説明

手差し給紙装置及び画像形成装置

【課題】ユーザ操作が容易でかつ簡易な構成で搬送力を切り換え可能な手差し給紙装置及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】画像形成装置本体R1に水平軸を回転支点16として開閉自在に設けられた手差しトレイ15と、底板19を給紙ローラ1c向けて付勢する付勢手段18と、付勢手段の付勢力を変更する付勢力変更手段17と、手差しトレイ7が開位置又は閉位置にあることを検知するトレイ開閉検知手段20、20aと、手差しトレイ7が閉じ位置にあるときに手差しトレイ15の下端から給紙ローラ1cと底板19との間にシートを挿入するシート挿入開口部とを備え、トレイ開閉検知手段20、20aが手差しトレイ15の開閉を検知すると、付勢力変更手段17が底板19を給紙ローラ1cに向けて付勢する付勢力を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置に用いる手差し給紙装置及びその手差し給紙装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、給紙機構において剛性の高い厚紙、又は平滑度の高いOHPシート等のシートは、シート搬送経路上、あるいはシートを摩擦分離するパッドやローラなどに搬送力を奪われやすい為特に高い搬送力を求められている。
【0003】
係る高い搬送力を持たせるためには係給紙ローラニップにおける付勢圧を上げることにより搬送力を上げることができる。ただし、付勢圧を上げると当然摩擦力も上がることになりローラニップ部の磨耗は激しく、狙いの耐久寿命に対して大きなリスクを負うことになる。また用紙分離部にフリクションパッド方式を持つ機構などにおいては摩擦力が上がることにより、パッド部のスティックスリップ現象による用紙さばき音が起こりやすくなり、使用時に不快な騒音を生じることが知られている。よって、コシの強い用紙を給紙する必要がある場合のみユーザが操作可能な付勢圧の切り替えレバーなどの機構を設置している場合が多い。又はユーザによるアクション動作数を減らす為に、付勢力の切り替えをモータ、ソレノイドなどにより、自動的に切り替える制御方式を持つ機構も公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、特許文献1の技術には、手差し給紙装置において手差しトレイを閉じたときにできる下方の開口部を一枚手差しとして利用可能としたことが開示されている。しかしながら、上述した給紙圧の可変機構を有していないので、手差しトレイを用いた場合に上述したシート搬送の問題がある。
【0005】
一方、手差しトレイに上述した従来の付勢圧の切り替え機構を設けると装置が複雑になると共に、ユーザ自身が紙種によりレバー操作等で付勢圧を切り替える機構では誤操作が起こり易く、また自動的に切り替える制御機構を備えると、部品数及び消費電力が上がるためコストアップに繋がる。また部品数が増えることにより装置が大型化するという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、ユーザ操作が容易でかつ簡易な構成で搬送力を切り換え可能な手差し給紙装置及び画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像形成装置本体に水平軸を回転支点として開閉自在に設けられた手差しトレイと、手差しトレイに載置された用紙を画像形成装置本体へ給紙する給紙ローラと、給紙ローラに対向して設けた底板と、底板を給紙ローラ向けて付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢力を変更する付勢力変更手段と、手差しトレイ7が開位置又は閉位置にあることを検知するトレイ開閉検知手段と、手差しトレイ7が閉じ位置にあるときに手差しトレイの下端から給紙ローラと底板との間にシートを挿入するシート挿入開口部とを備え、トレイ開閉検知手段が手差しトレイの開閉を検知すると、付勢力変更手段が底板を給紙ローラに向けて付勢する付勢力を変えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、手差しトレイを開いて手差しトレイからシートを搬送するときと、手差しトレイを閉じたままシート挿入開口部からシートを搬送するときとで、給紙ローラと底板との間の給紙圧を変えることができ、ユーザは手差し給紙をする場合に異なる搬送力を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る差し給紙装置を備える画像形成装置の概略的構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す手差し給紙装置において、手差しトレイが開位置にあるときの概略的構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す手差し給紙装置において、手差しトレイが閉位置にあるときの概略的構成を示す断面図である。
