手術用処置具
【課題】 本発明は部品点数が少なく、構造が簡単で、組立てが容易にできるとともに、故障が少なく、ジヨー部が折れても容易に回収することができる、安価に製造することができる手術用処置具を得るにある。
【解決手段】 体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とで手術用処置具を構成している。
【解決手段】 体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とで手術用処置具を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体腔壁内の穴あるいは、内視鏡のチャンネルに挿通して体腔に挿入して使用される手術用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手術用処置具は先端部の開閉させることのできる一対のジヨー部を、外周部にガイド溝を形成したアクチュエータを回転させることにより、一対のジヨー部に形成された前記ガイド溝と係合する係合部材の移動によって、一対のジヨー部の開閉を行なっている。
【0003】
このため、構造が複雑で、部品点数が多く、組立てに手数がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【0004】
また、一対のジヨー部がねじれるとアクチュエータのガイド溝から係合部材が外れたり、アクチュエータの下側に物が入るとアクチュエータが動かなくなり、開いたままとなり、トカロールから取り出せなくなったり、ジヨー部が折れたら回収できなくなったりするという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−343644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、部品点数が少なく、構造が簡単で、組立てが容易にできるとともに、故障が少なく、ジヨー部が折れても容易に回収することができる、安価に製造することができる手術用処置具を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0008】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、1例として、本発明は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とで手術用処置具を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、開閉用紐移動機構の操作により、一対のジヨー部を閉じることができる。
したがって、従来のようにガイド溝を形成したアクチュエータを用いるものに比べ、構造が簡単で、確実に開閉動作をさせることができ、かつ低コストで製造することができる。
(2)前記(1)により、一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔に開閉用紐を通過させているので、ジヨー部材が破損しても開閉用紐が貫通孔に通っていれば、容易に回収することができる。
(3)前記(1)によって、常時開放方向に付勢されるように一体形成されたジヨー部を有するジヨー部材を用いているので、ジヨー部材の取付け作業が容易で、楽に、正確に行なうことができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、補助バネによって、より確実に一対のジヨー部を常時開放方向に付勢することができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、開閉用紐の引っ張りや回転でスムーズに一対のジヨー部の開閉をさせることができる。
(6)請求項4も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、少なくとも1個の可撓性のチューブと、少なくとも2本以上の曲用紐の伸縮で挿入管の先端部を曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の一部破断正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の一部破断平面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】図2の要部断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のジヨー部を閉じた状態の動作説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の右方向へ回動させた状態の動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の左方向へ回動させた状態の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の一部破断正面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の要部拡大断面図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の要部説明図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の一部破断正面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の要部拡大断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の要部説明図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の一部破断正面図。
【図15】本発明を実施するための第4の形態の要部拡大断面図。
【図16】本発明を実施するための第4の形態の閉じた状態の要部拡大断面図。
【図17】本発明を実施するための第4の形態の要部説明図。
【図18】本発明を実施するための第5の形態の一部破断正面図。
【図19】本発明を実施するための第5の形態の要部拡大断面図。
