説明

扱胴への扱歯装着方法と扱胴への扱歯分離方法及び扱胴への扱歯装着構造

【課題】 扱胴への扱歯の装着及び取外しを容易にすべく、新品扱歯の取付作業や摩耗した扱歯の交換作業の簡素化を図った扱胴への扱歯装着方法及び扱歯分離方法と扱歯装着構を提供する。
【解決手段】 扱胴への扱歯装着構造100は、扱胴1の周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対し扱歯3の取付座4,5に開けた通孔4A,5Aが合わせられ、上記通孔と取付孔間に挿通した締結部材20で扱胴の周板に扱歯を固着するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや脱穀装置における扱胴(脱穀胴とも言う)への扱歯装着方法とその扱歯装着構造に関し、特に、扱胴への扱歯の装着及び取外しを容易にすべく、新品の扱歯の取付作業や摩耗した扱歯の交換作業の簡素化を図ったものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、コンバインや脱穀機となる脱穀装置において、稲や麦、トウモロコシ等の穀物を脱穀収穫している。上記コンバインや脱穀装置の扱胴の外周面を構成する周板には、多数の扱歯が装着されていて、稲や麦、トウモロコシ等の穀物を脱穀収穫するとき穀物の実の周辺を激しく叩いて脱落させている。この為に、多数の扱歯の摩耗が激しく、定期的に摩耗した扱歯の取替え作業を行う必要に迫られている。そこで、扱歯の扱胴への装着及び取外しを容易にすべく、新品の扱歯装着作業や摩耗した扱歯の交換作業の簡素化が要求されている。
【0003】
上記要求に応えるべく、多くの提案がなされている。先ず、カシメ付け固定方法においては、扱胴の組み上げを容易に行うことができるようにするために、円筒状の胴本体の前後に前側板と後側板とを連結し、前記胴本体を、部分円弧状に形成された複数の分割片を周方向に互いに連結して構成し、各分割片に扱歯をカシメ付け固定した脱穀装置の扱胴構造がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
上記構成によると、一部の扱歯が損傷した場合、損傷した扱歯が装着されている分割片だけを取外し、取外した分割片から損傷した扱歯を除去して新しい扱歯をカシメ付けて再び扱胴に組付けたり、あるいは、予め扱歯を取付けた新たな分割片と取り替えたりすることが可能となる。また、取外した分割片は任意の作業空間に持ち運ぶことができるので、扱胴を脱穀装置から脱着する必要はなく、脱穀装置に装着された後の扱胴の点検整備作業を容易に行うことができるとするものである。
【0005】
更に、扱歯組付け作業を能率良く実行できるように、しかも強力な扱歯固定を容易確実に実現できるようにしたものがある。その構成は、多数の独立扱歯を扱胴の外周面に取り付けた脱穀装置において、前記扱胴の回転軸芯方向に並ぶ複数の前記独立扱歯を一枚の取付けプレートに固定し、前記取付けプレートを前記扱胴の周長方向での一箇所で屈曲させることにより、取付け面を前記扱胴外周面に対して、周方向二箇所の接触部で接触する状態に屈曲形成し、前記取付けプレートを前記扱胴に固定する締め付けボルトを前記両接触部の間で、かつ前記屈曲箇所からの距離が遠い側の接触部を有した平坦部分に配置したものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
上記構成によると、一枚の取付けプレートを扱胴に固定すれば複数の独立扱歯を取付けることができるから、従来技術に比して扱歯組付け工数を数分の一に大幅減少でき、扱歯組付け作業を能率良く実行できる。しかも、取付けプレートの屈曲した取付け面を扱胴外周面に周方向二箇所で接触させて、両接触部間の締付けボルトで取付けプレートを扱胴に固定するから、独立扱歯の強力な固定状態を容易確実に維持できる。その結果、扱歯組付け作業能率を向上でき、強力な扱歯固定を容易確実に実現できる、組付け作業性において一段と優れた脱穀装置の扱歯取付け構造が得られるとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開2006−67910号公報