【図4】図1に示す手差し給紙装置において、給紙圧と用紙対応力との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の第2実施の形態に係る手差し給紙装置を備える画像形成装置の概略的構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施の形態に係る手差し給紙装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施の形態に係る手差し給紙装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施の形態に係る手差し給紙装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図9】本発明の第6実施の形態に係る手差し給紙装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図10】本発明の第7実施の形態に係る手差し給紙装置の主要部の構成を示す断面図である。
【図11】図10に示す手差し給紙装置の正面図である。
【図12】本発明の第8実施の形態に係る手差し給紙装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面の図1〜図4を参照して本発明の第1実施の形態を説明する。本実施の形態に係る画像形成装置Rは、トナーを用いて現像する複写機やプリンタ等の電子写真方式のカラー画像形成装置である。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置Rは、給紙部1Aと画像形成部1Bとを備えており、給紙部1Aにある給紙コロ1aにより給紙カセット41の積載シート束P2が1枚ずつ分離されてレジストローラ対2、3を経て転写駆動ローラ対4b、5に達する。また、手差しトレイ15のシートP1の載積シート束は給紙コロ1cにより搬送され、給紙コロ1bにより1枚ずつ分離されてレジストローラ対2、3を経て転写駆動ローラ対4b、5に達する。
【0012】
画像形成部1Bでは、各色の現像剤(シアン、イエロ、マジェンタ、ブラック)に対応した感光体6〜9から中間転写ベルト4aに現像剤画像が形成されて転写ローラ4bにより用紙にカラー画像が転写され、定着ローラ対10、11により画像が加熱定着されて排紙ローラ対12、13により排紙部14にシートが排出される。
【0013】
手差し給紙装置1Cでは、図2及び図3に示すように、画像形成装置本体R1に対して開閉自在に取り付けられている手差しトレイ15は、回転支点16を画像形成装置本体R1に支持固定されており、回転支点16を中心に回動することにより開閉自在に設けてある。
【0014】
手差しトレイ15に積載されている用紙(シート)P1は、先端が給紙ローラ(給紙コロ)1cと弾性部材(以下「給紙圧ばね」という)18により給紙ローラに圧接されている底板19により狭まれており、時計回りの給紙ローラ1cの搬送力を受け、下流に搬送される。
【0015】
手差しトレイ15には回転支点16の近傍でその下面から突出する突起部(係合凸部)20が一体に設けてあり、画像形成本体R1には突起部20が係合する被係合凹部20aが形成されている。
【0016】
手差しトレイ15の下部に一体的に形成された突起部20は、手差しトレイ15の開閉と共に動くものであるが、図2においては、手差しトレイは開かれた状態にあって突起部20は被係合凹部20aに係合し且つ被係合凹部20aの下方に設けてある伝達機構17に係合している。
【0017】
伝達機構17は、被係合凹部20aに挿入された突起部20に押圧されるラック部材21と、ラック部材21の側面に形成された歯形に歯合する歯車(ギア)24と、歯車24に歯合する連動部材25と、連動部材25の駆動により移動する支持部材26とから構成されている。ラック部材21は下端が支持部23に固定された第2弾性体22により上方に付勢してある。支持部材26は、下端が連動部材25の一端に設けてあるレバー25aが当接することにより上方に移動自在に設けてあり、給紙圧ばね18の下端を押し上げるようになっている。
