説明

打撃練習装置

【課題】 噴射エアの気流により打撃対象となる球体Aを浮上させ、その浮き上がった球体Aを狙って打撃する新規な方式で、且つコンパクトな構成の打撃練習装置を提供する。
【解決手段】 エアを供給するためのエア供給器と、エア供給器から供給されてきたエアを、先端に開口するノズル口11から上向きに噴射させ、当該噴射エアの気流により打撃対象となる球体Aを浮上させるエア噴射ノズル10と、エア供給器をエア噴射ノズル10と一体に搭載する昇降台24と、昇降台24を昇降自在に支持する支持枠20と、支持枠20に対して昇降台24を昇降させるとともに、任意の高さ位置に固定する昇降機構30と、を備えた構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、野球やソフトボール等の球技における打撃練習に好適な装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野球やソフトボールの打撃練習用の装置としては、例えば、特許文献1乃至3の各文献に開示されたような構成のものが知られている。
特許文献1のピッチングマシンは、投球アーム(20)の先端部にある受球カップ(21)にボールを保持し、当該投球アーム(20)の高速回転をもってボールを射出する構成となっている。
また、特許文献2のピッチングマシンは、一対の投出ローラ(5a、5b)の中間部に球(4)を供給し、これら投出ローラ(5a、5b)の高速回転により球(4)を前方へ投出する構成となっている。
これら特許文献1および2のピッチングマシンは、前方へ投出された球を狙って打者が打撃することで練習効果が得られる。
【0003】
さらに、特許文献3のティーバッティング練習機は、アーム(d)の先端部に設けた球据え置き部(f)に配置した球(g)を打撃する構成となっている。
特許文献4のトスバッティング式の野球の打撃練習機は、ペダル(1)から足を離すと、バー(9)のロック状態が解除され、バネ(A)の付勢力をもってバー(9)が回動し、バー(9)の先端に設けた球受皿(5)に保持された球が、バー(9)の回動によって上方向へ打ち上げる構成となっている。打者は、打ち上げられた球を狙って打撃することで練習効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−51348号公報
【特許文献2】特開2010−125225号公報
【特許文献3】特開2007−136137号公報
【特許文献4】特開2001−286596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から上述したごとく各種方式の打撃練習装置が提案されているが、本発明者はそれら従来装置とはまったく異なる方式の打撃練習装置を開発した。
すなわち、本発明は、噴射エアの気流により打撃対象となる球体を浮上させ、その浮き上がった球体を狙って打撃する新規な方式で、且つコンパクトな構成の打撃練習装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、エアを供給するためのエア供給器と、
エア供給器から供給されてきたエアを、先端に開口するノズル口から上向きに噴射させ、当該噴射エアの気流により打撃対象となる球体を浮上させるエア噴射ノズルと、
エア供給器およびエア噴射ノズルを搭載する昇降台と、
昇降台を昇降自在に支持する支持枠と、
支持枠に対して昇降台を昇降させるとともに、任意の高さ位置に固定する昇降機構と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、支持枠には、上下方向に延びる案内レールが設けてあり、
昇降台には、案内レールを摺動するコロが回転自在に装着してあり、
昇降機構は、支持枠の上端部と下端部に設けた回転軸と、これら回転軸にそれぞれ装着したスプロケットと、それらスプロケットに巻掛けられた無端状のチェーンと、回転軸の一方に装着されたウォームギヤと、当該ウォームギヤの入力側であるウォームを回転させる操作ハンドルと、を含む構成とすることができる。
【0008】
