機構をなすペルチェ素子43が設けられている。ペルチェ素子43は不図示の電源部及び後述の制御部8に接続されており、不図示の熱電対などによってシャーシ部41や案内部材42の温度を検出した結果に基づいて電源部から印加される電力を増減することによりペルチェ素子43の吸熱面からの吸熱量が調節され、シャーシ部41や案内部材42を介して水晶振動子72や試料流体の温度を一定に保つことができる。
【0018】
図3中、442はペルチェ素子43の放熱面から受け取った熱を放熱するための放熱体であり、放熱体442には放熱効率を高めるための多数のフィン443が設けられている。また441はペルチェ素子43の放熱面から放熱体442へ熱を伝える伝熱板である。
ここで水晶振動子72の温度を一定に保つための温度調節機構はペルチェ素子43を利用する場合に限られず、設定温度によってはテープヒーターなど加熱手段を用いてもよい。
【0019】
本例の感知装置1は、図2に示すようにシャーシ部41を基台11の上面側に突出させ、伝熱板441や放熱体442を基台11の下面側に位置させている。また図1に示すようにシャーシ部41は、昇降機構3の回転モーター314などを支えるカバー部材12内に配置されている。
【0020】
次いで移動機構2について説明する。図2に示すように基台11の上面側に突出して配置されたシャーシ部41を手前側から見ると、その左右両脇には、シャーシ部41の左右の両側壁に沿って前後方向に伸びる2本のアーム部材212が配置されている。図4に示すようにこれらのアーム部材212は、その手前側の先端位置に設けられた支持板24及び奥手側の後端位置に設けられた連結部材214によって互いに連結されている。これらアーム部材212は、圧電センサー7を保持するフローセルベース6が取り付けられる移動体としての役割を果たし、先端位置にて2本のアーム部材212を連結する支持板24は、当該フローセルベース6を下面側から支持する役割を果たすが、その詳細についてはフローセルベース6の構成と併せて後述する。
【0021】
各アーム部材212には、シャーシ部41を挟んで外側の側面にレール部材211が取り付けられており、これらのレール部材211は基台11上に配置されたガイド部22にガイドされて前後方向に移動することができるようになっている。ガイド部22はレール部材211を上下から挟み、レール部材211の移動方向を回転しながらガイドするガイドホイール222とこのガイドホイール222を支持する支持部材221とを備えている。図2に示すようにガイド部22は、シャーシ部41を挟んで左右に2個ずつ、レール部材211の移動方向に沿って前後に配置されている。
【0022】
図4に示すように2本のアーム部材212の一方側、例えば手前側から見て右手側のアーム部材212の下面にはラックギア213が形成されており、このラックギア213は基台11の下面側に配置されたピニオン部材231と歯合してピニオンラック機構を形成している。ピニオン部材231はさらに回転モーター235によって回転する歯車部233と歯合しており、この歯車部233を回転させることにより、ピニオン部材231を介してアーム部材212を移動させることができる。
【0023】
また回転モーター235は歯車部233の回転方向を切り替えることが可能であり、これによりアーム部材212の移動方向を切り替えられる。図中、232はピニオン部材231の回転軸、234は歯車部233の回転軸であり、236はこれら回転軸232、234や回転モーター235を支持する支持台である。
【0024】
図4に示すように、後端位置にて2本のアーム部材212を連結する連結部材214には、下方側へ向けて伸びる突片部215が設けられている。一方、手前側から見て左手側のアーム部材212のほぼ中央部にはアーム部材212の下縁側を切り欠いて形成された切り欠き部216が設けられている。これに対して図2に示すように基台11上には、アーム部材212の移動に伴って前後方向に移動する突片部215の軌道上に例えば赤外線式の遮蔽型センサー13が配置されている。また左手側のアーム部材212の移動軌道上には例えば赤外線式の透過型センサー14が配置されている。
【0025】
そしてアーム部材212を奥手側から手前側へと前方へ移動させることにより突片部215が遮蔽型センサー13に到達すると、当該突片部215によって赤外線の導通状態が遮蔽される。この導通状態の変化は後述の制御部8に出力され、この状態変化に基づいて制御部8から回転モーター235へ停止信号が出力されることによりアーム部材212の前方移動を停止することができる。このときアーム部材212の先端に設けられた支持板24の停止している位置は、当該支持板24上に支持されるフローセルベース6への圧電センサー7の保持位置となる。
【0026】
一方、アーム部材212を手前側から奥手側へと後方へ移動させることにより切り欠き部216が透過型センサー14に到達すると、アーム部材212によって遮蔽されていた赤外線が導通状態となる。この状態変化は後述の制御部8に出力され、この状態変化に基づいて制御部8から回転モーター235へ停止信号が出力されることによりアーム部材212の後方移動が停止されることとなる。このとき支持板24に支持されたフローセルベース6はフローセルカバー51の下方位置で停止し、この位置がフローセルベース6に保持された圧電センサー7を発振回路部81a、81bへと接続する接続位置となる。
【0027】
次に図5を参照しながらフローセルカバー51を昇降させるための昇降機構3の構成について説明する。後で詳しく説明するようにフローセルカバー51は、ほぼ直方体形状の部材として構成され、接続位置まで移動してきたフローセルベース6の上面に載置される。手前側から見てフローセルカバー51の左右両側には、フローセルカバー51を昇降させるための支持部材331が上下方向に伸びるように設けられており、各支持部材331の下端部にはフローセルカバー51の方向へ向けて内側に折れ曲がったチャック部334が形成されている。
【0028】
