説明

懸吊装置を有する景品取得ゲーム装置

【課題】顧客に様々な景品の取得の仕方を発見してもらい、興味を長続きしてもらう懸吊装置を有する景品取得ゲーム装置を提供することにある。
【解決手段】外部からの操作入力に応じて、物品取得部により物品収容部に位置する物品を取得する物品取得ゲーム機において、前記物品取得ゲーム機は、前記物品収容部の空間内に突出して設けられた棒状部材を有する懸吊装置を備えてなり、前記懸吊装置は前記棒状部材の側表面と前記棒状部材の軸心とまでの距離が小から大または大から小となる領域を有し、該領域は掛着部材が掛着可能に形成されてなることを特徴とする物品取得ゲーム機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品取得ゲーム装置の景品展示室内に吊下げ部を有する景品を懸吊装置に吊下げた際に、景品獲得装置での獲得動作時に難易度をつけることが可能な懸吊装置を有する景品取得遊戯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の景品取得ゲーム装置の景品懸吊装置としては、景品を懸吊する景品懸吊棒と、この景品懸吊棒の開放端部上面に形成した摺動抵抗部とより成る景品獲得式遊戯機における景品懸吊装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
また、棒状部材と落下防止部材からなり、落下防止部材は基端部から開放端部に向かって断面が拡大する略円錐状に形成され、先端外周縁と棒状部材の略軸心の距離が一定しないようにした懸吊装置が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−300127号公報
【特許文献2】特開平10−211353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、景品懸吊棒の開放端部上面に形成した摺動抵抗部が凹凸に形成され、該凹凸を複数段設けることにより、吊り下げられた景品をキャッチャユニットで握持して水平に引っ張り、前記凹凸を超えることで景品を段階的に取得容易位置に移動する方式でしかない。
【0006】
さらに特許文献2の懸吊装置では、落下防止部材は基端部から開放端部に向かって断面が拡大する略円錐形状であり、しかも先端外周縁と帽章部材の略軸心の距離が一定でないため、落下防止部材を回転させると、落下防止部材の上縁の傾斜勾配が変化する仕掛けであり、吊り下げた景品を手前に引っ張る際に、景品取得の難易度を変換させるのである。
【0007】
特許文献1の摺動抵抗部における凹凸は摺動抵抗部の開放端部方向に向かって一様に設けられ、特許文献2の落下防止部材は落下防止部材の開放端部方向に向かって上方にのみ傾斜せしめられている。(言い換えれば、いずれの装置も吊り下げられた景品が引っ張られる方向への段差や傾斜を設けたのに過ぎない。)即ち、いずれの装置も単純な構造でしかなく、遊技者はやがて景品取得の面白さを失う恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、景品を懸吊するための景品懸吊棒および落下防止部材に凹凸を、開放端部方向に対して様々な条件で設ける。このことにより景品を景品吊下棒に掛着しているための掛着部材を押動させたときの景品の動きを複雑にし、遊戯者にとって興味のある動きとする。
【0009】
これにより、景品懸吊棒に掛着された掛着部材を押動させて景品吊下棒および落下防止部材から外して景品を獲得する際に、顧客(遊戯者)に様々な景品の取得の仕方を発見してもらうことで、遊戯者の興味を長続きさせる景品取得ゲーム機及び景品取得ゲーム機の懸吊装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外部からの操作入力に応じて、物品取得部により物品収容部に位置する物品を取得する物品取得ゲーム機において、前記物品取得ゲーム機は、前記物品収容部の空間内に突出して設けられた棒状部材を有する懸吊装置を備えてなり、前記懸吊装置は前記棒状部材の長手方向に沿って側表面と前記棒状部材の軸心とまでの距離が小から大または大から小となる領域を有し、該領域は掛着部材が掛着可能に形成されてなることを特徴とする物品取得ゲーム機である。
【0011】
これにより、掛着部材が掛着された棒状部材を有する物品取得ゲーム機において、棒状部材から外すために掛着部材を押動させると複雑な動きが発生する。
【0012】
また、本発明は上述の物品取得ゲーム機の前記懸吊装置が、前記領域が離散的かつ複数設けられるとともに、前記領域の少なくとも一部が前記棒状部材に対して設けられることを特徴とする物品取得ゲーム機である。
【0013】
これにより、棒状部材に掛着された掛着部材が押動(摺動)するときの動きがより複雑になる。
【0014】
また、本発明は上述の物品取得ゲーム機の前記被掛着部が前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成されてなる領域を有し、前記領域は前記各角度領域では互いに異なる形態として形成されるとともに互いに接する前記各角度領域内の前記領域は連続して形成されてなることを特徴とする物品取得ゲーム機である。
【0015】
これにより、棒状部材を回転させて物品取得ゲーム装置に取り付けることで、掛着部材を押動(摺動)させたときの動きを多様にできる。
【0016】
また、本発明は外部からの操作入力を受け付ける操作部と、係止片と該係止片を回動するための回動部とを備える物品取得部と、前記物品取得部を縦方向、横方向又は奥方向へ移動可能にするための移動部と、物品を収容する物品収容部と、前記物品収容部内に上部が開口した物品投入部と、前記物品投入部の上方に突出して設けられ、少なくとも上部側表面の一部と軸心とまでの距離が小から大または大から小となり、掛着部材が掛着可能に形成されてなる、被掛着部を有する棒状部材と、前記操作部からの操作情報及び予め記憶されている制御情報に応じて、前記移動部が前記物品取得部を横方向及び奥方向に移動させ、前記回動部が前記係止片を反時計回り方向へ回動させ、前記移動部が前記物品取得部を縦方向に移動させ、前記回動部が前記係止片を時計回り方向に回動させるように制御する制御部と、を備える物品取得ゲーム機である。
【0017】
さらに本発明は、上述の物品取得ゲーム機の前記棒状部材を前記制御部により前記回動部が前記係止片を時計回り方向に回動したとき、前記係止片と前記掛着部材が当接する位置に配設することを特徴とする物品取得ゲーム機である。
【0018】
本発明は、上述の物品取得ゲーム機の前記被掛着部が前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成されてなる領域を有し、前記領域は前記角度領域では互いに異なる形態として形成されるとともに互いに接する角度領域の形態は連続する形態として形成されてなることを特徴とする物品取得ゲーム機である。
