説明

打ち込み工具

【課題】ガス燃焼式等の打ち込み工具において、マガジンを外した状態での安全機能をより確実ならしめる。
【解決手段】安全装置は、先端をノーズと成したインナーガイド17、インナーガイド17と一緒に後退する連動板を備えている。インナーガイド17はアウターガイド19,20で覆われており、連動板は主としてシュラウド18で覆われており、このため、マガジン4の取り付けの有無に関係なくインナーガイド17及び連動板を後退操作させることはできない。ヘッド3には、連動板に係脱するストッパー55が回動自在に取り付けられており、ばね57で係合姿勢に付勢されている。マガジン4の装着状態では押圧体58でストッパー55はフリー状態に保持され、マガジン4を取り外すとストッパー55はばね57でロック状態に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、釘打ち機や鋲打ち機のような形態式(或いは可搬式)のファスナー打ち込み工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
釘打ち機や鋲打ち機のような打ち込み工具には、動力源の種類で見ると空圧(圧縮空気)を利用したものやガスの燃焼圧を利用したもの、或いは電磁力を利用したものなどがあり、いずれにしても、本体の先端にヘッドを設けて、ヘッドにマガジンを取り付けており(マガジンがヘッドと本体との両方に固定されていることも多い。)、ファスナーはマガジンからヘッドに1本ずつ供給されて、ブレードでワークに打ち出される。このうちで、ガス燃焼圧を利用したものは、コンプレッサが不要であると共にホースが接続されていないため、機動性に優れている利点がある。
【0003】
いずれにしても、これらの打ち込み工具では、ファスナーを空中に向けて打つ空打ちを防止するための安全装置を設けている。この安全装置は、ワークに当たると後退動するプローブ(プッシュレバー、コンタクトアームといった呼び名もある)を備えており、プローブが後退動すると打ち出しロックが解除されて、トリガーを引くとブレードが前進動する。すなわち、プローブをワークに当てた状態でのみブレードが前進動するようになっている。
【0004】
また、この種の打ち込み工具においてマガジンは一般に着脱式になっており、更に、空圧式の打ち込み工具の場合は、一般にプローブは人が手で掴んで後退させ得る程度に大きく露出している。そして、特許文献1には、マガジンを取り外すとプローブ(公報の名称はプッシュレバー)を後退動不能に保持するストッパーを設けることが開示されてる。つまり、特許文献1では、マガジンを取り外すと、仮にプローブをワークに当ててもプローブは後退せず、従ってトリガーを引くこともできない。
【0005】
他方、特許文献1のプローブ(プッシュレバー)は人が手で操作できるように大きく露出しており、従って、マガジンを取り付けた状態ではプローブを手で引くことでファスナーを空中発射させることが可能である。これに対して本願出願人は、特許文献2において、マガジンが取り付けられた状態でも取り外した状態でもプローブ等の安全装置を操作できない防護手段を設けることを提案した。
【0006】
なお、特許文献2の実施形態に係る打ち込み工具は、ファスナー及びブレードをガイドする可動式のインナーガイドと、このインナーガイドのスライドをガイドするアウターガイドとを備えており、インナーガイドの先端部をアウターガイドの先端から若干の寸法だけ露出させることにより、インナーガイドをプローブに兼用し、インナーガイドに、打ち出しロックを解除するための連動部材が固定されている。そして、特許文献1の実施形態に係る打ち込み工具は、インナーガイドの先端部は細長く延びているため、例えば狭い場所への打ち込みも容易に行える利点がある。
【特許文献1】特開平10─86077号公報
【特許文献2】特開2004─167649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は特公平6−24720号公報を先行技術としており、この特公平6−24720号公報の記載(特に「従来の技術」の欄)を参酌すると、特許文献1においてマガジンを取り外した状態でプローブを後退不能にロックしているのは、ファスナーが存在しないのにブレードを駆動してしまう無負荷駆動を防止すること、及び、ファスナーが1本だけ残っているのに残っていないと誤信して空中発射してしまうことを防止すること、にあると言える。
【0008】
