打楽器
【課題】小型であっても、本来の打撃感、響きを損なわないようにしつつ、音量を小さくして発音させることができる打楽器を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る打楽器は、第1打楽器、第2打楽器およびこれらを着脱可能に支持する支持部30を有し、支持部30が第1打楽器と第2打楽器とを打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように支持すると、分離独立している状態で第1打楽器の演奏と同じように打撃しても、打撃感、響きの損なわないようにして音量を低下させることができる。
【解決手段】本発明の実施形態に係る打楽器は、第1打楽器、第2打楽器およびこれらを着脱可能に支持する支持部30を有し、支持部30が第1打楽器と第2打楽器とを打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように支持すると、分離独立している状態で第1打楽器の演奏と同じように打撃しても、打撃感、響きの損なわないようにして音量を低下させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器の音量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
打楽器の演奏は音が大きくなりやすく、練習などは防音室の中で行うなど、周囲への配慮が必要である。そこで、電子ドラムなどの電子打楽器を用いることにより音量の制御を電気的に行って音量を小さくすることができるが、これは実際の打楽器とは打撃感や音の感じが異なるものとなってしまう。そこで、少しでも感触を生の打楽器に近づけるため、打面となる皮の膜の裏側をスポンジなどで覆うなどして、膜の振動を止めて音量を小さくする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−142459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振動を止めてしまうと、皮の響きを止めてしまうことにつながり、打撃感や音が変化し、やはり通常の演奏時の感触が得られないものであった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、本来の打撃感、響きを損なわないようにしつつ、音量を小さくして発音させることができる打楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、打撃により振動する第1の膜および第2の膜と、両端が開口した筒状であり、一端に前記第1の膜が張設された筒部と、前記第2の膜が張設された胴部と、前記筒部と前記胴部とを支持することにより、前記第1の膜と前記第2の膜との位置関係が、前記第1の膜または前記第2の膜への打撃によって振動しても互いに接触せず、かつ前記筒部の長さよりも短い距離となる関係にする支持部とを具備し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする打楽器を提供する。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記胴部は前記筒部の径より小さい径の筒状の部材を有し、前記支持部材は、前記筒部の内側の空間に前記胴部の筒状の部材の少なくとも一部が位置するように前記筒部と前記胴部とを支持し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部と前記胴部の筒状の部材とに挟まれる空間を介して前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記第1の膜または前記第2の膜のいずれかに一方の膜は開口部を有し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記開口部を介して前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型であっても、本来の感触を残したまま、音量を小さくして発音させることができる打楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る打楽器の構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第1胴部と第2胴部とが支持された状態における水平断面を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第1胴部と第2胴部とが支持された状態における垂直断面を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る打楽器の音量の制御を説明する図である。
【図5】変形例1に係る打楽器を説明する図である。
【図6】変形例2に係る打楽器を説明する図である。
【図7】変形例2に係る別の態様の打楽器を説明する図である。
【図8】変形例3に係る打楽器を説明する図である。
【図9】変形例4に係る打楽器を説明する図である。
【図10】変形例5に係る打楽器を説明する図である。
【図11】変形例6に係る打楽器を説明する図である。
【図12】変形例7に係る打楽器を説明する図である。
【図13】変形例9に係る第2の態様の打楽器を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る打楽器1の構成を説明する図である。打楽器1は、第1打楽器10、第2打楽器20を有する。第1打楽器10、第2打楽器20ともにボンゴなどの膜鳴楽器であり、後述するように第1打楽器10と第2打楽器20とは着脱可能な構成となっている。
【0013】
第1打楽器10は、打撃により振動する皮などの膜状の部材である第1膜11と、第1胴部12を有する。第1胴部12は、両端が開口した筒状の第1筒部120と、第1リム121を有する。第1リム121は、第1筒部120との間に第1膜11の周囲部分を挟むことによって、第1筒部120の一端の開口周囲に第1膜11を固定してテンションをかけて張るためのベルト状の部材である。以下、テンションをかけて張って固定することを「張設する」という。
【0014】
第2打楽器20は、第1打楽器10と同様、打撃により振動する皮などの膜状の部材である第2膜21と、第2胴部22を有する。第2胴部22は、両端が開口した筒状であって、第1筒部120の内径より小さい径の外径を有する第2筒部220と、第2リム221を有する。第2リム221は、第2筒部220との間に第2膜21の周囲部分を挟むことによって、第2筒部220の一端の開口周囲に第2膜21を固定してテンションをかけて張るためのベルト状の部材である。
【0015】
また、第2打楽器20は、第1打楽器10と第2打楽器20とを着脱可能に支持する支持部30を有する。支持部30は、第2筒部220に設けられ、図1(a)に示すように第1打楽器10と第2打楽器20とが分離している状態から、図1(b)に示すように第2打楽器20を第1筒部120の内側の空間に挿入した状態で、第1打楽器10と第2打楽器20との位置関係を固定する。次に、支持部30の構成について、図2を用いて説明する。
【0016】
図2は、第1胴部12と第2胴部22とが支持部30によって支持された状態における水平断面(第1膜11、第2膜21と平行な面)を説明する図である。この水平断面の位置は、支持部30が存在する位置であり、図1(b)の切断線a−a’で切った断面に対応する。支持部30は、第1筒部120と第2筒部220とを着脱可能に支持し、図2に示すように、第1筒部120と第2筒部220との中心から120度ごとに3箇所、また別の水平位置に3箇所、合計6箇所設けられている。
【0017】
支持部30は、移動部31と固定部32とを有している。固定部32は、第2筒部220の外側に固定されるナット形状の外側固定部321と内側に固定されるナット形状の内側固定部322とを有する。移動部31は、接触部311、ねじ部312および回転部313を有している。回転部313とねじ部312によりボルト形状を構成し、ねじ部312は、第2筒部220を貫通して、外側固定部321および内側固定部322と噛み合うようになっている。したがって、回転部313を回転させると、ねじ部312は、第2筒部220の内側方向または外側方向に移動可能になっている。
【0018】
