扁平形蛍光ランプ及びバックライト装置
【課題】ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用でき、ひいては輝度ムラがなく、効率の良いバックライト光源ランプとして利用できる扁平形蛍光ランプを提供する。
【解決手段】両管端の内部に電極22が封装され、当該両管端の電極封装部21A,21A間の中間部分が発光部21Bとされたガラス管21であって、電極封装部の断面形状が真円形状で、発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、管内壁面のほぼ全面に蛍光体膜23が形成され、管内部に放電媒体が封入されたガラス管21で成る扁平形蛍光ランプであって、そのガラス管をその中心軸を通り、かつ、発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、電極封装部と発光部との境界部21Cの内面を、当該電極側から見て90度〜150度の角度をもってつながる形状にして、発光部の端部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用できるようにした。
【解決手段】両管端の内部に電極22が封装され、当該両管端の電極封装部21A,21A間の中間部分が発光部21Bとされたガラス管21であって、電極封装部の断面形状が真円形状で、発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、管内壁面のほぼ全面に蛍光体膜23が形成され、管内部に放電媒体が封入されたガラス管21で成る扁平形蛍光ランプであって、そのガラス管をその中心軸を通り、かつ、発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、電極封装部と発光部との境界部21Cの内面を、当該電極側から見て90度〜150度の角度をもってつながる形状にして、発光部の端部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形蛍光ランプ及びそれを光源ランプとするバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、ガラス管1の断面形状が両端の電極2の封装部1Aでも中間の発光部1Bでも真円形状である直管形で、そのガラス管1の内壁面に蛍光体膜3が形成され、管内に放電媒体が封入された構成の冷陰極蛍光ランプが知られている。この蛍光ランプでは、放電媒体として、例えば、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスの少なくとも1種類と水銀とが封入されている。
【0003】
また図11に示すように、両端内部に電極12が封装され、当該両端の電極12,12間の中間部分が発光部11Bとされたガラス管11であって、電極封装部11Aの断面形状が同図(c)のように真円形状で、発光部11Bの断面形状が同図(d)のように楕円若しくは扁平形状にされ、当該ガラス管11の内壁面に蛍光体膜13が形成され、また管内に放電媒体が封入された扁平形冷陰極蛍光ランプも知られている。
【0004】
これらの冷陰極蛍光ランプは液晶表示装置のバックライト装置の光源ランプとして使用されるものである。そして、近年は特に液晶表示装置の明るさを向上させるために高効率の蛍光ランプを得る目的で、後者の扁平形冷陰極蛍光ランプが採用されるようになってきている。
【0005】
図11に示した扁平形冷陰極蛍光ランプでは、その製造においてガラス管11の中間部分の発光部11Bを扁平に加工するために、プレス成形やローラー成形が採用されている。
【0006】
ところが、このような従来の扁平形冷陰極蛍光ランプにあっては、断面真円形状の電極封装部11Aと中間の発光部11Bとがつながる境界部11Cでの輝度がそれよりも中央部の輝度よりも暗くなる。そのため、これを液晶表示装置のバックライト装置の光源ランプとして使用したときには、境界部11Cでも液晶パネルを照明させる構造にすればランプ軸方向において輝度ムラが発生する。そして輝度ムラが出ないようにより輝度の高い中央部分からの光だけで液晶パネルを照明する構造にすれば液晶パネルに比べてバックライト装置のサイズが大きくなり、近年の液晶表示装置の狭額縁化に応えられなくなる。
【特許文献1】特開平7−109137号公報
【特許文献2】実開平5−27025号公報