このチャック部334上にフローセルカバー51を載置することにより、フローセルカバー51は支持部材331に支持され、この支持部材331の昇降動作に伴ってフローセルカバー51を昇降させることができる。フローセルカバー51の上面側に設けられた35は、フローセルカバー51を均等な力でチャック部334側へ押さえつけるためのボールプランジャーである。これらのボールプランジャー35も支持部材331に固定されており、支持部材331の昇降に伴ってフローセルカバー51と共に昇降する。
【0029】
各支持部材331の上端部にはクランク軸332が設けられており、このクランク軸332はアーム部材321の軸受け孔322内に挿入されている。アーム部材321は、クランク軸332の設けられている位置から奥手側へ向けて伸びだしており、その後端部にて回転軸313に接続されている。回転軸313は2本のアーム部材321を貫くように左右方向に伸びており、アーム部材321はこの回転軸313の左右両端部に配置されている。
【0030】
さらにこの回転軸313には、左右両端部に配されたアーム部材321に挟まれた中間位置にウォームホイール312が設けられている。ウォームホイール312にはウォーム311が歯合しており、これらのウォーム311及びウォームホイール312によりウォームギア機構が構成されている。ウォーム311は回転モーター314によって回転駆動され、当該ウォーム311の回転によってウォーム311に歯合するウォームホイール312が回転し、回転軸313を介して当該ウォームホイール312に連結されているアーム部材321を回転軸313周りに回転させる。そしてアーム部材321の回転動作がクランク軸332を介して支持部材331の昇降動作に変換され、当該支持部材331に支持されたフローセルカバー51をフローセルベース6(圧電センサー7)上の固定位置と、この固定位置から上方側へ退避した退避位置との間で昇降させることができる。
【0031】
ここで前記アーム部材321に設けられ、クランク軸332が貫通している軸受け孔322は回転軸313を中心として形成される円の半径方向に向けて細長く形成されている。これによりアーム部材321の回転動作を支持部材331の昇降動作に変換する際にクランク軸332が軸受け孔322と干渉することなく当該軸受け孔322内を自由に移動することができるようになっている。
【0032】
また図中の323は左右のアーム部材321を連結する連結部材である。この昇降機構3についても図2に示した移動機構2の遮蔽型センサー13と突片部215、透過型センサー14と切り欠き部216と同様に、予め設定した高さ位置までフローセルカバー51を昇降させたら回転モーター314の駆動を停止する不図示の停止機構が設けられている。
【0033】
また図5中、342は各支持部材331の左右外側位置に上下方向に伸びるように配置され、支持部材331の昇降軌道をガイドするガイドレール、341は当該ガイドレール342を基台11上に固定する支柱部材である。そして各支持部材331の支柱部材341と対向する面には、ガイドレール342を前後両側から挟み込むように走行ホイール333が設けられており、支持部材331の昇降動作の際にこれらの走行ホイール333がガイドレール342に沿って回転しながら走行することにより支持部材331の昇降方向がガイドされる。
【0034】
次に、図6〜図10を参照しながら圧電センサー7、この圧電センサー7を保持するフローセルベース6、圧電センサー7との間に試料流体の通流空間を形成するマイクロ流路チップ73、このマイクロ流路チップ73を圧電センサー7の板面に向けて押し当てて固定するフローセルカバー51の構成について各々説明する。図6は、下方側から順に、フローセルベース6、圧電センサー7、水晶振動子72、フローセルカバー51を示している。
【0035】
フローセルベース6は金属などからなる角板状の小片から構成され、2本のアーム部材212の先端部に設けられた支持板24の上面に配置可能な大きさに形成されている。フローセルベース6はベース本体部61及び突片部62から構成され、ベース本体部61には圧電センサー7を配置するための凹部63が形成されている。突片部62はこの凹部63から横方向に突出するように形成されており、当該突片部62には圧電センサー7の後方部分が載置される(図6、図7)。この突片部62の下面には、当該突片部62が突出する方向(フローセルベース6を昇降機構3に取り付けたときの手前側から奥手側へ伸びる方向に相当する)へ向けて徐々に高くなる傾斜面からなる被案内面621が形成されている。
【0036】
図6、図7に示すようにベース本体部61の側面には、フローセルベース6をアーム部材212に取り付けるための取り付けネジ穴641が形成されている。そして図4に示すごとく突片部62を奥手側に向けて、支持板24上にフローセルベース6を配置し、アーム部材212側から取り付けネジ穴641内に取り付けネジ25を挿入することによりフローセルベース6が移動機構2に取り付けられる。図7に示すように取り付けネジ穴641は上下方向に細長い長穴状に形成されており、この長穴内に取り付けネジ25を挿入することによりフローセルベース6は上下方向に移動可能な遊びを持って移動機構2に取り付けられることになる。
【0037】
ベース本体部61の側壁面には、上述の取り付けネジ穴641を挟むようにして手前側と奥手側の位置に、当該側壁面を下面側へ向けて切り欠いた切り欠き部642が形成されている。一方、図4に示すようにアーム部材212に取り付けられた支持板24の内側面には、これら切り欠き部642へ向けて突出する突起部26が設けられており、これらの突起部26が切り欠き部642に挿入される。
【0038】
ここで、これら突起部26は取り付けネジ25よりもやや低い高さ位置に配置されており、また図4に示すようにフローセルベース6を支える支持板24は奥手側の部分が四角く切り欠かれている。これらの構成により、取り付けネジ25にてフローセルベース6をアーム部材212に取り付けると、突片部62側が重くなっているフローセルベース6は取り付けネジ25周りに突片部62の設けられている方向へと回転することになる。しかしながら取り付けネジ25の奥手側には突起部26が設けられているのでフローセルベース6の回転は当該突起部26が切り欠き部642の上端と接触する位置にて規制され、結果として図14(a)に示すように奥手側へ向けて傾いた状態で停止する。