【0019】
本発明は、上述の物品取得ゲーム機の前記被掛着部が、前記領域が前記軸心に対する斜め方向に凹部または凸部を備え、前記凹部または前記凸部は、前記棒状部材の先端に向けて斜面が形成されてなる物品取得ゲーム機である。
【0020】
本発明は、外部からの操作入力に応じて、物品取得部により物品収容部に位置する物品を取得する物品取得ゲーム装置において、前記物品収容部の空間内に突出して設けられた棒状部材を備える懸吊装置であって、前記懸吊装置が前記棒状部材の側表面と前記棒状部材の軸心とまでの距離が小から大または大から小となる領域を有し、該領域が、掛着部材が掛着可能に形成されてなることを特徴とする懸吊装置である。
【0021】
本発明は、前記懸吊装置が、前記領域が離散的に複数設けられ、かつ、前記領域の少なくとも一部が前記棒状部材の短手方向に対し、平行に設けられていることを特徴とする懸吊装置である。
【0022】
本発明は、前記懸吊装置が前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成されてなる領域を有し、前記領域が前記各角度領域においては互いに異なる形態として形成されるとともに、互いに接する場合における前記各角度領域内の前記領域は連続して形成されてなることを特徴とする懸吊装置である。
【発明の効果】
【0023】
本願は、景品懸吊棒に掛着された掛着部材を押動させて景品吊下棒および落下防止部材から外して景品を獲得するとき、顧客(遊戯者)に様々な景品の取得の仕方を発見してもらい、遊戯者の遊戯に対する興味を長続きしてもらうことができる景品取得ゲーム装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本景品取得ゲーム装置の外観図である。
【図2】景品取得ゲーム装置を上部方向から見た場合の天井部分の一部裁断斜視図である。
【図3】景品取得ゲーム装置の駆動機構と操作部の略平面図である。
【図4】把持部の斜視図である。
【図5】支持部の斜視図である。
【図6】景品取得ゲーム装置のブロック図である。
【図7】景品取得ゲーム機の基本的な動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】景品展示室の平面図である。
【図9】懸吊棒に取り付けたキャップ体にリング体を用いて吊り下げた景品と、把持部の斜視図である。
【図10】キャップ体の溝にリング体を掛着したときの正面図と平面図である。
【図11】懸吊棒を左斜め前方に突出させた平面図である。
【図12】3態様のキャップ体の溝に掛着されたリング体の平面図である。
【図13】長溝がキャップ体の円筒側面を一周している図(平面図)である。
【図14】キャップ体の第二実施例である。
【図15】キャップ体の第三実施例にリング体を用いて吊り下げた景品と把持部の斜視図である。
【図16】キャップ体の第三実施例を取り付けた懸吊棒の側面図である。
【図17】キャップ体の第三実施例を取り付けた懸吊棒の正面図ある。
【図18】リング体が掛着されたキャップ体の第三実施例とアームの爪部との関係を示した平面図である。
【図19】キャップ体の第三実施例が略1/4ずつ回転したときの側面図である。
【図20】キャップ体の第四実施例の側面図および正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず、以下において、本発明による物品獲得ゲーム装置の実施形態につき、物品の取得動作を含め図面に基づき説明する。
【0026】
図1は、本景品取得ゲーム装置の外観図である。図2は、景品取得ゲーム装置を上部方向から見た場合の天井部分の一部裁断斜視図である。図3は、景品取得ゲーム装置の駆動機構と操作部の略平面図である。図4は、把持部の斜視図である。
図5は、支持部の斜視図である。
【0027】
図1に示すように、物品獲得ゲーム装置100は、直方体の基台1の上に展示室(展示部/収容部)2が設けられ、この展示室2は、透明な樹脂またはガラスの板状部材によって構成されている。このような展示室2には、ぬいぐるみ等の景品3が収容されている。また、展示室2の底部には、落下した景品3を受けるための景品落下口4が設けられている。
【0028】
なお、展示室の形態は上述の構成例に限定されず、図8に示すように、展示室2には景品取得ゲーム装置の中央から左右に分割された遊戯空間となっており、それぞれ空間の四隅に支柱20、21が設けられている。支柱20は、展示室2の前側に、展示室2の高さの半分程度の高さの支柱20a、20bが設けられ、支柱21は、展示室2の後側に、展示室2の上方、天井部11まで届く高さの支柱21a、21bが設けられている。
【0029】
また、支柱20、21に図示しない取り付穴を所定間隔で高さ方向に多数設けてあり、これらの取り付穴間にパイプ棚22を掛け渡すことができる。なお、このパイプ棚22は高さ方向に複数段掛け渡してもよい。
【0030】
さらに、展示室2の内部上面には、景品落下口4にそれぞれ対応して物品獲得部(物品取得部)5が吊り下げられ、この物品獲得部5は、内部上面から鉛直方向に吊り下げられ、入子式に形成された伸縮部材(例えば、伸縮パイプなど)からなる支持部6と、その支持部6の下端に設けられた把持部7とから構成されている。
【0031】
図2に示すように、展示室2の内部上面(天井部11)には、物品獲得部5を縦方向、横方向または奥方向に移動させるための移動部が設けられている。移動部は、物品獲得部5が走行するための横行用固定レール8と縦行用可動レール9とが設けられ、支持部6が、物品獲得部用基台10を介して縦行用可動レール9に配置されている。
【0032】
また、支持部6は、図示しない駆動源によって横行用固定レール8及び縦行用可動レール9上を走行可能に構成され、かつ鉛直方向にも伸縮可能に構成されている。
【0033】
また、把持部7は、アーム対(右アーム7a、左アーム7b)が設けられている。このアーム対は、通常は閉じた状態となっているが、掛着部材を押動させるときに開いて握持動作をするように構成されている。
【0034】
次に、図3に示すように、基台1の下方左右にそれぞれ、景品の取出口15(図示せず)が1つずつ設けられている。そして、それぞれの景品の取出口15は左右それぞれの景品落下口4の下端に接続されている。
【0035】
さらに、図3に示すように、基台1には、遊戯者が操作するための操作卓12が設けられている。操作卓12には、ゲームをプレイする際に遊戯者がコインを投入するコイン投入口14が左右に1つずつ設けられている。
【0036】