【特許文献2】 特許3143314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特開2006−67910号公報である各分割片に扱歯をカシメ付け固定した脱穀装置の扱胴構造は、一部の扱歯が損傷した場合、損傷した扱歯が装着されている分割片だけを取外し、取外した分割片から損傷した扱歯を除去して新しい扱歯をカシメ付けて再び扱胴に組付けなければならないという手間時間が発生する。この交換作業には専門的な知識を必要とするために、仮に、専門家ではない農家の従事者が交換作業を行うことがあると、交換作業に手間取るばかりか、その交換の確実性に不安が有り、運転中の思わぬ部品(分割片や扱歯)の脱落事故の危険性を招く可能性がある。従って、扱歯の交換作業にその周辺の部品となる各分割片を扱胴から取り外さなければならない問題が解決されていない。
【0009】
また、上記特許3143314号公報では、一枚の取付けプレートを扱胴に固定すれば複数の独立扱歯を取付けることができ、従来技術に比して扱歯組付け工数を数分の一に大幅減少でき、扱歯組付け作業を能率良く実行できる。更に、取付けプレートの屈曲した取付け面を扱胴外周面に周方向二箇所で接触させ、両接触部間の締付けボルトで取付けプレートを扱胴に固定するから、独立扱歯の強力な固定状態を容易確実に維持できるとするものである。しかし、この方式も、扱歯本体の各先端に設けたボルト(雄ねじ)が取付けプレートの裏面側に突出し、この裏面側からナットで締結作業を余儀なくされ、取付けプレートの扱歯の交換作業に、プレートを扱胴から取り外さなければならない問題が解決されていない。
【0010】
上記従来の扱胴への扱歯の装着手段には、扱歯本体のボルトとナットによる締結方法と、カシメ付け固定方法とが提案され、交換作業の能率アップのために、上記取付けプレートまたは各分割片等の取付・取外しを余儀なくされる問題が発生している。その上に、裏面に固着されていないナットによる締結方法では、扱胴への扱歯に脱穀作用時の衝撃で緩みやガタ付を生じる。カシメ付け固定方法では、カシメ部材の取外しに手間取り交換作業性が極めて悪いという問題点の解決策が開示されていない。
【0011】
本発明は、上記ボルト・ナットによる締結方法、カシメ付け固定方法における各種問題点に鑑みてなされたものである。その目的は、扱胴(脱穀胴とも言う)への扱歯の装着及び取外しを容易にすべく、新品の扱歯取付作業や摩耗した扱歯の交換作業の簡素化を図った扱胴への扱歯装着方法及び扱胴への扱歯分離方法と扱胴への扱歯装着構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による扱胴への扱歯装着構造は、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に開けた通孔が合わせられ、上記通孔と取付孔間に挿通した締結部材で扱胴の周板に扱歯を固着することを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2による扱胴への扱歯装着構造は、請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造において、上記締結部材は、リベット頭部からこの軸筒部内に挿通した引抜棒と、上記引抜棒をリベットの軸筒部内から突出させた根元ステム部と、リベット頭部から突出する引抜棒の引張部とからなるブラインドリベットであって、扱胴の周板に開けた取付孔に対し扱歯の取付座の通孔が合わせられ、上記通孔から取付孔にリベットの軸筒部が挿入され、上記軸筒部内に挿通した引抜棒の根元ステム部でリベット先端部を周板の裏面に圧縮するとともに取付孔及び通孔に膨圧させたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3の扱胴への扱歯装着方法は、扱胴を構成する周板に開けられた取付孔に対して扱歯の取付座の通孔を合わせる工程と、上記扱歯の通孔から取付孔に引抜棒を挿通したリベットの軸筒部を挿入する工程と、上記リベットの軸筒部内から頭部に突出する引抜棒を引張り、引抜棒の根元側のステム部の軸筒部内への引込みでこれに繋がるリベット先端部を周板の裏面に圧縮するとともに取付孔及び通孔に膨圧させる装着工程と、上記引抜棒をリベット頭部で引きちぎる切り離し工程と、からなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項4による扱胴への扱胴の扱歯装着方法は、請求項3記載の扱胴への扱歯装着方法において、上記リベットは、リベット頭部からこの軸筒部内に挿通した引抜棒と、上記引抜棒をリベットの軸筒部内から突出させた根元ステム部と、リベット頭部から突出する引抜棒の引張部と、からなるブラインドリベットであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項5による扱胴への扱