接触部311は、ねじ部312の移動に合わせて移動し、第1筒部120と接触する側は、フェルトなどのクッション材が設けられている。全ての支持部30のねじ部312が外側方向に移動すると、全ての接触部311が第1筒部120の内面に接触して、第1筒部120と第2筒部220との相対位置を固定して支持することになる。一方、ねじ部312が内側方向に移動すると、第1筒部120と接触部311が分離し、第1筒部120と第2筒部220とは、支持部30における支持から開放され、第1打楽器10と第2打楽器20とは、互いに自由に移動可能となる。次に、第1筒部120と第2筒部220とが支持される位置について、図3を用いて説明する。
【0019】
図3は、第1胴部12と第2胴部22とが支持部30によって支持された状態における垂直断面を説明する図である。ここで、この垂直断面は、図2における切断線b−b’で切った面を示している。
【0020】
図3に示すように、支持部30は、第1筒部120の内側の空間に、第2筒部220の一部が位置するように、それぞれを固定している。そして、第1膜11と第2膜21との膜間距離Lを変化させると、第1膜11を打撃したときに発音される音量が変化するようになる。この実験結果について以下説明する。
【0021】
まず、この実験において用いた打楽器1の各寸法を説明する。第1筒部120の外径da1は175mm、内径db1は160mmであり、筒の長さdc1は168mmである。また、第2筒部220の外径da2は150mm、内径db2は138mmであり、筒の長さdc2は167mmである。そして、膜間距離Lを変化させて支持して、第1膜11を打撃したときの発音における音量の変化を測定した結果について、図4を用いて説明する。
【0022】
図4は、打楽器1の音量の制御を説明する図である。図4の縦軸は、音量を規格化音量として表したものであり、第2打楽器20を分離して第1打楽器10のみの構成として、第1膜11を打撃したときの発音における音量を「100%」としたものである。横軸は、膜間距離Lを示している。すなわち、「0mm」とは第1膜11と第2膜21とが接触している状態であり、「168mm」とは、第1筒部120の開口している一端の開口面と第2膜21の膜面とが一致している状態である。
【0023】
まず、膜間距離Lを180mm程度から小さくし168mmで規格化音量は87%となる。膜間距離Lをさらに125mmまで小さくすると、規格化音量は60%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Aにおいては、概ね0.63%/mmで規格化音量が変化している。そして、さらに膜間距離Lを小さくし20mmとすると、規格化音量は40%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Bにおいては、概ね0.19%/mmで規格化音量が変化している。
【0024】
そして、さらに膜間距離Lを小さくし5mmとすると、規格化音量は30%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Cにおいては、概ね0.67%/mmで規格化音量が変化している。このとき、膜間距離Lが5mm以上においては、規格化音量が小さくなるのは、第1膜11の振動が停止することによるものではなく、第2膜21にエネルギが伝達されることによるものである。したがって、音量が小さくなったとしても、打撃感が残るとともに、第1膜11の皮の響きが残ることになる。
【0025】
これは、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が空気バネとして機能し、第1膜11の振動のエネルギが第2膜21に伝達されるとともに、オリフィスとして機能する第1筒部120と第2筒部220とに挟まれる空間を介して、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が第1胴部12の外側の空間に通じていることによる。すなわち、オリフィスを通過する空気の抵抗により、この振動のエネルギを急激に減少させることができる。このように、第1筒部120の筒の長さよりも膜間距離Lを小さくすることにより、第1膜11の振動をさせたまま、すなわち響きを残して音量を小さくする静音化を図ることができ、さらに振動が強制的に停止されないため打撃感も静音化する前から大きく変化させないようにすることができる。
【0026】
ここで、この例の場合の空気バネのバネ定数Kaは、一般に膜の面積に比例し、膜間距離Lに反比例するため、膜間距離Lを小さくするとバネ定数が上昇し第1膜11の振動のエネルギが第2膜21へ伝達されやすくなる。また、空気の剛性が高まりオリフィスを通過する空気の抵抗も高まり、より効率的に音量を減衰させる効果を生じることになる。そのため、領域Cにおいては、規格化音量の変化率が大きくなっている。
【0027】
そして、領域Cを超えて膜間距離Lをさらに小さくすると、急激に規格化音量が減少していく。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Dにおいては、概ね2%/mmで規格化音量が変化している。ここでは、急激に音量が小さくなるが、これは、打撃時に第1膜11、第2膜21が接触し振動が停止するためである。したがって、この領域Dにおいては、打撃感、皮の響きが急速に失われるため、この領域で用いることは望ましくない。このように、支持部30は、打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように、第1筒部120と第2筒部220とを支持することが望ましい。
【0028】
このように、本発明の実施形態に係る打楽器1は、第1打楽器10、第2打楽器20およびこれらを着脱可能に支持する支持部30を有し、支持部30が第1打楽器10と第2打楽器20とを打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように支持すると、分離独立している状態で第1打楽器10の演奏と同じように打撃しても、打撃感、響きを損なわないようにして音量を低下させることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな形態で実施可能である。
【0030】
<変形例1>
上述した実施形態において、オリフィスとして機能させる部分は、第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間であったが、別の部分にオリフィスの機能を持たせてもよい。この場合の打楽器1Aの構成の一例について図5を用いて説明する。
【0031】
図5は、変形例1に係る打楽器1Aを説明する図である。打楽器1Aは、第1打楽器10、第2打楽器20Aおよびこれらを支持する支持部30Aを有する。上記実施形態と同じ符号を付した構成は、上記実施形態における構成と同様であるから、説明を省略する。図5(a)に示すように、第2打楽器20Aは、実施形態における第2打楽器20とは、第2膜21Aの構成が異なり、第2膜21Aは、開口部210を有し、これがオリフィスの機能を有している。これにより、第1膜11と第2膜21Aとに挟まれた空間は、オリフィスの機能を有する開口部210を介して、第1筒部120の外側の空間に通じている構成となる。
【0032】
また、図5(b)に示すように、第1筒部120の内径と第2筒部220の外径とは、ほぼ同一であり、第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間は形成されず、オリフィスとして機能していない。なお、完全に空間が形成されないということはなく、それぞれ相対的に移動可能な程度の隙間は存在する。また、第1リム121、第2リム221の外径については第1筒部120、第2筒部220の外径と同じものとして図示しているが、第2リム221の存在により、第2リム221が第1筒部120の内面と接触し、第2筒部220が第1筒部120の内面と接触しない場合があってもよい。以下の変形例においても、これらの事項は共通である。
【0033】
支持部30Aは、実施形態における支持部30のように複数箇所(例えば、3箇所)設けられ、それぞれ移動部31Aと固定部32Aとを有している。移動部31Aは、接触部311A、ねじ部312Aおよび回転部313Aを有し、実施形態における接触部311、ねじ部312および回転部313と同様な機能を有している。固定部32は、第1胴部12の外面下部に固定され、ねじ部312Aが貫通する部分はねじ部312Aに対応した溝があり、ねじ部312Aと噛み合うようになっている。この支持部30Aにより、第1打楽器10と第2打楽器20Aとが着脱可能に支持されている。