また、本発明は、打撃対象となる球体を複数個貯留する球体ストッカと、
球体ストッカに貯留してある複数の球体のうち1個のみを送り出す球体送出機構と、
球体送出機構によって送り出された1個の球体をエア噴射ノズルのノズル口と対抗する直上位置まで搬送する球体搬送手段と、を昇降台に搭載することもできる。
【0009】
球体ストッカは、螺旋状に延設した球体保持路により形成してあり、球体を当該球体保持路の上に載置するとともに、当該載置された球体が球体保持路に沿って下方へ転がる構成とし、
球体保持路の下部終端に、球体送出機構を設けた構成としてもよい。
【0010】
球体送出機構は、
上流側ストッパと下流側ストッパを有し、一方のストッパが上昇するとき他方のストッパが下降するように揺動する揺動部材と、
下流側ストッパが下降位置に配置されるように、揺動部材を常時付勢するばね部材と、
操作ペダルと、この操作ペダルの押圧操作に伴い、ばね部材の付勢力に抗して、下流側ストッパを上昇位置へ揺動させるとともに、上流側ストッパを下降位置へ揺動させるリンク部材と、を含み、
揺動部材は、下降位置にある下流側ストッパにより球体ストッカの先頭にある球体の移動を規制し、当該下流側ストッパが上昇して当該先頭にある球体の移動を解除したとき、下降位置に揺動した上流側ストッパによって球体ストッカの先頭から2番目にある球体の移動を規制することで、球体ストッカの先頭にある球体を1個だけ送出する構成とすることができる。
【0011】
球体搬送手段は、
下りの湾曲軌道から上りの湾曲軌道へ変化する搬送レールで構成されており、
下りの湾曲軌道の始端付近で球体送出機構から送り出されてきた球体を受け、当該球体を下りの湾曲軌道を転がして落下させ、さらに当該落下運動によって蓄えられた運動エネルギにより当該球体を上りの湾曲軌道を転がして登らせ、当該上りの湾曲軌道の終端からエア噴射ノズルのノズル口と対抗する直上位置へ当該球体を配置させる構成とすることが好ましい。
【0012】
また、エア供給器は、昇降台に搭載したハウジング内に収容され、エア噴射ノズルおよび搬送レールは、ハウジングに前方へ突き出して装着してあり、且つこれらエア噴射ノズルおよび搬送レールは、ハウジングから取り外し可能な構成とすることができる。
【0013】
一方、球体搬送手段は、
球体送出機構から送り出されてきた球体を保持して、エア噴射ノズルのノズル口と対抗する位置へ搬送して配置するロボットアームで構成してもよい。
【0014】
さらに、本発明は、支持枠の下部に移動補助用の車輪を設けるとともに、当該支持枠に移動操作用の取手を設けた構成とすることが好ましい。
【0015】
また、エア噴射ノズルは、ノズル口を含む先端部が弾力性を有するゴム材で形成し、
当該先端部には、搬送レールの上りの湾曲軌道の終端から連続して一対の案内支持壁を間隔をあけて形成してもよい。
ここで、一対の案内支持壁は、球体の底部を両側から支えながらノズル口と対向する直上位置まで転がしていく案内路を形成するとともに、球体の自重を受けた支持部が弾力的に拡開する構成とする。
【0016】
さらに、エア噴射ノズルの先端部には、ノズル口と対向する直上位置に配置した球体の底部を三点で支持する突起を設け、当該突起により三点で支持された球体とノズル口との間に空隙を形成して、ノズル口から噴射したエアが当該空隙を通って球体の外周に回り込む構成とすることもできる。
【0017】
さらにまた、エア噴射ノズルの先端部には、球体の外周に回り込んだエアを当該球体の側方から上方へ向けて開放させる隔壁を形成してもよい。
【発明の効果】
【0018】
上述したとおり、本発明によれば、噴射エアの気流により打撃対象となる球体を浮上させ、その浮き上がった球体を狙って打撃練習することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る打撃練習装置の全体構造を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図2】図1に示す打撃練習装置の昇降台を上昇させた状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図3】図1に示す打撃練習装置に設けられた昇降機構を示す図で、(a)は一部切欠き背面図、(b)は矢視A−A線断面図、(c)は一部切欠き平面図である。
