説明

打叩用工具

【課題】打叩用工具の打叩用頭部で杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材を打ち叩いた際に、打叩用工具の打叩用頭部が先端尖状部材の頭部から滑り、先端尖状部材の頭部と打叩用工具の柄との間で手指を挟む事態が生じても、手指に怪我を負うのを防止する。
【解決手段】打叩部2からの延びる柄部6を、当該柄部6から周方向に突出した鍔部8により作業員の一方の手で握る柄上部6aと作業員の他方の手で握る柄下部6bとに分けるかたちで構成し、少なくとも柄上部6aには、作業員の一方の手の甲及び全ての指の背側を覆う保護部材10又は11を柄上部6aから着脱できないように装着し、柄上部6aに装着された保護部材10又は11を柄上部6aの軸方向に沿って変位することが可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手で持って振り降ろす手動作業により杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材を打ち込み対象物に打ち込むための打叩用工具、特にこの手動作業に際して作業員の手指の安全の確保を図った打叩用工具に関する。
【背景技術】
【0002】
杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材を柱や地面等の打ち込み対象物に打ち込む場合に、図8(a)に示されるように、手で柄部102を持って振り降ろすことにより先端尖状部材200の頭部201を打ち叩くための工具としては、特許文献1や特許文献2等に示されるハンマーや木槌、金鎚等とも称される打叩用工具100が一般的に用いられる。この種の打叩用工具100は、図8(a)にも示されるように、先端尖状部材200の頭部201を打叩するための打叩部101と、この打叩部101から延びて作業員の手で握られる柄部102とで基本的に構成されている。
【0003】
そして、上記ハンマー等の打叩用工具の手動作業で生ずる危険として、ハンマー等の打叩用工具の柄部を持って振り降ろす際に柄部が手から抜けることが挙げられるが、上記特許文献1及び2では、この危険を回避するために、柄部の後端部について握る指が引掛かる程度の長さだけ屈曲させることにより当該後端部に鉤の手部分を形成したり、柄部の外周部に複数の鍔状の係突条を設けて滑り止めを図ったりする構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−9874号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンマー等の打叩用工具の手動作業で生ずる危険として、図8(b)に示されるように、打叩用工具100の打叩部101で先端尖状部材200の頭部201を打ち叩いた際に、打叩用工具100の打叩部101が先端尖状部材200の頭部201から滑って、先端尖状部材200の頭部201と打叩用工具100の柄部102との間で手指を挟み、手の甲や指の背側が怪我をするおそれもあるのに対し、前記特許文献1、2で示されるハンマーではこのような危険を回避するための構造が示されていない。
【0006】
そこで、本発明は、打叩用工具の打叩用頭部で杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材を打ち叩いた際に、打叩用工具の打叩用頭部が先端尖状部材の頭部から滑り、先端尖状部材の頭部と打叩用工具の柄との間で手やその指を挟む事態が生じても、手の甲や指の背側が怪我をするのを防止した打叩用工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る打叩用工具は、先端が尖った先端尖状部材を手作業で打ち込み対象物に打ち込むためのもので、前記先端尖状部材の頭部を打叩するための打叩部と、この打叩部から延びて作業員の両手で握ることが可能な柄部とで成ると共に、前記柄部は、この柄部から周方向外側に突出した鍔部により、前記打叩部側に位置して作業員の一方の手で握る柄上部と、前記打叩部とは反対側に位置して作業員の他方の手で握る柄下部とで構成されており、前記柄部のうち少なくとも前記柄上部には、前記作業員の一方の手を差し込むことで当該作業員の手の甲及び全ての指の背側を覆う保護部材がこの柄上部から着脱できないように装着され、この保護部材は前記柄上部の軸方向に沿って変位することが可能であることを特徴としている(請求項1)。ここで、先端が尖った先端尖状部材には、例えば杭や釘等が挙げられる。また、打ち込み対象物には、例えば地面や木柱等が挙げられる。更に、作業員の一方の手は、いわゆる作業員の利き手であり、右手でも左手でも良い。そして、保護部材は、手の平、指の腹、及び指の腹に続く指の内側部分を覆っておらず、手の平、指の腹、及び指の腹に続く指の内側部分が柄上部に対して直接的に接するかたちで柄上部を掴むことが可能となっている。鍔部は衝撃を和らげることが可能な素材、例えばゴム等により形成されている。