【0034】
このような構成においても、オリフィスの機能を発揮する部分が実施形態と異なるだけであり、実施形態と同様な効果を奏することになる。なお、本変形例の構成において、さらに実施形態のように第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間が形成されるようにしてこの空間にもオリフィスの機能を持たせるようにしてもよい。この点についても以下の変形例において適用可能である。
【0035】
<変形例2>
上述した実施形態、変形例1において、第2筒部220の筒の長さを短くしてもよい。変形例1の構成において第2筒部220の筒の長さを短くした打楽器1Bについて図6を用いて説明する。
【0036】
図6は、変形例2に係る打楽器1Bを説明する図である。打楽器1Bは、第1打楽器10、第2打楽器20Bおよびこれらを支持する支持部30Bを有する。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。図6(a)に示すように、第2打楽器20Bは、変形例1における第2打楽器20Aとは、第2胴部22における第2筒部220の構成が異なり、筒の長さが短い第2筒部220Bをもつ第2胴部22Bを有する。
【0037】
図6(b)に示すように支持部30Bは、第2筒部220Bを支持する形状の部材であり、第1筒部120に設けられた差込部33Bに差し込んで固定可能になっている。複数箇所(例えば、3箇所)の第2筒部220Bの下端部から支持することにより、第1筒部120と第2筒部220Bとの相対位置が固定されるように支持する。ここで、差込部33Bは、膜間距離Lが変えられるように第2筒部220Bの筒の長さ方向に対しても複数の場所に設けられ、所望の音量に応じて差し込み位置を変えることができるようになっている。
【0038】
なお、支持部30Bは第1筒部120に固定して設けられてもよい。この場合、固定されている支持部30Bによって、第2打楽器20Bを支持部30Bより第1膜11側に移動させることができなくなるが、第2筒部220Bが弾性を持つようにすれば、第2筒部220Bを変形させて挿入することにより、支持部30Bと第1膜11の間に第2打楽器20Bを位置させることができるから、支持部30Bに第2筒部220Bを支持させることが可能である。
【0039】
このような構成においても、実施形態と同様な効果を奏することになる。また、変形例1の構成に限らず実施形態の構成において第2筒部220の筒の長さを短くしても同様な効果を得られる。
【0040】
図7は、本変形例のように筒の長さが短い第2胴部22Bとした場合の別の態様の打楽器の構成を説明する図である。図7(a)に示すように、第2打楽器20Bを上記とは反対向きに支持する場合について示したものである。この場合には、第2打楽器20Bの支持は、支持部30Bとは形状が異なり、第2膜21Aに接触する支持部30Cによって行われればよい。なお、差込部33Cは、上記差込部33Bに相当するものである。
【0041】
ここで、第2胴部22Bの筒の長さをより短くし、第1膜11と第2膜21とが振動時に接触しない範囲の長さ(例えば、5mm)に相当するようにすれば、図7(a)に示す第1打楽器10と第2打楽器20Cとの関係において、第1膜11と第2筒部220Bとが接する位置関係で支持部30Cに支持させれば、膜間距離Lを第2筒部220Bの筒の長さで規定でき、音量を最小にするなどの制御を容易に行うこともできる。
【0042】
また、図7(b)に示すように、第2膜21Aは、必ずしも第2筒部220Bの端部に張設されていなくてもよく、筒の途中の部分に張設された第2胴部22Dとして、第2打楽器20Dを構成してもよい。この場合は、上記同様に、第2胴部22Dを支持する形状とした支持部30Dを設ければよい。なお、差込部33Dは、上記差込部33Bに相当するものである。
【0043】
ここで、図7(b)に示すように、第2胴部22Dの筒方向の中心からずれたところに第2膜21Aが位置するようにすると、第2胴部22Dのいずれか一方の端部を第1膜11に接する位置関係で支持部30Dに支持させることにより、膜間距離Lを2段階に規定でき、2段階の音量の制御を容易に行うこともできる。
【0044】
このように、第2打楽器の第2胴部は、少なくとも第2膜を張設する機能、例えば、第2リムの機能だけでもよく、第2筒部の筒の長さが非常に短い、または第2筒部を有していないような構成であってもよい。すなわち、第1膜と第2膜とに挟まれる空間がオリフィスの機能を有する開口を介して、第1筒部120の外側の空間に通じているような構成を実現できればよい。
【0045】
<変形例3>
上述した実施形態においては、第2打楽器20は、第1胴部12の内側の空間に挿入されていたが、第1膜11を覆うような図8に示す第2打楽器20Eとしてもよい。
【0046】
図8は、変形例3に係る打楽器1Eを説明する図である。打楽器1Eは、第1打楽器10、第2打楽器20Eおよびこれらを支持する支持部30Eを有する。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。図8(a)に示すように、第2打楽器20Eは、変形例2における第2打楽器20Bに近い構成であり、第2筒部220Bより径が大きく、第1筒部120の外径と概ね等しい内径の第2筒部220Eをもつ第2胴部22Eを有する。第2膜21E、開口部210E、第2リム221Eは、それぞれ、上記変形例の第2膜21A、開口部210、第2リム221と同様な機能を有する。
【0047】
図8(b)に示すように支持部30Eは、ストッパとなる部材であり、複数箇所(例えば、3箇所)に設けられ、第1打楽器10の第1膜11に第2打楽器20Eで覆うように設置したときに、第2筒部220Eとともに、第1打楽器10と第2打楽器20Eとを支持し、膜間距離Lを固定する。そして、第1膜11と第2膜21Eとに挟まれた空間は、オリフィスの機能を有する開口部210Eを介して、外部空間と通じている。このようにしても、第2膜21Eを打撃することによる発音が、第2打楽器20Eを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0048】
<変形例4>
上述した変形例3において、第2膜21Eの開口部210Eを有さない第2膜21Fを有した第2打楽器20Fとしてもよい。この場合には、第2打楽器20Fは、図9に示すような構成とすればよい。
【0049】
図9は、変形例4に係る打楽器1Fを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、実施形態、上記変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0050】
第2胴部22Fの第2筒部220F、第2リム221Fは、変形例3における第2筒部220E、第2リム220Eの径より大きい径となっている。第2筒部220Fには、支持部30A、30Eが取り付けられ、これらにより、第1打楽器10と第2打楽器20Fとを支持し、膜間距離Lを固定する。これにより、第2筒部220Fと第1打楽器10とに挟まれた空間ができ、開口部210Eの代わりにオリフィスの機能を有する。そして、この空間を介して、第1膜11と第2膜21Fとに挟まれた空間は、外部空間と通じることになる。このようにしても、第2膜21Fを打撃することによる発音が、第2打楽器20Fを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0051】
<変形例5>
上述した変形例3において、第2膜21Eの開口部210Eを有さない第2膜21Fを有した第2打楽器20Gとしてもよい。この場合には、第2打楽器20Gは、図10に示すような構成とすればよい。
【0052】
図10は、変形例5に係る打楽器1Gを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0053】
第2筒部220G、第2リム221Gは、変形例3における第2筒部220E、第2リム221Eにオリフィスの機能を有する開口部222Gが設けられたものである。これにより、第1膜11と第2膜21Fとに挟まれた空間は、開口部222Gを介して外部空間と通じることになる。このようにしても、第2膜21Fを打撃することによる発音が、第2打楽器20Gを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0054】