【0039】
またフローセルベース6の底面は、支持板24の切り欠きに対応して下方側に突出した領域が設けられており、さらに既述のようにフローセルベース6は上下方向に移動可能な遊びを持たせてアーム部材212に取り付けられている。これらの構成により突片部62側を持ち上げてフローセルベース6を水平な状態にすると支持板24の切り欠きからフローセルベース6の下面が突出した状態となり、フローベース6を案内部材42上に載置した状態とすることができる。
さらに図6に示においてフローセルベース6の凹部63内に配置された631は圧電センサー7やマイクロ流路チップ73の位置合わせを行うための位置合わせピンである。
【0040】
圧電センサー7は、配線基板71上に水晶振動子72を配置することにより構成され、図8に示すように水晶振動子72は、圧電片である円形板状の水晶片721の表裏両面の中央部に、水晶片721を励振させるための励振電極722、723、726、727を設けてなる。図8(a)は水晶振動子72の表面を上面側から見た平面図であり、水晶片721には、Y方向(手前側から感知装置1を見たときの左右横方向に相当する)に伸びる短冊状の2つの励振電極722、723が間隔を空けて互いに平行に配置されている。これら2つの励振電極722、723は接続線724によって互いに接続され、この接続線724からは励振電極722、723の長手方向と同じ方向へ向けて引き出し電極725が引き出されており、当該引き出し電極725は水晶片721の裏面側へ向けて延びだしている。
【0041】
図8(b)は水晶振動子72の裏面を下面側から見た平面図であり、表面側の各励振電極722、723と各々対向する位置に短冊状の励振電極726、727が配置されている。各励振電極726、727からはこれら励振電極726、727と直交する方向に向けて引き出し電極728、729が互いに反対向きに引き出されている。
【0042】
図9に示すように上下に対向する一方側の励振電極722、726及びこれらに挟まれた水晶片721は第1の振動領域70aを形成し、他方側の励振電極723、727及びこれらに挟まれた水晶片721は第2の振動領域70bを形成している。そして、これらの振動領域70a、70bは互いに弾性的に絶縁されており、各々の振動領域70a、70bが独立した水晶振動子として作用する。そして例えば第1の振動領域70aの表面側の励振電極722には感知対象物を吸着するための吸着層720が形成される一方、第2の振動領域70bには吸着層720を設けず、リファレンス電極として用いられる。そして感知対象物が吸着する第1の振動領域70aからの発振周波数と感知対象物が吸着しない第2の振動領域70bからの発振周波数との差分を取ることにより、試料流体の粘度変化や感知対象物以外の物質の付着による周波数変化の影響が差し引かれ、吸着層720への感知対象物の吸着のみに起因する発振周波数の変化(発振周波数の低下)を検出することができる。本例の圧電センサー7では、第1の振動領域70aにおいて吸着層720が形成されている水晶片721の表面(吸着面という)が上面を向くように、水晶振動子72は配線基板71上に配置される。
【0043】
図6に示すように配線基板71はフローセルベース6の凹部63内に配される前方部分が、同じくフローセルベース6の突片部62上に配置される後方部分よりも幅広のプラカード形状に加工されたプリント基板であり、その前方部分には水晶振動子72の自由な振動を確保するための貫通孔711が形成されている。水晶振動子72はこの貫通孔711を覆うように配線基板71上に固定され、各励振電極722、726、723、727は貫通孔711の輪郭の内側に配置される。
【0044】
貫通孔711の周囲には、水晶振動子72の裏面側に引き出された各引き出し電極725、728、729に接続される電極部712〜714が互いに間隔をおいて配置されている。本例では、配線基板71の前方部分の手前側に配置された電極部712が水晶振動子72の裏面側の励振電極726の引き出し電極728と接続され、奥手側に配置された電極部714が同じく水晶振動子72の裏面側の励振電極727の引き出し電極729と接続されている。またこれら2つの電極部712、714の中間位置に配置された電極部713は、表面の励振電極722、723に接続され、裏面側まで引き出された引き出し電極725と接続されている。
【0045】
各電極部712〜714は配線基板71の奥手側へ向けて引き出されていて、配線基板71の後端部にはこれらの電極部712〜714に接続された端子部715〜717が形成されている。そしてこれら端子部715〜717が設けられた配線基板71の後端部分をシャーシ部41の接続口411内に挿入することにより圧電センサー7が感知装置1に接続されることになる。端子部715〜717は本実施の形態の被接続端子に相当する。また配線基板71に形成されている718はフローセルベース6側の位置合わせピン631を挿入することにより圧電センサー7の固定及び位置合わせを行う位置合わせ孔である。
【0046】
ここで図9に示したブロック図を参照しながら圧電センサー7が接続された状態における感知装置1の電気的な構成について説明しておく。接続口411に挿入された配線基板71の各端子部715〜717は、シャーシ部41側の端子部412と接続され、これにより本例では第1の振動領域70aの裏面側の励振電極726は第1の発振回路部81aに接続され、また第2の振動領域70bの裏面側の励振電極727は第2の発振回路部81bに接続される。また両振動領域70a、70bの表面側の励振電極722、723は接地される。
【0047】
第1の発振回路部81aは第1の振動領域70aと接続されてコルピッツ回路などの発振回路が形成される構成を備えており、独立した水晶振動子として作用する第1の振動領域70aから発振周波数を取り出すことができる。また第2の発振回路部81bについても同様に、第2の振動領域70bと接続されて発振回路が形成され、第2の振動領域70bの発振周波数を取り出すことができる。これらの発振回路部81a、81bは切り替えスイッチ部821を介して周波数測定部82に接続されており、周波数測定部82は切り替えスイッチ部821にて時分割された周波数信号を取得することができる。
