説明

【課題】室内側に内部拠点を設けることなく、火災時に消防活動や救助活動を行う者が安全に室内に進入することができる扉を提供することで、室内の有効スペースを広くし、且つ設備コストの低減を図ることを目的としている。
【解決手段】火災時に消防活動や救助活動を行う者が室内に進入するために設けられた出入口2に設置される扉1であって、複数の小扉11〜14が上下方向に並設された構成からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防隊進入用の出入口に設置される扉に関する。
【背景技術】
【0002】
火災時の消防活動は、バルコニーや外部廊下等の外部空間を消防活動拠点として行われる場合が多い。これは、上記外部空間は、火災による煙等が溜まることが無く、恒常的に安全な空間であるからである。このように、外部空間を消防活動の拠点とすると、消防隊員にとって非常に高い安全性および安心感が与えられる。
ところで、外部空間と居室との間に壁がある場合には、消防隊員はその壁に設けられた出入口から居室内に進入することになる。この出入口には、外部空間側から開けることができる扉が設けられ、消防隊員はこの扉を開けて室内に進入する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
ところが、室内の火煙が天井を伝って扉の上部まで燃え広がっていると、扉を開けた瞬間に室内の火煙が出入口から噴出し、消防隊員が一時的に危険に晒されるおそれがある。したがって、扉を開けるときは十分に注意を払う必要があるが、通常、扉を開放せずに室内の状況を把握することは困難である。
そこで、従来、上記した扉(外扉)の室内側に、壁で囲まれた内部拠点を設ける技術がある。内部拠点には、内部拠点内を給気加圧する設備が備えられており、また、内部拠点を構成する壁には、室内に入るための扉(内扉)が設けられており、この内扉から室内に進入可能となっている。このような内部拠点がある居室の消防活動を行う場合には、まず、外扉を開けて外部空間から内部拠点に入り、この内部拠点に給気加圧を行った後、内部拠点に設けられた内扉から室内に進入する。内部拠点は給気加圧されているため、内扉を開けても室内の火煙が内部拠点側に噴出し難く、消防隊員が室内に進入する際の安全性が高められる。
【特許文献1】特開平9−125773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の技術では、内部拠点によって、日常時に使用される室内の有効スペースが削減されるという問題がある。また、内部拠点に給気加圧設備が必要であり、コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、室内側に給気加圧設備を備えた内部拠点を設けることなく、火災時に消防活動や救助活動を行う者が安全に室内に進入することができる扉を提供することで、室内の有効スペースを広くし、且つ設備コストの低減を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、火災時に消防活動や救助活動を行う者が室内に進入するために設けられた出入口に設置される扉であって、複数の小扉が上下方向に並設された構成からなることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、室内の火煙が扉の上部まで達していたとしても、火煙が達している上方の小扉を閉じたまま、火煙が達していない下方の小扉だけを開けることができ、室内の火煙を噴射させずに扉の一部を開放させることが可能である。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の扉において、小扉は、該小扉が開けられるときにその直ぐ下に配設された他の小扉に係合される構成になっていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、複数の小扉を開けるときに、開ける小扉のうちで最も上段にある小扉を開けることで、その小扉より下段の小扉も一緒に開けられる。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の扉において、上下の小扉の対向する上端面および下端面はそれぞれ段状に形成されており、下側の小扉の上端面と上側の小扉の下端面とは噛み合わされていることを特徴としている。
【0011】
このような特徴により、室内の煙が上下の小扉の隙間から流出し難くなる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の扉において、小扉には、扉の外から室内の火災状況を検知するための火災状況検知手段が設けられていることを特徴としている。
【0013】