【0008】
これにより、打叩用工具の柄部を両手で持って打叩用工具の打叩部で杭等の先端尖状部材の頭部を打ち叩いた際に、打叩用工具の打叩部が先端尖状部材の頭部から滑って、先端尖状部材の頭部と打叩用工具の柄部との間で手やその指を挟んでしまっても、作業員の柄上部を握る一方の手は、保護部材により手の甲及び全ての指の背側が覆われているので、一方の手の甲や指の背側に怪我を負うという不具合が回避される。
【0009】
そして、この発明に係る打叩用工具は、前記柄部のうち前記柄下部にも、前記作業員の一方の手を差し込むことで当該作業員の他方の手の甲及び全ての指の背側を覆う保護部材がこの柄上部から着脱できないように装着され、この保護部材は前記柄下部に固定されていることを特徴としている(請求項2)。ここで、作業員の他方の手は、作業員の一方の手(利き手)が右手であれば左手であり、作業員の一方の手(利き手)が左手であれば右手となる。
【0010】
これにより、作業員の柄上部を握る他方の手も、保護部材により手の甲及び全ての指の背側が覆われるので、不測の事態が生じても他方の手の甲や指の背側に怪我を負うという不具合が回避される。
【0011】
また、この発明に係る打叩用工具は、前記柄上部に装着される保護部材には、右手用、左手用及び両手用のものがあること(請求項3)及び、前記柄下部に装着される保護部材には、前記柄上部に装着される保護部材に対応して、右手用、左手用及び両手用のものがあること(請求項4)を特徴としている。
【0012】
これにより、右利きの作業員でも左利きの作業員でも保護部材を選択するのみで打叩用工具を使用することができ、特に保護部材を両手用とすることにより、利き手が右手の作業員と左手の作業員との双方が同じ打叩用工具を使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、請求項1及び請求項4に記載の発明によれば、打叩用工具の柄部を両手で持って打叩用工具の打叩部で杭等の先端尖状部材の頭部を打ち叩いた際に、打叩用工具の打叩部が先端尖状部材の頭部から滑って、先端尖状部材の頭部と打叩用工具の柄部との間で手やその指を挟んでも、作業員の柄上部を握る一方の手は、保護部材により手の甲及び全ての指の背側が覆われているので、保護部材が緩衝材となり、一方の手の甲や指の背側に怪我を負うのを防止することが可能となり、打叩作業の安全性を得ることができる。しかも、本発明の打叩用工具は、既存の打叩用工具に鍔部や保護部材を取り付けるのみであるので、その製造が容易であるから、製造コストを抑制することも可能である。
【0014】
特に、請求項2に記載の発明によれば、作業員の柄上部を握る他方の手も、保護部材により手の甲及び全ての指の背側が覆われるので、不測の事態が生じても他方の手の甲や指の背側に怪我を負うのを防止することができ、打叩作業の安全性をより高めることができる。
【0015】
特に、請求項3、4に記載の発明によれば、右利きの作業員でも左利きの作業員でも保護部材を選択するのみで打叩用工具を使用することができる。特に保護部材を両手用とすることにより、利き手が右手の作業員と左手の作業員との双方が同じ打叩用工具を使用することが可能となるので、打叩用工具の汎用化を図ることができ、もって打叩用工具の製造コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、この発明に係る打叩用工具の第1の実施例のうちの右利き手用の構成を示す説明図である。
【図2】図2は、同上の第1の実施例のうちの右利き用の打叩用工具で保護部材に手を入れて打叩用工具の柄部を手で直接に握った状態を示す説明図であり、図2(a)は、この打叩用工具の柄部を握った状態の外観図、図2(b)はこの打叩用工具の柄部を握った状態の断面図である。
【図3】図3は、同上の第1の実施例の右利き用の打叩用工具の柄上部を掴んだ保護部材が柄部の軸方向に動く様子を示すための説明図であり、図3(a)は、この打叩用工具を振り上げ且つ柄上部を掴んだ保護部材が打叩部側に寄っている状態を示し、図3(b)はこの打叩用工具を振り降ろしこれに伴い柄上部を掴んだ保護部材が鍔部側に移動した状態を示している。