【図20】本発明を実施するための第5の形態の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入して使用される本発明の手術用処置具で、この手術用処置具1は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入される生体親和性の高いPEEK、PTFE、PCB等の樹脂製の挿入管2と、この挿入管2の後端部に取付けられた操作部3と、前記挿入管2の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢される弾性材で一体成形された一対のジヨー部4、4を有するジヨー部材5と、このジヨー部材5の中央部に一体成形された、該ジヨー部材5の一対のジヨー部4、4間に位置する支柱6と、この支柱6の先端部寄りの部位に形成された支持部7と、前記一対のジヨー部4、4で前記支持部7よりも後方寄りの部位にそれぞれ形成された一対の貫通孔8、8と、前記支柱6の支持部7に中央部が支持され、両端が前記一対のジヨー部4、4の貫通孔8、8を通過し、前記挿入管2の先端部に形成したY字状の溝9を通過して、前記操作部3に接続されるナイロン、ケブラー等のテグス等の糸で形成された開閉用紐10と、この開閉用紐10を前記一対のジヨー部4、4が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構11とで構成されている。
【0014】
前記挿入管2は中央部に前記開閉用紐10が通過する開閉用紐通過孔12が形成され、両端部に左右の曲げ紐用の通過孔13、13が形成された後端部が前記操作部3に接続される挿入管本体14と、この挿入管本体14の先端部に左右の回動する回動機構15を介して取付けられた前記ジヨー部材5が取付けられる先端挿入管16とからなり、前記回動機構15は前記挿入管本体14の先端部に形成された開閉用紐通過孔12を有する接続パイプ17と、この接続パイプ17に一端部に挿入された外周部にコイルバネ18が巻き付けられた可撓性のチューブ19と、このチューブ19の他端部に挿入された前記先端挿入管16に形成された開閉用紐通過孔12を有する接続パイプ20と、前記先端挿入管16の後端部に一端部がそれぞれ固定され、他端部が前記挿入管本体14の左右の曲げ紐用の貫通孔13、13に挿入された左右の曲げ紐21、21とで構成されている。
【0015】
この左右の曲げ紐21、21は挿入管2の内側の挿入管本体14側に近い側で固定されている。
【0016】
前記操作部3は前記挿入管2の挿入管本体14の後端部に挿入管固定ユニット22を備える親指かけ23を有するグリップ24と、このグリップ24に枢支ピン25で枢支された中指かけ26を有する前記開閉用紐10を開閉方向に移動させる開閉用紐移動機構11としての開閉用アーム27と、前記挿入管固定ユニット22の後方に位置する、前記グリップ24に形成された凹部28に挿入された前記左右の曲げ紐21、21の通過孔29、29が形成された角度調整用ステー30と、この角度調整用ステー30を覆うように前記グリップ24に軸31で回転可能に取付けられ、かつ前記角度調整用ステー30の通過孔29、29を通過した左右の曲げ紐21、21を、前記軸31より離れた位置で固定されるダイヤル32とで構成されている。
【0017】
上記構成の手術用処置具1は開閉用アーム27を後方へ回動させることにより、開閉用紐10は挿入管2および挿入管固定ユニット22を通過して後方へスライド移動する。
【0018】
この開閉用紐10の後方へのスライド移動によって、先端部の支柱6の支持部7に支持されている部分を中心に、開閉用紐10がジヨー部材5の一対のジヨー部4、4の貫通孔8、8を通過して後方へスライド移動することにより、一対のジヨー部4、4を閉じることができる。
【0019】
また、ダイヤル32を回転させることにより、該ダイヤル32の軸心と偏心位置に設置した角度調整用ステー30の通過孔29、29を通過して、該ダイヤル32に取付けられた左右の曲げ紐21、21を引っ張ったり、ゆるめたりする。
【0020】
すなわち、引っ張られた曲げ紐側へ回動機構15を介して先端挿入管16を回動させることができるので、左右方向へ先端挿入管16を回動させることができる。
【0021】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8ないし図20に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、挿入管本体14の先端部の開閉用紐通過孔12の外周部に形成された左右の曲げ紐21、21を通過させる左右の曲げ紐用の通過孔13、13と連通する接続パイプ33、33と、この接続パイプ33、33に一端部が挿入され、外周部にコイルバネ18、18が巻き付けられた可撓性のチューブ19、19と、この可撓性のチューブ19、19内を通過させて先端挿入管16の後端部に左右の曲げ紐21、21を接続した回動機構15Aを用いた点で、このような回動機構15Aを用いた手術用処置具1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、開閉用紐通過孔12と左右の曲げ紐用の通過孔13、13を横一列に形成するとともに、先端部に可撓性のチューブ19、19と接続される軸状の接続部材34、34を形成した挿入管本体14Aと、後端部に可撓性のチューブ19、19と接続される軸状の接続部材35、35を形成した先端挿入管16Aを用いて回動機構15Bを構成した点で、このように構成した回動機構15Bを用いて構成した手術用処置具1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、焼しゃく用電気バサミとして使用できるように一対のジヨー部4、4に接続しないように通電用の金属、例えばタングステン、NiTi合金、SUS等をコーティングした金属コーティング部36、36を形成し、該金属コーティング部36、36と導通するように導体37、37を配置した先端部挿入管16Bと、この先端部挿入管16Bの導体37、37と接続される導体で形成された左右の曲げ紐21A、21Aを用い、該左右の曲げ紐21A、21Aのダイヤル32に位置する端部をコネクタ38に接続されたコード39、39で接続した点で、このように一対のジヨー部4、4に電気を供給して焼しゃく用電気バサミとして使用できる手術用処置具1Cにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
なお、金属コーティング部36、36は一対のジヨー部4、4が閉じた時にショートしない位置関係になっている。
