説明

成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素

レスピレータ取付け構成要素が説明されており、第1表面及び第2表面と、第1又は第2表面に化学的に結合されたシリコーンシール要素と、を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レスピレータ取付け構成要素、特に、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
レスピレータは、濾過プロセスにより、及び/又は別の方法での清浄空気へのアクセスを促進することにより、空気中の物質からの呼吸保護を提供する。これら装置の1つの特徴は、ユーザーとレスピレータの他の機能構成要素との間に形成されたシール、及びレスピレータの機能構成要素と構造構成要素との間に形成されたシールである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらのレスピレータに関する1つの設計面の配慮は、レスピレータの構造構成要素(単数又は複数)に対する吸入空気源構成要素、呼気構成要素、及び/又は伝声板の気密締着である。この気密シールは、多くの場合、別個のガスケット及び/又は機械的シールを必要とし、これによりレスピレータ設計の複雑さとコストが増す。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、レスピレータ取付け構成要素、特に、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素に関する。本開示は更に、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素を包含するレスピレータに関する。この成形された熱硬化性エラストマーシールは、レスピレータ取付け構成要素の少なくとも1つ又は2つの表面に化学的に結合される。多くの実施形態では、シリコーンシール要素は、レスピレータ取付け構成要素の本体の少なくとも1つの開口を貫通する。
【0005】
第1実施形態では、レスピレータ取付け構成要素は、第1表面及び第2表面と、第1又は第2表面に化学的に結合されたシリコーンシール要素と、を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を包含する。幾つかの実施形態では、シリコーンシール要素は、レスピレータ取付け本体部分の少なくとも2つの対向する主表面に化学的に結合されてもよい。シリコーンシール要素はまた、一部の形態では、レスピレータ取付け本体部分を通って延在する開口を相互に貫通し合ってもよい。
【0006】
別の実施形態では、レスピレータ取付け構成要素は、本体部分の厚みにより隔てられた第1主表面及び対向する第2主表面と、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する複数の開口と、を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を包含し、またシリコーンシール要素は、第1主表面及び第2主表面に化学的に結合され、開口を相互に貫通し合う。
【0007】
更なる実施形態では、呼吸保護マスクは、高分子剛性面体本体部分と、高分子剛性面体本体部分に取り付けられた順応性のある顔面接触部材と、を包含する。レスピレータ取付け構成要素は、高分子剛性面体本体部分に固定される。レスピレータ取付け構成要素は、取付け表面と、取付け表面に化学的に結合されたシリコーンシール要素と、を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を包含する。
【0008】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】例証的な全面形レスピレータの斜視図。
【図2】例証的な全面形レスピレータの分解斜視図。
【図3】レスピレータ取付け構成要素の斜視図。
【図4】図3に図示したレスピレータ取付け構成要素の断面斜視図。
【図5】レスピレータ取付け構成要素の斜視図。
【図6】図5に図示したレスピレータ取付け構成要素の断面斜視図。
【図7】レスピレータ取付け構成要素の斜視図。
【図8】図7に図示したレスピレータ取付け構成要素の断面斜視図。
【0010】
図は正確な縮尺であるとは限らない。図で用いられる同様の番号は同様の構成部品を指す。しかしながら、所定の図中の構成要素を指す数字の使用は、同じ数字を付けられた別の図中の構成要素を限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次の記述において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、幾つかの特定の実施形態を例として示す。本発明の範囲又は趣旨を逸脱せずに、その他の実施形態が考えられ、実施され得ることを理解すべきである。したがって、以下の「発明を実施するための形態」は、限定する意味で理解すべきではない。
【0012】
本発明で使用する全ての科学用語及び専門用語は、特に指示がない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書にて提供される定義は、本明細書でしばしば使用されるある種の用語の理解を促進しようとするものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0013】
他に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される形状、量、物理特性を表わす数字は全て、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲で示される数値パラメータは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0014】