【0048】
そして例えば1秒間をn分割(nは偶数)し、各チャンネルの発振周波数を1/n秒の処理で順次求めることにより、厳密には完全に同時に測定しているわけではないが、1秒間に少なくとも1回以上周波数信号を取得しているため、各振動領域70a、70bの発振周波数を実質的に並行して取得することが可能となる。
【0049】
周波数測定部82で取得された各振動領域70a、70bの発振周波数は、パーソナルコンピュータ100などの解析装置へと出力される。解析装置では第1の振動領域70aと第2の振動領域70bとの発振周波数の差分を取ることにより、試料流体の粘度変化や感知対象物以外の物質の付着による周波数変化の影響が取り除かれる。そのうえで、試料流体の供給前後の発振周波数周波数を計測することにより、感知対象物の吸着のみに起因する発信周波数の変化量を取得することができる。この変化量に基づいて試料流体中の感知対象物の濃度と発振周波数の低下量との対応関係を表す検量線を作成することが可能となり、また予め作成されていた検量線に照らし合わせて試料流体中の感知対象物の濃度を求めたり、感知対象物の有無を検出したりすることが可能となる。
【0050】
図6の説明に戻ると、フローセルベース6に保持された圧電センサー7の上面には、本実施の形態の空間形成部材を成すマイクロ流路チップ73が載置される。マイクロ流路チップ73はPDMS(ポリジメチルシロキサン)といったシリコンゴムなどの弾性材料にて構成され、また前後方向及び左右方向の寸法は圧電センサー7の前方部分の寸法と揃えられているので、マイクロ流路チップ73は圧電センサー7上に載置した状態のままフローセルベース6の凹部63内に配置することができる。
【0051】
マイクロ流路チップ73は厚さが数mmの薄片状に加工され、その下面には図10に示すように凹部731が形成されており、この凹部731内に配線基板71上に配置された水晶振動子72を嵌合させ、水晶振動子72の上面(表面)を密閉することができる。さらにこの凹部731の内側には深さサブミリメートル〜1mm程度に形成された、試料流体の通流用の凹部732(以下、通流用凹部という)が形成されている。この通流用凹部732を備えたマイクロ流路チップ73を圧電センサー7上に配置することにより、マイクロ流路チップ73と水晶振動子72との間に、試料流体を通流させるための通流空間が形成される。
【0052】
通流用凹部732の平面形状は左右方向に長い扁平なひし形に形成され、当該ひし形の長軸方向の左右両端部には、通流空間内に試料流体を供給するための供給孔733及び通流空間から試料流体を排出するための排出孔734が形成されている。マイクロ流路チップ73と水晶振動子72との間に形成される通流空間は例えば数マイクロリットル程度の微小な空間なので、感知対象物を含む試料の量が少なくても希釈せずに試料流体を通流空間に供給することが可能となり、低濃度領域での感度を向上させることができる。
【0053】
また通流用凹部732の平面形状を扁平なひし形とすることにより、供給孔733から供給された試料流体はひし形の短軸方向に広がりながら長軸方向へと流れ、やがて短軸方向の流路幅が次第に狭まる流路に案内されるようにして排出孔734へ到達する。このように形成された通流空間においては、試料流体が到達しにくかったり、滞留しやすかったりする狭角部部分が流路上になく、また空間内を流れる試料流体の流線の向きの変化も小さい。このため、サブミリメートル程度の非常に狭い空間であっても空気溜まりなどが形成されにくく、通流空間内全体にスムーズに試料流体を広げることができる。
【0054】
ただし、通流用凹部732の平面形状は図10に示した扁平なひし形に限られるものではなく、空気溜まりなどが形成されにくい形状、例えば円形などであってもよい。
またマイクロ流路チップ73に形成されている位置合わせ孔735はフローセルベース6側の位置合わせピン631を挿入することによりマイクロ流路チップ73の固定及び位置合わせを行う位置合わせ孔である。
【0055】
次いでフローセルカバー51について説明する。図6に示すようにフローセルカバー51はほぼ直方体に形成された部材であり、その内部には試料流体供給用の供給路511及び排出用の排出路512が形成されている。これら供給路511及び排出路512は、フローセルカバー51の下面にて、マイクロ流路チップ73側に設けられた供給孔733及び排出孔734と接続可能な位置に開口している。
【0056】
圧電センサー7とマイクロ流路チップ73とを上下に重ねてフローセルベース6の凹部63に配置すると、マイクロ流路チップ73の上面はフローセルベース6の上面と面一となるかこれよりやや上方に突出した状態となる。このマイクロ流路チップ73の上面をフローセルカバー51の底面にて押さえつけ、マイクロ流路チップ73を圧電センサー7の板面へ向けて押し当てることによりマイクロ流路チップ73が固定され、通流空間が密閉されると共に、フローセルカバー51側の供給路511、排出路512が各々マイクロ流路チップ73側の供給孔733、排出孔734に接続される。
【0057】
但し、マイクロ流路チップ73の通流用凹部732と水晶振動子72との間に形成される通流空間の高さは既述のようにサブミリメートル程度と非常に狭く、且つマイクロ流路チップ73はシリコンゴムなどの弾性材料にて構成されているため、過度に強い力で押さえつけると通流空間が潰れてしまうおそれもある。そこで本例のフローセルカバー51は図5を用いて説明したように昇降機構3側に設けられたボールプランジャー35を利用してフローセルカバー51を下方側へ均一な力で押さえつけることにより、通流空間を押し潰さないようにしている。
【0058】
