説明

手首固定器

手首固定器は、(a)固定器本体と、(b)着用者の手首あたりの固定器本体を取り囲むように構成された調節可能な手首ストラップと、(c)ひもと回転可能な締め付けの機構と、を含む。固定器本体は、着用者の手首の腹側にフィットするように構成され、かつ手のひらから前腕の腹側の一部分まで延びる半剛性の副木を含む。ひもと回転可能な締め付けの機構は、ひもに張力を加え、それにより着用者の手首あたりの手首ストラップを締め付け、副木を着用者の手首の腹側近くに引き寄せるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節可能な手首ストラップを有する手首固定器に関する。
【背景技術】
【0002】
手首の軟組織及び手根管への損傷を患う人々は多くおり、この損傷は、手の使用によって生じる、頻繁で持続した反復運動に起因することが多い。手根管症候群(CTS:carpal tunnel syndrome)、又は手首の正中神経障害は、正中神経が手首のところで圧縮されて、感覚異常(刺痛感又は穿痛感)、無感覚、及び/又は手の筋脱力を引き起こす医療症状である。
【0003】
手首に副木又は固定器を適用することで、手首屈曲を制限し、かつ手首を中立位置に維持することにより、CTSの症状を抑えるのを助けることができる。したがって、CTSの治療を目的とした数多くの副木及び固定器が開発されてきた。そのような固定器は、典型的には、ひも(lace)、締め金、及び/又はフックループクロージャ(例えば、Velcro(商標))を使用して、手及び手首に固定される。しかし、この種のクロージャシステムを含む手首副木及び固定器は、使用中に時間の経過に伴って、張力を失う又は緩む傾向がある。例えば、締め金は滑動する可能性があり、ひもは伸長する可能性があり、フックループクロージャは緩む可能性がある。このことは、手/手首を中立位置に維持するために特別な支持が必要な手首の曲がり目(bend)又は断裂部位(break)において、特に問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に鑑みて、本発明者らは、手/手首を中立位置に保持し、かつ、特に手首の曲がり目及び断裂部位において、使用中に時間の経過に伴って緩まない、CTSを治療するための手首固定器の必要性が、当該技術分野において存在することを認識している。更に、本発明者らは、所望レベルの望ましい圧迫に応じて、ユーザーがそれに合わせて手首固定器を調節することができるように、そのような手首固定器が素早く緩められる及び再度締められることができれば有利であろうことを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡潔に述べると、一態様において、本発明は、(a)固定器本体と、(b)着用者の手首あたりの固定器本体を取り囲むように構成された調節可能な手首ストラップと、(c)ひもと回転可能な締め付けの機構と、を含む手首固定器を提供する。固定器本体は、着用者の手首の腹側にフィットするように構成され、手のひらから前腕の腹側の一部分まで延び、かつ少なくとも部分的に固定器本体内に配置される、半剛性の副木を含む。ひもと回転可能な締め付けの機構は、ひもに張力を加え、それにより着用者の手首あたりの手首ストラップを締め付け、かつ副木を着用者の手首の腹側近くに引き寄せるように構成される。
【0006】
本発明の手首固定器は、手/手首を中立位置に保持し、かつ、使用中に時間の経過に伴って緩まない、CTSを治療するための手首固定器に関する当該技術分野での必要性を満たす。調節可能な手首ストラップは、手首の断裂部位に特別な支持を提供するために、締め付けられることができる。加えて、ひもと回転可能な締め付けの機構は、着用者が、必要に応じて、調節可能なストラップを素早くかつ簡単に緩める及び再度締めるのを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】調節可能な手首ストラップ使用方法の概略的な図。
【図2】本発明の手首固定器の実施形態の略図。
【図3】図2に例示された手首固定器の別の眺めの略図。