【0026】
図18ないし図20に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、グリップ24部に挿入管固定ユニット22を通過した開閉用紐10の端部が固定される回転可能な開閉用紐移動機構としての開閉用紐回転ダイヤル40を取付けた点で、この開閉用紐回転ダイヤル40を回転させることにより、開閉用紐10がねじられ、一対のジヨー部4、4間の開閉用紐10の長さが短くなって一対のジヨー部4、4を閉じることができる。このように構成した手術用処置具1Dにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入して使用される手術用処置具を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0028】
1、1A、1B、1C、1D:手術用処置具、
2:挿入管、 3:操作部、
4:ジヨー部、 5:ジヨー部材、
6:支柱、 7:支持部、
8:貫通孔、 9:Y字状の溝、
10:開閉用紐、 11:開閉用紐移動機構、
12:開閉用紐通過孔、 13:曲げ紐用の通過孔、
14、14A:挿入管本体、 15、15A、15B:回動機構、
16、16A、16B:先端挿入管、
17:接続パイプ、 18:コイルバネ、
19:チューブ、 20:接続パイプ、
21、21A:曲げ紐、 22:挿入管固定ユニット、
23:親指かけ、 24:グリップ、
25:枢支ピン、 26:中指かけ、
27:開閉用アーム、 28:凹部、
29:通過孔、 30:角度調整ステー、
31:軸、 32:ダイヤル、
33:接続パイプ、 34:接続部材、
35:接続部材、 36:金属コーティング部、
37:導体、 38:コネクタ、
39:コード、 40:開閉用紐回転ダイヤル。
【技術分野】
【0001】
本発明は体腔壁内の穴あるいは、内視鏡のチャンネルに挿通して体腔に挿入して使用される手術用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の手術用処置具は先端部の開閉させることのできる一対のジヨー部を、外周部にガイド溝を形成したアクチュエータを回転させることにより、一対のジヨー部に形成された前記ガイド溝と係合する係合部材の移動によって、一対のジヨー部の開閉を行なっている。
【0003】
このため、構造が複雑で、部品点数が多く、組立てに手数がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【0004】
また、一対のジヨー部がねじれるとアクチュエータのガイド溝から係合部材が外れたり、アクチュエータの下側に物が入るとアクチュエータが動かなくなり、開いたままとなり、トカロールから取り出せなくなったり、ジヨー部が折れたら回収できなくなったりするという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−343644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、部品点数が少なく、構造が簡単で、組立てが容易にできるとともに、故障が少なく、ジヨー部が折れても容易に回収することができる、安価に製造することができる手術用処置具を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0008】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、1例として、本発明は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とで手術用処置具を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、開閉用紐移動機構の操作により、一対のジヨー部を閉じることができる。
したがって、従来のようにガイド溝を形成したアクチュエータを用いるものに比べ、構造が簡単で、確実に開閉動作をさせることができ、かつ低コストで製造することができる。
(2)前記(1)により、一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔に開閉用紐を通過させているので、ジヨー部材が破損しても開閉用紐が貫通孔に通っていれば、容易に回収することができる。
(3)前記(1)によって、常時開放方向に付勢されるように一体形成されたジヨー部を有するジヨー部材を用いているので、ジヨー部材の取付け作業が容易で、楽に、正確に行なうことができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、補助バネによって、より確実に一対のジヨー部を常時開放方向に付勢することができる。
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、開閉用紐の引っ張りや回転でスムーズに一対のジヨー部の開閉をさせることができる。
(6)請求項4も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、少なくとも1個の可撓性のチューブと、少なくとも2本以上の曲用紐の伸縮で挿入管の先端部を曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の一部破断正面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の一部破断平面図。
【図3】図1の3−3線に沿う断面図。
【図4】図2の要部断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態のジヨー部を閉じた状態の動作説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の右方向へ回動させた状態の動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の左方向へ回動させた状態の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の一部破断正面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の要部拡大断面図。