更に述べると、特許文献1の打ち込み工具は、プローブは人が手で摘んで後退させ得るように大きく露出しているのであり、そこで、マガジンを取り外した状態でプローブを摘んでも後退させることができないようにストッパーを設けることにより、マガジンを取り外した状態での事故を防止せんとしたものと推測される。他方、特許文献2においてマガジンを取り外しても安全装置を操作できないようにしているのは、マガジンを取り外すことで安全装置の機能が低下することを防止することにより、マガジンを取り外した状態での空中発射を阻止して安全性を向上せんとしたものである。
【0009】
本願発明は特許文献2を前提とするものであり、マガジンが取り付けられていても取り外されていても容易にロックを解除できない構成を前提としてつつ、マガジンを取り外した状態での安全性をより一層高めることを目的として成されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明に係る打ち込み工具は、ファスナーを打ち込むための棒状のブレードが内蔵された本体と、前記ブレード及びファスナーのガイド等を行うために本体の先端に設けたヘッドと、前記ブレードの前方にファスナーを1本ずつ供給するためにヘッドに取り付けたマガジンと、ワークに押し当てると後退動してブレードの打ち出しロックを解除する可動式の安全装置と、前記安全装置を覆う防護手段と、前記マガジンの取付けの有無に関係なく人が安全装置を打ち出しロック解除状態に移動させ得ないようにカバーする防護手段とが備えられている。
【0011】
そして、請求項1の発明では、前記ヘッドに、前記安全装置の構成部材を後退動可能に保持するフリー状態と後退動不能に保持するロック状態とに姿勢又は位置が切り替わるストッパーが配置されており、前記ストッパーはばね手段によってロック状態に付勢されている一方、前記マガジンには、当該マガジンをヘッドに取り付けると前記ストッパーをばね手段に抗してフリー状態と成す押圧体が設けられている。請求項2の発明は、請求項1において、前記ストッパーは防護手段で覆われている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、マガジンを取付けている状態でも取り外した状態でも安全装置は防護手段で覆われているため、マガジンの取り付けの有無に関係なくファスナーを空中発射することはできない。そして、マガジンを取り外した状態では安全装置を構成する部材は後退不能になっているため、安全装置を構成するプローブの先端に何らかの機具を当てて後退させることで安全装置のロックを解除しようとしても、ロックを解除することはできないし、また、仮に人が怪我することを覚悟でプローブの先端に指先を当てて後退させようとしても、プローブを後退させることはできない。
【0013】
このように、防護手段によって安全装置の操作が阻止されていることに加えて、マガジンを取り外した状態で手又は機具類でプローブを後退させることが不可能であるため、マガジンを取り外した状態での空中発射防止機能を格段に向上して高い安全性を確保できる。請求項2のようにストッパーを防護手段で覆うと、ストッパーへのアクセスも防止できるため特に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(1).全体の概要
本実施形態は、ガスの燃焼圧を利用して鋲やピン類、或いは釘の打ち込みを行う打ち込み工具に適用している。このうち図1は全体の側面図、図2は前方から見た斜視図であり、これらの図に示すように、打ち込み工具は、打ち込み用のブレード(ロッド)2を内蔵した本体1と、本体1の前端に取付けたヘッド3と、ヘッド3の下面に重なるマガジン4とを備えている。
【0016】
本体1は、後述するシリンダを囲う本体ケース5とその後端に取付けたリアケース6とを備えており、本体ケース5の下面には、側面視傾斜状のグリップ7とその前方に位置した傾斜状のガス缶収納部8とを一体に設けている。グリップ7の上部にはトリガー9を設けている。グリップ7の下端には電池収納部10を一体に設け、電池収納部10とガス缶収納部8とは一体に連なっている。本体ケース5の前部にはプラスチックやゴム等のような素材からなるフロントカバー12を装着している。
【0017】
図3は本体1からマガジン4を取り外した状態での側面図、図4のうち(A)はひっくり返した状態でのヘッド3の斜視図、(B)はマガジン4の上部の斜視図である。詳しくは後述するが、ヘッド3は、固定式のアウターガイド16と、可動式のインナーガイド17と、シュラウド18とを備えている。アウターガイド16は上部材19と下部材20とで構成されており、これら上下の部材19,20の間にインナーガイド17が配置されている。
【0018】