また、この操作卓12には、遊戯者が、物品獲得部5を所望の景品3に対応する位置に停止させるための操作部13が操作卓12の左右に、それぞれ左右2つの物品獲得部5に対応して、1箇所ずつ設けられている。
【0037】
また、各操作部13は、例えばボタンスイッチが用いられ、物品獲得部5を横方向の所定の位置に停止させるための第1のボタンスイッチ13aと、第1のボタンスイッチ13aにより横方向の所定の位置が決定された物品獲得部5を、縦方向の所定の位置に停止させるための第2のボタンスイッチ13bとからなる。さらに物品獲得部5の把持部7を任意の高さに下降させるための第3のボタンスイッチ13cが設けられている。
【0038】
なお、ここで例示している操作部13は構成例の一つにすぎず、操作部13の構成はこれに限定されない。すなわち、操作部13はボタンスイッチのみならず、ジョイスティックなどの操作レバータイプのものやそれらの組み合わせといった様々な形態のコントローラを用いることができる。
【0039】
また、図2及び図3に示すように、展示室2内には、左右それぞれの物品獲得部用基台5に対応した横行用固定レール8、縦行用可動レール9がそれぞれ設置されている。横行用固定レール8の両端近傍には縦行用可動レール9の移動範囲を定めるリミットスイッチ8a、8bが設けられている。同様に縦行用可動レール9の両端近傍には物品獲得部用基台10の移動範囲を定めるリミットスイッチ9a、9bが設けられている。さらに物品獲得部用基台10に把持部7の昇降限界を検出する鉛直方向リミットスイッチ11a、11b(図6参照)が設けられている。
【0040】
なお、図4に示すように、把持部7は、把持部7の内部に設けられているアーム開閉用モータ7eの時計回り方向(反時計回り方向)の回転駆動力に基づいて左右一対のアーム7a、7bを開閉駆動させることで、握持動作ができるように構成されている。把持力動作ギア7fは回動部材に相当し、アーム開閉用モータ7eからの回転駆動力を、巻回ばね7gを介して、左右のアーム7a、7bに伝達することで左右のアーム7a、7bの開閉動作を実現する。右アーム7aの先端には爪部7cが、左アーム7bの先端には爪部7dが取り付けられている。なお、ここで例示している把持部は構成例の一つにすぎず、把持部7の構成はこれに限定されない。
【0041】
さらに、図5に示すように、支持部6は複数個のパイプを入子式に嵌合させてなる伸縮管として構成されている。この伸縮管は、順次小径となる4本の円筒部材6b、6c、6d、6eを入子式に摺動自在に嵌合させたものである。この円筒部材の内部を通るワイヤ40の一端が把持部7に接続されており、昇降用モータ6aにてこのワイヤ40を巻き取りまたは送り出すことによって支持部6を伸縮させ、把持部7を昇降させることができる。なお、ここで例示している円筒部材は支持部6の構成例の一つにすぎず、支持部6の構成はこれに限定されない。
【0042】
次に、図6は景品取得ゲーム装置のブロック図を示している。
【0043】
操作卓12にある第1の操作部13a、第2の操作部13b、第3の操作部13c、各々からの操作信号(操作情報)及びコイン投入口のコインスイッチ14aのコイン検出信号(コイン検出情報)が制御部101に入力される。
【0044】
例えば、制御部101および記憶部102はCPU、RAM、ROMならびに入出力I/Fなどから構成されている。CPUは制御部101の制御動作の中枢となり、バスを介して、他の構成要素と制御信号やデータ信号等の受け渡しを行なって全体を統括的に制御する中央演算装置である。ROMには制御プログラムが記憶されており、CPUはROMに記憶された情報を作業中のデータを一時的に記憶するRAMを用いて処理し、信号を送受信する。入出力I/FはCPUが送受信する信号を所定の形式に変換し、CPUは入出力I/Fを介して各構成要素の制御を行なう。
【0045】
また、横行用固定レールの両端に設けた横方向リミットスイッチ8a、8b、縦行用可動レールの両端に設けた縦方向リミットスイッチ9a、9bの検出信号(検出情報)が制御部101に入力される。さらに、物品獲得部用基台10に設けた把持部7の昇降限界を検出する鉛直方向リミットスイッチ11a、11bの検出信号が制御手段101に入力される。
【0046】
図7は、各実施の形態に係る景品取得ゲーム装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0047】
遊戯者がコイン投入口14にコインを投入すると、コインスイッチ14aからのコイン検出信号が制御部101に入力され、景品取得ゲーム装置100はゲーム実行可能状態となる。
【0048】
次に、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、第1の操作部13aがONであるか否か(第1の操作部13aから操作信号の入力があるか否か)のを判断し(S101)、ONである(入力とある)と判断する場合には、景品取得ゲーム装置100の制御部101は横行用モータ8cを作動し物品獲得部5を横方向に移動させる(S102)。
【0049】
そして、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、横方向の移動限界距離を示すXリミットフラグがONであるか否か(縦行用可動レールの移動範囲を定めるリミットスイッチ8a、8bから検出信号の入力があるか否か)を判断し(S103)、ONでない(リミットスイッチ8a、8bからの検出信号の入力がない)と判断する場合には、第1の操作部13aがOFFであるか否か(第1の操作部13aから操作信号の入力がないか否か)を判断し(S104)、OFFである(第1の操作部13aから操作信号の入力がない)と判断する場合には、横行用モータ8cの作動を止めて物品獲得部5の横方向への移動を終了させる(S105)。
【0050】
次に、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、第2の操作部13bがONであるか否か(第2の操作部13bから操作信号の入力があるか否か)を判断し(S106)、ONである(第2の操作部13bから操作信号の入力がある)と判断する場合には、縦行用モータ9cを作動して物品獲得部5を縦方向に移動させる(S107)。
【0051】
そして、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、縦方向の移動限界距離を示すYリミットフラグがONであるか否か(物品獲得部用基台10の移動範囲を定めるリミットスイッチ9a、9bからの検出信号の入力があるか否か)を判断し(S108)、ONでない(リミットスイッチ9a、9bからの検出信号の入力がない)と判断する場合には、第2の操作部13bがOFFであるか否か(第2の操作部13bからの操作信号の入力がないか否か)を判断し(S109)、OFFである(第2の操作部13bからの操作信号の入力がない)と判断する場合には、縦行用モータ9cの作動を止めて物品獲得部5の縦方向への移動を終了させる(S110)。
