説明

扉コーナーキャップ

【課題】扉の係合穴の加工に手間と時間を要せず、しかも扉への装着後においても脱落せずに常時安定して固定しておくことができるようにする。
【解決手段】扉Pの開放端下角部に装着するキャップ本体1を備え、該キャップ本体1の側片1aには、扉Pの下端面P2と開放端面P1のそれぞれに穿設した一対の係合穴Qに対応して、互いに内側に向けて略V字状に折曲してなる一対の係止アーム2a,2bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッカーの扉の開放端下角部に取り付けることで、使用者が誤ってロッカーの角に頭等をぶつけても怪我しないようにした扉コーナーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多人数用のロッカーは、縦横に複数の収納部を設け、それぞれの収納部に扉を取り付けたスチール製のものが殆どである。
【0003】
そして、ロッカーの使用に際し、当該ロッカーの扉は開放されたままの状態で使用されることが多いため、下にある別のロッカーを使用している人が、上の人のロッカーの扉の角で頭部を打って怪我をすることがあった。
【0004】
そこで、従来においては、特許文献1に開示されているように、ロッカーの扉の角に頭が当たっても怪我することがないように、ロッカーの扉の角に取り付けることができるようにしたコーナーキャップなる技術が存在する。
【0005】
すなわち、これは、ロッカーの扉の開放端下角部に取り付けるようにしたゴム、塩化ビニル系エラストマー等の弾性体からなるコーナーキャップであって、該コーナーキャップは、扉の外側面と当接する扇形の外側片と、扉の内側面と当接するL字形の内側片と、扉の下面と当接する下側片と、扉の開放端面と当接する側片とからなり、前記下側片には扉の下面に穿設された略凹形の係合穴と係合する突起が形成され、前記側片には扉の開放端面に穿設された略凹形の係合穴と係合する突起が形成されており、さらに、両突起には、係合穴の中央から突出して形成された舌片と係合する係合部が形成されている。
【特許文献1】特許第3368423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の特許文献1に開示されている技術においては、扉の係合穴の中央に舌片を形成することでその輪郭形状が凹形となって形成されるため、加工が複雑となり、加工に手間と時間を要する。また、下側片および側片の両突起は、高さや幅が共に小さな断面略L字状の係合部によって形成されているため、コーナーキャップ装着後に、係合穴の舌片に対し突起の係合部が撓曲もしくはスライドして外れ易いものとなる。しかも、コーナーキャップ自体は、ゴム、塩化ビニル系エラストマー等の弾性体で形成されているため、突起の係合部の経年劣化等によって腰の強さも脆弱なものとなることから、係合穴の舌片に対する係合部の把持力が次第に不安定なものとなって簡単に外れてしまうという諸々の問題点を有している。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、扉の係合穴の加工に手間と時間を要せず、しかも扉への装着後においても脱落せずに常時安定して固定しておくことができる扉コーナーキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、扉の開放端下角部に装着されるキャップ本体を備え、該キャップ本体の側片には、扉の下端面と開放端面のそれぞれに穿設された一対の係合穴に対応して、互いに内側に向けて略V字状に折曲してなる一対の係止アームを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、扉の下端面と開放端面それぞれに当接するL字形をした側片と、扉の外側面と当接するよう一方の側片縁側に形成された三角形状の外側片と、扉の内側面と当接するよう他方の側片縁側に形成された三角形状の内側片とから形成されたキャップ本体を備え、前記側片には、扉の下端面と開放端面のそれぞれに穿設された略矩形状の一対の係合穴に対応して、内側に向けて切り起こされて中間が略V字状に折曲してなる一対の係止アームが、その先端を互いに相対峙させるようにして突設されると共に、これら一対の係止アームは、前記キャップ本体の両係合穴に対して互いに拡開方向に撓曲しながら挿入されることで自体の復帰弾力によって係合穴の内周縁部にそれぞれ係架保持されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、扉の係合穴の加工に手間と時間を要せず、しかも扉への装着後においても脱落せずに常時安定して固定しておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。
本発明に係る扉コーナーキャップを構成するキャップ本体1は、図1に示すように、縦横方向に複数の収納部を設け、それぞれに取っ手Tおよび鍵穴K付きの扉Pが、ヒンジHを介して横側手前に向けて開放可能となるように取り付けてなるスチール製の多人数用のロッカーRに使用される。
【0012】
このロッカーRの扉Pは、図3(a)に示すように、矩形状のスチール板の四周縁部を内側に向けて略L字状に折曲してなり、扉Pの下端面P2と開放端面P1のそれぞれには、略矩形状の係合穴Qが穿設され、図3(b)および図3(c)に示すように、後述するキャップ本体1の一対の係止アーム2a、2bがこれら係合穴Qに対し拡開方向に撓曲しながら挿入され、自体の復帰弾力によって係止アーム2a、2bが係合穴Qの内周縁部にそれぞれ係架保持されるようにしてある。