【図4】図1に示す打撃練習装置に組み込まれた球体送出機構を示す図で、(a)〜(c)は球体の送り出し動作を示す側面図、(d)は同機構の平面図、(e)は球体送出軌道を形成するカラー部材を示す側面図である。
【図5】図1に示す打撃練習装置に組み込まれた搬送レール(球体搬送手段)を示す図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る打撃練習装置を示す図で、(a)は内部構造を示す断面正面図、(b)は同じく断面側面図である。
【図7】本発明の打撃練習装置におけるエア噴射ノズルの変形例を示す図で、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。
【図8】図7に示すエア噴射ノズルの先端部を拡大して示す図で、(a)は側面断面図、(b)は平面図、(c)は正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図5は、本発明の一実施形態に係る打撃練習装置の構成を示している。
本実施形態に係る打撃練習装置は、図1に示すように、エア噴射ノズル10のノズル口11から噴射するエアの気流に、打撃対象となる球体Aをのせることで、当該球体Aを空中に浮上させた状態を形成し、この空中に浮上する球体Aを打ち込むことで、打撃練習を行うことができる機能を有している。
【0021】
図1および図2に示すように、本発明の実施形態に係る打撃練習装置は、鋼製の支持枠20によって外枠が構成され、この支持枠20に他の主な構成要素が搭載されている。支持枠20は、底部枠21と、この底部枠21の背部側両側縁から起立して上方向へ延びる縦枠22とを含み、縦枠22の内面側に案内レール23が上下方向に延在して設けてある(図3(a)(c)参照)。
底部枠21の上方には昇降台24が配設してあり、この昇降台24の背部側両側縁には、それぞれ対向配置した一対のコロ25が上下に2組設けてあり、各コロ25の対が案内レール23を挟み込んでいる(図3(c)参照)。各コロ25は回転自在であり、案内レール23に沿って上下方向に摺動する。この構成により、昇降台24は縦枠22に昇降自在に支持されている。
【0022】
縦枠22には、昇降台24を昇降させるとともに、任意の高さ位置に固定するための昇降機構30が組み込まれている。昇降機構30は、図3に示すように、縦枠22の上端部と下端部に設けた回転軸31と、これら回転軸31にそれぞれ装着したスプロケット32と、それらスプロケット32に巻掛けられた無端状のチェーン33と、回転軸31の一方に装着されたウォームギヤ34(ウォーム34aおよびウォームホイール34b)と、当該ウォームギヤ34のウォーム34aを回転させる操作ハンドル35とを含む構成となっている。図3(b)に示すように、チェーン33は一箇所33aで昇降台24に接続してある。
したがって、操作ハンドル35を回転操作すると、ウォーム34aが回転してウォームホイール34bを回転駆動する。これにより、ウォームホイール34bが装着された回転軸31は回転し、スプロケット32を介してチェーン33を回転移動させる。このチェーン33の回転移動に伴い、昇降台24が案内レール23に沿って上昇又は下降する。また、昇降台24は、ウォームギヤ34のセルフロック機能をもって、上昇又は下降した高さ位置に固定される。
【0023】
上述した昇降機構により、昇降台24およびブロア12とともにエア噴射ノズル10を昇降させ、打者の身長に合わせてノズル口11の高さを調整し、打撃練習に適正な高さ位置へ球体Aを浮上させることが可能となる。
【0024】
昇降台24には、箱形のハウジング26が搭載してあり、このハウジング26内にエア供給器としてのブロア12が収容設置してある(図3(b)参照)。また、ハウジング26の前面には、エア噴射ノズル10の基端部がハウジング26の正面に接続固定してある。エア噴射ノズル10は、図1(b)に示すように、金属製の管体をL字状に湾曲形成した構成となっており、先端開口部には開口径を絞ったノズル口11が形成してある。ハウジング26の正面に接続固定したエア噴射ノズル10の基端部は、ハウジング26の内側でブロア12から延びる送風管(図示せず)と連通しており、ブロア12から供給されてきたエアを、ノズル口11から噴射させる構成となっている。