【特許文献3】特開平7−105907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、真円形状の電極封装部と扁平形状の発光部との境界部の傾斜角度を適切な範囲に設定することで発光部の端部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用でき、ひいては輝度ムラがなく、効率の良いバックライト光源ランプとして利用できる扁平形蛍光ランプとそれを用いたバックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ガラス管の両管端の内部に電極が封装され、当該両管端の電極封装部間の中間部分が発光部とされ、前記電極封装部の断面形状が真円形状で、前記発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、当該ガラス管の内壁面のほぼ全面に蛍光体膜が形成され、管内部に放電媒体が封入された扁平形蛍光ランプにおいて、前記ガラス管をその中心軸を通り、かつ、前記発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、前記電極封装部と発光部とがつながる境界部の内面を、当該電極側から見て90度〜150度の傾斜角をもってつながる形状にしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の扁平形蛍光ランプを光源ランプとして備えたバックライト装置を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の扁平形蛍光ランプによれば、真円形状の電極封装部と扁平形状の発光部との境界部の傾斜角度を適切な範囲に設定することで、この境界部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用でき、ひいては輝度ムラがなく、効率の良いバックライト光源ランプとして採用することができる。
【0011】
本発明のバックライト装置によれば、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用できる扁平形蛍光ランプを光源ランプとして使用しているので、効率良く、しかも液晶パネルの全面を輝度ムラなく照明ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプ21を示している。尚、図1では左半分の端部近くの断面だけを示しているが、全体では図11のようになる。
【0013】
本実施の形態の扁平形蛍光ランプは、両管端の内部に電極22が封装され、当該両管端の電極封装部21A,21A間の中間部分が発光部21Bとされたガラス管21をランプバルブとし、このガラス管21の電極封装部21Aの断面形状を図11(c)に示した従来例と同様の真円形状とし、発光部21Bの少なくとも内部の断面形状を図11(d)に示した従来例と同様の楕円若しくは扁平形状にし、当該ガラス管21の内壁面のほぼ全面に蛍光体膜23を形成し、管内部に放電媒体を封入した構成である。そして、本実施の形態の特徴として、ガラス管21をその中心軸を通り、かつ、発光部21Bの長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、電極封装部21Aと発光部21Bとがつながる境界部21Cの少なくとも内面の傾斜を、当該電極22側から見て90度の角度をもってつながる傾斜角度AGLにしている。
【0014】
この境界部21Cの傾斜角度AGLは、90度〜150度とする。図2は、第2の実施の形態として、ガラス管21の境界部21Cの傾斜角度AGLを150度にした扁平形蛍光ランプの断面を示している。
【0015】
尚、本発明において扁平形蛍光ランプの電極封装部21Aと発光部21Bとの境界部21Cの傾斜角度を90度〜150度とする理由は次の通りである。図3は境界部21Cの傾斜角度を90度よりも小さい角度、つまり鋭角にした扁平形蛍光ランプを例示している。境界部21Cにこのような傾斜角度を持たせた扁平形蛍光ランプでは、液晶バックライト装置として使用する場合に、短径方向の前方に設置される拡散板26(あるいは、後述するタンデム形バックライト装置の場合には導光板)の方向に境界部21Cから出射する光の進路上にその境界部21C自身の他の部分が重なって存在するようになるために光の損失が大きく、電極端部近くまで高い輝度を得ることができなくなるためである。また、境界部21Cの傾斜角度を150度までとするのは、図4に示したように、断面真円形状の電極封装部から扁平断面形状の発光部までの境界部の移行幅が長くなれば、本来の扁平形蛍光ランプの短径方向での高い輝度の指向特性が境界部では得られなくなるためである。
【0016】
上記構成の扁平形蛍光ランプは、次のようにして製造する。図5(a)に示すように、直管のガラス管21iを用意し、これを軟化温度まで加熱し、プレス治具31を用いて、境界部21Cに相当する部分から発光部21Bに相当する部分を断面形状が楕円若しくは長円形状になるようにプレス成形加工する。このプレス成形加工の際に、ガラス管21iを内側から支持しない状態では同図(a)に示すように境界部21Cに相当する部分が丸くなってしまう。そこで、図5(b)に示すように、ガラス管21iの開口端部にエアを吹込み、プレス治具31の角部32に管端部を押し付けて境界部21Cに相当する部分をプレス治具31の角部32の角度に成形する。
【0017】
尚、こうしてプレス成形して得たガラス管21iに対して、その内部に蛍光体膜23を塗布形成し、管内に希ガスの少なくとも1種類と水銀との混合ガスを封入し、ガラス管21iの端部にガラスビーズ24、電極22付きのマウントを装着し、加熱封着することで図1、図2に示す構造の電極封装部21Aを形成する。25はリード線である。
【0018】
上記構成の扁平形蛍光ランプは、上記のプレス成形加工による製造方法に代えて、ガラス管を軟化温度以上に過熱した状態でローラーにて扁平形状になるように加圧成形する方法を採用することもできる。
【0019】
このような扁平形蛍光ランプは、図6に示すような液晶表示装置のバックライト装置100に要求される輝度に応じた本数だけ装着して使用する。このバックライト装置100は、タンデム式バックライト装置であり、21は扁平形蛍光ランプ、101は導光板、102は偏光板、103は拡散シートを表している。導光板101の一端部には、矩形の切欠を施すことで垂直な入射光面101aと水平な入射光面101bが形成されている。そして、各扁平形蛍光ランプ21を、その長径方向を導光板101の発光面に対して垂直に配置している。この構成のバックライト装置100では、各扁平形蛍光ランプ21から端径方向に放射する光が導光板101の垂直な入射光面101aから導光板101内に入射し、導光板101内で反射、拡散し、上側の発光面からほぼ均一に輝度に分散して出射し、液晶パネル(図示せず)を背面から照明する。
【0020】
尚、液晶表示装置のバックライト装置の構成は、これに限らず、例えば、扁平形蛍光ランプの必要本数をそれぞれの長径方向が液晶パネル面に平行になるように平らに並設し、それらの上側に拡散板を配置する構成であってもよい。
【実施例】
【0021】
図11に示した従来の扁平形蛍光ランプ、図1に示した第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプ、図2に示した第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプそれぞれを光源ランプとする比較例、実施例1、実施例2のバックライト装置について輝度測定を行った結果が、それぞれ図7〜図9に示してある。それぞれの扁平形蛍光ランプの電極封装部11A,21Aの真円径はφ4.0mmであり、扁平な発光部11B,21Bの短径寸法は2.0mmであった。そしてランプ長はいずれも等しいものであり、576mmである。そして供給するランプ電流は4mA、電圧は1240Vrmsであった。
【0022】
測定結果から明らかなように、図7に示した従来例の扁平形蛍光ランプの輝度特性は、電極封装部11Aと発光部11Bとの境界部11Cでの輝度が低く、6120cd/m2であったのに対して、実施例1の扁平形蛍光ランプでは図8に示しているように6850cd/m2であり、実施例2の扁平形蛍光ランプでは図9に示しているように6530cd/m2であり、ランプ端部まで輝度の向上が確認できた。尚、ランプ中央部の輝度はいずれのランプでもほぼ等しく、9020cd/m2であった。
【0023】
以上の実験結果より、本発明の実施例のように扁平形ガラス管21の電極封装部21Aと発光部21Bとの境界部21Cの傾斜角度を、当該電極22側から見て90度〜150度の角度にすることで、バックライト装置の光源ランプとして採用するときに液晶端部まで輝度分布をいっそう均一化できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図3】本発明の比較例の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図4】本発明の扁平形蛍光ランプの輝度特性のグラフ。
【図5】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプの製造方法の説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のバックライト装置の分解斜視図。
【図7】従来例の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図8】本発明の実施例1の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図9】本発明の実施例2の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図10】従来の直管形蛍光ランプの断面図。
【図11】従来の扁平形蛍光ランプの長径方向に沿った垂直断面図、短径方向に沿った水平断面図、電極封装部のランプ軸に垂直な方向の断面図、発光部のランプ軸に垂直な方向の断面図。
【符号の説明】
【0025】
21 ガラス管
21A 電極封装部
21B 発光部
21C 境界部
22 電極
