手袋
【課題】絞り部によって指挿入部の指からの不用意な離脱を防止しうるという従来の絞り部付き手袋の利点を維持しつつ、手袋を着用する際に、指挿入部に指を挿入する作業を従来に比べて好適且つスムーズに行うことができ、指挿入部の指先部分にかなりの空間部が残ったまま着用せざるを得ないという事態を緩和できる手袋を提供する。
【解決手段】手袋本体1の指挿入部2、3、4、5、6に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部9a、9b、9c、9dによって指挿入部の内径が絞られた絞り部28a、28b、28cが、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部28aは、1箇所以下とされ、他の絞り部28b、28cは、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部とされている。
【解決手段】手袋本体1の指挿入部2、3、4、5、6に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部9a、9b、9c、9dによって指挿入部の内径が絞られた絞り部28a、28b、28cが、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部28aは、1箇所以下とされ、他の絞り部28b、28cは、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部とされている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられ、その絞り部によって指挿入部の指からの離脱を防止するように構成された手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、手に付着すると除去しにくいインクや毛染め液、或いは手に付着することで皮膚に影響を与えるような化学薬品を取り扱う際には、そのインク、毛染め液、化学薬品等が手に付着するのを防止するために使い捨て用の手袋が着用される。また食品工場等において,握飯やサンドイッチ等の加工食品を製造する際には、米飯やパンに具材を装入する等が手作業で行われる場合があり、そのような場合にも衛生上の観点から食材が直接手に触れるのを防止するために、使い捨て用の手袋を着用することが作業者に義務付けられている。
【0003】
このような従来の手袋は、たとえば薄手の合成樹脂フィルム等で構成されて使い捨てを目的として使用されるものであり、必ずしも手にフィットするように製作されているものではない。このため、使用中に手袋が手から不用意に離脱するおそれがある。
【0004】
このような手袋の手からの不用意な離脱を防止するため、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられ、その絞り部によって指挿入部の指からの離脱を防止するように構成された手袋が開発されており、そのような絞り部が形成された手袋に関する特許出願として、従来では下記特許文献1〜4のような特許出願がなされている。そして、このような特許文献1〜4の特許出願に記載された絞り部付き手袋は、いずれも絞り部を構成する窪み部が指挿入部の周縁部の左右に複数対形成されている。
【0005】
しかし、これら従来の絞り部付きの手袋は、複数の絞り部を構成する複数の窪み部が、いずれも指の縦方向軸中心部を中心として、左右対称な位置に設けられているので、手袋の着用時において指挿入部に指を挿入する際に、左右対称な位置に設けられた窪み部によって指に引っ掛かりが生じ易く、指挿入部に指を挿入する作業を必ずしも容易に行うことができないという問題点が生じていた。この結果、指挿入部の指先部分まで指が挿入されず、指先部分にかなりの空間部が残ったままの状態で着用して作業をせざるを得ないという問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−169822号公報
【特許文献2】実用新案登録第3043387号公報
【特許文献3】特開2005−9035号公報
【特許文献4】実開平4−7616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、絞り部によって指挿入部の指からの不用意な離脱を防止しうるという従来の絞り部付き手袋の利点を維持しつつ、さらに手袋を着用する際に、指挿入部に指を挿入する作業を従来に比べて好適且つスムーズに行うことができ、指挿入部の指先部分にかなりの空間部が残ったまま着用せざるを得ないという事態を緩和することができる手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されていることを特徴とする手袋を提供するものである。
【0009】
指挿入部からの指の抜け出しを防止するためには、窪み部と指との間の距離を一定以下に狭め、手袋を手に装着して作業を行う際に前記窪み部を指に接触させる機会を増やすことが重要になるが、指との距離が近い窪み部を、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に設けると、指の通路が狭くなり、指挿入部に指を挿入しにくい状態となる。特に、このような窪み部が左右対称な位置に設けられた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて2箇所以上に設けられていると、手袋本体を手に装着しづらいものとなる。その一方で、左右いずれか一方側にしか窪み部を設けていない等、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部であれば、窪み部と指との距離を狭めながらも、指の通路をある程度広く確保することができる。
【0010】
本発明においては、上記のように、複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されているので、指の通路が狭くなって手袋本体を手に装着しづらいという事態を最小限にとどめることができ、指の通路がある程度の広さに確保された上記非対称な絞り部を通過させて指挿入部内に指を好適且つスムーズに挿入することができる。その一方で、左右いずれか一方側にしか窪み部が設けられていない非対称な絞り部であっても、窪み部と指との距離がある程度狭められた状態とされているので、指挿入部からの指の抜け出しは防止されることとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、複数の絞り部がすべて縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有して形成されていた従来の手袋に比べると、指挿入部へ指を入れる作業を好適且つスムーズに行うことができ、この結果、指挿入部の指先部分に空間部が残ったまま着用せざるを得ないという事態を緩和することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態としての手袋の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】手袋を手に装着した状態の正面図。
【図4】指挿入部に指を挿入した状態の正面図。
【図5】一実施形態としての指挿入具の製造方法におけるチューブの移送工程を示す概略平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】指挿入具の輪郭部分を熱シールする工程を示す概略平面図。
【図8】チューブの両側部を切断する工程を示す概略平面図。
【図9】熱シールした部分を切り取る工程を示す概略平面図。
【図10】他実施形態の手袋の正面図。
【図11】他実施形態の手袋の正面図。
【図12】他実施形態の手袋の正面図。
【図13】他実施形態の手袋の正面図。
【図14】他実施形態の手袋の正面図。
【図15】他実施形態の手袋の正面図。
【図16】他実施形態の手袋の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の手袋は、上述のように、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されているものである。
【0014】
手袋本体は、たとえば、親指を挿入する指挿入部、人指し指を挿入する指挿入部、中指を挿入する指挿入部、薬指を挿入する指挿入部、及び小指を挿入する指挿入部のそれぞれ5本の指挿入部を有して構成することができる。
【0015】