【図4】図4は、この発明に係る打叩用工具の第1の実施例のうちの左利き用となる構成を示す説明図である。
【図5】図5は、この発明に係る打叩用工具のうちの右利き用と左利き用との双方に対応した第2の実施例の構成を示す説明図であり、図5(a)は保護部材に右手を差し込んだ態様を示す全体図、図5(b)は保護部材に左手を差し込んだ態様を示す部分図である。
【図6】図6は、同上の第2の実施例の打叩用工具の保護部材の構成を示す拡大図であり、図6(a)は保護部材の断面図、図6(b)は保護部材の平面図である。
【図7】図7は、同上の第2の実施例でも打叩用工具の柄上部を掴んだ保護部材が柄部の軸方向に動くことを示すための説明図であり、図7(a)は、この打叩用工具を振り上げ且つ柄上部を掴んだ保護部材が打叩部側に寄っている状態を示し、図7(b)はこの打叩用工具を振り降ろしこれに伴い柄上部を掴んだ保護部材が鍔部側に移動した状態を示している。
【図8】図8は、従来の打叩用工具を使用する際に生ずる危険を説明するための説明図であり、図8(a)は、従来の打叩用工具の構成について打叩用工具を持った作業員と先端尖状部材を持った作業員とも入れて概略的に示した全体図、図8(b)は、図8(a)に示される作業で打叩用工具を持った作業員の手指が打叩用工具の柄部と先端尖状部材の頭部との間に挟まれた状態を概略的に示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1から図4において、この発明に係る打叩用工具1の実施例1が示されている。この打叩用工具1は、杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材(公知のものであるため図示せず。)を地面や柱等の打ち込み対象に打ち込むためのものであり、ハンマーや木槌や金鎚等がその範疇に含まれるものである。
【0019】
打叩用工具1は、特に図1及び図4に示されるように、先端尖状部材の頭部を打ち叩くための打叩部2と、この打叩部2から延びた柄部6とで基本的に構成されている。
【0020】
打叩部2は、例えば鉄や木等から成る相対的に重量があるもので、両側又は一方側に平坦な打叩面3を有する円柱状若しくは多角柱状をなしている。そして、打叩部2は、例えば柄部6を差し込むための貫通孔4を、この貫通孔4が打叩部2の軸方向と交差する方向に開口するかたちで有している。
【0021】
柄部6は、この実施例では長手方向の一方端において打叩部2の貫通孔4内に圧入されることで打叩部2と柄部6とを固定する固定部7を有している。また、柄部6は、作業員が握り易い外径寸法及び外形状を有する相対的に長尺な棒体、例えば円柱体の構成となっている。
【0022】
そして、この柄部6は、特に図1及び図4に示されるように、この柄部6の長手方向の略中央部において鍔部8を有している。この鍔部8は、柄部6の径方向に沿って突出した肉厚の薄い円盤状のもので、鍔部8の直径寸法は作業員の握り拳と略同じか作業員の握り拳よりも大きなものとなっている。このような鍔部8を有することで、柄部6は、鍔部8よりも打叩部2側の柄上部6aと、鍔部8に対して打叩部2側とは反対側の柄下部6bとに分かれている。鍔部8は、衝撃を和らげる素材、例えばゴム等により形成されており、これにより柄上部6aに装着された下記する保護部材10、11が鍔部8側に移動して鍔部8に衝突してもその衝撃を和らげることが可能になっている。
【0023】
更に、柄上部6aと柄下部6bとには、それぞれ保護部材10、11が柄上部6a、柄下部6bから取り外し不能の状態にて装着されている。保護部材10は右手を差し込むことができ、保護部材11は左手を差し込むことができるもので、保護部材10を柄上部6aに装着し、保護部材11を柄下部6bに装着した場合には、図1に示されるように、打叩用工具1は利き手が右手の作業員用のものとなり、保護部材11を柄上部6aに装着し、保護部材10を柄下部6bに装着した場合には、図4に示されるように、打叩用工具1は利き手が左手の作業員用のものとなる。
【0024】
