説明

手浴槽

【課題】従来手浴は洗面器を用いることが多く、入浴時は手首から先を上方に反り上げる等、肩、首、手首に力が入り楽な姿勢での入浴は難しく、お湯が冷めやすい欠点もある。また、手首を支える部材を具備したスパ装置は安定度が悪く、使用時の加重により転倒は免れない物である為、使用者は力を抜いた楽な状態での入浴は不可能であったが、それら欠点を回避した手浴槽を提供する。
【解決手段】浴槽本体1に手首支え部14を具備し、手首等を支えることで肩、首、腕、手首の力を抜いた状態での入浴が可能となり、浴槽の上面が開放しないよう形成したり、蓋2を具備することで湯温を維持し、手首支え部底面を接地させるよう形成することで加重による転倒を防ぐようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、浴槽にお湯をはり、手の入浴を行う手浴(手湯)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は足湯と同時に手浴を行う装置が多く、浴槽が装置に固定されており入浴後の手入れが容易ではない。使用者が自由に入浴したい部屋へ浴槽を持ち運ぶことは難しく、浴槽を分離して入浴場所を選択することもできず、個人が自宅用とするには不向きなものが多い。特許文献1に挙げた装置は、足湯は目的外であるが、これも装置であり個人が自宅に置ける小形なものではなく、第三者がいて初めて蓋を閉じて使用が可能となるスパ装置である。
また、特許文献1は構造上使用時に浴槽自体が転倒してしまうことがあきらかなものであり、使用者はリラックス状態で入浴できない為、快適な入浴効果は望めないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2006/120767号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から手浴を行うための浴槽の考案はあるが、多くは足湯と同時に手浴を行う温浴機のようなもので、装置と名づく程大形で個人的に自宅に置くには難のあるものが目立つ。
従来技術でハンドトリートメントスパ装置(国際公開第2006/120767号)があり、手首付近を支える部材を具備したものだが、使用時に手首を支える部材に腕の重さが加重され、本体である浴槽自体が倒れてしまう為、腕を浴槽本体にあずけることができず、結果肩や首、腕の力を抜くことができず楽な入浴は不可能なものであった。
そこで本発明は個人が自宅用としても使用可能である小形で持ち運びが容易、卓上や床等、その他使用者が自由に入浴場所を選択可能な浴槽を提供することを目的とすることと、肩や首、腕の力を抜いた楽な姿勢での手浴が可能となるよう、手首や腕を支える部材に対してバランスのよい加重を可能とし、浴槽の転倒を防ぐことを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を解決するために請求項1の手浴槽は、手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、前記手首支え部は上面を凹状に形成、前記手首支え部の底面は接地するよう形成し、使用時に前記手首支え部と前記浴槽とが、直線状に並ぶように形成するか、又は曲線状に並ぶように形成した。
【0006】
この請求項1の手浴槽によれば、浴槽に手首支え部を具備したものであり、手首支え部の上面は凹状に形成されている。凹状は、図1などに示すU字状のものや、凹の字のように上部がコの字状など、その他の凹状態を含むものである。(請求項2、3、4も同様。)
また、手首支え部底面を接地させることで安定度が格段に上がり傾きや転倒を防ぐ。(請求項2、3、4でも底部を接地させることで同様の効果がある。)傾きを防ぐとは、加重した際浴槽内のお湯が毀れない程度の安定度があれば傾かない安定力をもった接地と言える。
使用時に直線状に並ぶとは、例えば図7aに示すように浴槽本体及び浴槽空間部を中央にし、それぞれの手首支え部とが直線状に並ぶように形成したものや、図12のように浴槽本体と手首支え部が別に形成され、使用時に直線状に並べて使用できるものをさしている。
【0007】
曲線状に並ぶように形成するとは、手浴槽を平面で見た際U字状や‘⌒’のような曲線で、浴槽本体(浴槽空間部。)と手首支え部とを結ぶことができるものを意味している。
主に図7cに示すもので、浴槽本体及び浴槽空間部を中央にし、それぞれの手首支え部とが曲線状に並ぶように形成したものをさしている。