このような特徴により、火災状況検知手段によって室内の燃え広がり状況を把握し、火煙がどの小扉まで達しているかを確認し、開けても安全な小扉だけを確実に選んで開けることができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の扉において、前記火災状況検知手段は、扉の外から室内を観察するための室内観察窓であることを特徴としている。
【0015】
このような特徴により、室内観察窓により扉の外から室内を覗き見て、室内の燃え広がり状況を確認することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る扉によれば、室内の火煙を噴出させることなく、扉の一部を開放させることが可能であるため、内部拠点が無くても、火災時に消防活動や救助活動を行う者が室内に安全に進入することができる。したがって、内部拠点を不要とすることができ、日常時に使用される室内の有効スペースを広げることができる。また、内部拠点に設置する給気加圧設備も不要であるため、設備コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る扉の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0018】
図1は本実施の形態における扉1の立面図であり、図2は本実施の形態における扉1の縦断面図であり、図3は本実施の形態における扉1の平断面図である。なお、図1はバルコニーや外部廊下等の外部空間側から扉1を見た図である。また、図2における扉1の左側が外部空間であり、扉1の右側が室内空間である。また、図3における扉1の下側が外部空間であり、扉1の上側が室内空間である。
【0019】
図1、図2、図3に示すように、外部空間と室内空間とを隔てる壁Wには、火災時に消防活動や救助活動を行う者(消防隊等)が室内に進入するために設けられた出入口2が設けられており、この出入口2には外部空間側から開けることができる扉1が設けられている。
図1、図2に示すように、扉1の概略構成は、複数の小扉11〜14が上下方向に並設された構成からなる。つまり、扉1は、大判の扉を横に切り分けて複数の小扉11〜14に分割したような構成からなる。本実施の形態では、扉1は4枚の小扉11〜14から構成されており、下から第1の小扉11、第2の小扉12、第3の小扉13、第4の小扉14の順で、縦に積み重ねるように連設されている。これらの小扉11〜14は、出入口2のサッシ3内にそれぞれ配設された横長の扉であり、小扉11〜14の横寸法Wはサッシ枠3の内法幅寸法に対応する寸法になっているが、小扉11〜14の縦寸法H1〜H4は適宜変更可能である。また、小扉11〜14の材質や内部構成などは、公知の各種の扉と同様でよく、例えば公知の防火扉と同様の材質や内部構造にすることができる。ただし、耐火性能を考慮して鋼製や耐火樹脂製、鋳物製等とすることが好ましい。
【0020】
図3に示すように、小扉11〜14は、室内側に開く片開き戸であり、具体的には、各小扉11〜14の一端(図1における右側の端部)が丁番4を介してサッシ3のたて枠にそれぞれ取り付けられている。
【0021】
また、図2に示すように、上下の小扉11〜14の上端面11a〜13aと下端面12b〜14bとが噛み合わされるような形状になっている。具体的には、上下の小扉11〜14の対向する上端面11a〜13aおよび下端面12b〜14bがそれぞれ段状に形成されている。つまり、小扉11〜14同士の接合面は、室内空間側の面の高さレベルが屋外空間側の面の高さレベルよりも高くなっている。
【0022】
また、小扉11〜14は、上記した小扉11〜14同士の段状の接合面(上端面11a〜13aおよび下端面12b〜14b)が上記したように噛み合わされるような形状であると同時に、何れかの小扉12〜14が開けられるときにその直ぐ下に配設された他の小扉11〜13も一緒に開けられる構成になっている。つまり、小扉12〜14は、その小扉12〜14が開けられるときにその直ぐ下に配設された他の小扉11〜13に係合する構成になっている。具体的には、最下段の小扉11以外の小扉12〜14の下部には、下方に突出する当接部12c〜14cが設けられており、最上段の小扉14以外の小扉11〜13の上部には、その小扉11〜13の直ぐ上にある小扉12〜14の当接部12c〜14cに当接する被当接部11d〜13dが設けられている。
【0023】
また、図1、図3に示すように、各小扉11〜14には、扉1の外から室内の火災状況を検知するための火災状況検知手段として、扉1の外(外部空間側)から室内を観察するための室内観察窓15…がそれぞれ形成されている。これら室内観察窓15…は、図3に示すように、小扉11〜14に形成された開口11e〜14eの内側にガラス15aが嵌合されているとともに、開口11e〜14eを塞ぐ蓋15b(ハッチ)が外部空間側に取り付けられた構成からなる。なお、本実施の形態では、矩形の開口11e〜14eが形成されているが、開口形状は適宜変更可能であり、例えば円形の開口であってもよい。また、ガラス15aは、耐火性、耐熱性、透明性を有する防火ガラスからなる。また、蓋15bは、断熱性を有する材料からなり、必要に応じて開閉できる構成となっている。なお、蓋15bが、片開き戸のように開閉する構成になっているが、本発明は、例えば、両開き戸のように開閉する蓋であってもよく、或いは引き戸や上げ下げ戸のように開閉する蓋であってもよい。