マガジン4は、連結ファスナー21が装填される溝23を備えた収納部24と、その上端に固定した上補強材25とを備えており、収納部24には、連結ファスナー21を上向きに押すためのプッシャー26を装着している。プッシャー26は図示しないばねで上向きに引っ張られている。
【0019】
図4から理解できるように、マガジン4の上補強材25にはファスナー22が抜け出る第1長穴27が空いており、第1長穴27のうちファスナー22の頭が抜け出る部分は長円形で広巾のガイド穴28になっている。
【0020】
他方、図5から理解できるように、ヘッド3を構成するアウターガイド16(及びインナーガイド17)には、マガジン4の第1長穴27と連通する第2長穴29が空いており、アウターガイド16における下部材20のうち第2長穴29の後部を囲う部分には、マガジン4のガイド穴28にきっちり嵌まるガイド突起30が形成されており、これらガイド突起30とガイド穴28との嵌め合わせにより、マガジン4はその上部において横ずれ不能に保持される。
【0021】
また、図3に示すように、マガジン4の下端後面に側面視で上向き鉤状の係止部31を設ける一方、ガス缶収納部8の下端に設けた前向き突出部32に、係止部31が下方から嵌まるガイド溝(図示せず)を形成し、図1や図3において紙面と反対側からねじ込んだねじ(図示せず)により、係止部31を前向き突出部32に挟み固定するようになっている。
【0022】
マガジン4の下端には、ワークの表面に当たるストッパー部33を突設している。これは、二点支持の状態で打ち込みを行うことにより、ファスナー22を正確な姿勢で打ち込むと共に、作業者の負担を軽減するためである。
【0023】
なお、本実施形態では、連結ファスナー22の並び方向はブレード2の軸線と直交しているが、ファスナー21の並び方向をブレード2の軸線に対して傾斜させても良い。
【0024】
(2).本体の内部の概略
次に、図5を参照して本体1の内部の概要を説明する。図5のうち(A)は本体1の前部とヘッド3との縦断側面図、(B)は部材を分離した状態の正断面図である。この図5に示すように、本体ケース5の内側にはシリンダ35が配置されており、シリンダ35に、ブレード2を備えたピストン(図示せず)が摺動自在に嵌め込まれている。
【0025】
シリンダ35の前端部の外側にはブレード2をガイドするブッシュ36が装着されており、シリンダ35の内部の前部にはクッションゴム37を嵌め込んでいる。シリンダ35の周壁のうちその前部には、図示しない排気穴が空いており、燃焼ガスは排気穴からシリンダ35の外側に排出される。
【0026】
図示していないが、本体1の内部には、単にトリガー9を引いてもブレード2が前進しないよう打ち出しロック装置を設けている。この打ち出しロック装置は様々のものを採用できる。例えば、シリンダ35に燃料ガスを供給する管路等のうちの適当な部位に設けた弁装置とすることができる。この場合は、弁装置に対するロックを解除しないと、トリガー9を引いても燃料ガスをシリンダ35に供給することはできない。
【0027】
他のロック装置としては、例えばガスカートリッジ(ボンベ)の噴出口に設けた電磁弁とすることができる。この場合は、電磁弁に通電しないと、トリガー9を引いても燃料ガスはシリンダ35に供給されない。更に他のロック装置として、点火のための回路にスイッチを設けることや、トリガー9自体にロックを掛けること等も可能である(トリガー9自体へのロックと他の方法とを併用するとより好適である。)。
【0028】
本体ケース5の前部には、排気を逃がすための開口部38が空いており、燃焼ガスはこの開口部から外側に排出されて、フロントカバー12の通気穴13から本体1の外側に放出される。
【0029】
(3).ヘッドの構造
次に、従前の図に加えて図6〜図10も参照してヘッド3及びこれに関連した部分の構造を説明する。図6はシュラウド18を破断した状態での平面図、図7は図6の VII-VII断面図、図8は図5の VIII-VIII視断面図、図9は正面視で右側から見た分離斜視図、図10のうち(A)は正面視で左側から見た要部分離斜視図、(B)は部材の斜視図である。
【0030】
既述のとおり、ヘッド3は、アウターガイド16と、インナーガイド17と、金属板(例えば鋼板)製のシュラウド18とを備えている。そして、例えば図9から理解できるように、インナーガイド17は、その内部にブレード2が摺動自在に嵌まるよう全体として筒状に形成されており、かつ、ファスナー22が通る下向き開口の第3長穴39が空いている。
【0031】