手袋本体は、たとえば合成樹脂製シートで構成することができる。この合成樹脂製シートを構成する合成樹脂の種類は問うものではないが、本発明の指挿入具が主として使い捨てを目的とすることから、製造コストが安価なポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることが望ましい。ただし、手袋本体の材質は合成樹脂に限定されるものではない。たとえばゴムや不織布で手袋本体を構成することも可能である。
【0016】
手袋本体の構成は特に限定されないが、たとえば表片と裏片との2枚のシート片を指の形状とし、その周縁部を熱シール等によりシールすることによって形成することができる。この場合、指挿入部の指先部分とは反対側の基端部側はシールされず、指を挿入するための開口部として形成される。
【0017】
さらに、手袋本体の各指の指挿入部には、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成されている。この窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられることとなる。かかる窪み部を形成することで、その窪み部が指への引っ掛かり部分となって、各指の指挿入部から、各指が不用意に抜け出るのが好適に防止されることとなる。
【0018】
本発明においては、上記のような複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されている。ここで、「縦方向軸中心部」とは、周縁部の左右に形成されている窪み部が、対称な位置に形成されているか否かを判断する目安となる仮想の中心線である。「1箇所以下」であるので、たとえば絞り部が3箇所に設けられている場合、縦方向軸中心部を中心として左右対称に窪み部が形成された絞り部は存在しないか若しくは1箇所のみとされ、他の2箇所の絞り部、若しくは3箇所すべての絞り部は、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されることとなる。
【0019】
また、たとえば手袋本体が親指、人指し指、中指、薬指、小指の5本の指挿入部を有して構成されている場合、上記のような絞り部は、すべての指の指挿入部に形成されていることが望ましいが、すべての指の指挿入部に絞り部が形成されていることは本発明に必須の条件ではない。ただし、絞り部が形成されている指の指挿入部に関しては、上記のように、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されている必要がある。
【0020】
以下、本発明のより具体的な実施形態について図面に従って説明する。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態の手袋14の手袋本体1は、図1に右手に装着する場合を例にして示すように、図1の正面視左側から順に右側に向けて親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、中指を挿入する指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6を具備して構成されている。
【0022】
手袋本体1は、全体が合成樹脂製シートからなり、図2に示すように、手袋本体1が、装着時には手の甲側にあてがわれることとなる一片1aと、掌側にあてがわれることとなる他片1bからなり、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側には、手を挿脱するための開口部7が形成されている。
【0023】
該開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び後述の窪み部となる部分には、熱シールによるシール部8が形成されている。すなわち、手首内側に相当する部位から、指先を開いた状態における手の輪郭に沿って各指先を通って手首外側に相当する位置にまで、連続したシール部8が形成されている。
【0024】
さらに、手袋本体1の指挿入部には、該指挿入部の内径が絞られた絞り部が、該指挿入部の基端部側から先端部側にかけて3箇所に設けられている。このような3箇所の絞り部28a、28b、28cは、図1に示すように、親指の指挿入部2、人指し指の指挿入部3、中指の指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6のすべての指挿入部に設けられている。
【0025】
絞り部28a、28b、28cは、指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部によって構成される。その構成についてより具体的に説明すると、指挿入部における先端部側に左右1対の窪み部9a、9bが形成され、さらに先端部側から基端部側にかけて2箇所に窪み部9c、9dが形成されている。これらの窪み部は、手袋本体1の周縁部のシール部8において、該シール部8の他の部分よりも部分的に内側に窪むように熱シールされることによって形成されている。
【0026】
先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成され、さらに該窪み部9cよりも基端部側に位置する窪み部9dによって基端部側の絞り部28cが構成されている。先端部側の絞り部28aは、各指挿入部2、3、4、5、6における縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図1の正面視右側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものであり、基端部側の窪み部9dは、図1の正面視左側に窪み部9dが形成されて構成された非対称なものである。
【0027】
また各窪み部9a、9b、9c、9dのうち、先端部側の絞り部28aを構成する1対の窪み部9a、9bは、図4に示すように指挿入部4内に指11を挿入したときに、遠位指節間関節(いわゆる第一関節)12の下側に位置するように形成され、中央の絞り部28bを構成する窪み部9cは、近位指節間関節(いわゆる第二関節)13の上側に位置するように形成され、基端部側の絞り部28cを構成する窪み部9dは、近位指節間関節13の下側に位置するように形成されている。図4では、一例として、中指の指挿入部4内に指11を挿入した場合について図示している。
【0028】
このように、本実施形態においては、4個の窪み部9a、9b、9c、9dによって、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて3箇所に絞り部28a、28b、28cが設けられていることになる。上記手首内側に相当する部位から、指先を開いた状態における手の輪郭に沿って各指先を通って手首外側に相当する位置にまで連続して形成されたシール部8は、上記窪み部9a、9b、9c、9dが形成された部分を含んで形成されている。
【0029】
このように計4個の窪み部9a、9b、9c、9dによって絞り部28a、28b、28cが構成されている態様は、親指の指挿入部2、人指し指の指挿入部3、中指の指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6のすべてにおいて同じである。
【0030】
そして、このような構成からなる手袋14を使用する場合には、図3に示すように、各指を挿入する指挿入部2、3、4、5、6内に、それぞれ親指15、人指し指16、及び中指17、薬指18、小指19を挿入する。このように、指挿入部2、3、4、5、6内に、各指を挿入することで、手袋14が手20に着用されることとなる。
【0031】
このように各指を挿入する指挿入部2、3、4、5、6内に指を挿入する場合には、上記3箇所の絞り部28a、28b、28cをそれぞれ構成する計4箇所の窪み部9a、9b、9c、9dが指挿入部2、3、4、5、6の左右に2箇所ずつ形成されていることで、指が窪み部9a、9b、9c、9dに引っかかるおそれがある。
【0032】
しかしながら、本実施形態においては、3箇所の絞り部28a、28b、28cのうち、先端部側の絞り部28aには、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されているが、中央の絞り部28b及び基端部側の絞り部28cは、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9c、9dが形成されていない非対称なものであるので、指を指挿入部2、3、4、5、6内に挿入する際に、先端部側及び基端部側のすべての絞り部が、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部が形成された構成からなる従来の手袋に比べると、容易且つスムーズに指を挿入することができる。