保護部材10、11は、外皮状部材12で基本的に手首から先部分を覆ったグローブ状のものであり、この外皮状部材12は、図1、図2及び図4に示されるように、それぞれ親指が差し込まれる第1の部分12aと、親指以外の4つの指(人指し指、中指、薬指、小指)が差し込まれ、これに伴い第1の部分12aよりも大きな第2の部分12bとを有している。そして、第1の部分12aの指先側の先端と第2の部分12bの指先側の先端とが分離不能に連接されることにより、保護部材10、11は、図2(a)に示されるように、中心に柄部6が収まる大きさの径寸法の内周を備えた環状を構成している。これにより、保護部材10、11が打叩用工具1の柄部6から柄部6の径方向に抜けるおそれをなくしている。
【0025】
そして、保護部材10、11は、図2(b)に示されるように、環状の内周側部分について、外皮状部材12が存在せず、打叩用工具1の柄部6を握った際に、手の平、並びに各指の腹及びこの指の腹から指の付け根まで続く指の内側部分が外皮状部材12を介さず直接に柄部6に接する構成となっている。これにより、保護部材10に右手を差し込み、保護部材11に左手を差し込んでも、素手で打叩用工具1の柄部6を掴むのと同様に、手の平、並びに各指の腹及びこの指の腹から指の付け根まで続く指の内側部分で打叩用工具1の柄部6を掴むので、打叩用工具1の柄部6を確実且つ強固に把持することが可能である。
【0026】
更に、保護部材10、11は、図2(b)に示されるように、指の特に第2関節近傍の背側と外皮状部材12との間にクッション部材13が介在されていても良い。これにより、図8(b)のケースと同様に、打叩用工具1の打叩部2で先端尖状部材の頭部を打ち叩いた際に、打叩用工具1の打叩部2が先端尖状部材の頭部から滑って、先端尖状部材の頭部と打叩用工具1の柄部6との間で手指を挟んでも、クッション部材13により第2の部分12b内に収められた4本の指は防護される。
【0027】
更にまた、保護部材10、11は、打叩用工具1の柄部6のうちの柄上部6aに装着される側が、柄上部6aの打叩部2に近接した側から鍔部8までの範囲で柄上部6aの軸方向に沿って移動可能となっていると共に、打叩用工具1の柄部6のうちの柄下部6bに装着される側が、柄下部6bに不動の状態にて固定されている。そして、柄上部6aに装着される保護部材10、11は、打叩部2と鍔部8とがあるので、柄部6の軸方向に抜けるのが防止されている。
【0028】
これにより、図3に示されるように、保護部材10を柄上部6aに装着し、保護部材11を柄下部6bに装着した、利き手が右手用の打叩用工具1でもって説明すると、打叩用工具1を図3(a)に示されるように振り上げた時には、柄上部6aに装着された保護部材10は打叩部2側に寄っているのに対し、打叩用工具1を図3(a)の状態から図3(b)の状態に白抜き矢印の方向に振り降ろす過程で、柄上部6aに装着された保護部材10は同じく図3(b)の矢印に示されるように鍔部8側に移動していく。よって、作業員は、保護部材10、11に両手を差し込んだ状態でも、打叩用工具1をスムーズに且つ目標に対して的確に振り降ろすことができる。
【0029】
尚、これまでの実施例1において、打叩用工具1は保護部材10、11を有するとして説明してきたいが必ずしもこれに限定されず、柄上部6aに保護部材10、11のいずれかのみが装着されたものであっても良い。
【実施例2】
【0030】
図5から図7において、この発明に係る打叩用工具1の実施例2が示されている。この打叩用工具1も、実施例1と同様に、杭や釘等の先端が尖った先端尖状部材を地面や柱等の打ち込み対象に打ち込むためのものであり、ハンマーや木槌や金鎚等がその範疇に含まれるものである。
【0031】
以下、この実施例2に係る打叩用工具1について説明する。但し、打叩部2のみならず柄部6の構成、すなわち、柄部6が鍔部8により柄上部6aと柄下部6bとに分かれている点についても実施例1と同様であるので、同一の符号を付してその説明を原則として省略し、異なる構成の保護部材15を中心に説明する。
【0032】
保護部材15は、右手のみが差し込み可能な保護部材10や左手のみが差し込み可能な保護部材11とは異なり、図5(a)及び(b)に示されるように、右手と左手との双方が差し込み可能なものとなっている。
【0033】
すなわち、この保護部材15は、図6に示されるように、打叩用工具1の柄上部6aが挿通可能な通孔16を有する板状の上壁部17、下壁部18と、上壁部17と下壁部18との間を連接する板状の防壁部19とで一体的に構成されている。
【0034】
また、上壁部17及び下壁部18は、図6(b)に示されるように、例えば直線状の縁辺F1とこの縁辺F1の両端と接続する弧状の縁辺F2とで囲まれたもので、通孔16の中心Rを通る直線Lを基準線として対象となる形状、例えば略台形又は半円形状をなしており、内部空間Sを備えている。