インナーガイド17の先端部には雄ねじが形成されており、この雄ねじに、打ち込み深さ調節用のノーズ40をねじ込んでいる。ノーズ40はプローブの一例である。また、インナーガイド17のうち後端寄りの範囲は小径部17aとなっており、このため、長手方向に沿った中途部に段差17bが存在している。インナーガイド17の後端部は円筒部17cになっている。敢えて述べるまでもないが、ノーズ40を設けずにインナーガイド17の先端を直接にワークに当てることも可能である。
【0032】
例えば図9や図10に示すように、アウターガイド16を構成する上部材19は、その前部を構成する筒部19aと、筒部19aが一体に繋がった広巾部19bとからなっている(筒部19aの長さは任意に設定できる。)。図5に示すように、広巾部19bの後端部19cはシリンダ35の前面に突設したブロック部41にねじ42やピン等で固定又は取付けられている。
【0033】
図5(B)や図9に示すように、アウターガイド16の上部材19には、その前部を除いて、ファスナー22が通る下向き開口の第4長穴43が形成されている。第4長穴43を形成している部分は、その下面が筒部19aの下面よりも上方に位置するように切欠かれており、この切欠かれた部分に下部材20が重なって、ねじで固定されている。
【0034】
図9に示すように、上部材19には、上下に貫通した角形の第5長穴44が形成されており、この第4長穴44にブロック45をスライド自在に嵌め入れている。ブロック45は、インナーガイド17の小径部17aに重なっている。また、上部材19の広巾部19bは、第4長穴44の周囲の部分は高さが高い枠部19dになっており、枠部19dの左右両側でかつ後部19cの手前の部分は段おちした板状部19eになっている。
【0035】
板状部19eのうちその前部を除いた部分には枠部19d及び後部19cに連続した階段部19fが形成されており、この階段部19fの前部に貫通穴が空いてねじ受け座部19gを一体に設けており、ねじ受け座部19gの個所から挿通したねじを下部材20の雌ねじ穴20bにねじ込むことにより、上部材19と下部材20とが一体に締結されている。上部材19における左右板状部19eの前端面は平面視でハの字を成すように傾斜している。
【0036】
例えば図5(A)に示すように、ブロック45の上面には、安全装置の構成部材である連動板(連動部材)46が押さえ板47を介してビス48で固定されている。なお、押さえ板47は無くても良い。連動板46は、平面視でブロック45に重なる先端水平部46aと、先端水平部46aの左右両側から下向きに垂下した側板46bとを有しており、左右の側板46bには、上部材19の外側から後方に延びる一対の延長部46aが連続している。延長部46aの先端は、打ち出しロック部材(例えば弁装置)に係合又は当接している。従って、連動板46を後退させ切ると、安全装置のロックが解除される。
【0037】
連動板46は、図示しないストローク保持手段により、一定の距離だけ前後移動するようになっており、かつ、図示しないばねで前向きに押されている。インナーガイド17を後退させると、連動板46もばねに抗して一緒に後退する。
【0038】
例えば図5(A)に示すように、インナーガイド17のノーズ40は、アウターガイド16における上部材19の先端から露出しており、ノーズ40が上部材19から殆ど露出しない状態(好ましくは、ノーズ40の先端と筒部19aの先端とが殆ど同一面となる状態)まで後退しないと、打ち出しロックが解除されないように設定している。
【0039】
ノーズ40(ノーズ40が存在しない場合はインナーガイド17の先端部)は指で摘むことができる。その場合、安全装置のロックが解除される程度に後退させ得るまで人がノーズ40を摘んでいることができると、安全装置の意味が無くなる。
【0040】
これに対して本実施形態では、仮にロックが解除される後退位置までノーズ40を指で掴んでいようとすると、指先はノーズ40の先端面を押さえざるを得ず、すると、ファスナーの打ち出し経路に指先が位置していて怪我をすることになる。このため、ノーズ40を指で後退させることは事実上ないと言える。
【0041】
アウターガイド16の下部材20は、既述のとおり、上部材19のうち第4長穴43を形成している範囲に重なっており、全体としては板状の概観を呈しており、かつ、ねじ(図示せず)で上部材19に固定されている。また、図9に明示するように、下部材20には、インナーガイド17が上方から重なる溝50を全長にわたって延びるようにを形成している。
【0042】