【図4】手首固定器の別の実施形態の略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の手首固定器は、その中に半剛性の副木が少なくとも部分的に配置される固定器本体を含む。固定器本体は、着用者の指全てのための大きな孔と、着用者の親指のための小さな孔とを備える、1つの筒状部分で構成され得る。このような固定器本体は、手袋をはめるのと同じやり方で、着用者の手及び手首に適用され得る。しかしながら、典型的には、固定器本体は単一部材から形成され、この単一部材は着用者の手首及び手を包み込み、手首固定器が適用されると、着用者の手首及び手の後部で互いに向かって引き寄せられる(又は恐らく重なり合う)対向面を有する2つの端部を形成する。いくつかの実施形態は、舌状部分も含む。固定器本体は、従来の固定手段、又は以下に記載されるリールとひものシステムを用いて、舌状部分越しに固定され得る。いくつかの実施形態では、舌状部は、固定器から完全に取り外し可能である。いくつかの実施形態では、舌状部は、固定器から完全に分離されない状態で、固定器を完全に開放できるように構成されてもよい。
【0009】
固定器本体及び任意の舌状部は、発泡体(例えば、開放セル発泡体)の層などの1種類以上の比較的柔軟性のある材料で構成され得る。固定器本体及び任意の舌状部の内部(即ち、手首固定器が装着されたときに皮膚と接触する固定器本体又は舌状部の一部)は、ポリエステル又は綿といった皮膚に対して快適な材料を含むのが好ましい。
【0010】
半剛性の副木は、少なくとも部分的に、固定器本体内に配置される。副木は、手首固定器が装着されたときに、手首を中立位置に保持するように設計される。副木は、手及び手首に支持を与えるのに十分なだけ剛性であるが、異なる手及び手首の形状を収容し得るように手及び手首に対して適合性がある、任意の材料を含むことができる。好ましくは、副木は、半剛性金属(例えば、アルミニウム)又はプラスチックを含む。
【0011】
副木は、当該技術分野において既知の方法を用いて、固定器本体内に取り付けられる又は埋め込まれることができる。いくつかの実施形態では、副木は、固定器本体の材料を重ね合わせることによって作られたポケットの中にあり、取り外し可能であり得る。
【0012】
好ましい実施形態では、半剛性の副木(好ましくは、アルミニウムの副木)は、発泡体積層体及びナイロンの2つの層の間に挟まれる。
【0013】
好ましくは、固定器本体、又は固定器本体の少なくとも主要部は、通気性がある(例えば、24時間当たり約3000グラム/平方メートルを超える湿気透過速度(MVTR)を有する)。
【0014】
好ましくは、以下に記載のように、ひもを締め付ける又は緩めるときに、ひもが表面上を滑動しやすくするために、固定器本体の外表面は、比較的低摩擦である。低摩擦表面は、固定器本体と一体に形成されてもよく、又は、接着剤、熱接着、縫製等により固定器本体に適用されてもよい。固定器本体の外表面は、例えば、スペーサー・ファブリック、発泡体積層体、リップストップナイロン、70デニール以上のナイロン布、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0015】
スペーサー・ファブリックは、同時進行で編成される積層体である。この編成方法は、層が独立した特性を呈するように、層を個々に操作する能力を提供する。例えば、内層は、滑らかで皮膚にやさしいポリエステルであることができ;垂直(即ち、内層及び外層に対して垂直)な中間層は、ナイロン又は短繊維層であることができ、このナイロン又は短繊維層の平方インチ当たりの数を増減させることにより、積層体全体により多くの又はより少ない密度を提供し;及び外表面は、水分の吸い上げ及び増加した耐摩耗性をもたらすために、ナイロンであり得る。スペーサー・ファブリックの外表面は、視覚的に多孔質であるように見える。スペーサー・ファブリックは、例えば、Gehring Textiles,Inc.(Garden City,NY)及びEastex Products,Inc.(Holbrook,MA)から入手可能である。
【0016】
リップストップナイロンは、クロスハッチパターンに織り合わされた裂け止め用の補強糸を備えた軽量のナイロン布である。
【0017】
いくつかの好ましい実施形態では、固定器本体は、主要な外表面としてスペーサー・ファブリックを含む。いくつかの好ましい実施形態では、固定器本体のインナーライナーは、ウレタンフォーム積層体であり、このウレタンフォーム積層体は、ユーザーに快適性を提供しかつ圧点を避けるために、手首固定器の構成要素に対するパディング(弾力性)を提供する。
【0018】