【0024】
また、図1、図2に示すように、各小扉11〜14には、小扉11〜14を開閉させるための取手16…がそれぞれ設けられている。これらの取手16…は、小扉11〜14の開き方向側(室内側)の面に付設されており、室内空間の中から小扉11〜14を開ける場合に用いられる。また、外部空間側から小扉11〜14を開ける場合には、小扉11〜14を手で押すことで開けられる。
なお、開けられた小扉11〜14及び蓋15b…は、公知のドアクローザーや付勢部材等によって自動的に閉められる構成としてもよく、或いは、ドアクローザー等を設けずに手で閉める構成にしてもよい。
【0025】
次に、室内空間で火災が発生した際に、外部空間を消防活動拠点にした消防隊員が、外部空間から出入口2を通って室内空間に進入する場合における、上記した構成からなる扉1の使用方法について説明する。
【0026】
まず、屋外空間側から室内の状況を確認する。具体的には、図1、図3に示すように、室内観察窓15…の蓋15bを開けて、ガラス15a越しに室内の火煙の燃え広がり状況を目視で確認する。このとき、複数の小扉11〜14にそれぞれ設けられた室内観察窓15…の各蓋15bをそれぞれ開けて、各室内観察窓15…からそれぞれ確認を行い、室内の火煙が扉1のどの辺りまで達しているかを確認する。
【0027】
次に、図4〜図7に示すように、複数の小扉11〜14のうち、室内の燃え広がり状況に応じて選定された小扉を開ける。つまり、室内の火煙Fが燃え広がってなく、開けたときに火煙Fが噴出することがない小扉を選んで開ける。
【0028】
具体的には、図4に示すように、室内の火煙Fが天井から床面近くまで降下しており、下から2番目の小扉(第2の小扉12)まで火煙Fが達している場合には、1番下の小扉11(第1の小扉11)を室内側に押して、当該第1の小扉11だけを開ける。そして、消防隊員が外部空間側で這いつくばった状態で、開かれた第1の小扉11のところから室内を覗き込み、室内の火点等の詳細を捉える。
【0029】
一方、図5に示すように、室内の火煙Fが扉1の真中の高さ位まで降下しており、下から3番目の小扉(第3の小扉13)まで火煙Fが達している場合には、下から2番目の小扉(第2の小扉12)を室内側に押して、当該第2の小扉12およびその下の第1の小扉11を同時に開ける。つまり、図2、図5に示すように、第2の小扉12が室内側に押されると、第2の小扉12の下部に設けられた当接部12cが、第1の小扉11の上部に設けられた被当接部11dに当接して、第1の小扉11が第2の小扉12と一体となって開く。その後、消防隊員は、腰を降ろした状態で、開けられた第1,第2の小扉11,12のところから室内の状況を確認したり、室内に進入したりする。
【0030】
また、図6に示すように、室内の火煙Fの天井からの降下が少なく、1番上(下から4番目)の小扉(第4の小扉14)まで火煙Fが達している場合には、上から2番目(下から3番目)の小扉(第3の小扉13)を室内側に押して、当該第3の小扉13およびその下の第2の小扉12、さらにその下の第1の小扉11を同時に開ける。つまり、図2、図6に示すように、第3の小扉13が室内側に押されると、第3の小扉13の下部に設けられた当接部13cが、第2の小扉12の上部に設けられた被当接部12dに当接して、第2の小扉12が第3の小扉13と一体となって開く。また、第2の小扉12が開くと、第2の小扉12の下部に設けられた当接部12cが、第1の小扉11の上部に設けられた被当接部11dに当接して、第1の小扉11が第2の小扉12と一体となって開く。このように第1〜第3の小扉11〜13が開かれた後、消防隊員は、前屈みの状態で、開けられた第1〜第3の小扉11〜13のところから室内の状況を確認したり、室内に進入したりする。
【0031】
さらに、図7に示すように、室内の火煙Fの降下がほとんど無く、1番上(下から4番目)の小扉(第4の小扉14)まで火煙Fが達していない場合には、当該第4の小扉14を室内側に押して、第4の小扉14およびその下の第3の小扉13およびさらにその下の第2の小扉12さらにその下の第1の小扉11を同時に開ける。つまり、図2、図7に示すように、第4の小扉14が室内側に押されると、第4の小扉14の下部に設けられた当接部14cが、第3の小扉13の上部に設けられた被当接部13dに当接して、第3の小扉13が第4の小扉14と一体となって開く。また、第3の小扉13が開くと、第3の小扉13の下部に設けられた当接部13cが、第2の小扉12の上部に設けられた被当接部12dに当接して、第2の小扉12が第3の小扉13と一体となって開く。さらに、第2の小扉12が開くと、第2の小扉12の下部に設けられた当接部12cが、第1の小扉11の上部に設けられた被当接部11dに当接して、第1の小扉11が第2の小扉12と一体となって開く。このように第1〜第4の小扉11〜14が開かれた後、消防隊員は、開けられた第1〜第4の小扉11〜14のところから室内の状況を確認したり、室内に進入したりする。
