説明

手持ち式噴霧装置

【課題】 噴管に対して一対の噴口をそれぞれ任意の方向へ向けることができるようにする。
【解決手段】 本発明の手持ち式噴霧装置1は、グリップ部2に突設された噴管3の先端に一対の噴口4を備えている。各噴口4は、噴管3の軸に直交する第一回転軸21と、該第一回転軸21に直交する第二回転軸22とを介して噴管3の先端側にそれぞれ2軸での回転が可能に支持されており、グリップ部2には、噴霧に関する状態を表示するための状態表示部9が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ部に突設された噴管の先端に一対の噴口を備えた手持ち式噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の手持式噴霧装置として、特許文献1記載の静電噴霧装置を例示する。図5に示すように、この噴霧装置の手持ち式ノズル部50は、手持ち用のグリップ部(図示略)の先端側に取り付けられた噴管51を備えるとともに、該噴管51の先端には、該噴管51の軸に直交する回転軸52を介して回動可能に支持された一対の噴口53を備えている。
【0003】
この噴霧装置によれば、次の態様での噴霧が可能になっている。
(1)両噴口53の噴霧方向を平行にする態様。この態様では、1方向へ幅広に噴霧することができる。例えば、図5(a)に示すように、1側方に対し上下に幅広に噴霧することができる。
(2)両噴口53の噴霧方向を非平行にする態様。この態様では、2方向へ同時に噴霧することができる。例えば、図5(b)に示すように、左右両側方に対し同時に噴霧することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−125175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、噴管51に対し、両噴口53が1軸の回転軸52で支持されており、両噴口53の向きの自由度が少ないので、前記(1)の態様では、噴口53の角度を噴霧幅方向へ調節できず、前記(2)の態様では、例えば、左右両側方に対し同時に斜め上向きに噴霧することができないという課題がある。仮に、両噴口53をボール関節で支持することも考えられるが、ボール関節は可動域内においては噴口53を任意の方向に向けることができるが、その可動域が狭いという課題がある。
【0006】
この両噴口53の向きの自由度の少なさによる噴霧のし難さについては、前記グリップ部の持ち方を変えることにより、噴管51を軸周りに回転させたり、噴管51を傾けたりすることにより、ある程度緩和することができる。しかし、狭い通路では、このような使い方ができないという課題がある。また、このような使い方をすると、前記グリップ部の近傍に、噴霧に関する状態を表示するための状態表示部を設けている場合、噴霧中に該状態表示部の表示が確認し難くなるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の手持式噴霧装置は、
グリップ部に突設された噴管の先端に一対の噴口を備えた手持ち式噴霧装置であって、
前記各噴口は、前記噴管の軸に直交する第一回転軸と、該第一回転軸に直交する第二回転軸とを介し、該噴管の先端側にそれぞれ2軸での回転が可能に支持されており、
前記噴管の基端側又は前記グリップ部には、噴霧に関する状態を表示するための状態表示部が設けられている。
【0008】
この構成によれば、前記噴管に対して一対の前記噴口がそれぞれ2軸の回転軸で支持されているので、前記噴管に対して一対の前記噴口をそれぞれ任意の方向へ向けることができる。しかも、いかなる方向に噴霧するときでも、前記状態表示部が見やすい状態になるように、前記噴口の向きを適宜調節することができる。
【0009】
前記手持ち式噴霧装置においては、
前記噴管の先端側は、該噴管の軸を中心に、前記グリップ部に対して相対回転可能に構成された態様を例示する。
【0010】
この構成によれば、噴霧中に、前記状態表示部の向きを変えずに、前記噴管の先端側の向きを変えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る手持ち式噴霧装置によれば、噴管に対して一対の噴口をそれぞれ任意の方向へ向けることができるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図4は本発明を具体化した一実施形態の手持ち式噴霧装置としての静電噴霧装置1を示している。図1及び図2に示すように、この静電噴霧装置1は、グリップ部2に突設された噴管3の先端に一対の噴口4を備えており、外部ホース5を介して供給される薬液を一対の噴口4からそれぞれ帯電噴霧Sにして噴出するように構成されている。
【0013】