本発明の手首固定器は、ユーザーの手首の曲がり目を取り囲むように構成された、調節可能な手首ストラップを含む。図1に概略的に図示されているように、手首の曲がり目に設置されると、ストラップ10は、手と前腕との間に支点(旋回軸)を提供する。ストラップ10の調節機能は、ユーザーが、所定の活動に関して必要な時はいつでも、ストラップによって与えられる支持のレベル(即ち、ストラップの締め付け)を微調整するのを可能にする。手は力を下方に向け(F)、これは、前腕に押し上げ力を加える(F前腕)。調節可能な手首ストラップ10を使用して、手首の曲がり目における手首と副木12との間の動き(M)を変化させることにより、動的(即ち、緩やかな)フィットから、ほぼ完全な静的フィット(即ち、実質上全く動かない密着フィット)までを可能にする。
【0019】
調節可能な手首ストラップは、典型的には、発泡体積層体(例えば、ポリエステルの内層と、ウレタンフォームと、外部耐久性のためのナイロンジャージとを含む積層体)又は織りナイロンのストラップなどの、比較的非弾性の材料(例えば、張力下で約15%以下の伸びを有する材料)を含む。手首ストラップの幅は、支持は堅固であるが快適であるように、加えられた周方向力をユーザーの手首の周りに分配するのを助けることができる。典型的には、手首ストラップの幅は、約2.5cm〜約5cmである。手首ストラップの幅は様々であってもよい。例えば、手首ストラップは、ユーザーの手首の上にあたるストラップ部分において幅広で、ユーザーの手首の腹側を周回する部分が狭くなっていてもよい。
【0020】
調節可能な手首ストラップは、1箇所以上の付着点で固定器本体に取り付けられる(例えば、縫い付けられる)ことができる。例えば、手首ストラップは、固定器本体の対向端部の一方に取り付けられてもよく、又は、固定器本体の腹側の1箇所以上の位置に取り取り付けられてもよい。
【0021】
手首ストラップの調節機能は、リールとひものシステムによってもたらされる。リールとひものシステムは、ひも又はケーブルを含み、このひも又はケーブルは、手首ストラップの各端部の一部分に通され、ないしは別の方法で取り付けられ、以下により詳細に説明される締め付け機構に両端のところで取り付けられる。本明細書で使用するとき、ひも及びケーブルという用語は、特に指定のない限り、同じ意味を有する。ひもは、比較的簡単に固定器を通って滑動する低摩擦ひもであるのが好ましい。
【0022】
ストラップの締め付けひもは、例えば、手首固定器の締め付け機構と反対側にある、ストラップの端部のループ(例えば、ストラップの各端部を折重ねて、ループを縫い付けて作られる)に通されることができる。あるいは、ひもは、手首ストラップの端部、又は手首ストラップの端部近くに取り付けられたひもガイドに通されることができる当業者には理解されるように、ひもガイドは、種々の方法のいずれかで取り付けられることができる。例えば、ひもガイドは、手首ストラップ又は主要なブーツアセンブリに直接縫い付けられることができる。ひもガイドは、上記のように作られたループに挿入されることも可能である。ひもは、以下により詳細に記載されるように、手首ストラップの締め付け及び締め戻しの間、ループ又はひもガイドを通って滑動する。
【0023】
好ましくは、ひもガイドは、曲げに強い剛性材料で構成される。ひもガイドはまた、潤滑性ポリマーなどの低摩擦材料、又はそこを通ってひもが滑るのを容易にする金属から構成されるのが好ましい。あるいは、ひもガイドは、任意の使いやすい実質的に剛性の材料で作製されることができ、その後、摩擦を減少させるために、少なくとも滑動部分を潤滑コーティングでコーティングすることができる。
【0024】
好ましくは、ひもガイドのそれぞれは、そこを通って延びるルーメンの両端と連通する一対の開口部を画定する。開口部は、ルーメンの断面と少なくとも同じ幅であるのが好ましい。あるいは、ひもガイドは、例えば、半円形又は「U」字形の断面を有する開放溝を含むことができる。ひもガイド又は「ガイド部材」の例は、米国特許出願公開第2006/0156517号及び同第2007/0169378号により詳細に記載されている。
【0025】
ひもは、本出願にとって十分な軸方向強度及び曲げ性を呈する、各種ポリマー材料若しくは金属材料又はそれらの組み合わせのいずれかから形成されてもよい。例えば、編まれた、組まれた、撚り合わされた、ないしは別の方法で構成された各種中実コアワイヤ、中実コアポリマー、又はマルチフィラメントワイヤ若しくはポリマーのいずれかを使用することができる。中実又はマルチフィラメント金属コアには、摩擦を減らすために、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はその他当該技術分野において既知なものなどのようなポリマーコーティングを設けることができる。