【0025】
エア噴射ノズル10は、ノズル口11が上向きに配置してあり、このノズル口11から噴射するエアの気流に打撃対象となる球体Aをのせることで、当該球体Aを空中に浮上させる機能を有している。本実施形態では、このエア噴射ノズル10は、中間部に継目のない一本の管体で形成してあり、中空部内は段差のない滑らかな曲面形状となっている。したがって、ブロア12から供給されたエアを途中で乱すことなく効率的にノズル口11へと流動させることができる。このエア噴射ノズル10は、ブロア12やハウジング26とともに、昇降台24の昇降動作に伴い昇降する。
【0026】
また、図1に示すように、ハウジング26の上面には、打撃対象となる球体Aを複数個貯留する球体ストッカ40が搭載してあり、さらにハウジング26には、球体ストッカ40に貯留してある複数の球体Aのうち1個のみを送り出す球体送出機構50と、球体送出機構50によって送り出された1個の球体Aをエア噴射ノズル10のノズル口11と対抗する位置まで搬送する搬送レール60(球体搬送手段)も搭載してある。
【0027】
球体ストッカ40は、螺旋状に延設した複数本(例えば、3本)の線材41からなる球体保持路により形成してあり、球体Aをそれら線材41の上に載置でき、当該載置された球体Aがそれら線材41に沿って下方へ転がっていく構成となっている。この球体ストッカ40には、線材41の中間部からでも球体Aを載置することができる。複数本の線材41は、ハウジング26の上面に立設した複数本の支柱42で保持してある。
なお、球体ストッカ40を形成する螺旋状の球体保持路は、線材41に限らず、樋状の板材によって構成することもできる。
【0028】
球体送出機構50は、球体ストッカ40の下部終端近くに設けてある。
図4は、球体送出機構50を示す図である。同図に示すように、球体送出機構50には、揺動部材51が組み込まれている。この揺動部材51は、上流側ストッパ51aと下流側ストッパ51bを有し、一方のストッパが上昇するとき他方のストッパが下降するように揺動する。また、揺動部材51は、下流側ストッパ51bが下降位置に常時配置されるように、ばね部材52によって付勢されている。さらに、球体送出機構50には、操作ペダル53と、リンク機構54が組み込まれており、操作ペダル53の押圧操作に伴い、ばね部材52の付勢力に抗して、リンク機構54が下流側ストッパ51bを上昇位置へ揺動させるとともに、上流側ストッパ51aを下降位置へ揺動させる構成となっている。
【0029】
揺動部材51は、図4(a)に示すように、下降位置にある下流側ストッパ51bにより球体ストッカ40の先頭にある球体Aの移動を規制する。次いで、ペダルが押し下げられると、同図(b)に示すように、下流側ストッパ51bが上昇して先頭にある球体Aの移動が解除される。同時に、下降位置に揺動した上流側ストッパ51aによって、球体ストッカ40の先頭から2番目ある球体Aの移動が規制される。これにより、同図(c)に示すように、球体ストッカ40の先頭にある球体Aが1個だけ送り出されて落下する。
【0030】
球体ストッカ40の終端から送り出されてきた球体Aを受けるハウジング26の上面部位は切り欠かれており、その切欠き周縁部には、複数本の案内ピン55が設けてあり、これら案内ピン55に囲まれた内側に球体A送出軌道が形成してある。すなわち、球体ストッカ40から送り出されてきた球体Aは、これら案内ピン55に囲まれた内側の空間を落下していく。
ここで、案内ピン55には、外径の異なる複数の円筒状をしたカラー部材56を選択して外嵌する構成となっている。カラー部材56を球体Aの直径に合わせて選択することで、球体Aとカラー部材56との間のクリアランスを最適化して、球体Aの落下時における振れを抑制し、後述するごとく球体Aをノズル口11と対向する位置へ配置する際の安定性を高めることができる。