23 蛍光体膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平形蛍光ランプ及びそれを光源ランプとするバックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図10に示すように、ガラス管1の断面形状が両端の電極2の封装部1Aでも中間の発光部1Bでも真円形状である直管形で、そのガラス管1の内壁面に蛍光体膜3が形成され、管内に放電媒体が封入された構成の冷陰極蛍光ランプが知られている。この蛍光ランプでは、放電媒体として、例えば、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスの少なくとも1種類と水銀とが封入されている。
【0003】
また図11に示すように、両端内部に電極12が封装され、当該両端の電極12,12間の中間部分が発光部11Bとされたガラス管11であって、電極封装部11Aの断面形状が同図(c)のように真円形状で、発光部11Bの断面形状が同図(d)のように楕円若しくは扁平形状にされ、当該ガラス管11の内壁面に蛍光体膜13が形成され、また管内に放電媒体が封入された扁平形冷陰極蛍光ランプも知られている。
【0004】
これらの冷陰極蛍光ランプは液晶表示装置のバックライト装置の光源ランプとして使用されるものである。そして、近年は特に液晶表示装置の明るさを向上させるために高効率の蛍光ランプを得る目的で、後者の扁平形冷陰極蛍光ランプが採用されるようになってきている。
【0005】
図11に示した扁平形冷陰極蛍光ランプでは、その製造においてガラス管11の中間部分の発光部11Bを扁平に加工するために、プレス成形やローラー成形が採用されている。
【0006】
ところが、このような従来の扁平形冷陰極蛍光ランプにあっては、断面真円形状の電極封装部11Aと中間の発光部11Bとがつながる境界部11Cでの輝度がそれよりも中央部の輝度よりも暗くなる。そのため、これを液晶表示装置のバックライト装置の光源ランプとして使用したときには、境界部11Cでも液晶パネルを照明させる構造にすればランプ軸方向において輝度ムラが発生する。そして輝度ムラが出ないようにより輝度の高い中央部分からの光だけで液晶パネルを照明する構造にすれば液晶パネルに比べてバックライト装置のサイズが大きくなり、近年の液晶表示装置の狭額縁化に応えられなくなる。
【特許文献1】特開平7−109137号公報
【特許文献2】実開平5−27025号公報
【特許文献3】特開平7−105907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、真円形状の電極封装部と扁平形状の発光部との境界部の傾斜角度を適切な範囲に設定することで発光部の端部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用でき、ひいては輝度ムラがなく、効率の良いバックライト光源ランプとして利用できる扁平形蛍光ランプとそれを用いたバックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ガラス管の両管端の内部に電極が封装され、当該両管端の電極封装部間の中間部分が発光部とされ、前記電極封装部の断面形状が真円形状で、前記発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、当該ガラス管の内壁面のほぼ全面に蛍光体膜が形成され、管内部に放電媒体が封入された扁平形蛍光ランプにおいて、前記ガラス管をその中心軸を通り、かつ、前記発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、前記電極封装部と発光部とがつながる境界部の内面を、当該電極側から見て90度〜150度の傾斜角をもってつながる形状にしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の扁平形蛍光ランプを光源ランプとして備えたバックライト装置を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の扁平形蛍光ランプによれば、真円形状の電極封装部と扁平形状の発光部との境界部の傾斜角度を適切な範囲に設定することで、この境界部での輝度低下を抑え、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用でき、ひいては輝度ムラがなく、効率の良いバックライト光源ランプとして採用することができる。
【0011】
本発明のバックライト装置によれば、ガラス管の両端部近くまで有効な発光部として利用できる扁平形蛍光ランプを光源ランプとして使用しているので、効率良く、しかも液晶パネルの全面を輝度ムラなく照明ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプ21を示している。尚、図1では左半分の端部近くの断面だけを示しているが、全体では図11のようになる。