【0052】
次に、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、第3の操作部13cがONであるか否か(第3の操作部13cからの操作信号が入力されたか否か)を判断し(S111)、ONである(第3の操作部13cからの操作信号の入力がある)と判断する場合には、アーム開閉用モータ7eを作動して物品獲得部5のアーム対を開き(S112)、そして、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、把持部7のアーム開閉用モータ7eを駆動させてアーム対を開きながら、昇降用モータ6aを作動させ、支持部6を下方向へ伸ばすことにより把持部7の下降を開始する(S113)。
【0053】
続けて、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、下方向の移動限界距離を示すZリミットフラグがONであるか否か(把持部7の昇降限界を検出する鉛直方向リミットスイッチ11a、11bの検出信号の入力があるか否か)を判断し(S114)、ONでない(リミットスイッチ11a、11bからの検出信号の入力がない)と判断する場合には、第3の操作部13cがOFFであるか否か(第3の操作部13cからの操作信号の入力があるか否か)を判断し(S115)、ONの場合(第3の操作部13cからの操作信号の入力があると判断する場合)は、Zリミットフラグがオンになる(鉛直方向リミットスイッチ11a、11bからの検出信号が制御部101に入力される)まで、昇降用モータ6aを作動し、把持部7の下降を続ける(S114)。
【0054】
S115で第3の操作部13cがOFFである(第3の操作部13cからの操作信号の入力がない)と判断する場合には、昇降用モータ6aの作動を終了して、把持部7の下降を終了し(S116)、アーム開閉用モータ7eを作動して、アーム対を閉じる(S117)。ここで、アーム7a、7bによって所望する景品3が把持される動作が実行される。
【0055】
そして、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、昇降用モータ6aを作動させ、支持部6のワイヤ40を巻き取ることで支持部6を上方向へ縮め、把持部7の上昇を開始し(S118)、上方向の移動限界距離を示すZリミットフラグがONであるか否か(把持部7の昇降限界を検出する鉛直方向リミットスイッチ11a、11bからの検出信号の入力があるか否か)を判断し(S119)、ONである(検出信号の入力がある)と判断する場合には、昇降用モータ6aの作動を終了させ、把持部7の上昇を終了する(S120)。
【0056】
そして、景品取得ゲーム装置100の制御部101は、記憶部102に予め記憶されているプログラム(制御情報)に基づき、物品獲得部5を予め定められた位置(ホームポジション)に移動させ(S121)、アーム開閉用モータ7eを作動してアーム対を開閉して(S122)、景品取得ゲーム装置の基本的な動作が終了する。
【0057】
なお、本実施例では景品獲得部5に対する横方向、縦方向、鉛直方向への動作を遊戯者が操作(指示)するための3種の操作部13が設けられているが、1つの操作部で可能な動作は1方向に限らず、また、遊戯者が3方向(3次元)の操作ができないような設定を行うことも可能である。(例えば、展示室2内部の右側と左側で異なる景品3の獲得操作を行う場合や二つの物品獲得部5を操作して1つの景品3の獲得操作を行う場合など。)即ち、難易度調整や景品のタイプに合わせて様々な設定にすることが可能である。
【0058】
これらの構成により、遊戯者は景品取得ゲーム装置の左右それぞれの物品獲得部5を独立して操作することができ、景品取得ゲーム装置での遊戯を実行することができる。
【0059】
次に、本発明における懸吊装置を備えた物品獲得ゲーム装置及び懸吊装置の実施例につき、物品の取得動作を含め図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0060】
まず、図8に景品展示室の平面図を示す。
【0061】
展示室2には本景品取得ゲーム装置の中央から左右に分割された遊戯空間となっており、それぞれ空間の四隅に支柱20、21が設けられている。支柱20は、展示室2の前側に、展示室2の高さの半分程度の高さの支柱20a、20bが設けられ、支柱21は、展示室2の後側に、展示室2の上方、天井部11まで届く高さの支柱21a、21bが設けられている。
【0062】
なお、支柱20、21に図示しない取り付穴を所定間隔で高さ方向に多数設けてあり、これらの取り付穴間にパイプ棚22を掛け渡すことができる。なお、このパイプ棚22は高さ方向に複数段掛け渡してもよい。
【0063】
このパイプ棚22に図示しない接続具を使って略水平前方に突出させて取り付けた棒を懸吊棒23とする。懸吊棒23は正面に向けて固定したり、左斜めに向けて固定したり、あるいは右斜めに向けて固定する。これは接続具を緩めて懸吊棒23の取り付け位置や回転させて取り付けることで可能となる。
【0064】
これにより把持部7のアーム7a、7bによる左右方向から握持動作に対し、設置者が任意で懸吊棒23の向きを変えて設置することができる。
【0065】
この懸吊棒23の開放端部(前方側の先端)には懸吊棒23と略同径のキャップ体24が取り付けてある。キャップ体24は懸吊棒23の開放端部に取り付けられていて、懸吊棒の向きや回転位置により、把持部7のアーム7a、7bに対して様々な位置関係にすることができる。
【0066】
図9には懸吊棒23の開放端部24(例えば、キャップ体)に掛着部材R(例えばリング)を用いて懸吊した景品3と、アーム対が閉動作をする前の把持部7との位置関係を示している。この図9における懸吊棒23は水平左斜め方向に突出している。
【0067】
なお、不図示ではあるが、掛着部材はリング状(円形状)のみでなく、例えばハンガー形状(半円形状)のものなど、懸吊棒23やキャップ体24に掛着できる形状であれば任意の形状を用いることができる。
【0068】
図10(A)は、キャップ体24の円周方向に対して略平行に設けた長溝24cにリング体Rが掛着されたときの正面図と平面図を示している。図10(B)は、キャップ体24の側表面の円周方向に対して斜めに設けた長溝24aにリング体Rが掛着されたときの正面図と平面図を示している。
【0069】
キャップ体24は、懸吊棒23の開放端部に取り付けられており、それぞれキャップ体24の側表面の円周方向に対して、左斜めに長溝24a、右斜めに長溝24b(図示せず)、平行に長溝24cがそれぞれ独立して設けてある円筒カム状の構造である。なお、各溝24a、24b、24cは同一円弧の側面にはなく、例えば円周(軸心を中心とした仮想円周)を三等分したそれぞれの側面内に形成してある。