【0018】
図2に示す手差しトレイ15が開かれた状態から、図3に示すように手差しトレイ15を閉じると、被係合部20aに挿入されている突起部20が被係合部20aから除かれて、伝達機構17のラック部材21から離れる。これにより、ラック部材21は弾性部材22の付勢力に順じて上方へ押し上げられ、押し上げられたラック部材21は突起部20が挿入される被係合凹部20aの幅よも上面が大きく形成されていることにより被係合凹部20aの下端に当接して係止される。このようにしてラック部材21が上方へ移動することにより、ラック部材21に歯合している歯車24が反時計回りに回転する。更に歯車24に歯合している連動部材25が回転することにより、連動部材25のレバー25aが、支持部材26を上方に押し上げる。支持部材26が上方に移動すると前記給紙圧ばね18の下端を押し上げて給紙圧ばね18を加圧することになる。その結果、底板19に戴置された用紙P1は給紙ローラ1cとの付勢圧が高まり給紙ローラ1cと用紙P1の摩擦力が上昇し、結果的に搬送力が上がることになる。
【0019】
図3に示すように、手差しトレイ15を閉じたことにより、手差しトレイ15と画像形成装置本体R1との間にシート挿入開口部33が形成され、手差しトレイ15を閉じた状態でシート挿入開口部33からシートP3を挿入する場合には、手差しトレイ15を開いて手差しトレイ15からシートP1を搬送する場合よりも高い摩擦力でシートP3を搬送することができる。
【0020】
この場合、図4に給紙圧(付勢圧)Qと用紙対応力Fとの関係を示すように、本装置における給紙圧(付勢圧)Qと用紙対応力Fとは直線Lで示すように、比例関係にある。用紙対応力Fとは、この数値Fが高いほどいわゆるシートのコシ(腰が)の強い紙種が搬送可能となるものである。本実施の形態では、手差しトレイ15を閉じることにより給紙圧Qが上昇し、これに比例して用紙対応力QはΔFだけ上昇する。
【0021】
また、手差しトレイ15の回転支点16と突起部20とラック21の接触点を結んだ長さが短いほど、伝達機構17を確実に駆動する上で好ましい。てこの原理によりラック部材21が手差しトレイ15から受ける荷重が高くなるためである。このことにより弾性部材22は手差しトレイ15に用紙が載っていないときの荷重により突起部20が最後まで押し込まれるための加圧条件を高く設定することができる。弾性部材22の上方向への加圧力は手差しトレイ15から受ける荷重を超えると手差しトレイ15の姿勢が安定しないためである。
【0022】
伝達機構17は上述した構成に限らず、例えば、リンク機構を用いてラック部材21が下方に移動したときに支点を中心に回動するレバーの一端を連結し、レバーの他端が支持部材26を押し上げる構成としても良い。伝達機構17において、多段歯車、かさば歯車などを用いれば減速比率、作用点の方向などの設定が容易であるため、スペースを効率的に使用できる。
【0023】
この第1実施の形態によれば、手差しトレイ15を開いて手差しトレイ15からシートP1を搬送するときと、手差しトレイ15を閉じたままシート挿入開口部33からシートP3を搬送するときとで、給紙ローラ1cと底板19との間の給紙圧を変えることができ、ユーザは手差し給紙をする場合に異なる搬送力を選択できる。
【0024】
例えば、手差しトレイ15を開いてシートを手差しする場合には、通常の紙を挿入し、手差しトレイ15を閉じてシート挿入開口部33からシートを挿入するときには、コシが強い厚紙や郵政はがき、樹脂製シート等に印刷するのに最適である。
【0025】
以下に他の実施の形態を説明するが、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には、同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述した第1実施の形態と主に異なる点を説明する。
【0026】
図5を参照して第2実施の形態を説明する。この第2実施の形態では、給紙部1Aにおいて、給紙カセット41の用紙P2を供給するカセット給紙部42と、手差しトレイ15の用紙P1及びシート挿入開口部33からの用紙P3を供給する手差し給紙部43とを給紙ユニット29内に一体に収納しており、給紙ユニット29を引き出し自在にしている。 そして、被係合凹部20aは給紙ユニット29に設けてあり、手差しトレイ15を開いて突起部20が被係合凹部20aに係合すると、給紙ユニット29を引き出せないように規制したものである。