【0035】
更に、縁辺F2と通孔16の円周縁との最短の寸法でも、大人の手が打叩用工具1の柄上部6aを図6(a)に示されるように握った場合に、指の背側が防壁部19の内面に当たらないようになっている。
【0036】
よって、保護部材15に対し、図6(b)の図上の上側から右手を内部空間S内に差し込むことで、柄上部6aを右手の指と手の平で握ることができ、図6(b)の図上の下側から左手を内部空間S内に差し込むことで、柄上部6aを左手の指と手の平で握ることができる。
【0037】
そして、保護部材15は、図6(a)に示されるように、指の特に第2関節近傍の背側と防壁部19との間にクッション部材13が介在されていても良い。これにより、図8(b)のケースと同様に、打叩用工具1の打叩部2で先端尖状部材の頭部を打ち叩いた際に、打叩用工具1の打叩部2が先端尖状部材の頭部から滑って、先端尖状部材の頭部と打叩用工具1の柄部6との間で手指を挟んでも、クッション部材13により保護部材15の防壁部19内に収められた4本の指は防護される。
【0038】
更にまた、保護部材15は、柄上部6aの打叩部2に近接した側から鍔部8までの範囲で柄上部6aの軸方向に沿って移動可能となっている。
【0039】
これにより、図7に示されるように、打叩用工具1を図7(a)に示されるように振り上げた時には、柄上部6aに装着された保護部材15は打叩部2側に寄っているのに対し、打叩用工具1を図7(a)の状態から図7(b)の状態に白抜き矢印の方向に振り降ろす過程で、柄上部6aに装着された保護部材15は同じく図7(b)の矢印に示されるように鍔部8側に移動していく。よって、作業員は、保護部材15に右手と左手のうちいずれか差し込んだ状態でも、打叩用工具1をスムーズに且つ目標に対して的確に振り降ろすことができる。
【0040】
尚、これまでの実施例2において、打叩用工具1は柄上部6aにのみ保護部材15を装着した構成として説明してきたいが必ずしもこれに限定されず、柄下部6bにも保護部材15を装着した構成としても良い。但し、この場合には、柄下部6bに装着される保護部材15は、柄下部6bに不動の状態にて固定されているのが望ましい。
【符号の説明】
【0041】
1 打叩用工具
2 打叩部
6 柄部
6a 柄上部
6b 柄下部
8 鍔部
10 保護部材
11 保護部材
13 クッション部材
15 保護部材
16 通孔
17 上壁部
18 下壁部
19 防壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が尖った先端尖状部材を手作業で打ち込み対象物に打ち込むためのもので、
前記先端尖状部材の頭部を打叩するための打叩部と、この打叩部から延びて作業員の両手で握ることが可能な柄部とで成ると共に、
前記柄部は、この柄部から周方向外側に突出した鍔部により、前記打叩部側に位置して作業員の一方の手で握る柄上部と、前記打叩部とは反対側に位置して作業員の他方の手で握る柄下部とで構成されており、
前記柄部のうち少なくとも前記柄上部には、前記作業員の一方の手を差し込むことで当該作業員の手の甲及び全ての指の背側を覆う保護部材がこの柄上部から着脱できないように装着され、この保護部材は前記柄上部の軸方向に沿って変位することが可能であることを特徴とする打叩用工具。
【請求項2】
前記柄部のうち前記柄下部にも、前記作業員の一方の手を差し込むことで当該作業員の他方の手の甲及び全ての指の背側を覆う保護部材がこの柄上部から着脱できないように装着され、この保護部材は前記柄下部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の打叩用工具。
【請求項3】
前記柄上部に装着される保護部材には、右手用、左手用及び両手用のものがあることを特徴とする請求項1又は2に記載の打叩用工具。
【請求項4】
前記柄下部に装着される保護部材には、前記柄上部に装着される保護部材に対応して、右手用、左手用及び両手用のものがあることを特徴とする請求項3に記載の打叩用工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−18059(P2013−18059A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151042(P2011−151042)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】