歯分離方法は、扱胴を構成する周板に開けられた取付孔に対して扱歯の取付座の通孔を合わせブラインドリベットで締結された扱胴の扱歯であって、上記ブラインドリベットの軸筒部と略同一外径のドリル等によりリベット頭部から軸筒部の軸芯にある引抜棒に向けて穿孔し、リベット頭部を軸筒部縁で分離させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項6による扱胴への扱歯装着構造は、請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造において、上記締結部材はボルトとナットであって、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に設けた通孔が合わせられ、上記取付孔の裏面側に固着したナットに通孔の表面側から挿入してボルトを螺合して締結させたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項7による扱胴への扱歯装着構造は、請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造において、上記締結部材はボルトとナットであって、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に設けた通孔が合わせられ、上記取付孔の裏面側にボルト頭部を固着し取付孔及び通孔の表面側から突出したボルト先端にナットを螺合して締結させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の本発明の請求項1と2の扱胴への扱歯装着構造によると、周板の取付孔に扱歯の取付座の通孔を合わせ、上記扱歯の通孔から取付孔にブラインドリベットの軸筒部を挿入し、上記軸筒部内に挿通した引抜棒のステム部でリベット先端部を周板の裏面に圧縮し、軸筒部を取付孔及び通孔に膨圧させるから、ブラインドリベットの頭部と軸筒部先端のステム部の間で周板の取付孔と扱歯の取付座の通孔間を圧迫して締結するとともに通孔・取付孔内の隙間を無くし、扱胴への扱歯の装着が強固にできる。そして、脱穀作用時の衝撃でも緩まない。また、ブラインドリベットの取外しの交換作業を効率良く行わせられる。
【0020】
更に、本発明の請求項3〜5の扱胴への扱歯装着方法及び扱胴への扱歯分離方法によると、従来の本体に設けたボルトとナットによる締結方法やカシメ付け固定方法における各種問題点が解決される。即ち、扱胴への新品の扱歯の装着作業がブラインドリベットにより、容易且つ強い締結力ででき、また、摩耗した扱歯の交換作業がドリルによるブラインドリベットの軸径部の穴あけで、周板の取付孔や取付座の通孔に穿孔傷を作ること無く、簡単且つ能率良くできる。
【0021】
更に、本発明の請求項6と7の扱胴への扱歯装着構造によると、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に設けた通孔が合わせられ、上記通孔と取付孔との間にボルトを通し、上記ボルトの先端にナットを螺合させて締結させたから、扱胴の周板に開けられた取付孔と扱歯の取付座との取付・取外しが外側から簡潔にできる。また、扱胴の周板に開けた取付孔の内側となる裏面に付設したボルトを外周面側へ突出させたから、このボルト先端に扱歯の通孔を嵌め外側からナットで簡単に締結できるし、取外しできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示し、扱胴への扱歯装着構造の側面図と断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態を示し、ブラインドリベットの断面図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態を示し、扱胴の周板に扱歯を装着する斜視図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態を示し、扱胴に装着する扱歯扱歯装着方法の手順図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態を示し、扱胴に装着した扱歯分離方法の手順図である。
【図6】 本発明の第2の実施の形態を示し、扱胴の周板に扱歯を装着する断面図である。
【図7】 本発明の第3の実施の形態を示し、扱胴の周板に扱歯を装着する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図7を参照して本発明の各実施の形態を順次に説明する。