端点による数値範囲の詳述には、その範囲内に組み入れられる全ての数が包含され(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)並びにその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、用語「又は」は、その内容が特に明確に指示しない限り、一般的に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0016】
用語「レスピレータ」とは、空気が人間の呼吸器系に進入する前に空気を濾過するために人間により着用される、個人用呼吸保護装置を意味する。この用語は、全面形レスピレータ、半面形面体レスピレータ、給気フード、動力式空気浄化レスピレータ、及び内蔵型呼吸装置を包含する。
【0017】
語句「全面形レスピレータ」とは、人間の鼻、口、及び目を覆って着用されるレスピレータを意味する。
【0018】
本開示は、レスピレータ取付け構成要素、特に、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素に関する。本開示は更に、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素を包含するレスピレータに関する。この成形された熱硬化性エラストマーシールは、取付け構成要素の少なくとも1つ又は2つの表面に化学的に結合される。多くの実施形態では、シリコーンシール要素は、レスピレータ取付け構成要素本体を貫通する。これらのレスピレータ取付け構成要素は、シリコーンシール要素と高分子剛性取付け構成要素との間に強固な結合を有する。本発明を限定するものではないが、本発明の種々の態様は以下に提供する実施例の考察を通して正しく認識されるであろう。
【0019】
熱硬化性エラストマーシールが過剰に装着されたレスピレータ取付け構成要素は、取付け構成要素本体と一体的に結合されたシール要素を提供する。この構造は、シールの耐久性を向上させ、くずが取付け構成要素本体と熱硬化性エラストマーシールとの間に挟まれるのを防止することが分かっている。この一体構造はまた、組立部品の数及び部品寸法の多様性を低減させる。本明細書に記載の過剰に装着された熱硬化性エラストマーシール材料はまた、熱硬化性エラストマーシールを取付け構成要素本体に化学的に取り付けるために、取付け構成要素本体に下塗りをする必要がない。
【0020】
図1は、例証的な全面形レスピレータ10の斜視図である。図2は、例証的な全面形レスピレータ10の分解斜視図である。この呼吸保護マスク10は、例えば、吸気弁18の1つ以上に接続された任意の化学的又は粒子状濾過カートリッジ(図示せず)を備えた1つ以上の吸気弁18、1つ以上の呼気弁16、1つ以上の伝声板14、及び/又はレスピレータ10をユーザーの頭部に固定するように構成された1つ以上のヘッドストラップ又はストラップ34を包含する、多数のレスピレータ取付け構成要素に取り付けられた高分子剛性面体本体11、顔面保護具11、又はレンズ11を包含する。弁カバー8は、呼気弁16及び伝声板14を覆って配置される。
【0021】
レスピレータ10は、レスピレータ本体又は顔面保護具11を人間の鼻及び口の上に快適に支持させるために順応性をもたせて作られた、順応性のある顔面接触部材9を包含する。図示したレスピレータ10は、2つの頬開口部12及び2つの鼻開口部13を包含する。図1は、2つの頬開口部12を図示しており、この場合、1つの頬開口部はレスピレータ取付け構成要素が含有されず、及び1つの頬開口部には吸気弁18を包含する。図2は、頬開口部12内の吸気弁18を図示している。
【0022】
レスピレータ取付け構成要素14、16、及び18は、例えば、差し込み式取付けシステムなどのいずれかの有用な方法により、開口部12及び13内部に配置されるか、又は開口部12及び13に固定される。差し込み式取付けシステムは、2つの部分を共に取り付けるために構成され、この場合、2つの部分は主にねじ山以外の要素を包含し、2つの部分は、一方の部分を少なくとも部分的に他方の部分内に挿入し、2つの部分を複数回転させずに接合できるように一方の部分を他方の部分に対して回転させることにより取り付けられるようになっている。
【0023】
図1及び図2は、1つ又は2つの頬部吸気弁18、及び1つの鼻部呼気弁16、並びに1つの鼻部伝声板14を有する呼吸保護マスク10を図示しているものの、いかなる有用な呼吸保護構成も可能である。例えば、呼吸保護マスク10は、所望に応じて、化学的若しくは粒子状濾過カートリッジ又は清浄空気源に取り付けられた単一の吸気弁、及び1つ又は2つの呼気弁又は1つ以上の伝声板を有し得る。
【0024】
図3は例証的な吸気弁18の斜視図であり、図4は図3に図示した例証的な吸気弁18の断面斜視図である。吸気弁18は、第1表面21及び第2表面22を有する、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分20を包含する。シリコーンシール要素23は、第1表面21及び第2表面22に化学的に結合される。
【0025】
シリコーンシール要素23は、熱硬化性シリコーン材料を熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分20上に過剰に装着することによって形成され得る。熱硬化性シリコーン材料は、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分20の第1表面21及び第2表面22上に直接的に化学結合(即ち、接着剤結合又は共有結合)する。