フローセルカバー51の供給路511及び排出路512は図1に示すように各々供給管131及び排出管132に接続されており、供給管131は感知対象物を含む試料流体である試料溶液などを貯留した不図示の試料供給部に接続され、また排出管132は試料流体の排出先となる不図示の排出部に接続されている。試料供給部から通流空間への試料流体の供給は、シリンジポンプなどにより試料供給部側から試料流体を押し出すようにして供給してもよいし、真空ポンプなどにより排出部側から試料流体を引くことによって供給してもよい。
図1に示した133は、フローセルカバー51を昇降させても供給管131や排出管132が折れ曲がったり、互いに絡まったりしないように各配管131、132をガイドするガイド部材であり、134は、これらの配管を束ねて試料供給部や排出部側へ案内するクリップ部材である。
【0059】
以上、図6〜図10を参照しながらマイクロ流路チップ73を空間形成部材としてこのマイクロ流路チップ73をフローセルカバー51により圧電センサー7の板面に押し当てて固定する各部材6、7、73、51の構成について説明した。ここで本例に係る感知装置1はフローセルベース6、圧電センサー7、フローセルカバー51を取り替えることによって、マイクロ流路チップ73以外の空間形成部材を用いて試料流体の通流空間を形成することも可能である。
【0060】
例えば図11は、ゴムパッキン73aを用いて圧電センサー7aとの間に通流空間を形成する例を示している。図11中、図6に示したものと同様の構成要素については、当該図と同じ符号を付してある。図11に示した例ではゴムパッキン73aの中央部にはすり鉢状の傾斜面を有する貫通孔736が形成されており、フローセルベース6aに圧電センサー7を保持し、ゴムパッキン73aをフローセルカバー51aにて固定したとき、圧電センサー7の上面(水晶振動子72)と貫通孔736の側周面、及びフローセルカバー51aの下面との間に通流空間が形成される。ゴムパッキン73aを用いる例では、通流空間の容積は数十マイクロリットル程度とマイクロ流路チップ73の場合よりも大きくなっており、入手可能量が比較的多い試料流体や粘度が高く、マイクロ流路チップ73の狭い通流空間を通流させることが困難な試料流体などの分析を行う場合などに選択される。
【0061】
ここで本例のフローセルカバー51aの下面には、貫通孔736の上面側の開口部に嵌合して通流空間を密閉するための密閉部513が下方側へと突出するように設けられており、フローセルカバー51aに形成された供給路511や排出路512はこの密閉部513の下面に開口している。またごく少量の試料流体に含まれる感知対象物をできるだけ多く吸着するために、やや大きめに形成されたマイクロ流路チップ73用の圧電センサー7と比較して、圧電センサー7aの水晶振動子72の直径はやや小さく形成されている。これに伴って配線基板71の前方部分やフローセルベース6の凹部63もやや小さく形成されている点についても図6に記載のフローセルベース6、圧電センサー7とは異なっている。
【0062】
以上に説明した構成を備えた本実施の形態の感知装置1は、図12に示すように制御部8と接続されている。制御部8は図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部にはフローセルベース6の移動機構2やフローセルカバー51の昇降機構3を作動させて感知装置1に圧電センサー7を装着し、マイクロ流路チップ73やゴムパッキン73aによって水晶振動子72との間に形成された通流空間内に試料流体を供給して感知対象物の感知を行う動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0063】
ここで移動機構2は、フローセルベース6の移動経路上に異物が挟まるなどしたときにフローセルベース6の移動動作を停止する機能を備えている。また昇降機構3においてもフローセルカバー51をマイクロ流路チップ73、73aの固定位置とここから退避した退避位置との間で昇降させる際に異物が挟まった場合などにフローセルカバー51の昇降動作を停止する機能を備えている。
【0064】
前記移動機構2や昇降機構3を停止する機能を実現する手段として感知装置1は、移動機構2や昇降機構3の回転モーター235、314に各々電力を供給するモータードライバー83(図12のブロック図においては移動機構2及び昇降機構3の1個のモータードライバー83で総括的に示してある)からの接地ラインに抵抗部85を設け、この抵抗部85に加わる電圧を監視することにより各回転モーター235、314に加わる負荷を監視している。
【0065】
図13はモータードライバー83の内部に設けられたスイッチ回路及びこの回路に接続され、既述の移動機構2や昇降機構3を停止するための停止機構の構成例を示している。前記スイッチ回路は、スイッチ部832、834及び833、835を2個ずつ直列に接続し、電源部831に対してこれら2系統のスイッチ部832、834、833、835を互いに並列に接続した構造となっており、後段のスイッチ部834、835は接地されている。また回転モーター235、314は、これら2系統のスイッチ部832、834、833、835を中間位置で結ぶブリッジライン上に設けられている。
【0066】
各スイッチ部832、834、833、835は制御部8からの指示に基づいて開閉動作が実行されるようになっている。そして例えば図13に示すようにスイッチ部833、834を「閉」、スイッチ部832、835を「開」とすることにより回転モーター235、314は正転し、これとは反対にスイッチ部832、835を「閉」、スイッチ部833、834を「開」とすることにより反転する。
【0067】
モータードライバー83の接地ライン上には抵抗部85が設けられていて、この抵抗部85にて計測された電圧値が所定の時間間隔で制御部8に出力されるようになっている。そして異物挟まるなどして回転モーター235、314への電力供給が継続されたまま移動機構2や昇降機構3の動作が強制的に停止されると回転モーター235、314に過大な負荷が加わり、この負荷に応じた駆動力を得るために回転モーター235、314に供給される電力が増え、この電力上昇が抵抗部85に加わる電圧の上昇として検出される。
【0068】