これは、浴槽本体や手首支え部自体が必ずしも湾曲している必要はなく、例えば図17に示す手浴槽も浴槽空間部を中央にし、それぞれの手首支え部とがU字状や⌒字状の曲線で結ぶことができる為、これもここで言う曲線状に並んでいると言えるものである。また、手浴槽を上方から平面で見た際、への字型等に形成した場合も浴槽本体を中心とし、手首支え部とがU字状などの曲線で結ぶことができる為、これも曲線状に並ぶものである。
曲線状に並べる意味は、真横から手を挿入させる直線状の手浴槽と比較して、テーブル上に置いた手浴槽に対して使用者が両手を前方に出して入浴するものである。手を挿入する方向は異なるが、直線状に並ぶ手浴槽同様に自然で楽な姿勢で入浴できるものである。
【0008】
請求項2の手浴槽は、手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、前記手首支え部は上面を凹状に形成し前記浴槽の浴槽空間部と一体である空洞を設け、前記浴槽に注がれた入浴用のお湯が前記手首支え部の空洞にも入るよう形成され、使用時に前記手首支え部と前記浴槽とが、直線状に並ぶように形成するか、又は曲線状に並ぶように形成した。
【0009】
この請求項2の手浴槽によれば、前述したように上面が凹状に形成された手首支え部を具備している。浴槽空間部はお湯を入れるための空洞であるが、それと同様に手首支え部の内部に空洞(図6b参照。)を設けることで、浴槽空間部と手首支え部内空洞とが一体の空間となり、そこへお湯を注ぎ入浴することで、腕を濡らさず温めることができるものである。(図3bは、手首支え部内は空洞でない。図10aのような手浴槽は手首支え部内空洞と浴槽空間部が一体である。)また、手首支え部を接地するように形成し、安定度を上げることが好ましい。
手首支え部と浴槽の直線状又は曲線状については前述したとおりである。
【0010】
請求項3の手浴槽は、手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、前記手首支え部は上面が凹状に形成されており前記浴槽の浴槽空間部と一体である空洞を設け、前記手首支え部の上面を傾斜させるよう形成した。
【0011】
この請求項3の手浴槽によれば、請求項2の手浴槽と類似したものだが、手首支え部内空洞を設け、手首支え部上面が下に向かって傾斜しているものである。これにより図10aや、図11bのように手首支え部上面に直接お湯が触れる為、支えた腕を効率的且つ濡らすことなく温めることができる。ここに上面を傾斜させる意味があり、重要な効果が付随されるものである。また、前述したように手首支え部を接地するように形成し、安定度を上げることがこのましい。
【0012】
請求項4の手浴槽は、手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、
前記手浴槽が、該手浴槽の縁に上面が凹状に形成された前記手首支え部を設けており、
該手首支え部より前記浴槽内側に向かって傾斜した手首や腕を支える支え壁を具備した。
【0013】
この請求項4の手浴槽によれば、手浴槽のふちに手首支え部が設けられ、大体手首支え部の辺りから浴槽内側(浴槽空間部。)に向かって傾斜した支え壁を具備したものである。(図15、図16、図17に示す手浴槽。)
図15に示す手浴槽は、使用者が両サイドから手を挿入して入浴するもので、開口部より水面が上部にある為、手首、腕の全面を直接湯船に浸けて温めることができるものである。また、支え壁が傾斜している為腕を支え、且つ手首の力を抜いた楽な状態で入浴が可能となる。
支え壁を設けたタイプの手浴槽は、図示したものより細く長方形になるよう形成してもよく、図7cのように曲線に並ぶように形成してもよい。その場合コンパクトになりお湯の必要量を減らすことができる。
内部は図15bに示してあり、支え壁下部空洞と浴槽空間部とが一体の空間になっている。これにより支え壁自体が温まり、入浴時に腕を置くことで広範囲を温めることができる。
【0014】
図16aに示す手浴槽は、手首支え部から開口部までの支え壁が腕を支えやすいよう凹状に湾曲形成している。図16bを見るとわかるように、支え壁下部には浴槽空間部とは別の空間(又は空間を設けない。)があり浴槽空間部を必要以上に大きくしないことで湯量をおさえることができる。
図17に示す手浴槽は円形で、手首支え部は真横や正面でなく、やや斜めに位置している。これにより使用者が前方に腕を伸ばした際、最も自然な状態で入浴姿勢を維持することができる。(手首支え部と浴槽空間部とがU字状に並ぶ。)図17aにお湯を注いだ状態が図17bであり、それを横から見ても図16bのような図になる。