【0033】
一方、指が指挿入部2、3、4、5、6内に挿入された後は、図4に示すように、先端部側の絞り部28aを構成する1対の窪み部9a、9bは遠位指節間関節(いわゆる第一関節)12の下側に位置し、中央の絞り部28bを構成する窪み部9cは近位指節間関節(いわゆる第二関節)13の上側に位置し、基端部側の窪み部9dは近位指節間関節13の下側に位置しているので、挿入された指が指挿入部2、3、4、5、6から抜け出るのが好適に防止されることとなる。
【0034】
このように、本実施形態においては、指を指挿入部2、3、4、5、6内に挿入する際には、従来の手袋に比べて容易且つスムーズに指を挿入することができ、また一旦、指が手袋本体の指挿入部内に挿入された後は、指が指挿入部から不用意に抜け出るのが好適に防止される手袋を提供することが可能となった。
【0035】
次に、上記のような構成からなる手袋を製造するための製造方法について説明する。
【0036】
先ず、図5及び図6に示すように、チューブ状に形成された合成樹脂製の長尺シート21を移送し、平らに伸ばして合成樹脂シートが上下に2枚重なった状態にする。該長尺シート21はチューブ状に形成されているので、その両側部22、22は、図6に示すように前記手袋本体1の一片1aとなる上側シートと、前記手袋本体1の他片1bとなる下側シートとがつながった状態に形成されている。
【0037】
本実施形態においては、この上側シートと下側シートとを手の輪郭形状に熱シールした後に上側シートと下側シートとをシール部分に沿ってもぎり取ることにより手袋14を形成させる。以下に、長尺シート21の幅方向に、手袋となる部分が2つ並ぶように、且つ両側部22、22間に前記開口部7を形成させ、長尺シート21の幅方向中心部に指先位置が位置するように手袋14を作製する場合を例にして手袋の製造方法を説明する。
【0038】
先ず、図7に示すように、手袋の輪郭となる部分23に熱シールを施し、当該部分23に沿ってシール部(図7においては図示せず)を形成する。また、窪み部となる部分(図7においては図示せず)には、手袋の輪郭となる部分23において窪み部以外の他の部分よりも内側に窪んだ位置まで熱シールを施して、窪み部となる部分を形成する。
【0039】
次に、図8に示すように、長尺シート21の両側部22、22よりも内側に位置する開口部形成予定部分24を切断する。このように長尺シート21の開口部形成予定部分24を切断することによって、開口部7が形成されることとなる。
【0040】
次に、熱シールによってシール部が形成された手袋の輪郭となる部分に沿って手袋本体1の部分をもぎり取りつつ、長尺シート21を巻き取る。より具体的には、長尺シート21をロール等に巻き取ることによって、上記のように形成されたいわゆるハーフカットによる切断線の部分に沿って手袋本体1の部分が自動的に切り取られることとなり、それによって図9に示すように、上記のような形状の手袋14が、多数連続的に製造されることとなるのである。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態においても、図10に示すように各指挿入部2、3、4、5、6の計3箇所に絞り部28a、28b、28cが設けられており、この点で実施形態1と共通する。中央の絞り部28b及び基端部側の絞り部28cは、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9c、9dが形成されていない非対称なものであり、この点においても実施形態1と共通する。
【0042】
本実施形態では、先端部側の絞り部28aには、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9bが形成されておらず、この点で縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されていた上記実施形態1と相違している。すなわち、本実施形態においては、3箇所の絞り部28a、28b、28cのすべてが、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部が形成されていない非対称なものである。
【0043】
そして、先端部側の絞り部28aは、指挿入部内に指を挿入したときに、遠位指節間関節12の下側に位置するように形成され、中央の絞り部28bは近位指節間関節13の上側に位置するように形成され、基端部側の絞り部28cは近位指節間関節13の下側に位置するように形成されている。
【0044】
本実施形態においては、縦方向軸中心部10を中心として窪み部9bと左右対称な位置に形成された上記実施形態1のような窪み部9aは形成されていないが、指挿入部内に指を挿入したときの遠位指節間関節12及び近位指節間関節13と窪み部9b、9c、9dとの位置関係については、図4を用いて説明した上記実施形態1における窪み部9b、9c、9dと遠位指節間関節12及び近位指節間関節13との位置関係と同じである。
【0045】
本実施形態では、上記実施形態1のように、先端部側の絞り部28aが、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されて構成されたものではなく、左右いずれか一方のみに窪み部9bを有して先端部側の絞り部28aが構成されたものであるので、実施形態1に比べて手袋本体の指挿入部に指を挿入する作業を一層容易に行うことができる。この結果、指挿入部の指先の部分まで指を入れ易いという効果がある。
【0046】
その一方で、一旦指挿入部内に指を挿入した後は、3個の窪み部9b、9c、9dが形成され、縦方向軸中心部10を中心として窪み部が左右対称に形成された絞り部が存在していない本実施形態の場合には、4個の窪み部9a、9b、9c、9dが形成され、且つそのうちの1対の窪み部9a、9bが縦方向軸中心部10を中心として左右対称に形成されていた実施形態1に比べてやや劣ることなる。
【0047】
しかし、実施形態1に比べて、挿入された指が指挿入部から抜け出るのを防止する効果がやや劣るとはいえ、上記のように指挿入部の指先の部分まで指を入れ易いという効果を有するので、本実施形態においても、指を指挿入部内に挿入する作業を、従来の手袋に比べて容易且つスムーズに行うことができる手袋を提供することが可能となる。
【0048】
手袋本体1が、親指、人指し指、中指、薬指、及び小指の5本の指挿入部2、3、4、5、6を具備して構成されている点、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0049】
(実施形態3)
本実施形態においては、図11に示すように、薬指の指挿入部5と小指の指挿入部6に形成された絞り部の数が実施形態2と相違している。すなわち、本実施形態では、親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4には実施形態1と同様に3個の絞り部28a、28b、28cが設けられているが、薬指の指挿入部5と小指の指挿入部6には2個の絞り部28a、28bのみが設けられており、この点で、すべての指の指挿入部に3個の28a、28b、28cが設けられていた上記実施形態2の場合と相違している。
【0050】
薬指と小指の指挿入部5、6に形成された2個の絞り部28a、28bをそれぞれ構成する2個の窪み部9b、9cのうち、一方の窪み部9bは図11の正面視左側に形成され、他方の窪み部9cは図11の正面視右側に形成されている。2個の絞り部28a、28bは、左右いずれか一方のみに窪み部9b、9cをそれぞれ形成して構成された非対称な絞り部である。
【0051】
そして、先端部側に近い一方の窪み部9bは、指挿入部内に指を挿入したときに、遠位指節間関節12の下側に位置するように形成され、基端部側に近い他方の窪み部9cは近位指節間関節13の上側に位置するように形成されている。
【0052】
薬指と小指の指挿入部5、6に関しては、形成されている窪み部の個数が上記実施形態2よりも少ないので、指挿入部5、6内への薬指と小指の挿入を容易に行える反面、指挿入部5、6からの指の抜け出し防止効果は、薬指と小指の指挿入部5、6に3個の窪み部9b、9c、9dが形成されていた上記実施形態2に比べてやや劣ることとなる。薬指と小指の場合には、指の抜け出し防止効果が多少低減したとしても、手袋使用時の作業に主に使われる親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4に3個の窪み部9b、9c、9dが形成されていることで、手袋本体1の全体としては、指の抜け出し防止効果に支障を生じるようなこともないと考えられる。
【0053】