一実施形態では、ひもは、ステンレス鋼で製造された7本の繊維×7本の繊維のケーブルなどの撚りケーブルを含む。ひもと、そこを通ってひもが滑動するひもガイドとの間の摩擦を減らすために、ひもの外側表面は、ナイロン又はPTFEなどの潤滑性材料でコーティングされることが好ましい。好ましい実施形態では、ひもの直径は約0.024インチ(0.06cm)〜約0.060インチ(0.15cm)であり、0.032インチ(0.08cm)であるのが好ましい。ひもは、少なくとも約40ポンド(177.9N)の負荷、好ましくは少なくとも約90ポンド(400.3N)の負荷に耐えるのに充分なだけ強いことが望ましい。ある実施形態では、ひもの定格は、約100ポンド(444.8N)から、最大で約200ポンド(889.6N)以上と同程度の高さである。
【0026】
手首ストラップ締め付け機構は、手首固定器に装着される。締め付け機構は、固定器上の任意の様々な位置に位置決めされ得る。典型的には、締め付け機構は、手首固定器の後部の、対向面(opposing side)上の親指に近い側に位置決めされる。手首ストラップ締め付け機構の位置は、例えば固定器全体の設計といった、種々の考慮すべき事柄を鑑みて最適化されてもよい。手首ストラップ締め付け機構の形状及び総体積は、例えば、歯車列の設計に応じて変更され得る。比較的薄型の手首ストラップ締め付け機構が、一般的に好ましい。手首ストラップ締め付け機構の装着輪郭は、締め付け機構を固定器の外表面に埋め込むことによって、更に減じられ得る。
【0027】
広くは、手首ストラップ締め付け機構は、ひもをその中に引き込むために操作することができるレバー、クランク、又はノブなどの制御器を含む。加えて、手首ストラップ締め付け機構は、手首ストラップ締め付け機構を係合離脱してひもをそこから自由に引き出すことができるようにするために、ボタン又はレバーなどの開放機構を含むのが好ましい。いくつかの実施形態では、手首ストラップ締め付け機構は、制御器の上を外側へ引っ張ることにより、又は制御ノブを反時計回りに回転させることにより、解放される。いくつかの実施形態では、例えば、ボタン又はレバーの形態の追加のロックが設けられてもよく、システムを開放するために制御器を、例えば、外側へ引っ張れるようにするには、このロックを作動させなければならない。
【0028】
手首ストラップ締め付け機構は、一般に、ハウジングと、そこに回転可能に装着される円形ノブとを含む。ノブは回転して、ひもの端部をハウジング内に巻き込み、それによりひもに最終張力を掛けて緩みを減らし、所望レベルの締め付けを提供することができる。ひもの緩みが減ると、ひもは手首ストラップの対向縁部を互いに向けて引っ張り、手首ストラップを締め付けて、着用者に対するのより大きな支持を提供する。道具、又はノブに取り付けられた小さなモーターを使用して、ノブを回転させてもよい。このタスクに適した種々の締め付け機構の例が、米国特許出願公開第2006/0156517号及び同第2007/0169378号により詳細に開示されている。好適な締め付け機構は、Boa Technology,Inc.(Steamboat Springs,CO)から入手可能である。
【0029】
好ましくは、手首固定器の固定器本体、又は固定器本体の一部分を締め付けるために、1つ以上の追加のひも締めシステム(lacing system)が設けられる。1つの追加のひも締めシステム及び締め付け機構は、固定器本体の手首ストラップの上側の部分(即ち、手の部分)を締め付けるために使用されてもよく、別の追加のひも締めシステム及び締め付け機構は、固定器本体の手首ストラップの下側の部分(即ち、前腕の部分)を締め付けるために使用されてもよい。
【0030】
このような実施形態では、ひもは、固定器本体の反対側のひもガイドに通されることができる。ひもは、側面保持ガイド部材の2つの略平行な列の間で、固定器の前方に面した部分に沿って、交差パターンで通されてもよい。しかしながら、交差パターンは必須ではない。保持ガイド部材の数は様々であってもよい。好ましくは、ひもは、固定器の舌状部上のガイドを通って滑動し、固定器がその開放形態にあるときに、舌状部と固定器本体との間の接触を維持する。
【0031】
図2は、固定器の上部を締め付けるための1つのひも締めシステム及び締め付け機構と、手首ストラップ用の1つのひも締めシステム及び締め付け機構と、固定器の下部を締め付けるための1つのひも締めシステム及び締め付け機構とを有する、本発明の手首固定器を示している。
【0032】