制御部8は電圧計84から取得した電圧値と予め記憶してあるしきい値とを比較し、電圧値がしきい値よりも大きくなった場合にはすべてのスイッチ部832、834、833、835を「開」の状態として回転モーター235、314への電力供給を停止し、移動機構2もしくは昇降機構3の動作を各々独立して停止することができる。
【0069】
以下、感知装置1の動作について説明する。図14〜図15では空間形成部材としてマイクロ流路チップ73を用いる場合について示している。感知装置1においては、シャーシ部41及び案内部材42の温度はペルチェ素子43によって予め設定された温度に調整されており、この状態で図14(a)に示すようにフローセルカバー51を退避位置まで上昇させ、フローセルベース6を保持位置まで後退させる。しかる後、フローセルベース6に圧電センサー7を保持させ、さらにその上面にマイクロ流路チップ73を載置すると、フローセルベース6は突片部62側の重さにより取り付けネジ25周りに奥手側へ向けて傾き、突片部62の被案内面621を下方側へ向けた状態となる。このとき当該突片部62の少なくとも下端部は案内部材42の案内面421の上端部よりも低い位置まで移動する。
【0070】
しかる後、移動機構2の回転モーター235を作動させてフローセルベース6を接続位置側へ向けて前進させると、突片部62の被案内面621が案内部材42の案内面421に当接する。このとき既述のようにフローセルベース6は上下方向に移動可能な遊びを持ってアーム部材212に取り付けられていることから、突片部62はこの案内面421に案内されるようにして斜め上方側へ向けて移動していく(図14(b))。
【0071】
そしてフローセルベース6の底面が案内面421の上端部に到達すると、フローセルベース6が案内部材42の上面に乗り上げ、当該フローセルベース6は案内部材42上に載置された状態となる。フローセルベース6は、この状態で案内部材42上を水平方向に移動し、圧電センサー7が接続位置に到達すると、移動機構2はフローセルベース6の移動を停止する。この結果図15(a)に示すように、配線基板71の後端部に設けられた端子部715〜717がシャーシ部41内の発振回路部81a、81b側の端子部412に接触し、各振動領域70a、70bが発振回路部81a、81bに接続された状態となる。
【0072】
ここでフローセルベース6が保持位置から接続位置まで移動するまでの間に異物が挟まるなどすると、回転モーター235に過大な負荷が加わり、その結果モータードライバー83内のスイッチ回路が作動してフローセルベース6の移動が停止する。そして例えばユーザーが異物などの停止の原因を取り除き、不図示の動作スイッチなどから動作開始命令を受け付けるとフローセルベース6の移動が再開される。
【0073】
またフローセルベース6は、案内部材42上に載置され、上下方向に移動可能な遊びを持ってアーム部材212に取り付けられていることから、ピニオンラック機構(ラックギア213、ピニオン部材231)のように上下方向へのがたつきが発生しやすい機構を備えた移動機構2を用いる場合であっても、フローセルベース6は案内部材42の上面にて位置決めされた状態で毎回同じ高さ位置を接続口411に向けて案内される。このため手作業で圧電センサー7を接続口411に接続する場合と比較して、不用意に圧電センサー7を周囲の機器にぶつけたりすることなく、スムーズな装着が可能となる。
【0074】
以上の動作においてフローセルベース6は、フローセルベース6、圧電センサー7及びマイクロ流路チップ73の自重によって案内部材42側に押し付けられた状態で移動するので、不要な方向に傾いたりせず、水晶振動子72を水平な状態に保ったまま圧電センサー7を第1の発振回路部81a、81bに接続することができる。この結果、例えば装着操作を手作業で行い、接続口411への挿入方向のずれなどにより傾いた状態でシャーシ部41に圧電センサー7が装着され、そのままフローセルカバー51により上面側から押さえつける場合に比べて水晶振動子72に加わるストレスが小さく、感知対象物を感知する際の特性が崩れるおそれが少ない。
【0075】
こうして圧電センサー7が第1、第2の発振回路部81a、81bに接続されたら、回転モーター314を作動させ、退避位置まで上昇しているフローセルカバー51を降下させる(図15(a))。そしてフローセルカバー51が固定位置に到達すると、フローセルカバー51の降下が停止し、マイクロ流路チップ73はフローセルカバー51によって圧電センサー7の板面に向けて押し当てられ、固定された状態となる。またこのとき、フローセルカバー51側の供給路511、排出路512は各々マイクロ流路チップ73側の供給孔733、排出孔734に接続される(図15(b))。
【0076】
この際にもフローセルカバー51が退避位置から固定位置に移動するまでの間に異物などが挟まると、回転モーター314に過大な負荷が加わり、モータードライバー83のスイッチ回路が作動しフローセルカバー51の降下動作が停止される。そして異物など停止の原因が取り除かれたら、動作の開始命令を受け付けてフローセルカバー51の降下を再開する。
【0077】
この動作においてもフローセルカバー51は予め設定した固定位置で停止することから手作業でフローセルカバー51を圧電センサー7上に配置する場合と比較して、マイクロ流路チップ73に加わる力が一定となる。このため流路を押しつぶしたり歪めたりすることによって水晶振動子72による感知対象物の感知特性に悪影響を与えるおそれが少ない。
【0078】
フローセルカバー51が固定位置まで降下してマイクロ流路チップ73が固定され、フローセルカバー51側の供給、排出路511、512とマイクロ流路チップ73側の供給、排出孔733、734が接続されたら、例えば供給管131から通流空間内へバッファ液の供給を開始すると共に各発回路部81a、81bを作動させて各振動領域70a、70bからの発振周波数の取得を開始する。
【0079】