グリップ部2は、外部継手6を介して接続された外部ホース5からの薬液を流量センサ7、可撓性の内部ホース8を介して噴管側へ送るように構成されているとともに、静電噴霧に関する状態を表示するための状態表示部9と、直流高電圧を発生させるための高電圧発生装置10と、高電圧発生装置10の駆動源としての電池11(例えば、乾電池や蓄電池等)とを備えている。状態表示部9は、流量センサ7が検出した流量や、電池11の残量等を表示するようになっている。
【0014】
また、本例のグリップ部2は、その外装15の一部だけを着脱できるように、着脱カバー16が設けられている。図3に示すように、この着脱カバー16を取り外すと、定期的に交換する必要がある補修部品としての流量センサ7のメンテナンスが可能になるように、内部ホース8における流量センサ側から外部継手6までが露出するように構成されている。ここで、本例の流量センサ7は、可撓性の内部ホース8に接続されているので、同図に二点鎖線で示すように、流量センサ7を外装15から簡単に引き出すことができ、流量センサ7を容易に交換することができ、着脱カバー16を取り外した状態で露出しない部分の電気配線18を損傷することがない。なお、本例のグリップ部2とは異なり、従来のグリップ部は、流量センサが硬質の内部配管で接続されていたため、流量センサの交換時に外装全体を取り外し、流量センサや内部配管以外の部品も取り外す必要があり、手間がかかるとともに、外装を再び取り付けるときに部品の組間違いや電気配線の噛み込みによる断線の恐れがあった。
【0015】
噴管3は、噴口4をグリップ部2に対して間隔をおいて支持するためのもので、中空パイプ状に形成されている。噴管3の先端側3aは、該噴管3の軸を中心にグリップ部2に対して相対回転可能に構成されるとともに、外周に補助グリップ部17が装着されている。この補助グリップ部17を持って噴管3の先端側3aをグリップ部2に対して回転させることができるようになっている。
【0016】
各噴口4は、噴管3の軸に直交する第一回転軸21と、該第一回転軸21に直交する第二回転軸22とを介して噴管3の先端側にそれぞれ2軸での回転が可能に支持されている。
【0017】
以上のように構成された本発明の手持ち式静電噴霧装置1によれば、噴管3に対して一対の噴口4がそれぞれ2軸の回転軸21,22で支持されているので、噴管3に対して一対の噴口4をそれぞれ任意の方向へ向けることができる。しかも、いかなる方向に噴霧するときでも、状態表示部9が見やすい状態になるように、噴口4の向きを調節することができる。さらに、狭い通路においても、作業性が良い。
【0018】
そして、本発明によれば、例えば次のような噴霧が可能になる。
(1)図4(a)に示すように、1側方の噴霧対象Cへの噴霧の際に上下方向へ広角な噴霧が可能となる。
(2)図4(b)に示すように、左右両側方の噴霧対象Cへの噴霧の際に同時に斜め上向きに噴霧することができる。
【0019】
また、噴管3の先端側は、該噴管3の軸を中心に、グリップ部2に対して相対回転可能に構成されているので、噴霧中に、状態表示部9の向きを変えずに、噴管3の先端側の向きを変えることができる。
【0020】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)噴霧を帯電させるようになっていない通常の手持ち式噴霧装置に対して本発明を適用すること。
(2)状態表示部9を噴管3の基端側に設けること。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を具体化した一実施形態に係る手持ち式静電噴霧装置の側面図である。
【図2】同静電噴霧装置の平面図である。
【図3】同静電噴霧装置の要部の拡大側面図である。
【図4】同静電噴霧装置の噴霧態様を示す図であり、(a)は1側方に対して噴霧する態様、(b)は両側方に対して噴霧する態様を示している。
【図5】従来の噴霧装置の噴霧態様を示す図であり、(a)は1側方に対して噴霧する態様、(b)は両側方に対して噴霧する態様を示している。
【符号の説明】
【0022】
1 手持ち式静電噴霧装置
2 グリップ部
3 噴管
4 噴口
5 外部ホース
7 流量センサ
8 内部ホース
9 状態表示部
10 高電圧発生装置
11 電池
15 外装
16 着脱カバー
17 補助グリップ部
18 電気配線
21 第一回転軸
22 第二回転軸
C 噴霧対象
S 噴霧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部に突設された噴管の先端に一対の噴口を備えた手持ち式噴霧装置であって、
前記各噴口は、前記噴管の軸に直交する第一回転軸と、該第一回転軸に直交する第二回転軸とを介し、該噴管の先端側にそれぞれ2軸での回転が可能に支持されており、
前記噴管の基端側又は前記グリップ部には、噴霧に関する状態を表示するための状態表示部が設けられた手持ち式噴霧装置。
【請求項2】
前記噴管の先端側は、該噴管の軸を中心に、前記グリップ部に対して相対回転可能に構成された請求項1記載の手持ち式噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate