説明

手袋の裏返し用具

【課題】 多種多様な素材で製造された手袋を、容易に裏返しにすることができる便利な手袋の裏返し用具を提供する。
【解決手段】 本体(1)の中央付近に設けた孔(2)に軸(3)をはめ入れてカシメ、この軸(3)を支点に本体(1)を回転可能に接合し、前記本体(1)の一方にハンドル(4)を、他方にロングノーズ(5)を備えた手持ち工具および手袋の裏返し器具において、この手持ち工具および手袋の裏返し器具のロングノーズ(5)の前方内側に、手袋の指を挟み付ける指挟み部(6)を設けて構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いろいろな業種で使用され多種多様な素材で製造された手袋に係り、特に厚手の作業用ゴム手袋を裏返しにする場合に用いる手袋の裏返し用具に関んするものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゴムなどの素材を用いて製造された作業用手袋においては、使用後の洗浄および乾燥を容易とするため、それを裏返しにする作業が欠かせない。そこで、この作業を行うための手袋の裏返し器の開示がなされている。(特許文献1参照)
【0003】
しかしながら、このような器具の商品化による提供がなされていないため、現状における手袋を裏返しにする作業にあたつては、人それぞれの工夫を用いて行われているものと思われる。
【0004】
なお、本願発明に関連する公知技術として次の特許文献1を挙げることができる。
【0005】
【特許文献1】 実開平03−22096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、この従来の手袋の裏返し器にあつては、その構造から拡張部の外側または内側を用いる手段により、手袋を裏返しにすることができるものである。
【0007】
そこで、試作品を作って使用してみると、拡張部の外側を用いる手段においては、袖口を深く折り返した後の手袋の指を、拡張部の外側で拡張しながら引き出して裏返しにするには、拡張部の外面とその指の内面とに、強力な摩擦力を作用させてその指を保持しなければならず、例えばゴム手袋であつても、その裏側に綿布あるいは植毛が施された素材の面においては、ゴムのように強力な摩擦力が生じる性質を備えていないので、拡張部で拡張したその指を、引き出して裏返しにしようとしても、摩擦面とその指との接触面が滑つてしまうため、拡張による手段ではその指を裏返しにすることができない。
【0008】
したがつて、この従来の手袋の裏返し器にあつてはその使用範囲が、ゴムのような摩擦力が生じる性質を備えた素材で製造された手袋に限定されるため、使い勝手が悪くて不便に感じるものである。
【0009】
また、拡張部の内側を用いる手段においては、挟み付けた手袋の指を引つ張り出す際に、その指自体の重なり合いによる詰りで抵抗が伴うため、拡張部の内側が滑つて挟み付けた手袋の指が離脱してしまう問題が生じる。
【0010】
この発明は、このような問題を解決しようとするもので、多種多様な素材で製造された手袋を、容易に裏返しにすることができる手袋の裏返し用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために本発明の手袋の裏返し用具においては、本体の中央付近に設けた孔に軸をはめ入れてカシメ、この軸を支点に本体を回転可能に接合し、前記本体の一方にハンドルを、他方にロングノーズを備えた手持ち工具および手袋の裏返し器具において、この手持ち工具および手袋の裏返し器具のロングノーズの前方内側に、手袋の指を挟み付ける指挟み部を設けて構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように本発明によれば、ロングノーズに指挟み部を設けることにより、手袋の指を挟み付けて引つ張り出して裏返しにするので、従来のもののように、手袋の指を拡張部の外面で保持するための摩擦力の作用を必要とせず、製造に用いられる手袋の素材による使用範囲に限定されることもなく、多種多様な素材で製造された手袋を裏返しにすることができ、使い勝手の良い便利な手袋の裏返し用具を提供することができる。
【0013】
また図3の本発明においては、少し宍出して設けた指挟み部の対向する内側面に、凹凸を施してその内側面の滑りを防止することにより、ロングノーズから手袋の指が離脱する問題を解決することができ、確実に手袋の指を挟み付けて裏返しにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施の形態を示し、本体1の中央付近に設けた孔2に、軸3をはめ入れてカシメ、この軸3を支点に本体1が交差して回転するように接合している。また本体1の一方にハンドル4を、他方にロングノーズ5を設け、このロングノーズ5の前方内側に手袋の指を挟み付ける指挟み部6を設けている。さらに、この指挟み部6を手の中指の第一間節ぐらいの大きさに設け、手袋の指を損傷させることなく安定して挟み付けることができるようにしている。
【0016】
本発明は以上構成からなるのでこれを使用するときは、図5に示すように、使用後の作業用ゴム手袋の袖を深く折り返してその指の開口を外に出し、この開口の中で拡開した指挟み部6の開口内に、片方の手の指でその手袋の指先を押し込み、この押し込んだ指先をハンドル4の絞りで挟み付けて引つ張り出し、この動作を繰り返し行うことによつて手袋を容易に裏返しすることができる。
【0017】
なお、手袋の指を引つ張り出す際には、その指自体の重なり合いによる詰りで抵抗を伴うが、ハンドル4に捻りを加えることにより、その詰りを解きほぐしながら、簡単にその指を引つ張り出して裏返しにすることができる。
【0018】
さらに指挟み部6の形状については、図1に示す形に限定されるものではなく例えば(馬蹄形、円形、楕円形、扇形、方形)などに設けて必要に応じて面取り加工を施せば、図1のものとほぼ同様の作用と効果を得ることができる。
【0019】
また、図1、2の本発明においてロングノーズとは、孔2の外径からその先端までの長さが少なくとも25mmを有し、軸3付近からその先端に向つてその太さが徐々に細くまたは薄くなる形状を有しているものである。
【実施例1】
【0020】
図2は実施例1を示し、図1の実施の形態のものと比較して指挟み部6の形を断面円弧状に設けている点が相違している。このような形状にすると、指挟み部6が円筒状に拡開して片方の手の指で手袋の指を押し込む際に、その指が吸い込まれるように折れ曲つて指挟み部6の開口内に収まる利点がある。なお使い方については図1のものと同じである。
【実施例2】
【0021】
図3は実施例2を示し、本体1の中央付近に設けて組み合せた対向する一対の軸受け7に、軸3をはめ入れてカシメている。軸受け7は軸3を支点に天秤のように動き、軸3にはバネ8と取り付けている。また、ハンドル4の形を半円筒状に設け、このハンドル4の片方には、押圧段部9を形成している。さらに、ロングノーズ5の形を断面が半楕円形状で、その先端部を円弧状に設けている。ロングノーズ5の前方内側には指挟み部6を少し宍出して設け、その対向する内側面に滑りを防止するための凹凸を施している。
【0022】
そして、図1の実施の形態で述べた手順により、指挟み部6の開口内に手袋の指を押し込むと、押圧段部9に加える手の圧力とバネ8の反発力との作用により、図4に示す指挟み部6の凹凸が滑りを防止するため、確実に手袋の指を引つ張り出して裏返しにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】 本発明の実施の形態に係る手袋の裏返し用具の斜視図である。
【図2】 本発明の実施例1を示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施例2を示す斜視図である。
【図4】 実施例2の指挟み部の凹凸を示す正面図である。
【図5】 図1の実施の形態の使用状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
(1)本体、(2)孔、(3)軸、(4)ハンドル、(5)ロングノーズ、(6)指挟み部、(7)軸受け、(8)バネ、(9)押圧段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸(3)を支点に回転する本体(1)の一方にハンドル(4)を、他方にロングノーズ(5)を備えた手持ち工具および手袋の裏返し器具において、前記手持ち工具および手袋の裏返し器具のロングノーズ(5)の前方に、手袋の指を挟み付ける指挟み部(6)を設けたことを特徴とする手袋の裏返し用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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