【0070】
なお、懸吊棒23(キャップ体24)の溝が同じ側面に設けてもよい。また、キャップ体24または懸吊棒23の側表面において、複数の溝は独立して設けるだけでなく、連続して設けてもよい。すなわち、懸吊棒23(またはキャップ体24)の長手方向に沿った側表面における溝が同一円弧の側面にあってもよく、さらに円周(懸吊棒23(又はキャップ体24)の軸心を中心とした仮想円周を三等分したそれぞれの側面内に形成される溝が、異なる円弧の側面に形成された溝と連なるように形成されてもよい。
【0071】
これにより、懸吊棒23を上述のように円周に対する分割数に応じて(例えば三等分ならば、略1/3ずつ)、回転させてからパイプ棚22に取り付けることで、リング体Rが掛着される側面側の溝などを適宜選択することができる。
【0072】
なお、懸吊棒23に対して、側面に溝を有するキャップ体24を取り付ける場合に限らず、懸吊棒23の開放端部(前方の先端)の側面に対して、直接溝を設けることも可能である。
【0073】
図11は、アーム7a、7bの先端に設けた爪部7c、7dと懸吊棒を右斜め前方に突出させ、開放端部(キャップ体24)に掛着部材(リング体R)が掛着されている場合との位置関係を示している。なお、図11において、懸吊棒23に対し、キャップ体24をねじ込み式にした場合の懸吊棒23の断面を斜線で示している。
【0074】
キャップ体24の左斜め方向の長溝24aに景品に設けたリング体Rの内側を載せている。遊戯者は操作部を介して景品取得部を操作することにより、把持部7のアーム対7a、7bの開閉動作時にリング体Rの前方側端部Rfに左アームの爪部7dや左アーム7bをうまく当接することできる。
【0075】
左アームの爪部7dがリング体Rの前方側端部Rfに当接した場合にリング体Rが矢印のように動作する。つまり、リング体Rを時計方向に回転(回動)させ、リング体Rを溝24aから外してキャップ体24から取り去ることでき、景品を懸吊棒23から落下させることで獲得できる。
【0076】
即ち、この場合にリング体Rの後方側端部Rbがキャップ体24の側面に当接することで、そこが支点Pとなりリング体Rの手前側Rfがアーム7bの動きに合わせ、懸吊棒23の開放端部を掠めて溝24aから外れる。
【0077】
なお、不図示ではあるが、リング体Rのリングの外径が溝24aの溝幅より大きく、溝24aから出ている場合、左アームの爪部7dでリング体Rの真上部Rcを押すことができればリング体Rをキャップ体24から外すことが可能となる。なお、この場合には、リング体Rが取り外しやすいようにキャップ体24の先端側の溝24afは斜面状を形成されていてもよい。
【0078】
右アーム7aや右アームの爪部7cがリング体Rの前方側端部Rfに当接した場合、リング体Rは反時計方向に回転(回動)する。
反時計方向に回転(回動)する場合において、溝24aの壁面が斜面に形成されてなるとき、回転時にはリング体Rが斜面を上るだけであり、右アーム7aや右アームの爪部7cの当接がなくなると、リング体Rが斜面24afをすべり戻り元の位置に戻る。
【0079】
図12は、懸吊棒の開放端部に取り付けたキャップ体の長溝が、円周方向に対して左斜め、右斜め、円周に平行の各3態様に設けられたときのリング体の位置と、アームとの関係を示した平面図である。
【0080】
キャップ体24の右斜め方向の溝にリング体Rが掛着されている場合、左アーム7b(左アームの爪部7d)をリング体Rの前方側端部Rfに当接してリング体Rをキャップ体24から外すことはできない。
【0081】
キャップ体24の円周方向に対して平行に設けられた溝にリング体Rが掛着されている場合であれば、アームと懸吊棒との角度関係により、右アーム7a(右アームの爪部7c)を当接させて取り外すことが可能である。
【0082】
図13は、懸吊棒23の開放端部に取り付けられ、一部の側表面が軸心方向に凹んだ鼓型のカム状に形成されたキャップ体の平面図である。
【0083】
なお、本実施例における「溝」・「長溝」とは、例えば、懸吊棒23(またはキャップ体24)の軸心Lから懸吊棒23(またはキャップ体24)の長手方向に沿った側表面までの距離が小から大または大から小となる領域、もしくは小から大及び大から小となる領域のことを示す(図13参照)。
【実施例2】
【0084】
図14はキャップ体24の第二の実施例である。
【0085】
つまり、図14(A)に示すキャップ体24は、リング体はキャップ体24の凹んだ領域における開放端部側に向かって上った斜面24daと、懸吊棒23側に向かって上った傾斜面24dbとが設けられ、その斜面24daと傾斜面24dbとの境目である底部24dに掛着される。
【0086】
これにより、図14(A)に示すように、キャップ体24の形状が底部24dに掛着されリング体Rに把持部7のアームを当接させたが、斜面24daを上りきらず、キャップ体24から外れなかったとき、リング体Rは底部24dに向かって下がる勢いで底部24dを越えて反対側の斜面24dbを登る。そして、リング体は斜面24db上で止まり、底部24dに向かって下がるという運動を繰り返して減衰しながら底部24dに静止する。
【0087】
図14(B)に示すように、底部24dの断面を水平方向に対してリング体Rの内径より小さい内径の円の円弧状に形成した場合、底部24dに掛着されたリング体Rが底部24dの側表面上部に一点で支えられ、リング体Rを支える一点が回動支点となり、より揺れやすくなる。
【0088】
図14(C)に示すように、底部24dの断面を逆三角形状(二頂点が上方に位置する形態)にした場合では、底部24dとリング体Rが二点で接するため、リング体Rの揺れは大きくならない(図14(D)参照)。
【0089】
逆に、図14(E)に示すように、底部24dの断面を三角形状(一頂点が上方に位置する形態)にした場合、リング体Rが底部24dの一点で支えられ、この底部24dの一点が回動支点となり、これによってリング体Rが揺れやすくなる。
【0090】
これらによれば、静止するまでの間リング体Rはゆらゆらと揺れることになり、見た目に動きが現われることになる。つまり、景品自体が左右にゆらゆら揺れる動きをすることにより、遊戯者の景品取得ゲーム機での遊戯に対する興味を長続きさせることが可能となる。
【0091】
なお、本実施例における「斜面」「傾斜面」とは、例えば、懸吊棒23(またはキャップ体24)の軸心Lから懸吊棒23(またはキャップ体24)の長手方向に沿った側表面までの距離が小から大または大から小となる領域、もしくは小から大及び大から小となる領域のことを示す。図14(A)に示すように、底部24dにおける軸心Lから側表面までの距離は、軸心Lから斜面24da上の底部24d以外の他の側表面までの距離より小さい。