【0026】
用語「化学結合又は化学的に結合された」は、原子と分子との間の引力相互作用を担う物理過程を指し、共有及びイオン結合、並びに水素及びファンデルワールス結合を包含し、多くの場合、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分表面上の利用可能な官能基、及びそれらの熱硬化性シリコーン材料との反応性に依存し得る。多くの実施形態では、熱硬化性シリコーン材料は、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分の前処理が不要であるように選択される。換言すれば、熱硬化性シリコーン材料は、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分に対して自己接着性である。熱硬化性シリコーン材料は多くの場合、過剰な装着プロセス中に、熱硬化性シリコーン材料を硬化させるのに十分な(但し、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分のガラス転移温度より低い)温度まで熱硬化性シリコーン材料を硬化させるために加熱される。
【0027】
以下の実施例に示すように、化学結合のレベルは、平均的な破損に至る力の試験方法によって決定され得る。多くの実施形態では、平均的な破損に至る力は、25N以上、50N以上、又は100N以上、又は150N以上、又は200N以上、又は300N以上である。
【0028】
熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分20は、いずれかの有用な熱可塑性材料から形成され得る。多くの実施形態では、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分20は、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリカーボネート、ポリブチレン−テレフタレート、ポリフェニルオキシド、ポリフタルアミド、又はこれらの混合物から形成される。
【0029】
いずれかの有用な熱硬化性液状シリコーンゴム又は材料を利用して、シリコーンシール要素23を形成することができる。液状シリコーンゴムは、低い圧縮永久歪み、高い安定性、並びに熱及び冷気の極端な温度に耐える能力を有する、高純度プラチナ硬化シリコーンである。材料の熱硬化性の性質のために、液状シリコーン射出成形は多くの場合、材料を加熱空洞内に押し込んで加硫する前に材料を低温に維持する一方で、集中的に分配混合する(intensive distributive mixing)など、特殊処理を必要とする。シリコーンゴムは、交互のシリコーン及び酸素原子の主鎖、並びにメチル又はビニル側基を有する熱硬化性エラストマーの族である。シリコーンゴムは、広範囲の温度に亘ってその機械的特性を維持し、シリコーンゴムにおけるメチル基の存在により、これらの材料は疎水性となる。
【0030】
例証的な熱硬化性シリコーン材料としては、商品名:エラストシル(ELASTOSIL)LR 3070(ワッカーシリコーン(Wacker-Silicones)、ドイツ、ミュンヘン(Munich));KE2095又はKE2009シリーズ(例えばKE2095−60、KE2095−50、KE2095−40など)又はX−34−1547A/B、X−34−1625A/B、X−34−1625A/B(全て信越化学工業株式会社(Shin-Etsu Chemical Co., LTD.)(日本))で入手可能な自己接着性液状シリコーンゴムが挙げられる。これらの自己接着性液状シリコーンゴムは、液状シリコーンゴムを熱可塑性表面に化学結合させるために、特定の熱可塑性表面の前処理を必要としない。
【0031】
図示した実施形態では、第1表面21及び第2表面22は、対向する主表面である。1つ以上の開口24が、対向する第1表面21と第2表面22との間に画定されたレスピレータ取付け構成要素本体の厚みを通って延在する。レスピレータ取付け構成要素のオーバーモールド製造の間に、(シリコーンシール要素23を形成する)液状シリコーンは、1つ以上の開口24内を流れ、シリコーンシール要素23と剛性レスピレータ取付け本体部分20との間に機械的連結を形成する。
【0032】
板25は、レスピレータ取付け本体部分20に固定され得る。この板25は、レスピレータ取付け本体部分20内の一方向空気流を可能にするために、レスピレータ取付け本体部分20に対して偏倚している。
【0033】
レスピレータ取付け本体部分20はまた、差し込み式取付け要素26を包含し得る。差し込み式取付け要素26は、レスピレータ取付け本体部分20を呼吸保護マスク10の頬開口部12に締着するのを補助する。差し込み式取付け要素26は、呼吸保護マスク10の頬開口部12内部にあるか又は頬開口部12に隣接した相補要素と噛み合う。この差し込み式取付けシステムは、図示した吸気弁18を呼吸保護マスク10の頬開口部12に固定する。
【0034】
組み立てられたとき、図示した吸気弁18のシリコーンシール要素23は、第1表面21と隣接した頬開口部12表面との間に配置され、シール要素表面と頬開口部表面との境界面に気密シールを形成する。用語「気密シール」とは、未濾過空気又は周囲空気が連結境界面において呼吸保護用複合面体11内部に進入するのを実質的に防止する、連結を指す。
【0035】