【0032】
また、室内空間にいる消防隊員が外部空間に戻る際には、何れかの小扉11〜14に付設された取手16…を引くことで扉1が室内側から開けられる。つまり、第1の小扉11の取手16を引くと当該第1の小扉11だけが開き、第2の小扉12の取手16を引くと第1の小扉11と第2の小扉12とが一体に開き、第3の小扉13の取手16を引くと第1の小扉11と第2の小扉12と第3の小扉13とが一体に開き、最上段にある第4の小扉14を開くと全ての小扉11〜14が一体に開く。
【0033】
上記した構成からなる扉1によれば、複数の小扉11〜14が上下方向に並設された構成からなるため、図4〜図7に示すように、火煙Fが達している小扉12〜14を閉じたまま、火煙Fが達していない他の小扉11〜13だけを開けることができる。このとき、火煙Fが達している小扉12〜14は閉じられているため、室内の火煙Fが外部空間側に噴出することがない。これにより、内部拠点が無くても、消防隊員が室内に安全に進入することができる。したがって、内部拠点を不要とすることができ、日常時に使用される室内の有効スペースを広げることができる。また、内部拠点に設置する給気加圧設備も不要であるため、設備コストの低減を図ることができる。
【0034】
また、上記した構成からなる扉1によれば、小扉12〜14は、この小扉12〜14が開けられるときにその直ぐ下に配設された他の小扉11〜13に係合される構成になっているため、小扉11〜14を開けるときに、開ける小扉11〜14のうちで最も上段にある小扉を開けることで、その小扉12〜14より下段の小扉11〜13も一緒に開けられる。これにより、複数の小扉11〜14をそれぞれ別々に開閉する煩雑さがなくなり、消防活動の効率化を図ることができる。
【0035】
また、上記した構成からなる扉1によれば、上下の小扉11〜14の対向する上端面11a〜13aおよび下端面12b〜14bはそれぞれ段状に形成されており、下側の小扉11〜13の上端面11a〜13aと上側の小扉12〜14の下端面2b〜14bとは噛み合わされているため、室内の煙が上下の小扉11〜14の隙間から流出し難くなる。これにより、外部空間を安全な空間に保つことができ、安心できる消防活動拠点を維持することができる。
【0036】
また、上記した構成からなる扉1によれば、扉の外から室内の火災状況を検知するための火災状況検知手段(室内観察窓15)が設けられているため、室内の燃え広がり状況を把握し、火煙Fがどの小扉11〜14まで達しているかを確認し、開けても安全な小扉だけを確実に選んで開けることができる。これにより、扉1を開ける際の火煙Fの噴出を確実に防止することができ、安全性を更に向上させることができる。
【0037】
また、上記した構成からなる扉1によれば、火災状況検知手段が、扉1の外から室内を観察するための室内観察窓15であるため、室内観察窓15により扉1の外から室内を覗き見て、室内の燃え広がり状況を確認することができる。これにより、室内の火災状況を簡単に検知することができる。
【0038】
また、上記した構成からなる扉1によれば、室内観察窓15…の蓋15b…は、断熱性の有する材料で形成されているため、室内観察窓15…のガラス15a…を通しての室内側からの火煙Fの輻射を遮断することができる。これによって、外部空間を安全な空間に保つことができ、安心できる消防活動拠点を維持することができる。
【0039】
また、上記した構成からなる扉1によれば、既存施設に備えられた他の扉と交換するだけでよいため、簡単に設置することができる。また、室内観察窓15…の蓋15b…の配置や色を変えることで、デザイン性や視認性の向上を図ることができる。さらに、防火ダンパーが閉鎖しない居室の機械排煙と組み合わせることで、屋外空間側の圧力を高くすることができ、さらに安全性を向上させることができる。
【0040】
以上、本発明に係る扉の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、4枚の小扉11〜14を縦に並べられているが、本発明は、小扉の数を適宜変更させることができ、5枚以上の小扉を縦に並べてもよく、或いは2〜3枚の小扉を縦に並べてもよい。なお、小扉の数や高さを代えることで本発明に係る扉1の高さを自由に設定することができる。
【0041】
また、上記した実施の形態では、複数の小扉11〜14が、室内側に開く片側開き戸形式の扉にそれぞれなっているが、本発明は、複数の小扉が両開き扉形式の扉になっていてもよく、或いは、外部空間側に開く開き戸形式の扉であってもよい。