【実施例】
【0024】
本発明の第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造は、図1〜図3に示す。先ず、図1と図3において、扱歯装着構造100は、コンバインや脱穀機における脱穀胴となる扱胴1の周板1Aに多数の扱歯3が配列されている。上記扱歯3を周板1Aに装着する構成は、周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対し、扱歯3の取付座4,5の通孔4A,5Aが合わせられている。上記扱歯3の通孔から取付孔1B,1Cに挿通した締結部材20で扱胴の周板に扱歯を固着したものである。
【0025】
第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造100の締結部材20は、ブラインドリベット10が採用される。即ち、上記扱歯3の通孔から取付孔1B,1Cにブラインドリベット10の軸筒部10Bが挿入され、この軸筒内部10Cに挿通した引抜棒(カシメ棒とも言う)11の引抜力で先端のステム部11Aが、ブラインドリベット10の頭部10Aとリベット先端となる先端部10D間を周板1Aの裏面1Dに圧縮させ、軸筒部10Bが取付孔1B,1Cと通孔4A,5Aに圧迫・膨圧させる。これにより、ブラインドリベット10の頭部10Aと、軸筒部10Bの先端部10Dのステム部11Aの間とで、周板1Aの取付孔1B,1Cと扱歯3の取付座4,5の通孔間を圧迫・締結する。即ち、ブラインドリベット10は、この軸筒部10Bが通孔・取付孔内を圧迫・膨圧して隙間を無くし、扱胴1への扱歯3の装着を強固にする。これで、稲や麦の穀物の脱穀作用時に、扱歯3に強い衝撃力が付与されても緩まない。
【0026】
上記ブラインドリベット10の詳細な構成は、図2に示す。リベットは、頭部10Aと軸筒部10Bと、この軸筒内部10Cと先端部10Dからなり、この軸筒内部10Cに引抜棒11が挿通されている。上記引抜棒11は、軸筒内部10Cから突出させたステム部11Aと、頭部10Aから突出する引張部11Bと、軸筒内部10Cに位置する引抜棒11をカシメ後に切断させるべく小径とした破断部11Cから構成されている。尚、引張部11Bには、溝Mが設けられていて、頭部10Aを押し込み、引抜棒11の引張部11Bを引張り、引きちぎるための工具Kの引抜部K1と結合される。
【0027】
続いて、上記ブラインドリベット10により、扱胴1の周板1Aに扱歯3を装着する扱胴への扱歯装着方法の装着手順を説明する。図4(a)に示すように、扱胴を構成する周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対して扱歯3の取付座4,5の通孔4A,5Aを合わせる工程(I)と、更に、図4(a)に示すように、上記扱歯の通孔から取付孔に引抜棒11を挿通したリベット10の軸径部10Bを挿入する工程(II)と、図4(b)に示すように、上記リベット10の頭部10A内から突出する引抜棒11を引張り引抜棒のステム部11Aが、ブラインドリベット10の頭部10Aとリベット先端となる先端部10D間を周板1Aの裏面1Dに圧縮させ、軸筒部10Bの外周を取付孔1B,1Cと通孔4A,5Aに圧迫・膨圧させる装着工程(III)と、図4(c)に示すように、上記引抜棒11をリベット頭部10Aの近くの破断部11Cで引きちぎる切り離し工程(IV)と、からなる。
【0028】
次に、上記ブラインドリベット10を通孔4A,5A及び取付孔1B,1Cから引き抜き、扱胴1の周板1Aから扱歯3を分離する扱胴への扱歯分離方法の分離手順を説明する。図5(a)に示すように、リベット10の軸筒部10Bの外径φBと略同一外径φAのドリルDによりリベット頭部10Aから軸筒部の軸芯にある引抜棒11に向けて穿孔する工程(V)と、図5(b)(c)に示すように、ドリルDがリベット頭部内と軸筒部10Bを穿孔する。更に、頭部10Aに繋がる軸筒部10Bの外縁fを穿孔し、頭部10Aを軸筒部10Bから分離させる分離工程(VI)からなる。
【0029】
かくして、本発明の扱胴への扱歯装着構造100の実施の形態や扱胴への扱歯装着方法及び扱胴への扱歯分離方法の実施の形態によれば、下記の効果が得られる。
先ず、本発明の扱胴への扱歯装着方法及び扱胴への扱歯分離方法によると、従来方法である扱歯本体のボルトとナットによる締結方法やカシメ付け固定方法における各種問題点が解決される。即ち、扱胴への新品の扱歯の装着作業がブラインドリベット10により、容易且つ強い締結力で締結でき、また、摩耗した扱歯の交換作業がドリルDによるブラインドリベット10の軸筒部10Bへの穴あけで、周板1Aの取付孔1B,1Cや取付座4,5の通孔4A,5Aに穿孔傷を作ること無く、簡単且つ能率良くできる。