【0031】
図5は、球体搬送手段としての搬送レール60を示す図である。
搬送レール60の上面には、球体A送出軌道から落下してきた球体Aを始端付近で受け、当該球体Aを転がして、エア噴射ノズル10のノズル口11と対抗する位置へ配置するための搬送軌道が形成してある。その搬送軌道は、搬送レール60の始端を起点として下りの湾曲軌道から上りの湾曲軌道へ変化していき、当該上りの湾曲軌道の終点が搬送レール60の開放された終端となっている。
すなわち、搬送レール60は、図5(a−1)(a−2)に示すように、下りの湾曲軌道の始端付近で球体送出機構50から送り出されてきた球体Aを受け、同図(b−1)(b−2)に示す最下端に向かって球体Aを下りの湾曲軌道を転げて落下させる。そして、当該落下運動によって蓄えられた運動エネルギにより、球体Aを上りの湾曲軌道を転げて登らせ(同図(c−1)(c−2)参照)、当該上りの湾曲軌道の終端から斜め上向きに球体Aを放出する(同図(d−1)(d−2)参照)。球体Aの放出した先は、エア噴射ノズル10のノズル口11と対抗する直上位置となるように位置決めしておき、当該位置に球体Aを配置可能とする。
【0032】
本実施形態では、図5に示すように、エア噴射ノズル10に搬送レール60を締結し、これらの部材を一体に取り扱うことができるようにしてある。さて、これらエア噴射ノズル10と搬送レール60は、図1(b)に示すように装置の前面に突き出しているため、このままの姿態では、収納時に省スペース化を図ることは困難である。そこで、本実施形態では、エア噴射ノズル10の基端をハウジング26の正面にボルト等の締結具をもって着脱自在に締結し、打撃練習装置を収納する等に際しては、エア噴射ノズル10と搬送レール60をハウジング26から取り外して、収納の省スペース化を実現できるようにしてある。
なお、エア噴射ノズル10の基端をハウジング26の正面に固定する手段は、ボルトやネジなど締結具を用いるほか、公知の各種着脱自在な接続固定手段を適用することができる。
また、エア噴射ノズル10と搬送レール60を折り畳み自在の構成として、ハウジング26の正面側にこれらエア噴射ノズル10と搬送レール60を折り畳んで省スペース化を図ることもできる。
【0033】
図1(c)に示すように、球体ストッカ40の上面には天板43が設けてあり、この天板43に、エア噴射ノズル10と搬送レール60を収納するための開口43aが設けてある。ハウジング26から取り外したエア噴射ノズル10と搬送レール60は、開口43aから球体ストッカ40の内部(支柱42の内側)に収納することができる。このとき、エア噴射ノズル10の端縁が、開口43aの周縁部に掛止される。
【0034】
なお、天板43は縁部に直立する壁を設けた皿状に形成してあり、複数個の球体を搭載できる構成となっている。しかも、天板43の一部に球体ストッカ40の上端縁部へ球体Aを落下させるための孔43bが形成してあり、天板43に載せた球体Aを次々と孔43bから球体ストッカ40へ落下させて補給できる構成となっている。
【0035】
底部枠21の背面側下部には、移動補助用の一対の車輪70が設けてあり、一方、底部枠21の前面側下部には、一対の脚部72が設けてある。この脚部72は、高さ調整自在なボルト・ナットで構成してある。さらに、縦枠22の背面には、移動操作用の取手71が設けてある。本実施形態の打撃練習装置は、取手71を把持して支持枠20を傾け、脚部72を持ち上げた状態で車輪70を利用して容易に搬送することができる。
【0036】
図6は、本発明の他の実施形態に係る打撃練習装置を示す図である。
同図に示すように、ハウジング26の上面に、籠状の球体ストッカ40を設けて、その球体ストッカ40内に球体Aを貯留し、チェーンコンベヤ式の球体送出機構50によって、球体Aを1個ずつ送り出す構成とすることもできる。