【0027】
この第2実施の形態では、給紙ユニット29内にカセット給紙部42と手差し給紙部43を一体に収納しているので、スペースを効率的に利用できる為小サイズ可に寄与することができる。また、給紙トレイユニット29は手差しトレイ15を閉じているときには図5に示す矢印E方向に抜くことが可能であるが、手差しトレイ15を開いている間、即ち、手差し給紙を行なっている最中には給紙ユニット29を挿抜できないように突起部29が勘合しているので、結果的に印刷中の紙詰まりを防ぐことができることになる。即ち、手差しトレイ15が開いている場合には、カセット給紙部42からの給紙又は手差し給紙の何れの印刷動作を行なっている最中に、給紙ユニット29を抜いてしまうと搬送経路が分断されて生じる紙詰まりを防止できる。
【0028】
尚、ロック部材としての機能を果たすためには突起部20は手差しトレイ15と一体に設けたものであればより部品数も少なくできるが、操作時の破損を防ぐならばより剛性の高い物性の材料で形成して手差しトレイに取り付けることが望ましい。
【0029】
図6を参照して、第3実施の形態について説明する。この第3実施の形態では、第1実施の形態における伝達機構17を設けないで、被係合部凹部20aの横にフォトインタラプタなどの遮蔽検知センサ30を設け、被係合凹部20aに係合した突起部20を検知すると共に、遮蔽検知センサ30の検知信号を受けて制御部44がソレノイド45を駆動し、ソレノイド45の駆動により支持部材26を上方に移動するようになっている。
【0030】
第3実施の形態では、遮蔽検知センサ30のON、OFFにより本体側に設定された制御部44とソレノイド45を用いて底板19を給紙コロ1cに加圧する構成とすることにより、第1実施の形態に比較して簡易な構成にできると共に、加圧する力量の調整が容易である。また、制御部44を画像形成装置に設けてあるコントロールパネルをユーザが操作することにより、遮蔽検知センサ30が突起部20を検知してもソレノイド45を駆動しないようにすることにより、ユーザの使用するモードによっては給紙コロ1cにおける加圧力を高めない使用に選択幅することができ、選択の自由度を高めることができる。
【0031】
図7を参照して、第4実施の形態について説明する。この第4実施の形態では、手差しトレイ15の下端部にシート挿入開口部33を遮蔽するフラップ部材31を設けたことが上述した実施の形態と異なっている。
【0032】
フラップ部材31は手差しトレイ15の下部に回転支点32により揺動自在に枢支されている。図7に示すように、手差しトレイ15が開いた状態にあるときは給紙ユニット29の前部に重なるように位置しているが、図7の手差しトレイ17開いた状態から閉じた状態になったときには、図8に示すように手差しトレイ15と給紙トレイユニット29との間に形成されるシート挿入開口部33を遮蔽し、内部機構が見えなくなるため、装置正面から見たときの外観品質を損ねることを防止できる。
【0033】
更に、図8示すように、ねじりコイルばね34を設けてコイルばね34の弾性によりフラップ部材31は矢印Fに示す装置本体側に閉じるよう付勢されていればフラップ部材31の姿勢を安定にすることができる。このフラップ部材31は開いた姿勢においても手差しトレイ15より格段に小さく開閉操作が可能に設置できるため、省スペースにも貢献する。尚、シート挿入開口部33を使用する場合には、フラップ部材31を図8に示す閉じ状態から上方に回動するようにして開く。
【0034】
図9を参照して、第5実施の形態について説明する。この第5実施の形態では、上述の第4実施の形態において、フラップ部材31を閉じた状態及び開いた状態で保持するように構成したものである。
【0035】
図9に示すように、フラップ部材31の回転軸の周囲部31cには突起部(被係止部)35が形成されており、フラップ部材の周囲部31cは、フラップ部材31の回転角度と同位相だけ回転する。手差しトレイ15には、略V字形状の板ばね37の一端部を支持する支持部36が設けてあり、板ばね37他端部に係止部材38が取り付けられている。係止部材38には凹部(係止部)が形成され、この凹部に対して突起部35が係止可能になっている。
【0036】
図9の実線では、フラップ部材31は手差しトレイ15を閉じた状態を示しているが、二点鎖線で示すように、フラップ部材31をその閉じた状態(実線)からθ2だけ回転して開くと、突起部35が係止部材38の凹部に係止して二点鎖線で示すように開き位置で保持される。