他の親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4に形成された3個の窪み部9b、9c、9dの構成や作用は、上記実施形態2と共通するため、その説明は省略する。
【0054】
手袋本体1が、親指、人指し指、中指、薬指、及び小指の5本の指挿入部2、3、4、5、6を具備して構成されている点、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態においては、図12に示すように、親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、及び中指を挿入する指挿入部4の3本の指挿入部で手袋本体1が構成されており、この点で、5本の指挿入部で手袋本体1が構成されていた上記各実施形態と相違する。
【0056】
本実施形態のように、手袋本体1が3本の指挿入部2、3、4を有して構成された手袋は、たとえば外食産業の店舗等においてフライドチキン、ドーナツ、フライドポテト等の油分を含む食材を、3本の指で摘んで食べる場合に、親指、人指し指、中指の3本の指を指挿入部2、3、4に挿入して使用されるものである。
【0057】
このような用途においても、指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けされていることで、各指挿入部2、3、4からの指の不用意な抜け出しが防止されることとなる。
【0058】
本実施形態においては、3個の窪み部9b、9c、9dがそれぞれ左右いずれかに形成された非対称な絞り部28a、28b、28cが、それぞれ3本の指挿入部2、3、4に3箇所ずつ形成されている。その3箇所の絞り部28a、28b、28cが形成されている位置は、上記実施形態2と同じである。従って、絞り部28a、28b、28cの構成に基づく指の挿入し易さの作用や、指挿入部2、3、4からの指の不用意な抜け出しを防止しうる作用も、上記実施形態2と共通するため、その説明は省略する。
【0059】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0060】
(実施形態5)
本実施形態においては、図13に示すように、親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、及び中指を挿入する指挿入部4の3本の指挿入部で手袋本体1が構成されており、この点で、上記実施形態4と共通する。
【0061】
本実施形態においては、指挿入部2、3、4にそれぞれ3本の指が挿入できるだけでなく、掌や手の甲の部分もある程度覆うことができるように手袋本体1が形成されている。そして、図13に示すように手袋本体1の一側縁の斜縁部分25にはシール部8が形成されておらず、薬指と小指を裸出させることができるような開口部26が形成されている。
【0062】
3個の絞り部28a、28b、28cが、それぞれ3本の指挿入部2、3、4に形成されている点は、上記実施形態4と同じであり、その3個の絞り部28a、28b、28cが、左右いずれか一方に窪み部9b、9c、9dを有して構成されている点は、上記実施形態2、4と同じであるので、絞り部28a、28b、28cの構成や作用の説明は省略する。
【0063】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0064】
(実施形態6)
本実施形態においては、図14に示すように、親指を挿入する指挿入部2と、人指し指、中指、薬指、小指の4本の指を挿入する4本指挿入部29とを具備して手袋本体1が構成され、全体がミトン形となるように手袋本体1が形成されている。
【0065】
また、本実施形態においては、図14に示すように、親指を挿入する指挿入部2においては、先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成されている。すなわち、親指を挿入する指挿入部2においては、2箇所に絞り部28a、28bが形成されている。先端部側の絞り部28aは、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図14の正面視左側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものである。
【0066】
一方、4本指挿入部29においては、先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成され、さらに該窪み部9cよりも基端部側に位置する窪み部9dによって基端部側の絞り部28cが構成されている。すなわち、4本指挿入部29においては、3箇所に絞り部28a、28b、28cが形成されている。先端部側の絞り部28aは、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図14の正面視左側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものであり、基端部側の窪み部9dは、図14の正面視左側に窪み部9dが形成されて構成された非対称なものである。
【0067】
本実施形態においては、親指を挿入する指挿入部2の開口部7aと、4本指挿入部29の開口部7bとは段差を有して構成されている。このように、それぞれの開口部7a、7bとが段差を有して構成されていることで、親指を指挿入部2に挿入する作業と、他の4本の指を4本指挿入部29に挿入する作業とをそれぞれ別々に行うことができ、親指と4本の指とのそれぞれの指の挿入作業を容易に行うことができる。
【0068】
各窪み部9a、9b、9c、9dの作用については上記実施形態1と共通するため、その説明は省略する。
【0069】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7a、7bが形成されている点、開口部7a、7bを除く手袋本体1の周縁部にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0070】
(実施形態7)
本実施形態においては、図15に示すように、手袋本体1の開口部の端縁が一直線状に形成されており、この点で、親指の指挿入部2の開口部7aと、4本指挿入部29の開口部7bとが段差を有して構成されていた実施形態6と相違する。開口部の端縁が一直線状に形成されていることで、上記実施形態6に比べて手袋の製造が容易となる利点を有するが、親指と4本の指とのそれぞれの指の挿入作業は、それぞれの指挿入部2、29の開口部7a、7bが段差を有して構成されている実施形態6の方が容易に行うことができる。
【0071】
絞り部28a、28b、28cや窪み部9a、9b、9cの構成、作用にについては上記実施形態6と共通するため、その説明は省略する。
【0072】
また、親指を挿入する指挿入部2と、人指し指、中指、薬指、小指の4本の指を挿入する4本指挿入部29とを具備して手袋本体1が構成され、全体がミトン形となるように手袋本体1が形成されている点は実施形態6と共通する。
【0073】
さらに、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0074】
(その他の実施形態)
尚、図16に示すように、手袋本体1の内面側にいわゆるエンボス加工を行って多数の凹凸27を形成することも可能である。この場合には、挿入された指の不用意な抜けが、より確実に防止されることとなる。
【0075】
さらに、上記実施形態では、開口部7の部分を除いて、手袋本体1の輪郭となる部分にシール部8が形成され、該シール部8の部分に窪み部が含まれるように構成されていたが、このようなシール部8を手袋本体1の輪郭となる部分に沿って形成することは本発明に必須の条件ではない。たとえば指挿入部の周縁部の一部のみを点状にシールして、その点状にシールされた部分を窪み部として形成することも可能である。
【0076】
さらに、手袋本体1の形状も、上記実施形態1乃至3のような5本指のもの、或いは実施形態4、5のような3本指のもの、実施形態6、7のような全体がミトン形のもの等、その形状は限定されるものではない。
【0077】