<変形例6>
上述した変形例5における開口部222Gを有する構成を、変形例1の打楽器1Aにおける構成に適用し、図11に示すような打楽器1Hとしてもよい。
【0055】
図11は、変形例6に係る打楽器1Hを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0056】
第1筒部120Hは、上記実施形態における第1筒部120にオリフィスの機能を有する開口部122Hが設けられたものである。開口部122Hは、第1筒部120のうち、第1膜11の近傍に設けられ、膜間距離Lが小さくなっても第2胴部22(第2筒部220または第2リム221)に塞がれないようになっている。すなわち、開口部122Hを第2胴部22により塞ごうとすると、第1膜11と第2膜21とが振動により接触する膜間距離Lとなるような位置に、開口部122Hが設けられている。これにより、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間は、開口部122Hを介して外部空間と通じることになる。このようにしても、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0057】
<変形例7>
上述した実施形態において、第1膜11と第2膜21とが振動により接触しないようにするためのストッパ40を設けてもよい。
【0058】
図12は、変形例7に係る打楽器1Jを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。ストッパ40は、第1筒部120の内面の複数箇所(例えば、水平面内3箇所)に設けられ、膜間距離Lが予め設定された距離より小さくならないようにして、第1膜11と第2膜21とが振動により接触する距離の関係で支持されることを防ぐものである。このようにすることにより、膜間距離Lをストッパ40の位置で規定でき、音量を最小にするなどの制御を容易に行うこともできる。
【0059】
<変形例8>
上述した変形例においては、オリフィスの機能を有する開口部210などは、1つのものとして図示してきたが、必ずしも1つでなくてもよく、複数であってもよい。複数設ける場合には、オリフィスの機能が失われないように、1つ当たりの開口部210の大きさを小さくすることが望ましい。
【0060】
<変形例9>
上述した実施形態においては、支持部30は、第2打楽器20に固定されていたが、第1打楽器10に固定されているものとしてもよい。また、支持部30の一部が第1打楽器10に、残りが第2打楽器20に固定されているものとしてもよい。また、支持部30は、移動部31、固定部32により構成されているものを例示し、上記各変形例においても、支持部30A、30B、30C、30D、30Eと様々な構成を例示してきたが、このような構成は例示であるから、どのような構成により支持するものであってもよい。また、以下に示すような態様の構成であってもよい。
【0061】
第1の態様としては、変形例1などで示したように、第1筒部120と第2筒部220とが接触するような構成の場合、第1筒部120の内面と第2筒部220の外面とが、例えば雌ネジ、雄ネジとなるような構成とし、第2筒部220を第1筒部120に対して回転させることで、膜間距離Lを制御できるようにしてもよい。
【0062】
第2の態様としては、第1打楽器10および第2打楽器20を互いに支持するような上記実施形態、変形例における態様ではなく、図13に示すように、支持部30が地上に自立して第1打楽器10、第2打楽器20を支持するようなもの、例えばドラムスタンドなどのような支持部30Kであってもよい。
【0063】
図13は、変形例9に係る第2の態様の打楽器1Kを説明する図である。第1打楽器10K、第2打楽器20Kは、実施形態における第1打楽器10、第2打楽器20と同様な構成であり、支持部30Kに支持されるための構成を有するものである。支持部30Kは、第1打楽器10Kを支持して固定するための第1固定部350Kおよび第2打楽器20Kを支持して固定するための第2固定部360K、および第1固定部350Kと第2固定部360Kとを支える柱状の支持本体部340Kを有する。
【0064】
図13(a)に示すように、第1固定部350Kは、第1打楽器10Kの第1筒部120K外面側と着脱可能に接続する。第2固定部360Kは、第2打楽器20Kの第2筒部220K内面側と着脱可能に接続する。そして、第2固定部360Kは、図13(b)に示すように、支持本体部340Kに対して移動可能に構成され、矢印AR1に示すように、上下方向、および支持本体部340Kを中心に回転させる方向に移動させることができる。この構成は、公知のスライド機構などにより実現すればよい。
【0065】
これにより、打楽器1Kは、図13(a)に示すように、第1打楽器10Kの第1膜11Kおよび第2打楽器20Kの第2膜21Kのそれぞれを打撃可能な位置に固定して支持する場合と、図13(b)に示すように、第2打楽器20Kを第1筒部120Kの内側の空間に挿入した状態で、第1打楽器10Kと第2打楽器20Kとの位置関係を固定して支持する場合とに切り替えることができる構成にすることによって、音量を小さくして演奏する場合としない場合とを切り替えることができるようにすることができる。
【0066】
<変形例10>
上述した実施形態においては、第1筒部120、第2筒部220の形状は、円柱形状であるものとして図示しているが、本発明における筒状とは、筒の開口断面が円形に限られず、楕円形、三角形、四角形などの形状であってもよい。また、筒の長さ方向の断面については、四角形に限られず、台形であってもよく、さらには、曲線により構成された形状であってもよい。すなわち、筒状とは、両端が開口している中空の構造であればどのような構造であってもよい。
【0067】
<変形例11>
上述した実施形態においては、第1打楽器10と第2打楽器20とを支持部30によって支持している状態では、第1膜11と第2膜21とは対向して平行になっていたが、平行になっていなくてもよく、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が、オリフィスの機能を有する空間または開口部を介して、外部空間と通じていればよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K…打楽器、10,10H,10K…第1打楽器、11,11K…第1膜、12…第1胴部、120,120H,120K…第1筒部、121…第1リム、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20K…第2打楽器、21,21A,21E,21F,21K…第2膜、210,210E,222G,122H…開口部、22,22B,22D,22E,…第2胴部、220,220B,220E,220F,220G,220K…第2筒部、221,221E,221F,221G…第2リム、30,30A,30B,30C,30D,30E,30K…支持部、31,31A…移動部、311,311A…接触部、312,312A…ネジ部、313,313A…回転部、32,32A…固定部、321…内側固定部、322…外側固定部、340K…支持本体部、350K…第1固定部、360K…第2固定部、40…ストッパ
【技術分野】
【0001】
本発明は、打楽器の音量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
打楽器の演奏は音が大きくなりやすく、練習などは防音室の中で行うなど、周囲への配慮が必要である。そこで、電子ドラムなどの電子打楽器を用いることにより音量の制御を電気的に行って音量を小さくすることができるが、これは実際の打楽器とは打撃感や音の感じが異なるものとなってしまう。そこで、少しでも感触を生の打楽器に近づけるため、打面となる皮の膜の裏側をスポンジなどで覆うなどして、膜の振動を止めて音量を小さくする方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−142459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、振動を止めてしまうと、皮の響きを止めてしまうことにつながり、打撃感や音が変化し、やはり通常の演奏時の感触が得られないものであった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、本来の打撃感、響きを損なわないようにしつつ、音量を小さくして発音させることができる打楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本発明は、打撃により振動する第1の膜および第2の膜と、両端が開口した筒状であり、一端に前記第1の膜が張設された筒部と、前記第2の膜が張設された胴部と、前記筒部と前記胴部とを支持することにより、前記第1の膜と前記第2の膜との位置関係が、前記第1の膜または前記第2の膜への打撃によって振動しても互いに接触せず、かつ前記筒部の長さよりも短い距離となる関係にする支持部とを具備し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする打楽器を提供する。