【0030】
更に、扱胴への扱歯装着構造100によると、周板の取付孔1B,1Cに扱歯3の取付座4,5の通孔4A,5Aを合わせ、上記扱歯の通孔から取付孔にブラインドリベット10の軸筒部10Bを挿入し、上記軸筒部内に挿通した引抜棒11のステム部11Aでリベット先端部10Dを周板1Aの裏面1Dに圧迫・締結でき、且つ、ブラインドリベット10の軸筒部10Bが通孔・取付孔内を圧迫・膨圧して通孔・取付孔内の隙間を無くし、扱胴への扱歯の装着が強固にできる。これで、脱穀作用時の衝撃でも緩まない。また、ブラインドリベットの取外しの交換作業が効率良くできる。
【0031】
本発明の扱胴への扱歯装着構造100の実施例や扱胴への扱歯装着方法及び扱胴への扱歯分離方法の実施の形態は、上記実施例に限定されず、発明の要旨内での変更が可能である。例えば、ブラインドリベット10の形式は、図示のものに限定されず、片面側から締結できる形式であれば全てのものが適用可能である。また、引抜棒11を引っ張ってリベットをカシメ作業する工具も、電動式・手動式・油圧空圧式の何れでも良い。更に、扱歯のデザイン・形式も図示の物に限定されない。そして、リベット頭部から軸筒部の軸芯にある引抜棒に向けて穿孔するドリルに替えて、エンドミルやリ−マ等の穿孔工具でも良い。
【0032】
更に、図6に示すように、本発明の第2の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造110としても良い。その構成は、上記第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造100において、締結部材20をボルトBとナットNとしたものである。具体的には、扱胴1の周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対し扱歯3の取付座4,5に設けた通孔4A,5Aが合わせられ、上記取付孔の裏面1D側に固着したナットNに通孔4A,5Aの表面側から挿入したボルトBを螺合して締結させた扱胴への扱歯装着構造110とする。その他の構成は、上記第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造100と同一に付き、同一符号を附して説明を省略する。
【0033】
本発明の第2の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造110によると、扱胴1の周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対し扱歯3の取付座4,5に設けた通孔4A,5Aが合わせられ、上記通孔と取付孔との間に外側からボルトBを通し、上記ボルト先端をナットNに螺合させて締結できるから、扱胴の周板に開けられた取付孔と扱歯の取付座との取付・取外しが外側から簡潔にできる。
【0034】
更に、図7に示すように、本発明の第3の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造120としても良い。その構成は、上記第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造100において、締結部材20をボルトBとナットNとしたものである。具体的には、扱胴1の周板1Aに開けられた取付孔1B,1Cに対し扱歯3の取付座4,5に設けた通孔4A,5Aが合わせられ、上記取付孔の裏面1D側にボルト頭部B1を固着し取付孔及び通孔の表面側から突出したボルト先端にナットNを螺合して締結させた扱胴の扱歯装着構造120とする。その他の構成は、上記第1の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造100と同一に付き、同一符号を附して説明を省略する。
【0035】
本発明の第3の実施の形態となる扱胴への扱歯装着構造120によると、扱胴1の周板1Aに開けた取付孔1B,1Cの内側となる裏面1Dに付設したボルトBの先端を外周面側へ突出させているから、このボルト先端に扱歯3の通孔4A,5Aを嵌め外側からナットNで簡単に締結できるし、取外しできる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、その対象物をコンバインや脱穀機における脱穀胴となる扱胴の周板に多数の扱歯を装着する実施例で説明したものであるが、様々な製品装置における部品の片側からの締結や分離させる機能としての適用が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 扱胴(脱穀胴とも言う)