【図10】本発明を実施するための第2の形態の要部説明図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の一部破断正面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の要部拡大断面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の要部説明図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の一部破断正面図。
【図15】本発明を実施するための第4の形態の要部拡大断面図。
【図16】本発明を実施するための第4の形態の閉じた状態の要部拡大断面図。
【図17】本発明を実施するための第4の形態の要部説明図。
【図18】本発明を実施するための第5の形態の一部破断正面図。
【図19】本発明を実施するための第5の形態の要部拡大断面図。
【図20】本発明を実施するための第5の形態の要部説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入して使用される本発明の手術用処置具で、この手術用処置具1は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入される生体親和性の高いPEEK、PTFE、PCB等の樹脂製の挿入管2と、この挿入管2の後端部に取付けられた操作部3と、前記挿入管2の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢される弾性材で一体成形された一対のジヨー部4、4を有するジヨー部材5と、このジヨー部材5の中央部に一体成形された、該ジヨー部材5の一対のジヨー部4、4間に位置する支柱6と、この支柱6の先端部寄りの部位に形成された支持部7と、前記一対のジヨー部4、4で前記支持部7よりも後方寄りの部位にそれぞれ形成された一対の貫通孔8、8と、前記支柱6の支持部7に中央部が支持され、両端が前記一対のジヨー部4、4の貫通孔8、8を通過し、前記挿入管2の先端部に形成したY字状の溝9を通過して、前記操作部3に接続されるナイロン、ケブラー等のテグス等の糸で形成された開閉用紐10と、この開閉用紐10を前記一対のジヨー部4、4が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構11とで構成されている。
【0014】
前記挿入管2は中央部に前記開閉用紐10が通過する開閉用紐通過孔12が形成され、両端部に左右の曲げ紐用の通過孔13、13が形成された後端部が前記操作部3に接続される挿入管本体14と、この挿入管本体14の先端部に左右の回動する回動機構15を介して取付けられた前記ジヨー部材5が取付けられる先端挿入管16とからなり、前記回動機構15は前記挿入管本体14の先端部に形成された開閉用紐通過孔12を有する接続パイプ17と、この接続パイプ17に一端部に挿入された外周部にコイルバネ18が巻き付けられた可撓性のチューブ19と、このチューブ19の他端部に挿入された前記先端挿入管16に形成された開閉用紐通過孔12を有する接続パイプ20と、前記先端挿入管16の後端部に一端部がそれぞれ固定され、他端部が前記挿入管本体14の左右の曲げ紐用の貫通孔13、13に挿入された左右の曲げ紐21、21とで構成されている。
【0015】
この左右の曲げ紐21、21は挿入管2の内側の挿入管本体14側に近い側で固定されている。
【0016】
前記操作部3は前記挿入管2の挿入管本体14の後端部に挿入管固定ユニット22を備える親指かけ23を有するグリップ24と、このグリップ24に枢支ピン25で枢支された中指かけ26を有する前記開閉用紐10を開閉方向に移動させる開閉用紐移動機構11としての開閉用アーム27と、前記挿入管固定ユニット22の後方に位置する、前記グリップ24に形成された凹部28に挿入された前記左右の曲げ紐21、21の通過孔29、29が形成された角度調整用ステー30と、この角度調整用ステー30を覆うように前記グリップ24に軸31で回転可能に取付けられ、かつ前記角度調整用ステー30の通過孔29、29を通過した左右の曲げ紐21、21を、前記軸31より離れた位置で固定されるダイヤル32とで構成されている。
【0017】
上記構成の手術用処置具1は開閉用アーム27を後方へ回動させることにより、開閉用紐10は挿入管2および挿入管固定ユニット22を通過して後方へスライド移動する。
【0018】
この開閉用紐10の後方へのスライド移動によって、先端部の支柱6の支持部7に支持されている部分を中心に、開閉用紐10がジヨー部材5の一対のジヨー部4、4の貫通孔8、8を通過して後方へスライド移動することにより、一対のジヨー部4、4を閉じることができる。
【0019】
また、ダイヤル32を回転させることにより、該ダイヤル32の軸心と偏心位置に設置した角度調整用ステー30の通過孔29、29を通過して、該ダイヤル32に取付けられた左右の曲げ紐21、21を引っ張ったり、ゆるめたりする。
【0020】
すなわち、引っ張られた曲げ紐側へ回動機構15を介して先端挿入管16を回動させることができるので、左右方向へ先端挿入管16を回動させることができる。
【0021】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8ないし図20に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0022】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、挿入管本体14の先端部の開閉用紐通過孔12の外周部に形成された左右の曲げ紐21、21を通過させる左右の曲げ紐用の通過孔13、13と連通する接続パイプ33、33と、この接続パイプ33、33に一端部が挿入され、外周部にコイルバネ18、18が巻き付けられた可撓性のチューブ19、19と、この可撓性のチューブ19、19内を通過させて先端挿入管16の後端部に左右の曲げ紐21、21を接続した回動機構15Aを用いた点で、このような回動機構15Aを用いた手術用処置具1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0023】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、開閉用紐通過孔12と左右の曲げ紐用の通過孔13、13を横一列