【0007】
また、別の好ましい態様において、前記胴部は前記筒部の径より小さい径の筒状の部材を有し、前記支持部材は、前記筒部の内側の空間に前記胴部の筒状の部材の少なくとも一部が位置するように前記筒部と前記胴部とを支持し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部と前記胴部の筒状の部材とに挟まれる空間を介して前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする。
【0008】
また、別の好ましい態様において、前記第1の膜または前記第2の膜のいずれかに一方の膜は開口部を有し、前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記開口部を介して前記筒部の外側の空間と通じていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小型であっても、本来の感触を残したまま、音量を小さくして発音させることができる打楽器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る打楽器の構成を説明する図である。
【図2】本発明の実施形態に係る第1胴部と第2胴部とが支持された状態における水平断面を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態に係る第1胴部と第2胴部とが支持された状態における垂直断面を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態に係る打楽器の音量の制御を説明する図である。
【図5】変形例1に係る打楽器を説明する図である。
【図6】変形例2に係る打楽器を説明する図である。
【図7】変形例2に係る別の態様の打楽器を説明する図である。
【図8】変形例3に係る打楽器を説明する図である。
【図9】変形例4に係る打楽器を説明する図である。
【図10】変形例5に係る打楽器を説明する図である。
【図11】変形例6に係る打楽器を説明する図である。
【図12】変形例7に係る打楽器を説明する図である。
【図13】変形例9に係る第2の態様の打楽器を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態に係る打楽器1の構成を説明する図である。打楽器1は、第1打楽器10、第2打楽器20を有する。第1打楽器10、第2打楽器20ともにボンゴなどの膜鳴楽器であり、後述するように第1打楽器10と第2打楽器20とは着脱可能な構成となっている。
【0013】
第1打楽器10は、打撃により振動する皮などの膜状の部材である第1膜11と、第1胴部12を有する。第1胴部12は、両端が開口した筒状の第1筒部120と、第1リム121を有する。第1リム121は、第1筒部120との間に第1膜11の周囲部分を挟むことによって、第1筒部120の一端の開口周囲に第1膜11を固定してテンションをかけて張るためのベルト状の部材である。以下、テンションをかけて張って固定することを「張設する」という。
【0014】
第2打楽器20は、第1打楽器10と同様、打撃により振動する皮などの膜状の部材である第2膜21と、第2胴部22を有する。第2胴部22は、両端が開口した筒状であって、第1筒部120の内径より小さい径の外径を有する第2筒部220と、第2リム221を有する。第2リム221は、第2筒部220との間に第2膜21の周囲部分を挟むことによって、第2筒部220の一端の開口周囲に第2膜21を固定してテンションをかけて張るためのベルト状の部材である。
【0015】
また、第2打楽器20は、第1打楽器10と第2打楽器20とを着脱可能に支持する支持部30を有する。支持部30は、第2筒部220に設けられ、図1(a)に示すように第1打楽器10と第2打楽器20とが分離している状態から、図1(b)に示すように第2打楽器20を第1筒部120の内側の空間に挿入した状態で、第1打楽器10と第2打楽器20との位置関係を固定する。次に、支持部30の構成について、図2を用いて説明する。
【0016】
図2は、第1胴部12と第2胴部22とが支持部30によって支持された状態における水平断面(第1膜11、第2膜21と平行な面)を説明する図である。この水平断面の位置は、支持部30が存在する位置であり、図1(b)の切断線a−a’で切った断面に対応する。支持部30は、第1筒部120と第2筒部220とを着脱可能に支持し、図2に示すように、第1筒部120と第2筒部220との中心から120度ごとに3箇所、また別の水平位置に3箇所、合計6箇所設けられている。
【0017】
支持部30は、移動部31と固定部32とを有している。固定部32は、第2筒部220の外側に固定されるナット形状の外側固定部321と内側に固定されるナット形状の内側固定部322とを有する。移動部31は、接触部311、ねじ部312および回転部313を有している。回転部313とねじ部312によりボルト形状を構成し、ねじ部312は、第2筒部220を貫通して、外側固定部321および内側固定部322と噛み合うようになっている。したがって、回転部313を回転させると、ねじ部312は、第2筒部220の内側方向または外側方向に移動可能になっている。
【0018】
接触部311は、ねじ部312の移動に合わせて移動し、第1筒部120と接触する側は、フェルトなどのクッション材が設けられている。全ての支持部30のねじ部312が外側方向に移動すると、全ての接触部311が第1筒部120の内面に接触して、第1筒部120と第2筒部220との相対位置を固定して支持することになる。一方、ねじ部312が内側方向に移動すると、第1筒部120と接触部311が分離し、第1筒部120と第2筒部220とは、支持部30における支持から開放され、第1打楽器10と第2打楽器20とは、互いに自由に移動可能となる。次に、第1筒部120と第2筒部220とが支持される位置について、図3を用いて説明する。
【0019】
図3は、第1胴部12と第2胴部22とが支持部30によって支持された状態における垂直断面を説明する図である。ここで、この垂直断面は、図2における切断線b−b’で切った面を示している。
【0020】
図3に示すように、支持部30は、第1筒部120の内側の空間に、第2筒部220の一部が位置するように、それぞれを固定している。そして、第1膜11と第2膜21との膜間距離Lを変化させると、第1膜11を打撃したときに発音される音量が変化するようになる。この実験結果について以下説明する。
【0021】
まず、この実験において用いた打楽器1の各寸法を説明する。第1筒部120の外径da1は175mm、内径db1は160mmであり、筒の長さdc1は168mmである。また、第2筒部220の外径da2は150mm、内径db2は138mmであり、筒の長さdc2は167mmである。そして、膜間距離Lを変化させて支持して、第1膜11を打撃したときの発音における音量の変化を測定した結果について、図4を用いて説明する。
【0022】
図4は、打楽器1の音量の制御を説明する図である。図4の縦軸は、音量を規格化音量として表したものであり、第2打楽器20を分離して第1打楽器10のみの構成として、第1膜11を打撃したときの発音における音量を「100%」としたものである。横軸は、膜間距離Lを示している。すなわち、「0mm」とは第1膜11と第2膜21とが接触している状態であり、「168mm」とは、第1筒部120の開口している一端の開口面と第2膜21の膜面とが一致している状態である。
【0023】