また、本実施形態では、球体搬送手段としてロボットアーム100を採用し、送り出された球体Aを、ロボットアーム100の先端受部101に載せ、同アーム100の基端100aを中心とする水平旋回動作をもって球体Aをエア噴射ノズル10のノズル口11と対抗する位置へ搬送して配置する構成としてある。このため、昇降台24にはロボットアーム100に加えて、同アーム100の駆動モータ(図示せず)が搭載してある。なお、ロボットアーム100の先端受部101の周縁からは上方に向かって支え部材102が延出して設けてある。この支え部材102は、先端受部101から浮上した球体Aに側方から接触し、当該球体Aの振れを抑制する。
さらに、本実施形態では、昇降機構として送りねじ機構110を採用し、昇降台24の背面に固定したナット部材111へ、支持枠20に設けた送りねじ112を螺合するとともに、送りねじの先端に操作ハンドル113を設けた構成としてある。操作ハンドル113の回転操作に伴い、送りねじ112が回転してナット部材111と一体に昇降台24が昇降する。
【0037】
図7および図8は、本発明の打撃練習装置におけるエア噴射ノズルの変形例を示す図である。
上述した実施形態では、エア噴射ノズル10は、金属製の管体をL字状に湾曲形成した構成として、その先端開口部に開口径を絞ったノズル口11を形成した(図1(b)参照)。これに対して、図7および図8に示すエア噴射ノズル10は、ノズル口11を含む先端部を、金属製の管体13とは別体のノズル先端部材15で構成し、このノズル先端部材15を管体13の先端に連結した構成としてある。
【0038】
ノズル先端部材15は、弾力性を有するゴム材で構成してあり、内部にエアを通す中空路15aが形成され、その先端開口が開口径を絞ったノズル口11となっている。中空路15aは、管体13の中空部と連通させてある。
【0039】
ノズル先端部材15には、搬送レール60の上りの湾曲軌道の終端から連続して一対の案内支持壁16が間隔をあけて形成してある。これら一対の案内支持壁16は、球体Aをノズル口11と対向する直上位置まで転がしていく案内路を形成している。すなわち、一対の案内支持壁16は、球体Aの底部(下半分の任意部位)を両側から支えながら、ノズル口11と対向する直上位置まで転がしていく。このとき、一対の案内支持壁16は、球体Aの自重を受けた支持部が、弾力的に撓んで拡開するように硬さが調整されている。この弾力的な拡開によって、球体Aの底部が一対の案内支持壁16によって両側から軽く挟まれた状態となるため、摩擦抵抗が増大して球体Aを制動しながらノズル口11と対向する直上位置まで案内するように作用する。このように、ノズル口11と対向する位置の直前で球体Aに制動作用が働くため、球体Aが勢い余ってノズル先端部材15から脱落してしまう不都合を抑制することができる。
【0040】
さらに、ノズル先端部材15には、ノズル口11と対向する直上位置に配置した球体Aの底部を三点で支持する突起17が設けてある。これらの突起17により三点で支持された球体Aとノズル口11との間には空隙S1が形成され(図8(a)参照)、ノズル口11から噴射したエアが当該空隙S1を通って球体Aの外周に回り込む。
そのため、ノズル口11から噴射したエアが球体Aを包み込むようにして当該球体Aを押し上げるため、エアの気流から球体Aが逸れて落下してしまう不都合が抑制される。
【0041】
さらに、ノズル先端部材15には、球体Aの外周に回り込んだエアを当該球体Aの側方から上方へ向けて開放させる隔壁18が形成してある。この隔壁18によって、ノズル口11から噴射したエアが球体Aの側方に均等に回り込み、当該球体Aを均等に包み込むようにして押し上げるため、球体Aをいっそう安定して気流にのせることが可能となる。
ここで、突起17により三点で支持された球体Aと隔壁18との間に空隙S2を形成しておけば(図8(b)参照)、ノズル口11から噴射したエアを滑らかに球体Aの側方から上方へ向けて開放することができ好ましい。
【0042】
上述したノズル先端部材15を組み込んだ打撃練習装置では、ノズル口11と対向する直上位置に球体Aを配置した後、ブロア12(エア供給器)から強力なエアを供給して、球体Aを浮上させることができる。このため、先の実施形態の構成と比べて、エアの気流から球体Aが逸れて落下してしまう可能性が格段に低くなり、安定して打撃練習を行うことができる。
【0043】