【発明の効果】
【0015】
手浴は冷えからくる肩こりや首こりの緩和や予防に効果がある手軽な入浴法である。また、手浴は足より心臓に近く位置する手を入浴するものである為、足湯を行うより早く体を温める効果があるとされている。従来は洗面器などにお湯を入れ手の入浴を行うことが多いが、本発明である手浴槽77の手首支え部14で手首10や腕を支えることで肩や首、腕や手首10の力を抜いた楽な姿勢で手浴が可能となる。手首支え部底面14bを接地させるよう形成することで手浴槽77全体の安定度が増し、腕を支える際に上面に力が加わってもバランスを崩さない効果がある。これにより片手用の手浴槽77を形成した際も、浴槽の転倒を防ぐことができる。
【0016】
蓋2を設けることで浴槽内のお湯を冷め難くする効果がある。また、蓋支え板3を具備することで使用者が入浴すると同時に蓋2を閉じることができ、個人で使用しても両手同時に蓋2を閉じて入浴が可能となる。
ゴム挿通部16を具備することで開口部13から熱気を逃がしにくくすることができ、お湯を冷め難くする効果がある。
【0017】
図8に示す手浴槽77は、手を挿入する開口部13が浴槽本体1の上面にあり、手首支え部14と一体となり内部に空洞を有している。手首支え部内空洞17と浴槽空間部11にお湯を注ぎ入浴を行うものである。これにより手首支え部14で支えた腕も同時に温める効果がある。
側面に開口部13を設けた手浴槽77も、手首支え部内空洞17を設けることで同様の効果があり、図9、図10、図11、図12、図13、図14のように手首支え部14の上面を傾斜させることで直接上面内側にお湯が接触し、手首支え部14で支えた腕をよりいっそう温める効果がある。
【0018】
図15、図16、図17に示す手浴槽77は、手首支え部14と支え壁12とで手首10及び腕を支えることができる。支え壁12が傾斜していることにより、浴槽に注がれたお湯は水面が上にいくほど広がっている為(図16b参照。)腕を広範囲に温めることができ、浴槽空間部11は深さがある為手首10の力を抜いた楽な状態で入浴が可能となる。支え壁下部空洞19があるタイプは支えた腕を肘側までの広範囲を温める効果があり、支え壁下部空洞19が浴槽空間部11と一体でないタイプは浴槽の湯量を抑える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】aは手浴槽の斜視図であり、bはaの側面図である。
【図2】aは開閉可能な蓋を具備した手浴槽が蓋を閉じた状態であり、bはaの蓋を開いた状態の手浴槽の斜視図である。
【図3】aは開閉可能な蓋をそれぞれに具備した手浴槽の斜視図であり、bはステー及び蓋支え板を具備した手浴槽の側面透視図、実施例である。
【図4】aは蓋支え板の正面図であり、bは手浴槽に具備されたステーで蓋支え板を支えた斜視図である。
【図5】aはゴム挿通部に手首を通した図であり、bはゴム挿通部を具備した手浴槽の斜視図である。
【図6】aは片手用の手浴槽の斜視図であり、bは手首支え部の内部が空洞であることを示す斜視図である。
【図7】aは手浴槽の斜視図であり、bはaを上から見た平面図であり、cは湾曲した手浴槽の平面図である。
【図8】aは開口部を上面に具備し、浴槽本体と手首支え部の内部の空洞が一体である手浴槽の斜視図であり、bはaを上面から見た平面図であり、中央の開口部付近点線で囲われた部分が浴槽本体であり、その両サイドが手首支え部を図示したものである。
【図9】aは上面が傾斜した手首支え部を具備した手浴槽の斜視図であり、bはaの側面図である。
【図10】aは内部に空洞を持ち上面が傾斜した手首支え部と蓋支え板を具備した手浴槽の斜視図であり、bは蓋支え板の正面図であり、cは蓋支え板の側面図である。
【図11】aは片手用で手首支え部上面が傾斜した手浴槽の斜視図であり、bはaの側面透視である。
【図12】aは手首支え部上面が傾斜しており、別である浴槽本体と合わせて使用可能な手浴槽の斜視図であり、bは手首支え部と浴槽を合わせた手浴槽の斜視図である。
【図13】aは浴槽本体が両手用の手首支え部を接続可能な手浴槽の斜視図であり、bはaの側面図である。
【図14】aは手首支え部上面が傾斜し、蓋を具備した斜視図であり、bは両サイドから使用できるようaを縦に重ねた側面透視図である。
【図15】aは浴槽の内側に向かって支え壁が傾斜しており、支え壁下部空洞と浴槽空間部が一体である手浴槽の斜視図であり、bはaのA−A線における断面図である。
【図16】aは浴槽の内側に向かって支え壁が傾斜しており、浴槽空間部を中央付近に収めた手浴槽の斜視図であり、bはaのB−B線における断面図である。