【実施例3】
【0092】
図15は懸吊棒23の開放端部側に取り付けた象のキャラクターを模したキャップ体25にリング体Rを用いて吊り下げた景品3を、把持部7により取得する様子を示した斜視図である。
【0093】
懸吊棒23は略水平前方に突出して取り付けられている。また、キャップ体25における懸吊棒23との嵌合部25jから前方に向かって首部25aを経て頭部25dがあり、頭部25dの右方に右耳部25b、左方に左耳部25c、前方かつ右上方に鼻部25e、下方に足部25gが突出している。
【0094】
図16はキャップ体25を開放端部に取り付けた懸吊棒23の側面図である。また、図17はキャップ体25を開放端部に取り付けた懸吊棒23の正面図である。
【0095】
キャップ体25はキャップ体25の嵌合部25jを斜線で示した懸吊棒23の前方端部に押圧させて取り付けており、左耳部25cが頭部25dの後方かつ左方に、足部25gが下方に突出している。鼻部25eは前方かつ上方に突出する形状となっている。
【0096】
図17は、キャップ体24の第三の実施例の正面図である。キャップ体25は、頭部25dに対して右耳部25bが右方に、左耳部25cが左方に突出し、足部25gは下方に突出している。鼻部25eは頭部25dから右方かつ上方に向かって湾曲しながら突出している。
【0097】
図18は、景品が繋がったリング体Rを吊り下げたキャップ体25と把持部7のアームの爪部7c、7dとの位置関係を示した平面図である。
【0098】
図18(A)に示すように、懸吊棒23は略水平前方に突出している。把持部7のアーム対(アーム7a、7b)がリング体Rに対して握持動作を行う場合、右アーム7aがリング体Rの右側端部Raに当接し、左アーム7bが左側端部Rbに当接し、リング体Rを前方に押動させる。これによりキャップ体25からリング体Rが外れて、遊戯者は景品3を取得することができる。
【0099】
また、リング体Rはキャップ体25の象のキャラクター部分に掛着されているとともに把持部7の右アーム7aをキャップ体25の右方に、左アーム7bをキャップ体25の左方に位置させ、リング体Rを首部25a、頭部25d、鼻部25eの突出よって形成される凹部25f、足部25g、鼻部25eを越えてキャップ体25から外すことで、景品3を獲得できることができる。
【0100】
さらに、リング体Rの内径はキャップ体25の右耳部25bの外縁と左耳部25cの外縁との間の距離より大きいため、把持部7のアームの握持動作により右アームの爪部7cをリング体Rの右方縁部Raに、左アームの爪部7dをリング体Rの左方縁部Rbに当接させることにより、リング体Rが前方に押動させて耳部25b、25cを越えることが出来る構造となっている。
【0101】
また、耳部のうち、右耳部25bの外側縁が後方側に向いているのに対し、左耳部25cの外側縁は前方側に向いている。
【0102】
つまり、左耳部25cの外側縁は左アームの爪部7dにより押動させたい前方に向いている分、リング体Rの左耳部25cに対する引っかかり具合が弱くなる為、リング体Rの左方縁部Rbを左耳部25cから外す操作の方が、リング体Rの右方縁部Raを右耳部25bから外す操作に比べ、難易度がやさしくなる。すなわち、本実施例のキャップ体25は景品獲得時の獲得操作を行うときのリング体Rの動きを複雑にし、遊戯者にとって興味のある動きを生み出すという効果がある。
【0103】
また、図18(B)は、景品3が繋がったリング体Rを掛着したキャップ体25と把持部7のアームの爪部7c、7dとの位置関係を示した平面図である。
【0104】
図18(B)に示すように、懸吊棒23は略水平左斜め方向に突出している。すなわち、懸吊棒23が左斜めに取り付けられることにより、把持部7は握持動作前の把持部7のアームの爪部7c、7dをキャップ体25の左右方向に位置した場合には、キャップ体25の首部25aに掛着されたリング体Rも握持動作前の右アームの爪部7cと左アームの爪部7dとの対角線に対して傾いて位置する。
【0105】
すなわち、図18(B)においては、懸吊棒23を略水平左斜め方向に突出して配置することでアーム対(アーム7c、7d)の握持動作したでアームの爪部7c、7dが引き合う様に握持する、一回の握持動作で爪部7c、7dを同時にリング体Rに当接することが出来ないこととなる。
【0106】
つまり、この場合においては、右アームの爪部7cをアーム対の握持動作時にリング体Rの右側Raに当接することで、リング体Rを反時計方向に回転させ、右耳部24bからリング体Rを外すことが可能な構造となっている。
【0107】
なお、右耳部25bは後方を向いているため、押動動作時にリング体Rの右方縁部Raが右耳部25bに接触させてしまうと、リング体Rが右耳部25bの裏側に引っかかって、右耳部25bを越えられない構造となっている。
【0108】
また、左アームの爪部7dをアーム対の握持動作時にリング体Rの左側Rbにうまく当接することで、リング体Rを時計方向に回転させ、リング体Rを左耳部25cから外すことが可能な構造となっている。
【0109】
なお、左耳部25cは前方を向いているため、押動操作時にリング体Rの左方縁部Rbが左耳部25cに接触しても、リング体Rを前方へ押動する力が強ければ左耳部25cの裏側傾斜面を摺動させて左耳部25cを越えることが可能な構造となっている。
【0110】
図19は、キャップ体25が(A)、(B)、(C)、(D)の順に略中心軸を中心に遊戯者から見て時計回りに略1/4ずつ、回転して懸吊棒に嵌合させた側面図である。
【0111】
懸吊棒23を回転させる手段として、例えば、キャップ体25が取り付けられた懸吊棒23を回転させてパイプ棚22に取り付ける形式や、キャップ体25を回転させて懸吊棒23に取り付ける形式等がある。
【0112】
図19(A)は、キャップ体25が回転していない状態及び略4/4回転した側面図である。状態は図13と同様である。
【0113】
リング体Rは、首部25aや頭部25d、凹部25fに掛着される。リング体Rが首部25aに掛着されている状態のとき、アームの爪部7c、7dを当接させてリング体Rを首部25aから外したとき、アームの爪部7c、7dの当接によるリング体を前方に押動させる力が弱ければ同時に頭部25dからも外すことができず、頭部25dにリング体Rが掛着された状態となる。この場合、改めて頭部25dからリング体Rを外す操作が必要となる。このことは、頭部25dからリング体Rを前方に押動させる操作にも同様である。
【0114】
図19(B)は、キャップ体25が前方から向かって時計方向に略1/4回転したときの側面図である。この状態において、鼻部25eは頭部24dから右上方に湾曲して突出している。足部25gは右方を向き、右耳部25cが上方に、左耳部25cが下方に位置する。