に形成するとともに、先端部に可撓性のチューブ19、19と接続される軸状の接続部材34、34を形成した挿入管本体14Aと、後端部に可撓性のチューブ19、19と接続される軸状の接続部材35、35を形成した先端挿入管16Aを用いて回動機構15Bを構成した点で、このように構成した回動機構15Bを用いて構成した手術用処置具1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図14ないし図17に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、焼しゃく用電気バサミとして使用できるように一対のジヨー部4、4に接続しないように通電用の金属、例えばタングステン、NiTi合金、SUS等をコーティングした金属コーティング部36、36を形成し、該金属コーティング部36、36と導通するように導体37、37を配置した先端部挿入管16Bと、この先端部挿入管16Bの導体37、37と接続される導体で形成された左右の曲げ紐21A、21Aを用い、該左右の曲げ紐21A、21Aのダイヤル32に位置する端部をコネクタ38に接続されたコード39、39で接続した点で、このように一対のジヨー部4、4に電気を供給して焼しゃく用電気バサミとして使用できる手術用処置具1Cにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
なお、金属コーティング部36、36は一対のジヨー部4、4が閉じた時にショートしない位置関係になっている。
【0026】
図18ないし図20に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、グリップ24部に挿入管固定ユニット22を通過した開閉用紐10の端部が固定される回転可能な開閉用紐移動機構としての開閉用紐回転ダイヤル40を取付けた点で、この開閉用紐回転ダイヤル40を回転させることにより、開閉用紐10がねじられ、一対のジヨー部4、4間の開閉用紐10の長さが短くなって一対のジヨー部4、4を閉じることができる。このように構成した手術用処置具1Dにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入して使用される手術用処置具を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0028】
1、1A、1B、1C、1D:手術用処置具、
2:挿入管、 3:操作部、
4:ジヨー部、 5:ジヨー部材、
6:支柱、 7:支持部、
8:貫通孔、 9:Y字状の溝、
10:開閉用紐、 11:開閉用紐移動機構、
12:開閉用紐通過孔、 13:曲げ紐用の通過孔、
14、14A:挿入管本体、 15、15A、15B:回動機構、
16、16A、16B:先端挿入管、
17:接続パイプ、 18:コイルバネ、
19:チューブ、 20:接続パイプ、
21、21A:曲げ紐、 22:挿入管固定ユニット、
23:親指かけ、 24:グリップ、
25:枢支ピン、 26:中指かけ、
27:開閉用アーム、 28:凹部、
29:通過孔、 30:角度調整ステー、
31:軸、 32:ダイヤル、
33:接続パイプ、 34:接続部材、
35:接続部材、 36:金属コーティング部、
37:導体、 38:コネクタ、
39:コード、 40:開閉用紐回転ダイヤル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とからなることを特徴とする手術用処置具。
【請求項2】
ジヨー部材の中央部には一対のジヨー部が常時外方へ位置するように付勢する補助バネが設けられていることを特徴とする請求項1記載の手術用処置具。
【請求項3】
一対のジヨー部に形成された貫通孔は開閉用紐がスムーズに移動できるように外側下部が弧状になるように形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2いずれかに記載の手術用処置具。
【請求項4】
挿入管の先端部寄りの部位は可撓性の少なくとも1個のチューブで接続されているとともに、少なくとも2本以上の曲用紐伸縮で挿入管の先端部を曲げられるように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の手術用処置具。
【請求項1】
体腔壁内の穴に挿通して体腔に挿入され得る挿入管と、この挿入管の先端部に取付けられた、常時開放方向に付勢されるように一体成形された一対のジヨー部を有するジヨー部材と、このジヨー部材の中央部に一体成形された、該ジヨー部材の一対のジヨー部間に位置する支柱と、この支柱の先端部寄りの部位の支持部に支持され、該支持部よりも前記挿入管寄りの部位の前記一対のジヨー部にそれぞれ形成された貫通孔を通過して、前記挿入管の先端部のY字状の溝より内部へ導かれた開閉用紐と、この開閉用紐を前記一対のジヨー部が閉じる方向に移動させる開閉用紐移動機構とからなることを特徴とする手術用処置具。
【請求項2】
ジヨー部材の中央部には一対のジヨー部が常時外方へ位置するように付勢する補助バネが設けられていることを特徴とする請求項1記載の手術用処置具。
【請求項3】
一対のジヨー部に形成された貫通孔は開閉用紐がスムーズに移動できるように外側下部が弧状になるように形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2いずれかに記載の手術用処置具。
【請求項4】
挿入管の先端部寄りの部位は可撓性の少なくとも1個のチューブで接続されているとともに、少なくとも2本以上の曲用紐伸縮で挿入管の先端部を曲げられるように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載の手術用処置具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−85748(P2013−85748A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229611(P2011−229611)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000105659)日本電産コパル電子株式会社 (85)
【Fターム(参考)】
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