手首固定器200は、その中に半剛性の副木(図示せず)が配置された固定器本体214を含む。調節可能な手首ストラップ216は、固定器本体214に取り付けられ、着用者の手首のあたりで固定器本体214を取り囲むように構成される。手首ストラップ216の調節機能は、ひも218と締め付け機構220とを含むリールとひものシステムによってもたらされる。ひも218は、締め付け機構220に両端のところで取り付けられ、固定器の前方に面した部分に沿って、ひもガイド222を通って、交差パターンで通される。締め付け機構220は、調節可能な手首ストラップ216を貫いて、固定器本体214に装着される。締め付け機構220は、ハウジング224と、そこに装着される円形ノブ226とを含む。
【0033】
独立したひも締めシステム及び締め付け機構は、手首固定器200の上部(即ち、装着されたときに手の上にある、固定器の部分)を締め付けるために使用される。第2のひも228は、固定器本体214の上部の上部ひもガイド230に通されて、締め付け機構220の上方に位置決めされた上部締め付け機構232に両端のところで取り付けられる。
【0034】
第3のひも締めシステム及び締め付け機構は、手首固定器200の下部(即ち、装着されたときに前腕の上にある、固定器の部分)を締め付けるために使用される。第3のひも234は、固定器本体214の下部の下部ひもガイド230に通されて、締め付け機構220の下方に位置決めされた下部締め付け機構238に両端のところで取り付けられる。
【0035】
図3は、手首固定器200の腹側を示している。調節可能な手首ストラップ216は、着用者の手首あたりの固定器本体214を取り囲む。調節可能な手首ストラップ216は、2つの縫い目240によって固定器本体214に取り付けられる。
【0036】
ひもは、ひも締め領域において交差パターンで通される必要はない。当業者には理解されるように、ひもが実質的に平行で交差しない経路で固定器の外表面を通過するように、ひも締めシステムを構成することが可能である。このような実質的に平行なひも締め形態は、米国特許出願公開第2008/0066272号により詳細に開示されている。
【0037】
図4は、固定器の上部を締め付けるための1つのひも締めシステム及び締め付け機構と、固定器の下部のための1つのひも締めシステムひも締めシステム及び締め付け機構とを有する手首固定器を示している。
【0038】
手首固定器400は、その中に配置される半剛性の副木(図示せず)と舌状部分442とを備える固定器本体414を含む。調節可能な手首ストラップ416は、固定器本体414に取り付けられ、着用者の手首のあたりで固定器本体414を取り囲むように構成される。
【0039】
手首固定器400の調節機能は、2つのリールとひものシステムによってもたらされる。第1のひも締めシステム及び締め付け機構は、手首ストラップ416から、固定器本体414が装着されると手の上にくる固定器本体414の部分にかけての、手首固定器400の上部を締め付けるために使用される。この第1のひも締め/締め付けシステムは、ひも428を含み、このひも428の一端は締め付け機構420に取り付けられ、反対端はひも保持器444に取り付けられ、固定器の前方に面した部分に沿って、固定器本体414の上部にある上部ひもガイド430に通される。締め付け機構420は、調節可能な手首ストラップ416を貫いて固定器本体414に装着される。締め付け機構420は、ハウジング424と、ハウジング424に装着される円形ノブ426とを含む。
【0040】
第2のひも締めシステム及び締め付け機構は、手首ストラップ416から、固定器本体414が装着されると前腕の上にくる固定器本体414の部分にかけての、手首固定器400の下部を締め付けるために使用される。この第2のひも締め/締め付けシステムは、ひも434を含み、このひも434の一端は締め付け機構420に取り付けられ、反対端は締め付け機構438に取り付けられ、固定器の前方に面した部分に沿って、固定器本体416の下部にある2つの下部ひもガイド236に通される。
【0041】
ひも428及び434は、舌状部分442の上の舌状部ひもガイド448を通って滑動し、固定器400がその開放状態にあるときに、舌状部分442と固定器本体414との間の接続を維持する。
【0042】
手首固定器が2つ以上の独立した締め付け機構を含む場合、着用者は、固定器の特定部分を他の部分よりも締め付けることができる。即ち、固定器は、区域に分けられた締め付けが可能であり、異なる区域は異なる締め付けを有することができる。区域に分けられた締め付けの例は、米国特許出願公開第2006/0156517号により詳細に記載されている。