【図17】aは浴槽の内側に向かって支え壁が傾斜しており、浴槽空間部を中央付近に収めた手浴槽の斜視図であり、bはaにお湯を入れた斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を添付図面に示す実施例に基づいて一例を説明する。
【0021】
手浴槽77の素材の一例としては、合成樹脂素材等があげられる。その他お湯が滲み込まない素材で形成することや、お湯の温度を維持しやすい材料を用いて形成することが望ましい。また、手首支え部上面14aが浴槽内に満たされたお湯で温まるタイプの手浴槽77は、手首支え部14に熱を伝えやすい材料で形成することが望ましい。
おもにはテーブル等の上に手浴槽77を置いた状態で使用し、いずれかの開口部13よりお湯を注ぎ、開口部13より手を挿入し、手首支え部14で手首10や腕を支え、浴槽に満たされたお湯で手の入浴を行うものである。
お湯を入れる目安として水位ライン8を設けると加減が容易となるため、具備してもよい。
【0022】
手浴槽77は、浴槽に手首支え部14を具備したものであるが、手首支え部底面14bが浴槽同様に接地するよう形成することで上からの加重による転倒を防ぐことができる。
従来技術であるハンドトリートメントスパ装置(国際公開第2006/120767号)は、片手ずつ別の浴槽で入浴するものだが、手首10を支える部材の底面は接地しておらず、このような手首10を支える部材に上面から腕を乗せ加重がなされれば間違いなく浴槽が転倒してしまう。
本発明の手浴槽77は、手首支え部底面14bを接地させることで抜群な安定力が得られる為、片手用の手浴槽77であってもバランスを保つことができ、手首支え部底面14bを広く形成したり、長く形成したりすることで更に安定力を増すことができる。
その他、両手用の手浴槽77は、浴槽の両サイドや、浴槽の角付近に手首支え部14を設けることで両手を支えた際の加重バランスをよくし、転倒を防ぐことができる。このような方法でバランスが十分保てている場合は必ずしも手首支え部14の接地にこだわる必要はない。
【0023】
図1a、bは、浴槽本体1と手首支え部14とが直線状に並ぶように形成された手浴槽77である。ここで言う直線状とは、例えば中央に位置する浴槽本体1のサイズが手首支え部14より大きくした場合でも、手首支え部14との接続面を浴槽本体1の側面中央に接続させ、その接続面と対抗する浴槽本体1側面中央にもう一つの手首支え部14を接続することで、平面で見たとき浴槽本体1と手首支え部14とが直線状であると言えるものである。また、浴槽本体1を手首支え部14より小さく形成した場合も同様に並べることで直線状と言えるものである。
【0024】
図2a、bは、浴槽本体1と手首支え部14とが直線状に並ぶように形成された手浴槽77が、開閉可能な蓋2を具備した物である。
図2bのように蝶番を使用するなどして(その他の接続方法も含む。)一部を接続したまま、非接続面側から開口するように形成したり、接続部はなく蓋2が完全に取り外しできるように具備してもよい。
このように蓋2を具備することで浴槽へお湯を注ぎやすく、排水も容易であり、その他拭き取り作業等の手入れが容易となる。
【0025】
図3a、bは、浴槽本体1と手首支え部14とが直線状に並ぶように形成された手浴槽77が、右手用と左手用としてそれぞれに開閉可能な蓋2を具備した物である。
図3bは、蓋2に蓋支え板3を具備し、浴槽本体1内側に具備したステー15により蓋支え板3を支えることで使用前に蓋2を開けた状態を維持することができるものである。
使用時に開口部13より手を挿通することで指先9が蓋支え板3を押し込み、その際蓋2を閉じることができる。このように形成することで使用者が一人でも蓋2を閉じた状態での手浴が可能となる。図3b右手側は手を挿入することで蓋2が閉じた状態で、入浴実施例であり、左側は入浴前の蓋2支え状態を示したものである。
図3bに示すステー15はL字形に形成してあり、更に蓋支え板3を支える部分に凹凸を加えてある。必ずしもL字形や凹凸をつける必要はないが、L字形で壁を設けることにより、開口部13側に蓋支え板3がずれて蓋2が閉じることを避けることができ、凹凸を加えることで蓋2が急激に閉じるのを避けることができる。
【0026】
図4aは蓋支え板3を図示したものであり、図4bは上方より見た浴槽に具備されたステー15と蓋支え板3の位置関係を図示したものである。この図4bの蓋支え板3の上方に蓋2があると想定できる。蓋支え板3は必ず蓋2に具備する必要はなく、必要であれば浴槽本体1に具備し、蓋2を支えてもよいものである。