さらに、上記実施形態では、チューブ状の合成樹脂製の長尺シートを用いて手袋を製造したが、これに限らず、たとえば2枚のシート状の長尺シートを用いて手袋を製造することも可能である。この場合には、チューブ状の長尺シートを用いる場合のように、側縁を切断する工程が不要となる。いずれにしても、手袋を製造する方法や、その製造方法に用いる材料の形態等も限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられ、その絞り部によって指挿入部の指からの離脱を防止するように構成された手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、手に付着すると除去しにくいインクや毛染め液、或いは手に付着することで皮膚に影響を与えるような化学薬品を取り扱う際には、そのインク、毛染め液、化学薬品等が手に付着するのを防止するために使い捨て用の手袋が着用される。また食品工場等において,握飯やサンドイッチ等の加工食品を製造する際には、米飯やパンに具材を装入する等が手作業で行われる場合があり、そのような場合にも衛生上の観点から食材が直接手に触れるのを防止するために、使い捨て用の手袋を着用することが作業者に義務付けられている。
【0003】
このような従来の手袋は、たとえば薄手の合成樹脂フィルム等で構成されて使い捨てを目的として使用されるものであり、必ずしも手にフィットするように製作されているものではない。このため、使用中に手袋が手から不用意に離脱するおそれがある。
【0004】
このような手袋の手からの不用意な離脱を防止するため、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられ、その絞り部によって指挿入部の指からの離脱を防止するように構成された手袋が開発されており、そのような絞り部が形成された手袋に関する特許出願として、従来では下記特許文献1〜4のような特許出願がなされている。そして、このような特許文献1〜4の特許出願に記載された絞り部付き手袋は、いずれも絞り部を構成する窪み部が指挿入部の周縁部の左右に複数対形成されている。
【0005】
しかし、これら従来の絞り部付きの手袋は、複数の絞り部を構成する複数の窪み部が、いずれも指の縦方向軸中心部を中心として、左右対称な位置に設けられているので、手袋の着用時において指挿入部に指を挿入する際に、左右対称な位置に設けられた窪み部によって指に引っ掛かりが生じ易く、指挿入部に指を挿入する作業を必ずしも容易に行うことができないという問題点が生じていた。この結果、指挿入部の指先部分まで指が挿入されず、指先部分にかなりの空間部が残ったままの状態で着用して作業をせざるを得ないという問題点が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−169822号公報
【特許文献2】実用新案登録第3043387号公報
【特許文献3】特開2005−9035号公報
【特許文献4】実開平4−7616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、絞り部によって指挿入部の指からの不用意な離脱を防止しうるという従来の絞り部付き手袋の利点を維持しつつ、さらに手袋を着用する際に、指挿入部に指を挿入する作業を従来に比べて好適且つスムーズに行うことができ、指挿入部の指先部分にかなりの空間部が残ったまま着用せざるを得ないという事態を緩和することができる手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されていることを特徴とする手袋を提供するものである。
【0009】
指挿入部からの指の抜け出しを防止するためには、窪み部と指との間の距離を一定以下に狭め、手袋を手に装着して作業を行う際に前記窪み部を指に接触させる機会を増やすことが重要になるが、指との距離が近い窪み部を、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に設けると、指の通路が狭くなり、指挿入部に指を挿入しにくい状態となる。特に、このような窪み部が左右対称な位置に設けられた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて2箇所以上に設けられていると、手袋本体を手に装着しづらいものとなる。その一方で、左右いずれか一方側にしか窪み部を設けていない等、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部であれば、窪み部と指との距離を狭めながらも、指の通路をある程度広く確保することができる。
【0010】
本発明においては、上記のように、複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されているので、指の通路が狭くなって手袋本体を手に装着しづらいという事態を最小限にとどめることができ、指の通路がある程度の広さに確保された上記非対称な絞り部を通過させて指挿入部内に指を好適且つスムーズに挿入することができる。その一方で、左右いずれか一方側にしか窪み部が設けられていない非対称な絞り部であっても、窪み部と指との距離がある程度狭められた状態とされているので、指挿入部からの指の抜け出しは防止されることとなる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、複数の絞り部がすべて縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有して形成されていた従来の手袋に比べると、指挿入部へ指を入れる作業を好適且つスムーズに行うことができ、この結果、指挿入部の指先部分に空間部が残ったまま着用せざるを得ないという事態を緩和することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態としての手袋の正面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】手袋を手に装着した状態の正面図。
【図4】指挿入部に指を挿入した状態の正面図。
【図5】一実施形態としての指挿入具の製造方法におけるチューブの移送工程を示す概略平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】指挿入具の輪郭部分を熱シールする工程を示す概略平面図。
【図8】チューブの両側部を切断する工程を示す概略平面図。
【図9】熱シールした部分を切り取る工程を示す概略平面図。
【図10】他実施形態の手袋の正面図。
【図11】他実施形態の手袋の正面図。
【図12】他実施形態の手袋の正面図。
【図13】他実施形態の手袋の正面図。
【図14】他実施形態の手袋の正面図。
【図15】他実施形態の手袋の正面図。
【図16】他実施形態の手袋の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の手袋は、上述のように、指が挿入される手袋本体の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されているものである。
【0014】
手袋本体は、たとえば、親指を挿入する指挿入部、人指し指を挿入する指挿入部、中指を挿入する指挿入部、薬指を挿入する指挿入部、及び小指を挿入する指挿入部のそれぞれ5本の指挿入部を有して構成することができる。
【0015】
手袋本体は、たとえば合成樹脂製シートで構成することができる。この合成樹脂製シートを構成する合成樹脂の種類は問うものではないが、本発明の指挿入具が主として使い捨てを目的とすることから、製造コストが安価なポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることが望ましい。ただし、手袋本体の材質は合成樹脂に限定されるものではない。たとえばゴムや不織布で手袋本体を構成することも可能である。
【0016】
手袋本体の構成は特に限定されないが、たとえば表片と裏片との2枚のシート片を指の形状とし、その周縁部を熱シール等によりシールすることによって形成することができる。この場合、指挿入部の指先部分とは反対側の基端部側はシールされず、指を挿入するための開口部として形成される。
【0017】
さらに、手袋本体の各指の指挿入部には、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成されている。この窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられることとなる。かかる窪み部を形成することで、その窪み部が指への引っ掛かり部分となって、各指の指挿入部から、各指が不用意に抜け出るのが好適に防止されることとなる。
【0018】
本発明においては、上記のような複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されている。ここで、「縦方向軸中心部」とは、周縁部の左右に形成されている窪み部が、対称な位置に形成されているか否かを判断する目安となる仮想の中心線である。「1箇所以下」であるので、たとえば絞り部が3箇所に設けられている場合、縦方向軸中心部を中心として左右対称に窪み部が形成された絞り部は存在しないか若しくは1箇所のみとされ、他の2箇所の絞り部、若しくは3箇所すべての絞り部は、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されることとなる。