【0013】
本実施の形態の扁平形蛍光ランプは、両管端の内部に電極22が封装され、当該両管端の電極封装部21A,21A間の中間部分が発光部21Bとされたガラス管21をランプバルブとし、このガラス管21の電極封装部21Aの断面形状を図11(c)に示した従来例と同様の真円形状とし、発光部21Bの少なくとも内部の断面形状を図11(d)に示した従来例と同様の楕円若しくは扁平形状にし、当該ガラス管21の内壁面のほぼ全面に蛍光体膜23を形成し、管内部に放電媒体を封入した構成である。そして、本実施の形態の特徴として、ガラス管21をその中心軸を通り、かつ、発光部21Bの長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、電極封装部21Aと発光部21Bとがつながる境界部21Cの少なくとも内面の傾斜を、当該電極22側から見て90度の角度をもってつながる傾斜角度AGLにしている。
【0014】
この境界部21Cの傾斜角度AGLは、90度〜150度とする。図2は、第2の実施の形態として、ガラス管21の境界部21Cの傾斜角度AGLを150度にした扁平形蛍光ランプの断面を示している。
【0015】
尚、本発明において扁平形蛍光ランプの電極封装部21Aと発光部21Bとの境界部21Cの傾斜角度を90度〜150度とする理由は次の通りである。図3は境界部21Cの傾斜角度を90度よりも小さい角度、つまり鋭角にした扁平形蛍光ランプを例示している。境界部21Cにこのような傾斜角度を持たせた扁平形蛍光ランプでは、液晶バックライト装置として使用する場合に、短径方向の前方に設置される拡散板26(あるいは、後述するタンデム形バックライト装置の場合には導光板)の方向に境界部21Cから出射する光の進路上にその境界部21C自身の他の部分が重なって存在するようになるために光の損失が大きく、電極端部近くまで高い輝度を得ることができなくなるためである。また、境界部21Cの傾斜角度を150度までとするのは、図4に示したように、断面真円形状の電極封装部から扁平断面形状の発光部までの境界部の移行幅が長くなれば、本来の扁平形蛍光ランプの短径方向での高い輝度の指向特性が境界部では得られなくなるためである。
【0016】
上記構成の扁平形蛍光ランプは、次のようにして製造する。図5(a)に示すように、直管のガラス管21iを用意し、これを軟化温度まで加熱し、プレス治具31を用いて、境界部21Cに相当する部分から発光部21Bに相当する部分を断面形状が楕円若しくは長円形状になるようにプレス成形加工する。このプレス成形加工の際に、ガラス管21iを内側から支持しない状態では同図(a)に示すように境界部21Cに相当する部分が丸くなってしまう。そこで、図5(b)に示すように、ガラス管21iの開口端部にエアを吹込み、プレス治具31の角部32に管端部を押し付けて境界部21Cに相当する部分をプレス治具31の角部32の角度に成形する。
【0017】
尚、こうしてプレス成形して得たガラス管21iに対して、その内部に蛍光体膜23を塗布形成し、管内に希ガスの少なくとも1種類と水銀との混合ガスを封入し、ガラス管21iの端部にガラスビーズ24、電極22付きのマウントを装着し、加熱封着することで図1、図2に示す構造の電極封装部21Aを形成する。25はリード線である。
【0018】
上記構成の扁平形蛍光ランプは、上記のプレス成形加工による製造方法に代えて、ガラス管を軟化温度以上に過熱した状態でローラーにて扁平形状になるように加圧成形する方法を採用することもできる。
【0019】
このような扁平形蛍光ランプは、図6に示すような液晶表示装置のバックライト装置100に要求される輝度に応じた本数だけ装着して使用する。このバックライト装置100は、タンデム式バックライト装置であり、21は扁平形蛍光ランプ、101は導光板、102は偏光板、103は拡散シートを表している。導光板101の一端部には、矩形の切欠を施すことで垂直な入射光面101aと水平な入射光面101bが形成されている。そして、各扁平形蛍光ランプ21を、その長径方向を導光板101の発光面に対して垂直に配置している。この構成のバックライト装置100では、各扁平形蛍光ランプ21から端径方向に放射する光が導光板101の垂直な入射光面101aから導光板101内に入射し、導光板101内で反射、拡散し、上側の発光面からほぼ均一に輝度に分散して出射し、液晶パネル(図示せず)を背面から照明する。
【0020】
尚、液晶表示装置のバックライト装置の構成は、これに限らず、例えば、扁平形蛍光ランプの必要本数をそれぞれの長径方向が液晶パネル面に平行になるように平らに並設し、それらの上側に拡散板を配置する構成であってもよい。
【実施例】
【0021】