まず、膜間距離Lを180mm程度から小さくし168mmで規格化音量は87%となる。膜間距離Lをさらに125mmまで小さくすると、規格化音量は60%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Aにおいては、概ね0.63%/mmで規格化音量が変化している。そして、さらに膜間距離Lを小さくし20mmとすると、規格化音量は40%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Bにおいては、概ね0.19%/mmで規格化音量が変化している。
【0024】
そして、さらに膜間距離Lを小さくし5mmとすると、規格化音量は30%となる。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Cにおいては、概ね0.67%/mmで規格化音量が変化している。このとき、膜間距離Lが5mm以上においては、規格化音量が小さくなるのは、第1膜11の振動が停止することによるものではなく、第2膜21にエネルギが伝達されることによるものである。したがって、音量が小さくなったとしても、打撃感が残るとともに、第1膜11の皮の響きが残ることになる。
【0025】
これは、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が空気バネとして機能し、第1膜11の振動のエネルギが第2膜21に伝達されるとともに、オリフィスとして機能する第1筒部120と第2筒部220とに挟まれる空間を介して、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が第1胴部12の外側の空間に通じていることによる。すなわち、オリフィスを通過する空気の抵抗により、この振動のエネルギを急激に減少させることができる。このように、第1筒部120の筒の長さよりも膜間距離Lを小さくすることにより、第1膜11の振動をさせたまま、すなわち響きを残して音量を小さくする静音化を図ることができ、さらに振動が強制的に停止されないため打撃感も静音化する前から大きく変化させないようにすることができる。
【0026】
ここで、この例の場合の空気バネのバネ定数Kaは、一般に膜の面積に比例し、膜間距離Lに反比例するため、膜間距離Lを小さくするとバネ定数が上昇し第1膜11の振動のエネルギが第2膜21へ伝達されやすくなる。また、空気の剛性が高まりオリフィスを通過する空気の抵抗も高まり、より効率的に音量を減衰させる効果を生じることになる。そのため、領域Cにおいては、規格化音量の変化率が大きくなっている。
【0027】
そして、領域Cを超えて膜間距離Lをさらに小さくすると、急激に規格化音量が減少していく。この膜間距離Lの範囲に対応する領域Dにおいては、概ね2%/mmで規格化音量が変化している。ここでは、急激に音量が小さくなるが、これは、打撃時に第1膜11、第2膜21が接触し振動が停止するためである。したがって、この領域Dにおいては、打撃感、皮の響きが急速に失われるため、この領域で用いることは望ましくない。このように、支持部30は、打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように、第1筒部120と第2筒部220とを支持することが望ましい。
【0028】
このように、本発明の実施形態に係る打楽器1は、第1打楽器10、第2打楽器20およびこれらを着脱可能に支持する支持部30を有し、支持部30が第1打楽器10と第2打楽器20とを打撃時に第1膜11と第2膜21とが接触せず、かつ第1筒部120の内側の空間に第2筒部220の少なくとも一部が位置するように支持すると、分離独立している状態で第1打楽器10の演奏と同じように打撃しても、打撃感、響きを損なわないようにして音量を低下させることができる。
【0029】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな形態で実施可能である。
【0030】
<変形例1>
上述した実施形態において、オリフィスとして機能させる部分は、第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間であったが、別の部分にオリフィスの機能を持たせてもよい。この場合の打楽器1Aの構成の一例について図5を用いて説明する。
【0031】
図5は、変形例1に係る打楽器1Aを説明する図である。打楽器1Aは、第1打楽器10、第2打楽器20Aおよびこれらを支持する支持部30Aを有する。上記実施形態と同じ符号を付した構成は、上記実施形態における構成と同様であるから、説明を省略する。図5(a)に示すように、第2打楽器20Aは、実施形態における第2打楽器20とは、第2膜21Aの構成が異なり、第2膜21Aは、開口部210を有し、これがオリフィスの機能を有している。これにより、第1膜11と第2膜21Aとに挟まれた空間は、オリフィスの機能を有する開口部210を介して、第1筒部120の外側の空間に通じている構成となる。
【0032】
また、図5(b)に示すように、第1筒部120の内径と第2筒部220の外径とは、ほぼ同一であり、第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間は形成されず、オリフィスとして機能していない。なお、完全に空間が形成されないということはなく、それぞれ相対的に移動可能な程度の隙間は存在する。また、第1リム121、第2リム221の外径については第1筒部120、第2筒部220の外径と同じものとして図示しているが、第2リム221の存在により、第2リム221が第1筒部120の内面と接触し、第2筒部220が第1筒部120の内面と接触しない場合があってもよい。以下の変形例においても、これらの事項は共通である。
【0033】
支持部30Aは、実施形態における支持部30のように複数箇所(例えば、3箇所)設けられ、それぞれ移動部31Aと固定部32Aとを有している。移動部31Aは、接触部311A、ねじ部312Aおよび回転部313Aを有し、実施形態における接触部311、ねじ部312および回転部313と同様な機能を有している。固定部32は、第1胴部12の外面下部に固定され、ねじ部312Aが貫通する部分はねじ部312Aに対応した溝があり、ねじ部312Aと噛み合うようになっている。この支持部30Aにより、第1打楽器10と第2打楽器20Aとが着脱可能に支持されている。
【0034】
このような構成においても、オリフィスの機能を発揮する部分が実施形態と異なるだけであり、実施形態と同様な効果を奏することになる。なお、本変形例の構成において、さらに実施形態のように第1筒部120と第2筒部220とに挟まれた空間が形成されるようにしてこの空間にもオリフィスの機能を持たせるようにしてもよい。この点についても以下の変形例において適用可能である。
【0035】
<変形例2>
上述した実施形態、変形例1において、第2筒部220の筒の長さを短くしてもよい。変形例1の構成において第2筒部220の筒の長さを短くした打楽器1Bについて図6を用いて説明する。
【0036】
図6は、変形例2に係る打楽器1Bを説明する図である。打楽器1Bは、第1打楽器10、第2打楽器20Bおよびこれらを支持する支持部30Bを有する。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。図6(a)に示すように、第2打楽器20Bは、変形例1における第2打楽器20Aとは、第2胴部22における第2筒部220の構成が異なり、筒の長さが短い第2筒部220Bをもつ第2胴部22Bを有する。
【0037】
図6(b)に示すように支持部30Bは、第2筒部220Bを支持する形状の部材であり、第1筒部120に設けられた差込部33Bに差し込んで固定可能になっている。複数箇所(例えば、3箇所)の第2筒部220Bの下端部から支持することにより、第1筒部120と第2筒部220Bとの相対位置が固定されるように支持する。ここで、差込部33Bは、膜間距離Lが変えられるように第2筒部220Bの筒の長さ方向に対しても複数の場所に設けられ、所望の音量に応じて差し込み位置を変えることができるようになっている。
【0038】
なお、支持部30Bは第1筒部120に固定して設けられてもよい。この場合、固定されている支持部30Bによって、第2打楽器20Bを支持部30Bより第1膜11側に移動させることができなくなるが、第2筒部220Bが弾性を持つようにすれば、第2筒部220Bを変形させて挿入することにより、支持部30Bと第1膜11の間に第2打楽器20Bを位置させることができるから、支持部30Bに第2筒部220Bを支持させることが可能である。
【0039】
このような構成においても、実施形態と同様な効果を奏することになる。また、変形例1の構成に限らず実施形態の構成において第2筒部220の筒の長さを短くしても同様な効果を得られる。