真空漏れ試験を用いて気密性が測定される。試験装置は、3つのポートを備えた密閉チャンバからなる。チャンバの体積はおよそ750cmである。3つのポートのうちの1つには、レスピレータ取付け構成要素がその差し込み式取付け要素により固定される。装置の第2ポートには、チャンバの内部と周囲空気との間の圧力差を(少なくとも25cm水まで)測定できる真空計が取り付けられる。第3ポートには、真空源が遮断弁を介して取り付けられる。試験を実施するには、遮断弁を開き、真空源のスイッチを入れて、チャンバから(真空計に示される通り)大気圧より低い25cm水の圧力まで排気する。次に遮断弁を閉じ、真空源のスイッチを切る。チャンバ内部の真空レベルを60秒間観測する。内側に空気が漏れることによりチャンバ内部の圧力が増大し、これにより真空レベルが低減する。本開示に関して、チャンバと周囲空気との間の圧力差は、60秒後に15cmの水を超える。より好ましくは、圧力差は、60秒後に24cm水を超えた状態を維持する。
【0036】
また、図示した吸気弁18のシリコーンシール要素23は、第2表面22と取り付けられたフィルター付き空気源要素(図示せず)との間に配置される。フィルター付き空気源要素は、化学的若しくは粒子状濾過カートリッジ、又は清浄空気供給源であり得る。フィルター付き空気源要素は、レスピレータ取付け本体部分20上の差し込み式取付け要素27を介して、図示した吸気弁18に取り付けられ得る。この差し込み式取付け要素27は、フィルター付き空気源要素上の相補要素と噛み合う。このように、図示した吸気弁18のシリコーンシール要素23は、シール要素表面とフィルター付き空気源要素との境界面において気密シールを形成する。
【0037】
図5は、例証的な呼気弁16の斜視図であり、(図2に示した)板35は示されていない。図6は、図5に図示した呼気弁16の断面斜視図である。呼気弁16は、第1表面31及び第2表面32を有する、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分30を包含する。シリコーンシール要素33は、第1表面31に化学的に結合される。
【0038】
シリコーンシール要素33は、熱硬化性シリコーン材料を熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分30上に過剰に装着することによって形成され得る。熱硬化性シリコーン材料は、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分30の第1表面31上に直接的に化学結合(即ち、接着剤結合又は共有結合)する。用語「化学結合又は化学的に結合された」については上述した。
【0039】
熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分30は、上述のように、いずれかの有用な熱可塑性材料から形成され得る。いずれかの有用な熱硬化性液状シリコーンゴム又は材料を利用して、上述のように、シリコーンシール要素33を形成し得る。
【0040】
図示された実施形態では、第1表面31及び第2表面32は、対向する主表面である。幾つかの実施形態では、1つ以上の開口(図示せず)が、対向する第1表面31と第2表面32との間に画定されたレスピレータ取付け構成要素本体の厚みを通って延在する。レスピレータ取付け構成要素を過剰な装着した製造の間に、(シリコーンシール要素を形成する)液状シリコーンは、1つ以上の開口内を流れ、シリコーンシール要素と剛性レスピレータ取付け本体部分との間に機械的連結を形成する。
【0041】
板35は、レスピレータ取付け本体部分30に固定され得る(図2参照)。この板35は、レスピレータ取付け本体部分30内の一方向空気流を可能にするために、レスピレータ取付け本体部分30に対して偏倚している。
【0042】
レスピレータ取付け本体部分30はまた、差し込み式取付け要素36を包含し得る。差し込み式取付け要素36は、レスピレータ取付け本体部分30を呼吸保護マスク10の鼻開口部13に締着するのを補助する。差し込み式取付け要素36は、呼吸保護マスク10の鼻開口部13内部にあるか又は鼻開口部13に隣接した相補要素と噛み合う。この差し込み式取付けシステムは、図示した呼気弁16を呼吸保護マスク10の鼻開口部13に固定する。
【0043】
組み立てられたとき、図示した呼気弁16のシリコーンシール要素33は、第1表面31と隣接した鼻開口部13表面との間に配置され、シール要素表面と鼻開口部表面との境界面に気密シールを形成する。用語「気密シール」については上記に定義した。
【0044】
図7は、例証的な伝声板14の斜視図であり、図8は、図7に図示した伝声板14の断面斜視図である。伝声板14は、第1表面41と第2表面42と、を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分40を包含する。シリコーンシール要素43は、第1表面41に化学的に結合される。板45は、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分40に固定される。板45は、音をレスピレータ10のユーザーから別の人間に伝達するのを補助する。
【0045】
シリコーンシール要素43は、熱硬化性シリコーン材料を熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分40上に過剰に装着することによって形成され得る。熱硬化性シリコーン材料は、熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分40の第1表面41上に直接的に化学結合(即ち、接着剤結合又は共有結合)する。用語「化学結合又は化学的に結合された」については上述した。
【0046】
熱可塑性高分子剛性レスピレータ取付け本体部分40は、上述のように、いずれかの有用な熱可塑性材料から形成され得る。いずれかの有用な熱硬化性液状シリコーンゴム又は材料を利用して、上述のように、シリコーンシール要素43を形成し得る。
【0047】