【0115】
この状態ではリング体Rは首右側部25kと、凹部25fの二箇所に掛着される。さらに、この状態では、右耳部25bの外側縁が後方を向いて設けられており、右耳部25bを越えて首部25aからリング体Rを外す場合、アームの爪部を当接させてリング体Rを前方に押動させるためには、アームの爪部がリング体Rに当接させた上で、大きな力を与える必要が生じる。
【0116】
図19(C)は、キャップ体24が時計方向に略2/4回転したときの側面図である。この状態において、足部25gは上方を向き、鼻部25eは左上方に湾曲して突出している。
【0117】
この状態では、リング体Rは足部25gの後方の凹部25h、足部25gと鼻部25eによって形成される凹部25iの二箇所に掛着されうる。つまり、リング体Rを、足部25gを越えて凹部25hから外す操作及び鼻部25eを越えて凹部25iから外す操作は、キャップ体25が他の状態のときの操作と比べ、難易度は異なり、遊戯性に幅を持たせることが可能となる。つまり、リング体Rを押動させる難易度は、一体形状で構成されたキャップ体25のキャラクターの各部位の形状により様々に設定可能である。
【0118】
図19(D)は、キャップ体25が時計方向に略3/4回転したときの側面図である。この状態において、右耳部25bは下方、左耳部25cは上方に位置し、足部24gは左方に向き、鼻部25eは右下方へ湾曲して突出している。
【0119】
この状態において、リング体Rは首左側部25lに掛着されうる。つまり、この首左側部25lおよび足部25gから一度の操作でリング体Rを外せれば、外した勢いで頭部25dと鼻部24e上も摺動させてキャップ体25からリング体Rを外すことが可能となる。また、左耳部25cの外側縁は前方を向いているため、リング体Rを押動させ易いが、左耳部25cと足部25gを同時に越えなければならず、一度の操作で景品を獲得する難易度は高い。
【0120】
リング体Rを前方へ押動させる難易度はキャップ体25のキャラクターの各部位の形状により様々に設定可能である。また、懸吊棒23を回転させて取り付けるとき、回転角度によって難易度は変化させることができる。
【0121】
本実施例におけるキャップ体25は多様な凹凸を有するため、遊戯者が掛着部材(リング体R)の外し方を工夫する必要があり、遊戯に対する興味を長続きさせることが可能となる。
【実施例4】
【0122】
図20は、キャップ体24の第四の実施例の側面図である。
【0123】
図20(A)はキャップ体26の螺子部26eが斜線で示した懸吊棒23の開放端部に螺接されて取り付けられている。また、キャップ体26は猫のキャラクターを模したものである。
【0124】
キャップ体26は右耳部26b(図示せず)、左耳部26cが頭部26dから上方に向けて位置している。景品が取り付けられたリング体Rは首部26aに掛着され、リング体Rを前方に押動させて右耳部26b、左耳部26cを越えてキャップ体26から外し、リング体Rに繋がった景品を獲得することができる。なお、鼻や口、髭や目は絵柄として描かれているだけであり、掛着されたリング体Rを押動させる操作に影響はない。象のキャラクターを模したキャップ体25よりも、凹凸が少なく簡易な構造であるため難易度は低い。
【0125】
図20(B)は、キャップ体26が図20(A)の状態から略2/4回転したときの側面図である。
【0126】
図20(B)におけるキャップ体26は、右耳部26bと、左耳部26c(図示せず)は下方に位置しており、首部26aに掛着されたリング体Rを前方に押動させてキャップ体26から外し、リング体Rに繋がった景品を獲得することができる。なお、押動させて越えなければならない耳部26b、26cが下方に位置する為に、図20(A)よりも難易度は低い。
【0127】
図20(C)は、キャップ体24の変形例であるキャップ体26の正面図である。
【0128】
図20(C)におけるキャップ体26は、頭部26dの上方の右端部に右耳部26b、左端部に左耳部26cが設けられている。また、キャップ体26の略中心軸に対して左右に対称の構造である。このため、回転したときの難易度は大きく変化しない。なお、キャップ体26が時計方向に略1/4回転した状態と、略3/4回転した状態との大きな違いは、耳部26b、26cが左右方向のどちらに位置しているかのみである。
【0129】
なお、実施例3、実施例4における「凹凸」とは、例えば、懸吊棒23(またはキャップ体25、26)の軸心Lから懸吊棒23(またはキャップ体25、26)の長手方向に沿った側表面までの距離が小から大または大から小となる領域、もしくは小から大及び大から小となる領域のことを示す。図16に示すように、軸心Lから、首部25a、頭部25d、鼻部25eの各側表面までの距離はそれぞれ異なる。
【0130】
キャップ体のキャラクター部分は、象や猫に限らず全周で一体の構造物であれば良い。キャップ体に様々な動物キャラクターやオブジェクトを取り付ける事ができ、それぞれのキャップ体でリング体Rを外す上での難易度に変化をつけられることに加え、さらに、回転して取り付けることで難易度を変えられ、遊戯者の遊戯方法を多様化させて楽しませることができる。また、取り付け方法は、押圧や螺接に限らず、接合部位に磁石などの接合補助具を設けるなど、様々な様態が可能である。
【0131】
本明細書において、1対のアームの握持動作のときに、両方またはどちらか一方のアーム(アームの爪部)がリング体Rに当接することでリング体Rを押動させているが、リング体Rを懸吊棒23から外す方法はこれに限らない。1本のアームのみ有する把持部によって、アームをリング体に当接させて押動させたり、リング体にアームを引っ掛けて摺動させるなど、様々な方法が考えられる。
【0132】
キャップ体に掛着したリング体Rをキャップ体から外す方法は、記述したものに限らない。把持部7のアーム対を回転させることができれば、リング体Rを左右のアーム7a、7bで握持して外すことも可能である。
【0133】
アームの爪部の形状は略馬蹄形に限らない。例えば、凹凸のある形状にすれば、リング体Rの左右縁部を引っ掛けて前方に押動させる操作が容易となる。
【0134】
なお、本明細書における「懸吊」とは、景品などをリング体などの吊下げ部材を用いて吊下げ棒に吊下げることを示す。
【0135】
また、本明細書において「掛着」とは、リング体Rなどの掛着部材を引っ掛けるようにして懸吊棒やキャップ体に取り付けることを示す。
【0136】
さらに本明細書における「景品」とは、遊戯者が直接的に取得できる縫いぐるみ等の景品(プライズ)を想定して説明するが、このような景品のみならず、ゲームでの取得対象として収容されている物(例:メダル等)で取得後に他の景品と交換可能な物や、さらには当該物品(景品)自体の提供は行わず得点や順位を競うために用いるものなどの任意の物品が含まれることはいうまでもない。