しかる後、例えば水晶振動子72の温度が安定して発振周波数が一定となったら、供給管131に試料流体である試料溶液を供給し、この試料溶液が通流空間に到達することにより、試料溶液に感知対象物が含まれている場合には、この感知対象物が吸着層720に吸着する。この結果、吸着層720が設けられている振動領域(図9に示す例では第1の振動領域70a)の発振周波数が低下して、感知対象物の存在を感知することができ、また発振周波数の低下量に基づいて感知対象物の吸着量を定量することもできる。
【0080】
感知対象物の感知を終えたら、供給管131からパージガスを供給するなどして通流空間から試料流体を追い出し、接続時とは反対にフローセルカバー51を退避位置まで上昇させる。しかる後、フローセルベース6を保持位置まで後退させることにより感知動作終了後の圧電センサー7がシャーシ部41から取り外される。この際にも、異物が挟まった場合などにはフローセルカバー51の上昇動作やフローセルベース6の移動動作が停止することは勿論である。
【0081】
本実施の形態に係る感知装置1によれば以下の効果がある。圧電センサー7を保持するフローセルベース6が上下方向へ移動可能な遊びを持ってアーム部材212に取り付けられており、当該圧電センサー7をシャーシ部41に装着するためにアーム部材212を水平方向に移動させると、フローセルベース6は案内部材42上に載置された状態でシャーシ部41へ向けて案内される。このときフローセルベース6は自重によって案内部材42に対して押し付けられた状態を保つので、圧電センサー7が不要な方向に傾いたりすることなくシャーシ部41に装着することができる。この結果、例えば手作業により圧電センサー7を装着する場合などと比較して、不必要な方向へ力が加わり圧電センサー7が浮き上がったり傾いたりするといった装着不良の発生を抑えて正確な感知結果を得ることができる。
【0082】
ここで上述の実施の形態においては、フローセルベース6を移動させる移動機構2にピニオンラック機構(ピニオン部材231、ラックギア213)を用いたが、フローセルベース6を移動させる機構はこの例に限られるものではなく、シリンダー機構やボールネジ機構などを用いてフローセルベース6を移動させてもよい。またフローセルカバー51を昇降させる昇降機構3についても同様に、クランク機構(アーム部材321、クランク軸332及び支持部材331)を用いる場合に限定されず、シリンダー機構その他の機構を用いてもよいことは勿論である。
【0083】
また図1〜図15を用いて説明した上述の感知装置1においては、フローセルベース6は水晶振動子72を上面側に向けた状態にて圧電センサー7を保持し、接続位置へ向けて案内部材42上を移動する場合について説明したが、水晶振動子72を下面側へ向けて圧電センサー7を保持してもよい。その場合には例えば図16(a)〜図16(c)に示すように圧電センサー7及びマイクロ流路チップ73の全体を収容可能な下面側へ向けて開口する凹部63をフローセルベース6に形成し、この凹部63内に水晶振動子72の吸着面を下面側に向けて圧電センサー7及びマイクロ流路チップ73を保持する。本例においてもフローセルベース6は移動機構2に設けられたアーム部材212などの移動体に、上下方向へ移動可能な遊びを持って取り付けられているが、図16(a)〜図16(c)の各図ではアーム部材212の記載は省略してある。
【0084】
このとき圧電センサー7及びマイクロ流路チップ73はフローセルベース6から落下しないように不図示の係止部材によって係止されており、且つ圧電センサー7及びマイクロ流路チップ73の全体が凹部63内に収容されることにより、案内部材42上でフローセルベース6を走行させる際にマイクロ流路チップ73の下面が案内部材42の上面に接触しないようになっている。さらに案内部材42の案内面421に案内されるフローセルベース6の被案内面621はフローセルベース6の前方側の側面に形成されている。この結果、図16(a)、図16(b)に示すようにフローセルベース6は案内面421に案内されて案内部材42に乗り上げた後、当該案内部材42の上面に載置された状態のまま接続位置へ向けて案内部材42上を移動していく。
【0085】
そしてフローセルベース6が接続位置に到達し、圧電センサー7がシャーシ部41の接続口411に接続されると、案内部材42の下方側の退避位置に退避していたフローセルカバー51が案内部材42に設けられたアクセス孔を介して案内部材42の上面側にまで上昇する。こうしてフローセルカバー51が固定位置に到達するとマイクロ流路チップ73が圧電センサー7の板面に向けて押し当てられて固定される。この場合にも圧電センサー7とマイクロ流路チップ73との間に形成された通流空間に試料流体を供給することにより感知対象物を感知することができる。
【0086】
さらには、フローセルカバー51及びその昇降機構3を備えていない感知装置1についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば供給管131、排出管132が接続された容器形状にフローセルベース6を構成し、このフローセルベース6内に圧電センサー7を格納した状態で保持位置から接続位置までフローセルベース6を移動させてもよい。この場合にはフローセルベース6と圧電センサー7との間に通流空間が形成されるようにフローセルベース6を構成することにより、マイクロ流路チップ73やゴムパッキン73aを利用することなく通流空間を形成することが可能となる。
【0087】
また、案内部材42の先端部に案内面421を設け、フローセルベース6の後端部に被案内面621を設けて、案内部材42の手前側に設定された保持位置から接続位置へ向けてフローセルベース6を移動させる際に、案内部材42側の案内面421にて被案内面621を案内させるようにして、フローセルベース6を案内部材42上に乗り上げさせる構成は必須ではない。例えば案内部材42上に保持位置を設定し、フローセルベース6が案内部材42上に載置された状態にて圧電センサー7をフローセルベース6に保持させ、そこから接続位置へ向けて移動を開始するようにしてもよい。
【0088】