例示された実施形態では、第1表面41及び第2表面42は、対向する主表面である。幾つかの実施形態では、1つ以上の開口(図示せず)が、対向する第1表面41と第2表面42との間に画定されたレスピレータ取付け構成要素本体の厚みを通って延在する。レスピレータ取付け構成要素を過剰に装着する製造の間に、(シリコーンシール要素を形成する)液状シリコーンは、1つ以上の開口内を流れ、シリコーンシール要素と剛性レスピレータ取付け本体部分との間に機械的連結を形成する。
【0048】
レスピレータ取付け本体部分40はまた、差し込み式取付け要素46を包含し得る。差し込み式取付け要素46は、レスピレータ取付け本体部分40を呼吸保護マスク10の鼻開口部13に締着するのを補助する。差し込み式取付け要素46は、呼吸保護マスク10の鼻開口部13内部にあるか又は鼻開口部13に隣接した相補要素と噛み合う。この差し込み式取付けシステムは、図示した伝声板14を呼吸保護マスク10の鼻開口部13に固定する。
【0049】
組み立てられたとき、図示した伝声板14のシリコーンシール要素43は、第1表面41と隣接した鼻開口部13表面との間に配置され、シール要素表面と鼻開口部表面との境界面に気密シールを形成する。用語「気密シール」については上記に定義した。
【実施例】
【0050】
シリコーンゴムと熱可塑性材料の好適な組み合わせを確認するために、幾つかの試験が用いられた。特に興味深いのは、シリコーンゴムと熱可塑性材料との間の結合の強度であり、これは、気密シールの耐久性に影響を及ぼす。
【0051】
結合強度の測定を可能にするために、代用試験用ストリップを開発した。熱可塑性材料を用いて長さ51mm、幅25mm、及び厚さ2mmの平坦な剛性基材片を成形することにより、試験用ストリップを準備する。次に、基材の一端のうちの6mmが第2金型の空洞内に突出するように、基材を第2金型内に固定する。第2金型の空洞は、幅27mm及び長さ49mmである。金型の深さは2mmであり、突出した基材端部の直近において4mmまで広がり、シリコーンが金型空洞内に注入されるとき、シリコーンが、突出した基材端部の全ての側面上に厚さ1mmの層を形成するようになっている。その結果、生じる試験用ストリップは長さ94mmであり、一方の端部上に剛性熱可塑性基材片、他方の端部上にシリコーンゴムを有する。
【0052】
基材材料とシリコーンとの間の結合の強度は、MTSモデル858材料試験システム(Material Test System)(MTSシステムズ社(MTS Systems Corporation)、ミネソタ州イーデンプレーリー(Eden Prairie))のような機械試験機のつかみ具に試験用ストリップの2つの端部を把持し、試験用ストリップが破断するまで伸張し、破損が起きた力を記録することにより測定される。破損に至る力の実施例が表1に示される。実施例1〜4は、材料の適切な組み合わせにより、300Nを超える結合強度を達成し得ることを示している。比較例C1及びC2に関して、シリコーンは熱可塑性材料に結合しなかった。
【0053】
【表1】

【0054】
ダウ(Dow)LC−70−2004シリコーンは、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corporation)(ミシガン州ミッドランド(Midland))により製造され、RTPナイロン6/6は、RTP社(RTP Company)(ミネソタ州ウィノーナ(Winona))により製造されるポリアミドであり、ザイテル(Zytel)PAは、イー・アイ・デュポン・ド・ヌムール(E.I. du Pont de Nemours)(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))により製造されるポリアミドである。
【0055】
このように、成形された熱硬化性エラストマーシールを備えたレスピレータ取付け構成要素の実施形態が開示される。本発明は、開示されたもの以外の実施形態でも実施可能であることを当業者は理解するであろう。開示された実施形態は、例証の目的で提示されているのであって、制限するものではなく、本発明は、次に続く請求項によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面及び第2表面を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分と、
該第1又は第2表面に化学的に結合されたシリコーンシール要素と、を含むレスピレータ取付け構成要素。
【請求項2】
前記シリコーンシール要素が、前記第1表面及び前記第2表面に化学的に結合される、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項3】
前記第1表面及び前記第2表面が、本体部分の厚みにより隔てられた対向する主表面である、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項4】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する少なくとも1つの開口を含み、前記シリコーンシール要素が、該開口を相互に貫通し合う、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項5】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、該高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する複数の開口を含み、前記シリコーンシール要素が、該開口を相互に貫通し合って、前記第1表面及び前記第2表面に化学的に結合される、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項6】