【0013】
キャップ本体1は、合成樹脂製素材を、例えば金型を使った射出成型等によって一体形成されてなり、図2に示すように、扉Pの下端面P2と開放端面P1それぞれに当接するL字形をした側片1aと、扉Pの外側面と当接するよう側片1aの一方縁側に形成された三角形状の外側片1bと、扉Pの内側面と当接するよう側片1aの他方縁側に形成された三角形状の内側片1cとからなり、全体として略三角袋型ケース状に形成されている。
【0014】
また、キャップ本体1の側片1aには、扉Pの下端面P2と開放端面P1のそれぞれの係合穴Qに対応して一対の係止アーム2a、2bが互いに内側に向けて切り起こし状に突設されている。
【0015】
すなわち、キャップ本体1の側片1aには、図3に示すように、扉Pの下端面P2と開放端面P1のそれぞれの係合穴Qよりも若干大きな矩形状の開口部3が穿設され、該開口部3の内周縁部の互いに外側に位置する縁部それぞれからは、前記扉Pの係合穴Qに挿入可能な幅員を有し、且つ中間が内側に向けて略V字状に折曲してなる係止アーム2a、2bが互いに相対峙するようにしてそれぞれ突設されている。
【0016】
このとき、係止アーム2a、2bのV字折曲部分よりも先端側が係合穴Qの内周縁部に圧接されるようにV字折曲角度およびアーム長さそれぞれが設定されている。これによって、扉Pの両係合穴Q内へ係止アーム2a、2bを挿入するに際し、一対の係止アーム2a、2bの各先端側が、各係合穴Qの内周縁部に押されて互いに拡開方向に撓曲しながら挿入され、挿入後には係止アーム2a、2b自体の弾性力によって復帰されて係止アーム2a、2bの先端が係合穴Qの内周縁部内側にそれぞれ係架保持されるようにしている。
【0017】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例について説明する。
【0018】
先ず、図3(a)に示すように、扉Pの下端面P2と開放端面P1のそれぞれに、キャップ本体1の側片1aにある一対の係止アーム2a、2bに対応して略矩形状の係合穴Qが穿設される。
【0019】
そして、図3(a)および(b)に示すように、扉Pの各係合穴Q内にそれぞれ係止アーム2a、2bを挿入することでキャップ本体1が装着される。このとき、一対の係止アーム2a、2bの各先端側は係合穴Qの内周縁部によってそれぞれ押圧され、V字折曲部分を介して互いに拡開方向に撓曲しながら挿入される。
【0020】
挿入後には、図3(c)に示すように、係止アーム2a、2b自体の弾性力によって復帰され、各係止アーム2a、2bの先端は各係合穴Qの内周縁部よりも内側にそれぞれ係架保持される。これにより、キャップ本体1は扉Pに対し常時安定した状態でしっかりと固定される。
【0021】
また、扉Pからキャップ本体1を取り外す場合には、不図示のマイナスドライバー等で内側から外方へ向けて係止アーム2a、2bの先端を圧縮させることで容易に取り外せる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における扉コーナーキャップをロッカーの開放端下角部に取り付けた状態を示す一部を省略した正面図である。
【図2】同じく扉コーナーキャップの一例を示し、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(b)のA矢視方向から見た背面図、(d)は背面側から見た斜視図である。
【図3】同じく扉コーナーキャップの使用の一例を示し、(a)は取付前状態の一部を省略した斜視図、(b)は取付前状態の一部を省略した断面図、(c)は取付後状態の一部を省略した断面図である。
【符号の説明】
【0023】
P 扉
P1 開放端面
P2 下端面
Q 係合穴
R ロッカー
H ヒンジ
K 鍵穴
T 取っ手
1 キャップ本体
1a 側片
1b 外側片
1c 内側片
2a、2b 係止アーム
3 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開放端下角部に装着されるキャップ本体を備え、該キャップ本体の側片には、扉の下端面と開放端面のそれぞれに穿設された一対の係合穴に対応して、互いに内側に向けて略V字状に折曲してなる一対の係止アームを備えたことを特徴とする扉コーナーキャップ。
【請求項2】
扉の下端面と開放端面それぞれに当接するL字形をした側片と、扉の外側面と当接するよう一方の側片縁側に形成された三角形状の外側片と、扉の内側面と当接するよう他方の側片縁側に形成された三角形状の内側片とから形成されたキャップ本体を備え、前記側片には、扉の下端面と開放端面のそれぞれに穿設された略矩形状の一対の係合穴に対応して、内側に向けて切り起こされて中間が略V字状に折曲してなる一対の係止アームが、その先端を互いに相対峙させるようにして突設されると共に、これら一対の係止アームは、前記キャップ本体の両係合穴に対して互いに拡開方向に撓曲しながら挿入されることで自体の復帰弾力によって係合穴の内周縁部にそれぞれ係架保持されるようにしたことを特徴とする扉コーナーキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−308843(P2008−308843A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156182(P2007−156182)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(591225109)ジーエスケー販売株式会社 (14)
【Fターム(参考)】