また、上述したように、ノズル口11と対向する直上位置に球体Aを配置した状態で、ノズル口11から噴射したエアを外部に開放する空隙S1、S2を形成しておけば、打撃練習装置を稼働している間、ブロア12(エア供給器)をアイドリング状態で運転して微量のエアを流しておくことができる。このようなアイドリング状態からであれば、ブロア12を迅速に強力なエアを供給する駆動状態に切り換えることが可能となる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の打撃練習装置は、野球やソフトボール等の球技における打撃練習に好適であるが、その他にも球体を打って楽しむ遊技用具として使用することも可能であり、広く球体を打つための補助用具としての用途を有している。
また、球体送出機構は、図4に示した構造のものに限定されず、例えば、揺動部材51を球体Aの下側に配設し、各ストッパ51a、51bが球体Aの下方から突き出す構成としてもよい。要は、先頭にある球体を上流側ストッパで移動規制しつつ、先頭から2番目にある球体Aを上流側ストッパで移動規制した状態で、上流側ストッパによる球体の移動規制を解除する構成であればよく、当該各ストッパの駆動は手動、電動を問わない。
【符号の説明】
【0045】
A:球体、S1:空隙、S2:空隙、
10:エア噴射ノズル、11:ノズル口、12:ブロア、13:管体、15:ノズル先端部材、16:案内支持壁、17:突起、18:隔壁、
20:支持枠、21:底部枠、22:縦枠、23:案内レール、24:昇降台、25:コロ、26:ハウジング、
30:昇降機構、31:回転軸、32:スプロケット、33:チェーン、34:ウォームギヤ、34a:ウォーム、34b:ウォームホイール、35:操作ハンドル、
40:球体ストッカ、41:線材、42:支柱、43:天板、
50:球体送出機構、51:揺動部材、51a:上流側ストッパ、51b:下流側ストッパ51b、52:ばね部材、53:操作ペダル、54:リンク機構、55:案内ピン、56:カラー部材、
60:搬送レール(球体搬送手段)、
70:車輪、71:取手、72:脚部、
100:ロボットアーム、101:先端受部、102:支え部材、
110:送りねじ機構、111:ナット部材、112:送りねじ、113:操作ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアを供給するためのエア供給器と、
前記エア供給器から供給されてきたエアを、先端に開口するノズル口から上向きに噴射させ、当該噴射エアの気流により打撃対象となる球体を浮上させるエア噴射ノズルと、
前記エア供給器および前記エア噴射ノズルを搭載する昇降台と、
前記昇降台を昇降自在に支持する支持枠と、
前記支持枠に対して前記昇降台を昇降させるとともに、任意の高さ位置に固定する昇降機構と、を備えたことを特徴とする打撃練習装置。
【請求項2】
前記支持枠には、上下方向に延びる案内レールが設けてあり、
前記昇降台には、前記案内レールを摺動するコロが回転自在に装着してあり、
前記昇降機構は、前記支持枠の上端部と下端部に設けた回転軸と、これら回転軸にそれぞれ装着したスプロケットと、それらスプロケットに巻掛けられた無端状のチェーンと、前記回転軸の一方に装着されたウォームギヤと、当該ウォームギヤの入力側であるウォームを回転させる操作ハンドルと、を含むことを特徴とする請求項1の打撃練習装置。
【請求項3】
打撃対象となる球体を複数個貯留する球体ストッカと、
前記球体ストッカに貯留してある複数の球体のうち1個のみを送り出す球体送出機構と、
前記球体送出機構によって送り出された1個の球体を前記エア噴射ノズルのノズル口と対抗する直上位置まで搬送する球体搬送手段と、を前記昇降台に搭載したことを特徴とする請求項1又は2の打撃練習装置。
【請求項4】
前記球体ストッカは、螺旋状に延設した球体保持路により形成してあり、前記球体を当該球体保持路の上に載置するとともに、当該載置された球体が前記球体保持路に沿って下方へ転がる構成とし、
前記球体保持路の下部終端に、前記球体送出機構を設けたことを特徴とする請求項3の打撃練習装置。
【請求項5】
前記球体送出機構は、