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、該本体部分を通って延在するポートを含み、複数の開口が、該本体部分を通って延在すると共に該ポートの周りに配置され、前記シリコーンシール要素が、該ポートの周りに配置されると共に該複数の開口を相互に貫通し合う、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項7】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分に取り付けられた板を更に含むと共に、吸気弁、呼気弁、又は伝声板を形成する、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項8】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が熱可塑性ポリマーを含み、前記シリコーンシール要素が熱硬化性ポリマーであり、該熱硬化性ポリマーが該熱可塑性ポリマー上に直接的に化学結合する、請求項1に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項9】
前記レスピレータ取付け構成要素に取り付けられた化学的又は粒子状濾過カートリッジを更に含む、請求項6に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項10】
本体部分の厚みにより隔てられた第1主表面及び対向する第2主表面、並びに高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する複数の開口を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分と、
該第1主表面及び第2主表面に化学的に結合されると共に該開口を相互に貫通し合うシリコーンシール要素と、を含むレスピレータ取付け構成要素。
【請求項11】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分に取り付けられた板を更に含むと共に、吸気弁を形成する、請求項10に記載のレスピレータ取付け構成要素。
【請求項12】
高分子剛性面体本体部分と、
該高分子剛性面体本体部分に取り付けられた順応性のある表面接触部材と、
該高分子剛性面体本体部分に固定されたレスピレータ取付け構成要素とを含み、該レスピレータ取付け構成要素が、
取付け表面を有する高分子剛性レスピレータ取付け本体部分と、
該取付け表面に化学的に結合されたシリコーンシール要素と、
を含む、呼吸保護マスク。
【請求項13】
前記レスピレータ取付け構成要素が、前記高分子剛性面体本体部分に取外し可能に取り付けられる、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項14】
前記レスピレータ取付け構成要素が、該取付け表面に対向する第2表面を更に含み、前記シリコーンシール要素が、該取付け表面と該第2表面との両方に化学的に結合される、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項15】
前記取付け表面及び前記第2表面が、本体部分の厚みにより隔てられた対向する主表面である、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項16】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、該高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する少なくとも1つの開口を含み、前記シリコーンシール要素が、該開口を相互に貫通し合う、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項17】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、該高分子剛性レスピレータ取付け本体部分を通って延在する複数の開口を含み、前記シリコーンシール要素が、該開口を相互に貫通し合う、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項18】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分が、該本体部分を通って延在するポートを含み、複数の開口が、該本体部分を通って延在すると共に該ポートの周りに配置され、前記シリコーンシール要素が、該ポートの周りに配置されると共に該複数の開口を相互に貫通し合い、板が、該レスピレータ取付け本体部分に取り付けられる、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項19】
前記高分子剛性レスピレータ取付け本体部分に取り付けられた化学的又は粒子状濾過カートリッジを更に含む、請求項12に記載の呼吸保護マスク。
【請求項20】
前記呼吸保護マスクが、前記高分子剛性面体本体部分に取り付けられた伝声板を更に含む、請求項12に記載の呼吸保護マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−537724(P2010−537724A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523003(P2010−523003)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/070808
【国際公開番号】WO2009/029364
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】