【0040】
図7は、本変形例のように筒の長さが短い第2胴部22Bとした場合の別の態様の打楽器の構成を説明する図である。図7(a)に示すように、第2打楽器20Bを上記とは反対向きに支持する場合について示したものである。この場合には、第2打楽器20Bの支持は、支持部30Bとは形状が異なり、第2膜21Aに接触する支持部30Cによって行われればよい。なお、差込部33Cは、上記差込部33Bに相当するものである。
【0041】
ここで、第2胴部22Bの筒の長さをより短くし、第1膜11と第2膜21とが振動時に接触しない範囲の長さ(例えば、5mm)に相当するようにすれば、図7(a)に示す第1打楽器10と第2打楽器20Cとの関係において、第1膜11と第2筒部220Bとが接する位置関係で支持部30Cに支持させれば、膜間距離Lを第2筒部220Bの筒の長さで規定でき、音量を最小にするなどの制御を容易に行うこともできる。
【0042】
また、図7(b)に示すように、第2膜21Aは、必ずしも第2筒部220Bの端部に張設されていなくてもよく、筒の途中の部分に張設された第2胴部22Dとして、第2打楽器20Dを構成してもよい。この場合は、上記同様に、第2胴部22Dを支持する形状とした支持部30Dを設ければよい。なお、差込部33Dは、上記差込部33Bに相当するものである。
【0043】
ここで、図7(b)に示すように、第2胴部22Dの筒方向の中心からずれたところに第2膜21Aが位置するようにすると、第2胴部22Dのいずれか一方の端部を第1膜11に接する位置関係で支持部30Dに支持させることにより、膜間距離Lを2段階に規定でき、2段階の音量の制御を容易に行うこともできる。
【0044】
このように、第2打楽器の第2胴部は、少なくとも第2膜を張設する機能、例えば、第2リムの機能だけでもよく、第2筒部の筒の長さが非常に短い、または第2筒部を有していないような構成であってもよい。すなわち、第1膜と第2膜とに挟まれる空間がオリフィスの機能を有する開口を介して、第1筒部120の外側の空間に通じているような構成を実現できればよい。
【0045】
<変形例3>
上述した実施形態においては、第2打楽器20は、第1胴部12の内側の空間に挿入されていたが、第1膜11を覆うような図8に示す第2打楽器20Eとしてもよい。
【0046】
図8は、変形例3に係る打楽器1Eを説明する図である。打楽器1Eは、第1打楽器10、第2打楽器20Eおよびこれらを支持する支持部30Eを有する。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。図8(a)に示すように、第2打楽器20Eは、変形例2における第2打楽器20Bに近い構成であり、第2筒部220Bより径が大きく、第1筒部120の外径と概ね等しい内径の第2筒部220Eをもつ第2胴部22Eを有する。第2膜21E、開口部210E、第2リム221Eは、それぞれ、上記変形例の第2膜21A、開口部210、第2リム221と同様な機能を有する。
【0047】
図8(b)に示すように支持部30Eは、ストッパとなる部材であり、複数箇所(例えば、3箇所)に設けられ、第1打楽器10の第1膜11に第2打楽器20Eで覆うように設置したときに、第2筒部220Eとともに、第1打楽器10と第2打楽器20Eとを支持し、膜間距離Lを固定する。そして、第1膜11と第2膜21Eとに挟まれた空間は、オリフィスの機能を有する開口部210Eを介して、外部空間と通じている。このようにしても、第2膜21Eを打撃することによる発音が、第2打楽器20Eを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0048】
<変形例4>
上述した変形例3において、第2膜21Eの開口部210Eを有さない第2膜21Fを有した第2打楽器20Fとしてもよい。この場合には、第2打楽器20Fは、図9に示すような構成とすればよい。
【0049】
図9は、変形例4に係る打楽器1Fを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、実施形態、上記変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0050】
第2胴部22Fの第2筒部220F、第2リム221Fは、変形例3における第2筒部220E、第2リム220Eの径より大きい径となっている。第2筒部220Fには、支持部30A、30Eが取り付けられ、これらにより、第1打楽器10と第2打楽器20Fとを支持し、膜間距離Lを固定する。これにより、第2筒部220Fと第1打楽器10とに挟まれた空間ができ、開口部210Eの代わりにオリフィスの機能を有する。そして、この空間を介して、第1膜11と第2膜21Fとに挟まれた空間は、外部空間と通じることになる。このようにしても、第2膜21Fを打撃することによる発音が、第2打楽器20Fを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0051】
<変形例5>
上述した変形例3において、第2膜21Eの開口部210Eを有さない第2膜21Fを有した第2打楽器20Gとしてもよい。この場合には、第2打楽器20Gは、図10に示すような構成とすればよい。
【0052】
図10は、変形例5に係る打楽器1Gを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0053】
第2筒部220G、第2リム221Gは、変形例3における第2筒部220E、第2リム221Eにオリフィスの機能を有する開口部222Gが設けられたものである。これにより、第1膜11と第2膜21Fとに挟まれた空間は、開口部222Gを介して外部空間と通じることになる。このようにしても、第2膜21Fを打撃することによる発音が、第2打楽器20Gを用いずに第1膜11を打撃することによる発音よりも小さい音量となり、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0054】
<変形例6>
上述した変形例5における開口部222Gを有する構成を、変形例1の打楽器1Aにおける構成に適用し、図11に示すような打楽器1Hとしてもよい。
【0055】
図11は、変形例6に係る打楽器1Hを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。
【0056】
第1筒部120Hは、上記実施形態における第1筒部120にオリフィスの機能を有する開口部122Hが設けられたものである。開口部122Hは、第1筒部120のうち、第1膜11の近傍に設けられ、膜間距離Lが小さくなっても第2胴部22(第2筒部220または第2リム221)に塞がれないようになっている。すなわち、開口部122Hを第2胴部22により塞ごうとすると、第1膜11と第2膜21とが振動により接触する膜間距離Lとなるような位置に、開口部122Hが設けられている。これにより、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間は、開口部122Hを介して外部空間と通じることになる。このようにしても、実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0057】
<変形例7>
上述した実施形態において、第1膜11と第2膜21とが振動により接触しないようにするためのストッパ40を設けてもよい。
【0058】
図12は、変形例7に係る打楽器1Jを説明する図である。上記実施形態、変形例と同じ符号を付した構成は、上記実施形態、変形例における構成と同様であるから、説明を省略する。ストッパ40は、第1筒部120の内面の複数箇所(例えば、水平面内3箇所)に設けられ、膜間距離Lが予め設定された距離より小さくならないようにして、第1膜11と第2膜21とが振動により接触する距離の関係で支持されることを防ぐものである。このようにすることにより、膜間距離Lをストッパ40の位置で規定でき、音量を最小にするなどの制御を容易に行うこともできる。
【0059】
<変形例8>
上述した変形例においては、オリフィスの機能を有する開口部210などは、1つのものとして図示してきたが、必ずしも1つでなくてもよく、複数であってもよい。複数設ける場合には、オリフィスの機能が失われないように、1つ当たりの開口部210の大きさを小さくすることが望ましい。
【0060】
<変形例9>