上流側ストッパと下流側ストッパを有し、一方のストッパが上昇するとき他方のストッパが下降するように揺動する揺動部材と、
前記下流側ストッパが下降位置に配置されるように、前記揺動部材を常時付勢するばね部材と、
操作ペダルと、この操作ペダルの押圧操作に伴い、前記ばね部材の付勢力に抗して、前記下流側ストッパを上昇位置へ揺動させるとともに、前記上流側ストッパを下降位置へ揺動させるリンク部材と、を含み、
前記揺動部材は、下降位置にある前記下流側ストッパにより前記球体ストッカの先頭にある球体の移動を規制し、当該下流側ストッパが上昇して当該先頭にある球体の移動を解除したとき、下降位置に揺動した前記上流側ストッパによって前記球体ストッカの先頭から2番目にある球体の移動を規制することで、前記球体ストッカの先頭にある球体を1個だけ送出する構成となっていることを特徴とする請求項3又は4の打撃練習装置。
【請求項6】
前記球体搬送手段は、
下りの湾曲軌道から上りの湾曲軌道へ変化する搬送レールで構成されており、
前記下りの湾曲軌道の始端付近で前記球体送出機構から送り出されてきた球体を受け、当該球体を前記下りの湾曲軌道を転がして落下させ、さらに当該落下運動によって蓄えられた運動エネルギにより当該球体を前記上りの湾曲軌道を転がして登らせ、当該上りの湾曲軌道の終端から前記エア噴射ノズルのノズル口と対抗する直上位置へ当該球体を配置させる構成であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の打撃練習装置。
【請求項7】
前記エア供給器は、前記昇降台に搭載したハウジング内に収容され、前記エア噴射ノズルおよび前記搬送レールは、前記ハウジングに前方へ突き出して装着してあり、且つこれらエア噴射ノズルおよび前記搬送レールは、前記ハウジングから取り外し可能な構成としてあることを特徴とする請求項6の打撃練習装置。
【請求項8】
前記球体搬送手段は、
前記球体送出機構から送り出されてきた球体を保持して、前記エア噴射ノズルのノズル口と対抗する位置へ搬送して配置するロボットアームで構成されていることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の打撃練習装置。
【請求項9】
前記支持枠の下部に移動補助用の車輪を設けるとともに、当該支持枠に移動操作用の取手を設けたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の打撃練習装置。
【請求項10】
前記エア噴射ノズルは、前記ノズル口を含む先端部が弾力性を有するゴム材で形成してあり、
当該先端部には、前記搬送レールの上りの湾曲軌道の終端から連続して一対の案内支持壁が間隔をあけて形成してあり、
前記一対の案内支持壁は、球体の底部を両側から支えながら前記ノズル口と対向する直上位置まで転がしていく案内路を形成するとともに、球体の自重を受けた支持部が弾力的に拡開する構成であることを特徴とする請求項6の打撃練習装置。
【請求項11】
前記エア噴射ノズルの先端部には、前記ノズル口と対向する直上位置に配置した球体の底部を三点で支持する突起が設けてあり、当該突起により三点で支持された球体と前記ノズル口との間に空隙が形成され、前記ノズル口から噴射したエアが当該空隙を通って球体の外周に回り込む構成であることを特徴とする請求項6又は10の打撃練習装置。
【請求項12】
前記エア噴射ノズルの先端部には、球体の外周に回り込んだエアを当該球体の側方から上方へ向けて開放させる隔壁が形成してあることを特徴とする請求項11の打撃練習装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−35044(P2012−35044A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284277(P2010−284277)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(510124113)トモ・マニュファクチャリング株式会社 (2)
【出願人】(510191942)株式会社オール・トラスト (1)