【0037】
尚、図9には示していないが第5実施の形態では図8に示す第4実施の形態と同様にねじりコイルばね34が設けてあり、フラップ部材31を閉じ方向に付勢している。
【0038】
フラップ部材31は自重とねじりコイルばね34による閉じようとする力が働いているため、板ばね37はこの2つの合力による力量よりも高い圧力に設定されている。
【0039】
更に、手差しトレイ15を開く動作中に前記フラップ部材31は当接部材46に当たって相対的に開き方向に回転するが、フラップ部材31が回転する最大角度がθ1であるとき、θ2>θ1の条件を満たすことにより、手差しトレイ15の開閉時にフラップ部材31が図9に二点鎖線で示す姿勢になることはないため、不本意にフラップ部材31を開き位置でロックすることがない。
【0040】
即ち、手差しトレイ15を図9に示す閉じ位置から開いた場合に、フラップ部材31はシート挿入開口部33を閉じる位置に保持されるのである。
【0041】
また、図9に実線で示すようにフラップ部材31がシート挿入開口部33を閉じているときにユーザが手で回動して二点鎖線で示すように開き位置にすると、突起部35が係止部材38に係止して、フラップ部材31の開き状態を保持することができる。
【0042】
尚、第5実施の形態において、図6に示す第3実施の形態と同様に、手差しトレイ15の開閉を検知する遮蔽検知センサ30により、手差しトレイ15の開閉を検知すると、モータやソレノイドなどの駆動源によりフラップ部材31を開閉位置に回動するものであっても良い。この場合、ユーザが自分で開け閉めをする動作が必要ないから、操作性が向上する。
【0043】
図10及び図11を参照して、第6実施の形態について説明する。この第6実施の形態では、シート挿入開口部33から挿入するシートP3を案内するものである。図10において、フラップ部材31には開いたときの下面に一対の用紙規制ガイド40a、40bが取り付けられている。
【0044】
シート挿入開口部33より、一枚手差し口として利用する場合に前記用紙規制ガイド40a、40bに合わせれば画像位置精度が増すため、印刷品質が向上する。またこの用紙規制ガイド40a、40bはラックとピニオンにより用紙幅方向に自在に調整可能とする構成が望ましい。
【0045】
この第6実施の形態では、図11に正面図を示すように、手差しトレイ15は閉められた状態になっており、フラップ部材31は開いた状態になっているときに、シート挿入開口部33からの用紙セットを可能としている。
【0046】
図12を参照して、第7実施の形態について説明する。この第7実施の形態では、上述した第6実施の形態において、シート挿入開口部33の巾を一定にしたものである。即ち、フラップ部材13の下面に取り付けられた規制ガイド40cは、第6実施の形態の規制ガイド40a、40bとは異なり、正面視四角形状の角穴となっており、この角穴がシートの挿入を案内する。したがって、幅方向は固定されているため、セットできるのはあらかじめ決められたサイズの用紙のみである。しかし、固定された規制ガイド40cは動くことはないため、幅方向に摺動するタイプの規制ガイド40a、40bよりもユーザ操作にばらつき、部品寸法ばらつき、保持力不足による給紙中のズレなどがないため、画像位置精度はより向上する。
【0047】
更に、規制ガイド40cを角穴とすることにより、角穴の下面の存在により、複数枚のセットが可能となる。本実施の形態では、コシが強く定型のサイズとして利用する郵政はがき、年賀はがきなどの印刷に最適である。
【0048】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、第1実施の形態において図に2示す用紙検知センサ48は普段は手差しトレイ15の給紙において用紙有り無し検知に使用しているが、ユーザがシート挿入開口部33から給紙動作を行なうときに、用紙検知センサ41がONした場合、あらかじめ設定された時間後にクラッチなどにより駆動力が給紙ローラ1cに伝えられ、用紙搬送を開始するようにしても良い。この制御により、手差しトレイ15に用紙をセットした後ユーザが印刷命令を出し、あるいは印刷命令を出した後、給紙ローラ1cの回転中に用紙補給するなどの操作ではなく、ユーザが用紙をセットした後、最適な設定時間後に自動的に給紙動作を行なわせることにより、操作性向の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0049】
R 画像形成装置
R1 画像形成装置本体
1C 手差し給紙装置