【0137】
さらに本明細書において、図2に示すX方向、Y方向、Z方向はそれぞれ、横方向はX方向、縦方向はY方向、鉛直方向はZ方向として定義する。
【0138】
さらに本明細書における「横方向」とは、図1における展示室前面2aに対する左右方向(換言すると、展示室前面2aに向かって位置する遊戯者から見た左右方向)とし、図1における展示室前面2aに対面する遊戯者から向かって左側を「右」、右側を「左」とする。
【0139】
さらに本明細書における「縦方向」とは、上記と同様に、図1における展示室前面2aに対する奥行き方向(換言すると、展示室前面2aに向かって位置する遊戯者から見た奥行き方向)とし、展示室前面2a方向を「前方」、反対方向を「後方」とする。
【0140】
本明細書における「軸心」とは、例えば、懸吊棒23(キャップ体24、25、26)における基準となる長手方向の直線を指す(図13、図14、図16の一点鎖線L参照)。
【0141】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更を加えることができることは明らかである。すなわち、具体例の詳細および添付の図面により本発明が限定されるものと解釈してはならない。
【符号の説明】
【0142】
100 景品取得ゲーム装置
1 基台
2 展示室
3 景品
4 落下口
5 物品獲得部
6 支持部
7 把持部
8 横行用固定レール
9 縦行用可動レール
10 物品獲得部用基台
12 操作卓
13 操作部
14 コイン投入口
15 取出口
20 支柱
21 支柱
22 パイプ棚
23 懸吊棒
24 キャップ体
25 キャップ体の第三の実施例
25a 首部
25b 右耳部
25c 左耳部
25d 頭部
25e 鼻部
25f 鼻部で形成される凹部
25g 足部
25h 足部後方の凹部
25i 鼻部と足部の間の凹部
25j 嵌合部
25k 首右側部
25l 首左側部
26 キャップ体の第四の実施例
Ra リング体の右側部
Rb リング体の左側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの操作入力に応じて、物品取得部により物品収容部に位置する物品を取得する物品取得ゲーム機において、
前記物品取得ゲーム機は、前記物品収容部の空間内に突出して設けられた棒状部材を有する懸吊装置を備えてなり、
前記懸吊装置は前記棒状部材の長手方向に沿って側表面と前記棒状部材の軸心とまでの距離が小から大または大から小となる領域を有し、該領域は掛着部材が掛着可能に形成されてなる
ことを特徴とする物品取得ゲーム機。
【請求項2】
前記懸吊装置は、
前記領域が離散的かつ複数設けられるとともに、前記領域の少なくとも一部が前記棒状部材に対して設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の物品取得ゲーム機。
【請求項3】
前記領域は、
前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成され、
前記各角度領域では互いに異なる形態として形成されるとともに互いに接する前記各角度領域内の前記領域は連続して形成されてなる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の物品取得ゲーム機。
【請求項4】
外部からの操作入力を受け付ける操作部と、
係止片と該係止片を回動するための回動部とを備える物品取得部と、
前記物品取得部を縦方向、横方向又は奥方向へ移動可能にするための移動部と、
物品を収容する物品収容部と、
前記物品収容部内に上部が開口した物品投入部と、
前記物品投入部の上方に突出して設けられ、少なくとも上部側表面の一部と軸心とまでの距離が小から大または大から小となり、掛着部材が掛着可能に形成されてなる、被掛着部を有する棒状部材と、
前記操作部からの操作情報及び予め記憶されている制御情報に応じて、
前記回動部に前記係止片を反時計回り方向へ回動させ、前記移動部に前記物品取得部を縦方向に移動させ、前記回動部に前記係止片を時計回り方向に回動させるように制御する制御部と、
を備える物品取得ゲーム機。
【請求項5】
前記棒状部材は、前記制御部により前記回動部が前記係止片を時計回り方向に回動したとき、前記係止片と前記掛着部材が当接する位置に配設される
ことを特徴とする請求項4記載の物品取得ゲーム機。
【請求項6】
前記被掛着部は、
前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成されてなる領域を有し、
前記領域は前記角度領域では互いに異なる形態として形成されるとともに互いに接する角度領域の形態は連続する形態として形成されてなる
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の物品取得ゲーム機。
【請求項7】
前記被掛着部は、
前記領域が前記軸心に対する斜め方向に凹部または凸部を備え、
前記凹部または前記凸部は、前記棒状部材の先端に向けて斜面が形成されてなる、
請求項案6記載の物品取得ゲーム機。
【請求項8】
外部からの操作入力に応じて、物品取得部により物品収容部に位置する物品を取得する物品取得ゲーム装置において、前記物品収容部の空間内に突出して設けられた棒状部材を備える懸吊装置であって、
前記懸吊装置は、
前記棒状部材の側表面と前記棒状部材の軸心とまでの距離が小から大または大から小となる領域を有し、該領域が、掛着部材が掛着可能に形成されてなることを特徴とする懸吊装置。
【請求項9】
前記懸吊装置は、前記領域が離散的に複数設けられ、かつ、前記領域の少なくとも一部が前記棒状部材の短手方向に対し、平行に設けられている
ことを特徴とする請求項8記載の懸吊装置。
【請求項10】
前記懸吊装置は、
前記棒状部材の軸心を中心とした仮想円周に対し、少なくとも2以上に分割した角度領域内に、前記棒状部材の後端から先端に向けて上部側表面の一部と前記軸心とまでの距離が小から大または大から小と形成されてなる領域を有し、
前記領域が前記各角度領域においては互いに異なる形態として形成されるとともに、互いに接する場合における前記各角度領域内の前記領域は連続して形成されてなる
ことを特徴とする請求項8又は請求項9記載の懸吊装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−94492(P2010−94492A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22067(P2009−22067)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)