上述した実施形態においては、支持部30は、第2打楽器20に固定されていたが、第1打楽器10に固定されているものとしてもよい。また、支持部30の一部が第1打楽器10に、残りが第2打楽器20に固定されているものとしてもよい。また、支持部30は、移動部31、固定部32により構成されているものを例示し、上記各変形例においても、支持部30A、30B、30C、30D、30Eと様々な構成を例示してきたが、このような構成は例示であるから、どのような構成により支持するものであってもよい。また、以下に示すような態様の構成であってもよい。
【0061】
第1の態様としては、変形例1などで示したように、第1筒部120と第2筒部220とが接触するような構成の場合、第1筒部120の内面と第2筒部220の外面とが、例えば雌ネジ、雄ネジとなるような構成とし、第2筒部220を第1筒部120に対して回転させることで、膜間距離Lを制御できるようにしてもよい。
【0062】
第2の態様としては、第1打楽器10および第2打楽器20を互いに支持するような上記実施形態、変形例における態様ではなく、図13に示すように、支持部30が地上に自立して第1打楽器10、第2打楽器20を支持するようなもの、例えばドラムスタンドなどのような支持部30Kであってもよい。
【0063】
図13は、変形例9に係る第2の態様の打楽器1Kを説明する図である。第1打楽器10K、第2打楽器20Kは、実施形態における第1打楽器10、第2打楽器20と同様な構成であり、支持部30Kに支持されるための構成を有するものである。支持部30Kは、第1打楽器10Kを支持して固定するための第1固定部350Kおよび第2打楽器20Kを支持して固定するための第2固定部360K、および第1固定部350Kと第2固定部360Kとを支える柱状の支持本体部340Kを有する。
【0064】
図13(a)に示すように、第1固定部350Kは、第1打楽器10Kの第1筒部120K外面側と着脱可能に接続する。第2固定部360Kは、第2打楽器20Kの第2筒部220K内面側と着脱可能に接続する。そして、第2固定部360Kは、図13(b)に示すように、支持本体部340Kに対して移動可能に構成され、矢印AR1に示すように、上下方向、および支持本体部340Kを中心に回転させる方向に移動させることができる。この構成は、公知のスライド機構などにより実現すればよい。
【0065】
これにより、打楽器1Kは、図13(a)に示すように、第1打楽器10Kの第1膜11Kおよび第2打楽器20Kの第2膜21Kのそれぞれを打撃可能な位置に固定して支持する場合と、図13(b)に示すように、第2打楽器20Kを第1筒部120Kの内側の空間に挿入した状態で、第1打楽器10Kと第2打楽器20Kとの位置関係を固定して支持する場合とに切り替えることができる構成にすることによって、音量を小さくして演奏する場合としない場合とを切り替えることができるようにすることができる。
【0066】
<変形例10>
上述した実施形態においては、第1筒部120、第2筒部220の形状は、円柱形状であるものとして図示しているが、本発明における筒状とは、筒の開口断面が円形に限られず、楕円形、三角形、四角形などの形状であってもよい。また、筒の長さ方向の断面については、四角形に限られず、台形であってもよく、さらには、曲線により構成された形状であってもよい。すなわち、筒状とは、両端が開口している中空の構造であればどのような構造であってもよい。
【0067】
<変形例11>
上述した実施形態においては、第1打楽器10と第2打楽器20とを支持部30によって支持している状態では、第1膜11と第2膜21とは対向して平行になっていたが、平行になっていなくてもよく、第1膜11と第2膜21とに挟まれた空間が、オリフィスの機能を有する空間または開口部を介して、外部空間と通じていればよい。
【符号の説明】
【0068】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J,1K…打楽器、10,10H,10K…第1打楽器、11,11K…第1膜、12…第1胴部、120,120H,120K…第1筒部、121…第1リム、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F,20G,20K…第2打楽器、21,21A,21E,21F,21K…第2膜、210,210E,222G,122H…開口部、22,22B,22D,22E,…第2胴部、220,220B,220E,220F,220G,220K…第2筒部、221,221E,221F,221G…第2リム、30,30A,30B,30C,30D,30E,30K…支持部、31,31A…移動部、311,311A…接触部、312,312A…ネジ部、313,313A…回転部、32,32A…固定部、321…内側固定部、322…外側固定部、340K…支持本体部、350K…第1固定部、360K…第2固定部、40…ストッパ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃により振動する第1の膜および第2の膜と、
両端が開口した筒状であり、一端に前記第1の膜が張設された筒部と、
前記第2の膜が張設された胴部と、
前記筒部と前記胴部とを支持することにより、前記第1の膜と前記第2の膜との位置関係が、前記第1の膜または前記第2の膜への打撃によって振動しても互いに接触せず、かつ前記筒部の長さよりも短い距離となる関係にする支持部と
を具備し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする打楽器。
【請求項2】
前記胴部は前記筒部の径より小さい径の筒状の部材を有し、
前記支持部材は、前記筒部の内側の空間に前記胴部の筒状の部材の少なくとも一部が位置するように前記筒部と前記胴部とを支持し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部と前記胴部の筒状の部材とに挟まれる空間を介して前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする請求項1に記載の打楽器。
【請求項3】
前記第1の膜または前記第2の膜のいずれかに一方の膜は開口部を有し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記開口部を介して前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の打楽器。
【請求項1】
打撃により振動する第1の膜および第2の膜と、
両端が開口した筒状であり、一端に前記第1の膜が張設された筒部と、
前記第2の膜が張設された胴部と、
前記筒部と前記胴部とを支持することにより、前記第1の膜と前記第2の膜との位置関係が、前記第1の膜または前記第2の膜への打撃によって振動しても互いに接触せず、かつ前記筒部の長さよりも短い距離となる関係にする支持部と
を具備し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする打楽器。
【請求項2】
前記胴部は前記筒部の径より小さい径の筒状の部材を有し、
前記支持部材は、前記筒部の内側の空間に前記胴部の筒状の部材の少なくとも一部が位置するように前記筒部と前記胴部とを支持し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記筒部と前記胴部の筒状の部材とに挟まれる空間を介して前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする請求項1に記載の打楽器。
【請求項3】
前記第1の膜または前記第2の膜のいずれかに一方の膜は開口部を有し、
前記支持部が前記筒部と前記胴部とを支持した状態において、前記第1の膜と前記第2の膜とに挟まれる空間は、前記開口部を介して前記筒部の外側の空間と通じている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の打楽器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−197803(P2010−197803A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43761(P2009−43761)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
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