アウターガイド16の下部材20には、上部材19における広巾部19bの外側に広がる張り出し部20aを設けている。他方、連動板46における側板46bの前部は下部材20の張り出し部20aの上側に位置している。従って、マガジン4を取り外した状態で人が連動板46をドライバ類で後退させようとしても、下部材20の張り出し部20aが邪魔になって後退させることができない(連動板46にアクセスできない。)。つまり、下部材20の張り出し部20aは連動部材46の後退動操作を阻止する防護手段の一部を構成している。
【0043】
(4).シュラウド
シュラウド18は、アウターガイド16のうち筒部19aの付け根部とその後方の部位を覆うように形成されており、連動板46もシュラウド18で覆われている。また、シュラウド18は基本的にはアウターガイド16の平面形状に倣う形状になるが、アウターガイド16の平面形状は、その後部が広くなっているため、シュラウド18も、アウターガイド16の形状及び連動板46の配置に合わせて、後方が大径となるように段違いの形状になっている。
【0044】
そして、アウターガイド16の下部材20に張り出し部20aを設けたことにより、下部材20とシュラウド18との間に人が指やドライバー等を挿入できなくなっている。
【0045】
図5(A)や図8に示すように、シュラウド18の後端には端板51を溶接等によって一体に設けており、この端板51をビス52でシリンダ35の前面に固定している。ビス52は一般的なドライバやレンチでは回転させ難い特殊なものを使用している。実施形態のアウターガイド16は上下分離方式になっているが、一体方式とすることも可能である。
【0046】
(5).ストッパー手段
マガジン4を取り外すと、ノーズ40をワークに押しつけてもストッパー手段によってノーズ40は後退せず、安全装置はロックが掛かったままになる。この点を従前の図に加えて図11以下の図面も参照して説明する。
【0047】
図11のうち(A)は要部の左側面図、(B)は(A)の一部破断部分拡大図、図12のうち(A)は図11(A)の XIIA-XIIA視断面図、(B)は(A)のB−B視断面図、図13はマガジン4を取り外した状態で左側面図である。なお、図11(A)及び図13では、シュラウド18によるカバー状態の理解を容易ならしめるため、シュラウド18の外形を太い線で表示している。なお、図12では連動板46はボルト(ボルト)48でブロック45に直接に固定した状態を描いており、また、図11,13ではビスは書略している。
【0048】
例えば図10(A)から容易に理解できるように、アウターガイド16における上部材19の板状部19eのうちねじ受け座部19gの前方の部分には、穴が空いた左右一対の軸受けリブ53を突設し、この軸受けリブ53に、ピン54でストッパー55を回動自在に取り付けている。ストッパー55は前後方向に長く延びていてその前端寄り部位にピン54が挿通しており、後端部は側面視で上向き鉤状になっており、かつ、ストッパー55は連動板46における先端水平部46aの下方に配置されている。ストッパー55がピン54を中心にして回動すると、後端の鉤部55aが連動板46の先端水平部46aに後ろから係脱する。
【0049】
図12(A)に示すように、ピン54はスナップリング56で抜け止めされている。また、ピン54のうち左右の軸受けリブ53で挟まれた部分にはねじりばね(コイル式トーションばね)57が嵌まっており、ねじりばね57の一端部57aは上部材19の板状部19eに上から当接し、他端部57bはクランク状に曲げられており、その先端がストッパー55の前端部に形成された穴に嵌まっている。ねじりばね57は、ストッパー55をその鉤部55aが上向き移動するような方向に付勢している。従って、ストッパー55は、連動板46の先端水平部46aに係合する状態に付勢されている。
【0050】
ストッパー55の前端は上部材19における板状部19eの前端面から僅かに突出している。そして、図11〜図13に示すように、マガジン4の上端を構成する上補強体25の左側面に、ストッパー55の前端に下方から当接し得る板金製の押圧体58がねじ59で固定されている。ねじ59は、上補強体板25をマガジン4の基材に固定するためのものを兼用している。また、押圧体58は、その下端に設けた内向き片58aを上補強体25の溝60に嵌め込むことにより、1本のねじ59での締結でありながら一定姿勢に保持されている。なお、ねし59は図4では六角穴方式に表示して図11とでは十字穴方式に描いている。
【0051】
押圧体58は上補強体25の上方に突出する細長い押圧部58bを有しており、図11に示すように、マガジン4をヘッドに取り付けた状態では、押圧部58bでストッパー55の前端が上向きに押されており、このためストッパー55はその鉤部55が連動板46の先端水平部46aの下方に位置しており、このため連動板46の後退動が許容されている。押圧部58bは平面視でL形に曲げ形成されており、このためリブ効果により、薄くても高い剛性を有している。