15 手差しトレイ
16 回転支点
17 伝達機構(付勢力変更手段)
18 給紙圧ばね(弾性部材)
19 底板
20 突起部(係合凸部)
20a 被係合部(被係合凹部)
21 ラック部材
24 歯車(ギア)
26 支持部材
29 給紙ユニット
31 フラップ部材
33 シート挿入開口部
35 突起部(被係止部)
38 係止部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特許第2632453号公報
【特許文献2】特開2008−37549号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に水平軸を回転支点として開閉自在に設けられた手差しトレイと、手差しトレイに載置された用紙を画像形成装置本体へ給紙する給紙ローラと、給紙ローラに対向して設けた底板と、底板を給紙ローラ向けて付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢力を変更する付勢力変更手段と、手差しトレイ7が開位置又は閉位置にあることを検知するトレイ開閉検知手段と、手差しトレイ7が閉じ位置にあるときに手差しトレイの下端から給紙ローラと底板との間にシートを挿入するシート挿入開口部とを備え、トレイ開閉検知手段が手差しトレイの開閉を検知すると、付勢力変更手段が底板を給紙ローラに向けて付勢する付勢力を変えることを特徴とする手差し給紙装置。
【請求項2】
手差しトレイ7は係合凸部を備え、トレイ開閉検知手段は手差しトレイ7の係合凸部に係合する被係合凹部を備え、付勢手段は一端が底板に連結され他端が移動可能な保持部材に固定されたばねを備え、付勢力変更手段は被係合凹部に挿入される係合凸部に押されて移動するラックと、ラックに噛み合うギアとを備え、ギアの駆動によりばねの保持部材を移動することにより、給紙ローラに対する底板の付勢力を変えることを特徴とする請求項1に記載の手差し給紙装置。
【請求項3】
画層形成装置本体内に設けて給紙カセットから給紙する給紙ユニットを備え、給紙ユニットは画像形成装置本体に挿抜自在であり、前記被係合凹部は給紙ユニットに設けてあり、手差しトレイ7が開位置にあるときに、前記手差しトレイの係合凸部は給紙ユニットに係合して給紙ユニットの挿抜移動を規制することを特徴とする請求項2に記載の手差し給紙装置。
【請求項4】
手差しトレイは、その下端部に回動自在に軸支したフラップ部材を備え、フラップ部材は手差しトレイが閉位置にあるときに前記シート挿入開口部を遮蔽することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の手差し給紙装置。
【請求項5】
フラップ部材は前記シート挿入開口部を閉じる方向に常時付勢されており、前記フラップ部材は回転支点の周囲部に被係止部を有し、手差しトレイはフラップ部材の被係止部に係止する係止部材を備え、手差しトレイの係止部材は弾性部材によりフラップ部材の回転支点へ向けて付勢されており、フラプ部材の被係止部はフラップ部材が前記開口を開く位置で係止部材に係止するものであり、手差しトレイが開き位置から閉じ位置にあるときの回転角度θ1、フラップ部材の閉じ位置と開き位置との間の角度θ2とすると、θ2>θ1としてあることを特徴とする請求項4記載の手差し給紙装置。
【請求項6】
手差しトレイが閉じたときに前記フラップ部材を開くフラップ制御機構を備えることを特徴とする請求項4記載の手差し給紙装置。
【請求項7】
フラップ部材は、フラップ部材を回動して前記シート挿入開口部を開いた位置にあるときに、前記シート挿入開口部に挿入するシートの幅方向の位置を規制する規制部材を備えることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の手差し給紙装置。
【請求項8】
フラップ部材は前記シート挿入開口部を閉じた状態でシートを挿入可能なシート挿入口を有し、前記シート挿入開口部を閉じた位置にあるときにシート挿入口からシートを手差し自在としていることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の手差し給紙装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の手差し給紙装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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