【0019】
また、たとえば手袋本体が親指、人指し指、中指、薬指、小指の5本の指挿入部を有して構成されている場合、上記のような絞り部は、すべての指の指挿入部に形成されていることが望ましいが、すべての指の指挿入部に絞り部が形成されていることは本発明に必須の条件ではない。ただし、絞り部が形成されている指の指挿入部に関しては、上記のように、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されている必要がある。
【0020】
以下、本発明のより具体的な実施形態について図面に従って説明する。
【0021】
(実施形態1)
本実施形態の手袋14の手袋本体1は、図1に右手に装着する場合を例にして示すように、図1の正面視左側から順に右側に向けて親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、中指を挿入する指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6を具備して構成されている。
【0022】
手袋本体1は、全体が合成樹脂製シートからなり、図2に示すように、手袋本体1が、装着時には手の甲側にあてがわれることとなる一片1aと、掌側にあてがわれることとなる他片1bからなり、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側には、手を挿脱するための開口部7が形成されている。
【0023】
該開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び後述の窪み部となる部分には、熱シールによるシール部8が形成されている。すなわち、手首内側に相当する部位から、指先を開いた状態における手の輪郭に沿って各指先を通って手首外側に相当する位置にまで、連続したシール部8が形成されている。
【0024】
さらに、手袋本体1の指挿入部には、該指挿入部の内径が絞られた絞り部が、該指挿入部の基端部側から先端部側にかけて3箇所に設けられている。このような3箇所の絞り部28a、28b、28cは、図1に示すように、親指の指挿入部2、人指し指の指挿入部3、中指の指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6のすべての指挿入部に設けられている。
【0025】
絞り部28a、28b、28cは、指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部によって構成される。その構成についてより具体的に説明すると、指挿入部における先端部側に左右1対の窪み部9a、9bが形成され、さらに先端部側から基端部側にかけて2箇所に窪み部9c、9dが形成されている。これらの窪み部は、手袋本体1の周縁部のシール部8において、該シール部8の他の部分よりも部分的に内側に窪むように熱シールされることによって形成されている。
【0026】
先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成され、さらに該窪み部9cよりも基端部側に位置する窪み部9dによって基端部側の絞り部28cが構成されている。先端部側の絞り部28aは、各指挿入部2、3、4、5、6における縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図1の正面視右側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものであり、基端部側の窪み部9dは、図1の正面視左側に窪み部9dが形成されて構成された非対称なものである。
【0027】
また各窪み部9a、9b、9c、9dのうち、先端部側の絞り部28aを構成する1対の窪み部9a、9bは、図4に示すように指挿入部4内に指11を挿入したときに、遠位指節間関節(いわゆる第一関節)12の下側に位置するように形成され、中央の絞り部28bを構成する窪み部9cは、近位指節間関節(いわゆる第二関節)13の上側に位置するように形成され、基端部側の絞り部28cを構成する窪み部9dは、近位指節間関節13の下側に位置するように形成されている。図4では、一例として、中指の指挿入部4内に指11を挿入した場合について図示している。
【0028】
このように、本実施形態においては、4個の窪み部9a、9b、9c、9dによって、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて3箇所に絞り部28a、28b、28cが設けられていることになる。上記手首内側に相当する部位から、指先を開いた状態における手の輪郭に沿って各指先を通って手首外側に相当する位置にまで連続して形成されたシール部8は、上記窪み部9a、9b、9c、9dが形成された部分を含んで形成されている。
【0029】
このように計4個の窪み部9a、9b、9c、9dによって絞り部28a、28b、28cが構成されている態様は、親指の指挿入部2、人指し指の指挿入部3、中指の指挿入部4、薬指を挿入する指挿入部5、及び小指を挿入する指挿入部6のすべてにおいて同じである。
【0030】
そして、このような構成からなる手袋14を使用する場合には、図3に示すように、各指を挿入する指挿入部2、3、4、5、6内に、それぞれ親指15、人指し指16、及び中指17、薬指18、小指19を挿入する。このように、指挿入部2、3、4、5、6内に、各指を挿入することで、手袋14が手20に着用されることとなる。
【0031】
このように各指を挿入する指挿入部2、3、4、5、6内に指を挿入する場合には、上記3箇所の絞り部28a、28b、28cをそれぞれ構成する計4箇所の窪み部9a、9b、9c、9dが指挿入部2、3、4、5、6の左右に2箇所ずつ形成されていることで、指が窪み部9a、9b、9c、9dに引っかかるおそれがある。
【0032】
しかしながら、本実施形態においては、3箇所の絞り部28a、28b、28cのうち、先端部側の絞り部28aには、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されているが、中央の絞り部28b及び基端部側の絞り部28cは、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9c、9dが形成されていない非対称なものであるので、指を指挿入部2、3、4、5、6内に挿入する際に、先端部側及び基端部側のすべての絞り部が、縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部が形成された構成からなる従来の手袋に比べると、容易且つスムーズに指を挿入することができる。
【0033】
一方、指が指挿入部2、3、4、5、6内に挿入された後は、図4に示すように、先端部側の絞り部28aを構成する1対の窪み部9a、9bは遠位指節間関節(いわゆる第一関節)12の下側に位置し、中央の絞り部28bを構成する窪み部9cは近位指節間関節(いわゆる第二関節)13の上側に位置し、基端部側の窪み部9dは近位指節間関節13の下側に位置しているので、挿入された指が指挿入部2、3、4、5、6から抜け出るのが好適に防止されることとなる。
【0034】
このように、本実施形態においては、指を指挿入部2、3、4、5、6内に挿入する際には、従来の手袋に比べて容易且つスムーズに指を挿入することができ、また一旦、指が手袋本体の指挿入部内に挿入された後は、指が指挿入部から不用意に抜け出るのが好適に防止される手袋を提供することが可能となった。
【0035】
次に、上記のような構成からなる手袋を製造するための製造方法について説明する。
【0036】
先ず、図5及び図6に示すように、チューブ状に形成された合成樹脂製の長尺シート21を移送し、平らに伸ばして合成樹脂シートが上下に2枚重なった状態にする。該長尺シート21はチューブ状に形成されているので、その両側部22、22は、図6に示すように前記手袋本体1の一片1aとなる上側シートと、前記手袋本体1の他片1bとなる下側シートとがつながった状態に形成されている。
【0037】
本実施形態においては、この上側シートと下側シートとを手の輪郭形状に熱シールした後に上側シートと下側シートとをシール部分に沿ってもぎり取ることにより手袋14を形成させる。以下に、長尺シート21の幅方向に、手袋となる部分が2つ並ぶように、且つ両側部22、22間に前記開口部7を形成させ、長尺シート21の幅方向中心部に指先位置が位置するように手袋14を作製する場合を例にして手袋の製造方法を説明する。