【0027】
また、全ての手浴槽77に具備可能なゴム挿通部16は、図5に示すもので、薄いゴム製、シリコンなどの素材により、三日月形やドーナツ形等に形成し、開口部13や右手用開口部4a、左手用開口部4に一部を貼り付けるように具備することで、お湯の温度を保ちやすくすることができるものである。
蓋2を具備し、開閉可能に形成された手浴槽77には、蓋2に三日月形のゴム挿通部16を具備すると効率的であり、図1のようにそれぞれの開口部13が固定した手浴槽77には、ドーナツ形のゴム挿通部16を具備してもよい。
【0028】
図6aに示すものは片手用の手浴槽77で、主には二つ使用してそれぞれの手を入浴するものである。この片手用の手浴槽77は、両サイドから左右の手を挿入してバランスよく使用するものではないが、手首支え部14自体が手浴槽77同様に底面が接地できるよう形成してある為、手浴槽77全体が安定した接地力を持つ。その為、手首支え部上面14aより加重がなされても転倒を防ぐことができるものである。
図6bは手首支え部14の内部に空洞を持つ手浴槽77の、手首支え部14の内側断面図である。
【0029】
図7aは手浴槽77斜視図であり、bはaを上から見た平面図である。これらは図1に示す手首支え部14と浴槽本体1とが直線状になる手浴槽77と変わらない物であるが、cは直線状ではなく、手首支え部14と浴槽本体1とが曲線状に並ぶように形成した手浴槽77を上から見た平面図である。
ここで言う曲線状とは、必ずしも綺麗な放物線状の手浴槽77のみではなく、平面で見た際にそれぞれの手首支え部14と浴槽本体1とが曲線状にある程度並ぶ状態を指すものであり、図17に示す手浴槽77のように、それぞれの手首支え部14と中央に位置する浴槽空間部11とが曲線状に並ぶ物でも同じことが言えるものである。
【0030】
図8a、bは内部に空洞を設けた手浴槽77である。手を挿入する為の開口部13が上面に位置しており、bの中央に点線で囲われた部分が浴槽本体1であり、その両サイドの点線内部が手首支え部14である。
このタイプの手浴槽77は、開口部13よりお湯を注ぐことで内部から手首支え部上面14aが温まり、両サイドから腕を支え、手首10から先は開口部13へと挿入し手浴を行うことで、腕も同時に温めることができる。
図12に示す手浴槽77のように、手首支え部14の凹部より上の角部付近に給水口を具備することで、排水を効率よくすることもできる。
【0031】
図9a、bは手首支え部上面14aが傾斜しており、内部に空洞を設けた手浴槽77である。
このタイプは図10、図11、図12、図13、図14に示す手浴槽77も同じことが言えるものであるが、上面が傾斜していることにより上面内側に直接お湯が接触する為、手首支え部上面14aで支えた腕を更に効率よく温めることができるものである。
図8の手浴槽77は開口部13からお湯が溢れない程度に湯量を調節すれば、手首支え部上部に直接お湯が接することはないが、手首支え部上部を傾斜させたものは図11bに示すように開口部13からお湯が溢れないように調節しても、手首支え部上部の広範囲にお湯を接触させることが可能となる。
【0032】
図11は上面が傾斜した片手用の手浴槽77であり、浴槽本体1と手首支え部14は一体となっているものである。図11bは側面透視図による実施例で、これにより支えられた腕も同時に温まることがわかる。図12は浴槽本体1と手首支え部14が別に形成され、使用時に図12bのように直線状に並べて入浴する。接続できるよう形成してもよい。
図13は中央にくる浴槽本体1の両サイドに開口部13を設け、その開口部13がある面に手首支え部14を直線状に並べて入浴する手浴槽77であり、図13bは直線状に並べた状態の側面図である。
【0033】
図14aは、図11に示す手浴槽77に蓋2を具備し、上面が水平になるように形成した手浴槽77である。これにより図14bに示したように重ねて使用することもでき、その際は両サイドから手を上下にずらして挿入し入浴することになる。重ねた際に接続固定できるように形成してもよい。
【0034】
図15、16、17は手首支え部14より内側に向かって支え壁12が傾斜した手浴槽77である。浴槽本体1の中央に開口部13があり、お湯を注いで手首支え部14を介して手首10及び腕を支えて入浴を行うものである。図15、図16b、図17bに示すように、お湯は傾斜した支え壁12の方まで注ぐことができる為、入浴する際手首10付近や腕の上面も湯船に浸かって温めることが可能となる。また、手首支え部14と合わせて支え壁12でも腕を支えて入浴が可能なものである。