【0042】
また、上記した実施の形態では、各小扉11〜14が室内空間側にそれぞれ開き、各小扉11〜14の開き側の面に取手16…がそれぞれ取り付けられているが、本発明は、これら取手16…が付設されていなくてもよい。例えば、複数の小扉が、室内空間側および外部空間側にそれぞれ開く両方向に開く構成からなり、外部空間から室内空間に進入する際だけでなく、室内空間から外部空間に戻る際にも、小扉を押して開くようにしてもよい。
【0043】
また、上記した実施の形態では、火災状況検知手段として、各小扉11〜14に室内観察窓15…がそれぞれ設けられているが、本発明は、小扉に室内観察窓が設けられていない構成であってもよい。例えば、室内観察窓以外の火災状況検知手段としては、室内温度を検知して火災状況を検知する方法がある。小扉に火災状況検知手段が設けられていない場合、まず始めに、1番下の小扉を開けて室内の状況を確認し、それから上の小扉を適宜開けるようにすることで、室内の火煙が噴出する可能性は低くなる。
【0044】
また、上記した実施の形態では、小扉12〜14が、その直ぐ下の他の小扉11〜13と一体に開閉される構成になっているが、本発明は、各小扉がそれぞれ別々に開く構成であってもよい。この場合、複数の小扉を開ける際には、各小扉をそれぞれ開ける必要がある。
【0045】
また、上記した実施の形態では、小扉11〜14の上下端面が段状に形成されているが、本発明は、小扉の上下端面が段状になっていなくてもよい。例えば、小扉の対向する上下端面を斜めに傾斜する傾斜面にしてもよい。このとき、扉開き方向側に上向きに傾斜する傾斜面にすることで、上段の小扉を開閉させた際に、その直ぐ下の小扉も一体に開閉させることができる。また、上段の小扉の下部に当接部材を付設するとともにその直ぐ下の小扉の上部に被当接部材を付設することができる。これにより、上の小扉が開くときに、その小扉に付設された当接部材が下の小扉の被当接部に当接され、上の小扉と一体に下の小扉を開閉させることができる。
【0046】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための扉の立面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための扉の縦断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を説明するための扉の横断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を説明するための小扉を開けた状態を表す扉の縦断面図である。
【図5】本発明の実施の形態を説明するための小扉を開けた状態を表す扉の縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態を説明するための小扉を開けた状態を表す扉の縦断面図である。
【図7】本発明の実施の形態を説明するための小扉を開けた状態を表す扉の縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 扉
2 出入口
11 第1の小扉(小扉)
12 第2の小扉(小扉)
13 第3の小扉(小扉)
14 第4の小扉(小扉)
15 室内観察窓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災時に消防活動や救助活動を行う者が室内に進入するために設けられた出入口に設置される扉であって、
複数の小扉が上下方向に並設された構成からなることを特徴とする扉。
【請求項2】
請求項1記載の扉において、
小扉は、該小扉が開けられるときにその直ぐ下に配設された他の小扉に係合される構成になっていることを特徴とする扉。
【請求項3】
請求項1または2記載の扉において、
上下の小扉の対向する上端面および下端面はそれぞれ段状に形成されており、
下側の小扉の上端面と上側の小扉の下端面とは噛み合わされていることを特徴とする扉。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の扉において、
小扉には、扉の外から室内の火災状況を検知するための火災状況検知手段が設けられていることを特徴とする扉。
【請求項5】
請求項4記載の扉において、
前記火災状況検知手段は、扉の外から室内を観察するための室内観察窓であることを特徴とする扉。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−106453(P2008−106453A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287831(P2006−287831)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】