【0038】
先ず、図7に示すように、手袋の輪郭となる部分23に熱シールを施し、当該部分23に沿ってシール部(図7においては図示せず)を形成する。また、窪み部となる部分(図7においては図示せず)には、手袋の輪郭となる部分23において窪み部以外の他の部分よりも内側に窪んだ位置まで熱シールを施して、窪み部となる部分を形成する。
【0039】
次に、図8に示すように、長尺シート21の両側部22、22よりも内側に位置する開口部形成予定部分24を切断する。このように長尺シート21の開口部形成予定部分24を切断することによって、開口部7が形成されることとなる。
【0040】
次に、熱シールによってシール部が形成された手袋の輪郭となる部分に沿って手袋本体1の部分をもぎり取りつつ、長尺シート21を巻き取る。より具体的には、長尺シート21をロール等に巻き取ることによって、上記のように形成されたいわゆるハーフカットによる切断線の部分に沿って手袋本体1の部分が自動的に切り取られることとなり、それによって図9に示すように、上記のような形状の手袋14が、多数連続的に製造されることとなるのである。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態においても、図10に示すように各指挿入部2、3、4、5、6の計3箇所に絞り部28a、28b、28cが設けられており、この点で実施形態1と共通する。中央の絞り部28b及び基端部側の絞り部28cは、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9c、9dが形成されていない非対称なものであり、この点においても実施形態1と共通する。
【0042】
本実施形態では、先端部側の絞り部28aには、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部9bが形成されておらず、この点で縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されていた上記実施形態1と相違している。すなわち、本実施形態においては、3箇所の絞り部28a、28b、28cのすべてが、左右いずれか1箇所のみにしか窪み部が形成されていない非対称なものである。
【0043】
そして、先端部側の絞り部28aは、指挿入部内に指を挿入したときに、遠位指節間関節12の下側に位置するように形成され、中央の絞り部28bは近位指節間関節13の上側に位置するように形成され、基端部側の絞り部28cは近位指節間関節13の下側に位置するように形成されている。
【0044】
本実施形態においては、縦方向軸中心部10を中心として窪み部9bと左右対称な位置に形成された上記実施形態1のような窪み部9aは形成されていないが、指挿入部内に指を挿入したときの遠位指節間関節12及び近位指節間関節13と窪み部9b、9c、9dとの位置関係については、図4を用いて説明した上記実施形態1における窪み部9b、9c、9dと遠位指節間関節12及び近位指節間関節13との位置関係と同じである。
【0045】
本実施形態では、上記実施形態1のように、先端部側の絞り部28aが、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に1対の窪み部9a、9bが形成されて構成されたものではなく、左右いずれか一方のみに窪み部9bを有して先端部側の絞り部28aが構成されたものであるので、実施形態1に比べて手袋本体の指挿入部に指を挿入する作業を一層容易に行うことができる。この結果、指挿入部の指先の部分まで指を入れ易いという効果がある。
【0046】
その一方で、一旦指挿入部内に指を挿入した後は、3個の窪み部9b、9c、9dが形成され、縦方向軸中心部10を中心として窪み部が左右対称に形成された絞り部が存在していない本実施形態の場合には、4個の窪み部9a、9b、9c、9dが形成され、且つそのうちの1対の窪み部9a、9bが縦方向軸中心部10を中心として左右対称に形成されていた実施形態1に比べてやや劣ることなる。
【0047】
しかし、実施形態1に比べて、挿入された指が指挿入部から抜け出るのを防止する効果がやや劣るとはいえ、上記のように指挿入部の指先の部分まで指を入れ易いという効果を有するので、本実施形態においても、指を指挿入部内に挿入する作業を、従来の手袋に比べて容易且つスムーズに行うことができる手袋を提供することが可能となる。
【0048】
手袋本体1が、親指、人指し指、中指、薬指、及び小指の5本の指挿入部2、3、4、5、6を具備して構成されている点、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0049】
(実施形態3)
本実施形態においては、図11に示すように、薬指の指挿入部5と小指の指挿入部6に形成された絞り部の数が実施形態2と相違している。すなわち、本実施形態では、親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4には実施形態1と同様に3個の絞り部28a、28b、28cが設けられているが、薬指の指挿入部5と小指の指挿入部6には2個の絞り部28a、28bのみが設けられており、この点で、すべての指の指挿入部に3個の28a、28b、28cが設けられていた上記実施形態2の場合と相違している。
【0050】
薬指と小指の指挿入部5、6に形成された2個の絞り部28a、28bをそれぞれ構成する2個の窪み部9b、9cのうち、一方の窪み部9bは図11の正面視左側に形成され、他方の窪み部9cは図11の正面視右側に形成されている。2個の絞り部28a、28bは、左右いずれか一方のみに窪み部9b、9cをそれぞれ形成して構成された非対称な絞り部である。
【0051】
そして、先端部側に近い一方の窪み部9bは、指挿入部内に指を挿入したときに、遠位指節間関節12の下側に位置するように形成され、基端部側に近い他方の窪み部9cは近位指節間関節13の上側に位置するように形成されている。
【0052】
薬指と小指の指挿入部5、6に関しては、形成されている窪み部の個数が上記実施形態2よりも少ないので、指挿入部5、6内への薬指と小指の挿入を容易に行える反面、指挿入部5、6からの指の抜け出し防止効果は、薬指と小指の指挿入部5、6に3個の窪み部9b、9c、9dが形成されていた上記実施形態2に比べてやや劣ることとなる。薬指と小指の場合には、指の抜け出し防止効果が多少低減したとしても、手袋使用時の作業に主に使われる親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4に3個の窪み部9b、9c、9dが形成されていることで、手袋本体1の全体としては、指の抜け出し防止効果に支障を生じるようなこともないと考えられる。
【0053】
他の親指、人指し指、中指の指挿入部2、3、4に形成された3個の窪み部9b、9c、9dの構成や作用は、上記実施形態2と共通するため、その説明は省略する。
【0054】
手袋本体1が、親指、人指し指、中指、薬指、及び小指の5本の指挿入部2、3、4、5、6を具備して構成されている点、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0055】
(実施形態4)
本実施形態においては、図12に示すように、親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、及び中指を挿入する指挿入部4の3本の指挿入部で手袋本体1が構成されており、この点で、5本の指挿入部で手袋本体1が構成されていた上記各実施形態と相違する。
【0056】
本実施形態のように、手袋本体1が3本の指挿入部2、3、4を有して構成された手袋は、たとえば外食産業の店舗等においてフライドチキン、ドーナツ、フライドポテト等の油分を含む食材を、3本の指で摘んで食べる場合に、親指、人指し指、中指の3本の指を指挿入部2、3、4に挿入して使用されるものである。
【0057】
このような用途においても、指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けされていることで、各指挿入部2、3、4からの指の不用意な抜け出しが防止されることとなる。
【0058】
本実施形態においては、3個の窪み部9b、9c、9dがそれぞれ左右いずれかに形成された非対称な絞り部28a、28b、28cが、それぞれ3本の指挿入部2、3、4に3箇所ずつ形成されている。その3箇所の絞り部28a、28b、28cが形成されている位置は、上記実施形態2と同じである。従って、絞り部28a、28b、28cの構成に基づく指の挿入し易さの作用や、指挿入部2、3、4からの指の不用意な抜け出しを防止しうる作用も、上記実施形態2と共通するため、その説明は省略する。