図15の手浴槽77は浴槽本体1と手首支え部14とが直線状に並んだ手浴槽77であり、図17は浴槽本体1と手首支え部14とが曲線状に並んだ手浴槽77である。
【0035】
図15bの手浴槽77は側面断面図実施例であり、支え壁下部空洞19があり、その空洞にもお湯が入る為支え壁12が温まり、実際お湯に浸かって入浴できない腕部分も同時に温める効果がある。
図16aの手浴槽77は、腕を支えやすいよう、手首支え部14より開口部13に向かっての支え壁12が凹状になるよう形成したものである。
図16bは図16aのB−B線による断面図実施例であるが、図17の手浴槽77の側面透視図でも同じような図になる。
図16、図17は浴槽空間部11を必要に狭めることで湯量を抑えることができ、且手入れを容易とする効果も付随したものである。
【0036】
図15、図16、図17の手浴槽77も、お湯を冷め難くするため蓋2を具備してもよい。必要であれば蓋支え板3を具備した手浴槽77にしてもよいものである。
【0037】
以上、本発明を実施例に基づき説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を剥脱しない範囲内で色々な改良、変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0038】
例えば、手浴槽77の一部に電気やその他の熱源を利用し、お湯の温度を維持したり、再度温度を上げることができるタイプがあってもよい。
【0039】
手浴槽77の一部に、お湯の温度を把握できるように温度計を具備したタイプがあってもよい。また、手浴槽77の素材を選択する際、クリア素材や、半透明な物を使用することにより、容易にお湯の水位を確認することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 浴槽本体
1a 本体底面
1b 本体上部
2 蓋
3 蓋支え板
4 左手用開口部
4a 右手用開口部
5 左手用手首支え部
5a 右手用手首支え部
6 支え板固定具
7 上部開口部
8 水位ライン
9 指先
10 手首
11 浴槽空間部
12 支え壁
13 開口部
14 手首支え部
14a 手首支え部上面
14b 手首支え部底面
15 ステー
16 ゴム挿通部
17 手首支え部内空洞
18 給水キャップ(給水口)
19 支え壁下部空洞
77 手浴槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、
前記手首支え部は上面を凹状に形成、前記手首支え部の底面は接地するよう形成し、
使用時に前記手首支え部と前記浴槽とが、直線状に並ぶように形成するか、又は曲線状に並ぶように形成したことを特徴とする手浴槽。
【請求項2】
手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、
前記手首支え部は上面を凹状に形成し前記浴槽の浴槽空間部と一体である空洞を設け、
前記浴槽に注がれた入浴用のお湯が前記手首支え部の空洞にも入るよう形成され、
使用時に前記手首支え部と前記浴槽とが、直線状に並ぶように形成するか、又は曲線状に並ぶように形成したことを特徴とする手浴槽。
【請求項3】
手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、
前記手首支え部は上面が凹状に形成されており前記浴槽の浴槽空間部と一体である空洞を設け、
前記手首支え部の上面を傾斜させるよう形成したことを特徴とする手浴槽。
【請求項4】
手浴を目的として使用する浴槽に、手首や腕を支えることができる手首支え部を具備した手浴槽であって、
前記手浴槽が、該手浴槽の縁に上面が凹状に形成された前記手首支え部を設けており、
該手首支え部より前記浴槽内側に向かって傾斜した手首や腕を支える支え壁を具備したことを特徴とする手浴槽。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2012−147815(P2012−147815A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6506(P2011−6506)
【出願日】平成23年1月15日(2011.1.15)
【特許番号】特許第4763859号(P4763859)
【特許公報発行日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(309024848)
【Fターム(参考)】