図11に示した従来の扁平形蛍光ランプ、図1に示した第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプ、図2に示した第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプそれぞれを光源ランプとする比較例、実施例1、実施例2のバックライト装置について輝度測定を行った結果が、それぞれ図7〜図9に示してある。それぞれの扁平形蛍光ランプの電極封装部11A,21Aの真円径はφ4.0mmであり、扁平な発光部11B,21Bの短径寸法は2.0mmであった。そしてランプ長はいずれも等しいものであり、576mmである。そして供給するランプ電流は4mA、電圧は1240Vrmsであった。
【0022】
測定結果から明らかなように、図7に示した従来例の扁平形蛍光ランプの輝度特性は、電極封装部11Aと発光部11Bとの境界部11Cでの輝度が低く、6120cd/m2であったのに対して、実施例1の扁平形蛍光ランプでは図8に示しているように6850cd/m2であり、実施例2の扁平形蛍光ランプでは図9に示しているように6530cd/m2であり、ランプ端部まで輝度の向上が確認できた。尚、ランプ中央部の輝度はいずれのランプでもほぼ等しく、9020cd/m2であった。
【0023】
以上の実験結果より、本発明の実施例のように扁平形ガラス管21の電極封装部21Aと発光部21Bとの境界部21Cの傾斜角度を、当該電極22側から見て90度〜150度の角度にすることで、バックライト装置の光源ランプとして採用するときに液晶端部まで輝度分布をいっそう均一化できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図3】本発明の比較例の扁平形蛍光ランプの断面図。
【図4】本発明の扁平形蛍光ランプの輝度特性のグラフ。
【図5】本発明の第1の実施の形態の扁平形蛍光ランプの製造方法の説明図。
【図6】本発明の第3の実施の形態のバックライト装置の分解斜視図。
【図7】従来例の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図8】本発明の実施例1の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図9】本発明の実施例2の扁平形蛍光ランプの輝度特性を示す説明図。
【図10】従来の直管形蛍光ランプの断面図。
【図11】従来の扁平形蛍光ランプの長径方向に沿った垂直断面図、短径方向に沿った水平断面図、電極封装部のランプ軸に垂直な方向の断面図、発光部のランプ軸に垂直な方向の断面図。
【符号の説明】
【0025】
21 ガラス管
21A 電極封装部
21B 発光部
21C 境界部
22 電極
23 蛍光体膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の両管端の内部に電極が封装され、当該両管端の電極封装部間の中間部分が発光部とされ、前記電極封装部の断面形状が真円形状で、前記発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、管内壁面のほぼ全面に蛍光体膜が形成され、管内部に放電媒体が封入された扁平形蛍光ランプにおいて、
前記ガラス管をその中心軸を通り、かつ、前記発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、前記電極封装部と発光部とがつながる境界部の内面を、当該電極側から見て90度〜150度の傾斜角をもってつながる形状にしたことを特徴とする扁平形蛍光ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平形蛍光ランプを光源ランプとして備えたバックライト装置。
【請求項1】
ガラス管の両管端の内部に電極が封装され、当該両管端の電極封装部間の中間部分が発光部とされ、前記電極封装部の断面形状が真円形状で、前記発光部の少なくとも内部の断面形状が楕円若しくは扁平形状にされ、管内壁面のほぼ全面に蛍光体膜が形成され、管内部に放電媒体が封入された扁平形蛍光ランプにおいて、
前記ガラス管をその中心軸を通り、かつ、前記発光部の長径方向に垂直な面で切断した断面の内面形状について、前記電極封装部と発光部とがつながる境界部の内面を、当該電極側から見て90度〜150度の傾斜角をもってつながる形状にしたことを特徴とする扁平形蛍光ランプ。
【請求項2】
請求項1に記載の扁平形蛍光ランプを光源ランプとして備えたバックライト装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−193978(P2007−193978A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8715(P2006−8715)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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