さらにまた本発明において案内部材42は、例えば手前側から奥手側へ向けて徐々に低くなる傾斜を有していてもよく、反対に同方向へ向けて徐々に高くなる傾斜を有していてもよい。上下方向に移動可能な遊びをもって移動機構2に取り付けられた保持部材6が、自重によって案内部材42側に押し付けられながら接続部(本例では端子部412)に向けて水平方向に案内される構成を備えていれば、本発明の効果を得ることができる。
【0089】
そして本感知装置1を適用可能な圧電センサー7は上述の例に限定されるものではなく、例えば水晶振動子72に設けられた振動領域70a、70bの数は2個の例に限らず1個でもよいし3個以上であってもよい。この場合には、感知装置1は振動領域の数に応じた発振回路部81a、81bを備えることが好ましいが、複数の振動領域にて1個の発振回路を共有してもよい。また水晶以外の圧電材料を用いて圧電振動子を構成してもよく、圧電センサー7やフローセルベース6、空間形成部材(マイクロ流路チップ73、ゴムパッキン73a)、フローセルカバー51の形状も必要に応じて適宜変更できる。
このほか通流空間に供給される試料流体は液体に限られるものではなく、気体であってもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
1 感知装置
2 移動機構
3 昇降機構
41 シャーシ部
411 接続口
412 端子部
42 案内部材
421 案内面
51、51a
フローセルカバー
6 フローセルベース
62 突片部
621 被案内面
7 圧電センサー
70a 第1の振動領域
70b 第2の振動領域
72 水晶振動子
73 マイクロ流路チップ
73a ゴムパッキン
8 制御部
81a 第1の発振回路部
81b 第2の発振回路部
83 モータードライバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子を備えた圧電センサーを前進させて測定器本体に装着すると共に、この圧電センサーを後退させて当該測定器本体から取り外し、前記圧電振動子の吸着面に設けられた吸着層へ感知対象物が吸着されることによる当該圧電振動子の発振周波数の変化に基づいて感知対象物を感知する感知装置であって、
前記測定器本体に設けられ、圧電振動子の被接続端子を発振回路に接続するための接続部と、
前記圧電センサーを着脱自在に保持するための保持部材と、
前記保持部材が上下方向へ移動可能な遊びを持って取り付けられる移動体と、
前記接続部の手前側に設定され、前記保持部材に圧電センサーを保持させるための保持位置と、前記圧電センサーを測定器本体に装着するために前記被接続端子が接続部に接続される接続位置との間で前記移動体を前後に水平方向に移動させる移動機構と、
前記移動体が保持位置から接続位置へと移動する際に、前記保持部材がその上に載置された状態で前方側に案内される案内部材と、を備えたことを特徴とする感知装置。
【請求項2】
前記保持位置は案内部材の手前側に設けられ、前記案内部材の手前側の先端部の上面には、手前側から奥手側へ向けて徐々に高くなるように形成された傾斜面からなる案内面が設けられ、前記保持部材には、前記案内面と対向する領域の下面に、手前側から奥手側へ向けて徐々に高くなるように形成された傾斜面からなる被案内面が設けられ、
前記移動体が保持位置から接続位置に移動する際に、当該保持部材は、その被案内面が案内部材の案内面に案内されるようにして案内部材上に乗り上げてから、この案内部材上に載置された状態で前方側に案内されることを特徴とする請求項1に記載の感知装置。
【請求項3】
前記圧電センサーは、前記圧電振動子の吸着面側に試料流体を通流させる通流空間を形成するための空間形成部材と積層された状態で使用され、
前記測定器本体に装着された圧電センサーに積層された空間形成部材を当該圧電センサーに向けて押し当てて固定する固定部材と、
空間形成部材を固定する固定位置と、この固定位置から退避した退避位置との間で前記固定部材を昇降させるための昇降機構と、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の感知装置。
【請求項4】
前記固定部材には、前記空間形成部材に設けられた供給孔を介して通流空間内に試料流体を供給するための供給路及び、当該空間形成部材に設けられた排出孔を介して試料流体を排出するための排出路が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の感知装置。
【請求項5】
前記昇降機構は、前記固定位置と退避位置との間で前記固定部材を昇降させる際に、予め設定した負荷よりも大きな負荷が加わった場合に当該固定部材の昇降を停止することを特徴とする請求項3または4に記載の感知装置。
【請求項6】
前記測定器本体には、発振回路に接続された圧電振動子の温度を予め設定された温度に維持するための温度調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の感知装置。
【請求項7】
前記圧電振動子には、第1の振動領域と、弾性的な境界領域を介して、当該第1の振動領域とは異なる領域に配置された第2の振動領域とが設けられ、これら第1の振動領域と第2の振動領域とを各々発振させるための第1の発振回路及び第2の発振回路を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一つに記載の感知装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記保持位置と接続位置との間で前記移動体を移動させる際に、予め設定した負荷よりも大きな負荷が加わった場合に当該移動体の移動を停止することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一つに記載の感知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−13535(P2012−13535A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150224(P2010−150224)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)