【0043】
いくつかの実施形態では、手首ストラップに近い又は手首ストラップ上の固定器の中央に設置されるガイドは、固定器の上側(即ち、指の近く)又は固定器の下側(即ち、前腕上)のガイドで用いられるよりも、短い開口部間距離を有する。この短い距離は、手首の回転軸周囲の領域の閉力を増加させる。
【0044】
本明細書中に引用される刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する「特許請求の範囲」によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固定器本体と、
(b)着用者の手首あたりの前記固定器本体を取り囲むように構成された調節可能な手首ストラップと、
(c)ひもと回転可能な締め付け機構と、
を含み、
前記固定器本体は、着用者の手首の腹側にフィットするように構成され、手のひらから前腕の腹側の一部分まで延び、少なくとも部分的に前記固定器本体内に配置される、半剛性の副木を含み、
前記回転可能な締め付け機構は、前記ひもに張力を加え、それにより着用者の手首あたりの手首ストラップを締め付け、前記副木を着用者の手首の腹側近くに引き寄せるように構成された、手首固定器。
【請求項2】
前記調節可能な手首ストラップがウレタンフォーム積層体を含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項3】
前記調節可能な手首ストラップが織りナイロンのストラップを含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項4】
前記固定器本体が、スペーサー・ファブリックを主要外表面として含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項5】
前記固定器本体が、リップストップナイロンを主要外表面として含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項6】
前記固定器本体が、70デニール以上のナイロン布を主要外表面として含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項7】
前記固定器本体が、発泡体積層体とスペーサー・ファブリックとの組み合わせを主要外表面として含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項8】
前記締め付け機構が、前記第1の締め付け機構を係合離脱するための開放機構を含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項9】
前記副木がアルミニウムを含む、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項10】
前記固定器本体が対向するひもガイドを有する対向面を含み、第2のひもが前記対向するひもガイドに通されて、第2の締め付け機構が前記第2のひもに張力を加えると、前記対向するひもガイドが互いに向かって接近する、請求項1に記載の手首固定器。
【請求項11】
前記第2のひもが前記固定器本体の上部にある対向するひもガイドに通されて、前記第2の締め付け機構が前記第2のひもに張力を加えると、前記固定器本体の前記上部にある前記対向するひもガイドが互いに向かって接近し、第3のひもが前記固定器本体の下部にある前記対向するひもガイドに通されて、第3の締め付け機構が前記第3のひもに張力を加えると、前記固定器本体の前記下部にある前記対向するひもガイドが互いに向かって接近する、請求項10に記載の手首固定器。
【請求項12】
前記手首固定器が閉じられると、前記固定器本体の前記対向面の下でかつ前記固定器本体の前記対向面の間に位置付けられるように構成された、舌状部を更に含む、請求項11に記載の手首固定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−521861(P2012−521861A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503586(P2012−503586)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/029127
【国際公開番号】WO2010/117749
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)