【0059】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部及び窪み部となる部分にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0060】
(実施形態5)
本実施形態においては、図13に示すように、親指を挿入する指挿入部2、人指し指を挿入する指挿入部3、及び中指を挿入する指挿入部4の3本の指挿入部で手袋本体1が構成されており、この点で、上記実施形態4と共通する。
【0061】
本実施形態においては、指挿入部2、3、4にそれぞれ3本の指が挿入できるだけでなく、掌や手の甲の部分もある程度覆うことができるように手袋本体1が形成されている。そして、図13に示すように手袋本体1の一側縁の斜縁部分25にはシール部8が形成されておらず、薬指と小指を裸出させることができるような開口部26が形成されている。
【0062】
3個の絞り部28a、28b、28cが、それぞれ3本の指挿入部2、3、4に形成されている点は、上記実施形態4と同じであり、その3個の絞り部28a、28b、28cが、左右いずれか一方に窪み部9b、9c、9dを有して構成されている点は、上記実施形態2、4と同じであるので、絞り部28a、28b、28cの構成や作用の説明は省略する。
【0063】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0064】
(実施形態6)
本実施形態においては、図14に示すように、親指を挿入する指挿入部2と、人指し指、中指、薬指、小指の4本の指を挿入する4本指挿入部29とを具備して手袋本体1が構成され、全体がミトン形となるように手袋本体1が形成されている。
【0065】
また、本実施形態においては、図14に示すように、親指を挿入する指挿入部2においては、先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成されている。すなわち、親指を挿入する指挿入部2においては、2箇所に絞り部28a、28bが形成されている。先端部側の絞り部28aは、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図14の正面視左側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものである。
【0066】
一方、4本指挿入部29においては、先端部側の左右1対の窪み部9a、9bによって、先端部側の絞り部28aが構成され、該窪み部9a、9bよりも基端部側に位置する窪み部9cによって中央の絞り部28bが構成され、さらに該窪み部9cよりも基端部側に位置する窪み部9dによって基端部側の絞り部28cが構成されている。すなわち、4本指挿入部29においては、3箇所に絞り部28a、28b、28cが形成されている。先端部側の絞り部28aは、縦方向軸中心部10を中心として左右対称な位置に窪み部9a、9bが形成されて構成され、中央の絞り部28bは、図14の正面視左側に窪み部9cが形成されて構成された非対称なものであり、基端部側の窪み部9dは、図14の正面視左側に窪み部9dが形成されて構成された非対称なものである。
【0067】
本実施形態においては、親指を挿入する指挿入部2の開口部7aと、4本指挿入部29の開口部7bとは段差を有して構成されている。このように、それぞれの開口部7a、7bとが段差を有して構成されていることで、親指を指挿入部2に挿入する作業と、他の4本の指を4本指挿入部29に挿入する作業とをそれぞれ別々に行うことができ、親指と4本の指とのそれぞれの指の挿入作業を容易に行うことができる。
【0068】
各窪み部9a、9b、9c、9dの作用については上記実施形態1と共通するため、その説明は省略する。
【0069】
手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7a、7bが形成されている点、開口部7a、7bを除く手袋本体1の周縁部にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0070】
(実施形態7)
本実施形態においては、図15に示すように、手袋本体1の開口部の端縁が一直線状に形成されており、この点で、親指の指挿入部2の開口部7aと、4本指挿入部29の開口部7bとが段差を有して構成されていた実施形態6と相違する。開口部の端縁が一直線状に形成されていることで、上記実施形態6に比べて手袋の製造が容易となる利点を有するが、親指と4本の指とのそれぞれの指の挿入作業は、それぞれの指挿入部2、29の開口部7a、7bが段差を有して構成されている実施形態6の方が容易に行うことができる。
【0071】
絞り部28a、28b、28cや窪み部9a、9b、9cの構成、作用にについては上記実施形態6と共通するため、その説明は省略する。
【0072】
また、親指を挿入する指挿入部2と、人指し指、中指、薬指、小指の4本の指を挿入する4本指挿入部29とを具備して手袋本体1が構成され、全体がミトン形となるように手袋本体1が形成されている点は実施形態6と共通する。
【0073】
さらに、手袋本体1の全体が合成樹脂製シートからなる点、手袋本体1が表裏両片1a、1bからなる点、各指挿入部の指先側とは反対側の手袋本体1の基端部側に開口部7が形成されている点、開口部7を除く手袋本体1の周縁部にシール部8が形成されている点等の構成は実施形態1と共通する。
【0074】
(その他の実施形態)
尚、図16に示すように、手袋本体1の内面側にいわゆるエンボス加工を行って多数の凹凸27を形成することも可能である。この場合には、挿入された指の不用意な抜けが、より確実に防止されることとなる。
【0075】
さらに、上記実施形態では、開口部7の部分を除いて、手袋本体1の輪郭となる部分にシール部8が形成され、該シール部8の部分に窪み部が含まれるように構成されていたが、このようなシール部8を手袋本体1の輪郭となる部分に沿って形成することは本発明に必須の条件ではない。たとえば指挿入部の周縁部の一部のみを点状にシールして、その点状にシールされた部分を窪み部として形成することも可能である。
【0076】
さらに、手袋本体1の形状も、上記実施形態1乃至3のような5本指のもの、或いは実施形態4、5のような3本指のもの、実施形態6、7のような全体がミトン形のもの等、その形状は限定されるものではない。
【0077】
さらに、上記実施形態では、チューブ状の合成樹脂製の長尺シートを用いて手袋を製造したが、これに限らず、たとえば2枚のシート状の長尺シートを用いて手袋を製造することも可能である。この場合には、チューブ状の長尺シートを用いる場合のように、側縁を切断する工程が不要となる。いずれにしても、手袋を製造する方法や、その製造方法に用いる材料の形態等も限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指が挿入される手袋本体(1)の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されていることを特徴とする手袋。
【請求項1】
指が挿入される手袋本体(1)の指挿入部に、該指挿入部の周縁部から内側に窪んだ窪み部が複数箇所に形成され、該窪み部によって指挿入部の内径が絞られた絞り部が、指挿入部の基端部側から先端部側にかけて複数箇所に設けられた手袋において、該複数箇所の絞り部のうち、指挿入部における縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有する絞り部は、1箇所以下とされ、他の絞り部は、前記縦方向軸中心部を中心として左右対称な位置に窪み部を有しない非対称な絞り部として構成されていることを特徴とする手袋。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−76195(P2013−76195A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217848(P2011−217848)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000133537)株式会社チャレンジファイブ (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000133537)株式会社チャレンジファイブ (13)
【Fターム(参考)】
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