【0052】
以上の説明から容易に理解できるように、マガジン4を取り外すと、ストッパー55は押圧体58による押圧作用が解除されることにより、鶴巻ばね56のばね力によって鉤部55aが連動板46における先端水平部46a上側に移動し、このため、ノーズ40をワークに押し当てても連動板46は後退せず安全装置のロックは解除されない。従って、マガジン4を外した状態で機具類でノーズ40を後退させようとしてもノーズ40は後退せず、このため高い安全性を確保できる。
【0053】
(6).その他
本発明は、上記の実施形態の他にも様々に具体化することができる。例えば、ヘッドや安全装置の形態は必要に応じて様々に具体化することができる。また、ストッパーや押圧体の形態もヘッドや安全装置の具体的構造・形態に応じて設定できる。上記実施形態のストッパーは回動式であったが、スライド式や回転式とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態に係る打ち込み工具の全体の側面図である。
【図2】前方から見た斜視図である。
【図3】本体からマガジンを取り外した状態での側面図である。
【図4】(A)はひっくり返した状態でのヘッド3の斜視図、(B)はマガジン4の上部の斜視図である。
【図5】(A) は本体の前部とヘッドとの縦断側面図、 (B)は部材を分離した状態の正断面図である。
【図6】シュラウドを破断した状態での平面図である。
【図7】図6の VII-VII断面図である。
【図8】図6の VIII-VIII視断面図である。
【図9】ヘッドを右側から見た分離斜視図である。
【図10】(A)は左側から見た要部分離斜視図、(B)は部材の斜視図である。
【図11】(A)は要部の左側面図、(B)は(A)の一部破断部分拡大図である。
【図12】(A)は図11(A)の XIIA-XIIA視断面図、(B)は(A)のB−B視断面図である。
【図13】マガジン4を取り外した状態で左側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 本体
2 ブレード
3 ヘッド
4 マガジン
5 本体ケース
9 トリガー
16 アウターガイド
17 インナーガイド
18 防護手段の主要要素であるシュラウド
19 アウターガイドを構成する上部材
20 アウターガイドを構成する下部材
21 連結ファスナー
40 ノーズ(プローブ)
46 安全装置の構成部材である連動板
46a 連動板の先端水平部46a
53 軸受けリブ
54 ピン
55 ストッパー
57 ばね手段の一例としての鶴巻ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーを打ち込むための棒状のブレードが内蔵された本体と、前記ブレード及びファスナーのガイド等を行うために本体の先端に設けたヘッドと、前記ブレードの前方にファスナーを1本ずつ供給するためにヘッドに取り付けたマガジンと、ワークに押し当てると後退動してブレードの打ち出しロックを解除する可動式の安全装置と、前記安全装置を覆う防護手段と、前記マガジンの取付けの有無に関係なく人が安全装置を打ち出しロック解除状態に移動させ得ないようにカバーする防護手段とが備えられている、
という打ち込み工具であって、
前記ヘッドに、前記安全装置の構成部材を後退動可能に保持するフリー状態と後退動不能に保持するロック状態とに姿勢又は位置が切り替わるストッパーが配置されており、前記ストッパーはばね手段によってロック状態に付勢されている一方、前記マガジンには、当該マガジンをヘッドに取り付けると前記ストッパーをばね手段に抗してフリー状態と成す押圧体が設けられている、
打ち込み工具。
【請求項2】
前記ストッパーは防護手段で覆われている、
請求項1に記載した打ち込み工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−125560(P2010−125560A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302827(P2008−302827)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000110789)日本パワーファスニング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】