1A 周板
1B,1C 取付孔
1D 裏面
3 扱歯
4,5 取付座
4A,5A 通孔
10 ブラインドリベット
10A 頭部
10B 軸筒部
10C 軸筒内部
10D 先端部
11 引抜棒(カシメ棒)
11A ステム部
11B 引張部
11C 破断部
20 締結部材
100 扱歯装着構造
110 扱歯装着構造
120 扱歯装着構造
B ボルト
B1 ボルト頭部
D ドリル
f 外縁
K 工具
K1 引抜部
N ナット
M 溝
φA ドリルの外径
φB 軸筒部の外径
(I) 孔を合わせる工程
(II) リベットの挿入工程
(III) 装着工程
(IV) 切り離し工程
(V) 穿孔工程
(VI) 分離工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に開けた通孔が合わせられ、上記通孔と取付孔間に挿通した締結部材で扱胴の周板に扱歯を固着することを特徴とする扱胴への扱歯装着構造。
【請求項2】
上記締結部材は、リベット頭部からこの軸筒部内に挿通した引抜棒と、上記引抜棒をリベットの軸筒部内から突出させた根元ステム部と、リベット頭部から突出する引抜棒の引張部とからなるブラインドリベットであって、扱胴の周板に開けた取付孔に対し扱歯の取付座の通孔が合わせられ、上記通孔から取付孔にリベットの軸筒部が挿入され、上記軸筒部内に挿通した引抜棒の根元ステム部でリベット先端部を周板の裏面に圧縮するとともに取付孔及び通孔に膨圧させたことを特徴とする請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造。
【請求項3】
扱胴を構成する周板に開けられた取付孔に対して扱歯の取付座の通孔を合わせる工程と、上記扱歯の通孔から取付孔に引抜棒を挿通したリベットの軸筒部を挿入する工程と、上記リベットの軸筒部内から頭部に突出する引抜棒を引張り、引抜棒の根元側のステム部の軸筒部内への引込みでこれに繋がるリベット先端部を周板の裏面に圧縮するとともに取付孔及び通孔に膨圧させる装着工程と、上記引抜棒をリベット頭部で引きちぎる切り離し工程と、からなることを特徴とする扱胴への扱歯装着方法。
【請求項4】
上記リベットは、リベット頭部からこの軸筒部内に挿通した引抜棒と、上記引抜棒をリベットの軸筒部内から突出させた根元ステム部と、リベット頭部から突出する引抜棒の引張部と、からなるブラインドリベットであることを特徴とする請求項3記載の扱胴への扱歯装着方法。
【請求項5】
扱胴を構成する周板に開けられた取付孔に対して扱歯の取付座の通孔を合わせブラインドリベットで締結された扱胴の扱歯であって、上記ブラインドリベットの軸筒部と略同一外径のドリル等によりリベット頭部から軸筒部の軸芯にある引抜棒に向けて穿孔し、リベット頭部を軸筒部縁で分離させることを特徴とする扱胴への扱歯分離方法。
【請求項6】
上記締結部材はボルトとナットであって、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に設けた通孔が合わせられ、上記取付孔の裏面側に固着したナットに通孔の表面側から挿入してボルトを螺合して締結させたことを特徴とする請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造。
【請求項7】
上記締結部材はボルトとナットであって、扱胴の周板に開けられた取付孔に対し扱歯の取付座に設けた通孔が合わせられ、上記取付孔の裏面側にボルト頭部を固着し取付孔及び通孔の表面側から突出したボルト先端にナットを螺合して締結させたことを特徴とする請求項1記載の扱胴への扱歯装着構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−182768(P2011−182768A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68857(P2010−68857)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(510009119)千代田金属工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】